JP4447240B2 - シーラント用樹脂組成物および積層体およびこれから得られる容器 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、シーラント用樹脂組成物およびその用途に関し、さらに詳しくは、密封性およびヒートシール性を兼ね備えた積層体、さらにはその積層体を用いたイージーピール性容器の製造を可能にするシーラント用樹脂組成物、その積層体、およびそのイージーピール性容器(たとえば袋状容器、カップ状容器)に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年の食の多様化に伴い、様々な包装材料が提案されている。中でも、イージーピール性を有する容器は、即席麺、ヨーグルト容器、菓子容器、その他の食品容器として広く用いられている。イージーピール性を有する容器には、密封性とイージーピール性という相反する性能を同時に満足することが要求されている。さらには、食品容器の多様化によって、様々なヒートシール強度を有するシーラントフィルムの開発が切望されている。
【0003】
しかしながら、これまでは、高い密封性を発現させるためには高いシール強度が必要であり、シール強度を高くすることによりイージーピール性が損なわれるという問題があった。
【0004】
したがって、密封性およびヒートシール性を兼ね備えた積層体、さらには、この積層体を用いたイージーピール性容器の製造を可能にするシーラント用樹脂組成物、その積層体およびその積層体から得られる容器(たとえば袋状容器、カップ状容器)の出現が望まれている。
【0005】
一方、ポリプロピレンから得られるフィルムは、耐熱性があることから、例えばレトルト食品の様に加熱殺菌処理を施す包装材用途に広く用いられている。近年では、このような加熱殺菌処理にも耐え得るような耐熱性を有しているイージーピールフィルムまたはシートが検討されている。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、密封性およびヒートシール性を兼ね備えた積層体、さらには、この積層体を用いたイージーピール性容器の製造を可能にするシーラント用樹脂組成物、その積層体およびその積層体から得られる容器(たとえば袋状容器、カップ状容器)を提供することを目的としている。
【0007】
本発明はまた、高い密封性を有し、かつイージーピール性を発現することのできるシーラント用樹脂組成物、その組成物から得られる積層体、およびそれを用いたイージーピール性容器の提供を目的とする。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係るシーラント用樹脂組成物(a)は、
(A−a)密度(ASTM D 1505)が0.900〜0.960g/cm3であり、メルトフローレート(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が0.1〜70g/10分であるエチレン系重合体10〜70重量%と、
(B−a)プロピレン系重合体10〜80重量%と、
(C−a)ブテン系重合体10〜70重量%と
からなることを特徴としている。
【0009】
前記エチレン系重合体(A−a)としては、密度(ASTM D 1505)が0.905〜0.940g/cm3 の範囲内にある高圧法ポリエチレンが好ましい。
【0010】
本発明に係る積層体は、少なくとも2層で構成される積層体であって、プロピレンランダム共重合体からなる(P)層と、該(P)層に隣接する、上記に記載のシーラント用樹脂組成物からなる(S)層とからなる層構造を有することを特徴としている。
【0011】
前記プロピレンランダム共重合体からなる(P)層の厚みは、1〜50μm、特に2〜30μmであることが好ましい。
【0012】
本発明に係る容器は、前記の、本発明に係る積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体からなる容器であり、該積層体の(P)層同士を重ね合わせ、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる袋状容器であることを特徴としている。
【0013】
具体的には、たとえば以下のような(1)、(2)の容器が挙げられる。
(1)本発明に係る積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体からなる容器であり、前記積層体を、(P)層が内側にくるように二つ折りして(P)層同士を重ね合わせ、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる袋状容器。
(2)本発明に係る積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体2種類からなる容器であり、前記2種類の積層体のプロピレンランダム共重合体からなる(P)層同士を重ね合わせ、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる袋状容器。
【0014】
本発明に係る他の容器は、前記の、本発明に係る積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体から形成されたカップ状物の(P)層表面に、蓋材がヒートシールされてなることを特徴としている。
【0015】
また本発明に係るシーラント用樹脂組成物(b)は、
(A−b)密度が0.850〜0.900g/cm3、190℃で測定したメルトフローレート(MFR−A)が0.1〜10g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体10〜70重量%と、
(B−b)230℃で測定したメルトフローレート(MFR−B)が0.5〜100g/10分の範囲にあり、MFR−BとMFR−Aとの比(MFR−B/MFR−A)が3以上であるプロピレン系重合体10〜80重量%と、
(C−b)密度が0.900〜0.960g/cm3であるエチレン系重合体0〜50重量%とからなることを特徴としている。
【0016】
さらに本発明は、上記樹脂組成物から得られるシーラントフィルム、該シーラントフィルムからなる積層体であり、さらには該積層体から形成される容器に関する。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るシーラント用樹脂組成物およびその用途について具体的に説明する。
【0018】
シーラント用樹脂組成物(a)
まず、本発明に係るシーラント用樹脂組成物(a)について説明する。
【0019】
本発明に係るシーラント用樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−a)、プロピレン系重合体(B−a)およびブテン系重合体(C−a)とを含有している。
【0020】
[エチレン系重合体(A−a)]
本発明で用いられるエチレン系重合体(A−a)としては、エチレン単独重合体であってもよいし、エチレン・α- オレフィン共重合体であってもよく、その分子構造は、直鎖状であってもよいし、また、長鎖あるいは短鎖の側鎖を有する分岐状であってもよい。
【0021】
エチレン・α- オレフィン共重合体としては、エチレンと、炭素数3〜20、好ましくは3〜10のα- オレフィンとのランダム共重合体が望ましい。 このようなα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましい。
【0022】
また、このエチレン・α- オレフィン共重合体の調製の際に、必要に応じて、他のコモノマーとして、たとえば1,6-ヘキサジエン、1,8-オクタジエン等のジエン類、あるいはシクロペンテン等の環状オレフィン類等を少量使用することができる。
【0023】
エチレン・α- オレフィン共重合体(エチレン・α- オレフィン・ポリエン共重合体を含む。)におけるエチレンから誘導される構成単位含有量(以下、エチレン含有量と称する。)は、通常、85〜99.9モル%、好ましくは90〜99.5モル%である。エチレン・α- オレフィン共重合体の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgのエチレン・α- オレフィン共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の条件下で測定して決定される。
【0024】
エチレン系重合体(A−a)は、密度が0.900〜0.960g/cm3 、好ましくは0.905〜0.950g/cm3 、さらに好ましくは0.905〜0.940g/cm3 であって、いわゆる低密度ないし中密度ポリエチレンである。密度が上記範囲にあるエチレン系重合体(A−a)を用いると、良好なヒートシール性を示すシーラントフィルムを成形することができる樹脂組成物が得られる。また、積層フィルムを構成する、本発明のシーラント用樹脂組成物からなる層をヒートシール層(容器の内層となる)として、この積層体から容器を製造する際、この内層の粘着性が小さいことから、高い充填速度で内容物を充填することができる。なお、密度は、ASTM D1505に準拠し、密度勾配管を用いて測定した。
【0025】
また、エチレン系重合体(A−a)は、ASTM D−1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフロート(以下、MFR(190℃)と略記する)が0.1〜70g/10分、好ましくは1〜40g/10分の範囲内にある。メルトフロートがこの範囲内にあるエチレン系重合体(A−a)を用いると、既存の成形機によって、高スピードでシーラントフィルムを成形することができる樹脂組成物が得られる。
【0026】
上記エチレン系重合体(A−a)の製造法については特に制限はないが、ラジカル重合触媒、フィリップス触媒、チーグラー・ナッタ触媒、あるいはメタロセン触媒を用いて、エチレンの単独重合、またはエチレンとα- オレフィンとを共重合することによって製造することができる。
【0027】
また、特に好ましいエチレン系重合体(A−a)としては、MFR(190℃)と溶融張力(190℃の測定値;単位mN;MTと略記する)との関係が、次式を満足する重合体が望ましい。
【0028】
40×[MFR(190℃)]-0.67 ≦ MT≦ 250×[MFR(190℃)]-0.67
このような関係を満足するエチレン系重合体(A−a)の具体例としては、ラジカル重合することによって得られる、いわゆる高圧法低密度ポリエチレンを挙げることができる。
【0029】
さらに、このエチレン重合体(A−a)は、たとえば高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状エチレン・α- オレフィン共重合体とのブレンド物のように、数種類のエチレン系重合体(A−a)をブレンドした組成物で使用することもできる。
【0030】
また、本発明で用いられるエチレン系重合体(A−a)は、たとえば高圧法ポリエチレンとエチレン・1-ブテン共重合体とのブレンド物のように、少なくとも2種以上の異なる密度、メルトフローレートを有するエチレン系重合体(A−a)の混合物であってもよい。
【0031】
[プロピレン系重合体(B−a)]
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B−a)は、公知のプロピレン単独重合体、またはプロピレンとエチレンないし炭素数4〜20のα- オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体を挙げることができる。中でも、ASTM D1238に準じて230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(以下、MFR(230℃)と略記する)が0.1〜100g/10分、好ましくは0.3〜70g/10分、さらに好ましくは0.5〜50g/10分のプロピレン系重合体(B−a)、中でも、プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体が好ましい。MFR(230℃)が上記範囲内にあるプロピレン系重合体(B−a)を用いると、シール強度とピール性とのバランスに優れたシーラントフィルムを成形することができる樹脂組成物が得られる。
【0032】
このようなプロピレン系重合体(B−a)は、典型的には、固体状チタン触媒と有機金属化合物とを主成分とする触媒、またはメタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン触媒の存在下で、プロピレンを重合あるいはプロピレンとエチレンないし炭素数4〜20のα- オレフィンとを共重合させることによって製造することができる。
【0033】
本発明では、プロピレン系重合体(B−a)は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
[ブテン系重合体(C−a)]
本発明で用いられるブテン系重合体(C−a)としては、1-ブテン単独重合体、あるいは1-ブテンと1-ブテンを除く炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα- オレフィンとの共重合体である。
【0035】
α- オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテンを挙げることができる。
【0036】
ブテン系重合体(C−a)中の1-ブテンから誘導される構成単位含有量(以下、1-ブテン含有量と称する。)は、通常60〜100モル%、好ましくは70〜100モル%である。
【0037】
ブテン系重合体(C−a)の密度(ASTM D1505)は、通常0.880〜0.925g/cm3、好ましくは0.885〜0.920g/cm3である。密度が上記範囲にあるブテン系重合体(C−a)を用いると、粘着性が小さいシーラントフィルムを成形することができる樹脂組成物が得られる。また、積層フィルムを構成する、本発明のシーラント用樹脂組成物からなる層をヒートシール層(容器の内層となる)として、この積層体フィルムから容器を製造する際、この内層フィルムの粘着性が小さいことから、ロール等の装置へのフィルムの付着が少なく、高い充填速度で内容物を充填することが可能である。
【0038】
また、ブテン系重合体(C−a)のMFR(190℃)は、通常0.1〜25g/10分、好ましくは0.5〜25g/10分、より好ましくは1〜25g/10分の範囲にある。MFR(190℃)が上記範囲内にあるブテン系重合体(C−a)を用いると、成形機のモーター過大な負荷を与えることなく、高スピードでシーラントフィルムを成形することができる樹脂組成物が得られる。
【0039】
このようなブテン系重合体(C−a)は、たとえば特公昭64−7088号公報、特開昭59−206415号公報、特開昭59−206416号公報、特開平4−218508号公報、特開平4−218607号公報、特開平8−225605号公報等に記載された立体規則性触媒を用いた重合方法で製造することができる。
【0040】
本発明では、ブテン系重合体(C−a)は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0041】
[シーラント用樹脂組成物]
本発明に係るシーラント用樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−a)とプロピレン系重合体(B−a)とブテン系重合体(C−a)とからなり、その混合割合は、(A−a)成分が10〜70重量%、好ましくは10〜50重量%、(B−a)成分が10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、(C−a)成分が10〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲にある。ここで、(A−a)、(B−a)および(C−a)の成分合計量は100重量%である。これらの各成分の割合が上記範囲内にあると、その組成物から得られるシーラントフィルムは、イージーピール性に優れており、このフィルムを用いることによって実用上好適な易開封性容器が得られる。
【0042】
本発明に係るシーラント用樹脂組成物は、単独で使用してフィルムとすることで、イージーピール性を有するシーラントとして有用であるが、後述のように、特定の樹脂層との積層体とすることで、密封性およびイージーピール性に優れた積層体を得ることができる。
【0043】
本発明に係るシーラント用樹脂組成物中に、必要に応じて、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、結晶核剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0044】
また、前記各成分および必要に応じて各種添加剤を、たとえばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、タンブラーミキサー等の混合機でブレンドした後、一軸ないし二軸の押出機を用いてペレット状として後述のフィルム成形に使用することも可能であるが、前記成分をブレンドした状態でフィルム成形機に供し直接フィルム成形することも可能である。
【0045】
本発明に係るシーラント用樹脂組成物からフィルム成形することによって、イージーピール性を必要とする包装材のシーラントフィルムを製造することができる。このフィルムの成形法は、キャスト成形法であってもインフレーション成形法であってもよく、通常樹脂温度180〜240℃の条件で均一膜厚の良好なフィルムを製造することができる。フィルムの厚みは、通常1〜100μm、好ましくは3〜80μmの範囲である。
【0046】
積層体
前記シーラントフィルムは、それ単独で使用することも可能であるが、より好ましくはプロピレンランダム共重合体からなる(P)層に、隣接する少なくとも一つの層として前記本発明に係るシーラント用樹脂組成物からなる(S)層とを積層した積層体の構成で、包装フィルムまたは包装シートとして使用される。
【0047】
(P)層を形成するプロピレンランダム共重合体としては、たとえばプロピレンとエチレンないしは炭素数4〜20のα- オレフィンとのランダム共重合体を挙げることができる。中でも、ASTM D1238に準じて230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(以下、MFR(230℃)と略記する)が、0.1〜100g/10分、好ましくは0.3〜70g/10分、さらに好ましくは0.5〜50g/10分の範囲にあり、示差走査熱量分析(DSC)にて測定した融点が110〜155℃の範囲にあるプロピレンランダム共重合体を使用するのが好ましい。
【0048】
さらに本発明においては、(P)層と(S)層とからなる少なくとも2層の積層体に、さらに基材層を積層して使用することもできる。
【0049】
基材層としては、特に限定されるものではないが、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、またはこれらの延伸フィルム、ポリオレフィンとポリアミドもしくはエチレン−ビニルアルコール共重合体のようなガスバリヤー性のある樹脂との積層体、アルミニウム等の金属箔、アルミニウム、シリカ等を蒸着させた蒸着フィルム、あるいは紙が、包装材の使用目的に応じて適宜選択使用される。この基材層は、1種類のみならず、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0050】
上記の(P)層、(S)層および必要により基材層からなる積層体の製造法としては、押出ラミネーション法、ドライラミネーション法、共押出法などの従来公知の積層方法を採用することができる。
【0051】
本発明においては、(P)層が、積層体の少なくとも一方の最外層に位置し、シーラント層となるように設計されるのが好ましい。そのような形態とすることで、シーラント層同士または他の蓋材と組み合わせることで密封性およびイージーピール性に優れた容器が得られる。
【0052】
容 器
前記した積層体の(P)層同士を向かい合わせ、あるいは積層体の(P)層と他のフィルムとを向かい合わせ、その後、外表面側から所望容器形状になるようにその周囲の少なくとも一部をヒートシールすることによって、容器を製造することができる。また、その周囲を全てヒートシールすることにより、密封された袋状容器を製造することができる。この袋状容器の成形加工を内容物の充填工程と組み合わせると、すなわち、袋状容器の底部および側部をヒートシールした後内容物を充填し、次いで上部をヒートシールすることで密封された包装体を製造することができる。したがって、この積層体は、スナック菓子等の固形物、粉体、あるいは液体材料の自動包装装置に利用することができる。
【0053】
また、本発明に係る積層体をシート状にし、予め真空成形や圧空成形等によりカップ状に成形した容器に、内容物を充填し市販のヒートシール用蓋材を用いてヒートシールすることにより、内容物を包装した容器が得られる。この容器は、即席麺、味噌、豆腐、ゼリー、プリン、スナック菓子、その他、電子レンジ用食品、レトルト用食品の包装に好適に利用される。
【0054】
シーラント用樹脂組成物(b)
本発明は、特定のエチレン・α―オレフィン共重合体(A−b)、プロピレン系重合体(B−b)およびエチレン系重合体(C−b)から構成される樹脂組成物、またその組成物を用いた積層体、および容器に関する。次にそれらの各構成について具体的に説明する。
【0055】
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(A−b)
本発明の樹脂組成物における(A−b)成分として使用されるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜10までのα―オレフィンとを共重合することによって得られるランダム共重合体である。α―オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンが挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。共重合体中のα−オレフィン含量としては、5〜50モル%、好ましくは7〜40モル%、より好ましくは7〜30モル%である。
【0056】
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR−A、ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)は0.1〜10、好ましくは0.1〜7(g/10分)であり、密度(ASTM D1505)が0.850〜0.900(g/cm3)、好ましくは0.855〜0.890(g/cm3)であり、かつ示差走査熱量分析(DSC)で求められる融点が90℃未満または融点が観測されない非晶性である。
【0057】
上記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造法については特に制限はないが、チーグラー・ナッタ触媒、あるいはメタロセン触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合することによって製造することができる。
【0058】
さらに、本発明においては、密度および/またはMFRの異なる数種類のエチレン・α−オレフィンランダム重合体をブレンドした組成物で使用することもできる。
【0059】
プロピレン系重合体(B−b)
本発明の樹脂組成物に用いられるプロピレン系重合体(B−b)は、公知のプロピレン単独重合体、またはエチレンないしは炭素数4〜20のα―オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体を挙げることができる。中でも、メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)が、0.5〜100、好ましくは1.0〜70、さらに好ましくは3〜50(g/10分)の単独重合体またはランダム共重合体を使用するのが好ましい。ここで、プロピレン系重合体(B−b)のメルトフローレート(MFR−B)、前記エチレン・α―オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR−A)との比(MFR−B/MFR−A)が3以上、好ましくは3〜500、さらに好ましくは5〜200、特に好ましくは7〜100である。比(MFR−B/MFR−A)が3未満の場合には得られるフィルムのピール性が悪く、500以上では成形性や、フィルム外観が低下する。
【0060】
プロピレン系重合体をこのような範囲とすることで、シール強度とイージーピール性とのバランスに優れたフィルムが得られる。
【0061】
このようなプロピレン系重合体(B−b)は、典型的には固体状チタン触媒と有機金属化合物を主成分とする触媒、またはメタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン触媒の存在下で、プロピレンを重合あるいはプロピレンと他のα―オレフィンを共重合させることによって製造することができる。
【0062】
エチレン系重合体(C−b)
本発明の樹脂組成物におけるエチレン系重合体(C−b)としては、エチレン単独重合体であってもエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよく、その分子構造は、直鎖状であってもよいし、長鎖または短鎖の側鎖を有する分岐状であってもよい。
【0063】
エチレン・α−オレフィン共重合体の場合、コモノマーとして使用されるα−オレフィンとしては、炭素数3〜20、好ましくは3〜10までのα−オレフィンであって、エチレンとのランダム共重合体である。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンおよびそれらの組み合わせを挙げることができ、中でもプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。また、必要に応じて他のコモノマー、例えば1,6−ヘキサジエン、1,8−オクタジエン等のジエン類や、シクロペンテン等の環状オレフィン類等を少量含有してもよい。共重合体中のエチレン含量は、85〜99.9、好ましくは90〜99.5(モル%)である。
【0064】
エチレン系重合体の密度は、0.900〜0.960、好ましくは0.905〜0.950、さらに好ましくは0.905〜0.940(g/cm3)であって、いわゆる低密度ないし中密度ポリエチレンである。この密度範囲にあると、得られるフィルムは良好な低温ヒートシール性を示す。
【0065】
また上記エチレン系重合体は、メルトフローレート(MFR−C、ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が0.01〜50、好ましくは0.05〜30(g/10分)の範囲にある。メルトフローレートがこの範囲内にあると、得られるフィルムはシール強度とイージーピール性とのバランスに優れる。
【0066】
上記エチレン系重合体の製造法については特に制限はないが、ラジカル重合触媒、フィリップス触媒、チーグラー・ナッタ触媒、あるいはメタロセン触媒を用いて、エチレンの単独重合、またはエチレンとα−オレフィンとを共重合することによって製造することができる。
【0067】
また、特に好ましいエチレン系重合体としては、MFR(190℃)と溶融張力(190℃の測定値;単位mN;MTと略記する)との関係が、次式を満足する重合体が望ましい。
【0068】
40×[MFR(190℃)]-0.67 ≦ MT≦ 250×[MFR(190)]-0.67
このようなエチレン系重合体の具体例としては、ラジカル重合することによって得られる、いわゆる高圧法低密度ポリエチレンを挙げることができる。
【0069】
さらに、このエチレン重合体は、例えば高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とのブレンドのように、数種類のエチレン系重合体をブレンドした組成物で使用することもできる。
【0070】
シーラント用樹脂組成物
本発明のシーラント用樹脂組成物は、エチレン・α―オレフィン共重合体(A−b)とプロピレン系重合体(B−b)およびエチレン系重合体(C−b)からなり、その混合割合は、(A−b)が10〜70、好ましくは20〜60重量%、(B−b)が10〜80、好ましくは20〜70重量%、(C−b)が0〜50、好ましくは5〜40重量%の範囲にある。ここで、(A−b)、(B−b)および(C−b)の合計量は100重量%である。各成分の割合がこの範囲内にあると、その組成物から得られるフィルムは、イージーピール性に優れており、実用上好適な易開封性容器が得られる。
【0071】
本発明の樹脂組成物は、単独で使用してフィルムとすることで、イージーピール性を有するシーラントとして有用であるが、後述のように、特定の樹脂との積層体とすることで、密封性およびイージーピール性に優れた積層体を得ることができる。
【0072】
本発明においては、本発明の樹脂組成物としての性能を損なわない範囲で、必要に応じて酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、結晶核剤等の添加物を含んでいてもよい。
【0073】
また、前記各成分および必要に応じて各種添加剤を、例えばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、タンブラーミキサー等の混合機でブレンドした後、一軸ないしは二軸の押出機を用いてペレット状として後述のフィルム成形に使用することも可能であるが、前記成分をブレンドした状態でフィルム成形機に供することも可能である。
【0074】
シーラントフィルム
本発明の樹脂組成物からフィルム成形することによって、イージーピール性を必要とする包装材のシーラントフィルムを製造することができる。フィルムの成形は、キャスト成形法であってもインフレーション成形法であってもよく、通常樹脂温度180〜240℃の条件で均一膜厚の良好なフィルムを製造することができる。フィルムの厚みは、通常1〜100μm、好ましくは3〜80μmの範囲である。
【0075】
積層体
本発明のシーラントフィルムは、それ単独で使用することも可能であるが、さらにそのシーラントフィルム層(X)側を少なくとも1種の他の基材フィルム(Y)に積層した積層体の構成で、一般に包装フィルムまたは包装シートとして使用される。
【0076】
基材フィルム(Y)としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、スチレン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルのフィルム、ナイロン6やナイロン6,6のようなポリアミドのフィルム、またはこれらの延伸フィルム、ポリオレフィンフィルムとポリアミドフィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムのようなガスバリヤー性のある樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム等の金属箔、あるいはアルミニウムやシリカ等を蒸着させた蒸着フィルムや紙等が、包装材の使用目的に応じて適宜選択使用される。この基材フィルム(Y)は、1種類のみならず、2種類以上を組み合わせて積層して使用することもできる。
【0077】
上記基材フィルム(Y)にシーラントフィルムを積層する方法としては、基材フィルム(Y)上に前記基材層樹脂およびシーラント層樹脂を共押出して積層(3層)する共押出ラミネーション法、基材フィルム(Y)上にシーラント層樹脂のみを押出して積層(2層)する押出ラミネーション法、(前記基材層樹脂およびシーラント層樹脂を共押出して積層(2層)する共押出法、基材フィルム(Y)とシーラントフィルムとをドライラミネーションする方法等を採用することができる。これらの中で、生産性の点から共押出法または押出ラミネーション法が好ましい。
【0078】
積層体の一実施態様として、シーラントフィルム層(X)/他の基材フィルム層(Y)の構成を挙げることができる。ここで、他の基材フィルム層(Y)としては、前記したポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルムとガスバリヤー性樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム箔、蒸着フィルム、および紙からなる群から選ばれる層を挙げることができる。
【0079】
本発明のシーラントフィルム層(X)と他の基材フィルム層(Y)とが充分な接着強度で接合できない場合には、シーラントフィルム層(X)/接着層/他の基材フィルム層(Y)の構成にすることができる。接着層としては、ウレタン系やイソシアネート系接着剤のようなアンカーコート剤を用いたり、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのような変性ポリオレフィンを接着性樹脂として用いると、隣接層を強固に接合することができる。
【0080】
積層体の厚みに特に制限はないが、積層体を蓋材等のフィルムとして使用する場合は、通常10〜200μm、カップやトレー用シートとして使用する場合は通常200〜1000μmである。
【0081】
容器
前記した積層体のシーラントフィルム層(X)同士を向かい合わせ、あるいは積層体のシーラントフィルム層(X)と他の基材フィルムとを向かい合わせ、その後、外表面側から所望容器形状になるようにその周囲の少なくとも一部をヒートシールすることによって、容器を製造することができる。また周囲を全てヒートシールすることにより、密封された袋状容器を製造することができる。この袋状容器の成形加工を内容物の充填工程と組み合わせると、すなわち、袋状容器の底部および側部をヒートシールした後内容物を充填し、次いで上部をヒートシールすることで包装体を製造することができる。従って、この積層体は、スナック菓子等の固形物、粉体、あるいは液体材料の自動包装装置に利用することができる。
【0082】
また、真空成形や圧空成形によりカップ状に成形した容器、射出成形やブロー成形で得られた容器、あるいは紙基材から形成された容器等に内容物を充填し、その後本発明の積層体を蓋材として被覆し、ヒートシールすることによっても、内容物を包装した容器が得られる。
【0083】
さらには、本発明の積層体をシート状にし、予め真空成形や圧空成形等によりカップ状に成形した容器に、内容物を充填し市販のヒートシール用蓋材を用いてヒートシールすることにより、内容物を包装した容器が得られる。この容器は、即席麺、味噌、豆腐、ゼリー、プリン、スナック菓子、その他、電子レンジ用食品、レトルト用食品の包装に好適に利用される。
【0084】
本シーラント用樹脂組成物(b)からなる(X)層は、前記のシーラント用樹脂組成物(a)からなる(S)層と同じ使用方法も可能である。
【0085】
すなわち、
1)少なくとも2層で構成される積層体であって、プロピレンランダム共重合体からなる(P)層と、該(P)層に隣接する、シーラント用樹脂組成物(b)からなる(X)層とからなる層構造を有する積層体、
2)前記プロピレンランダム共重合体からなる(P)層の厚みが2〜30μmである前記1)に記載の積層体、
3)前記1)に記載の積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体からなる容器であり、該積層体の(P)層同士を向い合せて重ね、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる袋状容器、
4)前記1)に記載の積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体からなる容器であり、前記積層体を、(P)層が内側にくるように二つ折りして(P)層同士を重ね合わせ、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる前記3)に記載の袋状容器、
5)前記1)に記載の積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体2種類からなる容器であり、前記2種類の積層体のプロピレンランダム共重合体からなる(P)層同士を重ね合わせ、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる前記3)に記載の袋状容器、および
6)前記1)に記載の積層体であって、少なくとも一方の表面層がプロピレンランダム共重合体からなる(P)層である、3層以上の層構造を有する積層体から形成されたカップ状物の(P)層表面に、蓋材がヒートシールされてなる容器などが挙げられる。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、密封性およびイージーピール性を兼ね備えた積層体、さらにはこの積層体を用いたイージーピール性容器の製造を可能にするシーラント用樹脂組成物、その積層体およびその積層体から得られる容器(例えば袋状容器、カップ状容器)を提供することができる。
【0087】
本発明のシーラント用樹脂組成物から得られる積層体を使用することで、密封性およびイージーピール性とのバランスに優れた容器が得られることから、食品包装用容器に好適に使用できる。
【0088】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0089】
【実施例1−a】
〔樹脂組成物の製造〕
エチレン系重合体成分として高圧法ポリエチレン[密度(ASTM D1505)=0.927g/cm3、MFR(190℃)=3.0g/10分、MT=47.5mN]40重量%と、ブテン系重合体成分として1-ブテン単独重合体[密度(ASTM D1505)=0.915g/cm3、MFR(190℃)=1.8g/10分]30重量%と、プロピレン系重合体成分としてプロピレンランダム共重合体[エチレン(コモノマー)含有量=4.0モル%、MFR(230℃)=1.5g/10分、融点=145℃]30重量%とをヘンシェルミキサーを用いて均一混合した。
【0090】
次いで、得られた混合物をスクリュー径40mmφ単軸押出機を用いて造粒することにより樹脂組成物ペレットを得た。
〔積層体の製造〕
スクリュー径40mmの押出機を兼ね備えたダイ幅300mmの3種3層T−ダイキャスト成形機で、成形温度220℃、チルロール温度30℃にて、下記の層構成を有する3種3層からなる積層体を製造した。
<積層体の層構成>
上記のようにして得られた積層体の第一層と、一般に市販されている厚み37μmのフィルム(ナイロン/ポリプロピレンラミネートフィルム)のポリプロピレン層(厚み25μm)とを面合わせしてヒートシールし、その初期封かん強度を下記の方法に従って測定するとともに、そのピール性を下記の方法に従って評価した。その結果を表1−aに示す。
(1)初期封かん強度の測定方法
幅15mmの短冊状試験片を2枚作製し、それらを重ね合わせ、170℃、圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールを行なった。
【0091】
その後、層間を180度方向に300mm/分の速度で剥離させ、その時の剥離強度の最大値を測定し、その値を初期封かん強度(N/15mm)とした。
(2)ピール性の評価方法
上記のヒートシール強度(初期封かん強度)測定後のフィルムサンプルを観察し、フィルムが伸ばされたり、切れたりしていなかった場合を合格とし、○で表示した。また、フィルムが伸ばされたり、切れたりした場合を不合格とし、×で表示した。
【0092】
【比較例1−a】
実施例1−aにおいて、第二層を形成している樹脂組成物の代わりに、この樹脂組成物の製造の際に用いたプロピレン系重合体と同じ重合体のみを用いて第二層を形成した以外は、実施例1−aと同様にして積層体を製造し、得られた積層体の初期封かん強度を上記方法に従って測定するとともに、そのピール性を上記方法に従って評価した。その結果を表1−aに示す。
【0093】
【比較例2−a】
実施例1−aにおいて、第二層を形成している樹脂組成物の代わりに、表1−aに示す樹脂組成物を用いて第二層を形成した以外は、実施例1−aと同様にして積層体を製造し、得られた積層体の初期封かん強度を上記方法に従って測定するとともに、そのピール性を上記方法に従って評価した。その結果を表1−aに示す。
【0094】
【表1】
【0095】
表1−aに示した結果から明らかなように、本発明に係る積層体は、従来よりも初期封かん強度(密封性)とピール性のバランスに優れた積層体であることが分かる。なお、初期封かん強度10.8N/15mmは、手で容易に剥離できる強度である。手で剥離した際にフィルムが破れると、密封容器を容易に開封することができない。
【0096】
【参考例1−b】
(樹脂組成物の製造)
エチレン・α−オレフィン共重合体成分としてエチレン・1−ブテン共重合体(密度0.885g/cm3、MFR(190℃)0.5g/10分)30重量%、プロピレン系重合体成分として、ランダムポリプロピレン(MFR(230℃)7.0g/10分、DSCによる融点138℃)50重量%、エチレン系重合体成分として高圧法ポリエチレン(密度0.921g/cm3、MFR(190℃)0.3g/10分)20重量%をヘンシェルミキサーを用いて均一混合した。得られた混合物をスクリュー径40mmφ単軸押出機を用いて造粒することにより樹脂組成物ペレットを得た。
【0097】
(積層体の製造)
スクリュー径40mmの押出機を兼ね備えたダイ幅300mmの3種3層T−ダイキャスト成形機で、成形温度230℃、チルロール温度70℃にて、以下層構成を有する3種3層の積層体を製造した。得られた積層体の第一層と市販されている厚み37μmのフィルム(ナイロン/ポリプロピレンラミネートフィルム)のポリプロピレン層(厚み25μm)とをヒートシールし、初期封かん強度、ピール性、およびピール後の剥離痕を評価した。結果を表1−bに示す。
【0098】
層構成
第一層(シーラント層)(X) :
厚み 20μm
原料樹脂 (樹脂組成物の製造)で得られた樹脂組成物ペレット
第2層 (他の基材フィルム)(Y−1) :
厚み 20μm
原料樹脂 ランダムポリプロピレン
(MFR(230℃) 1.5g/10分、融点145℃)
第3層 (他の基材フィルム)(Y−2) :
厚み 450μm
原料樹脂 ホモポリプロピレン 90重量%
(MFR(230℃) 0.5g/10分)
高圧法ポリエチレン 10重量%
(MFR(190℃)0.3g/10分、密度0.921g/cm3)
(1)初期封かん強度:幅15mmの短冊状試験片を2枚作成し、それらを重ね合わせ、170℃、圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールを行った。その後、層間を180℃方向に300mm/分の速度で剥離させ、その時の剥離強度の最大値を測定し、その値を初期封かん強度(N/15mm)とした。
(2)ピール性:ヒートシール強度測定後に、フィルムサンプルを観察し、フィルムが伸ばされたり、切れたりしていなかった場合を○とした。それに対し、フィルムが伸ばされたり、切れたりした場合を×とした。
(3)剥離痕:ヒートシール強度測定後に、フィルムサンプルの剥離痕を観察し、糸引きが見られなかった場合を○、糸引きが見られた場合を×とした。
【0099】
【参考例2−b、比較例1−b】
(樹脂組成物の製造)において、エチレン・α―オレフィン共重合体成分、プロピレン系重合体成分およびエチレン系重合体成分を表1−b記載の含有量とした以外は、参考例1−bと同様にして積層体を製造し、得られた積層体を評価した。結果を表1−bに示す。
【0100】
【比較例2−b】
(樹脂組成物の製造)において、プロピレン系重合体成分として、ホモポリプロピレン(MFR(230℃)0.5g/10分、融点160℃)を使用した以外は、実施例1−bと同様にして積層体を製造し、得られた積層体を評価した。結果を表1−bに示す。
【0101】
【表2】
【0102】
表1−bに示した結果から明らかなように、本発明の積層体は、封かん強度とピール性のバランスに優れ、剥離痕もない積層体であることがわかる。
Claims (8)
- 少なくとも2層で構成されるヒートシール性積層体であって、
プロピレンランダム共重合体からなる(P)層と、
該(P)層に隣接する下記シーラント用樹脂組成物からなる(S)層と
からなる層構造を有し、かつ前記(P)層がヒートシール層として用いられることを特徴とするヒートシール性積層体。
シーラント用樹脂組成物:
(A−a)エチレン単独重合体あるいは、エチレンから誘導される構成単位含有量が、85〜99.9モル%であり、かつ、α―オレフィンが、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンまたは1−ドデセンであるエチレン・α―オレフィン共重合体であって、
密度(ASTM D 1505)が0.900〜0.960g/cm3であり、メルトフローレート(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が0.1〜70g/10分であるエチレン単独重合体あるいはエチレン・α―オレフィン共重合体10〜70重量%と、
(B−a)プロピレン系重合体10〜80重量%と、
(C−a)1−ブテンから誘導される構成単位含有量が、60〜100モル%である、1−ブテン単独重合体あるいはα―オレフィンが、エチレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンまたは1−オクテンである1−ブテン・α―オレフィン共重合体10〜70重量%とからなる樹脂組成物。 - 前記エチレン単独重合体あるいはエチレン・α―オレフィン共重合体が、密度(ASTM D 1505)が0.905〜0.940g/cm3の範囲内にある高圧法ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール性積層体。
- 3層以上の層構造を有し、かつ、前記(S)層が(P)層と隣接した面の反対面で、該(S)層に隣接するように基材層が積層されてなることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール性積層体。
- 前記プロピレンランダム共重合体からなる(P)層の厚みが2〜30μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のヒートシール性積層体。
- 請求項3または4に記載のヒートシール性積層体からなる容器であり、該ヒートシール性積層体の(P)層同士を重ね合わせ(向かい合わせ)、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる袋状容器であることを特徴とする容器。
- 請求項3または4に記載のヒートシール性積層体からなる容器であり、前記積層体を、(P)層が内側にくるように二つ折りして(P)層同士を重ね合わせ(向かい合わせ)、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる袋状容器であることを特徴とする請求項5に記載の容器。
- 請求項3または4に記載のヒートシール性積層体2種類からなる容器であり、 前記2種類のヒートシール性積層体のプロピレンランダム共重合体からなる(P)層同士を重ね合わせ、その周囲の一部をヒートシールすることにより得られる袋状容器であることを特徴とする請求項5に記載の容器。
- 請求項3または4に記載のヒートシール性積層体から形成されたカップ状物の(P)層表面に、蓋材がヒートシールされてなることを特徴とする容器。
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