JP4446516B2 - 再剥離型粘着剤組成物 - Google Patents
再剥離型粘着剤組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、金属板、ガラス板、プラスチック板等の一時的な表面保護用の粘着シートや半導体ウエハ等のダイシング工程の一時的な固定用粘着シート等の粘着剤として用いられる再剥離型粘着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、金属板、ガラス板、プラスチック板等の汚れや損傷を防ぐために、表面の保護シートとして粘着シートが一時的に用いられたり、或いは半導体ウエハ等のバックグラインド工程、ダイシング工程の一時的接着等への用途に粘着シートが用いられたりしている。これらの粘着シートに用いられる粘着剤は、被着体に貼り付ける際には充分な粘着力を持つ粘着性、その後紫外線照射等により硬化されて剥離する際には、粘着力が充分に低下する再剥離性、かつ被着体表面に粘着剤の残存が無い耐汚染性を持つことが必要とされる。
【0003】
かかる用途の粘着剤として、特開昭62−153376号公報には、3,000〜10,000の分子量を有するウレタンアクリレート系オリゴマーからなる放射線重合性化合物を配合した粘着剤が開示され、再剥離する際には紫外線を照射することにより被着体との粘着力を急激に低下させようとするものである。また、特開平9−328663号公報には、エラストマー、粘着付与剤、硬化剤、紫外線架橋性オリゴマー及び/又はモノマー、重合開始剤を主成分とする粘着剤が同様に開示されている。また、特開昭63−153814号公報には、表面にパターンが形成されたウエハの裏面を研磨処理(バックグラインド)する際のウエハ表面に貼着される粘着シートが示され、基材面上に、粘着剤層として水膨潤性粘着剤が塗布されている粘着シートが開示されている。更に、特開昭64−64772号公報には基材の表面及び裏面に粘着剤と放射線重合性化合物とからなる粘着剤層を有する研磨用粘着シートが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の開示技術を検討した結果、特開昭62−153376号公報開示の粘着剤では、粘着剤の再剥離時(硬化後)の粘着力の低下は認められるものの、再剥離後に被着面に粘着剤が残存することがあり、また、上記の半導体ウエハのダイシング工程の一時的接着用途に用いた場合には、ダイシング時にチップが飛散したり、エキスパンド時にチップが剥離脱落するという問題がある。また、特開平9−328663号公報開示技術においても、同様の用途に用いた場合には、ピックアップにかかる力が大きく、特にチップが薄い場合にはチップが破損してしまう恐れがある等の欠点が判明した。更に、特開昭63−153814号公報開示の粘着シートでは、剥離(再剥離に相当)する際の粘着力が高く、ウエハが薄い場合、破損してしまう傾向にあり、又、粘着力を低く設計した場合にはバックグラインド時の固定力が足りない事が判明した。また、特開昭64−64772号公報開示の粘着シートでは、放射線照射後の再剥離後に被着面に粘着剤が残存することがあり、完全に粘着剤を取除くための水洗工程を実施しても、放射線重合化合物が水溶性でないため、粘着剤を完全に除去できないという欠点があった。また、最近では表面の凹凸が大きなデバイスや、薄型で大型のシリコンウエハの保護など、種々の用途にも適応できる粘着剤が要望される傾向にあり、その際には初期粘着力が1000g/25mm以上(好ましくは1500g/25mm以上)、再剥離する際の粘着力が100g/25mm以下(好ましくは50g/25mm以下)であることが要望されているものの、上記いずれの開示技術においても、初期粘着力を高く設計すると、硬化後の粘着力も高くなりすぎ保護したはずの回路を破損したり、パーティクル(粘着剤の一部残り)が多くなってしまうという欠点があり、特にシリコンウエハ表面の凹凸が大きく、回路が非常に細かい場合はパーティクルが多くなる傾向があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らはかかる問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤、(b)光重合開始剤、(c)架橋剤からなる再剥離型粘着剤組成物であり、
(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤が、(1)カルボキシル基又はスルホン酸基を含有する不飽和モノマーおよび(2)該不飽和モノマーと共重合可能なモノマーとからなる共重合体と、エチレン性不飽和基含有モノマーとの反応物の中和物であり、(b)の配合量が(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部、(c)の配合量が(a)100重量部に対して、0.001〜10重量部である再剥離型粘着剤組成物が、一時的接着時には高い粘着性、硬化剥離時には軽度の力で剥離できる粘着力である再剥離性、剥離後に基材上にパーティクル付着等が極めて少ない耐汚染性等がいずれもバランスよく保たれ、中でも特に耐汚染性が良好で、活性エネルギー線で硬化させた後水洗することにより、粘着剤組成物が基材面から完全に除去可能となり、更に(d)ウレタンアクリレートオリゴマーを併用すると再剥離性が更に向上し、半導体ウエハのバックグラインド工程やダイシング工程の一時的接着用途においてもバックグラインド適性、ダイシング適性、エキスパンド適性、ピックアップ効率等に優れて大変有用であることを見いだし本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0007】
本発明で使用する(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤は、水と親和性、具体的には水可溶性、水膨潤性、水分散性を示す点で特徴があり、一般の粘着テープに使用されるアクリル系粘着剤や該粘着剤に更に不飽和基を導入したものが水の存在においても全く変化しない性質を示すものとは大きな差異がある。
該(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤としては、(1)カルボキシル基又はスルホン酸基をもつ不飽和モノマーと(2)該不飽和モノマーと共重合可能なモノマーとからなる共重合体/エチレン性不飽和基含有モノマー反応物の中和物であることが必要であり、好ましくは(2)の一成分としてエーテル結合をもつ(メタ)アクリレートを使用したものが挙げられる。
【0008】
▲1▼カルボキシル基又はスルホン酸基を含有する不飽和モノマーとは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アコニット酸、ケイ皮酸、モノアルキルマレート、モノアルキルフマレート、モノアルキルイタコネート等のカルボキシル基含有不飽和モノマー、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和モノマー等であり、これらは1種もしくは2種以上選択されて用いられ、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。
【0009】
▲2▼該不飽和モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有不飽和モノマー、グリシジル基含有不飽和モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が例示される。
【0010】
更に、水酸基含有不飽和モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が例示される。
【0011】
グリシジル基含有不飽和モノマーとしては、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルメタクリレート等が例示される。
上記モノマー以外にも、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等も用いられる。
上記▲2▼の中で好ましくは、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、酢酸ビニルが挙げられる。
【0012】
本発明においては、▲2▼成分として上記例示したもの以外にエーテル結合を有する(メタ)アクリレートを使用すると、水親和性が向上し、更に活性エネルギー線硬化後の粘着力が充分低下するという好ましい効果が得られる。該(メタ)アクリレートとしては、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等であり、これらが1種もしくは2種以上選択されて用いられる。特に2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート等が好適に使用される。
【0013】
▲1▼と▲2▼の共重合体とエチレン性不飽和基含有モノマーの反応物を製造する際のエチレン性不飽和基含有モノマーは、分子中にエチレン性不飽和基と共に共重合体と後反応し得る官能基を有することが必要で、具体的には、カルボキシル基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、グリシジル基含有不飽和化合物、イソシアネート基含有不飽和化合物、アミド基あるいはアミノ基含有不飽和化合物、スルホン酸基含有不飽和化合物等が挙げられる。
【0014】
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、アクリルアミドN−グリコール酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
【0015】
水酸基含有不飽和化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリロイルフォスフェート、グリシドールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート等が例示される。
【0016】
グリシジル基含有不飽和化合物としては、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルメタクリレート等が例示される。
イソシアネート基含有不飽和化合物としては、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート等が例示される。
アミド基あるいはアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等が例示される。
スルホン酸基含有不飽和化合物としては、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が例示される。
【0017】
上記(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤において、▲1▼と▲2▼との共重合比(重量%)としては▲1▼/▲2▼=1/99〜40/60が好ましく、更には5/95〜30/70である。該共重合比が1/99未満の場合は、水親和性が低下して好ましくなく、40/60を越えると粘着剤が固くなりすぎて、タック不良や粘着力が低くなったり、貼り付け作業性に劣る傾向となり好ましくない。
▲2▼該不飽和モノマーと共重合可能な他のモノマーとしてエーテル結合を有する(メタ)アクリレートを含むものである時は、▲1▼カルボキシル基又はスルホン酸基をもつ不飽和モノマー/▲2▼エーテル結合を有する(メタ)アクリレート/▲2▼その他のモノマーの共重合比(重量%)は1〜40/5〜99/0〜55が好ましく、更には2〜20/68〜98/0〜30であり、上記範囲外では水親和性、再剥離性のいずれかが低下して好ましくない。
【0018】
上記(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤は、前述の▲1▼、▲2▼成分を有機溶剤中でラジカル共重合させて主鎖となるアクリル系共重合体を得た後、かかる共重合体にエチレン性不飽和基を含有するモノマーを反応させる方法が好適に採用される。
該重合に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。
【0019】
又、ラジカル重合に使用する重合触媒としては、通常のラジカル重合触媒であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビス2−メチルブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどが具体例として挙げられる。
【0020】
重合方法としては、特に制限はないが、モノマーを上記有機溶媒中に一括あるいは分割に仕込み、その後重合触媒を仕込んで重合すればよく、重合条件としては、重合温度が60〜150℃(好ましくは70〜90℃)、重合時間が5〜10時間程度である。
【0021】
次に、得られた共重合体溶液に、該共重合体と反応し得る官能基をもつエチレン性不飽和基含有モノマー、必要に応じて反応触媒、熱重合禁止剤を添加して、常温〜80℃(好ましくは40〜60℃)で4〜20時間反応させ、反応物の分子量1万当たりに占めるエチレン性不飽和基の個数を0.1〜100個、更には1〜50個となるまで実施するのが好ましい。かかる個数が0.1個未満では、活性エネルギー線で硬化後の粘着力低下が不十分であり、再剥離性が劣ってしまい、100個を越えると活性エネルギー線硬化により硬くなりすぎて再剥離時に割れてしまう傾向がある。
【0022】
反応終了後、反応物中のカルボキシル基又はスルホン酸基は、アルカリで中和される。該アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種の第1級、第2級又は第3級アミン、例えばエチルアミン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
中和はカルボキシル基又はスルホン酸基を部分あるいは完全中和すればよく、中和度は好ましくはカルボキシル基又はスルホン酸基に対して0.1当量以上が好ましい。該当量が0.1当量未満では剥離後の水洗の際水膨潤性に欠ける。
【0023】
かくして得られた(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤は、重量平均分子量は2〜100万(好ましくは20〜80万)が適当である。該分子量が2万未満では凝集力が低下して、剥離時に糊残りが生じ、100万を越えると塗工作業性が悪い。また、該粘着剤のガラス転移温度は−70〜−15℃が好ましく、更には−60〜−20℃である。該温度が−70℃未満では凝集力が低下して糊残りが生じ、−15℃を越えるとタック不足及び粘着力不足となり好ましくない。
【0024】
本発明の(b)光重合開始剤としては、α−ヒドロキシイソブチルフェノンベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられ、光照射装置の吸収特性を考慮した開始剤の選択がなされるが、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが好ましい。
【0025】
更に、架橋剤(c)としては、熱により架橋を引き起す作用をもち、(a)と熱架橋するものであれば特に制限はないが、具体的にはエポキシ化合物、アジリシン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物、キレート化合物等が挙げられる。
【0026】
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
アジリジン化合物としては、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が例示される。
【0027】
メラミン化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン等が例示される。
【0028】
イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシアネート等が例示される。
【0029】
キレート化合物としては、ジプロポキシ−ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシチタン−ビス(オクチレングリコレート)、ジプロポキシチタン−ビス(エチルアセトアセテート)、ジプロポキシチタン−ビス(ラクテート)、ジプロポキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、ジ−n−ブトキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ブチルチタネートダイマー、ポリ(チタンアセチルアセトナート)等のチタンキレート化合物、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセテート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、ジ−i−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウム ジ−sec−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセトナート)、アルミニウムモノ−アセチルアセトナートビス(エチルアセトアセトナート)等のアルミニウムキレート化合物、およびジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート化合物等が例示される。
これらの中でも、エポキシ化合物、キレート化合物が好ましい。
【0030】
本発明は上記(a)〜(c)からなる再剥離型樹脂組成物であるが、該組成物の再剥離性を更に向上させるために(d)ウレタンアクリレートオリゴマーを併用することもできる。該(d)ウレタンアクリレートオリゴマーは、分子内にウレタン結合を有するアクリレート化合物であれば特に限定されず、例えば、(w)水酸基を含有するアクリル系化合物と多価イソシアネート化合物を反応させた化合物、(x)ポリオールと多価イソシアネート化合物の反応物に(メタ)アクリロイル基を導入させた化合物、(y)ポリオールと水酸基を有するアクリル系化合物の混合物と多価イソシアネート化合物を反応させた化合物、(z)(イ)カルボキシル基又はスルホン酸基をもつポリオール及び/又は(ロ)エステル結合あるいはエーテル結合をもつポリオールと、イソシアネートとの反応物に水酸基含有アクリル系化合物を反応させ、必要に応じてアルカリで中和した化合物等が挙げられるが、粘着力、耐汚染性を更に向上させる上で(z)が好ましく、以下に詳細を説明する。
【0031】
上記(イ)カルボキシル基又はスルホン酸基をもつポリオールとは、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸のカプロラクトン付加物、2,2−ジメチロール酪酸、ジメチロールヘプタン酸等が挙げられ、その構造上からは酒石酸も使用できる。スルホン酸基をもつポリオールとは上記カルボキシル基をスルホン酸基に置換したものである。
【0032】
上記(ロ)エステル結合あるいはエーテル結合をもつポリオールとは、ポリエーテルポリオール(エチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイドの重合型ポリエーテルポリオール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック重合型あるいはランダム重合型ポリエーテルポリオール)やポリエステルポリオール(エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、2−メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタール、ポリブタジエンポリオール、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン等のポリアルコールと、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との反応物)であり、特に、2官能のものが好適に用いられる。
【0033】
また、ポリイソシアネートとしては、芳香族系、脂肪族系、環式脂肪族系又は脂環式イソシアネート又はその混合物が挙げられ、中でも2,4−トリレンジイソシアネート又は2,6−トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート(TDI)及びこれらの混合物、水添TDI、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDI、クルードMDI、変性MDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、テトラキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、トリレンジイソシアネートのダイマー(TT)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、o−トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルエーテルジイソシアネート(PEDI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルジイソシアネート(IPCI)、リジンジイソシアネートメチルエステル(LDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)等の多価イソシアネートを挙げることができ、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルポルネンジイソシアネート(NBDI)が好適に用いられる。
【0034】
上記の水酸基含有アクリル系化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−クロロ−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、グリシドールジメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、ビスメタクリロイルオキシアシッドフォスフェート、ヒドロキシプロピル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等が用いられ、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートである。
【0035】
ウレタンアクリレートオリゴマーの製造法としては、例えば、エステル結合あるいはエーテル結合をもつポリオールをポリイソシアネートと反応させ、続いてカルボキシル基又はスルホン酸基をもつポリオールを反応させ、分子中に残存するイソシアネート基に更に水酸基含有アクリル系化合物を反応させる方法が挙げられる。
分子中のカルボキシル基又はスルホン酸基は、必要に応じてアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアミン化合物で中和される。上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。中和はカルボキシル基又はスルホン酸基を部分あるいは完全中和すればよく、中和度は好ましくはカルボキシル基又はスルホン酸基に対して0.1当量以上が好ましい。該当量が0.1当量未満では再剥離後の水洗の際、水膨潤性に欠ける。
該ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量は500〜10000程度が好ましい。
【0036】
本発明の再剥離型粘着剤組成物中の(a)〜(c)〔必要に応じて(d)〕の各配合量(固形分比率)は特に制限されないが、(b)の配合量は(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部とすることが好ましく、更には0.5〜5.0重量部が好ましい。かかる配合量が0.1重量部未満では、活性エネルギー線を照射させた後の粘着力が不十分で再剥離性が悪く、特に半導体ウエハのバックグラインド工程やダイシング工程の一時的接着用途に用いた場合には、剥離時にウエハが薄いと破損してしまうことがあり、逆に10重量部を越えると、被着面に光重合開始剤が残留して汚染の原因ともなり、特に半導体ウエハのバックグラインド工程、ダイシング工程の一時的接着用途に用いた場合には、チップ上に該開始剤が残留する恐れがあるので好ましくない。
【0037】
更に、(c)の配合量は(a)100重量部に対して、0.001〜10重量部とすることが好ましく、更には0.01〜4重量%が好ましい。かかる配合量が0.001重量%未満では、活性エネルギー線照射前の接着操作の微調整や貼り直しを行う時に粘着剤組成物が被着面に残存する傾向にあり、逆に10重量%を越えると、活性エネルギー線を照射させる前に硬化が進行してしまい照射後の粘着力の低下が十分でないことがあり好ましくない。
【0038】
(d)を併用する場合、(a)/(d)の重量配合比を97/3〜40/60とすることが好ましい。かかる配合比が97/3を越えると、活性エネルギー線を照射させた後の粘着力の低下が不十分で再剥離性が悪く、特に半導体ウエハのダイシング工程の一時的接着用途に用いた場合には、ピックアップ時にチップが薄いと破損してしまうことがあり、逆に40/60未満では粘着力が不十分で、特に上記の用途に用いた場合には各種ダイシングの固定力が弱すぎてミスカットや厚みムラ等を生じたり、汚染しやすい傾向にあるため好ましくない。
この場合の(b)の配合量は(a)と(d)の合計量100重量部に対して、0.1〜10重量部とすることが好ましく、更には0.5〜5.0重量部が好ましく、同じく(c)の配合量は(a)と(d)の合計量100重量部に対して、0.001〜10重量部とすることが好ましく、更には0.01〜4重量%が好ましい。
【0039】
本発明の再剥離型粘着剤組成物の調製法としては、上記の(a)〜(c)〔必要に応じて(d)〕を配合(混合)すればよく、その配合順序等は特に限定されないが、(a)〔必要に応じて(d)〕を溶剤中で撹拌した後、(b)や(c)を配合する方法が好ましい。
【0040】
この時用いられる溶剤としては、(a)〜(c)〔必要に応じて(d)〕を溶解させるものであれば特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化合物、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール類等が挙げられ、溶解性、乾燥性、価格等の点から選定して用いられ、これらの混合溶剤であっても構わない。
【0041】
本発明の再剥離型粘着剤組成物は、通常基材シート等に塗布されて粘着シートや粘着テープ等として実用に供されることが多く、かかる粘着シートや粘着テープ等を製造するには、まず本発明の再剥離型粘着剤組成物をそのまま又は適当な有機溶剤により濃度調整し、シリコン処理等が施された基材の処理面に塗工したり、或いは直接基材に塗工して、例えば80〜105℃、30秒〜10分間加熱処理等により乾燥させて粘着層を形成させる。
【0042】
かかる基材としては、活性エネルギー線が透過するフィルムが好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリピロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート等の透明フィルムが挙げられ、特に半導体ウエハのバックグラインド工程での凹凸面の表面保護用途や、ダイシング工程での、エキスパンドが必要な用途に用いる場合には、柔軟性延伸性に優れるポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の透明或いは活性エネルギー線透過が可能な着色フィルムが好適に用いられる。
【0043】
本発明の再剥離型粘着剤組成物は、金属板、ガラス板、プラスチック板等の表面の保護シートあるいは一時的な固定用シートとしての粘着シートとして広く使用することができる。特に半導体ウエハのバックグラインド工程、ダイシング工程の一時的接着用途に有用なので、かかる用途について具体的に説明する。
該バックグラインド工程用途においては、本発明の再剥離型粘着剤組成物が基材に塗工された粘着シートまたは粘着テープ等を半導体ウエハ(シリコンウエハ)のパターン側に貼り付けて表面保護した後、グラインダーによりウエハ裏面を研磨する。グラインダー(砥石)は通常水冷しながら高速(およそ3000回転/分)でウエハを研削する。その際の粘着テープの破片や削りかす(Siダスト)を該粘着シートで保護するのである。その後、粘着シートまたは粘着テープ等の基材側から紫外線あるいは電子線等の活性エネルギー線を照射して硬化させる。紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトなどが用いられる。高圧水銀ランプの場合は5〜3000mJ/cm2、好ましくは10〜500mJ/cm2の条件で行われる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、塗工厚、その他の条件によっても異なるが、通常は数秒、場合によっては数分の1秒でもよい。電子線照射の場合には、例えば、50〜1000Kevの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜50Mradの照射量とするのがよい。
【0044】
硬化前後の粘着力(JIS Z 0237による180度ピール強度)は、基材の種類、ウエハの種類(粘着剤層の厚さ、架橋剤の量等)によっても変わるが、硬化前は1000g/25mm以上の高粘着力であり、活性エネルギー線照射後の再剥離時では、100g/25mm以下の低粘着力となることが好ましく、特に、硬化前で1500g/25mm以上、硬化後の再剥離時で50g/25mm以下となることが望ましい。
硬化後はリムーバーにより粘着テープが剥離される。
尚、ウエハ以外の金属板、ガラス板、プラスチック板等の一時的な表面保護用途に用いる場合にも同様である。
【0045】
本発明の再剥離型粘着剤組成物は、この様な特性を有する為、強力な表面保護力と容易な剥離性を兼ね備える事ができる。本発明の粘着剤組成物はエネルギー線照射後の剥離だけで実用になるが、もし粘着剤組成物がウエハに残留したとしても、水により除去することができるという特徴を有している。
【0046】
次に、該ダイシング工程用途について説明する。
本発明の再剥離型粘着剤組成物が基材に塗工された粘着シートまたは粘着テープ等はウエハのバックグラインドされた面にダイシングテープとして貼られる。ウエハ(シリコンウエハ)を貼り付けて固定した後、テープと反対側(パターン側)から回転丸刃で半導体ウエハをチップに切断する。その後、粘着シートまたは粘着テープ等の基材側から活性エネルギー線を照射して硬化させる。紫外線照射を行う時の条件は、先に述べたバックグラインド用とほぼ同様である。
【0047】
硬化前後の粘着力(JIS Z 0237による180度ピール強度)は、硬化前で1000g/25mm以上、照射後(再剥離時)で100g/25mm以下が好ましく、特に硬化前で1500g/25mm以上、照射後で50g/25mm以下が望ましい。尚、ウエハ以外の金属板、ガラス板、プラスチック板等の一時的な表面保護用途に用いる場合にも同様である。
【0048】
次いで、ウエハ拡張装置を用いて粘着シートまたは粘着テープ等をエキスパンド(延伸)してチップ間隔を一定間隔に広げた後、チップをニードル等で突き上げると共に、エアピンセット等で吸着する方法等によりピックアップし、チップを基盤に接着し、金線で電極を接続し絶縁性の樹脂でモールドして製品となる半導体チップとなるのである。エキスパンドの有無はダイシング時のブレード幅等によって決まるがエキスパンドに要する力が大きすぎたり、エキスパンド時にチップがとんだりすると生産性の面から好ましくない。
【0049】
しかし、本発明の再剥離型粘着剤組成物は、上記の如き活性エネルギー線を照射した時に、(a)のエチレン性不飽和基どうしが反応して収縮するため上記のエキスパンド時にも適当な伸度や弾性を有しながらも、粘着力は低下して、尚且つ糊残りが少なく、更に剥離後に水で洗浄することにより、より完全に糊残りがなくなり信頼性の高いものとなる。本発明の再剥離型粘着剤組成物が活性エネルギー線による硬化前は高粘着力で、硬化後には粘着力が十分低下し、しかも水洗できることができるにもかかわらず、保護回路を壊さないのは、(a)〜(c)成分の相溶性が良好で硬化のムラが極めて少ないことによるものと考えられる。また、(d)を併用すると活性エネルギー線を照射した時の粘着力低下を補うことができることが可能となる。
【0050】
以上、半導体ウエハのバックグラインド工程の一時的な表面保護用途、ダイシング工程の一時的固定用途について説明したが、本発明の再剥離型粘着剤組成物はこれに限定されることなく、金属板、ガラス板、プラスチック板、シリコンウエハ等の一時的な表面保護、固定用粘着シートなどにも用いることができ、大変有用な再剥離型粘着剤組成物である。
【0051】
【実施例】
以下、本発明について具体的に説明する。尚、以下の記述で「%」、「部」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
<(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤>
n−ブチルアクリレート80部、アクリル酸20部、酢酸エチル80部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部をコンデンサー、撹拌機及び温度計付きのフラスコに仕込み、90℃に加温して重合させた。重合途中に酢酸エチル10部にアゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルを加えて濃度を調整し樹脂分50%の共重合体溶液を得た。該共重合体の重量組成はn−ブチルアクリレート/アクリル酸=80/20であった。
続いて、該溶液にイソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工社製、「カレンズMOI」)を21.5部、ジラウリル酸ジn−ブチル錫を0.06部、ハイドロキノン0.1部を加え、40℃で10時間反応を行った。得られた反応物のエチレン性不飽和基の個数は分子量1万当り11個であった。該反応物のカルボキシル基を0.7当量中和するようにエタノールアミンのメタノール溶液を加え、樹脂分40%のエチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤溶液を得た。
かかるアクリル系粘着剤の重量平均分子量は44万で、ガラス転移温度は−34℃であった。
【0052】
<(d)ウレタンアクリレートオリゴマー>
4ツ口丸底フラスコに還流冷却器、撹拌器、空気乾燥の吹き込み口及び温度計をとりつけ、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック型のポリエーテルポリオール(数平均分子量500)0.2モル(100部)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)0.4モル(88.9部)を仕込み、更に酢酸エチル(112部)を仕込んで、攪拌しながら80℃で4時間反応を行い、両末端にイソシアネート基をもつウレタン化ポリオールを得た。
その後、該ポリオールに2,2’−ジメチロールプロピオン酸0.1モル(13.4部)を添加し、更に80℃で7時間反応を続けて一方のイソシアネート基のみを反応させた。
その後約60℃に冷却して、モノメチルエーテルハイドロキノン0.01%(系全体にして)を溶解させたペンタエリスリトールトリアクリレート0.2モル(60.2部)を添加後、更に60℃で6時間攪拌した後、触媒としてジラウリル酸ジn−ブチル錫を0.02部添加して更に6時間反応を続け残存イソシアネート基が0.1%となる時点までイソシアネート基と該アクリレートを反応させて、カルボキシル基含有ウレタンアクリレートオリゴマー(数平均分子量2600)を得た。
別途、メタノールに溶解させたエタノールアミン溶液を作製しておき、該ウレタンオリゴマー中のカルボキシル基を0.9当量中和して樹脂分40%の(d)ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0053】
<再剥離型粘着剤組成物の調製>
紫外線の遮断された状態で、250mlのポリエチレン容器に、前記(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤の溶液(樹脂分40%)80部と上記(d)ウレタンアクリレートオリゴマーのメタノール溶液(樹脂分40%)20部、(b)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本チバガイギー社製、「イルガキュア184」)1部、(c)架橋剤としてエポキシ化合物〔共栄社化学社製、「エポライト80MF」の1%酢酸エチル溶液〕2部を加えて撹拌し再剥離型粘着剤組成物の溶液を得た。
【0054】
<粘着シートの製造>
紫外線の遮断された状態で、該再剥離型粘着剤組成物を、基材となるポリエチレンフィルム(厚さ120μm)上に乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、80℃、2分間加熱乾燥した。その後、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム上を剥離フィルムとしてカバーして、40℃にて3日間エージングすることにより粘着シートを作製した。
得られた粘着シートを用いて、以下の要領で、粘着力、再剥離性、汚染性、半導体ウエハのダイシング工程の一時的接着用途に用いたときのダイシング適性、エキスパンド適性、ピックアップ効率の評価を行った。
【0055】
(粘着力)
紫外線の遮断された状態で、シリコンウエハ、SUS、ガラス板をそれぞれ被着体として、紫外線照射前の180度ピール強度(g/25mm)を、JIS Z 0237に準じて測定した。
(再剥離性)
シリコンウエハ、SUS、ガラス板をそれぞれ被着体として貼付し、20℃で24時間放置した後に、高圧水銀ランプにて180mJ/cm2の条件下紫外線照射し、30分後の180度ピール強度(g/25mm)を、JIS Z 0237に準じて測定した。
【0056】
(汚染性)
i)水洗なし
異物が付着していない4インチ角の平滑なシリコンウエハ、SUSのそれぞれの表面に上記粘着シートを貼付し、23℃、65%RHに調整された部屋に1時間放置し、高圧水銀ランプにて180mJ/cm2の条件下で紫外線を照射した後、各被着体の表面から粘着シートを剥離し、剥離後の各被着体について、表面に残存する0.15μm以上の異物の個数をレーザ表面検査装置を用いて測定し、以下の通り評価した。
また、異物が付着していない4インチ角のシリコンウエハの表面に、10mm間隔に直径1mm、高さ1mm円筒状の凹部、凸部を設けたシリコンウエハ(以下凹凸ウエハと略記する)にも同様に粘着シートを貼付して同様に評価した。
○ −−− 9個以下
△ −−− 10〜30個
× −−− 31個以上
ii)水洗後
上記で得られた剥離後の各被着体を更に、30℃の水に10分間浸漬した後、残存する0.15μm以上の異物の個数を同様にして測定し、以下の通り評価した。
◎ −−− 0個
○ −−− 1〜9個
△ −−− 10〜30個
× −−− 31個以上
【0057】
(ダイシング適正)
上記粘着シートを直径5インチの半導体ウエハに貼り付けた後、5mm角のチップ状にダイシングを行って、その際のチップの状況を以下の通り評価した。
○ −−− チップの破損が認められない
△ −−− ウエハの端部に形成されたチップのみ飛散が認められる
× −−− 全体的にチップの破損が認められる
(エキスパンド適性)
上記ダイシングの後、前記と同じ条件で紫外線照射を行い、ウエハ拡張装置を用いて、エキスパンドし、チップ間隙が100μmの時のチップの保持性を観察して以下の通り評価した。
○ −−− チップの飛散が認められない
× −−− チップの飛散が認められる
【0058】
(ピックアップ効率)
上記エキスパンドの後、粘着シートの破断やチップの剥離(飛散)がなかったものについて、ダイボンダー装置にてピックアップを行う際、10000個中にピックアップされた個数を測定し以下の通り評価した。
○ −−− 10000個
△ −−− 9995〜9999個
× −−− 9994個以下
【0059】
実施例2
実施例1において、(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤の製造を以下のように変更した以外は実施例1と同様に行って、本発明の再剥離型粘着剤を得て、同様に評価を行った。
<(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤>
n−ブチルアクリレート80部、アクリル酸20部、酢酸エチル80部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部をコンデンサー、撹拌機及び温度計付きのフラスコに仕込み、90℃に加温して重合させた。重合途中に酢酸エチル10部にアゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルを加えて濃度を調整し樹脂分50%の共重合体溶液を得た。該共重合体の重量組成はn−ブチルアクリレート/アクリル酸=80/20であった。
続いて、該溶液にグリシジルメタクリレートを19.7部、トリ−n−ブチルアミン0.2部、ハイドロキノン0.1部とを加え、70℃で10時間反応を行い、エチレン性不飽和基の個数が反応物の分子量1万当り12個になるまで続けた。得られた反応物のカルボキシル基を0.7当量中和するようにエタノールアミンのメタノール溶液を加え、樹脂分40%のエチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤溶液を得た。
かかるアクリル系粘着剤の重量平均分子量は42万で、ガラス転移温度は−34℃であった。
【0060】
実施例3
実施例1において、(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤の製造を以下のように変更した以外は実施例1と同様に行って、本発明の再剥離型粘着剤を得て、同様に評価を行った。
<(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤>
2−メトキシエチルアクリレート85部、アクリル酸15部、酢酸エチル80部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部をコンデンサー、撹拌機及び温度計付きのフラスコに仕込み、90℃に加温して重合させた。重合途中に酢酸エチル10部にアゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルを加えて濃度を調整し樹脂分50%の共重合体溶液を得た。該共重合体の重量組成は2−メトキシエチルアクリレート/アクリル酸=85/15であった。
続いて、該溶液にイソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工社製、「カレンズMOI」)を21.5部、ジラウリル酸ジn−ブチル錫を0.06部、ハイドロキノン0.1部とを加え、40℃で10時間反応を行い、エチレン性不飽和基の個数が反応物の分子量1万当り11個になるまで実施した。得られた反応物のカルボキシル基を0.7当量中和するようにエタノールアミンのメタノール溶液を加え、樹脂分40%のエチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤溶液を得た。
かかるエチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤の重量平均分子量 は45万で、ガラス転移温度は−36℃であった。
【0061】
実施例4
実施例1の再剥離型粘着剤組成物の調製において、(d)の添加を省略した以外は同様に行って、同様に評価を行った。
【0062】
実施例5
実施例2の再剥離型粘着剤組成物の調製において、(d)の添加を省略した以外は同様に行って、同様に評価を行った。
【0063】
実施例6
実施例3の再剥離型粘着剤組成物の調製において、(d)の添加を省略した以外は同様に行って、同様に評価を行った。
【0064】
実施例7
実施例1において、(d)ウレタンアクリレートオリゴマーの製造を次のように変更した以外は実施例1と同様に行って、本発明の再剥離型粘着剤組成物を得て、同様に評価を行った。
<(d)ウレタンアクリレートオリゴマー>
4ツ口丸底フラスコに還流冷却器、撹拌器、空気乾燥の吹き込み口及び温度計をとりつけ、イソホロンジイソシアネート(IPDI)0.2モル(44.4部)及び、2,2’−ジメチロールプロピオン酸0.1モル(13.4部)を仕込み、更に酢酸エチル(50.3部)を仕込んで、攪拌しながら80℃で4時間反応させ、カルボキシル基含有末端イソシアネートウレタンオリゴマーを得た。
その後60℃に冷却して、モノメチルエーテルハイドロキノン0.01%(系全体にして)を溶解させたペンタエリスリトールトリアクリレート0.2モル(60.2部)を添加後、更に60℃で4時間攪拌した後、触媒としてジラウリル酸ジn−ブチル錫を0.02部添加して更に時間反応を続け残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了させて、カルボキシル基含有ウレタンアクリレートオリゴマー(数平均分子量1200)を得た。
別途、メタノールに溶解させたエタノールアミン溶液を用いて上記のカルボキシル基含有ウレタンアクリレートオリゴマー中のカルボキシル基を0.9当量中和し、メタノールで希釈して樹脂分40%の(d)ウレタンアクリレートオリゴマー溶液を得た。
【0065】
実施例8
実施例1の(d)を次のように変更した以外は実施例1と同様して再剥離型粘着剤組成物を得て評価を行った。
<(d)ウレタンアクリレートオリゴマー>
4ツ口丸底フラスコに還流冷却器、撹拌器、空気乾燥の吹き込み口及び温度計をとりつけ、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドからなる両末端に水酸基を有するポリオール(数平均分子量2000)0.1モル(200部)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)0.2モル(44.4部)を仕込み、更に酢酸エチル(112.2部)を仕込んで、攪拌しながら約80℃で4時間反応を行い、末端にイソシアネート基をもつウレタンオリゴマーを得た。
その後約60℃に冷却して、モノメチルエーテルハイドロキノン0.01%(系全体にして)を溶解させたペンタエリスリトールトリアクリレート0.2モル(60.2部)を添加後、更に60℃で6時間攪拌した後、触媒としてジラウリル酸ジn−ブチル錫を0.02部添加して更に6時間反応を続け残存イソシアネート基が0.1%となる時点までイソシアネート基と反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(数平均分子量3300)を得、メタノールで希釈して樹脂分40%の(d)ウレタンアクリレートオリゴマー溶液とした。
【0066】
実施例9
実施例1の(d)カルボキシル基含有ウレタンアクリレート〔数平均分子量2600、非中和物〕を使用し、以下のように再剥離型粘着剤組成物を調製して同様に評価した。
<再剥離型粘着剤組成物の調製>
紫外線の遮断された状態で250mlのポリエチレン容器に、前記(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤溶液(樹脂分40%)80部、上記(d)ウレタンアクリレートオリゴマーメタノール溶液(樹脂分40%に調整した)20部と、(b)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本チバガイギー社製、イルガキュア184)1部、(c)架橋剤としてエポキシ化合物〔共栄社化学社製、「エポライト80MF」の1%酢酸エチル溶液〕2部を加えて撹拌し再剥離型粘着剤組成物溶液を得た。
【0067】
実施例10
実施例1の(d)を次のように変更した以外は実施例1と同様して再剥離型粘着剤組成物を得て評価を行った。
<(d)ウレタンアクリレートオリゴマー>
4ツ口丸底フラスコに還流冷却器、撹拌器、空気乾燥の吹き込み口及び温度計をとりつけ、2,2’−ジメチロールプロパンスルホン酸0.2モル(100部)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)0.4モル(88.9部)を仕込み、更に酢酸エチル(112.2部)を仕込んで、攪拌しながら約80℃で約4時間反応させ、スルホン酸基含有末端イソシアネートウレタンオリゴマーを得た。
その後約60℃に冷却して、モノメチルエーテルハイドロキノン0.01%(系全体にして)を溶解させた2−ヒドロキシエチルアクリレート0.4モル(46.4部)を添加後、更に60℃で6時間攪拌した後、触媒としてジラウリル酸ジn−ブチル錫を0.02部添加して更に6時間反応を続け残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了させて、スルホン酸基含有ウレタンアクリレートオリゴマー(数平均分子量860)を得た。
別途、メタノールに溶解させたエタノールアミン溶液を用いて、該スルホン酸基含有ウレタンアクリレートオリゴマー中のスルホン酸を0.9当量中和し、メタノールで希釈して樹脂分40%の(d)ウレタンアクリレートオリゴマー溶液を得た。
【0068】
実施例11
実施例1において、(b)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本チバガイギー社製、「イルガキュア184」)1.0部に替えてベンジルメチルケタール(日本チバガイギー社製、イルガキュア651)1.0部を用いた以外は実施例1と同様にして再剥離型粘着剤組成物を得て、同様に評価を行った。
【0069】
比較例1
実施例1において(a)を、以下のアクリル系粘着剤に変更した以外は同様にして再剥離型粘着剤組成物を得た。(a)〜(d)を混合すると、均一溶液とはならずに沈降物を生じたが、同様に評価した。
<アクリル系粘着剤>
4ツ口丸底フラスコに還流冷却器、撹拌器、滴下ロート及び温度計をとりつけ、2−エチルヘキシルアクリレート68部、メチルメタクリレート25部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7部、酢酸エチル80部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部をコンデンサー、撹拌機及び温度計付きのフラスコに仕込み、90℃に加温して重合させた。重合途中に酢酸エチル10部にアゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた。重合終了後、酢酸エチルを加えて濃度を調整し、重量平均分子量47万、樹脂分40%の共重合体溶液を得た。該共重合体のガラス転移温度は−36℃で、エチレン性不飽和基の個数は分子量1万当り0個であり、重量組成は、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=68/25/7であった。この共重合体は水親和性は有していなかった。
【0070】
比較例2
実施例1の(a)を以下のように変更した以外は同様にして再剥離型粘着剤組成物を調整した。(a)〜(d)を混合すると均一溶液とはならず、沈降物を得たが、同様に評価した。
<(a)エチレン性不飽和基含有アクリル系粘着剤>
4ツ口丸底フラスコに還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計をとりつけ、2−エチルヘキシルアクリレート60部、メタクリル酸メチル20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部及び酢酸エチル80部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加え、酢酸エチル還流温度で7時間反応後、トルエンにて希釈することにより主鎖となる樹脂分50%のアクリル系共重合体溶液を得た。該重合体の重量組成は2−エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸メチル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=60/20/20であった。
次いで、得られた該アクリル系共重合体溶液にジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.06部、ヒドロキノンモノエチルエーテル0.1部及びイソシアネートエチルメタクリレート21.5部を仕込み、40℃で10時間反応させた。得られた反応物のエチレン性不飽和基の個数は分子量1万当たり11個であり、最後にトルエンで希釈して、樹脂分40%のエチレン性不飽和基含有アクリル系粘着剤を得た。
かかるエチレン性不飽和基含有アクリル系粘着剤の重量平均分子量は42万で、ガラス転移温度は−20℃であった。
実施例及び比較例の評価結果を表1〜3に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【発明の効果】
本発明の再剥離型粘着剤組成物は、(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤、(b)光重合開始剤、(c)架橋剤からなるため、各種被着体に対する粘着性、紫外線等による硬化後の再剥離性、耐汚染性に優れ、中でも耐汚染性が良好で、更に(d)ウレタンアクリレートオリゴマーを併用すると再剥離性が更に向上し、半導体ウエハのダイシング工程の一時的接着用途に用いたときのダイシング適性、エキスパンド適性、ピックアップ効率等にも優れ、半導体ウエハ製造時のバックグラウンド工程、ダイシング工程の一時固定用粘着シート用の組成物として非常に有用である。
Claims (5)
- (a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤、(b)光重合開始剤、(c)架橋剤からなる再剥離型粘着剤組成物であり、
(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤が、(1)カルボキシル基又はスルホン酸基を含有する不飽和モノマーおよび(2)該不飽和モノマーと共重合可能なモノマーとからなる共重合体と、エチレン性不飽和基含有モノマーとの反応物の中和物であり、
(b)の配合量が(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部、
(c)の配合量が(a)100重量部に対して、0.001〜10重量部
であることを特徴とする再剥離型粘着剤組成物。 - (a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤、(b)光重合開始剤、(c)架橋剤、(d)ウレタンアクリレートオリゴマーからなる再剥離型粘着剤組成物であり、
(a)エチレン性不飽和基含有水親和性アクリル系粘着剤が、(1)カルボキシル基又はスルホン酸基を含有する不飽和モノマーおよび(2)該不飽和モノマーと共重合可能なモノマーとからなる共重合体と、エチレン性不飽和基含有モノマーとの反応物の中和物であり、
(b)の配合量が(a)と(d)の合計量100重量部に対して、0.1〜10重量部、
(c)の配合量が(a)と(d)の合計量100重量部に対して、0.001〜10重量部、
(a)/(d)の重量配合比が97/3〜40/60
であることを特徴とする再剥離型粘着剤組成物。 - (2)該不飽和モノマーと共重合可能なモノマーが、エーテル結合をもつ不飽和モノマーを含むものであることを特徴とする請求項1または2記載の再剥離型粘着剤組成物。
- (d)ウレタンアクリレートオリゴマーが、(イ)カルボキシル基又はスルホン酸基をもつポリオール及び/又は(ロ)エステル結合あるいはエーテル結合をもつポリオールと、ポリイソシアネートとの反応物に、イソシアネート基と反応し得る水酸基含有アクリル系化合物を反応させたものであることを特徴とする請求項2または3記載の再剥離型粘着剤組成物。
- 半導体ウエハのバックグラインド工程あるいはダイシング工程の一時固定用粘着シートに用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の再剥離型粘着剤組成物。
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