JP4443815B2 - パウチの処理方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パウチを用いた無菌充填等の各種処理に適用して好適なパウチの処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品や飲料の充填に備えてパウチを滅菌する方法として、特開2001−354213号公報には、耐圧容器に多数のパウチを収容し、その耐圧容器に水蒸気を導入して各パウチを滅菌する方法が開示されている。この公報には、耐圧容器内でパウチに水蒸気を吹き込んでこれを膨らませることにより、パウチの内部まで十分に水蒸気を行き渡らせることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、耐圧容器の内部でパウチを膨らませる場合、耐圧容器内にノズル等の気体導入用の設備を収容する必要があり、耐圧容器内の構成が複雑化する。しかも、それらの設備は耐圧容器内の高温環境に耐えられるように構成する必要があり、そのために設備の負担が嵩む。
【0004】
パウチに内容物を充填する前の洩れの検査方法として、特開2001−108568号公報には、一対の板状部材の間に形成したスリット状空間にパウチを挿入し、そのパウチに空気を導入してパウチをスリット幅程度だけ膨張させることにより、少量の気体を導入するだけでパウチの圧力低下に基づく洩れを検出可能とした方法が開示されている。しかし、この公報では、検査のためにのみパウチを膨らませており、その膨らんだパウチを他工程で活用することについては何ら示唆されていない。
【0005】
本発明は、パウチの内部又は外部に対する特定の処理を少ない設備負担で確実に行うことを可能としたパウチの処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のパウチの処理方法は、複数の工程間でパウチを移動させて当該パウチに各工程で定められた所定の処理を施すパウチの処理方法において、前記複数の工程が、パウチの内面同士の密着を防止するために必要な最小限度以上で、かつ当該パウチを最大限に膨らませた状態よりも小さい範囲で所定形状に膨らませて前記パウチの漏れの有無を検査する第1工程と、前記第1工程を経たパウチを、その膨らみが維持された状態で受け取って該パウチの内部又は外部の少なくともいずれか一方に対して特定の処理を施す第2工程と、を含み、前記第2工程が、前記パウチの内部を滅菌雰囲気と接触させる処理を含むものである。
【0007】
この方法によれば、第1工程の漏れの有無を検査する過程でパウチが膨らまされ、そのパウチが、その膨らみを維持したまま第2工程に渡されてパウチの内部又は外部に特定の処理が行われる。従って、第2工程ではパウチを膨らませる必要がない。これにより、第2工程に割り当てられた処理を実施するための設備の負担が軽減される。これにより、パウチを利用した特定処理を行うための設備を合理化することができる。また、パウチの内部を滅菌雰囲気と接触させる処理では、パウチが膨らんでいることによって、パウチの内部を滅菌雰囲気と十分に接触させて滅菌効果を確実に発揮させることができるという有利な効果を生じる。
【0008】
また、パウチの膨らみは、パウチの内面同士の密着を防止するために必要な最小限度以上で、かつ当該パウチを最大限に含ませた状態よりも小さい範囲に制限している。最大限度まで膨らませた場合には、パウチの体積が大きくなり、パウチの移動や保管に不利が生じる。第2工程の処理においても不利が生じることがある。例えば、パウチへの内容物の充填を行う際、パウチが最大限まで膨らませた状態ではパウチ内の気体と内容物との入れ替えに手間取るが、パウチの膨らみを内面が接しない程度に制限しておけば、そのような手間が軽減される。
【0009】
本発明において、第1及び第2工程はそれぞれ様々な処理を行うものを含めることができる。第2工程では、パウチが膨らんでいることによって有利な効果が生じる様々な処理を行うことができる。例えば、第2工程が、パウチを加熱させる処理を含む場合には、加熱によってパウチの内面同士が融着するおそれがない利点がある。第2工程では、パウチの外面に対する印刷やラベル類の添付等、パウチの外部に対する処理を行ってもよい。これらの場合でもパウチが膨らんでいることにより、パウチの反りが抑制され、安定して処理を行うことができる。
【0010】
第1工程では、パウチを所定の型に挿入した状態で当該パウチの内部に気体を送り込むことによりパウチを膨らませることが望ましい。型内に挿入してパウチを膨らませた場合には、型から引き出されたパウチの形状が一定となるので、パウチの外観形状の影響を受ける処理を第2工程で行う際に有利となる。例えば、パウチの外面に対する印刷やラベル類の貼付については、パウチの外観形状が一定でないと、印刷位置のずれ、印刷品質の劣化、ラベルの貼付位置のずれ、ラベルの密着不良等の不都合が生じる。光学センサやCCDカメラ等の各種の検査装置を用いたパウチの外観検査についても、パウチが正常であればその外観形状が一定であることを前提として行われるものであるため、例えばパウチに反りが生じていると、パウチそのものは正常であってもこれを不良と判断する検査ミスが生じるおそれがある。ところが、型を利用してパウチを一定形状に膨らませたならば、反りが矯正され、上記の不都合は生じない。
【0011】
本発明の処理方法において、第1工程に供給されるパウチにスパウトが取り付けられているときには、第1工程と第2工程との間はスパウトを保持しつつパウチを移動させることが好ましい。スパウトを保持することにより、パウチの膨らみ形状を一定に保ったままパウチを移動させることができる。
【0012】
本発明で使用されるパウチは、保形性能を付与する素材にて構成されていることが望ましい。保形性能とは、パウチを一旦膨らませた場合に、外部から力を加えない限りはパウチがその形状を維持できる性質をいう。保形性能を付与する素材としては、アルミニウム等の金属成分を含んでいる素材(特には金属箔として含んでいるもの)、膨らませると塑性変形する素材、を使用することができる。
【0013】
本発明の処理方法において、第1工程で膨らんだパウチが第2工程まで送られる限りは、それらの第1工程と第2工程との間にさらに別の工程が存在してもよい。
【0014】
また、本発明のパウチの処理装置は、複数の工程間でパウチを移動させて当該パウチに各工程で定められた所定の処理を施すパウチの処理装置であって、パウチの内面同士の密着を防止するために必要な最小限度以上で、かつ当該パウチを最大限に膨らませた状態よりも小さい範囲で所定形状に膨らませて前記パウチの漏れの有無を検査する手段を備えた第1装置と、前記第1装置を経たパウチを、その膨らみが維持された状態で受け取って該パウチの内部又は外部の少なくともいずれか一方に対して特定の処理を施す第2装置と、を含み、前記第2装置が、前記パウチの内部を滅菌雰囲気と接触させる手段を含むものである。
【0015】
この処理装置によれば、第1装置において膨らまされたパウチをその膨らみが維持されたまま第2装置が受け取るようにしたので、第2装置はパウチを膨らませるための設備を備えている必要がない。従って、第2装置の設備が軽減される。
【0016】
本発明のパウチの処理装置においても、前記第2装置は、前記パウチを加熱する手段を含んでもよい。前記第1装置の前記膨らませる手段は、前記パウチを所定の型に挿入した状態で当該パウチの内部に気体を送り込むことにより前記パウチを膨らませるものであってもよい。前記第1装置に対してスパウトが取り付けられたパウチが供給され、前記第1装置と前記第2装置との間では前記スパウトが保持されつつ前記パウチが移送されてもよい。前記パウチが保形性能を付与する材料にて構成されてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明が適用された無菌充填システムの平面図である。この無菌充填システム10は、図2に示すパウチ1に内容物としての飲料を無菌充填するために構成されており、第1工程として検査装置100によるパウチ1の洩れ検査を行い、第2工程として滅菌装置200によるパウチ1の滅菌処理を行う。この滅菌処理は水蒸気によるものであり、パウチ1の加熱を伴う処理でもある。
【0019】
図2に示すように、パウチ1は、アルミニウム箔を素材とするパウチ本体2にスパウト3を取り付けた周知の平パウチである。スパウト3は、図1に示す検査装置100よりも上流側に設置されたスパウト取付装置40にてパウチ本体2に取り付けられる。なお、本発明において、パウチは図示の平パウチ1に限定されることなく、側部に襠を設けたガセットタイプ、底部を設けて自立可能としたスタンドタイプ、ボトルタイプ等の各種の形状に適用できる。パウチ本体2の素材は単層でも多層でもよい。スパウト3の取付位置は上部中央に限らず、コーナー部、側部、底部等種々変更されてよい。パウチ本体2の素材は、パウチ1に保形性能を付与することができる素材であればアルミニウム箔に限らず種々の素材を利用してよい。好適には、PET(ポリエチレンテレフタレート)/ON(延伸ナイロン)/AL(アルミニウム)/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PET/AL/ON/LLDPE、PET/ON/AL/CPP(無延伸ポリプロピレン)、PET/AL/ON/CPP等の層構造を有する熱可塑性樹脂からなるフィルムやラミネート材料をパウチ本体2の素材として使用してよい。
【0020】
検査装置100は、パウチ1を一対の板状の型部材101,101の間に挿入し、その状態で図3に示すようにスパウト3にノズルキャップ103を被せ、不図示の空気供給源から送られる加圧空気をチューブ104を介してスパウト3に送り込んでパウチ1を型部材101同士の間のスリット102(図2)によって定まる幅まで膨らませ、その後にスパウト3を閉じ、一定期間経過する間のパウチ1の内圧低下を検出してパウチ1の洩れの有無を検出する。このような検査装置100としては、特開2001ー108568号公報に記載されたものをそのまま用いることができる。
【0021】
なお、図2に示す型部材101の溝部101aはスパウト3による膨らみ部分を受け入れるためのものである。図4(a)に示すように、溝部101aは型部材101の表面から弧を描くように窪んでおり、上下方向に関しては型部材101の全高に亘って延びている。但し、図4(b)に示すように、断面三角形状に窪んだ溝部101bとしてもよい。図4(c)に示すように断面が弧状で、型部材101の上端から途中まで延びている溝部101cとしてもよく、図4(d)に示すように断面が三角形状で、型部材101の上端から途中まで延びている溝部101dとしてもよい。
【0022】
図5に示すように、型部材101のスリット102から抜き取ったパウチ1は保形性能を有するため、スリット102の形状に倣って膨らんだ状態を維持する。本実施形態では、この膨らんだ状態のパウチ1を図6に示すように耐圧容器15まで搬送してパウチ1の滅菌を行う。なお、その搬送過程においては、例えば搬送アーム110のフック111にパウチ1のスパウト3を引っ掛けることによりスパウト3を保持しつつパウチ1を搬送する。なお、搬送アーム110はパウチ1毎に設けてもよいし、多数のパウチ1を共通のアームによって一括して搬送してもよい。
【0023】
次に、無菌充填システム10における滅菌部分及び充填部分について説明する。図1の無菌充填システム10は無菌チャンバ11を含んでいる。無菌チャンバ11は充填システム10の作動開始前に適当な方法(例えば過酸化水素等の薬剤の散布)により滅菌され、以降、不図示の無菌エア供給装置から供給される無菌化されたエア(以下、無菌エア)により所定の陽圧に保たれる。無菌チャンバ11の内部には多数枚のパウチ1を一時的に保管するアキューム部12、パウチ1のスパウト3から内容物(例えば中性飲料)をパウチ本体2の内部に充填する充填機13、内容物が充填されたパウチ1にキャップ7(図7(a)参照)を取り付けてパウチ1を密封するキャッピング機14が設けられている。充填機13やキャッピング機14は従来の充填システムで使用されているものと同様でよく、詳細は省略する。キャッピング機14によってキャップ7が取り付けられたパウチ1は適当な排出手段により無菌チャンバ11の出口から排出される。
【0024】
無菌チャンバ11の入口側(図1の下側)には一対の耐圧容器15,15が設けられている。耐圧容器15は例えば円筒状に構成され、その両端に開閉可能な扉15a,15bが取り付けられる。一端側の扉15aは無菌チャンバ11の外部に露出し、他端側の扉15bは無菌チャンバ11の内部に開口する。つまり、扉15aを開けると耐圧容器15の内部が無菌チャンバ11の外部と連通し、扉15bを開けると耐圧容器15の内部が無菌チャンバ11の内部と連通する。各耐圧容器15には加圧水蒸気供給装置16、無菌エア供給装置17及び真空ポンプ18がそれぞれ接続される。これらの耐圧容器15、加圧水蒸気供給装置16、無菌エア供給装置17及び真空ポンプ18によって滅菌装置200が構成される。
【0025】
真空ポンプ18にて耐圧容器15の内部を真空引きし、加圧水蒸気供給装置16から加圧された飽和水蒸気を耐圧容器15の内部に供給することにより、耐圧容器15の内部を滅菌することができる。その後、水蒸気を排出し、耐圧容器15の内部を無菌エア供給装置17から供給された無菌エアで満たすことにより、扉15bを開いて耐圧容器15の内部と無菌チャンバ11の内部とを、無菌環境を維持したままで連通させることができる。かくして、耐圧容器15,15は無菌チャンバ11の内外の物流を実現するためのバッファルームとして機能する。
【0026】
耐圧容器15を経由して無菌チャンバ11にパウチ1及びキャップ7を搬入するための手段として、システム10では複数のパウチラック20及びキャップトレイ30が使用される。パウチラック20は多数のパウチ1(但し、キャップ7が取り外されたもの)を整列状態で収容し、キャップトレイ30は多数のキャップ7を整列状態で収容する。無菌チャンバ11の内外にはそれぞれ3つのパウチラック20及びキャップトレイ30が並べられる。各ラック20及びトレイ30は不図示の搬送手段により、耐圧容器15,15を経由して無菌チャンバ11の内外を往復搬送される。搬送経路は図1に矢印で示した通りである。キャップトレイ30はパウチラック20に搭載して循環させてもよいし、パウチラック20とは別に搬送してもよい。
【0027】
図7に示したように、パウチラック20は複数の柱21及び梁22を組み合わせた直方体状のフレーム構造を有し、その内部には上下二段、左右に四列の収容区画23…23が設けられている。各収容区画23には一対のレール24,24が設けられている。各レール24はラック20の長手方向に真っ直ぐ延びており、それらのレール24にスパウト3が引っ掛けられてパウチ1が吊り下げられる。レール24はラック20の長手方向に延びているので、パウチ1をレール24に沿ってラック20の奥へと押し込むことにより、図7(b)に示したように、多数のパウチ1を同一の向き(表面が互いに対向する向き)で収容することができる。なお、ラック20に収容されたパウチ1は膨らんだ状態である。キャップトレイ30におけるキャップ7の収容数はパウチラック20におけるパウチ1の収容数と一致させればよい。トレイ30は例えば複数のキャップ7をマトリクス状、千鳥状に並べて収容するように構成される。
【0028】
なお、図7の例ではスパウト3を上にしてパウチ1をラック20に収容したが、スパウト3を下にした上下逆の姿勢でパウチ1をラック20に収容してもよい。このようにすれば、重力を利用してパウチ1内の水分をスパウト3から外部へ排出できる利点がある。
【0029】
図1に示したように、耐圧容器15,15の入口側には、スパウト取付装置40と並行してキャップ整列供給装置41が設けられる。検査装置100から送り出されたパウチ1はアキュムレータ42に一時的に保管され、そのアキュムレータ42に保管されたパウチ1は不図示の移送手段によりラック20に移し替えられる。一方、キャップ整列供給装置41はキャップ7を整列状態でトレイ30に搬入する。
【0030】
以上の無菌充填システム10においては、多数のパウチ1(但し、キャップ7を含まない)を収容するラック20と、同数のキャップ7を収容するトレイ30とが右側の耐圧容器15に搬入され、その耐圧容器15内でパウチ1及びキャップ7に対する所定の滅菌処理が行なわれる。滅菌処理の詳細は後述する。滅菌処理が終わるとラック20及びトレイ30が無菌チャンバ11に搬入される。無菌チャンバ11では、不図示の搬出手段により、ラック20からアキューム部12にパウチ1が移し替えられるとともに、トレイ30からキャッピング機14へキャップ30が移される。空になったラック20及びトレイ30は無菌チャンバ11から左側の耐圧容器15へと移送され、さらにその耐圧容器15から無菌チャンバ11の外部へ搬出される。そして、この空になったラック20よびトレイ30に新たなパウチ1及びキャップ7が搭載され、以下同様の処理が繰り返される。
【0031】
図8は耐圧容器15にて実行される滅菌処理の手順を示すフローチャートである。パウチ1を収容したラック20及びキャップ7を収容したトレイ30が耐圧容器15に収容されて扉15aが閉じられると、まず真空ポンプ18が作動して耐圧容器15内が真空引きされる(ステップS1)。耐圧容器15の圧力が所定範囲まで低下すると、真空ポンプ18が停止して加圧水蒸気供給装置16から加圧された飽和水蒸気が耐圧容器15に吹き込まれる(ステップS2)。これにより、耐圧容器15の内部の温度は例えば125°Cまで上昇する。耐圧容器15が所定温度まで上昇すると、その状態が所定の滅菌時間保持される(ステップS3)。滅菌時間は水蒸気の温度や一回に処理するパウチ1の枚数に応じて設定されるが、一例として1分程度である。
【0032】
滅菌時間が経過すると耐圧容器15から水蒸気が排出され(ステップS4)、その後に真空ポンプ18が作動して耐圧容器15の内部が再び真空引きされる(ステップS5)。これにより、耐圧容器15の内部が乾燥し、パウチ1やキャップ7に付着した水分が蒸発する。その後、無菌エア供給装置17から耐圧容器15の内部に無菌エアが導入される(ステップS6)。以上により滅菌処理が終了する。無菌エアの導入により耐圧容器15の内部は無菌チャンバ11と同様に滅菌された環境となり、扉15bを開いて耐圧容器15と無菌チャンバ11とを連通させ、ラック20及びトレイ30を無菌チャンバ11に搬入することが可能となる。
【0033】
以上のように本実施形態の無菌充填システム10では、耐圧容器15を利用した滅菌処理の前段階で検査装置100による洩れ検査を実施し、その洩れ検査にて膨らまされたパウチ1をその膨らんだ状態のまま耐圧容器15に導入している。従って、耐圧容器15の内部でパウチ1を膨らませなくても、パウチ1の内部の隅々まで水蒸気を行き渡らせてパウチ1の内面を確実に滅菌することができる。しかも、水蒸気によってパウチ1が加熱されてその内面が軟化したとしても、パウチ1の内面が相互に密着していないので、内面同士が融着するおそれもない。耐圧容器15の内部にパウチ1を膨らませる設備を設ける必要がないので、耐圧容器15の内部の構成が簡素化され、設備の負担が小さい。
【0034】
以上の無菌充填システム10において、キャップ整列装置41、及びアキュムレータ42はそれぞれ省略されることがある。図8のステップS1の真空脱気及びステップS2の水蒸気吹き込みは複数回繰り返されることがある。同様に、図8のステップS5の真空脱気及びステップS6の無菌エア導入も複数回繰り返されることがある。充填機13とキャッピング機14とは同一機械に集約されてもよい。
【0035】
上記の実施形態では耐圧容器15に水蒸気を供給して滅菌雰囲気を構成したが、これと併用して、パウチ1の内部に水分を滴下してもよい。パウチ1の内部に水蒸気を直接噴霧してもよい。過酸化水素等の滅菌剤を噴霧して滅菌雰囲気を構成してもよい。特に、過酸化水素溶液を一旦沸点以上に加熱して蒸発させた後、これを凝集させる方法によれば微細なミストが形成されて好ましい。滅菌雰囲気は電子線(特にはマイクロ波)の照射、滅菌性を有するガス(例えば酸化エチレンガス、過酸化水素ガスプラズマ)、熱水又は熱風との一定時間の接触によっても実現することができる。熱風と接触させる際にはパウチ1の内部に水分を滴下することが好ましい。熱水との接触による滅菌は、例えばスプレー式レトルト釜にパウチを一定時間保持して実現することができる。
【0036】
パウチ1を膨らませる方法は、内部に気体を送り込む例に限らない。例えば図9(a)に示すように、吸着パッド120,120にてパウチ1を挟み込み、その後、同(b)に示すように吸着パッド120を開くように変位させることによってもパウチ1を膨らませることができる。吸着パッド120の吸着力は、真空吸引によって発生させてもよいし、吸盤によって発生させてもよい。その他にも、パウチ本体2に絞り加工等の塑性加工を行ってパウチ1を膨らませる方法が考えられる。パウチ1を膨らませる際に加熱を併用してもよい。
【0037】
上記の実施形態では第1工程を検査工程、第2工程をパウチの滅菌工程とし、第1装置を検査装置、第2装置を滅菌装置としたが、本発明はこれに限らない。例えば第2工程はパウチの外面への印刷やラベル類の貼付としてもよい。第1工程におけるパウチを膨らませる処理は型によって一定形状を担保するものであることが望ましいが、そのような型を利用せずにパウチを自由に膨らませるものであってもよい。特に、パウチを最大限に膨らませてもその容積が小さくて膨らんだ形状のばらつきも小さいときには型による形状の規制を省略することができる。
【0038】
【実施例】
上記の実施形態の無機充填システムにおいて、検査装置で膨らませたパウチを膨らんだまま耐圧容器に導入した場合と、内面が密着するまで膨らみを戻したパウチを耐圧容器に導入した場合とで滅菌効果を比較して本発明の作用効果を確認した。滅菌効果の評価は、試験前のパウチの内面に所定の検査用の菌を塗布し、耐圧容器内を所定時間水蒸気雰囲気に維持し、その後、耐圧容器内の真空吸引及び無菌エアの導入を順次行ってパウチを乾燥させた後、パウチに残存する菌を所定期間培養してその個数を評価することにより滅菌の適否を判別した。検査装置の型のスリットの幅は4mmに設定し、スパウトから吹き込む空気の圧力は0.15Mpaに設定した。
【0039】
水蒸気による滅菌条件を、(1)一般的な滅菌処理(例えばパウチの外面滅菌のように、特に水蒸気と滅菌対象物品との接触を妨げる事情のない場合の処理)において、十分な滅菌効果が生じるか否かの境界付近と、(2)一般的な滅菌処理であれば確実に滅菌効果が得られる範囲とにそれぞれ設定し、パウチを膨らませたもの、膨らみを戻したもの、のそれぞれについて滅菌処理を行って滅菌効果を比較したところ次表の結果を得た。
【0040】
【表1】
このように、パウチを膨らませた状態で滅菌処理を行うことにより、パウチ内部についても十分な滅菌を行えることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の処理方法及び処理装置によれば、第1装置による第1工程の処理の過程でパウチが膨らまされ、そのパウチが、その膨らみを維持したまま第2装置の第2工程に渡されてパウチの内部又は外部に特定の処理が行われるから、第2工程ではパウチを膨らませる必要がない。これにより、パウチの内部又は外部に対する特定の処理を少ない設備負担で確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された無菌充填システムの概要を示す平面図。
【図2】図1の検査装置の概要を示す図。
【図3】図2の検査装置にてパウチに空気を送るための構成を示す図。
【図4】図2の検査装置で使用される型部材の変形例を示す図。
【図5】図2の検査装置の型からパウチを抜き取った状態を示す図。
【図6】図5のパウチを搬送する状態を示す図。
【図7】図1のシステムで使用される耐圧容器を示す図で、(a)は横断面図、(b)は長手方向に沿った縦断面図。
【図8】図1のシステムにおいて実行される滅菌処理の手順を示すフローチャート。
【図9】パウチを膨らませる他の形態を示す図。
【符号の説明】
1 パウチ
2 パウチ本体
3 スパウト
7 キャップ
10 無菌充填システム
11 無菌チャンバ
15 耐圧容器(接触させる手段)
16 加圧水蒸気供給装置(加圧する手段、接触させる手段)
17 無菌エア供給装置
18 真空ポンプ
40 スパウト取付装置
100 検査装置(第1装置)
101 型部材(膨らませる手段、型)
102 スリット
103 ノズルキャップ(膨らませる手段)
104 チューブ(膨らませる手段)
200 滅菌装置(第2装置)
Claims (10)
- 複数の工程間でパウチを移動させて当該パウチに各工程で定められた所定の処理を施すパウチの処理方法において、前記複数の工程は、パウチの内面同士の密着を防止するために必要な最小限度以上で、かつ当該パウチを最大限に膨らませた状態よりも小さい範囲で所定形状に膨らませて前記パウチの漏れの有無を検査する第1工程と、前記第1工程を経たパウチを、その膨らみが維持された状態で受け取って該パウチの内部又は外部の少なくともいずれか一方に対して特定の処理を施す第2工程と、を含み、
前記第2工程が、前記パウチの内部を滅菌雰囲気と接触させる処理を含むことを特徴とするパウチの処理方法。 - 前記第2工程が、前記パウチを加熱させる処理を含むことを特徴とする請求項1に記載のパウチの処理方法。
- 前記第1工程では、前記パウチを所定の型に挿入した状態で当該パウチの内部に気体を送り込むことにより前記パウチを膨らませることを特徴とする請求項1に記載のパウチの処理方法。
- 前記第1工程に供給されるパウチにスパウトが取り付けられており、前記第1工程と前記第2工程との間は前記スパウトを保持しつつ前記パウチを移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパウチの処理方法。
- 前記パウチが保形性能を付与する材料にて構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパウチの処理方法。
- 複数の工程間でパウチを移動させて当該パウチに各工程で定められた所定の処理を施すパウチの処理装置であって、パウチの内面同士の密着を防止するために必要な最小限度以上で、かつ当該パウチを最大限に膨らませた状態よりも小さい範囲で所定形状に膨らませて前記パウチの漏れの有無を検査する手段を備えた第1装置と、前記第1装置を経たパウチを、その膨らみが維持された状態で受け取って該パウチの内部又は外部の少なくともいずれか一方に対して特定の処理を施す第2装置と、を含み、
前記第2装置が、前記パウチの内部を滅菌雰囲気と接触させる手段を含むことを特徴とするパウチの処理装置。 - 前記第2装置は、前記パウチを加熱する手段を含むことを特徴とする請求項6に記載のパウチの処理装置。
- 前記第1装置の前記膨らませる手段は、前記パウチを所定の型に挿入した状態で当該パウチの内部に気体を送り込むことにより前記パウチを膨らませることを特徴とする請求項6に記載のパウチの処理装置。
- 前記第1装置に対してスパウトが取り付けられたパウチが供給され、前記第1装置と前記第2装置との間では前記スパウトが保持されつつ前記パウチが移送されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のパウチの処理装置。
- 前記パウチが保形性能を付与する材料にて構成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のパウチの処理装置。
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