JP4440555B2 - 加飾成形品の製造方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形品表面に加飾シートを積層した加飾成形品の成形技術に関する。本発明、特にセンターコンソール等の自動車内装部品に見られる様な大きく二次元方向に折れ曲がった如き形状の成形品に対しても、シートの伸びを減らし柄歪みを小さくできる成形技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
成形品の表面に加飾シートを積層することで加飾した加飾成形品が、車両内装部品等の各種用途で使用されている。この様な加飾成形品の成形方法の一つとして、射出成形同時加飾方法が知られている。射出成形同時加飾方法では、加飾シートを、射出成形型内に挿入した後、通常は射出成形型を真空成形型として加飾シートを予め真空成形して成形品表面に沿う三次元形状とした上で、型締めし、そして樹脂を射出することで、三次元形状の成形品表面に、加飾シートを積層一体化した加飾成形品を得ることができる。
【0003】
ところが、成形品の形状が、例えば、自動車のセンターコンソール(図6参照)等の様に全体として大きく折れ曲がった様な形状であると、その折れ曲がり方向に直角方向での成形品断面形状だけを見れば、シート延伸量が小さく(絞りが浅い)成形が容易な形状でも、成形品全体としてはシート延伸量が大きい(絞りが深い)形状をしている。その結果、加飾シートの柄が大きく歪んだり、或いは、シートが延伸しきれずに破れたりすることがある。そこで、これらを回避する為に、この様な形状の成形品に対しては、屈曲方向のシート延伸量を小さくすべく、加飾シートを射出成形型に供給するときに、成形品形状に対応して屈曲させてある枠(シートクランプ)を用いて、この枠に加飾シートを送ることで、加飾シートを予め屈曲させた状態とした上で、ヒーターで加熱して真空成形する技術がある(特許文献1、特許文献2、特許文献3、等参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2694917号公報
【特許文献2】
特許第2694920号公報
【特許文献3】
特許第2749540号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各特許文献の技術によれば、確かに大きな伸びで生じる柄歪み等に対処できるのだが、射出成形型と真空成形型を兼用する関係上、成形品の形状に制限が出易い。また、射出成形型を真空成形型とする為に吸引孔を設ける等、通常の射出成形型に比べて特殊な型構造となるので、型のコストが高くなり、また、設備費も高くなるという問題もあった。
【0006】
この様な点については、真空成形型を射出成形型と兼用せずに、射出成形機とは別の真空成形機で、予め加飾シートを真空成形してから射出成形型に挿入して射出成形するというインサート成形法を採用すれば、コスト高となる点は解決する。また、延伸量が大きい成形品でも、二次元方向の深い絞りに対応できる様に、加飾シートに厚手のシートを使用すれば、シートの破れについても防ぐことができる。しかし、シートの破れは防げても、柄も同時に伸びてしまう為に、柄の伸びが大きくなるのは防ぎようもなく、意匠的に問題が出る場合がある。また、シートが厚くなる分、コストが高くなるという問題も発生する。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、射出成形品に加飾シートが積層一体化した加飾成形品について、二次元方向に大きく折れ曲がった様な形状の成形品でも、シートの伸びを減らして柄歪みを小さくすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明の加飾成形品の成形方法は、真空成形型により予め加飾シートを立体形状に成形する真空成形工程を経た後、余分な部分をトリミングして成形シートとし、次いで、該成形シートを射出成形型に挿入し射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートとを一体化するインサート成形法による加飾成形品の製造方法おいて、前記真空成形工程が、(A)加飾シートの成形部周囲を長方形の枠に固定する固定工程と、(B)固定された加飾シートを加熱手段により加熱する加熱工程と、(C)加熱された加飾シートを長方形の枠の一方の対向する2辺を他方の対向する2辺が相互に近づく方向に折り曲げて枠ごと変形させる変形工程と、(D)変形した加飾シートを真空成形型を用いて真空成形する成形工程からなる構成とした。
【0009】
この様な構成の製造方法とすることで、加飾シートは加熱された後、例えば「く」の字状に折り曲げる等、加飾成形品の大まかな全体形状にシートを殆ど延ばさずに事前に変形してから、真空成形型で真空成形するので、二次元方向に大きく折れ曲がった様な形状でも、シートの真空成形時の伸びを減らして柄歪みを小さく出来る。また、真空成形時の実質的な絞りが浅くなるので、比較的薄い加飾シートでも、対応が可能となる。また、事前の変形は、加飾シートを加熱後に枠によって変形させるので、真空成形装置としては、そこで使用する枠を、折れ曲がる等、変形できるものとすれば良いだけで、一般の装置が使用でき、設備費等のコスト増も少なくて済む。
【0010】
また、本発明の加飾成形品の成形装置は、上記した加飾成形品の製造方法を実施する成形装置であって、真空成形工程を受け持つ真空成形装置が、加飾シートの成形部周囲を固定する長方形の枠を備え、該枠が固定された加飾シートを長方形の枠の一方の対向する2辺を他方の対向する2辺が相互に近づく方向に折り曲げて枠ごと変形させる変形手段を有する構成とした。
【0011】
この様な構成の成形装置とすることで、上記製造方法を実施でき、その上記効果を享受できる。すなわち、二次元方向に大きく折れ曲がった様な形状でも、シートの伸びを減らして柄歪みを小さく出来る。また、真空成形の装置的にも、一般の装置が使用でき、設備費等のコスト増も少なくて済む。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
真空成形工程:
真空成形工程では、成形品の加飾が必要な部分の射出成形型キャビティ形状を再現したパックを、加飾シートの真空成形で作製し、その後、更に不必要な部分をトリミングして成形シートを作製する。
【0014】
従来の一般的な真空成形工程は、(A)枠に(加飾)シートを固定するシートの固定工程、(B)シートをヒータ等の加熱手段を使って加熱する加熱工程、(D)真空成形型を使って該型面にシートを沿わせる成形工程の3工程からなる。
【0015】
これに対して、本発明では、上記(B)の加熱工程と、(D)の成形工程との間に、加飾シートを事前に変形させる変形工程(C)を設ける。この変形工程は、加飾シートを枠ごと二次元方向に変形させる工程である。変形工程では、加飾シート表裏の空気圧差では無く、枠の変形によって、加飾シートを変形させる。
【0016】
ここで、図1は、この変形工程を含む真空成形工程の各工程を、概念的に説明する説明図である。図1(A)は固定工程であり、加飾シート10は、真空成形時に延伸させる成形部分の周囲を、枠1で固定する。次に、図1(B)は加熱工程であり、枠1で固定された加飾シート10を、同図ではその表裏からヒータ等の加熱手段2によって非接触加熱で加熱する。そして次に、図1(C)は変形工程であり、加熱後の加飾シート10を枠1ごと折り曲げる等して二次元方向に変形させる。次に、図1(D)は成形工程であり、枠1に固定され変形した加飾シート10を、真空形成型3によって真空成形する工程である。
【0017】
変形工程を実施する為には、固定された加飾シート10を枠1ごと二次元方向に変形できる様に、枠1に変形手段を設けておけば良い。該変形手段としては、固定された加飾シートを二次元方向に変形させ得るものであれば特に制限は無く、ヒンジ機構等、従来公知の機構を適宜採用すれば良い。
【0018】
ここで、図2(A)は、枠1の平面形状を例示する平面図であり、該枠1は例えば図2(B)の側面図で例示する如く、枠本体1aと押え1bとからなり、加飾シート10は押え1bで枠本体1aに押えて固定する。そして、図2に例示の枠1は、変形手段4として蝶番を採用してある。該変形手段4は、長方形の枠の対向する2辺上に設けてある。そして、図2(C)の側面図の如く、枠1を蝶番からなる変形手段4の部分で折り曲げることで、該枠1によって固定されている加飾シート10は、枠1ごと二次元方向に変形する。変形手段4として設けてある蝶番は、その回転軸が、枠厚み方向の位置で、丁度、加飾シートに重なる部分としてあるので、変形時に加飾シートが無理矢理、延ばされたり押し込まれたりすることは無い。なお、枠の枠本体1aは、図2(B)及び図2(C)の如く、枠を蝶番で折り曲げられる様に蝶番部分で左右に分かた構造としてある。また、押え1bも蝶番部分は折り曲げ時に干渉しない様に逃がしてある。
【0019】
なお、「二次元方向に変形」とは、図3で説明すれば、最初はXY平面に平行なフラットな面であった加飾シート10が、変形後に、XZ平面での断面ではフラットで変形してないが、YZ平面での断面では折れ曲る等、凸凹があり変形した形状に変化する事である。
【0020】
この様に、加飾シート10を枠1ごと変形させることで、加飾シートの延伸は無いか有ったとしても殆ど無い状態、つまり実質的に成形(延伸)させずに、加飾シートの形状を、二次元平面形状から、それが屈曲乃至は折れ曲がった面形状に、変形させることができる。
【0021】
なお、枠1を蝶番を用いる等のヒンジ機構等による変形手段で変形させる場合、手動で変形させても良いが、エアシリンダ等の駆動源で枠1を駆動して変形させても良い。図4(A)及び図4(B)に、エアシリンダ5による枠1の変形動作の一例を概念的に示す。枠1は、その変形手段4の左右の部分でガイド部材6上に摺動自在に載置され、枠1の左右端部の各々にエアシリンダ5が連結されている。そして、図4(B)の様に、エアシリンダを伸ばすことで、枠1は、中心部の自重によって変形手段4の部分で折れ曲がり、真空成形型3の成形形状に近似した形状に、加飾シートを変形させることができる。
【0022】
なお、いままでの説明では、枠による加飾シートの変形は、1ヶ所の場合であったが、2ヶ所以上として、加飾シートをジクザグ形状やコの字形状等、より複雑な形状に変形させることもできる。また、蝶番を変形手段として使用した場合は、枠は蝶番の回転軸で折れ曲がる変形となるが、その他の変形手段(例えば板バネ)を採用して、湾曲する変形としても良い。また、蝶番を複数用いて少しずつ折れ曲る様にして、滑らかな湾曲形状を折れ線で近似する等しても良い。
もっとも、変形工程に於ける加飾シートの変形は、最終製品の形状と全く同一形状にまで変形させる必要は無く、真空成形時の絞りが大きくなる方向での成形品形状を、大まかに近似した形状にすれば、本発明による効果が十分に得られる。
【0023】
ところで、変形工程は、加飾シートを枠で固定した状態で加熱する加熱工程の後で行うが、もしも逆に、加熱工程の前に変形工程を実施すると、加飾シートの加熱が面的に不均一になるので好ましくない。加飾シートの加熱が不均一となると、真空成形時の加飾シートの延伸量が(成形形状に応じた延伸量の面的分布以上に)面的にムラになったり、更にシートの種類によっては破断したりする。
また、加熱工程を変形工程の前に行えば、ヒータ等の公知の加熱手段を、枠の上側、下側、或いはこれら両側に配置して、従来と同じ様にして加熱できる。しかし、加熱工程を変形工程の後にして、変形工程後に均一加熱しようとすると、ヒータ等の加熱手段も、変形された加飾シートの形状に合わせた形状にしたり配置したりして、ヒータと加飾シート間の距離を一定にする必要がある。しかしこれでは、変形後の加飾シートの形状、つまり、加飾成形品の形状毎に、ヒータ形状や配置も変える必要があり、実用的ではない。
【0024】
なお、枠の変形時に、邪魔になる加熱手段は、例えば横にずらす等、干渉しない位置に退避させれば良い。或いは逆に、枠の方を、加熱手段から真空成形型上に移動さる等して離せば良い。
【0025】
以上、本発明に於ける真空成形工程を、変形工程(及び加熱工程)を中心に説明してきたが、真空成形工程に於けるその他の工程は、従来公知の真空成形工程と同様で良く、更なる説明は省略する。
そして,この様な真空成形工程で真空成形した後の加飾シートは、その周囲や内部等で不要な部分はトリミングして、インサート用の成形シートとする。
【0026】
加飾シート:
ここで、本発明で使用し得る加飾シートについて、説明しておく。加飾シートとしては、従来公知のものを用途に応じて使用すれば良く、通常、この様な加飾シートは、基材シートと、それに意匠性を更に高め為に適宜設ける装飾層等からなる。
【0027】
基材シートとしては、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、一般的には、アクリル樹脂、或いは、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、或いは、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等が使用される。そして、基材シートは、これら樹脂の単層シート、或いは同種又は異種樹脂による複層シートとして使用される。
基材シートの厚みは、用途に応じて選定されるが、通常、0.1〜1.0mm程度であるが、コスト等を考慮すると0.3〜0.7mm程度が一般的である。また、加飾シートとしては、一般的には、図5の断面図で例示する様に、基材シートが分離独立した層(基材シート11a及び11b)からなる2層構造のものが良く用いられる。この場合、表側(図面上側)の基材シート11aは透明層として、アクリル樹脂が良く用いられ、一方、裏側の基材シート11bは隠蔽性、及び射出樹脂との密着性等を考慮して、該樹脂に対応してABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の着色(隠蔽性)シートが用いられる。
【0028】
また、装飾層としては、絵柄等を印刷した絵柄層が代表的である。印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、活版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等、従来公知の適宜方法が採用される。
また、装飾層としては、アルミニウム等の金属を蒸着法等で部分的又全面に形成した金属薄膜層等も適宜使用される。また、装飾層とてしは、単なる意匠性以外に、硬質塗膜、導電体層、磁性体層、抗菌剤層、蛍光体層等の公知の機能性層でも良い。
絵柄層の絵柄は、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼調模様、煉瓦積調模様、布目模様、皮絞模様、文字、記号、図形、幾何学模様、全面ベタ等である。
絵柄層等のインキには、用途に合わせて公知のインキを使用すれば良い。バインダー樹脂には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂等が使用され、着色剤には、チタン白、カーボンブラック、弁柄、コバルトブルー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、イソインドリノン、キナクリドン等の有機顔料、アルミニウム粉末等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母粉末等の真珠光沢(パール)顔料、或いは、染料等が使用される。
【0029】
また、加飾シートの裏面は、射出樹脂との密着性を向上させる為に、適宜、
接着剤層を設ける。接着剤層には、射出樹脂に応じて、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、ゴム系樹脂が、具体的には例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が用いられる。
【0030】
インサート成形工程:
インサート成形工程では、前述真空成形工程後、不要部分をトリミングして得た成形シートを、射出成形型内に挿入した後、型締めし、そして、樹脂を型内に射出して、樹脂と成形シートとが積層一体化した加飾成形品を成形する。このインサート成形工程は、従来公知のインサート成形と同様で良い。
【0031】
加飾シートを予め加飾成形品の形状に成形した成形シートとして、射出成形型に装着するインサート成形は、いわゆる射出成形同時加飾法に於ける射出成形型と真空成形型とを兼用する形態に対して、次の様な利点を有する。それは、この形態の射出成形同時加飾方法では、射出成形型で真空成形型を兼用する為に、作業工程は少なくなり生産性の点では良いが、キャビティ全面に加飾シートを真空成形して沿わせる為に、加飾が必要でない場所にも加飾シートが積層されて絵柄が付いてしまったり、逆に、加飾が必要でない形状部分にも成形可能性が影響されてしまったりする為に、形状に制限が出易い。しかし、インサート成形法を利用すれば、この様な形状の制限が出難いという利点が得られる。
【0032】
なお、射出樹脂は用途に応じた樹脂が使用され、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が代表的である。或いはまた、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等でも良い。
【0033】
その他:
本発明は、上述した如く、シート加熱後の真空成形前に、枠を変形させる事によって、予め加飾シートを枠ごと変形させておく点に主たる特徴があり、その変形手段及びその駆動方式、加飾シートの枠への固定方式等は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、上述した説明に限定されるものではない。また、本発明に於ける真空成形には、圧空も併用する真空圧空成形も包含する。
また、加飾成形品の用途も、車両内装部品に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
【0035】
〔実施例1〕
加飾成形品20として、図6の斜視図で示す如き略L字形状で、高さ20cm、長さ30cm、幅25cmの大きさで2箇所の開口部を有する、自動車センターコンソールを、次の様にして作製した。
【0036】
使用した加飾シート10は、図5の断面図の如き層構成であり、先ず、表側の基材シート11aとする75μmの透明アクリル樹脂シートの裏面に、グラビア印刷により木目柄の絵柄層を装飾層12として形成した。そして次に、この装飾層面にウレタン樹脂系接着層(不図示)を施し、裏側の基材シート11bとする厚さ400μmの隠蔽着色ABS樹脂シートとラミネートして、所望の加飾シート10を作製した。
【0037】
一方、枠1として、大きさが幅40cm、長さ55cmで、図4(A)及び図4(B)の様な形状で、長さ方向で端から30cmの所に、変形手段4として一対の蝶番を設けて、また、枠の長さ方向両側の端部には、それぞれエアシリンダ5を設置して、ヒータ退避後に、固定した加飾シートが100度の角度で折れ曲る形状に変形できる様にした。
【0038】
そして、前記加飾シートを上記枠に固定後、加飾シートの上側と下側、それぞれ15cmの距離から、400℃に設定したヒータパネルで、加飾シートを40秒間加熱して、シート温度が約170℃になるまで加熱した。その後、ヒータパネルを横方向に退避させ、その直後に枠を変形させると同時に、枠下側に設置してある真空成形型を上昇させ、加飾シートと真空成形型が接触した後、真空成形型から真空引きを行い、加飾シートを型形状に真空成形した。真空成形後の加飾シートは、極端な柄歪みもなく良好であった。
【0039】
次いで、真空成形後の上記加飾シートをトリミングして、成形部周囲の余分な部分と、成形部内部の2箇所の開口部となる部分とを、取り除き、成形シートを得た。
次いで、この成形シートを、射出成形型に挿入した後、型締めして、型内にABS樹脂を射出して、成形品表面に加飾シート(成形シート)が積層一体化した加飾成形品を成形した。
【0040】
〔比較例1〕
実施例1において、変形手段が無い通常の枠を用いた他は、実施例1と同様にして、加飾シートを真空成形した。その結果、一番下側(成形品の折れ曲った部分に該当)で5倍近く加飾シートが伸ばされて柄があまり伸びない他の部分と、全く違った柄に見えてしまった。また、加飾シートの厚みも、薄い部分が90μm程度にまでなり、取り扱い方が悪いと、直ぐに皺等が入ってしまい、使用に耐えなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、成形品の形状が二次元方向に大きく折れ曲がった様な形状でも、真空成形時の加飾シートの伸びを減らして柄歪みを小さく出来る。また、真空成形時の実質的な絞りを浅くできるので、比較的薄い加飾シートでも、対応が可能となる。また、真空成形装置には、その枠を折れ曲る等変形できるものとすれば良いだけで、一般の装置が使用でき、設備費等のコスト増も少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於ける真空成形工程を概念的に説明する説明図。
【図2】枠の変形手段をその一例で概念的に示す断面図。
【図3】二次元的変形の意味を説明する斜視図。
【図4】枠の変形動作をその一例で概念的に示す図。
【図5】本発明で使用する加飾シートの一例を示す断面図。
【図6】本発明で適用可能な加飾成形品の立体形状の一例の概略を例示する斜視図。
【符号の説明】
1 枠
1a 枠本体
1b 押え
2 加熱手段
3 真空成形型
4 変形手段(ヒンジ)
5 エアシリンダ
6 ガイド部材
10 加飾シート
11a 基材シート
11b 基材シート
12 装飾層
20 加飾成形品
Claims (2)
- 真空成形型により予め加飾シートを立体形状に成形する真空成形工程を経た後、余分な部分をトリミングして成形シートとし、次いで、該成形シートを射出成形型に挿入し射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートとを一体化するインサート成形法による加飾成形品の製造方法おいて、
前記真空成形工程が、(A)加飾シートの成形部周囲を長方形の枠に固定する固定工程と、(B)固定された加飾シートを加熱手段により加熱する加熱工程と、(C)加熱された加飾シートを長方形の枠の一方の対向する2辺を他方の対向する2辺が相互に近づく方向に折り曲げて枠ごと変形させる変形工程と、(D)変形した加飾シートを真空成形型を用いて真空成形する成形工程からなる、加飾成形品の製造方法。 - 請求項1記載の加飾成形品の製造方法を実施する成形装置であって、真空成形工程を受け持つ真空成形装置が、加飾シートの成形部周囲を固定する長方形の枠を備え、該枠が固定された加飾シートを長方形の枠の一方の対向する2辺を他方の対向する2辺が相互に近づく方向に折り曲げて枠ごと変形させる変形手段を有する、加飾成形品の成形装置。
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