JP4429611B2 - 銅合金複合箔、その製造法及び該銅合金複合箔を用いた高周波伝送回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強度、導電性、表面形状に優れた銅合金複合箔、並びに該銅合金複合箔の製造方法に関するものであり、例えば、ICカードのアンテナ等のような高周波伝送回路の用途に最適な銅合金複合箔を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高機能電子機器に対する小型化、処理速度の高速化等の要求から、その回路配線に用いられる材料は、一般に狭ピッチ化・軽量化に有利な薄型であり、かつ高周波電流に対するインピーダンスの低いことが要求されている。その1つの例がICカードである。
最近までは主に、磁気信号を記録させた磁気カードが携帯に便利であることから、キャッシュカードやクレジットカード、テレフォンカード、ポイントカードなど種々の分野で幅広く利用されてきている。これに対しICカードは、カード内にICを内蔵することで、より高度な判断、複雑な演算が可能となり、記憶容量は磁気カードの100倍程度大きく、かつ情報の読み書きが可能で、安全性が高いという特徴もある。
ICカードの情報伝達方法には、接点への物理的接触により交信する接触型以外に、電磁波などを用いて最大数m程度の空間的な距離をあけて交信することのできる非接触型のものがある。
【0003】
ICカードのこれらの特徴により、ICカードは例えば、IDカード、乗車券、定期券、電子マネー、高速道路ゲート通行券、健康保険証、住民票、医療カード、物流管理カード等といった非常に広い範囲での利用が見込まれている。
非接触型ICカードはその通信距離により、密着型(通信距離〜2mm)、近接型(同10cm)、近傍型(同70cm)、マイクロ波型(同数m)の4タイプに分かれており、通信周波数は密着型では4.91MHz、近接型、近傍型では13.56MHz、マイクロ波型では2.45および5.8GHzとMHzからGHz域までわたっている。
【0004】
この非接触型ICカードの基本構造は、絶縁シート、アンテナ、ICチップからなり、ICチップには強誘電体メモリ、不揮発性メモリ、ROM、RAM、変復調回路、電源回路、暗号回路、制御回路などが組み込まれている。このICカードのアンテナ部材としては、被覆銅線巻き線、銀ペースト、アルミ箔、銅箔などが使用されており、巻き数、用途、製造コストなどにより使い分けられている。巻き数が少なく高導電性が必要な場合は、アンテナ材料として圧延純銅箔や電解銅箔を用いることが多い。
【0005】
しかし、アンテナ用材料として通常の電解銅箔のような表面粗さの大きい箔を用いると、高周波信号の発信、受信の際にインピーダンスが増大し、高周波領域では使用できない場合がある。一方、電解、圧延に限らず純銅箔を用いた場合においては、材料強度が低いため、部品を組み立てる工程で箔が変形したり、狭ピッチの配線のため、引っ張り応力がかかると破断して生産性を下げるという不具合がある。
また、リードフレーム材料などとして用いられている高強度高導電性銅合金は、純銅の箔に比べると高い材料強度を有しているが、近年の信号伝達の高速化、小型化、高い信頼性などの要求に対処するには不十分である。
従って、さらなる狭ピッチ、軽量化に対応すべく、これら従来の銅合金の特性を向上させた銅合金の使用が各種出願されている(例えば特許文献1参照)が、アンテナ用材料として十分な強度と高周波領域での伝送ロス低減という特性を満足するものにはいたっていない。
【0006】
特開2002−167633号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記近年の要望に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、高強度と高導電性を併せ持ち、なおかつ表面に銅又は/及び銀のごとく抵抗の小さい層を設けたインピーダンスの低い銅合金複合箔を開発し、近年の要望に対応した箔を提供することに成功したもので、強度、導電性、表面形状に優れた、例えば、ICカードのアンテナ等のような高周波伝送回路の用途に最適な銅合金複合箔並びにその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基本的な考え方は、次のとおりである。即ち、
高周波領域では、電流が表層を流れるため導電性に優れる銅又は/及び銀を表面に配置し、強度は芯材となる銅合金圧延箔(材)で持たせる。また、電解銅箔などと比べ、繰り返し曲げ性に優れる銅合金圧延箔の使用により、折り曲げされる用途での使用にも耐えうる材料とすることである。
表面の銅または銀層は、導電性から高純度であることが望ましいが、微量の添加元素を加えて合金化してもよい。
【0009】
本願の請求項1の発明は、銅合金圧延箔の少なくとも片方の表面に厚さが少なくとも0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmであり、Raで0.02〜0.5μmである銀のめっき層を設けたことを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔である。
【0010】
本願の請求項2の発明は、銅合金圧延箔の少なくとも片方の表面に厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmであり、Raで0.02〜0.5μmである銅のめっき層を設けたことを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔である。
【0011】
本願の請求項3の発明は、銅合金圧延箔の少なくとも片方の表面に銅めっき層及び銀めっき層からなるめっき層を設け、該めっき層の厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmであり、Raで0.02〜0.5μmであることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔である。
【0012】
本願の請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の銅合金複合箔であって、該銅合金複合箔の引っ張り強さが500N/mm2以上であることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔である。
【0013】
本願の請求項5の発明は、平滑層上に、粗化処理、防錆処理のいずれか又は両者を施したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の銅合金複合箔である。
【0015】
本願の請求項6の発明は、銅合金からなるインゴットを圧延により所望の厚さの箔に加工した後、該加工銅合金箔の少なくとも片方の表面にめっきにより厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmであり、Raで0.02〜0.5μmである銅又は/及び銀のめっき層を施すことを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔の製造方法である。
【0017】
本願の請求項7の発明は、銅合金からなるインゴットを圧延により中間サイズの厚さの箔にまで加工し、該加工銅合金箔の少なくともその一方の箔表面に銅めっき又は/及び銀めっきを施し、次いで圧延加工を施して厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmであり、Raで0.02〜0.5μmである銅又は/及び銀のめっき層とすることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔の製造方法である。
【0018】
本願の請求項8の発明は、銅合金からなるインゴットを圧延により中間サイズの厚さの箔にまで加工し、少なくともその一方の箔表面に銅めっき又は/及び銀めっきを施し、次いで熱処理を施し、或いは熱処理と圧延加工処理を施して、厚さが0.01〜3μmの銅又は/及び銀からなるめっき層とすることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔の製造方法である。
【0019】
本願の請求項9の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の銅合金複合箔を用いて、或いは請求項6乃至8のいずれかに記載の製造方法で製造した高周波伝送回路用銅合金複合箔を用いて作成したことを特徴とする高周波伝送回路である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明における銅合金複合箔の表面に形成する銅又は/及び銀の層は、所望の厚さとした銅合金材(箔又は中間厚さの板)にめっきして形成することができ、銅又は/及び銀の層は圧延や焼鈍などの工程以前に施しても良く、最終的に箔の表面に薄い層として残存させれば良い。
芯材が、固溶型、または析出・固溶型合金の場合(例えば、亜鉛などを含む場合)には、熱処理などの銅めっき後の加工により、表面層まで合金元素(Zn)が拡散し表面まで合金化(Cu−Zn合金)される場合があり、表面の導電率を低下させるため熱処理などの条件を適宜設定し、表面層の導電率を確保する必要がある。
従来の銅合金箔を使用して高周波で通電すると表皮効果のため抵抗が極端に増大するためインピーダンスの増大を招き、正常な信号の送受信が不可能となる場合がある。この現象を解析した結果、従来の銅合金箔を使用すると、銅合金箔は純銅箔に比べ導電率が低いため表皮効果での影響が大きいことがわかった。
【0021】
また、表面粗さが粗くなった場合も上記不具合の発生がある。表面粗さの指標としては、Rz、Raの両者が影響する。
本発明において種々実験、検討した結果、導電率の低い銅合金材料を芯材とする本発明銅合金複合箔は高周波伝送における表皮効果に対して、Rzが5.0μm以下、Raが0.5μm以下とすることが好ましい。
【0022】
一方、表面粗さが平滑すぎると、搬送時においてスリップが生じて、箔表面に傷の発生を誘発する。箔(一般に箔とは、0.080mm以下のもの)の製造、取り扱いは板の製造、取り扱いと異なり、箔の薄さのため低い張力でライン上を搬送させなければならず、板に比べて搬送ロールが同調し難く、スリップ傷が発生しやすい。スリップ傷は、箔全長に渡って発生することもあり、強いスリップ傷でRzが5.0μmを超えるものは、この発生部位にて箔に折れが発生することもある。大きなスリップ傷が発生した部位をそのまま回路部品として加工した製品は、スリップ傷が発生しなかった製品と比べ、表皮効果のため、インピーダンスが大きくなり、高周波伝送回路用として使用できない状態となる。
このため、銅合金複合箔のRzは0.3μm以上、Raは0.02μm以上とすることが望ましい。
【0023】
箔の強度は、部品を組み立てる工程で箔が変形したり、狭ピッチの配線を行う場合に負荷される引張り応力などに耐えられるだけの十分な高い強度が必要とされ、本発明銅合金複合箔では引っ張り強度で、500N/mm2以上、望ましくは700N/mm2以上が必要である。これより低い場合には、組み立て加工時の破断や通板時にしわや折れなどが発生し、生産性を損ねる他、しわによりインピーダンスが増大する恐れがあるからである。
【0024】
本発明では箔の強度を銅合金の芯材にて持たせ、かつ表面に銅や銀のごとく導電性の高い金属を配することで高周波伝送時での表皮効果によるロスを減少させている。銀や銅での周波数と電流の流れる深さ(表皮深さ)は、10MHzで約20μm、0.5GHzで約3μm、1GHzで約2μm、10GHzで約0.6μmと計算されており、表面の少しの粗さや導電率(不純物含有)により、大きな効果がでてくる。
表面に存在する銅や銀層の厚みについては、表面の平滑化の効果も加わるが、その使用用途での周波数に応じた表皮深さの約1/10以上の厚みを有しておれば効果を発する。
つまり、密着型、近接型、近傍型では、約2μm程度の厚さが必要であり、マイクロ波型では、0.1μm程度の厚さで効果を発揮する。
【0025】
なお、エッチングによる回路形成に対しては、銀よりも銅層の方が同一のエッチャントで溶解除去しやすいため好ましい。
また、高周波特性からは、表面に粗化処理膜、防錆処理膜を形成しない方が望ましいが、樹脂などとの密着性や耐食性が要求される場合には、高周波特性を一部犠牲にして施してもよい。
【0026】
粗化処理膜としては、Cuまたは、CuとCo,Ni,Fe,Crからなる微細粒子、若しくはこれらとV,Mo,Wなどの元素の酸化物との混合物を電解析出させる。なおこの粗化膜上に更に平滑なCuめっきを施し、粉落ちを防止すると良く、通常0.01mg/dm2以上の付着量で基板樹脂との密着力を向上させることができる。
また、更にこの上に防錆処理、シランカップリング剤処理をほどこしても良い。防錆処理としては、一般的にNi,Zn,Crやこれらの合金めっきやクロメート処理または、BTAなどの有機防錆処理を施す。
シランカップリング剤処理としては、ビニル系、エポキシ系など使用される基板により適宜選択する。
【0027】
次に、本発明の実施例を用いて詳細に説明する。
なお、この説明は、本発明の一般的な説明をする目的でなされたものであり、何ら限定的意味を持つものではない。
【0028】
実施例1
電気銅を主原料とし、銅ベリリウム母合金、コバルトを副原料として配合し、高周波溶解炉にて真空中で銅−ベリリウム−コバルト合金を溶解製造し、厚さ28mmのインゴットに鋳造した。
続いて、インゴットに熱間加工を施し、冷間加工と溶体化処理を繰り返した後、最終の冷間圧延を行い、厚さ33μmの箔として時効処理を施した。得られた合金の組成は、Be=0.4wt%、Co=5.2wt%であった。
得られた箔の表面に、公知の前処理を施し、シアン浴にてCuを両面1μmの厚さにめっきを施した。めっきした銅合金複合箔の表面粗度は、Raで0.2μm、Rzで3.1μmであった
得られた複合箔の、引っ張り強さは、1010N/mm2、導電率は30IACS%であった。
【0029】
実施例2
実施例1と同様にして製造した銅合金箔に、Cuめっきに替えて、シアン浴でAgめっきを両面1μmの厚さに施した。
表面の粗度は、Raで0.23μm、Rzで3.2μmであった。
得られた銅合金複合箔の、引っ張り強さは、1020N/mm2、導電率は29IACS%であった。
【0030】
実施例3
電気銅を主原料とし、銅ベリリウム母合金、コバルトを副原料として、実施例1と同様の配合で、高周波溶解炉にて真空中で銅―ベリリウムーコバルト合金を溶解製造し、厚さ25mmのインゴットに鋳造した。
続いて、インゴットに熱間加工を施し、冷間加工と溶体化処理を繰り返した後、最終の冷間圧延を行い、厚さ29μmの箔とした後、両面に厚さ3μmのシアンCuめっきを施した後、時効処理を施した。
表面の粗度は、Raで0.2μm、Rzで2.2μmであった。
得られた複合箔の引っ張り強さは、920N/mm2、導電率は36IACS%であった。
【0031】
実施例4
実施例3で鋳造したインゴットに熱間加工を施し、冷間加工と溶体化処理を繰り返し、厚さ35μmの箔とした後、両面に厚さ3μmのシアンCuめっきを施した後、最終の冷間圧延を行い35μmとしてから、時効処理を施した。
表面の粗度は、Raで0.17μm、Rzで2.1μmであった。
得られた複合箔の引っ張り強さは、910N/mm2、導電率は35IACS%であった。
【0032】
比較例1
電気銅を主原料とし、銅ベリリウム母合金、コバルトを副原料として、高周波溶解炉にて真空中で銅―ベリリウムーコバルト合金を溶解製造し、実施例1と同じ合金組成の厚さ30mmのインゴットを鋳造した。
続いて、インゴットに熱間加工を施し、冷間加工と溶体化処理を繰り返した後、最終の冷間圧延を行い、厚さ35μmの箔として時効処理を施した。
表面の粗度は、Raで0.3μm、Rzで3.6μmであった。
引っ張り強さは、1080N/mm2、導電率は26IACS%であった。
【0033】
実施例1乃至4で得られた銅合金複合箔並びに比較例1で得られた銅合金箔につき、伝送ロスの評価を行った。
評価は各実施例、比較例1で作成した銅箔を高周波基板用樹脂を含浸させたガラス布プリプレグ上に置いて加熱プレスして積層板とし、次いで箔表面にドライフィルムエッチングレジストを貼りエッチングし、高周波プリント配線板を作成した。 配線板の箔の巾:100μm、導体間:100μmのパターンを得た。これを用いて、4GHzの信号を500mm送り伝送ロスを測定した。
各実施例の比較例1と比べた伝送ロスの減少率は、下記であった。
実施例1:13%
実施例2:12%
実施例3:42%
実施例4:35%
また、実施例は全て製造上にてスリップ傷などの発生もなく、外観は良好であった。
【0034】
実施例5
8%錫−リン青銅を、電気銅、リン含有銅、錫を原料として、真空鋳造し厚さ30mmのインゴットを得た。組成は、Sn=8.2wt%,P=0.03wt%であった。
本インゴットに熱間加工を施した後、冷間加工と圧延を繰り返し、厚さ30μmの箔を得た。得られた箔に公知の前処理を施した後、光沢硫酸銅めっき浴にて両面に厚さ2.5μmの銅めっきを施した。
表面粗度は、Raで0.2μm、Rzで1.8μmであった。
得られた複合箔の、引っ張り強さは、610N/mm2であり、導電率は25IACS%であった。
【0035】
実施例6
実施例5と同様に作成した銅合金複合箔につき、低温アニールを模擬すべく、250℃、30分の大気加熱を行い、表面を硫酸で酸洗いした。
粗度、引っ張り強さは実施例5と同等であり、導電率は23IACS%であった。
【0036】
実施例7
実施例5の銅合金複合箔につき、焼けめっき後カプセルめっきを施し、微細粗化処理した。さらに防錆処理としてCrを0.02mg/dm2電気めっきしビニル系のシランカップリング剤処理を施した。
粗度は、Raで0.27μm、Rzで2.5μmであり、引っ張り強さ、導電率は実施例5と同等であった。
【0037】
実施例8
実施例5と同様にして、厚さ34.6μmの箔を得た。この箔に公知の前処理を施した後、両面にシアン浴にてAgを厚さ0.1μmめっきした後、光沢硫酸銅めっきを厚さ0.1μm施した。
粗度は、Raで0.3μm、Rzで3.0μmであった。引っ張り強さは、692N/mm2、導電率は13IACS%であった。
【0038】
比較例2
実施例5で得られた厚さ30mmのインゴットに熱間加工を施した後、冷間加工と圧延を繰り返し、厚さ35μmの箔を得た。
表面の粗度は、Raで0.4μm、Rzで3.2μmであった。引っ張り強さは、700N/mm2、導電率は12IACS%であった。
【0039】
これらの箔につき前記と同様の方法で伝送ロスを測定した。
実施例5乃至8と比較例2とを比べた伝送ロスの減少率は、下記であった。
実施例5:35%
実施例6:23%
実施例7:13%
実施例8:9%
上記においても、各実施例では製造上にてスリップ傷などの発生もなく、外観も良好であった。
【0040】
また、本発明の銅合金複合箔は従来の電解銅箔や圧延の純銅箔の強度が約400N/mm2程度であるのと比べ実施例1乃至4では1000N/mm2程度、実施例5、8でも600N/mm2以上と強度が高く、また、繰り返し曲げも測定の結果約3倍の強度を有している。
【0041】
【発明の効果】
上述したごとく、本発明の銅合金複合箔は従来の電解銅箔や圧延の純銅箔と比べ強度が高く、また、繰り返し曲げにも優れ、かつ銅合金圧延箔で著しい劣化を示した伝送ロスも防止できるため工業上非常に優れている。
また、特殊な銅合金の使用に限定されることなく、高強度銅合金のいずれにも応用できることからも工業的価値が高い。
更に、本発明銅合金複合箔は、高周波伝送回路として優れた特性を備えていることから、接触型、非接触型ICカードのアンテナ用材料等として好適に使用できる等の優れた効果を有するものである。
Claims (9)
- 銅合金圧延箔の少なくとも片方の表面に厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmで、Raで0.02〜0.5μmの銀のめっき層が設けられていることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔。
- 銅合金圧延箔の少なくとも片方の表面に厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmで、Raで0.02〜0.5μmの銅のめっき層が設けられていることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔。
- 銅合金圧延箔の少なくとも片方の表面に銅めっき層及び銀めっき層が設けられ、該めっき層の厚さは0.01〜3μm、表面粗さは、Rzで、0.3〜5.0μm、Raで0.02〜0.5μmであることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の高周波伝送回路用銅合金複合箔であって、該銅合金複合箔の引っ張り強さが500N/mm2以上であることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔。
- 前記めっき層上に、粗化処理又は/及び防錆処理を施したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の高周波伝送回路用銅合金複合箔。
- 銅合金からなるインゴットを圧延により所望の厚さの箔に加工した後、該加工銅合金箔の少なくとも片方の表面にめっきにより厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmで、Raで0.02〜0.5μmである銅又は/及び銀のめっき層を施すことを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔の製造方法。
- 銅合金からなるインゴットを圧延により中間サイズの厚さの箔にまで加工し、該加工銅合金箔の少なくともその一方の箔表面に銅めっき又は/及び銀めっきを施し、次いで圧延加工を施して厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmであり、Raで0.02〜0.5μmである銅又は/及び銀のめっき層とすることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔の製造方法。
- 銅合金からなるインゴットを圧延により中間サイズの厚さの箔にまで加工し、少なくともその一方の箔表面に銅めっき又は/及び銀めっきを施し、次いで熱処理を施し、或いは熱処理と圧延加工処理を施して、厚さが0.01〜3μmで、表面粗さが、Rzで、0.3〜5.0μmであり、Raで0.02〜0.5μmである銅又は/及び銀のめっき層とすることを特徴とする高周波伝送回路用銅合金複合箔の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の銅合金複合箔を用いて、或いは請求項6乃至8のいずれかに記載の製造方法で製造した高周波伝送回路用銅合金複合箔を用いて作成したことを特徴とする高周波伝送回路。
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