JP4420477B2 - 高純度ジアリールカーボネートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度に精製されたジアリールカーボネートおよびその製造方法に関するものである。本発明で得られたジアリールカーボネートは溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネートを製造する原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、容器、光ディスク基板、光学レンズ等に使用されている。ポリカーボネート中に残存する塩素はポリカーボネートの色相を低下させたり、成型金型の腐食の原因、光ディスクの情報記録の読み取りの誤りにつながるので塩素含有量が低いポリカーボネートが好まれる。
特開平2−175722号公報は、ジアリールカーボネートとビスフェノールAのような芳香族ジオキシ化合物とを塩基法触媒の存在下に溶融重縮合(エステル交換反応)させて塩素含量が1ppm(パート・パー・ミリオン)以下のポリカーボネートを製造するに際し、原料のジアリールカーボネート、ビスフェノールAとして塩素含量が低いものを用いることを提案する。
【0003】
ジアリールカーボネートの製造方法としては、種々の製造法が知られている。例えば、第4級アンモニウム塩触媒の存在下で芳香族モノヒドロキシ化合物をホスゲン化する方法や、芳香族モノヒドロキシ化合物のアルカリ金属水溶液とホスゲンとを、有機溶媒の存在下に反応させる方法などである。
商業的に製造されるジアリールカーボネートは、どの製造法によるものでも各種の汚染物質を含有しており、精製工程が必要となる。汚染物質とは、無機及び有機の塩化物、金属イオン、鉄化合物、アリールクロロホーメートのような反応中間体、製造に使用した有機溶媒などである。
【0004】
特公昭38−1373号公報は、エステル交換法に適したジアリールカーボネートの精製法として粗製ジアリールカーボネートを溶融状態で熱水または熱弱塩基性水溶液で処理することを提案する。しかし、この公報の実施例を追試したところ、塩素含量が0.6ppmのジフェニルカーボネートしか得られなかった。他に精製方法として、ジフェニルカーボネートに尿素を加えて加熱溶融する方法(特公昭42−9820号)、溶融ジアリールカーボネートを水で洗浄し、ついで蒸留する方法(特開平7−138208号)、粗ジフェニルカーボネート溶融液から分別して結晶化する方法(特開平8−3119号)、ジフェニルカーボネートを塩基性物質の存在下に蒸留する方法(特開平8−198816号)などが知られている。
【0005】
これらの汚染物質の内、無機及び有機の塩化物の存在は、芳香族ポリカーボネートを製造する際の重合速度及び色相に大きな影響を与えるため、特に重要である。
しかしながら、商業的に入手できる純度の高いジアリールカーボネートとしては、0.1ppmオーダーのジアリールカーボネートしか得られない。
【0006】
特開平4−100824号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当たり、▲1▼重合触媒を使用せず、▲2▼塩素含有量が0.05ppm以下であり、かつ、キサントン含有量が10ppm以下であるジアリールカーボネートを原料として用いる芳香族ポリカーボネートの製法が記載されている。この中で、塩素とは、塩酸や塩化ナトリウム、塩化カリウム等の酸や塩として存在する塩素、またはフェニルクロロフォーメートのような有機化合物中の塩素を意味し、AgNO3 溶液を用いた電位差滴定による塩素イオンの測定により定量することができると記載している。
【0007】
前述の特開平7−138208号によれば、粗製ジアリールカーボネート中のクロライド濃度(6.6〜7.0ppm)については、1〜3回の水洗又はその水の再使用のいずれの場合にも、ジフェニルカーボネート中の滴定可能なクロライドは1ppmに減少したとしている。
前述の特開平8−198816号によれば、通常の市販のジフェニルカーボネートには、加水分解性塩素として約1〜10ppmの塩素が含まれており、このジフェニルカーボネートに塩基性物質を添加して蒸留することにより、加水分解性塩素は0.1〜0.4ppmとなっている。この中で、加水分解性塩素とはジフェニルカーボネートを溶解あるいは融解させた状態で、水で抽出可能な塩素をいい、具体的には塩化ナトリウム等の塩類、フェニルクロロフォーメート等の加水分解可能な化合物に由来する塩素を指しており、この塩素は、ジフェニルカーボネートを約5g精秤し、トルエン10mlを加え、60℃の湯浴で溶かした後、内標の入った抽出液(2.8mMのNaHCO3 /2.25mMのNa2 CO3 の溶液に内部標準としてNaBrを加えたもの)10mlを加え、60℃の湯浴で加温を行いながらマグネチックスターラーで6時間撹拌して放置冷却後、水相をイオンクロマトグラフィーで分析することにより測定されるとしている。
【0008】
上記の如く、微量に含有した塩素の低減及び測定について種々の方法が提案されているが、より高度な精密情報化を要求される光ディスク基板、IC、LEDウェハー等の搬送容器の用途には、これら精密部材の誤作動を防ぐため、より低塩素含有量のジアリールカーボネートが要求されると共に、塩素の種類による色相、誤作動の影響についても解明が待ち望まれていた。
従来の塩素含有量の記載は、加水分解性塩素、即ち、塩酸や塩化ナトリウム、塩化カリウム等の酸や塩として存在する塩素、またはアリールクロロフォーメートのような有機化合物中の塩素を示すものであった。当然、これらの塩素はその形態によって、芳香族ポリカーボネートを製造する際への影響が異なるものと考えられていたが、詳細な研究がなされていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、種々の塩素の内、容易に水へ抽出される活性な塩素こそが、芳香族ポリカーボネートの重合速度に及ぼす影響が最も大きいことを見出し、本発明を完成するに至った。
重合速度に及ぼす影響機構から、主たる活性な塩素としては塩酸が考えられる。塩酸の場合、重合触媒等と即座に強固な錯体や塩を形成し、重合のすみやかな進行を阻害するものと推定している。既知の塩素測定方法では、容易に水へ抽出される活性塩素の他に、アリールクロロフォーメート等の有機化合物の加水分解によって遊離した塩素も含まれていたが、これらの塩素が重合速度に影響を与えるためには加水分解を生じることが前提であり、同濃度で比較した場合、容易に水へ抽出され得る活性な塩素より、実際の重合過程に及ぼす影響は小さいことを見出した。
本発明は、ジアリールカーボネートを用いた溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネートの製造に用いられるジアリールカーボネートについて、最もポリカーボネートに影響を与える塩素源とその測定方法を明らかにし、その許容量を明確にしたジアリールカーボネートの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記測定法で測定される塩素含有量が、30ppb以下であるジアリールカーボネートを提供するものである。
塩素測定法:
ジアリールカーボネート 5gをトルエン 10mlに加え、60℃で溶解後、超純水10mlを加え、室温(20〜30℃)で10分間撹拌した後、水相中の塩素をイオンクロマトグラフで分析する。
【0011】
本発明の高純度ジアリールカーボネートの製造方法は、芳香族モノヒドロキシ化合物とホスゲンまたはアリールクロロフォーメートとを芳香族複素環式含窒素塩基性化合物の存在下に反応させて生成した反応混合物からジアリールカーボネートを回収してジアリールカーボネートを製造する方法において、上記測定法で測定される塩素含有量が、30ppb以下であるジアリールカーボネートが得られるように、該反応混合物を、80〜95℃のアルカリ水溶液と接触させて中和した後、有機相と水相に分離し、該有機相を80〜95℃の温水と接触させ、再び水相と有機相に分離し、この分離された有機相より蒸留によりジアリールカーボネートを回収するものである。
【0012】
【作用】
溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネートの製造において、反応液中の塩素含有量を、1万分の1〜200万分の1まで精製して得られた、上記測定法で測定される塩素含有量が、30ppb以下であるジアリールカーボネートを使用することにより、従来法のジアリールカーボネートを使用する場合に比べて、重合触媒添加量を低減することができるので、生成した芳香族ポリカーボネート中に残存する重合触媒量が低減し、従来品より優れた色調及び物性の芳香族ポリカーボネートが得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
芳香族モノヒドロキシ化合物:
芳香族モノヒドロキシ化合物としては、芳香環に直接ヒドロキシ基が結合しているものであり、フェノール、クレゾールやブチルフェノール等のアルキルフェノール類、アリールフェノール類、ハロゲン化フェノール類及びヘテロ原子を介してアルキルまたはアリール基の結合したフェノール類が使用できる。
【0014】
アリールクロロフォーメート:
アリールクロロフォーメートとしては、前記芳香族モノヒドロキシ化合物のクロロフォーメートが使用できる。
ホスゲン:
ホスゲンとしては、塩化メチレンや四塩化炭素等の不純物を含有しない純粋のものが好ましい。芳香族モノヒドロキシ化合物 1.0モルに対し、ホスゲンは、1.0モル以下、好ましくは0.4〜0.5モル使用される。
【0015】
芳香族複素環式含窒素塩基性化合物またはその塩:
触媒として用いられる芳香族複素環式含窒素塩基性化合物としては、窒素原子が芳香族の5員環または6員環中に存在しており、かつ、反応条件下にホスゲンまたは炭酸エステルと強固な結合を生じやすい官能基(例えば、アミノ基またはヒドロキシ基)を有していない塩基性窒素化合物であり、環には、窒素原子の他に酸素、硫黄等の他のヘテロ原子を有していても良い。
かかる触媒の具体例としては、ピリジン、キノリン、ピコリン、イミダゾール類、ベンズイミダゾール類、ピラゾール類、トリアゾール類及びベンゾトリアゾール類である。
【0016】
芳香族複素環式含窒素塩基性化合物触媒は、反応混合物中で直ちに相当する塩酸塩に変化する。この塩酸塩は遊離型の塩基性触媒と解離平衡の状態にあるため、遊離型の塩基性触媒の代わりに、塩基性触媒の塩、例えば、塩酸塩や硫酸塩等の無機酸塩、蟻酸塩や酢酸塩等の有機酸塩を使用することができる。
これらの触媒は、芳香族モノヒドロキシ化合物1.0モルに対して、0.001〜0.20モルの量で使用することが好ましく、0.01〜0.10モルの使用がさらに好ましい。
【0017】
アルカリ:
アルカリとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びバリウムの水酸化物、炭酸及びリン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩が使用できる。
反応:
本発明の高純度のジアリールカーボネートを得る一例を、図1を用いて説明する。
芳香族モノヒドロキシ化合物1と芳香族複素環式含窒素塩基性化合物またはその塩2の混合物を反応器4内に充填し、これを120〜190℃に昇温し、溶融させ、充分な撹拌を行いながら同温度でガス状のホスゲン3を混合物中に導入することにより反応を行う。
【0018】
ホスゲン導入量としては、芳香族モノヒドロキシ化合物1.0モルに対して1.0モル以下が好ましく、0.4〜0.5モルがさらに好ましい。化学量論量は0.5モルであるが、ホスゲンの同入量を化学量論量以下に抑制することにより、未反応の芳香族モノヒドロキシ化合物が必然的に残存し、反応中間体であるアリールクロロフォーメートと芳香族モノヒドロキシ化合物のジアリールカーボネート生成反応が促進されて、工業用グレードの着色のないポリカーボネート製造時に悪影響を及ぼすアリールクロロフォーメートをほとんど含まない反応混合物を得ることができる。その際、必要により、ホスゲン導入後に窒素ガス5を反応混合物中に吹き込んで、反応によって生成した塩酸6を系外へ除去することにより、アリールクロロフォーメートと芳香族モノヒドロキシ化合物の平衡反応をさらに促進することができる。
【0019】
反応終了後の混合物中には、ジアリールカーボネート、未反応芳香族モノヒドロキシ化合物、微量不純物及び触媒である芳香族複素環式含窒素塩基性化合物の塩酸塩が含まれており、塩素の含有量は、触媒の使用量に応じて約300〜60,000ppmとなる。
塩素の除去は、反応器4より取り出した反応混合物7を80〜95℃のアルカリ水溶液8と接触させて中和し、pH7〜13の中和液を分離槽9で有機相と水相に分離し、有機相を抜き出して80〜95℃の温水10と接触させた後、再び、これを分離槽11で有機相と水相に分離することにより行う。
【0020】
塩基性触媒を容易に効率良く回収するために、水相と分離した有機相を蒸留塔に導き、そこで蒸留によって、遊離型の塩基性触媒12及び未反応芳香族モノヒドロキシ化合物13とジアリールカーボネート14に分離する。
蒸留温度は、遊離型の塩基性触媒がピリジンの場合は20〜40torrで50〜80℃、未反応の芳香族モノヒドロキシ化合物がフェノール等の場合は20〜40torrで50〜100℃、ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネート等の場合5〜10torrで140〜160℃である。
本発明のジアリールカーボネートの製造は、連続式でも、バッチ式(回分式)でもよい。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
実施例1
オイル循環方式の外部加熱装置に接続されたジャケット付きガラス製反応容器(内容積が1リットル、実液700mlの位置にオーバーフロー管を設置)を3個連続で接続した。第2と3の反応容器には、生成した塩酸ガスを系外へ除くためのコンデンサー付き排気管を接続した。
あらかじめピリジンを5モル%添加して撹拌しておいた溶融フェノールを、約700ml/hr(フェノール716g/hr、ピリジン30g/hrに相当)で第1反応容器へ連続供給しながら、150℃へ昇温した。充分に撹拌を行いながら、供給されるフェノールの0.48モル比のホスゲン(361g/hr)を第1反応容器へ連続供給した。
【0022】
第1反応容器から流出した反応混合物は、オーバーフロー管を介して第2反応器へ供給し、第2反応器から流出した反応混合物は同様に第3反応器へ供給した。第3反応器から流出した反応混合物は、ポリプロピレン製の受器に抜き出した。第3反応器には、窒素ガスの吹き込み管を設置し、反応混合物中へ70Nリットル/hrの窒素ガスを連続供給した。
【0023】
組成が充分に安定した後に抜き出した反応混合物(組成:ジフェニルカーボネート89重量%、フェノール6重量%、ピリジン塩酸塩5重量%、フェニルクロロフォーメート未検出)1kgを、オイル循環方式の外部加熱装置に接続されたジャケット付きガラス製反応容器に入れ、85℃へ昇温した。85℃に加温しておいた濃度が5重量%の水酸化ナトリウム水溶液372gを添加して5分間撹拌後、30分間静置してから水相と有機相を別々に抜き出した。水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHは9であった。
抜き出した有機相を、再度、オイル循環方式の外部加熱装置に接続されたジャケット付きガラス製反応容器内に入れ、85℃へ昇温した。85℃に加温しておいた脱塩水300gを添加して5分間撹拌後、5分間静置してから水相と有機相を別々に抜き出した。
【0024】
スルザーパッキング(住友重機工業製)10個を充填した真空蒸留塔にて、分離した有機相を蒸留精製した。詳細には、真空度20〜40torr、オイルバス温度約220℃、トップ温度50〜80℃で、遊離型のピリジンとフェノールを留去した後、真空度10torr、オイルバス温度約230℃、トップ温度150℃で、遊離型のピリジンとアリールクロロフォーメートを全く含まない(0ppm)精製ジフェニルカーボネート750gを得た。
【0025】
このジフェニルカーボネート5gをトルエン10mlに加え、60℃で溶解後、超純水(Clを含有しないイオン交換水)10mlを加え、23℃の恒温室でマグネチックスターラを用い1000rpmで10分間撹拌した後、水相中の塩素をイオンクロマトグラフで分析したところ、20ppbであった。
なお、同じジフェニルカーボネートの塩素含有量を、特開平8−198816号公報に記載の加水分解性塩素測定法により測定したところ、50ppbであった。
【0026】
応用例1
電解研磨された撹拌翼を取り付けた500mlのガラス製セパラブルフラスコ内に、ビスフェノールA(新日鉄化学製)183g(0.800モル)、炭酸セシウム260μg(1μモル/ビスフェノールAモル)の0.5%水溶液、実施例1で得たジフェニルカーボネート188g(0.880モル)を加え、窒素雰囲気下で210℃で100分間撹拌した。次に210℃で100torrまで減圧し60分間撹拌した。
【0027】
更に240℃で15torrまで減圧し60分間撹拌した。次に270℃で1torr以下まで減圧し60分間撹拌した。得られたポリカーボネートを取り出し、以下の方法で分子量、色調を評価した。
分子量:塩化メチレン溶液の粘度から平均分子量を算出する。
色調:塩化メチレン溶液のYl値を測定する。
結果を表1に示す。
このポリカーボネートを射出成形して得たICチップ搬送トレイ内にICチップを入れて1ヵ月保管し、このICチップを組み込んだ電気製品について、誤作動は見受けられなかった。
【0028】
実施例2
実施例1において、85°Cの脱塩水による洗浄分離の工程を2度繰り返す以外は同様にして得た塩素含有量が10ppbであるジフェニルカーボネート(特開平8−198816号公報記載の加水分解性塩素測定法による測定値は、15ppbであった。)を用いて、応用例1の触媒量を2分の1として重合評価を行った。活性な塩素の量が低減しているため、触媒量を低減しても重合には問題が無く、良好な色調のものが得られた。
【0029】
実施例3
本発明の測定法による塩素含有量が20ppbであり、特開平8−198816号公報記載の加水分解性塩素測定法による塩素含有量が90ppbであるジフェニルカーボネートを用いて、応用例1と同様の重合評価を行った。本発明の分析方法による活性な塩素(20ppb)以外の塩素を70ppb(特開平8−198816号公報記載の加水分解性塩素測定法による塩素含有量から請求項記載の測定法による塩素含有量を引いた値)含む程度では、重合に悪影響を及ぼさなかった。
結果を表1に示す。
応用例1と同様にして射出成形されたICチップ搬送トレイに保管されたICチップの誤作動はなかった。
【0030】
比較例1
請求項記載の測定法による塩素含有量が110ppb(特開平8−198816号公報記載の加水分解性塩素測定法の測定値は150ppb)であるジフェニルカーボネートを用いて応用例1と同様の重合評価を行った。重合触媒が活性な塩素により被毒されたため、ほとんど重合しなかった。
結果を表1に示す。
【0031】
比較例2
重合時の触媒量を2倍量とした以外は比較例1と同様の重合評価を行った。含有している活性な塩素に被毒される触媒量以上の触媒を添加したため、重合は進行したが、触媒から混入する金属量が増えたためか、色調が不良となった。
結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
*:本発明に記載の塩素測定法による塩素含有量。
**:特開平8−198816号公報記載の加水分解性塩素測定法による塩素含有量。
***:μモル/ビスフェノールAモル
【0033】
【発明の効果】
本発明の高純度のジアリールカーボネートを用い、溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造するにおいて、重合触媒添加量を低減することができるため、得られる芳香族ポリカーボネート中残存する重合触媒量が低減し、従来より優れた色調及び物性の芳香族ポリカーボネートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジアリールカーボネートの製造方法を示すフローシート図である。
Claims (4)
- 下記測定法で測定される塩素含有量が、30ppb以下であるジアリールカーボネート。
塩素測定法:
ジアリールカーボネート 5gをトルエン 10mlに加え、60℃で溶解後、超純水10mlを加え、室温(20〜30℃)で10分間撹拌した後、水相中の塩素をイオンクロマトグラフで分析する。 - 請求項1において、芳香族モノヒドロキシ化合物とホスゲンまたはアリールクロロフォーメートとを芳香族複素環式含窒素塩基性化合物の存在下に反応させる工程を経て製造されたものであることを特徴とするジアリールカーボネート。
- 芳香族モノヒドロキシ化合物とホスゲンまたはアリールクロロフォーメートとを芳香族複素環式含窒素塩基性化合物の存在下に反応させて生成した反応混合物からジアリールカーボネートを回収してジアリールカーボネートを製造する方法において、下記測定法で測定される塩素含有量が、30ppb以下であるジアリールカーボネートが得られるように、該反応混合物を、80〜95℃のアルカリ水溶液と接触させて中和した後、有機相と水相に分離し、該有機相を80〜95℃の温水と接触させ、再び水相と有機相に分離し、この分離された有機相より蒸留によりジアリールカーボネートを回収することを特徴とする高純度ジアリールカーボネートの製造方法。
塩素測定法:
ジアリールカーボネート 5gをトルエン 10mlに加え、60℃で溶解後、超純水10mlを加え、室温(20〜30℃)で10分間撹拌した後、水相中の塩素をイオンクロマトグラフで分析する。 - 請求項3において、前記反応混合物を、80〜95℃のアルカリ水溶液と接触させて中和することにより、pH7〜13の中和液を得ることを特徴とする高純度ジアリールカーボネートの製造方法。
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