JP4416964B2 - 塗料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料供給装置およびこれを用いた塗装装置に関し、特に吐出量が安定するまでの立ち上がり時間を短縮できる塗料供給装置およびこれを用いた塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の上塗りにおいては、光沢感や深み感の追求から、顔料含有量が少ない塗料を採用して上塗り塗膜を高彩度化および透明化することが行われている。一方において、こうした上塗り塗料は顔料含有量が少ないので、隠蔽性が低下し、中塗り塗膜が透けて見えやすくなるといった問題がある。そこで従来では、上塗り塗料の明度に応じた明度を有する中塗り塗料を複数種用意し、上塗り塗料の明度に応じて中塗り塗料を色替えする、いわゆるセット中塗り法が採用されていた。
【0003】
しかしながら、この種のセット中塗り法では、上塗り塗料の明度に応じた複数の中塗り塗料が必要とされ、上塗り塗料に応じて中塗り塗料を色替えする必要があることから、塗料配管、色替え装置などの設備費用が嵩むだけでなく、色替え時に中塗り塗料を廃棄しなければならないので塗料コストの増加および廃水処理負荷の増加という問題があった。
【0004】
このため、たとえば特開平6−226154号公報や特開平10−277436号公報では、塗装装置のベルカップに白色用と黒色用の2本の塗料フィードチューブを臨ませ、特定の比率で塗料を直接供給することで明度が異なる中塗り塗料を塗布することが提案されている(図5参照)。これにより、中塗り塗料の配管が2本で足りるとともに、色替え洗浄が不要となるので廃棄塗料を低減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ベルカップに定量の塗料を供給する圧送装置として、従来よりギヤポンプやシリンダ&ピストンが知られているが、特にシリンダ&ピストンからなる定量ポンプを用いると、塗料のチクソトロピー性の相違や塗料ホースの弾力性の相違から、ベルカップからの吐出量が安定するまで時間がかかるといった問題があった。このため、吐出初期において目的とする膜厚や色目を得られず、捨て吹き或いは補修吹きを行う必要があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、吐出量が安定するまでの立ち上がり時間を短縮できる塗料供給装置及びこれを用いた塗装装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、第1の観点による本発明によれば、ボア内にチクソトロピー性を有する塗料が導入される導入口および前記ボアから前記塗料の圧力を吸収するチューブを介して塗料が導出される導出口を有するシリンダと、前記シリンダ内を進退移動可能に設けられたピストンと、前記ピストンを進退移動させるサーボモータと、前記導出口における前記塗料の圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出された前記導出口に導出される塗料の圧力に基づいて前記サーボモータに所定の回転数で駆動するための指令信号を送出する制御手段と、を有する塗料供給装置であって、
所定の吐出条件を備える前記塗料供給装置を用いて、
前記塗料の圧力が所定圧力に達するまでは前記サーボモータを第1の回転数で駆動させ、
前記塗料の圧力が前記所定圧力に達したら前記サーボモータを前記第1の回転数より低い第2の回転数で駆動させ、
このときの前記塗料の吐出量の推移を示す吐出量波形を求め、
前記求められた吐出量波形において、吐出量が上昇する際の所定の吐出量になるカーブに山がない吐出量波形を示す前記所定圧力を第1の基準圧力として予め求めておき、
目的とする被塗物に対し、前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出された前記導出口に導出される塗料の圧力が第1の基準圧力に達するまでは前記サーボモータに前記第1の回転数で駆動するための指令信号を送出し、前記導出口に導出される塗料の圧力が前記第1の基準圧力となったタイミングで、前記サーボモータに前記第1の回転数より低い前記第2の回転数で駆動するための指令信号を送出することを特徴とする塗料供給装置が提供される。
前記第1の回転数は、前記サーボモータの最大回転数又は実質的にこれに等しい回転数であり、前記第2の回転数は、目的とする吐出量に相当するサーボモータの回転数である。
【0008】
この発明では特徴的な2段階制御を行うことと、塗料のチクソトロピー性及びホースの膨張等の影響の観点から、供給される塗料の基準圧力を閾値としてサーボモータの回転数を二段階に制御する。
本発明における第1の回転数は、所望する吐出量を吐出する回転数よりも大なる回転数が好ましく、好ましくはサーボモータの最大回転数又は実質的にこれに等しい回転数である。第2の回転数は、第1の回転数よりも小さい回転数であればよく、目的とする吐出量に相当する回転数であることが好ましい。
【0009】
また、本発明における第1の基準圧力は、実験によって個別に求められることが好ましい。なぜなら、本発明は吐出量が安定するまでの時間を短くするという観点から構成されたものであり、この「吐出量が安定するまでの時間」は、塗料チューブの長さ、塗料チューブの取りまわし(配管)及び使用する塗料のチクソトロピー性から個別に又は複合的に影響を受けるので、第1の基準圧力を適正に設定するためには、これらの個別具体的な条件を考慮して設定されることが好ましいからである。この設定の手段は特に限定されないが、例えば、一定の条件の下で複数の基準圧力を設定し、その塗料供給装置の吐出量を増加又は減少させる過程において吐出量の変化が大きくないもの、すなわち吐出量を定量的に増加又は減少させるような基準圧力を設定することが好ましい。このように設定された基準圧力は吐出量が安定するまでの立ち上がり時間のいっそうの短縮に寄与することが期待できる。
【0010】
これにより、吐出量が安定するまでの立ち上がり時間を短縮できる塗料供給装置を提供することができる。
【0011】
(2)上記目的を達成するために、第2の観点による本発明によれば、第1の塗料と第2の塗料とが所望の割合でベルカップに案内される塗装装置であって、前記第1の塗料を前記ベルカップに案内する第1の塗料供給装置と、前記第2の塗料を前記ベルカップに案内する第2の塗料供給装置とを備え、前記第1の塗料供給装置及び第2の塗料供給装置のそれぞれが請求項1〜3の何れかに記載の塗料供給装置から構成されている塗装装置が提供される。また、特に限定されないが、前記第1の塗料および第2の塗料の一方が白色の中塗り塗料、他方が黒色の中塗り塗料であって、上塗り塗料の明度に応じて前記白色塗料の供給量と前記黒色塗料の供給量とが制御される。
【0012】
この発明では、上記本発明の塗料供給装置を介して2つの塗料がベルカップに案内され、第1の塗料及び第2の塗料は、ともに起動時から短時間で安定した吐出量を得ることができるため、第1の塗料及び第2の塗料は所定の混合比で安定した状態で吐出される。これにより、吐出初期から目的とする膜厚や色目を得ることができ、捨て吹き或いは補修吹きを行う必要のない塗装装置を提供することができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、吐出量が安定するまでの立ち上がり時間を短縮できる塗料供給装置を提供することができ、本発明によれば、吐出初期から目的とする膜厚や色目を得ることができ、捨て吹き或いは補修吹きを行う必要のない塗装装置を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る塗装装置を説明する図、図2は制御手段の駆動の制御手順を示すフローチャート図、図3は吐出状態を示すグラフ、図4(a)及び(b)は第1の基準圧力について説明するための説明図。図5(a)及び(b)は第2の基準圧力について説明するための説明図、図6は基準圧力を示す図である。
【0015】
図1に示す塗装装置1は、白塗料9を供給する塗料供給装置2と、黒塗料9’を供給する塗料供給装置9’とを含む。白塗料9と黒塗料9’のそれぞれから供給される白と黒の各塗料は、制御手段5が制御するサーボモータ3の回転数に基づき定量の塗料が供給される定量ポンプ4へ送り込まれる。それぞれのシリンダ&ピストン4に接続されたフィードチューブ7の先端はベルカップ8の内面に臨んでいる。ベルカップ8へ連なる2本のフィードチューブ7には塗料の圧力を検出する圧力センサ6がそれぞれ設けられている。本例のベルカップ8は、図外の回転駆動装置により15000rpm以上で回転し、また図外の高圧印加装置によって−90kV程度の高電圧が印加され、フィードチューブ7を介して供給された塗料を微粒化しながら帯電させて逆極性に印加された被塗物に対して電気的吸引力を利用して塗装する。
【0016】
本例の定量ポンプとしては、例えば、ギアポンプやシリンダポンプを用いることができるが、図1に示したシリンダ&ピストン4からなる定量ポンプを採用した。図1に示す定量ポンプ4は、シリンダ41とピストン42とからなり、サーボモータ3によりピストン41の移動量をコントロールすることで、所定量の塗料をベルカップ8へ向けてへ押し出すものである。こうした定量ポンプ4は、各塗料9、9’にそれぞれに設けられ、制御手段5によりそれぞれの定量ポンプが独立して制御されるようになっている。本例の塗装装置1では、白塗料9と黒塗料9’とを供給し、白塗料9と黒塗料9’それぞれの吐出量を定量ポンプ4にて制御することで所望の明度を有するグレー塗料をベルカップ3から被塗物へ吐出する。ベルカップ3に案内された白色塗料と黒色塗料は、このベルカップ3の回転力により微粒化及び混合され、2色の塗料が同時に被塗物へ噴霧される。本例の塗装装置1で塗布された塗板の塗装状態を塗装開始直後に観察してみると、ミクロ的には白色の塗料と黒色の塗料とがマーブル状になっているが、塗板から20cm以上離れて見るとこれら2色の塗料が混合された色、すなわちグレーに見える。これは、塗料の粒径がμmのオーダーであり、加えて、塗料供給装置2(白塗料)からの吐出量及び塗料供給装置2’(黒塗料)からの吐出量が短時間で安定するため、所定の混合比で塗料が塗布されるからである。
【0017】
なお、圧力センサ6を配置する位置は、塗料のチクソトロピー性及びチューブ7の膨張等を考慮すると、図1に示したように塗料の吐出口に近い位置に設けることが好ましい。但し、圧力遅れによる圧力補償の観点からは塗料9、9’の近傍に設けることが好ましい。圧力遅れを無視できるレベルとするには、塗料9.9’の取り出し口から10cm程度とすることが好ましい。
【0018】
次に図2のフローチャートを参照して動作を説明する。
まず、吐出開始指令を受けると(ステップ2)、制御手段5はサーボモータ3を第1の回転数で駆動する(ステップ3)。この第1の回転数は、塗料供給装置2が出力し得る最大の回転数又はこれに実質的に等しい回転数であることが好ましい。第1の回転数で吐出を開始したら、圧力センサ6は塗料の圧力を検出し、この検出された塗料の圧力Pが第1の基準圧力P1以上となったときには(ステップ4)、サーボモータ3の回転数を第2の回転数V2(第1の回転数よりも低い回転数)に変更する(ステップ5)。
【0019】
このように、本実施形態では圧力を基準として回転数を調節することとしているが、これは回転霧化頭8から吐出される吐出量が当該回転霧化頭8付近の塗料の圧力と相関していることに着目するものであり、これにより、通常計測が困難な微小時間の吐出量を、継時的な塗料圧力の変化として捉えることができ、吐出量を正確に制御することができることとなる。
【0020】
さらに、ここで本実施形態における回転数と基準圧力と吐出量との関係について説明すると、所定の塗料を、所定の装置を用い、所定の環境の下で噴霧した場合には、回転数と基準圧力と吐出量との間には画一的な関係を見出すことができるが、実際のところ、塗料はその粘性、密度等の物理的性質がそれぞれ異なり、装置は機種や仕様がそれぞれ異なり、さらに環境は温度や圧力がそれぞれ異なる。これらは上記回転数、基準圧力及び吐出量に影響を与えることから、結果として画一的な関係を導くことはできない。このため、本実施形態では、それぞれ個別の条件の下で回転数(電圧)と圧力(回転霧化頭付近)及び吐出量との関係を得て、これらの関係を個別に扱い、各条件ごとに第1の回転数、第1の基準圧力、第2の回転数、第2の基準圧力及び基準回転数、基準圧力を得ることとした。
【0021】
再び、図2のフローチャートのステップ5に戻ると、塗料供給装置1は第2の回転数で駆動されているが、この第2の回転数V2は目的の吐出量に対応する回転数であることが望ましく、このときの塗料の圧力が第2の基準圧力(P2)となる。このように第2の回転数(V2)で駆動されている塗料供給装置1は、ステップ6において所定の吐出量を保っているか否かが判断され(ステップ6)、吐出終了指令があるまで第2の回転数による駆動を継続し、吐出終了指令があったときには(ステップ7)終了又は繰り返し(ステップ10)へ向かう。ここで、所定の吐出量が得られているかどうかの判断(ステップ6)は、実際の所定時間における吐出量を計測して判断してもよいし、経験的に求められる吐出量に対応する塗料圧力から判断してもよい。
【0022】
さらに、この過程では吐出量と回転数及び基準圧力についてのデータ収集が行われ、ステップ6で吐出量が適当であると判断された場合、すなわち実際の吐出量が目的の吐出量として安定したとき、これを吐出量に対応する基準回転数(V0)及び基準圧力(P0)を記憶する(ステップ9)。この記憶されたデータは、後に説明する吐出量に対応する第2の回転数及び第2の基準圧力の修正、書き換え等のフィードバックに利用される。このため、この吐出量に関するデータ収集及び吐出量の適正化は常に行うことが好ましく、基準回転数(V0)及び基準圧力(P0)の記憶は塗料供給装置1ごと、当該装置の仕様ごと、塗料ごと、環境ごと(気温、圧力ごと)に整理され、記憶されることがより好ましい。
【0023】
以上は、第2の回転数(V2)が適当であり、目的の吐出量を得られた場合の処理であるが、これに続いて、ステップ6で吐出量が不適当であった場合の処理について説明する。上述したように吐出量と回転数及び基準圧力は画一的ではなく、塗料のチクソトロピー性及びホースの膨張等の影響を受け、同じ回転数であっても目的の吐出量を得られない場合がある。このような場合には、ステップ11で蓄積したデータを用いて回転数をフィードバック式に修正する。具体的には、ステップ8に示すように、第2の回転数(V2)は、ステップ9で記憶した所定条件下における目的の吐出量に対応した回転数(V0)及び基準圧力(P0)に修正され、その修正は記憶され(ステップ8)、修正後において同じ条件の下で塗装が行われる場合には塗料供給装置1は当初から修正された第2の回転数(V0)で駆動されることとなる。
【0024】
このように動作する塗装装置1のサーボモータ制御電圧、圧力及び吐出量の関係を図3に示した。図3(a)は、従来の塗装装置について示したものであり、図3(b)は本例について示したものである。双方とも 最終的な吐出量が200ml/minとなるように塗装装置1を起動させた。
【0025】
図3(a)では、サーボモータが起動すると圧力及び吐出量は徐々に上昇し、吐出量が200ml/minに安定するのは起動から6秒後である。これに対して、図3(b)では、1500ml/minの吐出量に相当する回転数(第1の回転数)で起動した後、圧力センサ6が検出する圧力がP1(第1の基準圧力)となったとき、回転数を下げる(第2の回転数)。このように2段階制御を行った結果、吐出量の立ち上がりは早く、吐出量が200ml/minに安定するのは起動から2.5秒後である。
【0026】
ところで、上述した吐出量の制御は第1の基準圧力を閾値として行われるが、この第1の基準圧力は実験によって個別に求められることが好ましい。というのは、本実施形態に係る塗装装置1は吐出量が安定するまでの時間を短くするという観点から構成されたものであり、この「吐出量が安定するまでの時間」は、塗料チューブの長さ、塗料チューブの取りまわし(配管)及び使用する塗料のチクソトロピー性から個別に又は複合的に影響を受けるため、第1の基準圧力を適正に設定するには、これらの個別具体的な条件の設定が必要となるからである。 このような観点から、本実施形態においては実験結果に基づき第1の基準圧力を設定することとし、図4を参照しつつこの設定例を説明する。さて、ここで求めようとする第1の基準圧力は、第1の回転数から第2の回転数へ切り替えるタイミングを決定する閾値となるものである。第1の回転数は最大回転数に相当する値であるから、吐出量は電源ONをトリガとし吐出量は小から大へ急速に増加する。図4は、この吐出初期の吐出量の推移を示す吐出量波形であり、図4(a)は第1の基準圧力をP1=50MPaとした場合の吐出量波形を示し、図4(b)は第1の基準圧力をP1=30MPaとした場合の吐出量波形である。当然であるが、基準圧力以外の全ての条件は実質的に同じに設定されている。
【0027】
まず、第1の基準圧力をP1=50MPaとした場合は図4(a)に示すように、第1の回転数で駆動された塗料供給装置1は圧力が50MPaを超えると(図中タイミングX)、回転数は第1の回転数よりも小さい第2の回転数に変更され、これに伴い圧力もP2又はP0に変更される。この過程における吐出量の変化は図4(a)に示すとおり、吐出量が段階的に上昇するタイミングで一旦上昇してから所定の吐出量に降下し大きなカーブを描きながら推移する。これは、塗料チューブ及び塗料のチクソトロピー性において圧力を吸収しきれないためと考えられ、このように吐出量の変化が大きいために吐出量の変化が指令されたタイミングから目的の吐出量に落ち着くまでの時間はa秒だけかかる。
【0028】
これに対し、第1の基準圧力をP1=30MPaとした場合は図4(b)に示すように、第1の回転数で駆動された塗料供給装置1は圧力が30MPaを超えると(タイミングY)、回転数は第1の回転数よりも小さい第2の回転数に変更され、これに伴い圧力もP2又はP0に変更される。この過程における吐出量の変化は図4(b)に示すとおり、吐出量が段階的に上昇するタイミングにおいても大きな変化を伴うことなく吐出量は滑らかに推移する。これは、塗料チューブ及び塗料のチクソトロピー性において圧力が吸収されるためと考えられ、吐出量の変化が指令されたタイミングから目的の吐出量に落ち着くまでの時間はb秒だけである。
【0029】
ここで、基準圧力が50MPaの場合の吐出量が安定するまでの時間a秒と、基準圧力が30MPaの場合の吐出量が安定するまでの時間b秒とを比べると、基準圧力が30MPaの場合の方が短く、基準圧力を30MPaとすることで吐出量の安定までに要する時間を短縮することができる。発明者らは、このように図4(a)と図4(b)との比較において、滑らかな吐出量波形が得られる場合には、吐出量が安定するまでの時間を短くできることに着目し、この観点から第1の基準圧力を様々に設定するとともに吐出量を様々に変化させ(0から100、100から200、200から300、0から200、0から300等)、それぞれの吐出量波形を得て、この中から吐出量波形に山がない、すなわち吐出量が滑らかに増加する第1の基準圧力を設定する。
【0030】
次に、第2の基準圧力の設定について説明をする。この第2の基準圧力は第2の回転数を決定又は調節するためのバロメータとなる値であり、目的の吐出量に対して第2の回転数が適当であるか否かを第2の基準圧力に基づいて判断する。このように吐出量の適正を図るバロメータとして回転数のみではなく第2の基準圧力を設けたのは、吐出量は塗料チューブ及び塗料のチクソトロピー性によって影響を受け、回転数が同じであれば常に同じ吐出量が得られるとは限らないからである。よって、第2の基準圧力も第1の基準圧力と同様に塗料、装置、環境等の諸条件の影響を考えて、各条件に基づいて設定されることが好ましい。このため、本実施形態においては実験結果に基づき第2の基準圧力を設定することとし、図5を参照しつつこの設定例を説明する。ここで求めようとする第2の基準圧力は、第1の回転数(最大回転数)から切り替えられた第2の回転数において、目的の吐出量が得られている状態での塗料の圧力であり、圧力センサ6において検知される。この第1の基準圧力(第1の回転数)から第2の基準圧力(第2の回転数)に至る変化は、吐出量大から吐出量小への変化である。図5はこの吐出量の推移を示す吐出量波形であり、図5(a)は第2の基準圧力をP2=gMPaとした場合の吐出量波形を示し、図5(b)は第2の基準圧力をP2=rMPaとした場合の吐出量波形である。当然であるが、基準圧力以外の全ての条件は実質的に同じに設定されている。なお、この2つの図で具体的な数値における実験例ではなくgMPa、rMPaにおける実験例を示したのは、吐出量ゼロを基準とできる吐出量小から大への吐出量波形と異なり、基準となる最大回転数(最大吐出量)は装置によって様々だからである。
【0031】
まず、図5(a)に示すように第2の基準圧力をgMPaとした場合には、吐出量の変化は図5(a)に示すとおり、吐出量が段階的に減少するタイミングで一旦下降してから所定の吐出量に上昇し大きなカーブを描きながら推移する。これは、塗料チューブ及び塗料のチクソトロピー性において圧力を吸収しきれないためと考えられ、このように吐出量の変化が大きいために吐出量の変化が指令されたタイミングから目的の吐出量に落ち着くまでの時間はc秒だけかかる。
【0032】
これに対し、第2の基準圧力をP2=rMPaとした場合は図5(b)に示すように、吐出量が段階的に減少するタイミングにおいても大きな変化を伴うことなく吐出量は滑らかに推移する。これは、塗料チューブ及び塗料のチクソトロピー性において圧力が吸収されるためと考えられ、吐出量の変化が指令されたタイミングから目的の吐出量に落ち着くまでの時間はd秒だけである。
【0033】
ここで、基準圧力がgMPaの場合の吐出量が安定するまでの時間c秒と、基準圧力がrMPaの場合の吐出量が安定するまでの時間d秒とを比べると、基準圧力がrMPaの場合の方が短く、基準圧力をrMPaとすることで吐出量の安定までに要する時間を短縮することができる。発明者らは、このように図5(a)と図5(b)との比較において、滑らかな吐出量波形が得られる場合には、吐出量が安定するまでの時間が短くなることに着目し、この観点から第2の基準圧力を様々に設定するとともに吐出量を様々に変化させ(0から100、100から200、200から300、0から200、0から300等)、それぞれの吐出量波形を得て、この中から吐出量波形に下向きの山がない、すなわち吐出量が滑らかに減少する第2の基準圧力を設定する。
【0034】
図6は、このように設定された第1の基準圧力(P1)と第2の基準圧力(P2)及び経験的に得られた目的の吐出量における基準圧力(P0)における吐出量−圧力グラフである。実験により設定された基準圧力の下では、塗料の圧力と吐出量は略比例の関係を示し、このグラフを参照して吐出量に基づき各基準圧力を求めることができる。なお、図6は様々な観点から設定された基準圧力P0、P1、P2を例示したものであって、先の図3に示した基準圧力のそれと一致するとは限らない。
【0035】
このように、本例の塗装装置1によれば、吐出量が安定するまでの立ち上がり時間を短縮でき、吐出初期において目的とする膜厚や色目が得られ、捨て吹き或いは補修吹きが不要な塗料供給装置及びこれを用いた塗装装置を提供することができる。
【0036】
なお、以上説明した実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施例に開示された各要素および各数値は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0037】
たとえば、上述した例では中塗り塗装の塗装装置として用いたが、上塗り塗装にも適用することができる。また、上述した例では白色塗料と黒色塗料を例としたが、上塗りカラー塗料、中塗りグレー塗料を供給してもよい。塗料はカラーチェンジバルブユニットCCVのカラーチェンジバルブに供給されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る塗装装置を説明する図である。
【図2】制御手段の制御手順を示すフローチャート図である。
【図3】吐出状態を示すグラフである。
【図4】図4(a)及び(b)は第1の基準圧力について説明するための説明図である。
【図5】図5(a)及び(b)は第2の基準圧力について説明するための説明図である。
【図6】基準圧力を示す図である。
【図7】従来の技術を説明するための図である。
【符号の説明】
1…塗装装置
2…塗料供給装置
3…サーボモータ
4…定量ポンプ、シリンダ&ピストン
5…制御手段
6…圧力センサ(圧力検出手段)
7…チューブ
8…ベルカップ
9、9’…塗料
Claims (5)
- ボア内にチクソトロピー性を有する塗料が導入される導入口および前記ボアから前記塗料の圧力を吸収するチューブを介して塗料が導出される導出口を有するシリンダと、
前記シリンダ内を進退移動可能に設けられたピストンと、
前記ピストンを進退移動させるサーボモータと、
前記導出口における前記塗料の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出された前記導出口に導出される塗料の圧力に基づいて前記サーボモータに所定の回転数で駆動するための指令信号を送出する制御手段と、を有する塗料供給装置であって、
所定の吐出条件を備える前記塗料供給装置を用いて、
前記塗料の圧力が所定圧力に達するまでは前記サーボモータを第1の回転数で駆動させ、
前記塗料の圧力が前記所定圧力に達したら前記サーボモータを前記第1の回転数より低い第2の回転数で駆動させ、
このときの前記塗料の吐出量の推移を示す吐出量波形を求め、
前記求められた吐出量波形において、吐出量が上昇する際の所定の吐出量になるカーブに山がない吐出量波形を示す前記所定圧力を第1の基準圧力として予め求めておき、
目的とする被塗物に対し、前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出された前記導出口に導出される塗料の圧力が第1の基準圧力に達するまでは前記サーボモータに前記第1の回転数で駆動するための指令信号を送出し、前記導出口に導出される塗料の圧力が前記第1の基準圧力となったタイミングで、前記サーボモータに前記第1の回転数より低い前記第2の回転数で駆動するための指令信号を送出する
ことを特徴とする塗料供給装置。 - 前記第1の回転数は、前記サーボモータの最大回転数又は実質的にこれに等しい回転数である請求項1に記載の塗料供給装置。
- 前記第2の回転数は、目的とする吐出量に相当するサーボモータの回転数である請求項1又は2に記載の塗料供給装置。
- 第1の塗料と第2の塗料とが所望の割合でベルカップに案内される塗装装置であって、前記第1の塗料を前記ベルカップに案内する第1の塗料供給装置と、前記第2の塗料を前記ベルカップに案内する第2の塗料供給装置とを備え、
前記第1の塗料供給装置及び第2の塗料供給装置のそれぞれが請求項1〜3のいずれかに記載の塗料供給装置から構成されている塗装装置。 - 前記第1の塗料および第2の塗料の一方が白色の中塗り塗料、他方が黒色の中塗り塗料であって、上塗り塗料の明度に応じて前記白色塗料の供給量と前記黒色塗料の供給量とが制御される請求項4記載の塗装装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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