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JP4414125B2 - 冷間圧延油組成物 - Google Patents

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JP4414125B2
JP4414125B2 JP2002147908A JP2002147908A JP4414125B2 JP 4414125 B2 JP4414125 B2 JP 4414125B2 JP 2002147908 A JP2002147908 A JP 2002147908A JP 2002147908 A JP2002147908 A JP 2002147908A JP 4414125 B2 JP4414125 B2 JP 4414125B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷間圧延油組成物に関し、さらに詳しくは、特にニッケル含有量の多い鉄−ニッケル系耐熱合金材料の冷間圧延処理に好適に用いられ、圧延材の光沢むらの抑制及び圧延摩耗粉による押し込み傷の抑制に優れた効果を発揮する冷間圧延油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の圧延において、圧延が正常に行われている際に圧延材が通過した部分のワークロールには、ロールコーティングと呼ばれる一定の色調で着色する現象が生じる。このロールコーティングは、該ワークロールが圧延材に常に直接接触していることから、圧延性や圧延製品の表面性状と大きな関係がある。
前記ワークロールは、金属材料を圧延することにより、摩擦熱や加工熱で熱膨張するため、板幅方向の圧延圧力が不均一となり、ロールコーティングむらが生じやすくなる。このコーティングむらは、転写により圧延板の表面にむらを生じさせて光沢むらを引き起こし、特に高い表面品質が要求される、ニッケル含有量の高い鉄−ニッケル系耐熱合金などの金属材料の圧延においては、表面品質の不均一さを示す光沢むらは大きな問題となる。
【0003】
ところで、前記鉄−ニッケル系耐熱合金などの硬い金属材料の冷間圧延においては、材料との接触面積を小さくして、単位面積当たりに高荷重をかけられる小径ロールをワークロールに用いることが多い。しかしながら、ロールの径が小さいと、ロール自体の剛性が低く、大径の中間ロールやバックアップロールで補強することが必要となる。
このような形式の圧延機としては、例えばクラスタータイプの圧延機が知られている。このクラスタータイプの圧延機においては、バックアップロールは、軸方向に5個以上のロールに分割されており、これらは分割バックアップロールと呼ばれる。この分割バックアップロールは、特殊設計円筒コロ軸受けからなるクラウン調整機能を有し、各軸受けの押し出し量が、偏心ブッシュ機構により、それぞれ独立して操作できるため、ワークロールに多様なクラウンパターンを作ることができ、圧延板の形状制御も可能となる。分割バックアップロール形式の圧延機では、中間ロールを介して分割バックアップロールがワークロールに接触する部分と、そうでない部分があり、ロールコーティングに模様となってむらを生じることがある。そして、このロールコーティングむらが、圧延板に転写されて圧延板表面に光沢むらが発生する原因となる。
【0004】
一方、近年のエレクトロニクスの発展に伴い、半導体やCRTなどの電子機器用部品の需要が増加するにしたがって、これらの部品に使用されるリードフレームやシャドーマスク用材料として、ニッケル含有量の高い鉄−ニッケル系耐熱合金などからなる高精度の形状制御を要する圧延材の用途が増加している。しかし、該鉄−ニッケル系耐熱合金材料は、その材質特性から、光沢むらを生じやすく、形状制御と表面品質の両面からの対応が望まれていた。
また、該鉄−ニッケル系耐熱合金材料は、ステンレス鋼に比べて圧延摩耗粉の発生量が多く、圧延板上の圧延摩耗粉量が多いと下工程で除去しにくく、また表面傷の原因となって表面品質の低下をもたらす。さらに、圧延油配管やタンク、圧延機のハウジング内に蓄積され、圧延材に押し込み傷を発生させるおそれがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、特にニッケル含有量の多い鉄−ニッケル系耐熱合金材料の冷間圧延加工に好適に用いられ、分割バックアップロールのロールコーティングむらによる圧延板の光沢むらの低減、ワークロールの幅方向でのロールコーティングむらによる圧延板の光沢むらの低減及び圧延摩耗粉による押し込み傷の抑制に優れた効果を発揮する冷間圧延油組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の優れた機能を有する冷間圧延油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、基油と共に、硫黄系極圧剤及び/又はリン系極圧剤を、それぞれ特定の割合で含む組成物により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基油と共に、(A)硫黄系極圧剤0.01〜1.0質量%及び/又は(B)リン系極圧剤0.01〜2.0質量%を含むことを特徴とする冷間圧延油組成物、
(2)さらに、(C)成分として、エステル類、アルコール類及び脂肪酸類の中から選ばれる少なくとも一種の油性剤1〜60質量%を含む上記(1)の冷間圧延油組成物、
(3)(A)成分の硫黄系極圧剤が、硫化油脂、ポリサルファイド及び硫化オレフィンの中から選ばれる少なくとも一種である上記(1)又は(2)の冷間圧延油組成物、
(4)(B)成分のリン系極圧剤が、リン酸エステルのアミン塩である上記(1)又は(2)の冷間圧延油組成物、及び
(5)ニッケル20質量%以上を含む鉄−ニッケル系耐熱合金材料の冷間圧延加工に用いられる上記(1)、(2)の冷間圧延油組成物、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の冷間圧延油組成物においては、基油として鉱油及び/又は合成油を使用することができる。
前記鉱油としては、種々のものを挙げることができる。例えば、パラフィン基系原油,中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣物を減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがって精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油,水添精製油,脱ロウ処理油,白土処理油等を挙げることができる。
また、合成油としては、例えば、炭素数8〜14のポリ−α−オレフィン,オレフィンコポリマー(例えば、エチレン−プロピレンコポリマーなど)、あるいはポリブテン,ポリプロピレン等の分岐オレフィンやこれらの水素化物、さらにはポリオールエステル(トリメチロールプロパンの脂肪酸エステル,ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなど)等のエステル系化合物、アルキルベンゼン等を用いることができる。
【0008】
本発明においては、基油として、前記鉱油を一種用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよく、前記合成油を一種用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、該鉱油一種以上と合成油一種以上を併用することもできる。そして、該基油としては、温度40℃における動粘度が、1〜100mm2/sの範囲にあるものが好ましい。この動粘度が1mm2/s未満では引火点が低く、引火による火災などの危険性が増すおそれがあり、一方100mm2/sを超えると、圧延板表面にオイルピットが発生して光沢度が低下したり、圧延加工時に巻きズレが発生するなどの不具合が生じる原因となる。より好ましい動粘度は、4〜20mm2/sである。
本発明の組成物においては、(A)成分として、硫黄系極圧剤が用いられる。この硫黄系極圧剤としては、分子内に硫黄原子を有し、前記基油に溶解又は均一に分散して極圧効果を発揮し得るものであればよく、特に制限されず、活性硫黄を含むものであってもよく、活性硫黄を含まないものであってもよい。なお、活性硫黄を含有するか否かは、銅板腐食試験(JIS K 2513)で確認することができる。
【0009】
このような硫黄系極圧剤としては、例えば硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、ポリサルファイド、硫化オレフィン、チオカーバメート類、チオテルペン類、ジアルキルチオジプロピオネート類などを挙げることができるが、これらの中で硫化油脂、ポリサルファイド又は硫化オレフィンが好適である。
前記硫化油脂は、動植物油の硫化物を指し、例えば、硫化ラード,硫化なたね油,硫化ひまし油,硫化大豆油などがある。また、この硫化油脂は、硫化オレイン酸などの二硫化脂肪酸、硫化オレイン酸メチルなどの硫化エステルも包含する。該硫化油脂としては、硫黄分を5〜30質量%含有するものが好適である。
【0010】
また、ポリサルファイドとしては、例えば一般式(I)
1−Sx−R2 ・・・(I)
(式中、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。xは2〜8の整数を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(I)におけるR1及びR2の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,t−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル基,各種ノニル基,各種デシル基,各種ドデシル基,シクロヘキシル基,シクロオクチル基,フェニル基,ナフチル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基,フェネチル基などが挙げられる。
【0011】
このポリサルファイドとしては、例えばジベンジルポリサルファイド、ジ−tert−ノニルポリサルファイド、ジドデシルポリサルファイド、ジ−tert−ブチルポリサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジフェニルポリサルファイド、ジシクロヘキシルポリサルファイドなどを好ましく挙げることができる。
さらに、硫化オレフィンとしては、例えば一般式(II)
3−Sy−R4 ・・・(II)
(式中、R3は炭素数2〜15のアルケニル基、R4は炭素数2〜15のアルキル基又はアルケニル基を示し、yは1〜8の整数を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(II)で表される化合物は、炭素数2〜15のオレフィン又はその2〜4量体を、硫黄、塩化硫黄などの硫化剤と反応させることによって得られ、該オレフィンとしては、プロピレン、イソブテン、ジイソブテンなどが好ましい。
【0012】
この(A)成分の硫黄系極圧剤は、特に圧延板の光沢むらを低減させる作用を有しており、本発明においては、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、圧延油組成物における該硫黄系極圧剤の含有量は、0.01〜1.0質量%の範囲で選定される。この含有量が0.01質量%未満では光沢むらの抑制効果が発揮されず、一方1.0質量%を超えると臭気の点で問題が生じる上、圧延油組成物の酸化安定性が低下する傾向にある。この硫黄系極圧剤の好ましい含有量は0.02〜0.6質量%の範囲である。
本発明の組成物においては、(B)成分としてリン系極圧剤が用いられる。このリン系極圧剤としては、分子内にリン原子を有し、前記基油に溶解又は均一に分散して極圧効果を発揮し得るものであればよく特に制限されず、様々な化合物を用いることができる。このようなリン系極圧剤としては、例えばリン酸エステル、(モノ、ジ、トリ)チオリン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、(モノ、ジ、トリ)チオリン酸エステルのアミン塩、亜リン酸エステル、(モノ、ジ、トリ)チオ亜リン酸エステルなどを挙げることができるが、これらの中で、リン酸エステルのアミン塩が好適である。
前記リン酸エステルのアミン塩としては、一般式(III)
【0013】
【化1】
Figure 0004414125
【0014】
で表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(III)において、R5は炭素数4〜20の炭化水素基であり、R6は炭素数4〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基又はアルケニル基、m及びnはそれぞれ1又は2であり、複数のR5は同一でも異なっていてもよく、また複数のR6は同一でも異なっていてもよい。
上記R5で表される炭素数4〜20の炭化水素基としては、炭素数4〜20の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基などを挙げることができる。このようなものの具体例としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、エイコシル基、フェニル基、イソプロピルフェニル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。また、R6としては、例えばブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、エイコシル基などが挙げられる。
この(B)成分のリン系極圧剤は、特に圧延油組成物中に圧延摩耗粉を分散しやすくすることにより、圧延材の摩耗粉による押し込み傷の発生を抑制する作用を有しており、本発明においては、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、圧延油組成物における該リン系極圧剤の含有量は、0.01〜2.0質量%の範囲で選定される。この含有量が0.01質量%未満では圧延摩耗粉分散効果が発揮されず、一方、2.0質量%を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる。
本発明の組成物においては、(A)成分と(B)成分を併用すると、効果の点で好ましい。
本発明の組成物においては、必要に応じ、(C)成分として油性剤を含有させることができる。この油性剤としては特に制限はなく、従来圧延油において油性剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宣選択して用いることができる。このような油性剤としては、例えばエステル類、アルコール類及び脂肪酸類などが挙げられる。
【0015】
前記エステル類としては、炭素数6〜22のカルボン酸と炭素数1〜18の脂肪族アルコールとからなるエステルを挙げることができる。ここで、炭素数6〜22のカルボン酸は、一塩基酸であってもよいし、二塩基酸以上の多塩基酸であってもよく、また、飽和、不飽和のいずれであってもよい。さらに、直鎖状のものであってもよく、分岐鎖状のものであってもよい。このようなカルボン酸の例としては、直鎖状又は分岐鎖状である、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、イコサン酸、オクテン酸、デセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、ヒドロキシオクタデセン酸、イコセン酸、オクタン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸、オクテン二酸、デセン二酸、ドデセン二酸、テトラデセン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデセン二酸、イコセン二酸などが挙げられる。
また、炭素数1〜18の脂肪族アルコールは、一価アルコールであってもよいし、多価アルコールであってもよく、また、飽和、不飽和のいずれであってもよい。さらに直鎖状のものであってもよく、分岐鎖状のものであってもよいが、通常一価のアルコールが用いられる。このようなアルコールの例としては、メタノール、エタノール、アリルアルコール、あるいは直鎖状又は分岐鎖状である、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、ブテノール、ペンテノール、ヘキセノール、オクテノール、デセノール、ドデセノール、テトラデセノール、ヘキサデセノール、オクタデセノールなどが挙げられる。
【0016】
このエステル類としては、炭素数8〜20の飽和又は不飽和脂肪酸と炭素数1〜12の一価の飽和アルコールからなるエステルが好適である。
また、アルコール類としては、炭素数8〜18の一価の脂肪族飽和若しくは不飽和アルコールを好ましく挙げることができる。このアルコールは直鎖状のものであってもよいし、分岐鎖状のものであってもよく、その具体例としては、直鎖状又は分岐鎖状である、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オクテノール、デセノール、ドデセノール、テトラデセノール、ヘキサデセノール、オクタデセノールなどが挙げられる。
さらに、脂肪酸類としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ダイマー酸、オレイン酸、イコサン酸などの高級飽和若しくは不飽和脂肪酸を挙げることができる。
本発明においては、これらの油性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
圧延油組成物における前記油性剤の含有量は、通常1〜60質量%の範囲で選定される。この含有量が1重量%未満では加工性が不充分となるおそれがあり、一方60質量%を超えるとロールスリップが生じる原因となる。該油性剤の好ましい含有量は2〜40質量%の範囲であり、特に3〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明の圧延油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種添加剤、例えば摩耗防止剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤などを単独又は二種以上を組み合わせて、適宣含有させることができる。
ここで、摩耗防止剤としては、例えばジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)、硫化オキシジチオリン酸モリブデン(MoDTP),硫化オキシジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)などが、酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系、及び硫黄系などが、防錆剤や腐食防止剤としては、例えばソルビタンエステル、中性アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属フェネート、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属サリチレート、チアジアゾール、ベンゾトリアゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、フルオロエーテルなどが挙げられる。
【0018】
これらの必要に応じて用いられる添加剤の合計含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
本発明の圧延油組成物においては、その粘度については特に制限はないが、潤滑性と板表面光沢を得るために、1〜20mm2/sの範囲が好ましく、特に2〜10mm2/sの範囲が好ましい。
このような組成を有する本発明の冷間圧延油組成物は、以下に示す効果を奏する。
(1)分割バックアップロールを用いた形式の圧延機で、分割バックアップロールによる形状制御を実施しながらも、ロールコーティングむら、及び圧延板の光沢むらを減少させることができる。すなわち、圧延製品の形状と表面品質(光沢むら)を改善することができる。
(2)圧延速度を上げると、圧延時の単位時間当たりの発熱量が大きく、ロールの蓄熱が大きくなって板幅方向の熱膨張が不均一となるので、ロールコーティングむら、及び圧延板の光沢むらが生じやすくなるが、本発明の圧延油組成物を用いることにより、圧延速度を上げても光沢むらが生じにくくなる。
(3)油中圧延摩耗粉が分散しやすく、摩耗粉が圧延面に押し込まれることによる押し込み傷の発生を抑制することができる。
(4)上記(1)〜(3)より、生産性の向上と製品の品質向上とを両立させることができる。
本発明の冷間圧延油組成物が適用される金属材料としては、特にニッケル含有量が20質量%以上の鉄−ニッケル系耐熱合金材料を挙げることができる。このようなニッケル含有量の多い鉄−ニッケル系耐熱合金材料の冷間圧延加工に本発明の圧延油組成物を用いることにより、前記効果が有効に発揮される。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜8及び比較例1、2
(1)冷間圧延油組成物の調製
40℃の動粘度が8.0mm2/sのパラフィン基系鉱油に対し、第1表に示す成分を、組成物全量に基づき第1表に示す量で配合することにより、冷間圧延油組成物を調製した。
(2)圧延実験
第2表に示す圧延実験条件で、バックアップロールの中央にコンタクトロール(φ135×幅10mm)を9.8kNの力で押し付けて、分割ロールの接触部、非接触部の光沢むらを評価した。なお、光沢むらは目視により、下記の4段階評価を行った。その結果を第1表に示す。
0:むらなし
1:かすかにむらあり
2:はっきりとしたむらが確認できる
3:強度のむらが認められる
(3)圧延摩耗粉分散性試験
上記(2)の圧延実験後の圧延油を、ガラス容器に1リットル採り、18時間後の摩耗粉の分散状態を、比較例2を基準とし、同等であれば△、それよりも分散性が良ければ○として評価した。その結果を第1表に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0004414125
(注)
硫化油脂:硫黄分14.5質量%、けん化価200mgKOH/g
硫化オレフィン:硫化イソブチレン
ポリサルファイド:ジオクチルポリサルファイド(硫黄分40質量%)
リン酸エステルのアミン塩:オレイルアシッドホスフェートの炭素数12のアルキルアミン塩
【0021】
【表2】
Figure 0004414125
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、特にニッケル含有量の多い鉄−ニッケル系耐熱合金材料の冷間圧延加工に好適に用いられ、圧延材の光沢むらの抑制及び圧延摩耗粉による押し込み傷の抑制に優れた効果を発揮する冷間圧延油組成物を提供することができる。

Claims (7)

  1. 基油と共に、(A)硫黄系極圧剤0.02〜0.6質量%及び(B)リン酸エステルのアミン塩0.01〜2.0質量%を含むことを特徴とし、ニッケル質量20%以上含む鉄−ニッケル系耐熱合金材料の冷間圧延加工に用いられる冷間圧延油組成物。
  2. さらに、(C)成分として、エステル類、アルコール類及び脂肪酸類の中から選ばれる少なくとも一種の油性剤1〜60質量%を含む請求項1に記載の冷間圧延油組成物。
  3. (A)成分の硫黄系極圧剤が、硫化油脂、ポリサルファイド及び硫化オレフィンの中から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の冷間圧延油組成物。
  4. 基油が鉱油である請求項1〜3のいずれかに記載の冷間圧延油組成物。
  5. 基油の温度40℃の動粘度が、1〜20mm2/sである請求項1〜4のいずれかに記載の冷間圧延油組成物。
  6. 組成物の動粘度が、1〜20mm2/sである請求項1〜5のいずれかに記載の冷間圧延油組成物。
  7. 鉄−ニッケル系耐熱合金材料が、リードフレーム及びシャドーマスク用材料である請求項1〜6のいずれかに記載の冷間圧延油組成物。
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