JP4402366B2 - トナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方法、静電記録方法又はトナージェット法に用いられるトナー、及び該トナーを用いた画像形成方法に関する。さらに、本発明は、像担持体上にトナー画像を形成後、転写材上にトナー画像を転写させて転写材上にトナー画像を形成する複写機、プリンター、ファックシミリ及びプロッターのごとき画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、光導電性物質を有する感光体の如き像担持体の上に、静電潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像をおこなってトナー画像を形成し、必要に応じて紙の転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力により転写材上にトナー画像を定着して画像を得るものである。一般に、転写後に像担持体上に転写されずに残留したトナーが、クリーニングされ廃トナーとして廃トナー容器に蓄えられるクリーニング工程を経て、上述の工程が繰り返される画像形成法が用いられてきた。
【0003】
これに対し、廃トナーのでないシステムとして、現像−クリーニングシステム又はクリーナーレスシステムと呼ばれる画像形成方法が提案されているが、システム全体の構成については詳細かつ具体的には記載されていない(例えば、特許文献1)。
【0004】
接触現像方法及び非接触現像方法での現像−クリーニングシステムが可能であり、さらにオゾンの如き活性イオンが発生せず環境的に好ましい技術として、直接注入帯電方法が提案されている。例えば、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含む現像剤を直接注入帯電方法を用いた現像−クリーニング工程を有する画像形成方法に適用した画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献2)。この画像形成装置では、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能であり、低コストで小型化が可能であり、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じなく、良好な画像が得られる。しかしながら、導電性を有する帯電促進粒子の好ましい粒径については記載されているものの、帯電促進粒子の粒度分布については記載されておらず、さらに安定な性能を得るための改良が必要である。
【0005】
高抵抗磁性トナー粒子に酸化スズ、酸化亜鉛又は酸化チタンの導電性微粉末を外添することが提案されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、注入帯電により好ましく使用される外添剤を外添したトナーの開発が待望されている。
【0006】
また、還元処理を施された導電性超微粉酸化スズが提案されているが(例えば、特許文献4)、ポリマー中に導電性超微粉酸化スズを分散することによりポリマーに導電性を付与することを目的としたものであり、トナー粒子に外添混合することによるトナーの摩擦帯電特性の改良についての記載はなく、注入帯電工程を有する画像形成方法に使用されるトナーに関しての記載もない。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−53482号公報
【特許文献2】
特開平10−307456号公報
【特許文献3】
特開昭60−69660号公報
【特許文献4】
特開平6−345429号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解消したトナーを提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、環境安定性に優れているトナーを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の目的は、直接注入帯電方式を使用している画像形成方法に好ましく使用されるトナーを提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の目的は、低温低湿環境下においてもゴーストが発生しにくいトナーを提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、上記トナーを用いる画像形成方法を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の目的は、上記トナーを有するプロセスカートリッジを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくともトナー粒子及び該トナー粒子表面に非磁性の金属化合物微粒子と無機微粉体を有するトナーであり、
該トナー粒子は少なくとも結着樹脂と着色剤から形成されており、
該トナーの重量平均粒径Aが3.0μm乃至12.0μmであり、
該金属化合物微粒子は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンからなるグループから選ばれる酸化物であって、該酸化物はアンチモン又はアルミニウムを含有しており、比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105であり、体積基準のメジアン径(D50;単位μm)が0.5μm乃至3.5μmであり、トナーの重量平均粒径Aよりも小さく、D90が6.0μm以下の導電性の金属化合物微粒子であることを特徴とするトナーに関する。
【0015】
また本発明は、帯電部材に電圧を印加して像担持体に接触させて帯電させる帯電工程と、帯電された該像担持体上に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させたトナーを、該像担持体表面に保持された該静電潜像に移動させてトナー画像を形成する現像工程と、該像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程とを少なくとも有する画像形成方法において、
該トナーは、少なくともトナー粒子及び該トナー粒子表面に非磁性の金属化合物微粒子と無機微粉体を有するトナーであり、
該トナー粒子は少なくとも結着樹脂と着色剤から形成されており、
該トナーの重量平均粒径Aが3.0μm乃至12.0μmであり、
該金属化合物微粒子は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンからなるグループから選ばれる酸化物であって、該酸化物はアンチモン又はアルミニウムを含有しており、比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105であり、体積基準のメジアン径(D50;単位μm)が0.5μm乃至3.5μmであり、トナーの重量平均粒径Aよりも小さく、D90が6.0μm以下の導電性の微金属化合物粒子であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0016】
更に本発明は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーを有する現像手段で現像してトナー画像を形成し、トナー画像を転写材に転写することによりトナー画像を形成するための画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジであり、
該プロセスカートリッジは、静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体に対向して配置される現像手段とを少なくとも有し、
該現像手段は、トナー担持体及び該トナー担持体上にトナー層を形成するためのトナー層規制部材を少なくとも有し、
該トナーは、少なくともトナー粒子及び該トナー粒子表面に非磁性の金属化合物微粒子と無機微粉体を有するトナーであり、
該トナー粒子は少なくとも結着樹脂と着色剤から形成されており、
該トナーの重量平均粒径Aが3.0μm乃至12.0μmであり、
該金属化合物微粒子は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンからなるグループから選ばれる酸化物であって、該酸化物はアンチモン又はアルミニウムを含有しており、比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105であり、体積基準のメジアン径(D50;単位μm)が0.5μm乃至3.5μmであり、トナーの重量平均粒径Aよりも小さく、D90が6.0μm以下の導電性の微金属化合物粒子であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
トナー粒子に導電性微粒子を外添し、画像特性を改良する場合、主に平均粒径に着目して導電性微粒子が選択されることが多い。しかしながら、トナー粒子とこれらの導電性微粒子との相互作用を顧みると、両者の接触点の密度が重要であり、直接注入帯電工程を有する画像形成方法に使用されるトナーの場合、特に重要である。
【0018】
本発明のトナーは重量平均粒径が3.0μm乃至12.0μm、好ましくは5.0μm乃至10.0μmであるのがよい。トナーの重量平均粒径が3.0μm未満であると転写性の低下やカブリが発生しやすくなる。一方、トナーの重量平均粒径が12.0μmを超えてしまうと解像性が低下する。
【0019】
本実施例においてトナーの重量平均粒径は、以下のようにして求める。例えば、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上の粒子の体積及び個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナーの体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)を求める。
【0020】
金属化合物微粒子は非磁性又は実質上非磁性であることが好ましい。磁性をもつ金属化合物微粒子であると、磁性トナー粒子に外添すると、磁性トナー粒子から遊離した磁性をもつ金属化合物微粒子がトナー担持体に付着してトナー担持体の表面を汚染する。
【0021】
該金属化合物微粒子は、比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105である。
【0022】
トナーは、十分な性能を安定して得、本体が突発異常で停止した直後に印字をおこなっても帯電不良の異常画像が発生しなくするには、金属化合物微粒子とトナー粒子との接触密度、及び金属化合物微粒子と帯電部材表面との接触密度が重要である。
【0023】
一般に球形粒子が平面の部材と接触する場合、接点数は1である。これは金属化合物微粒子と、帯電部材やトナー粒子との接触についても当てはまる。金属化合物微粒子とトナー粒子や帯電部材との接点数を増やすには、金属化合物微粒子の表面に多数の凹凸を形成すれば接触する凸部が増加するので、金属化合物微粒子とトナー粒子や帯電部材との接触点を増やすことができる。但し、トナー粒子の表面に多数の凹凸を形成させることは、摩擦帯電特性上好ましくない。一方、金属化合物微粒子の表面に凹凸を形成することは、トナー粒子のみならず帯電部材との接触点も増加するため、帯電部材の設計の自由度が広がるので好ましい。金属化合物微粒子の表面に多数の凹凸を形成して使用することは、各種プリンタ及び各種トナーに適応可能である。
【0024】
金属化合物微粒子表面の凹凸の数の指標として、比表面積が通常用いられる。但し、一般に用いられる比表面積は単位が「cm2/g」であり、単位質量当たりの表面積であり、この比表面積では比重の異なる材料での比較あるいは最適化が容易ではない。本発明者らは比表面積として、金属化合物微粒子1個の体積当たりの表面積に対応する単位「cm2/cm3」を採用し、金属化合物微粒子とトナー粒子及び帯電部材との接触点数と、画像特性及び帯電性との関係を検討した。
【0025】
その結果、接触帯電工程を含む画像形成方法において、トナーに含有される金属化合物微粒子の比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105である場合、帯電性並びに画像特性が大きく改善され、特に直接注入帯電機構を含む画像形成方法においては、帯電部材が汚染されても良好な帯電性を維持できることを見出した。これは金属化合物微粒子とトナー粒子及び帯電部材との接触点数を増加させたことによる効果である。但し、比表面積が大きく金属化合物微粒子の表面の凸部が多すぎる場合、トナー粒子と金属化合物微粒子との付着性が強すぎるため転写工程時にトナーと共に金属化合物微粒子が転写材上に移動し、像担持体(例えば、感光体)上に残らない。従って帯電工程での金属化合物微粒子の帯電性改良効果が低下してしまう。金属化合物微粒子の比表面積(cm2/cm3)を好ましくは10×105乃至80×105とすることで、より好ましくは12×105乃至40×105とすることにより、金属化合物微粒子による帯電性及びトナーの画像特性がより一層向上する。
【0026】
微粒子の比表面積について説明する。
【0027】
球形の微粒子においては、その粒子半径をr(cm)とすると、微粒子1個当たりの表面積は4×π×r2であり、微粒子1個当たりの体積は(4/3)×π×r3であり、微粒子の単位体積当たりの表面積は下記式
微粒子1個当たりの表面積/微粒子1個当たりの体積=3/r
から計算できる。体積基準のメジアン径(D50;単位μm)を用いれば、
r(cm)=D50(μm)/(2×104)
であるから比表面積は、
比表面積(cm2/cm3)=6×104/D50
となる。多少不定形の微粒子であっても比表面積(cm2/cm3)は、10×104/D50程度である。本発明に使用する金属化合物微粒子のメジアン径(D50)は0.4〜4.0μmであるから、通常の表面性を有する微粒子であるならば、2.5×105程度の比表面積しか有しえない。しかしながら、この程度の比表面積では、トナー粒子あるいは帯電部材との接触点数が不十分であり、顕著な効果は期待できない。
【0028】
本発明者等の検討によれば、金属化合物微粒子が
5×105/D50≦金属化合物微粒子の単位体積当たりの比表面積(cm2/cm3)
であればより好ましい効果が得られた。
【0029】
一方、金属化合物微粒子が、
100×105/D50<金属化合物微粒子の単位体積当たりの比表面積(cm2/cm3)
であるような場合には、金属化合物微粒子の粒径に比して金属化合物微粒子の表面の凹凸が多すぎるため、トナー粒子との相互作用が強まり過ぎてカブリが生じやすくなるため、好ましくない。
【0030】
本発明において、金属化合物微粒子の比表面積(cm2/cm3)は以下のようにして求めた。
【0031】
BET法に従い、例えば比表面積測定装置「ジェミニ2375 Ver.5.0」(島津製作所社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて試料のBET比表面積(cm2/g)を算出する。
【0032】
次に、例えば乾式自動密度計「Accupyc 1330」(島津製作所社製)を用いて試料の真密度(g/cm3)を求める。この際、10cm3の試料容器を用い、試料の前処理としてはヘリウムガスパージを最高圧19.5psigで10回行う。この後、容器内圧力が平衡に達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力の振れが0.0050psig/minを目安とし、この値以下であれば平衡状態とみなして測定を開始し、真密度を自動測定する。測定は5回行い、その平均値を求め、真密度とする。
【0033】
ここで、金属化合物微粒子の比表面積は以下のようにして求める。
比表面積(cm2/cm3)=BET比表面積(cm2/g)×真密度(g/cm3)
【0034】
金属化合物微粒子は、体積基準のメジアン径(D50)が0.4μm乃至4.0μmでトナーの重量平均粒径Aよりも小さく、D90が6.0μm以下の導電性の金属化合物微粒子である。
【0035】
一般に粒子同士の相互作用による付着力は、粒子同士の粒径差が大きいほど強い。本発明に使用される金属化合物微粒子の効果の一つとしては、トナー粒子との接触摩擦による摩擦帯電特性の改良であるから、金属化合物微粒子とトナー粒子とが強く付着してはその効果が低下する。本発明のトナーは重量平均粒径が3.0μm〜12.0μmであり、金属化合物微粒子の適正なD50は0.4μm乃至4.0μmである。金属化合物微粒子のD50が0.4μm未満の場合、金属化合物微粒子はトナー粒子から分離しにくく、摩擦帯電特性の改良の効果が低いので高い画像濃度が得られにくい。
【0036】
一方、金属化合物微粒子のD50が4.0μmより大きくなるとトナー粒子との相互作用が弱くなり、摩擦帯電特性の改良の効果が低下する。金属化合物微粒子のD50がトナーの重量平均粒径A以上となると、相互作用の効果がほとんど見られなくなることに加え、現像電界下では電極として作用してしまい、トナーの動きを阻害するようになるため、カブリが発生しやすく、解像力が低下する。より好ましくは、金属化合物微粒子のD50は0.5μm乃至3.5μmである。
【0037】
金属化合物微粒子の大きい粒子も少なくする必要があり、金属化合物微粒子の粗粉側の分布の指標としてD90を用いれば、D90は6.0μm以下が好ましく、0.10乃至4.0μmがより好ましい。
【0038】
さらに、金属化合物微粒子の粒度分布において、細かい粒子は少ない方が好ましい。金属化合物微粒子の粒度分布における微粉側の分布の指標としては体積基準でのD10を用いることができ、金属化合物微粒子のD10は0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上がより好ましい。
【0039】
金属化合物微粒子のD10、D50、D90は以下のようにして測定する。
【0040】
例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置「LS−230型」(コールター社製)にリキッドモジュールを取り付けて0.04〜2000μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布により粒子のD10、D50、D90を算出する。測定は、メタノール10mlに金属化合物微粒子を約10mg加え、超音波分散機で2分間分散した後、測定時間90秒間、測定回数1回の条件で測定をおこなう。
【0041】
本発明に使用される金属化合物微粒子の好ましい体積抵抗は、1×10-1〜1×109Ωcmである。金属化合物微粒子の体積抵抗が1×109Ωcmを超えると、接触帯電工程を含む画像形成方法に用いた場合、帯電工程での帯電性の改良効果が低い。一方、金属化合物微粒子の体積抵抗が1×10-1Ωcm未満の場合は、高湿下でのトナーの摩擦帯電特性を阻害してしまい、現像性が低下し、カブリが発生しやすく、転写性が低下し、現像−クリーニングシステムにおいては帯電部材の汚染が発生視しやすくう、金属化合物微粒子の比表面積を大きくしたことによる帯電性改良効果が低下する。金属化合物微粒子の体積抵抗は、1×10-1〜1×106Ωcmであることがより好ましい。
【0042】
金属化合物微粒子の抵抗の測定は以下のようにして行う。
【0043】
円筒形の金属製セルに試料を充填し、試料に接するように上下に電極を配し、上部電極には荷重686kPa(7kgf/cm2)を加える。この状態で電極間に電圧Vを印加し、その時に流れる電流I(A)から金属化合物微粒子の抵抗(体積抵抗率RV)を測定する。この時電極面積をS(cm2)、試料厚みをM(cm)とすると
RV(Ωcm)=100V×S(cm2)/I(A)/M(cm)
である。
【0044】
本発明では、電極と試料の接触面積を2.26cm2とし、電圧Vを100Vにして測定した。
【0045】
本発明における金属化合物微粒子としては、導電性微粉末が使用される。導電性の金属化合物微粒子としては、銅、金、銀、アルミニウム又はニッケルの如き金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄又は酸化タングステンの如き金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリの如き金属化合物;あるいはこれらの複合酸化物などの導電性微粉末が挙げられる。
【0046】
これらの中でも、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンからなるグループから選ばれる酸化物を少なくとも一種含有していることが、金属化合物微粒子の抵抗を低く設定できること、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される金属化合物微粒子がカブリとして目立たないという点で好ましい。
【0047】
また、金属化合物微粒子の抵抗値を制御する目的で、アンチモン、アルミニウムの如き元素を含有させた金属酸化物の微粒子、導電性材料を表面に有する微粒子も金属化合物微粒子として使用できる。例えば、アルミニウム元素を含有する酸化亜鉛微粒子、アンチモン元素を含有する酸化スズ微粒子である。但し、一般にアンチモン元素の導入による抵抗制御は粉末の青黒色性が増すため好ましくない。
【0048】
直接注入帯電機構とクリーナレスを組み合わせる場合、注入電荷用トラップ剤としての導電性酸化スズを表面保護層に含有させた有機感光体を用いているが、この場合、感光体と帯電部材の当接部に存在する金属化合物微粒子が酸化スズを含有していると直接注入帯電性が良好であった。これは、金属化合物微粒子から感光体表面のトラップ剤への電荷移動は同元素間の方が障壁が少なく速いためと思われる。従って、該金属化合物微粒子が少なくとも酸化スズを含有していることが好ましく、その含有量が多い方が良い。しかしながら、通常の酸化スズがほぼ100質量%の金属化合物微粒子では抵抗制御が不十分である。直接注入帯電速度が速く、色味も淡色で適正な抵抗制御が可能な、還元処理型酸化スズを金属化合物微粒子として用いることがより好ましい。
【0049】
還元処理を施された酸化スズは、例えば特開平6−345429号公報に記載されている。
【0050】
金属化合物微粒子に適正な表面処理を施して使用することは、高湿環境下での特性を改良するうえで好ましい。金属化合物微粒子が吸湿すると、(i)トナーの摩擦帯電特性改良効果が低下し、画質が低下し、(ii)帯電部材から脱離しやすく、帯電性改良効果が低減するとゆう問題が起こりやすい。金属化合物微粒子の表面の処理剤としてはケイ素化合物が撥水性が高く好ましい。また、トナーの摩擦帯電特性改良という意味では、トナー粒子とは逆極性の摩擦帯電性を付与することが好ましい。例えば、負帯電性トナー粒子に外添する金属化合物微粒子の場合、窒素原子を含有するケイ素化合物で表面処理を施すと、高湿環境下での特性が大幅に改良される。
【0051】
金属化合物微粒子は、トナー粒子100質量部に対して0.5乃至3.0質量部外添するのが好ましい。
【0052】
本発明のトナーにおける金属化合物微粒子の含有量は、トナーの比重を考慮するのがより好ましい。トナーの比重が高い場合、トナーの単位質量当たりの表面積は小さくなるため、適正な含有量は少なくなる。逆にトナーの比重が小さい場合、適正含有量は多くなる。適正含有量とトナーの比重とはほぼ反比例の関係にあり、両者の値の積がある一定範囲内であることが好ましい。トナーに対する金属化合物微粒子の含有量をX(質量%)とし、トナーの比重をY(g/cm3)とした場合、
0.5≦X×Y≦6.0
の関係を満たすことが好ましい。X×Y<0.5であると、金属化合物微粒子の含有量が少なく、十分な添加効果が得られにくい。一方、6.0<X×Yであると、トナー粒子間に介在する金属化合物微粒子量が多いため、後述するトナーの噴流性指数が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0053】
本発明で用いられるトナーは、流動性向上剤及び転写助剤として平均一次粒径4〜80nmの無機微粉体が添加されるのが好ましい。無機微粉体は、トナーの流動性向上、トナー粒子の摩擦帯電量均一化、及び転写性の向上のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理によってトナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上という機能を付与することも好ましい形態である。
【0054】
無機微粉体の平均一次粒径が80nmよりも大きい場合は、画像濃度が低下しやすく、安定して良好な画像を得にくい。また、トナーは良好な流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、転写残トナーが多くなる傾向にある。さらに後述するようにトナーの噴流性指数が低めとなり、クリーナレスシステムにおいては帯電部材が汚染されやすくなるため、金属化合物微粒子を用いても帯電性の改善効果がすくない。一方、無機微粉体の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、像担持体または現像剤担持体を傷つけ画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の摩擦帯電量分布をより均一とするためには無機微粉体の平均一次粒径は6〜70nmであることが更に好ましい。
【0055】
本発明において、無機微粉体の平均一次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により5万倍に拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー粒子の表面に付着または遊離して存在している無機微粉体の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径として求めることが出来る。
【0056】
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、あるいはそれらの複合酸化物が使用できる。
【0057】
例えば、シリカとしてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者が使用可能であるが、シリカ粒子の表面及び内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3-の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。
【0058】
無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1乃至3.0質量部であることが好ましく、添加量が0.1質量部未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量部を超えるとトナーの定着性が低下する。
【0059】
無機微粉体は、疎水化処理されていることが高温高湿環境下での使用を考慮すると好ましい。トナー粒子と混合された無機微粉体が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量が低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
【0060】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカッブリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物のような処理剤を単独でまたは併用して処理しても良い。
【0061】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時または処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが、高湿環境下でもトナーの摩擦帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0062】
無機微粉体の疎水化処理条件としては、以下のとおりである。例えば、第一段反応としてシラン化合物でシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する。
【0063】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが好ましく、さらには3,000〜80,000mm2/sのものがより好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉体の安定性が低く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0064】
使用されるシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0065】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。
【0066】
適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、無機微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0067】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉体100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリが発生しやすくなる。
【0068】
次に、帯電部材に付着したトナーの挙動について考察する。
【0069】
接触帯電部材にトナーが付着した場合、排除されずに付着したままの状態が継続すると、帯電部材への融着や感光体削れとゆう問題が発生する。トナーが融着した帯電部材は帯電部材の表面が高抵抗化してしまうため、比表面積が大きく接触点が多い金属化合物微粒子を用いてもある程度帯電性の維持に効果を発揮するものの、金属化合物微粒子の添加効果は低下する。より好ましくは、接触帯電部材が駆動する際の振動で汚染トナーと帯電部材表面との付着力が緩み、帯電部材表面と感光体との電位差による電界で汚染トナーが感光体上に排除されるのがよい。そのためには、静止状態から流動状態への移行がスムーズなトナーを用いることが好ましい。
【0070】
トナーの特性の一つである流動性を評価する方法は数多くあるが、流動性の関係するいくつかの現象及び特性のデータを基に、粉体の流動性を総合的に評価する指標としてCarrの噴流性指数がある。
【0071】
噴流性指数はフラッシング現象の起こりやすさの目安である。フラッシングとは、静止された状態で流動性が低下していたものが、振動されて流動し始めると液体のような流動状態になることである。この噴流性指数値が高くなればなるほど、トナー粉体の噴流性が高くなることを意味している。
【0072】
噴流性指数については、以下の方法で測定した。
【0073】
パウダテスタP−100(ホソカワミクロン社製)を使用し、安息角、崩潰角、差角、圧縮度、凝集度、スパチュラ角、分散度の各パラメーターを測定する。それぞれについて求められた値をCarrの噴流性指数表に当てはめ、各25以下のそれぞれの指数に換算し、各パラメーターから求められた指数の合計を流動性指数及び噴流性指数として算出した。以下に各パラメーターの測定方法を示す。
【0074】
安息角
トナー150gを目開き710μmのメッシュを通して直径8cmの円形テーブルの上にトナーを堆積させる。このとき、テーブルの端部からトナーがあふれる程度に堆積させる。このときのテーブル上に堆積したトナーの稜線と円形テーブル面との間に形成された角度をレーザー光で測定することで安息角とした。
【0075】
圧縮度
疎充填かさ密度(緩み見かけ比重 A)と、タッピングかさ密度(固め見かけ比重 P)から圧縮度を求めることができる。
圧縮度(%)=100(P−A)/P
【0076】
○緩み見かけ比重測定法 直径5cm、高さ5.2cm、容量100ccのカップにトナー150gを静かに流し込む。測定用カップにトナーが山盛りに充填されたところで、トナー表面をすりきり、カップに充填されているトナーの量から、緩み見かけ比重を算出する。
○固め見かけ比重測定法 緩み見かけ比重で使用した測定用カップに、付属のキャップを継ぎ足す。トナーをカップに充填し、カップを180回タップさせる。タッピングが終了した時点でキャップを外し、カップに山盛りになっている余分なトナーをすりきる。カップに充填されているトナーの量から固め見かけ比重を算出する。
【0077】
両見かけ比重値を圧縮度の式に挿入し、圧縮度を求める。
【0078】
スパチュラ角
10cm×15cmのバットの底が3cm×8cmのスパチュラに接するように置く。スパチュラの上にトナーを堆積させる。このとき、トナーがスパチュラの上に盛り上がるように堆積させる。その後、バットだけを静かに下ろし、スパチュラ上に残ったトナー側面の傾斜角をレーザー光により測定する。その後、スパチュラに取り付けたショッカーで一回衝撃を加えた後、再度スパチュラ角を測定する。この測定値と衝撃を与える前の測定値の平均をスパチュラ角として算出した。
【0079】
凝集度
振動台の上に、上から目開き250μm、150μm、75μmの順でふるいをセットする。振動振り幅を1mm、振動時間を20秒とし、トナー5gを静かにのせて振動させる。振動停止後、それぞれのふるいに残った質量を測定する。
〔(上段のふるいに残ったトナー量)÷5(g)〕×100………………a
〔(中段のふるいに残ったトナー量)÷5(g)〕×100×0.6……b
〔(下段のふるいに残ったトナー量)÷5(g)〕×100×0.2……c
a+b+c=凝集度(%)として算出する。
【0080】
パラメーターから求められた値をCarrの流動性指数、噴流性指数の表(Chemical Engineering.Jan.18.1965)により25以下の指数に換算し、それらの値の合計すればCarrの流動性指数となる。
安息角+圧縮度+スパチュラ角+凝集度=(Carrの流動性指数)
【0081】
崩潰角
安息角測定後,測定用円形テーブルを乗せているバットにショッカーで3回衝撃を加える。その後、テーブルに残ったトナーの角度をレーザー光を用いて想定し、崩潰角とする。
【0082】
差角
安息角と崩潰角の差が差角となる。
【0083】
分散度
トナー10gを約60センチの高さから直径10cmのウォッチグラス上に一塊として落とす。そして、ウォッチグラス上に残ったトナーを測り、次の式により分散度を求める。
分散度(%)=((10−(皿上に残ったトナー量))×10
【0084】
崩潰角、差角及び分散度の値から換算できる指数を、上記で求めた流動性指数値が対応する指数との合計を前述のCarrの表により噴流性指数として求めることができる。
【0085】
この測定を行った時、噴流性指数が80よりも大きい値を示すような噴流性の良いトナーであれば、接触帯電工程を含むクリーナレスシステムにおいても帯電部材へのトナー融着が起こり難いため、金属化合物微粒子による帯電性を維持する効果が十分発揮される。
【0086】
噴流性指数が80以下の場合、帯電部材表面に何層ものトナー層が積層されてしまうと力を加えてもなかなか流動しにくいため、そのままプリンタを使用し続けるとトナーは融着してしまい、帯電性の維持が難しくなる。
【0087】
トナーの噴流性指数を達成するためには、トナーに添加する流動性向上剤の粒径、添加時に使用する混合装置の処理条件(混合時間など)を変えることで、噴流性指数を変化させることができる。
【0088】
外添処理用の装置としては、例えばヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
【0089】
本発明のトナーについて更に説明する。
【0090】
トナー粒子に含まれる結着樹脂は、保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が45〜80℃、好ましくは50〜70℃である。Tgが45℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく定着時にオフセットが発生しやすい。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下する傾向にある。
【0091】
結着樹脂のガラス転移温度を測定する方法として、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)や、EXSTAR6000、SSC/5200(セイコーインスツルメンツ社製)、DSC2920MDSC(TAインスツルメンツ社製)を用い、下記の条件にて測定することができる。
【0092】
<樹脂のガラス転移温度測定方法>
試料:0.5〜2mg、好ましくは1mg
温度曲線:昇温I(20℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
降温I(180℃〜10℃、降温速度10℃/min)
昇温II(10℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
測定法:試料をアルミパン中にいれ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。吸熱ピークが出る前と出た後のべースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点Tgとした。
【0093】
本発明に用いる結着樹脂は、THF可溶成分のGPCにより測定される分子量において、Mn(数平均分子量)が3000〜20000、また、Mw(重量平均分子量)が50,000〜500,000の範囲であることが好ましい。この範囲内であれば定着性と耐久性のバランスが非常に良い。
【0094】
これらの結着樹脂は、トナーの製造に際し、予めワックス成分を混合、分散させておいてもよい。予めワックス成分を混合しておくことで、ミクロ領域での相分離が緩和され、良好な分散状態が得られる。
【0095】
本発明において、トナー又は結着樹脂の、THF(テトラハイドロフラン)を溶媒としたGPCによる分子量分布は次の条件で測定される。
【0096】
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料のTHF溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製、或いは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良い。例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0097】
試料は以下のようにして作製する。
【0098】
試料をTHFに入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への試料の放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製等が利用できる)を通過させたものを、GPCの測定試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0099】
本発明における結着樹脂としては、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。
【0100】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルの如きメタクリル酸エステル;マレイン酸;マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸エステル;アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン;塩化ビニル;酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテルが挙げられる。これらのビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0101】
本発明における結着樹脂は、1〜70mgKOH/gの範囲で酸価を有することが好ましい。とくに好ましくは、2〜50mgKOH/gの酸価を有する樹脂である。70mgKOH/gより大きくなると、高湿下での摩擦帯電量が低下し、1mgKOH/gより小さいと、低湿下での摩擦帯電速度が遅くなる。
【0102】
結着樹脂の酸価を調整するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物などがある。このようなモノマーを単独、或いは混合し、他のモノマーと共重合させることにより所望の共重合体を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価値をコントロールする上で好ましい。
【0103】
例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルの如きα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルの如きアルケニルジカルボン酸のモノエステル類が挙げられる。
【0104】
カルボキシル基含有モノマーは、結着樹脂を構成している全モノマー100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部使用するのが良い。
【0105】
結着樹脂の合成方法として本発明に用いることの出来る重合法として、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
【0106】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であることの理由から、結着樹脂の製造方法として有利な点がある。
【0107】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには懸濁重合が好ましい。
【0108】
懸濁重合においては、水系溶媒100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10〜90質量部)で行うのが良い。分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウムが挙げられる。一般に水系溶媒100質量部に対して0.05〜1質量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する重合開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。
【0109】
本発明に用いられる結着樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
【0110】
多官能構造を有する多官能性重合開始剤としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイドの如き1分子内に2つ以上のパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレートの如き1分子内にパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤が挙げられる。
【0111】
これらの内、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0112】
これらの多官能性重合開始剤は、結着樹脂として要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よりも低い半減期10時間の分解温度を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
【0113】
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシドの如き有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼンの如きアゾおよびジアゾ化合物が挙げられる。
【0114】
これらの単官能性重合開始剤は、多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程において多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
【0115】
これらの重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05〜2質量部で用いるのが好ましい。
【0116】
結着樹脂は架橋性モノマーで架橋されていることも好ましい。
【0117】
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。具体例としては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0118】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.00001〜1質量部、好ましくは0.001〜0.05質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0119】
これらの架橋性モノマーのうち、トナーの定着性,耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0120】
その他の合成方法としては、塊状重合方法、溶液重合方法を用いることができる。しかし、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることができるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。その点、溶液重合法は、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで、所望の分子量の重合体を温和な条件で容易に得ることができるので好ましい。特に、重合開始剤の使用量を最小限に抑え、重合開始剤が残留することによる影響を極力抑えるという点で、加圧条件下での溶液重合法も好ましい。
【0121】
本発明に用いられるポリエステル樹脂のモノマーを以下に挙げる。
【0122】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(E)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0123】
【化1】
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0124】
また、(F)式で示されるジオール類;
【0125】
【化2】
【0126】
2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。
【0127】
架橋成分として働く3価以上のアルコール成分または3価以上の酸成分を使用することが好ましい。
【0128】
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
【0129】
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、又はこれらの低級アルキルエステル;次式
【0130】
【化3】
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸、又はこれらの無水物、又はこれらの低級アルキルエステル挙げられる。
【0131】
アルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
【0132】
ポリエステル樹脂も通常一般に知られている縮重合によって得られる。
【0133】
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0134】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0135】
本発明の着色剤としては磁性酸化鉄を用いても良く、その場合磁性トナーとして用いることが出来、磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライトの如き磁性酸化鉄が用いられ、その磁性酸化鉄表面あるいは内部に非鉄元素を含有するものが好ましい。
【0136】
磁性トナーの場合には、使用される磁性酸化鉄は、鉄元素基準で異種元素を0.05〜10質量%含有することが好ましい。とくに好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0137】
また、これら磁性酸化鉄は、結着樹脂100質量部に対して20〜200質量部含有されていることが好ましい。更に好ましくは、50〜120質量部含有されていることが好ましい。
【0138】
異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウから選択される元素であることが好ましい。また、リチウム,ベリリウム,ボロン,ゲルマニウム,チタン,ジルコニウム,錫,鉛,亜鉛,カルシウム,バリウム,スカンジウム,バナジウム,クロム,マンガン,コバルト,銅,ニッケル,ガリウム,カドミウム,インジウム,銀元素,パラジウム,金,水銀,白金,タングステン,モリブデン,ニオブ,オスミウム,ストロンチウム,イットリウム,テクネチウムの如き金属も挙げられる。
【0139】
これらの磁性酸化鉄は個数平均粒径が0.05〜1.0μmが好ましく、更には0.1〜0.5μmのものが好ましい。磁性酸化鉄はBET比表面積は2〜40m2/g(より好ましくは、4〜20m2/g)のものが好ましく用いられる。形状には特に制限はなく、任意の形状のものが用いられる。磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg(より好ましくは、70〜100Am2/kg)、残留磁化が1〜100Am2/kg(より好ましくは、2〜20Am2/kg)、抗磁力が1〜30kA/m(より好ましくは、2〜15kA/m)であるものが好ましく用いられる。
【0140】
また、該磁性トナーは密度が、1.3〜2.2g/cm3であることが好ましい。更には、1.5〜2.0g/cm3の範囲であることが好ましい。磁性トナーの質量(密度)は磁性トナー粒子に働く磁気力、静電気力、重力の作用に相関があり、磁性トナーの密度がこの範囲である場合磁性酸化鉄の作用が適正であるため、帯電と磁気力とのバランスが良く、優れた現像力を示すことが出来る。
【0141】
また、磁性トナーの密度が1.3g/cm3未満の場合、磁性トナーに対する磁性酸化鉄の作用が弱いため、磁気力が低くなる。このため、現像時に感光体ドラムへ飛翔するための静電気力が勝り、現像方の状態となり、かぶりや、消費量の増加につながる。反対に磁性トナー密度が2.2g/cm3超である場合、磁性トナーに対する磁性酸化鉄の作用が強くなり磁気力が静電気力に勝るようになり、その強い磁気力作用が大きく比重も重くなるため、現像時に現像スリーブから飛翔しにくく、現像不足の状態となり、画像濃度が薄なりやすく、画像が劣化しやすい。
【0142】
磁性トナーに用いる磁性酸化鉄は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、又はアミノシランで処理しても良い。
【0143】
本発明のトナーは荷電制御剤を含有することが好ましい。
【0144】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記化合物が挙げられる。
【0145】
有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0146】
中でも、下記式(I)で表されるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0147】
【化4】
〔式中、Mは配位中心金属を表し、Sc,Ti,V,Cr,Co,Ni,Mn又はFeが挙げられる。Arはアリール基であり、フェニル基、ナフチル基の如きアリール基であり、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド基及び炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基がある。X,X’,Y及びY’は−O−,−CO−,−NH−,−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。C+はカウンターイオンを示し、水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、脂肪族アンモニウム或いはそれらの混合イオンを示す。〕
【0148】
特に中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基又はアニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムが好ましい。カウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0149】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記の化合物がある。
【0150】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。下記式(II)
【0151】
【化5】
〔式中R1はH又はCH3を示し、R2及びR3は置換または未置換のアルキル基(好ましくは、C1〜C4)を示す〕
で表されるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合、この単重合体及び共重合体は荷電制御剤としての機能と、結着樹脂(の全部または一部)としての機能を有する。
【0152】
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0153】
本発明のトナーを製造する方法としては、上述したようなトナー構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、熱ロールニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後、機械的に粉砕し、粉砕粉を分級することによってトナーを得る方法が好ましい。他には、結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合して乳化懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合法;コア材及びシェル材から成るマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、あるいはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法が挙げられる。更に必要に応じ所望の添加剤とトナー粒子とを混合機により前述した各種方法を用いて十分に混合し、本発明のトナーを製造することができる。
【0154】
本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置の構成の一態様を図1を参照して説明する。この画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像−クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザープリンター(記録装置)である。クリーニングブレードなどのクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、トナーとしては磁性トナー(磁性一成分系現像剤)を使用し、トナー担持体上の磁性トナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像の画像形成装置の例である。
【0155】
1は像担持体としての、回転ドラム型OPC感光体であり、時計方向(矢印の方向)に120mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0156】
2は接触帯電部材としての帯電ローラーである。帯電ローラー2は感光体(像担持体)1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体1と帯電ローラー2の当接部である帯電当接部である。本態様では、帯電ローラー2は、感光体1との当接部nにおいて対向方向(感光体表面の移動方向と逆方向)に120mm/secの周速度で回転駆動されている。接触帯電部材としての帯電ローラー2の表面は感光体1の表面に対して相対移動速度比200%の相対速度差を有している。
【0157】
ここで記述した相対的速度差を示す相対移動速度比は次式で表すことができる。
相対移動速度比(%)=|(Vc−Vp)/Vp|×100
(式中、Vcは帯電部材表面の移動速度、Vpは像担持体表面の移動速度であり、Vcは、当接部において帯電部材表面が像担持体表面と同じ方向に移動するとき、Vpと同符号の値とする。)
【0158】
本発明においては、像担持体表面の移動速度とそれに対向する帯電部材表面の相対移動速度比は、10〜500%であることが好ましく、20〜400%であることがより好ましい。相対移動速度比が、10%未満の場合には、接触帯電部材と像担持体との接触確率を増加させることが十分にはできず、直接注入帯電による像担持体の帯電性を維持しにくい。更に、上述の像担持体と接触帯電部材との当接部に介在するトナーの成分の量を接触帯電部材と像担持体との摺擦によって制限することにより像担持体の帯電阻害を抑制する効果、及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像−クリーニングシステムでのトナーの回収性を高める効果が低い。相対移動速度比が、500%よりも大きい場合には、帯電部材表面の移動速度を著しく高めることとなるために、像担持体と接触帯電部材との当接部に持ち運ばれたトナーの成分が飛散することによる装置内の汚染を生じ易く、像担持体及び接触帯電部材が摩耗し易くなるあるいは傷の発生を生じ易くなり短寿命化しやすい。
【0159】
また、帯電部材の移動速度が0である場合(帯電部材が静止している状態)は、帯電部材の像担持体との接触点が定点となるため、帯電部材の像担持体への接触部の摩耗または劣化を生じ易く、像担持体の帯電阻害を抑制する効果及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像−クリーニングシステムでのトナーの回収性を高める効果が低下しやすく好ましくない。
【0160】
また、帯電ローラー2の表面には、塗布量がおよそ一層で均一になるように導電性の金属化合物微粉末が塗布される。
【0161】
また帯電ローラー2の芯金2aには帯電バイアス印加電源S1から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加する。本態様では感光体1の表面は帯電ローラー2に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式によって一様に帯電処理される。
【0162】
3はレーザーダイオード及びポリゴンミラー等を含むレーザービームスキャナ(露光器)である。このレーザービームスキャナは目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザー光を出力し、該レーザー光で感光体1の一様帯電面を走査露光Lする。この走査露光により回転感光体1に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0163】
4は現像装置である。感光体1の表面の静電潜像がこの現像装置4によりトナー画像として現像される。本態様の現像装置4は、トナーとして負帯電性磁性一成分絶縁トナーを用いた非接触型の反転現像装置である。磁性トナー4dには磁性トナー粒子(t)及び金属化合物微粒子(m)が含有されている。
【0164】
4aはトナー担持搬送部材としての、マグネットロール4bを内包させた直径16mmの非磁性現像スリーブ(トナー担持体)である。この現像スリーブ4aは感光体1に対して320μmの離間距離をあけて対向配設し、感光体1との対向部である現像部(現像領域部)aにて感光体1の表面の移動方向と現像スリーブ4aの表面の移動方向とが順方向になるように感光体1の周速の110%の周速比で回転させる。
【0165】
この現像スリーブ4a上に弾性ブレード4cによって磁性トナー4dが薄層にコートされる。磁性トナー4dは弾性ブレード4cによって現像スリーブ4a上での層厚が規制されるとともに電荷が付与される。
【0166】
現像スリーブ4aにコートされた磁性トナー4dは、現像スリーブ4aが回転することによって、感光体1と該現像スリーブ4aの対向部である現像部aに搬送される。
【0167】
また、現像スリーブ4aには現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−420VのDC電圧と、周波数1500Hz、ピーク間電圧1600V(電界強度5×106V/m)の矩形の交流電圧を重畳したものを用いて、現像スリーブ4aと感光体1の間で一成分ジャンピング現像を行なわせる。
【0168】
5は接触転写手段としての中抵抗の転写ローラーであり、感光体1に長手方向の接触長1m当り98Nの線圧で圧接させて転写ニップ部bを形成している。この転写ニップ部bに図示せぬ給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ−5に転写バイアス印加電源S3より所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体1側のトナー画像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0169】
本様態では、転写ローラ−5は抵抗が5×108Ωcmのものを用い、+2000Vの直流電圧を印加して転写を行う。転写ニップ部bに導入された転写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、その表面側に感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0170】
6は熱圧定着方式の定着装置である。転写ニップ部bに給紙されて感光体1側のトナー画像の転写を受けた転写材Pは感光体1の表面から分離されてこの定着装置6に導入され、トナー画像の定着を受けて画像形成物(プリント又はコピー)として装置外へ排出される。
【0171】
本様態の画像形成装置はクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対するトナー画像転写後の感光体1の表面に残留の転写残りの現像剤(転写残トナー粒子)はクリーナーで除去されることなく、感光体1の回転に伴い帯電当接部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像−クリーニング(回収)される。
【0172】
本態様の画像形成装置は、感光体1、帯電ローラー2、現像装置4の3つのプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジとして構成している。プロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせは上記に限られるものではなく任意である。
【0173】
現像装置4の磁性トナー4dに混入させた金属化合物微粒子mは、感光体1側の静電潜像の現像装置4による現像時に、トナー粒子tとともに適当量が感光体1側に移行する。
【0174】
感光体1上のトナー画像(すなわちトナー粒子t)は、転写部bにおいて転写バイアスの影響で転写材P側に引かれて積極的に転移する。しかし、感光体1上の金属化合物微粒子mは導電性であるため転写材P側には積極的には転移せず、感光体1上に実質的に付着保持されて残留する。
【0175】
本発明においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の感光体1の表面に残存した転写残トナー粒子tおよび金属化合物微粒子mは、感光体1の回転に伴って感光体1と接触帯電部材である帯電ローラー2との当接部である帯電当接部nに持ち運ばれて、帯電ローラー2に付着或いは混入する。従って、帯電当接部nにこの金属化合物微粒子mが存在した状態で感光体1の直接注入帯電が行なわれる。
【0176】
この金属化合物微粒子mの存在により、帯電ローラー2にトナー粒子tが付着し混入した場合でも、帯電ローラー2の感光体1への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラー2による感光体1の直接注入帯電を行なわせることができる。
【0177】
帯電ローラー2が金属化合物微粒子mを介して密に感光体1に接触し、金属化合物微粒子mが感光体1表面を隙間なく摺擦する。これにより帯電ローラー2による感光体1の帯電において、放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラー帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られる。従って、帯電ローラー2に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体1に与えることができる。また帯電ローラー2に付着或いは混入した転写残トナー粒子tは、帯電ローラー2から徐々に感光体1上に吐き出されて感光体1表面の移動に伴って現像部aに至り、現像装置4において現像−クリーニング(回収)される。
【0178】
現像―クリーニングは、転写後に感光体1上に残留したトナー粒子を、画像形成工程の次回以降の現像時(現像後、再度帯電工程、露光工程を介した後の潜像の現像時)において、現像装置のカブリ取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるカブリ取り電位差Vback)によって回収するものである。本態様における画像形成装置のように反転現像の場合、この現像−クリーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブにトナー粒子を回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位へトナー粒子を付着させる(現像する)電界の作用でなされる。
【0179】
また、画像形成装置が稼働されることで、現像装置4のトナーに含有された金属化合物微粒子mが現像部aで感光体1表面に移行し、感光体1表面の移動に伴って転写部bを経て帯電当接部nに持ち運ばれることによって、帯電部nに新しい金属化合物微粒子mが逐次に供給され続けるため、帯電部nにおて金属化合物微粒子mが脱落等で減少したり、帯電部nの金属化合物微粒子mが劣化しても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0180】
接触帯電手段、転写手段及びトナーリサイクルプロセス機構を有する画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラー2を用いて均一な帯電性を低印加電圧で与えることができる。さらに、帯電ローラー2が転写残トナー粒子により汚染されるにも関わらず、オゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることができる。よって、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0181】
また、前述のように金属化合物微粒子mは帯電性を損なわないために、抵抗値が1×109Ω・cm以下である必要があるが、現像部aにおいて現像剤が直接感光体1に接触する接触現像装置を用いた場合には、金属化合物微粒子mの抵抗値が小さ過ぎるとトナー中の金属化合物微粒子mを通じて、現像バイアスにより感光体1に電荷注入され、画像カブリが発生してしまう。
【0182】
しかし、本実施態様では現像装置は非接触型現像装置であるので、現像バイアスが感光体1に注入されることがなく、良好な画像を得ることが出来る。また、現像部aにおいて感光体1への電荷注入が生じないため、交流バイアスなど現像スリーブ4aと感光体1間に高電位差を持たせることが可能である。これにより金属化合物微粒子mが均等に現像されやすくなるため、均一に金属化合物微粒子mを感光体1表面に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることが出来き、良好な画像を得ることが可能となる。
【0183】
帯電ローラー2と感光体1との接触面nでの金属化合物微粒子mの潤滑効果(摩擦低減効果)により、帯電ローラー2と感光体1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。この潤滑効果により帯電ローラー2と感光ドラム1との摩擦を低減し、駆動トルクが低減し、帯電ローラー2や感光ドラム1の表面の削れ或いは傷を防止できる。また、この速度差を設けることにより、帯電ローラー2と感光体1の相互接触面部(当接部又は帯電部)nにおいて金属化合物微粒子mが感光体1に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができる。よって、良好な直接注入帯電が得られ、良好な画像を安定して得ることが可能となる。
【0184】
本実施態様では、帯電ローラー2を回転駆動し、その回転方向は感光体1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持ち運ばれる感光体1上の転写残トナー粒子を、帯電ローラー2に一時的に回収し、帯電部nに介在する転写残トナー粒子の存在量を均す効果を得ている。このため、転写残トナー粒子の帯電部nでの偏在による帯電不良の発生が防止され、より安定した帯電性が得られる。
【0185】
さらに、帯電ローラー2を逆方向に回転することによって、感光体1上の転写残トナー粒子を感光体1から一旦引離し帯電を行なうことにより、優位に直接注入帯電を行なうことが可能である。また、金属化合物微粒子mの帯電ローラー2からの脱落を低減する効果が得られ、金属化合物微粒子mの帯電ローラー2からの過度の脱落による像担持体の帯電性の低下を起こさない。
【0186】
また、帯電の阻害因子である接触帯電部材に付着し混入した転写残トナーを、画像記録装置の、紙間の非画像記録時において接触帯電部材から効率よく排除させるモード(接触帯電部材清掃モード)を具備させて、これにより接触帯電部材の転写残トナーによる汚染レベルを通常時には低く維持させる画像形成方法に本発明に係るトナーを用いれば、さらに良好な帯電性、画像特性を長期に渡り安定に維持できる。
【0187】
即ち、接触帯電部材清掃モードを設けて接触帯電部材にDC+ACの電圧を印加するとともに、接触帯電部材に金属化合物微粒子を担持させることで、接触帯電部材を汚染している転写残トナーを効率良く吐き出し、画像比率が高い画像形成後の帯電特性についても高い帯電性能をできる。
【0188】
従来、接触帯電部材とトナーは強固に付着していたが、これらの間に帯電促進粒子として金属化合物微粒子を介在させ、5〜1000HzのACバイアスを印加することで、接触帯電部材とトナーの付着力を低減し、接触帯電部材と像担持体に適当な電位差を生じさせることで接触帯電部材の清掃を迅速に行えるのである。直接注入による帯電方式は、印加電圧と凡そ等しい帯電電位が得られるため、接触帯電部材と像担持体の間で電位差を生じ難い方式であり、金属化合物微粒子を用いても完全な部材の清掃は行われにくい。そこで、帯電部の前後でバイアスに差が生じやすい5〜1000Hzの周波数がトナー吐き出しのために好ましい条件となるのである。
【0189】
周波数が5Hz未満であると、周波数に対応して感光体上に電位ムラが発生し、それに呼応して画像濃度ムラが発生しやすい。一方、1000Hzを超えるとトナーの動きが追従できなくなり、清掃効果が薄まり、帯電性が低下しやすい。
【0190】
本発明のトナーを直接注入帯電工程を含むクリーナレスシステムで用いる場合、使用される感光体が、少なくとも導電性支持体上に感光層及び電荷注入層を有し、該電荷注入層の膜厚をd(μm)とした時、電荷注入層上で測定した弾性変形率We−OCL(%)と該感光層上で測定した弾性変形率We−CTL(%)の関係が下記の近似式(1)を満たす場合に、画像上のカブリと帯電性に良好な性能を示す。
−0.71×d+We−CTL(%)≦We−OCL(%)
≦0.03×d3−0.89×d2+8.43×d+We−CTL (%) (1)
電荷注入層上で測定した弾性変形率We−OCL(%)
=〔We1/(We1+Wr1)〕×100
〔式中、We1は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した電荷注入層上の弾性変形の仕事量(nJ)を示し、Wr1は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した電荷注入層上の塑性変形の仕事量(nJ)を示す。〕
感光層上で測定した弾性変形率We−CTL(%)
=〔We2/(We2+Wr2)〕×100
〔式中、We2は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した感光層上で測定した弾性変形の仕事量(nJ)を示し、Wr2は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した感光層上で測定した塑性変形の仕事量(nJ)を示す。〕
【0191】
感光体表面の弾性変形率を上記範囲内に制御すれば、右辺以下とすることで金属化合物微粒子の埋め込みを防ぎカブリを抑えつつ、左辺以上とすることで感光体表面の削れを防ぎ、良好な帯電性を維持できる。
【0192】
電荷注入層を形成させる場合、導電性粒子を用いることが好ましく、用いられる導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラックが挙げられ、これらは、単独で用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0193】
本発明において用いられる導電性粒子の平均粒径は、電荷注入層の透明性の点で0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以下が好ましい。
【0194】
こういった導電性粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが好ましく、先述したように、特にトナーに添加する金属化合物微粒子と同一の金属元素から構成されている場合、帯電性が良好となる。
【0195】
トナー中に含まれる金属化合物微粒子の諸物性を測定する場合は、クリーナレスシステムにおいて清掃モードの無い条件で多数枚の印字を行った後、トナー容器4を取り外して図には示されていないクリーナを取り付け、次に常時清掃モードの状態でプリンタを作動させることによりクリーナ容器中に金属化合物微粒子を採取し、十分量を捕集できるまで繰り返してから各測定を行う。
【0196】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。以下の配合における部数は全て質量部である。
【0197】
[金属化合物微粒子の製造例1]
塩化スズと塩化アンチモンを、スズとアンチモンのモル比が100:7となるよう混合溶解したpH約1の塩酸水溶液を80℃とし、そこに水酸化ナトリウム水溶液を添加して、共沈物を生成させ、ろ過、洗浄して導電性微粒子のスラリーを得た。得られたスラリーを乾燥、解砕した後、500℃で3時間焼成し、再度解砕して金属化合物微粒子1を得た。得られた金属化合物微粒子1の物性は、比表面積16×105cm2/cm3、体積抵抗6×101Ωcm、D50=1.9μm、D90=3.6μm、D10=0.7μmであり、酸化スズの含有量は91質量%であった。
【0198】
[トナーの製造例1]
・結着樹脂
(スチレン−アクリル樹脂(DSC測定によるガラス転移温度 Tgが58℃、酸価23.0mgKOH/g、GPCによるMn(数平均分子量)7000、Mw(重量平均分子量)400000、モノマー比:スチレン72.5部、n−ブチルアクリレート20部、モノ−n−ブチルマレート7部、ジビニルベンゼン0.5部) 100部
・磁性酸化鉄
(平均粒径:0.20μm、BET比表面積:8.0m2/g、抗磁力:3.7kA/m、飽和磁化:82.3Am2/kg、残留磁化:4.0Am2/kg)95部
・ポリプロピレンワックス
(融点143℃、25℃における針入度0.5mm) 4部
・荷電制御剤
(アゾ化合物の鉄錯体、保土ヶ谷化学社製T77) 2部
上記材料を、130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで祖粉砕した。粉砕はターボミル(ターボ工業社製)を用い、機械式粉砕を行った。得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で、超微粉および粗粉を厳密に分級除去して磁性トナー粒子1を得た。得られた磁性トナー粒子1の重量平均径は7.8μmで、比重は1.7g/cm3であった。
【0199】
次に、
・磁性トナー粒子1 100部
・一次平均粒径8nmの疎水性シリカ
(ジメチルシリコーンオイルとヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された、BET比表面積100m2/gの疎水性シリカ) 1.0部
・金属化合物微粒子1 0.4部
上記の材料をヘンシェルミキサーFM10C/l(三井鉱山株式会社製)にて180秒間混合処理をこなって磁性トナー粒子に疎水性シリカ及び金属化合物微粒子を外添して、磁性トナー1を得た。得られた磁性トナー1の重量平均径は7.8μmで、噴流性指数は90であった。
【0200】
[感光体の製造例1]
直径30mm×長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂のメタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を設けた。
【0201】
オキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂2部及びシクロヘキサノン80部を、サンドミル装置で4時間ほど分散した。この分散液を前記下引き層上に塗布し、0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0202】
次いで、トリフェニルアミン化合物10部、及びポリカーボネート樹脂10部を、モノクロロベンゼン100部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に塗布し、熱風乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0203】
次に、電荷注入層として、シリコーンオイルで表面処理したアンチモンドープ酸化スズ微粒子50部をエタノール150部中に分散し、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子20部を加えて分散した。その後、レゾール型熱硬化型フェノール樹脂を樹脂成分として150部を溶解し、調合液とした。
【0204】
この調合液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成し、熱風乾燥して電荷注入層を形成して感光体1得た。この時、感光体1の電荷注入層の膜厚測定は、薄膜のため光の干渉による瞬間マルチ測光システムMCPD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定し、その膜厚は2μmであった。その他の膜厚測定法としては、感光体の膜の断面をSEM等で直接観察測定することもできる。
【0205】
弾性変形率We%の測定は、前述したフィッシャー硬度計(H100VP−HCU)を用いて行った。弾性変形率We%は、四角錐で先端の対面角136゜のダイヤモンド圧子で荷重をかけて測定する膜に1μmまで押し込み、荷重をかけた状態での押し込み深さを電気的に検出して読みとる。弾性変形率We%は、前述の通りに、弾性変形の仕事量We(nJ)と塑性変形の仕事量Wr(nJ)より、前記式を用いて得られる。測定は、同一サンプルで測定位置を変化させ10回行い、最大値と最小値を除く8点の平均で求めた。
【0206】
電荷注入層上からの弾性変形率{We−OCL}の測定は、電子写真感光体の電荷注入層上から直接測定し、感光層の弾性変形率{We−CTL}の測定は、電荷注入層を取り除いた後の感光層上で測定した。電荷注入層を取り除く方法としては、キヤノン(株)製ドラム研磨装置にてラッピングテープ(C2000:富士写真フィルム(株)製)を用いて行ったが、これに限定されるものではない。しかしながら、感光層の硬度測定は、なるべく電荷注入層を研磨し過ぎて感光層まで研磨しないように膜厚を順次測定しながら、また表面を観察しながら、電荷注入層が全てなくなるところで測定する。但し、感光層の残膜厚が10μm以上ある時は、ほぼ同じ値が得られることは確認されており、感光層を研磨し過ぎても、感光層の残膜厚が10μm以上ある場合は、ほぼ同じ値が得られる。しかしながら、できるだけ電荷注入層がなくなり、感光層ができるだけ研磨しないような状態で測定するのがより好ましい。
【0207】
感光体1の弾性変形率We−CTL(%)は42となり、式(1)の下限(左辺)40.6、式(1)の上限(右辺)は55.5となった。これに対し、We−OCL(%)は55.5であった。
【0208】
[帯電部材の製造例1]
直径6mm、長さ264mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性物質としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材として直径12mm、長さ234mmの帯電部材1を作製した。
【0209】
得られた帯電部材1は、抵抗値が105Ωcmであり、硬度がアスカーC硬度で30度であった。
【0210】
<実施例1>
本例の画像形成装置の全体的な概略構成を図1に示す。図1は転写式電子写真プロセスを利用した現像―クリーニングプロセス(クリーナレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。クリーニングブレード等のクリーニング部材を有するクリーニング手段を除去したプロセスカードリッジを有し、トナーとしては磁性トナー1を使用し、トナー担持体上の磁性トナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像法を用いた。
【0211】
像担持体としての、前記感光体1は、回転ドラム型OPC感光体であり、矢印のX方向に94mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0212】
接触帯電部材としては、上記帯電部材の製造例1で得られた帯電部材1が帯電ローラ2として用いられ、図に示すように帯電ローラ2は感光体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体1と帯電ローラ2の当接部である帯電当接部である。本例では、帯電ローラ2は感光体1との接触面である帯電当接部nにおいて対向方向(矢印Y方向)に100%の周速で回転駆動されている。帯電ローラ2の表面は感光体1の表面に対して、相対移動速度比200%の相対速度差を有している。また、帯電ローラ2の表面には、塗布量がおよそ1×104個/mm2で均一になるように前記金属化合物微粒子1が塗布されている。
【0213】
また帯電ローラ2の芯金2aには、帯電バイアス印加電源S1から−650Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加するようにした。本例では感光体1の表面は帯電ローラ2に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−630V)に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。
【0214】
露光手段であるレーザダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)3は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光を出力し、該レーザ光で上記感光体1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光体1の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。現像手段としての現像装置4により、感光体1の表面の静電潜像はトナー像として現像される。
【0215】
本例の現像装置4は、トナーとしてトナー1を用いた、非接触型の反転現像装置である。
【0216】
トナー担持体として、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブ4aを使用し、現像磁極90mT(900ガウス)のマグネットロールを内包し、トナー層厚規制部材として厚み1.0mm、自由長1.5mmのウレタン製の弾性ブレード4cを29.4N/m(30g/cm)の線圧で当接させた。感光体1と現像スリーブ4aとの間隙は290μmとした。
・フェノール樹脂 100部
・グラファイト(体積平均粒径約7μm) 90部
・カーボンブラック 10部
【0217】
また、現像スリーブ4aは、感光体1との対向部である現像部a(現像領域部)にて感光体1の回転方向と順方向(矢印W方向)に感光体1の周速の120%の周速で回転させる。
【0218】
この現像スリーブ4aに弾性ブレード24cでトナーが薄層にコートされる。トナーは弾性ブレード4cで現像スリーブ4aに対する層厚が規制され、また電荷が付与される。この時、現像スリーブ4aにコートされた磁性トナー量は、16g/m2であった。
【0219】
現像スリーブ4aにコートされた磁性トナーは、現像スリーブ4aの回転により、感光体1と現像スリーブ4aの対向部である現像部aに搬送される。また、スリーブ4aには現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−440Vの直流電圧と、周波数1600Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×106V/m)の矩形の交流電圧を重畳したものを用い、現像スリーブ4aと感光体1の間、現像部aで一成分ジャンピング現像を行わせた。
【0220】
接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ5は、感光体1に98N/m(100g/cm)の線圧で圧接させて転写当接部bを形成させてある。この転写当接部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ5に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体1側のトナー画像が転写当接部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0221】
本例では転写ローラ5の体積抵抗値は5×108Ωcmのものを用い、+2000Vの直流電圧を印加して転写を行った。即ち、転写当接部bに導入された転写材Pはこの転写当接部bを挟持搬送されて、その表面側に感光体1の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。転写当接部bに給紙されて感光体1側のトナー像の転写を受けた転写材Pは感光体の表面から分離されて、定着手段である熱定着方式等の定着装置6に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0222】
本例の画像形成装置はクリーニング手段を除去しており、転写材Pに対するトナー像転写後の感光体1の表面に残留の転写残トナーはクリーナで除去されることなく、感光体1の回転にともない帯電当接部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像−クリーニング(回収)された。
【0223】
トナーは絶縁体であるため帯電当接部nへの転写残トナーの混入は感光体の帯電において帯電不良を生じさせる因子である。しかしこの場合でも、BET値の大きい金属化合物微粒子1が感光体1と帯電ローラ2との帯電部nに介存することにより、帯電ローラ2の感光体1への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、帯電ローラ2の転写残トナーによる汚染にかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることが出来る。
【0224】
本実施例では、上記画像形成装置に100gの磁性トナー1を充填して、印字面積比率2%の横ラインのみからなる画像パターンにより、トナーカートリッジ内でトナー量が少なくなるまで使用した。転写材としては75g/m2のA4コピー紙を用い、一枚間欠で1000枚のプリントを行った。
【0225】
[評価]
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前の磁性トナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。転写効率は80%以上であれば実用上問題の無い画像である。
転写効率(%)=〔(D−C)/(D−E)〕×100
【0226】
耐久終了時の解像力は、静電潜像電界によって電界が閉じやすく、再現しにくい600dpiにおける小径孤立1ドットの再現性によって評価した。
A:非常に良好、100個中の欠損が5個以下
B:良好、100個中の欠損が6〜10個
C:実用可、100個中の欠損が11〜20個
D:実用不可、100個中の欠損が21個以上
【0227】
紙上カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODELTC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。カブリの数値は、ベタ白画像で下記の式より算出した。紙上カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
【0228】
画像濃度はマクベス濃度計RD918(マクベス社製)で測定した。初期濃度は画だし20枚目の濃度とした。
【0229】
帯電性は、上端部(画像先端部から3cm幅)がベタ画像及び非画像の混合画像で、画像先端部から3cm以降が均一な中間調である画像パターン、即ち帯電ゴーストの発生しやすいゴースト画像により評価した。中間調部において、非画像対応部の画像濃度と、帯電性の不良でより濃く現像されるベタ画像対応部の画像濃度を測定し、両者の差を求めた。帯電性が良好なほど、両者の差が小さい。また、両者の濃度差が0.20を超えるとゴースト画像が顕著となり、実用上問題がある。
【0230】
常温常湿下での耐久性試験では、現像性の低下が見られず、良好な画像が得られた。その後、低温低湿(15℃/10%)環境及び高温高湿(30℃/90%)環境でも同様の実験を行ったが、いずれの環境下でも現像性の低下は見られなかった。
【0231】
次に、帯電ローラ2の表面に、前記金属化合物微粒子1と磁性トナー1を1:1で混合したものを約0.5g塗布し、低温低湿環境下で帯電性の評価を行った。ゴースト画像を連続して5枚印字し、5枚目の画像で評価した。その結果、ゴースト部の濃度差が0.04という良好な帯電性が得られた。
【0232】
得られた結果を表3に示す。
【0233】
[金属化合物微粒子の製造例2〜16]
金属化合物微粒子の製造例1において、塩化スズ濃度、スズとアンチモンのモル比、水酸化ナトリウム水溶液の添加速度、焼成温度及び焼成時間を適宜調整して金属化合物微粒子2〜16を製造した。得られた微粒子の諸物性を表1に示す。
【0234】
[金属化合物微粒子の製造例17]
アルカリ性のスズ酸ナトリウム水溶液を60〜80℃に制御し、そこに硫酸水溶液をpHが7を下回らないように添加して沈殿物を生成させ、ろ過、洗浄して導電性微粒子のスラリーを得た。得られたスラリーを乾燥、解砕した後、窒素雰囲気下で400℃で2時間、さらに窒素/水素混合ガス雰囲気下で約500℃で1時間焼成し、再度解砕して金属化合物微粒子17を得た。得られた金属化合物微粒子17の物性は、比表面積33×105cm2/cm3、体積抵抗9×102Ωcm、D50=1.1μm、D90=2.4μm、D10=0.6μmであり、酸化スズの含有量は99質量%であった。
【0235】
[金属化合物微粒子の製造例18]
炭酸アンモニウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液を混合し、酸化亜鉛を分散した水溶液中に入れて60℃にて1時間撹拌後、ろ過して水洗し、スラリーを得た。このスラリーをイオン交換水中に分散して30℃に保ちながら炭酸ガスを4時間吹き込んだ。しばらく静置した後、上澄みを捨て、残ったスラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥し、乾燥粉体を得た。この粉体を250℃で5時間加熱分解し、導電性酸化亜鉛微粒子からなる金属化合物微粒子18を得た。
【0236】
[金属化合物微粒子の製造例19]
加熱型混合機中、100部の金属化合物微粒子1に対し、エタノール100部にiso−ブチルトリメトキシシラン2部を加えた溶液を噴霧しながら80℃で撹拌混合し、噴霧終了後さらに120℃に昇温して30分間の加熱処理を行った。取り出し後、室温まで冷却し、解砕して表面処理を施した金属化合物微粒子19を得た。
【0237】
[金属化合物微粒子の製造例20]
加熱型混合機中、100部の金属化合物微粒子1に対し、エタノール100部にアミノ変性シリコーンオイル2部を加えた溶液を噴霧しながら80℃で撹拌混合し、噴霧終了後さらに150℃に昇温して30分間の加熱処理を行った。取り出し後、室温まで冷却し、解砕して表面処理を施した金属化合物微粒子20を得た。
【0238】
[トナーの製造例2〜20]
磁性トナー粒子1を用い、トナー製造例1において金属化合物微粒子1に代えて金属化合物微粒子2〜20を使用して、磁性トナー2〜20を製造した。得られた磁性トナーの物性を表2に示す。
【0239】
[トナーの製造例21、22]
トナー製造例1において、疎水性シリカ代えてiso−ブチルトリメトキシシランで表面処理された一次粒径50nm、BET100mm2/gの酸化チタン、及び、iso−ブチルトリメトキシシランで表面処理された一次粒径7nm、BET110mm2/gの酸化アルミナを用いて、磁性トナー21、22を製造した。得られた磁性トナーの物性を表2に示す。
【0240】
[トナーの製造例23]
トナー製造例1において、一次粒径8nmの疎水性シリカに代えて一次粒径90nmの疎水性シリカを用いて、磁性トナー23を製造した。得られた磁性トナーの物性を表2に示す。
【0241】
[トナーの製造例24]
トナー製造例1において、ヘンシェルミキサーFM10C/l(三井鉱山株式会社製)での混合処理時間を300秒間とし、磁性トナー24を得た。得られた磁性トナーの物性を表2に示す。
【0242】
[トナーの製造例25]
トナー製造例1において、金属化合物微粒子1の添加量を3.5部と変更して、磁性トナー25を得た。得られた磁性トナーの物性を表2に示す。
【0243】
[トナーの製造例26]
トナー製造例1において、金属化合物微粒子1の添加量を4.0部と変更して、磁性トナー26を得た。得られた磁性トナーの物性を表2に示す。
【0244】
<実施例2〜23>
磁性トナー3〜12、15〜26を用い、実施例1と同様の条件で評価を行った。結果を表3に示す。
【0245】
<比較例1〜3>
磁性トナー2、13、14を用い、実施例1と同様の条件で評価を行った。結果を表3に示す。
【0246】
実施例1〜2、9〜11、及び比較例1の結果より、帯電部材がトナー付着により汚染された場合でも、使用する金属化合物微粒子の比表面積が5×105cm2/cm3以上であれば良好な帯電性を維持できることが分かる。好ましくは10×105以上であり、より好ましくは12×105以上であることも分かる。一方、実施例1、3、4、8、11、比較例2の結果より、使用する金属化合物微粒子の比表面積が大きくなるにつれ磁性トナーへの付着性が増すため帯電ローラの当接部nに運ばれる転写残の金属化合物微粒子が減少して帯電性が低下気味となっており、好ましくは80×105cm2/cm3以下、より好ましくは40×105以下であることも分かる。さらに実施例13の結果からは、磁性トナーに含有される金属化合物微粒子が、100×105/D50<単位体積当たりの表面積 となる条件ではカブリがやや悪化気味となることも分かる。
【0247】
実施例1、3、5〜8、11及び比較例2、3の結果より、D50及びD10が小さいと画像濃度が低い傾向が見られ、D50は0.4μm以上が適正であり、好ましくは0.5μm以上である。またD10は0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上が一層好ましい範囲であることが分かる。一方、D50及びD90が大きいとカブリが悪化し解像力が低下する傾向が見られ、D50は4.0μm以下が適正であり、好ましくは3.5μm以下である。D90については6.0μm以下の必要があり、4.0μm以下が好ましい範囲であることが分かる。
【0248】
実施例1、12、13の結果より、金属化合物微粒子の抵抗が低くなると高湿下の画像特性が低下する傾向となるが、1×10-1Ωcm以上であれば特に問題は無いことが分かる。また、抵抗が高くなると帯電性が低下する傾向となるが、1×109以下であれば十分であることも分かる。
【0249】
実施例1、14、15の結果より、金属化合物微粒子中に酸化スズが含有されていない場合、帯電性及びカブリがやや悪化気味となることが分かる。
【0250】
実施例1、16、17の結果より、金属化合物微粒子はケイ素化合物によって表面処理を施した方が、特にアミノ変性シリコーンオイル処理を施した方が、帯電性及び画像特性上良い結果をもたらすことが分かる。
【0251】
実施例1、18〜23の結果より、磁性トナーの噴流性指数が低くなると帯電性が低下する傾向が見られるが、74%を下回らなければ、より好ましくは80%を下回らなければ良好であることが分かる。また、そのようなトナーを得るためには、(i)流動化剤として平均一次粒径が90nm以上の無機微粉体を用いることは好ましくないこと、(ii)X×Y≦6の条件を満たすのが好ましいこと、も分かる。
【0252】
【表1】
【0253】
【表2】
【0254】
【表3】
【0255】
[トナーの製造例27〜30]
トナー製造例1と同様にして、重量平均粒径2.8μm、3.0μm、12.0μm、12.5μmの磁性トナー粒子を製造した。得られたそれぞれの磁性トナー粒子に一次粒径8nmの疎水性シリカを外添し、重量平均粒径2.8μm及び3.0μmの磁性トナー粒子には2.5部外添し、重量平均粒径12.0μm及び12.5μmの磁性トナー粒子には0.7部外添して、磁性トナー27〜30を製造した。得られたトナーの物性を表4に示す。
【0256】
<実施例24、25>
磁性トナー28、29を用い、実施例1と同様の条件で評価を行った。結果を表5に示す。
【0257】
<比較例4、5>
磁性トナー27、30を用い、実施例1と同様の条件で評価を行った。結果を表5に示す。
【0258】
実施例24と比較例4の結果より、磁性トナーの重量平均粒径が小さくなると転写性やカブリが悪化し、帯電性が低下することが分かるが、重量平均粒径が3μm以上であれば、ゴースト部の濃度差は0.20以下に抑えられることが分かる。
【0259】
実施例25と比較例5の結果より、磁性トナーの重量平均粒径が大きくなると解像力が低下することが分かるが、重量平均粒径が12μm以下であれば、解像力に問題は無いことが分かる。
【0260】
【表4】
【0261】
【表5】
【0262】
<実施例26〜30>
本実施例の実験条件では、プリンタの非画像記録時である紙間時において、シーケンス制御回路により帯電バイアス印加電源のスイッチを切り換え、直流電圧に交流電圧を直列に接続化することにより、帯電ローラ2の芯金2aに
DC電圧:−650V
AC電圧:ピーク間電圧200V、周波数3Hz、5Hz、500Hz、1000Hz、1010Hzの矩形波の重畳電圧を印加させており、トナーとして磁性トナー1を用いた。
【0263】
またこの紙間時において、現像装置4の現像スリーブ4aには、画像記録時と同じく、
DC電圧:−440V
AC電圧:ピーク間電圧1500V、周波数1.6kHz、矩形波の重畳電圧を印加した。
【0264】
これらのバイアス関係を維持することにより、帯電ローラ2上で負に摩擦帯電された磁性トナーを感光体1上に現像し(帯電ローラ2上のトナーの感光体1側への吐き出し)、更にその磁性トナーを現像装置4のバックコントラストで回収することができる。
【0265】
プリンタの画像記録時は実施例1と同様の条件とし、磁性トナー1を用いて実施例1と同様に低温低湿下で帯電性の評価を行った。但し、ゴースト画像は連続して10枚印字し、10枚目の画像で評価した。結果を表6に示す。
【0266】
<実施例31、32>
次に、紙間時の重畳AC電圧の周波数を500Hzとし、磁性トナー17及び20を用いて、実施例28と同様に画像評価を行った。結果を表7に示す。
【0267】
【表6】
【0268】
【表7】
【0269】
本発明のトナーを上記のプロセス条件に適用することにより、帯電性の低下の原因となる帯電ローラ付着トナーを非画像記録時に効率よく排除でき、良好な帯電性を維持することができる。
【0270】
帯電部材への重畳交流電圧の周波数が低いと、周波数に同期して濃度ムラ(濃淡部が交互に発生する現象)が見られ、一方、周波数が高いと帯電部材に付着したトナーが追従しにくく、排除ができにくくなり帯電性が低下気味となるが、5〜1000Hzの範囲であれば問題無いことも分かる。
【0271】
[感光体の製造例2、3]
感光体の製造例1において、レゾール型熱硬化型フェノール樹脂の使用量を30部、15部として感光体2、3を製造した。感光体2、3のWe−OCL(%)はそれぞれ45.4、40.6であった。
【0272】
<実施例33〜35>
感光体1〜3を用い、帯電ローラ2の矢印Y方向への回転駆動の周速を200%(感光体21の表面に対して相対移動速度比は300%)とする以外は実施例28と同様の条件で、磁性トナー1を組み合わせて実験を行った。帯電性の評価は、使用済みの帯電ローラ1の表面に金属化合物微粒子1と磁性トナー1を1:1で混合したものを約0.5g塗布し、その後ゴースト画像連続5枚を印字して5枚目の画像で評価するやり方で、初期及び1000枚のプリント後に行った。結果を表8に示す。
【0273】
【表8】
【0274】
実施例33〜35の結果より、本発明のトナーと式(1)を満たす感光体を組み合わせることにより、クリーナレスシステムにおいて良好なカブリと帯電性を長期に渡り維持できることが渡る。また、We−OCL(%)の値が式(1)の上限に近いとカブリが悪化する傾向が、また下限に近いと表面層の削れによる帯電性の劣化傾向が見られるが、式(1)の範囲内であれば問題無いことも分かる。
【0275】
<実施例36、37>
磁性トナー17、20を用い、感光体2を用いて実施例34と同様の実験を行った。結果を表8に示す。
【0276】
【表9】
【0277】
実施例34、36、37の結果より、本発明のトナーと式(1)を満たす感光体を適宜に組み合わせることにより、クリーナレスシステムにおいて低湿下でも、カブリと帯電性を長期に渡り良好に維持できることが判明した。
【0278】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像特性に優れた性能を示すトナーが得られる。特に直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニングシステムにおいて該トナーを用いれば、帯電性においても優れた性能を示すトナーを得ることが可能となる。
【0279】
さらに、特殊な画像形成方法及び感光体と組み合わせることにより、帯電性不良に起因するゴースト画像の無い高画質の印字が長期に渡って可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される画像形成装置の一例の概略図を示す。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電ローラ
2a 帯電ローラ芯金
2b 可撓性層
3 露光器
4 現像装置
4a 現像スリーブ
4b マグネットロール
4c 弾性ブレード
4d トナー
5 転写ローラ
6 定着装置
S1 帯電部材用電源
S2 現像用電源
S3 転写用電源
Claims (23)
- トナー粒子、及び、該トナー粒子表面に非磁性の金属化合物微粒子と無機微粉体とを少なくとも有するトナーであり、
該トナー粒子は少なくとも結着樹脂と着色剤から形成されており、
該トナーの重量平均粒径Aが3.0μm乃至12.0μmであり、
該金属化合物微粒子は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンからなるグループから選ばれる酸化物であって、該酸化物はアンチモン又はアルミニウムを含有しており、比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105であり、体積基準のメジアン径(D50;単位μm)が0.5μm乃至3.5μmであり、トナーの重量平均粒径Aよりも小さく、D90が6.0μm以下の導電性の金属化合物微粒子であることを特徴とするトナー。 - 該金属化合物微粒子は、比表面積(cm2/cm3)と体積基準のメジアン径(D50;単位μm)が
5×105/D50≦比表面積(cm2/cm3)≦100×105/D50
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナー。 - トナーにおいて、金属化合物微粒子の含有量をX(質量%)とし、トナー比重をY(g/cm3)とした場合、
0.5≦X×Y≦6.0
の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。 - 該金属化合物微粒子は、体積抵抗が1×10-1〜1×109Ωcmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 該金属化合物微粒子は、体積基準のD90が4.0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 該金属化合物微粒子は、体積基準のD10が0.3μm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 該金属化合物微粒子は、比表面積(cm2/cm3)が10×105乃至80×105であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 該金属化合物微粒子は、比表面積(cm2/cm3)が12×105乃至40×105であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
- 該金属化合物微粒子は、体積基準のD10が0.4μm以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
- 該金属化合物微粒子は、少なくとも酸化スズを含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該金属化合物微粒子はケイ素化合物によって表面処理を施したものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー。
- 該無機微粉体は、少なくともシリカ、酸化チタン、アルミナ、それらの複合体及びそれらの混合物からなるグループから選択され、平均一次粒径が4nm乃至80nmであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーは、Carrの噴流性指数が80より大きいことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
- 帯電部材に電圧を印加して像担持体に接触させて帯電させる帯電工程と、帯電された該像担持体上に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させたトナーを、該像担持体表面に保持された該静電潜像に移動させてトナー画像を形成する現像工程と、該像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程とを少なくとも有する画像形成方法において、
該トナーは、トナー粒子、及び、該トナー粒子表面に非磁性の金属化合物微粒子と無機微粉体を少なくとも有するトナーであり、
該トナー粒子は少なくとも結着樹脂と着色剤から形成されており、
該トナーの重量平均粒径Aが3.0μm乃至12.0μmであり、
該金属化合物微粒子は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンからなるグループから選ばれる酸化物であって、該酸化物はアンチモン又はアルミニウムを含有しており、比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105であり、体積基準のメジアン径(D50;単位μm)が0.5μm乃至3.5μmであり、トナーの重量平均粒径Aよりも小さく、D90が6.0μm以下の導電性の微金属化合物粒子であることを特徴とする画像形成方法。 - 該トナーは、請求項2乃至13のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
- 該現像工程において、転写工程後に像担持体上に残存している転写残トナーをトナー担持体で回収することを特徴とする請求項14に記載の画像形成方法。
- 該現像工程において、該像担持体と該トナー担持体とを一定の間隔を設けて配置し、該トナー担持体の表面に該間隔よりも薄い厚さでトナー層を形成し、交番電界が形成されている現像領域において該トナーを該静電潜像に移動させて現像を行うことを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の画像形成方法。
- 現像工程がおこなわれない時に、帯電部材にDC電圧とAC電圧を重畳した電圧を印加するモードを有し、該モードにおけるAC電圧の周波数を5〜1000Hzとすることを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該像担持体が導電性支持体上に感光層及び電荷注入層を少なくとも有し、該像担持体と当接部を形成する可撓性の帯電部材により該像担持体面を直接注入帯電し、該帯電部材と該像担持体との該当接部には導電性を有する微粒子が少なくとも存在しており、転写工程後の該像担持体上に残留したトナー中の該金属化合物微粒子が、該帯電部材と該像担持体との該当接部に供給されることを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該像担持体が導電性支持体上に感光層及び電荷注入層を少なくとも有し、該電荷注入層の膜厚をd(μm)とした場合に、電荷注入層上で測定した弾性変形率We−OCL(%)と、該感光層上で測定した弾性変形率We−CTL(%)の関係が下記の式(1)を満足することを特徴とする請求項14乃至19のいずれかに記載の画像形成方法。
−0.71×d+We−CTL(%)≦We−OCL(%)
≦0.03×d3−0.89×d2+8.43×d+We−CTL(%) (1)
電荷注入層上で測定した弾性変形率We−OCL(%)
=〔We1/(We1+Wr1)〕×100
〔式中、We1は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した電荷注入層上の弾性変形の仕事量(nJ)を示し、Wr1は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した電荷注入層上の塑性変形の仕事量(nJ)を示す。〕
感光層上で測定した弾性変形率We−CTL(%)
=〔We2/(We2+Wr2)〕×100
〔式中、We2は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した感光層上で測定した弾性変形の仕事量(nJ)を示し、Wr2は温度23℃/湿度55%RHの測定環境で測定した感光層上で測定した塑性変形の仕事量(nJ)を示す。〕 - 像担持体上に形成された静電潜像をトナーを有する現像手段で現像してトナー画像を形成し、トナー画像を転写材に転写することによりトナー画像を形成するための画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジであり、
該プロセスカートリッジは、静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体に対向して配置される現像手段とを少なくとも有し、
該現像手段は、トナー担持体及び該トナー担持体上にトナー層を形成するためのトナー層規制部材を少なくとも有し、
該トナーは、トナー粒子、及び、該トナー粒子表面に非磁性の金属化合物微粒子と無機微粉体を少なくとも有するトナーであり、
該トナー粒子は少なくとも結着樹脂と着色剤から形成されており、
該トナーの重量平均粒径Aが3.0μm乃至12.0μmであり、
該金属化合物微粒子は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンからなるグループから選ばれる酸化物であって、該酸化物はアンチモン又はアルミニウムを含有しており、比表面積(cm2/cm3)が5×105乃至100×105であり、体積基準のメジアン径(D50;単位μm)が0.5μm乃至3.5μmであり、トナーの重量平均粒径Aよりも小さく、D90が6.0μm以下の導電性の微金属化合物粒子であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 該トナーは、請求項2乃至13のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- (I)該現像手段として、トナー画像を形成し、該トナー画像が転写材に転写された後に該像担持体上に残留したトナーを回収する現像―クリーニング手段を該現像手段、又は、
(II)該像担持体に接触する帯電部材を有し、該像担持体と帯電部材との当接部に該金属化合物微粒子が介在した状態で該帯電部材に電圧を印加することにより該像担持体を帯電させる接触帯電手段
を少なくとも有する請求項21又は22に記載のプロセスカートリッジ。
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