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JP2002202627A - 画像形成方法及び磁性トナー - Google Patents

画像形成方法及び磁性トナー

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JP2002202627A
JP2002202627A JP2000399205A JP2000399205A JP2002202627A JP 2002202627 A JP2002202627 A JP 2002202627A JP 2000399205 A JP2000399205 A JP 2000399205A JP 2000399205 A JP2000399205 A JP 2000399205A JP 2002202627 A JP2002202627 A JP 2002202627A
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JP
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toner
charging
image
magnetic
image forming
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JP2000399205A
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Takeshi Kaburagi
武志 鏑木
Takeshi Takiguchi
剛 瀧口
Keiji Kawamoto
恵司 河本
Michihisa Magome
道久 馬籠
Akira Hashimoto
昭 橋本
Tatsuhiko Chiba
建彦 千葉
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Canon Inc
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Canon Inc
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Publication date
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Publication of JP2002202627A publication Critical patent/JP2002202627A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に左右されにくく、安定した帯電性能を
有し、カブリがなく、長時間の使用においても画像濃度
が高く、画像再現性及び定着性に優れ、長期にわたる繰
り返し使用においても帯電不良を生じない良好な画像が
得られ、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー
粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られ
る画像形成方法を提供する。 【解決手段】 接触帯電方式の画像形成方法において、
少なくとも結着樹脂、ワックス、及び磁性粉体を含むト
ナー粒子と、無機微粉体と、該トナー粒子よりも小さい
平均粒径を有する導電性微粉体とを有し、平均円形度が
0.960以上であり、該磁性粉体がトナー粒子表面に
実質上露出していないトナーであり、また該ワックスは
少なくとも結着樹脂の構成要素である単量体に可溶なワ
ックスと不溶なワックスとの少なくとも二種類を含む磁
性トナーを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電荷潜像を顕像
化する画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる
磁性トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁性を有するトナー及び画像形成
方法に関しては多くの提案がなされている。米国特許第
3,909,258号明細書には電気的に導電性を有す
る磁性トナーを用いて現像する方法が提案されている。
これは内部に磁性を有する円筒状の導電性スリーブ上に
導電性磁性トナーを支持し、これを静電像に接触せしめ
現像するものである。この際、現像部において、記録体
表面とスリーブ表面の間にトナー粒子により導電路が形
成され、この導電路を経てスリーブよりトナー粒子に電
荷が導かれ、静電像の画像部との間のクーロン力により
トナー粒子が画像部に付着して現像される。
【0003】この導電性磁性トナーを用いる現像方法は
従来の二成分現像方法にまつわる問題点を回避した優れ
た方法であるが、反面トナーが導電性であるため、現像
した画像を、記録体から普通紙等の最終的な支持部材へ
静電的に転写することが困難であるという問題を有して
いる。
【0004】静電的に転写することが可能な高抵抗の磁
性トナーを用いる現像方法として、トナー粒子の誘電分
極を利用した現像方法がある。しかし、かかる方法は本
質的に現像速度がおそい、現像画像の濃度が十分に得ら
れていない等の問題点を有しており、実用上困難であ
る。
【0005】高抵抗の絶縁性の磁性トナーを用いるその
他の現像方法として、トナー粒子相互の摩擦、トナー粒
子とスリーブ等との摩擦等によりトナー粒子を摩擦帯電
し、これを静電像保持部材に接触して現像する方法が知
られている。しかしこの方法は、トナー粒子と摩擦部材
との接触回数が少なく、また、用いられる磁性トナーは
トナー粒子表面に磁性体が多く露出しているため、摩擦
帯電が不十分となりやすく帯電不良による画像不良など
の問題があった。
【0006】さらに、特開昭55−18656号公報等
において、ジャンピング現像方法が提案されている。こ
れはスリーブ上に磁性トナーを極めて薄く塗布し、これ
を摩擦帯電し、次いでこれを静電像に極めて近接して現
像するものである。この方法は、磁性トナーをスリーブ
上に薄く塗布することによりスリーブとトナーの接触す
る機会を増し、十分な摩擦帯電を可能にしている点で優
れた方法である。
【0007】しかしながら、絶縁性磁性トナーを用いる
現像方法には、用いる絶縁性磁性トナーに関わる不安定
要素がある。それは、絶縁性磁性トナー中には微粉末状
の磁性体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部
がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの
流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性トナ
ーの現像特性、耐久性等の磁性トナーに要求される種々
の特性の変動または劣化を引き起こすというものであ
る。
【0008】従来の磁性体を含有する磁性トナーを用い
た場合に、上述した問題が生じてしまうのは、磁性トナ
ーの表面に磁性体が露出していることがその大きな原因
と考えられる。すなわち、磁性トナーの表面に、トナー
を構成する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性体微粒
子が露出することにより、トナー帯電性能の低下、トナ
ー流動性の低下、その上、長期間の使用においては、ト
ナー同士または規制部材との摺擦による磁性体の剥離に
伴う画像濃度の低下やスリーブゴーストと呼ばれる濃淡
のムラの発生などトナーの劣化などが引き起こされるの
である。
【0009】従来より、磁性トナーに含有される磁性酸
化鉄に関する提案は出されているが、いまだ改良すべき
点を有している。例えば、特開昭62−279352号
公報においては、ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄を含
有する磁性トナーが提案されている。かかる磁性酸化鉄
は、意識的にケイ素元素を磁性酸化鉄内部に存在させて
いるが、該磁性酸化鉄を含有する磁性トナーの流動性
に、いまだ改良すべき点を有している。
【0010】また、特公平3−9045号公報において
は、ケイ酸塩を添加することで、磁性酸化鉄の形状を球
形に制御する提案がされている。この方法で得られた磁
性酸化鉄は、粒子形状の制御のためにケイ酸塩を使用す
るため磁性酸化鉄内部にケイ素元素が多く分布し、磁性
酸化鉄表面におけるケイ素元素の存在量が少なく、磁性
酸化鉄の平滑度が高いため、磁性トナーの流動性はある
程度改良されるが、磁性トナーを構成する結着樹脂と磁
性酸化鉄との密着性が不十分である。
【0011】また、特開昭61−34070号公報にお
いては、四三酸化鉄への酸化反応中にヒドロシソケイ酸
塩溶液を添加して四三酸化鉄の製造方法が提案されてい
る。この方法による四三酸化鉄は、表面近傍にSi元素
を有するものの、Si元素が四三酸化鉄表面近傍に層を
成して存在し、表面が摩擦のごとき機械的衝撃に対して
弱いという問題点を有している。
【0012】一方、トナーは、結着樹脂、着色剤等を溶
融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉砕
し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナー
として製造(粉砕法)されて来たが、トナーの微小粒径
化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色
剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置で
微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求から、
樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤分散
体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲の粒
子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子(過
度に粉砕された粒子)がこれに含まれるという問題が生
ずる。更に、このように高度に脆性の材料は、複写機等
において現像用トナーとして使用する際、しばしば、更
に微粉砕または粉化を受ける。
【0013】また、粉砕法では、磁性粉または着色剤等
の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困
難であり、その分散の度合いによっては、かぶりの増
大、画像濃度の低下の原因となる。さらに、粉砕法は、
本質的に、トナーの表面に磁性酸化鉄粒子が露出してし
まうため、トナーの流動性や過酷環境下での帯電安定性
にどうしても問題が残る。すなわち、粉砕法において
は、高精彩、高画質化で要求されるトナーの微粒子化に
限界があり、それに伴い粉体特性特にトナーの均一帯電
性および流動性が著しく減衰する。
【0014】また、流動性や転写性を確保するとの観点
から例えば特開昭63−235953号公報には機械的
衝撃力により球形化したトナーが開示されているが、こ
のように球形化する方法は微粒子化されたトナーを完全
に球形化するためにはかなりのエネルギーが必要とされ
るためコストアップとなり、また得られるトナーも球形
化工程における熱衝撃等で磁性体やトナー中のワックス
などが表面に出やすく、高画質や転写性の確保という面
で不充分であった。
【0015】上述の様な粉砕法によるトナーの問題点を
克服するため、更には上記のごとき要求を満たすため懸
濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。懸
濁重合によるトナー(以後重合トナー)は、トナーの微
粒子化が容易に可能であり、更には、得られるトナーの
形状が球状であることから流動性に優れ、高画質化に有
利となる。
【0016】しかしながら、この重合トナー中に磁性体
を含有することにより、その流動性及び帯電特性は著し
く低下する。これは、磁性粒子は一般的に親水性である
ためにトナー表面に存在しやすいためであり、この問題
を解決するためには磁性体の有する表面特性の改質が重
要となる。
【0017】重合トナー中の磁性体の分散性向上のため
の表面改質に関しては、数多く提案されている。例え
ば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−2
00256号公報、特開昭59−200257号公報、
特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シラ
ンカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭6
3−250660号公報、特開平10−239897号
公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリン
グ剤で処理する技術が開示されている。
【0018】しかしながら、これらの処理によりトナー
中の分散性はある程度向上するものの、磁性体表面の疎
水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、
したがって、磁性体同士の合一や疎水化されていない磁
性体粒子の発生を避けることができず、トナー中の分散
性を良好なレベルにまで向上させるには不十分である。
【0019】また、プリンター装置はLED、LBPプ
リンターが最近の市場の主流になっており、技術の方向
としてより高解像度即ち、従来240、300dpiで
あったものが400、600、800dpiとなって来
ている。従って現像方式もこれにともなってより高精細
が要求されてきている。また、複写機においても高機能
化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつ
ある。
【0020】この方向は、静電荷像をレーザーで形成す
る方法が主である為、やはり高解像度の方向に進んでい
る。ここでもプリンターと同様に高解像・高精細の現像
方式が要求されてきており、特開平1−112253号
公報、特開平2−284158号公報などでは粒径の小
さいトナーが提案されているが、前述した種々の課題は
解決が十分なされていない。さらに、先の高解像・高精
細の高機能化とともにプロセススピードの高速化も求め
られている。
【0021】しかし高画質や転写性に有利な球形のトナ
ーは、定着の面でいくつかの課題があることが分かって
きた。すなわち、課題のひとつは定着画像における光沢
むらが生じやすくなることであり、もう一つの課題は装
置立ち上げ時のような比較的加熱温度が低い場合に低温
オフセットを生じやすくなる事が分かってきた。
【0022】このような現象に関しては定着加圧力の小
さい定着構成、例えば特開昭63−313182号公
報、特開平2−157878号公報、特開平4−440
75号公報、特開平4−204980号公報等に記載の
フィルム加熱方式の定着装置や例えば実開昭51−10
9739号公報に記載の磁束により定着ローラに電流を
誘導させてジュール熱によって発熱させる誘導加熱定着
装置等で一層顕著になることから、球形のトナーは従来
の非球形のトナーと比べ比較的密にトナー同士が詰まり
やすい傾向であるために、定着部材の圧力の影響を受け
やすく、結果として転写紙の「す」を画像に再現しやす
く、非球形のトナーと比べ比較的ベタ画像にむらやオフ
セットが生じやすい傾向になると考えている。
【0023】尚、球形トナーが得られやすい重合法トナ
ーは例えば特開平5−088409号公報のようなカプ
セル構造など、トナーの内部/外部構造の制御が可能な
ため、外層樹脂の軟化点を比較的高めにし、内層樹脂の
軟化点を低く設定する等の手段でトナーの高耐久性と低
温定着性の両立が容易となる利点を有するが、低温定着
性を進めるため、トナー表層を実質的に高軟化点の樹脂
とすると、上記の定着ムラやオフセットの傾向はより強
くなることも分かってきた。
【0024】また高速定着を行うためにより一層の低温
定着性を確保することは必須であるが、定着性と画像特
性との両立との観点から従来様々な離型剤についての技
術が開示されてきている。
【0025】ワックスの内添については例えば、特開昭
52−3304号公報、特開昭52−3305号公報、
特開昭57−52574号公報等の技術が開示されてい
る。これらのワックス類は、トナーの定着性の性能、特
に耐オフセット性の向上の為に用いられている。しかし
ながら、これらの性能を向上させる反面、耐ブロッキン
グ性を悪化したり、画像形成手段とのマッチングに問題
を生じ、現像性等に支障を来す。
【0026】また、定着時に低温領域から高温領域にか
けて、一層のワックス添加の効果を発揮させる為に二種
類以上のワックスをトナー中に添加する技術が開示され
ている。例えば、特公昭52−3305号公報にはポリ
プロピレンワックスまたはポリエチレンワックスとパラ
フィンワックスの組み合わせが、特開昭58−2156
59号公報には各ワックスの融点及び融点温度差が規定
された融点違いの二種ポリアルキレンワックスが、特開
平4−124676号公報には特定の分子量を有するポ
リアルキレンワックスと溶融粘度・分子量・酸価等を規
定したポリエチレンワックスの組み合わせが、特開平8
−334920号公報には各々の融解ピークがシャープ
であるワックスの組み合わせが、特開平10−1048
35号公報には溶融粘度の異なる二種のワックスの組み
合わせ等の技術が開示されている。
【0027】しかし、これらのトナーにおいてもすべて
のトナー性能を満足し得るものはなく、何らかの問題が
生じていた。例えば、耐高温オフセット性や現像性には
優れるが低温定着性に劣ったり、耐低温オフセット性に
優れるが耐ブロッキング性に劣ったり、更には現像性の
低下を招くなどの弊害があった。また、複数のワックス
成分を用いるとトナー中での分散が不均一となり、トナ
ーの帯電不良や現像器や現像スリーブ上での搬送不良や
不均一コートの原因となり、画像上にカブリやブロッチ
の如き画像欠陥を生じた。
【0028】また、更にはワックスがトナー中に偏在す
ることが多く、特に、高温高湿環境下、トナー担持体に
対し交番電界を印加してトナー担持体と像担持体の間に
おけるトナーの往復飛翔運動により現像を行う現像工程
においては、その多数回の像担持体との衝撃によりワッ
クスが染み出し、トナー融着が生じやすい。また、さら
に現像兼クリーニングを用いた画像形成方法に適用する
際には、その像担持体と帯電部材の摺擦によりワックス
が染み出すことに起因して、トナー融着が生じやすい、
といった欠陥も生じていた。
【0029】特に粉砕法によるトナーでは、ワックス組
成物がトナーの生産性に及ぼす影響も無視出来ない。例
えば、比較的低融点を呈するワックスを用いた場合、バ
インダー樹脂を可塑化する為、トナーの機械的強度が低
下し粉砕効率は高くなるものの、所望の粒径以下の微粉
の生成量が増加するいわゆる過粉砕状態に陥り、分級時
の収率が低下し、結果として生産効率は悪化する。逆に
比較的高融点を呈するワックスを用いた場合には粉砕効
率が悪化したり、トナーを溶融混練する際に分散性に困
難をきたす。分散性を改善する為に混練状態を強化する
とバインダー樹脂の分子切断等の新たな問題を生じる。
【0030】以上のように高画質化・高速定着の要望の
中で、全てを満足するトナーについては検討の余地が残
されている。
【0031】一方、潜像を現像するためのトナーとして
は、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤、及びキ
ャリアを必要としない一成分系トナー(磁性トナー、非
磁性トナー)が知られている。二成分系では主にキャリ
アとトナーの摩擦によって、一成分系では主にトナーと
帯電付与部材との摩擦によって、トナーへの帯電が行わ
れる。また、トナーとしては、二成分系、一成分系の差
異によらず、トナー及びトナーの流動特性、帯電特性等
を改善する目的でトナー粒子に外部添加剤として無機微
粒子を添加する方法が提案され、広く用いられている。
【0032】例えば、特開平5−66608号公報、特
開平4−9860号公報等で疎水化処理を施した無機微
粒子または疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等
で処理した無機微粒子を添加、または特開昭61−24
9059号公報、特開平4−264453号公報、特開
平5−346682号公報で疎水化処理無機微粒子とシ
リコーンオイル処理無機微粒子を併用添加する方法が知
られている。
【0033】また、外部添加剤として導電性微粒子を添
加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微
粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付
与するため、またはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ
分布を均一化させるため等の目的で、トナー表面に付着
または固着するための外部添加剤として用いることが広
く知られている。また、特開昭57−151952号公
報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−6
9660号公報では、高抵抗磁性トナーにそれぞれ酸化
スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子を外部添加
することが開示されている。
【0034】また、特開昭56−142540号公報で
は、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、フェライトの如
き導電性磁性粒子を添加し、導電性磁性粒子に磁性トナ
ーへの電荷誘導を促進させることで現像性と転写性を両
立するトナーが提案されている。更に、特開昭61−2
75864号公報、特開昭62−258472号公報、
特開昭61−141452号公報、特開平02−120
865号公報では、トナーにグラファイト、マグネタイ
ト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子
を添加することが開示されているほか、多種多様な導電
性微粒子をトナーに添加することが知られている。
【0035】従来、画像形成法としては、静電記録法、
磁気記録法、トナージェット法など多数の方法が知られ
ている。例えば、電子写真法は、一般には潜像担持体と
しての光導電性物質を利用した感光体上に、種々の手段
により電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現
像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体
にトナー像を転写した後、熱・圧力等により記録媒体上
にトナー画像を定着して画像を得るものである。
【0036】一般には、この際、転写後に潜像担持体上
に記録媒体に転写せずに残余したトナーが、種々の方法
でクリーニングされ廃トナーとして廃トナー容器に蓄え
られるクリーニング工程を経て、上述の工程が繰り返さ
れる画像形成法が用いられてきた。
【0037】このクリーニング工程については、従来ブ
レードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ロー
ラークリーニング等が用いられていた。いずれの方法も
力学的に転写残余のトナーを掻き落とすか、またはせき
止めて廃トナー容器へと捕集されるものであった。よっ
て、このような部材が潜像担持体表面に押し当てられる
ことに起因する問題が生じていた。例えば、部材を強く
押し当てることにより潜像担持体を摩耗させ短命化する
ことが挙げられる。装置面からみると、かかるクリーニ
ング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装
置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
更には、省資源、廃棄物削減の観点及びトナーの有効活
用と言う意味で廃トナーのでないシステム、定着性、耐
オフセット性にすぐれたシステムが望まれていた。
【0038】これに対し、廃トナーのでないシステムと
して、現像兼クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる
技術も提案されている。しかしながら、従来の現像兼ク
リーニング又はクリーナレスに関する技術の開示は、特
開平5−2287号公報にあるように画像上に転写残余
のトナーの影響によるポシメモリ、ネガメモリなどに焦
点を当てたものが主であった。
【0039】しかし、電子写真の利用が進んでいる今
日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性
がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対し満足
するものではなかった。
【0040】クリーナレスに関連する技術の開示を行っ
ているものに特開昭59−133573号公報、特開昭
62−203182号公報、特開昭63−133179
号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−3
02772号公報、特開平5−2289号公報、特開平
5−53482号公報、特開平5−61383号公報等
があるが、望ましい画像形成方法については述べられて
おらず、トナー構成についても言及されていなかった。
【0041】また、トナーにより可視像を形成する工程
についても種々の方法が知られている。例えば、電気的
潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法、加
圧現像法、キャリアとトナーからなる二成分系トナーを
用いる磁気ブラシ現像法等が知られている。トナー担持
体が潜像担持体と非接触でトナーをトナー担持体から潜
像担持体へ飛翔させる非接触一成分現像法、磁性トナー
を用い中心に磁極を配した回転スリーブを用い感光体上
とスリーブ上の間を電界にて飛翔させる磁性一成分現像
方法、更にはトナー担持体を潜像担持体に圧接させ電界
によってトナーを転移させる接触一成分現像法も用いら
れている。
【0042】現像兼クリーニング又はクリーナレスに好
ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリ
ーニング装置を有さない現像兼クリーニングでは、潜像
担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が
必須とされてきたため、トナーまたはトナーが潜像担持
体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これ
は、現像手段において転写残トナーを回収するために、
トナーまたはトナーが潜像担持体に接触し、擦る構成が
有利であると考えられるためである。
【0043】しかしながら、接触現像方法を適用した現
像兼クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期
間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、感光
体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して
充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方
法による現像兼クリーニング方法が望まれていた。
【0044】また、電子写真装置や静電記録装置等に用
いられる画像形成方法において、電子写真感光体・静電
記録誘電体等の像担持体上に潜像を形成する方法につい
ても様々な方法が知られている。例えば、電子写真法で
は、潜像担持体としての光導電性物質を利用した感光体
上を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、画像
パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成する方
法が一般的である。
【0045】従来、潜像担持体を所要の極性・電位に一
様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としては
コロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。
コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極
等の放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、
放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接
触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加する
ことにより生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持
体面をさらすことで像担持体面を所定に帯電させるもの
である。
【0046】近年では、潜像担持体等の被帯電体の帯電
装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等
の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、ま
た実用化されている。接触帯電装置は、像担持体等の被
帯電体に、ローラー型(帯電ローラー)、ファーブラシ
型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材
(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯
電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所
定の極性・電位に帯電させるものである。
【0047】接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、
帯電原理)には、(1)放電帯電機構と(2)直接注入
帯電機構 の二種類の帯電機構が混在しており、どちら
が支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0048】(1)放電帯電機構 接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象
により被帯電体表面が帯電する機構である。放電帯電機
構は接触帯電部材と被帯電体に一定の放電しきい値を有
するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印
加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生
量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原
理的に避けられないため、オゾンなど活性イオンによる
弊害は避けられない。
【0049】(2)直接注入帯電機構 接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されるこ
とで被帯電体表面が帯電する系である。直接帯電、また
は注入帯電、または電荷注入帯電とも称される。より詳
しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触し
て、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いな
いで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よ
って、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加
電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電
させることができる。この帯電系はイオンの発生を伴わ
ないため放電生成物による弊害は生じない。
【0050】しかし、直接注入帯電であるため、接触帯
電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてく
る。そこでより高い頻度で被帯電体に接触する構成をと
るため、接触帯電部材はより密な接触点を持つ、被帯電
体との速度差を多く持つ等の構成が必要となる。
【0051】接触帯電装置は、接触帯電部材として導電
ローラー(帯電ローラー)を用いたローラー帯電方式が
帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられてい
る。従来のローラー帯電における帯電機構は前記(1)
の放電帯電機構が支配的である。帯電ローラーは、導電
または中抵抗のゴム材または発泡体を用いて作製され
る。さらにこれらを積層して所望の特性を得たものもあ
る。
【0052】帯電ローラーは被帯電体との一定の接触状
態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵
抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動または若干の
速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しよ
うとしても、絶対的帯電能力の低下や接触性の不足やロ
ーラー形状による接触ムラや被帯電体の付着物による帯
電ムラは避けられない。
【0053】図7は電子写真法における接触帯電の帯電
効率例を表したグラフである。横軸に接触帯電部材に印
加したバイアス、縦軸にはその時得られた被帯電体(以
下、感光体と記す)帯電電位を表すものである。ローラ
ー帯電の場合の帯電特性はAで表される。即ち凡そ−5
00Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。従って、
−500Vに帯電させる場合は−1000Vの直流電圧
を印加するか、または、−500V直流の帯電電圧に加
えて、放電閾値以上の電位差を常に持つようにピーク間
電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電
電位に収束させる方法が一般的である。
【0054】より具体的に説明すると、厚さ25μmの
OPC感光体に対して帯電ローラーを加圧当接させた場
合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表
面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き
1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を
帯電開始電圧Vthと定義する。つまり、電子写真に必
要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ロー
ラーにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電
圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯
電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と
称する。
【0055】しかし、DC帯電においては環境変動等に
よって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感
光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変
動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難し
かった。
【0056】このため、更なる帯電の均一化を図るため
に特開昭63−149669号公報に開示されるよう
に、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上の
ピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電
部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これ
は、ACによる電位のならし効果を目的としたものであ
り、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるV
dに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0057】ところが、このような接触帯電装置におい
ても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光
体への放電現象を用いているため、先に述べたように接
触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が
必要とされ、微量のオゾンは発生する。また、帯電均一
化のためにAC帯電を行った場合にはさらなるオゾンの
発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振
動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体
表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となってい
た。
【0058】また、ファーブラシ帯電は、接触帯電部材
として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラ
シ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体
としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加
して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものであ
る。このファーブラシ帯電もその帯電機構は前記(1)
の放電帯電機構が支配的である。
【0059】ファーブラシ帯電器は固定タイプとロール
タイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り
込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固
定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて
形成する。繊維密度としては100本/mm2程度のも
のが比較的容易に得られるが、直接注入帯電により十分
均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分であり、
直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには感光体に
対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必
要があり、現実的ではない。
【0060】このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の
帯電特性は図7のBに示される特性をとる。従って、フ
ァーブラシ帯電の場合も、固定タイプ、ロールタイプの
どちらも多くは、高い帯電バイアスを印加し放電現象を
用いて帯電を行っている。
【0061】これらに対し、磁気ブラシ帯電は、接触帯
電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁
気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部
材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被
帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアス
を印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるも
のである。
【0062】この磁気ブラシ帯電の場合はその帯電機構
は前記(2)の直接注入帯電機構が支配的である。磁気
ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜5
0μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けること
で、均一に直接注入帯電を可能にする。図7の帯電特性
グラフのCにあるように、印加バイアスとほぼ比例した
帯電電位を得ることが可能になる。しかしながら、機器
構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導
電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等の弊害もあ
る。
【0063】ここで、これらの接触帯電方法を現像兼ク
リーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した
場合を考える。現像兼クリーニング方法、クリーナレス
画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために
感光体上に残余する転写残トナーが、そのまま接触帯電
部材と接触し、付着または混入する。また、放電帯電機
構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギー
によるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化
も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触
帯電部材に付着または混入すると、帯電性の低下が起こ
る。
【0064】この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電
機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材
表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗とな
るあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電
機構が支配的である帯電方法の場合には、付着または混
入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との
接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低
下する。
【0065】この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像
露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下とな
り、画像濃度を低下させるまたはカブリを増大させる。
また、現像兼クリーニング方法、クリーナレス画像形成
方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電
量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収
し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにするこ
とがポイントとなり、転写残トナーの帯電極性及び帯電
量を制御を帯電部材によって行うこととなる。
【0066】これについて具体的に一般的なレーザープ
リンターを例として説明する。マイナス極性電圧を印加
する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯
電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程に
おいて、プラス極性の転写部材によって可視化された像
を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類
(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係に
より、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナ
スまで変動する。
【0067】しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電さ
せる際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と
共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラ
ス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電
極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として
反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電
位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残
り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像
電界の関係上トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電
位をもつ感光体上に転写残トナーは残留することなく回
収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と
同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することによ
り、現像兼クリーニング、クリーナレス画像形成方法が
成立する。
【0068】しかしながら、転写残トナーが接触帯電部
材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に
付着または混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性
を揃えることができず、現像部材によってトナーを回収
することが困難となる。また、トナー担持体に摺擦等の
機械的力によって回収されたとしても、転写残トナーの
帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のト
ナーの帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させ
る。
【0069】すなわち、現像兼クリーニング、クリーナ
レス画像形成方法においては、転写残トナーの帯電部材
通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性
が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0070】帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行う
ために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を
塗布する構成も特公平7−99442号公報に開示され
ている。しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラー)
が被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)で
あり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン
生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原
理は前述のローラー帯電の場合と同様に以前として放電
帯電機構を主としている。
【0071】特に、より安定した帯電均一性を得るため
にはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するため
に、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってし
まう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン
生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、ク
リーナーレスの画像形成装置に適用した場合には、転写
残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に
付着していることが困難となり、均一帯電を行う効果が
薄れてしまう。
【0072】また、特開平5−150539号公報に
は、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画
像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれな
かったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付
着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、ト
ナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい
平均粒径を有する導電性粒子を含有することが開示され
ている。
【0073】しかし、ここで用いられた接触帯電または
近接帯電は放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機
構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、
クリーナーレスの画像形成装置へ適用した場合には、ク
リーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性微
粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる
帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残
トナーの現像工程における回収性、回収された導電性微
粒子及び転写残トナーによるトナーの現像特性への影響
に関して何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接
注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触
帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響によ
る帯電不良を生じてしまう。
【0074】また、近接帯電では、多量の導電性微粒子
及び転写残トナーにより感光体を均一帯電させることが
困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得ら
れないため転写残トナーのパターン画像露光を遮光する
ためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の
電源の瞬断または紙詰まり時にはトナーによる機内汚染
が著しくなる。
【0075】また、現像兼クリーニング画像形成方法に
おいて、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性
を向上させることで現像兼クリーニング性能を向上させ
るものとして、特開平11−15206号公報では、特
定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有
するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた
画像形成方法が提案されている。更に、現像兼クリーニ
ング画像形成方法において、トナーの形状係数を規定し
た転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減
少させることで現像兼クリーニング性能を向上させるこ
とも提案されている。
【0076】しかしながら、ここで用いられた接触帯電
も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではな
く、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの
提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下
を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効
果は期待できない。
【0077】更には、市販の電子写真プリンターの中に
は、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラ
ー部材を用い、現像での転写残トナー回収性を補助また
は制御する現像兼クリーニング画像形成装置もある。こ
のような画像形成装置は、良好な現像兼クリーニング性
を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コ
ストが高くなり、小型化の点でも現像兼クリーニングの
利点を損ねている。
【0078】これらに対し、特開平10−307456
号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以
下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含むト
ナーを直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画
像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。
この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃ト
ナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化
に有利な現像兼クリーニング画像形成装置が得られ、帯
電不良、画像露光の遮光または拡散を生じない良好な画
像が得られる。
【0079】また、特開平10−307421号公報に
おいては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有す
る導電性粒子を含むトナーを直接注入帯電機構を用いた
現像兼クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に
転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されてい
る。
【0080】更に、特開平10−307455号公報で
は導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下と
すること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電
性微粉末の粒径を10nm〜50μmとすることが記載
されている。
【0081】特開平10−307457号公報では人の
視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的
に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μ
m以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載
されている。
【0082】更に、特開平10−307458号公報に
よれば、導電性微粉末の粒径はトナー粒径以下とするこ
とで、現像時にトナーの現像を阻害する、または現像バ
イアスが導電性微粉末を介してリークすることを防止し
画像の欠陥をなくすことができること、及び導電性微粉
末の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、
像担持体に導電性微粉末が埋め込まれ露光光を遮光する
弊害も解決し優れた画像記録を実現する直接注入帯電機
構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法が記載され
ている。
【0083】特開平10−307456号公報によれ
ば、トナーに導電性微粉末を外部添加し、少なくとも可
撓性の接触帯電部材と像担持体とのニップ部に前記トナ
ー中に含有の導電性微粉末が、現像工程で像担持体に付
着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介
在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じな
い良好な画像が得られる現像兼クリーニング画像形成装
置が開示されている。
【0084】しかしながら、これらの提案も長期にわた
る繰り返し使用における安定した性能、解像性を高める
ためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる場合の性能
については更なる改良の余地があった。
【0085】また、これらの画像形成装置において高速
定着を行うため、低温定着性には優れるトナーを用いた
場合、トナーの耐久性が悪化し、感光体に対してトナー
融着等が生じやすくなる問題が生じるなど用いられるト
ナーとのマッチングについても不十分であり更なる改良
の余地がある。
【0086】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環境
に左右されにくく、安定した帯電性能を有し、カブリが
なく、長時間の使用においても画像濃度が高く、画像再
現性及び定着性に優れ、長期にわたる繰り返し使用にお
いても帯電不良を生じない良好な画像が得られ、解像性
を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際
においても良好な画像を安定して得られる画像形成方法
を提供することにある。
【0087】また本発明は上記目的に加えて、放電生成
物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが
可能な、低コストで小型化に有利であり、良好な帯電性
を安定して得られ、転写性に優れ、転写残トナーの回収
性に優れた現像兼クリーニング画像形成を可能とする画
像形成方法を提供することを目的とする。
【0088】
【発明を解決するための手段】本発明は、像担持体とニ
ップ部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加するこ
とにより像担持体を帯電させる帯電工程と、像担持体の
帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む潜像形成工
程と、トナー担持体上に担持させた磁性トナーにより該
静電潜像を現像しトナー像とする現像工程と、そのトナ
ー像を記録媒体に転写する転写工程とを少なくとも含む
画像形成方法であって、前記磁性トナーが、少なくとも
結着樹脂、ワックス、及び磁性粉体を含むトナー粒子
と、無機微粉体と、該トナー粒子よりも小さい平均粒径
を有する導電性微粉体とを有し、平均円形度が0.96
0以上であり、該磁性粉体がトナー粒子表面に実質上露
出していないトナーであり、また該ワックスは少なくと
も結着樹脂の構成要素である単量体に可溶なワックスと
不溶なワックスとの少なくとも二種類を含むことを特徴
とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる
磁性トナーを提供する。
【0089】
【発明の実施の形態】以下、本発明の画像形成方法及び
磁性トナーについて詳細に説明する。まず本発明の磁性
トナーについて説明し、次に該トナーを用いる本発明の
画像形成方法について説明する。
【0090】本発明の磁性トナー(単に「トナー」とも
いう)は、像担持体に接触する帯電部材を用いて像担持
体を帯電させる接触帯電方式を用いる画像形成方法に使
用され、少なくとも結着樹脂、ワックス及び磁性粉体を
含むトナー粒子を有する磁性トナーであって、平均円形
度が0.960以上であり、磁性粉体はトナー粒子表面
に実質上露出しておらず、ワックスは少なくとも結着樹
脂の構成要素である単量体に可溶なワックスと不溶なワ
ックスを含み、トナー粒子の表面に無機微粉体及びトナ
ーの平均粒径よりも小さい導電性微粉体を有する。
【0091】本発明の磁性トナーは、実質上トナー粒子
表面に磁性粉体が露出していないため、表面に磁性粉体
が露出している磁性トナーとは異なり、磁性トナーの帯
電量がリークし難く、そのため導電性微粉体を多く表面
に有していても、帯電量の低下が少なく、画像濃度の高
い良好な画像を得ることが可能である。
【0092】さらに、本発明の磁性トナーは、結着樹脂
に相溶し難いワックスと可塑化するワックスとが内包さ
れているため、トナー粒子表層に存在するワックス量が
適度であり、トナー粒子表層の樹脂軟化点が高くても定
着しやすく、且つワックスの染み出しに起因したトナー
融着も改善される。更に磁性粉体の露出もないため、定
着ムラの少ない画像が得られやすい。
【0093】また、平均円形度、モード円形度が非常に
高い為に磁性トナーが現像部で細い穂を形成し、磁性ト
ナー一個一個の帯電を均一にすることで、かぶりの非常
に少ない良好な画像を得ることが可能である。
【0094】まず、磁性トナーの平均円形度について説
明する。平均円形度が0.960以上、好ましくは0.
970以上の磁性トナーは転写性に非常に優れている。
これはトナー粒子と像担持体との接触面積が小さく、鏡
像力やファンデルワールス力等に起因するトナー粒子の
像担持体への付着力が低下するためと考えられる。従っ
て、このような磁性トナーを用いれば転写率が高く、転
写残トナーが非常に低減するため、帯電部材と像担持体
との接触部における磁性トナーが非常に少なく、トナー
融着が防止され、画像欠陥が著しく抑制されるものと考
えられる。
【0095】さらに、平均円形度が0.960以上、好
ましくは0.970以上の磁性トナーは表面のエッジ部
がほとんど無いため、帯電部材と像担持体との接触部に
おいて摩擦が低減され、像担持体表面の削れが抑制され
ることも挙げられる。これらの効果は、転写中抜けの発
生しやすい接触転写工程を含む画像形成方法において
は、より顕著となって現れる。磁性トナーの平均円形度
が0.960を下回ると、画像形成における摩擦の増大
から画像不良が生じることがある。
【0096】また、磁性トナーの円形度分布において、
モード円形度が0.99以上であると、トナー粒子の多
くが真球に近い形状を有する事を意味しており、上記作
用がより一層顕著になり、転写効率は非常に高いものと
なり、好ましい。
【0097】本発明の磁性トナーの平均円形度は、粒子
の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたもの
であり、磁性トナーの凹凸の度合いの指標である。本発
明では3μm以上の円相当径の粒子群について測定され
た各粒子の円形度(Ci)を下式(1)によりそれぞれ
求め、さらに下式(2)で示すように測定された全粒子
の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形
度(Ca)と定義する。磁性トナーが完全な球形の場合
1.00を示し、磁性トナーの表面形状が複雑になるほ
ど平均円形度は小さな値となる。
【0098】
【数1】
【数2】
【0099】また、本発明の磁性トナーのモード円形度
は、円形度を0.40から1.00までを0.01毎に
61分割し、測定した粒子の円形度をそれぞれの円形度
に応じて各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布におい
て頻度値が最大となる分割範囲の下限値である。
【0100】本発明では、上記平均円形度等の好ましい
測定装置として、東亞医用電子製フロー式粒子像分析装
置「FPIA−1000」を挙げることが出来る。
【0101】上記装置を用いる場合の平均円形度及びモ
ード円形度の具体的な測定方法としては、界面活性剤を
約0.1mg溶解している水10mLに磁性トナー約5
mgを分散させて分散液を調整し、超音波(20KH
z、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5
000〜2万個/μLとして、前記装置により測定を行
い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度及びモ
ード円形度を求める。
【0102】なお、上記測定装置である「FPIA−1
000」では、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及
びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形
度によって、円形度0.40〜1.00を61分割した
クラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形
度及びモード円形度の算出を行う算出法を用いている。
【0103】しかしながら、この算出法で算出される平
均円形度及びモード円形度の各値と、上述した各粒子の
円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形
度及びモード円形度の各値との誤差は非常に少なく、実
質的には無視出来る程度のものであり、本発明において
は算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータ
の取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接
用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような
算出法を用いても良い。
【0104】なお、本発明において3μm以上の円相当
径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μ
m未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して
存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その
影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積
もれないからである。
【0105】本発明の磁性トナーは、トナー粒子表面に
磁性粉体が実質上露出していない。ここでトナー粒子表
面に磁性粉体が実質上露出していないとは、該磁性トナ
ーのトナー粒子の表面に存在する炭素元素の含有量
(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が
0.001未満であることで定義され、トナー粒子表面
における上記元素の存在量比はESCA(X線光電子分
光分析)により測定することができる。磁性粉体が実質
的に露出しないことによって、磁性トナーによる像担持
体削れやトナー融着を著しく低減できる。
【0106】すなわち、接触帯電工程を含む画像形成方
法において、トナー粒子表面に磁性粉体が露出している
磁性トナーを用いた場合、露出した磁性粉体による像担
持体の削れがより顕著となって現れやすい。しかしなが
ら、上述のごときB/Aが0.001未満である、すな
わち磁性粉体がトナー粒子表面に実質的にほとんど露出
していない磁性トナーを用いれば、帯電部材などにより
トナー粒子が像担持体表面に圧接されても像担持体表面
が削れることはほとんど無く、像担持体の削れやトナー
融着を著しく低減させることが可能である。無論、接触
転写工程を組み合わせた画像形成方法においてはその効
果は絶大であり、非常に高精細な画像を長期に亘って得
ることが可能である。
【0107】本発明で好ましく用いられるESCAの装
置および測定条件は、下記の通りである。 使用装置:PHI社製 1600S型 X線光電子分光
装置 測定条件:X線源 MgKα(400W) 分光領域 直径800μm 上記測定装置及び測定条件で測定する場合では、測定さ
れた各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度
因子を用いて表面原子濃度(モル基準)を含有量として
算出する。
【0108】上記の測定では磁性トナーを超音波洗浄
し、トナー粒子表面に付着している無機微粉体等の外添
剤を除去した後、磁気力にてトナー粒子と外添剤を分離
し、乾燥し測定する。外添剤を除去しにくい場合は、イ
ソプロパノール等トナー粒子が溶解しない有機溶剤中に
て超音波洗浄を行えば良い。
【0109】なお、トナー粒子内部の特定の部分のみに
磁性粉体が含有されている特殊な磁性トナーは、特開平
7−209904号公報においても既に開示されてい
る。しかしながら、特開平7−209904号公報にお
いては、開示されている磁性トナーの円形度に関する言
及がされていない。本発明の磁性トナーにおいては、特
定の円形度を有することが必須要素であり、特開平7−
209904号公報に記載されているような磁性トナー
を本発明の磁性トナーと同様に使用しても同じような効
果が発現するかどうかは不明である。
【0110】さらに、特開平7−209904号公報に
おいて開示されている磁性トナーの構成を要約すれば、
トナー粒子表面付近に磁性粉体の存在しない樹脂層が一
定量以上の厚みで形成されている構造からなるものであ
り、これは、磁性粉体が存在しないトナー粒子表層部分
がかなりの割合で存在することを意味している。しかし
ながら言い換えると、このような磁性トナーは、例えば
平均粒径が10μmと小さい場合、磁性粉体が存在しう
る容積が小さくなるため、十分な量の磁性粉体を内包し
にくいということである。
【0111】しかも、こういった磁性トナーでは、磁性
トナーの粒度分布において粒径の大きいトナーと小さい
トナーとでは磁性粉体の存在しない表面樹脂量の割合が
異なり、従って、内包される磁性粉体含有量も異なるた
め、現像性や転写性も磁性トナーの粒径によって異なっ
てしまい、粒径に依存する選択現像性が見られやすい。
従って、こういった磁性トナーで長期に亘り印刷を行う
と、磁性粉体を多く含み現像されにくい粒子、即ち粒径
の大きなトナーが残りやすく、画像濃度および画質の低
下、さらには定着性の悪化にもつながる。
【0112】上記の説明から導かれるように、トナー粒
子中における好ましい磁性粉体分散状態とは、磁性粉体
が凝集せずになるべくトナー粒子全体に均一に存在する
状態であり、これもまた本発明の磁性トナーにおける特
徴の根幹をなしている。即ち、透過型電子顕微鏡(TE
M)を用いた磁性トナーの断面観察において、トナー粒
子の投影面積円相当径をCとし、磁性粉体とトナー粒子
表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.0
2を満たすトナー粒子の個数が50%以上であることも
また、本発明におけるさらなる特徴の一つである。
【0113】本発明においては、D/C≦0.02を満
たすトナー粒子の個数が50%以上であることが好まし
く、65%以上が更に好ましい。D/C≦0.02を満
たすトナー粒子の個数が50%未満の場合には、過半数
のトナー粒子において少なくともD/C≦0.02境界
線よりも外側には磁性粉体が全く存在しないことにな
る。仮に、このような粒子を球形として想定すると、一
つのトナー粒子を全空間とした場合に磁性粉体が存在し
ない空間は、トナー粒子の表面に少なくとも11.5%
は存在することになる。このような粒子から構成させる
磁性トナーにおいては、上述したような様々な弊害が発
生しやすい。
【0114】本発明においてD/Cは、トナー粒子の拡
大画像での断面積からトナー粒子の円相当径(C)を求
め、その値が数平均粒径の±10%の幅に含まれている
ものを該当粒子とし、その該当粒子について、磁性粉体
表面と該磁性トナー粒子表面との距離の最小値(D)を
計測し、算出される。こうして計算されたD/C値が
0.02以下の粒子の割合を、下記式により求める。な
お、数平均粒径については、後述する磁性トナーの粒径
測定の際に測定することができる。
【0115】
【数3】
【0116】D/Cの測定においては、透過型電子顕微
鏡(TEM)を用いることが好ましい。TEMによる具
体的なD/Cの測定方法については、常温硬化性のエポ
キシ樹脂中へ観察すべき粒子を十分に分散させた後に温
度40℃の雰囲気中で二日間硬化させ得られた硬化物を
そのまま、または凍結してミクロトームにより薄片状の
サンプルとして観察する方法が好ましい。このときの顕
微鏡写真は精度の高い測定を行うために、1万〜2万倍
の倍率が好適である。本発明では、透過型電子顕微鏡
(日立製H−600型)を装置として用い、加速電圧1
00kVで観察し、拡大倍率が1万倍の顕微鏡写真を用
いて観察、測定することが好ましい。
【0117】本発明の磁性トナーは、磁場79.6kA
/m(1000エルステッド)における磁化の強さが1
0〜50Am2/kg(emu/g)であることが好ま
しい。
【0118】本発明において磁場79.6kA/mにお
ける磁化の強さを規定する理由は以下のとおりである。
磁性粉体の磁気特性を表す量としては、磁気飽和におけ
る磁化の強さ(飽和磁化)が用いられるが、本発明にお
いては画像形成時に磁性トナーに作用する磁場における
磁性トナーの磁化の強さが重要である。画像形成装置に
磁性トナーが適用される場合、磁性トナーに作用する磁
場は、画像形成装置外への磁場の漏洩を大きくしないた
めまたは磁場発生源のコストを低く抑えるために、市販
されている多くの画像形成装置において数十から百数十
kA/mであり、画像形成時で実際に磁性トナーに作用
する磁場の代表的な値として磁場79.6kA/m(1
000エルステッド)を選択し、磁場79.6kA/m
における磁化の強さを規定した。
【0119】ところで磁性トナーには磁性粉体が含まれ
ることから、現像工程で用いられる現像装置内に磁気力
発生手段を設けることで現像装置からの磁性トナーの漏
れを防止し、磁性トナーの搬送性または攪拌性を高めら
れるばかりでなく、トナー担持体上に磁力が作用するよ
うに磁気力発生手段を設けることで、後述する現像兼ク
リーニング方式において転写残トナーの回収性が更に向
上し、又磁性トナーがトナー担持体上に穂立ちを形成す
るためにトナーの飛散を防止することが容易となる。
【0120】しかし、磁性トナーの磁場79.6kA/
mにおける磁化の強さが10Am2/kg未満である
と、上記の効果が得られず、トナー担持体上に磁力を作
用させるとトナーの穂立ちが不安定となり、磁性トナー
への帯電付与が均一に行えないことによるカブリ、画像
濃度ムラ、転写残トナーの回収不良等の画像不良を生じ
る易くなる。また、磁気力による磁性トナーのトナー担
持体への搬送も不十分になりやすい。
【0121】磁性トナーの磁場79.6kA/mにおけ
る磁化の強さが50Am2/kgよりも大きいと、磁性
トナーに磁力を作用させた場合に磁気凝集により磁性ト
ナーの流動性が著しく低下し、転写性が低下することで
転写残トナーが増加し、及びトナー粒子と導電性微粉体
がともに挙動する傾向が強まることで、帯電部材に付着
・混入して介在する導電性微粉体が減少するとともに、
帯電部に介在する導電性微粉体量が転写残トナー量に対
して相対的にも減少し、帯電性の低下に伴うカブリ及び
画像汚れを生じ易くなる。
【0122】さらに磁化の強さを大きくする為に磁性粉
体量を増量すると、定着性の悪化を引き起こし易い。ま
た、本発明の磁性トナーのように0.970以上の平均
円形度、0.99以上のモード円形度を有することによ
って、トナー担持体上でのトナーの穂立ちが細く密にな
ることから、帯電が均一化され更にかぶりが大幅に減少
する。
【0123】本発明において磁性トナーの磁化の強さ
は、外部磁場の条件を適宜設定できる磁力計で測定すれ
ば良いが、好ましくは振動型磁力計VSM P−1−1
0(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁
場79.6kA/mで測定する。また、磁性粉体の磁気
特性は、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測
定する。
【0124】本発明の磁性トナーは、形成される画像の
更なる高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に
現像するためには、磁性トナーの重量平均粒径が3μm
〜10μm、更には4μmから8μm未満であることが
好ましい。
【0125】重量平均粒径が3μm未満の磁性トナーに
於いては、転写効率の低下から像担持体上の転写残トナ
ーが多くなり、接触帯電工程での像担持体の削れやトナ
ー融着の抑制が難しくなる。さらに、磁性トナー全体の
表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び攪
拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させるこ
とが困難となることからカブリや転写性が悪化傾向とな
り、削れや融着以外にも画像の不均一ムラの原因となり
やすいため、本発明で使用する磁性トナーには好ましく
ない。
【0126】また、磁性トナーの重量平均粒径が10μ
mを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生
じやすく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解
像度になっていくと8μm以上の磁性トナーは1ドット
の再現が悪化する傾向にある。
【0127】また、本発明の磁性トナーのように接触帯
電部材を用いる現像兼クリーニング画像形成方法に適用
する場合では、磁性トナーの重量平均粒径を3μmより
も大きく、かつ10μm未満とすることで、オゾンの発
生を低減できる帯電部材を用い、廃トナーを生じないク
リーナーレス画像形成方法で良好な帯電性を維持しつ
つ、導電性微粉体の偏析を大幅に緩和し、画像濃度低下
等の画像性の低下を実用上問題無いレベルまで改良でき
ることが解明された。
【0128】磁性トナーの重量平均粒径が3μm以下の
場合、磁性トナーとしての流動性が低下し、トナー粒子
と導電性微粉体がともに挙動する傾向が強まり、転写工
程において導電性微粉体はより転写され易くなり、帯電
部材に付着・混入して帯電部において介在する導電性微
粉体が減少する。このため相対的に転写残トナーによる
帯電性阻害が大きくなり、これに打ち勝って帯電性を維
持することができず、カブリ及び画像汚れを生じてしま
うことがある。
【0129】また、磁性トナーの重量平均粒径が10μ
m以上の場合は、トナー粒子の帯電量が導電性微粉体の
含有量の増大によって大幅に低下し易くなり、帯電部に
おいて介在する導電性微粉体量を、帯電部材の像担持体
への緻密な接触性と接触抵抗を維持できる程度にまで磁
性トナー中での導電性微粉体の含有量を設定すると、ト
ナー粒子の帯電量が低下することにより磁性トナー全体
の現像性が低下し、現像兼クリーニングによって導電性
微粉体の比率が著しく多い磁性トナーが回収されること
による現像部での導電性微粉体の僅かな偏析によって
も、著しい画像濃度低下等による画像性の低下を招くこ
とがある。より安定した帯電性と現像性を維持するため
には、磁性トナーの重量平均粒径が4μm以上80μm
以下であることが好ましい。
【0130】ここで、磁性トナーの平均粒径及び粒度分
布はコールターカウンターTA−II型またはコールタ
ーマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測
定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサ
イザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布
を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC98
01パーソナルコンピューター(NEC製)を接続して
測定することが好ましい。また、電解液には1級塩化ナ
トリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整することが
好ましく、たとえば、ISOTON R−II(コール
ターサイエンティフィックジャパン社製)が使用でき
る。
【0131】上記の測定についてより具体的には、前記
電解水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活
性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.
1〜5mL加え、更に測定試料を2〜20mg加える。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分
散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりア
パーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2
μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布
と個数分布とを算出する。それから、所望の体積分布か
ら求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布か
ら求めた個数基準の数平均粒径(D1)を求める。
【0132】本発明の磁性トナーが有するトナー粒子の
抵抗は、1010Ω・cm以上であることが好ましく、1
12Ω・cm以上であることがより好ましい。トナー粒
子の抵抗が1010Ω・cm以上であると、トナー粒子は
実質的に絶縁性を示す。トナー粒子が実質的に絶縁性を
示さなければ、現像性と転写性を両立することが困難で
ある。また、トナー粒子が実質的に絶縁性を示さなけれ
ば、トナー粒子への現像電界による電荷の注入を生じ易
く、磁性トナーの帯電を乱しカブリを生じやすくなる。
なお、トナー粒子の抵抗は、後述の導電性微粉末の抵抗
測定方法に準じて測定される。
【0133】トナー粒子に含まれる結着樹脂としては、
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及び
その置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合
体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビ
ニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル
共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチ
レン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル
酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルア
ミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル
共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、
スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−
メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン
−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエ
チルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、
スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン
系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメ
タクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリア
クリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フ
ェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香
族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス
などが単独または混合して使用できる。特に、スチレン
系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等
の点で好ましい。
【0134】本発明では、結着樹脂のガラス転移点温度
(Tg)は、50〜70℃であることが好ましい。Tg
が50℃よりも低いと磁性トナーの保存性が低下する傾
向にあり、70℃よりも高いと定着性に劣る傾向があ
る。
【0135】本発明の磁性トナーは、少なくとも結着樹
脂の構成要素である単量体に可溶なワックスと不溶なワ
ックスをトナー粒子中に含むことも特徴とする。本発明
の磁性トナーは先述したように、トナー粒子表面に磁性
粉体が露出せず、且つ磁性粉体粒子が凝集せずになるべ
くトナー粒子全体に均一に存在する状態を特徴とする
が、磁性粉体は離型剤とのなじみが悪いため、可塑効果
を有するワックスを用いた場合、磁性粉体の存在比率が
少ない部分にワックスが集中的に存在し易くなることが
分かってきた。
【0136】すなわち磁性トナーに可塑効果を有するワ
ックスのみを低温定着のために添加するとトナー粒子表
面に相対的にワックス量が増え、低温定着性には優れる
ものの画像耐久性は極端に悪化することが分かった。そ
こで本発明者らは鋭意検討の結果、結着樹脂への相溶性
が小さいワックスは磁性粉体に影響無く微分散が可能で
あることから、可塑効果のあるワックスと結着樹脂への
相溶性が小さいワックスを適度に加えることで、磁性粉
体中への可塑ワックス分散性が向上する事を見いだし、
本発明に至った。
【0137】さらに、このような磁性トナーは、トナー
粒子中のワックスの偏在がないことから、特に、高温高
湿環境下で、トナー担持体に対し交番電界を印加してト
ナー担持体と像担持体の間における磁性トナーの往復飛
翔運動により現像を行う現像工程(現像兼クリーニング
工程)において、その多数回の像担持体との衝撃に対し
ても、ワックスの染み出しに起因したトナー融着は起こ
りづらく、さらに現像兼クリーニングを用いた画像形成
方法に適用する際にも、その像担持体と帯電部材の摺擦
によりワックスが染み出すことに起因するトナー融着も
起こりづらい。
【0138】尚、本発明において可塑ワックス分散性が
向上した理由については詳細は不明であるが、結着樹脂
が溶融状態でも実質的に微分散しているワックスが一部
観察されることから、非相溶性のワックスが可塑ワック
スの結晶化核剤となっているため、ワックス分散性が向
上したと予想している。
【0139】なお、結着樹脂の構成要素である単量体に
対してのワックスの可溶不溶については、結着樹脂成分
の各単量体成分を混合し、定着温度より低い70℃にお
いて、10wt%のワックスを分散させて、少なくとも
5分間加温、攪拌したときの白濁の有無または相分離に
よって判断し、上記条件において白濁または分離が生じ
ない場合は可溶なワックス、白濁または分離を生じた場
合では不溶なワックスと定義した。
【0140】なお、前記単量体とは、結着樹脂の構成要
素である物質を言い、重合性単量体等に代表させるよう
な結着樹脂を構成するモノマー(複数種のモノマーの混
合物を含む)をいう。また、ワックスの結着樹脂に対す
る溶解性は、結着樹脂を構成する単量体の物性に依存す
ると思われるが、磁性トナーの改質等を目的として添加
される他の樹脂化合物等の添加剤にも影響されると考え
られるので、ワックスの溶解性を判定する場合では、上
記単量体とトナー粒子に含まれる他の主な添加物とを混
合した混合物を用いて判定することがより一層好まし
い。
【0141】より具体的には、ワックスの溶解性試験を
行う場合では、結着樹脂を使用せずに、融解成分の主成
分である結着樹脂を構成する重合性単量体等のモノマ
ー、及びポリエステル樹脂等の樹脂化合物をトナー粒子
中の配合比で用いることが可能である。また、ワックス
の溶解性試験は、配合量の少ない融解成分や融解しない
固体成分等、ワックスの分散性等の物性にほとんど影響
しない物質を除いて行うことが可能である。
【0142】本発明における結着樹脂の構成要素である
単量体に可溶なワックスと不溶なワックスについては、
使用される結着樹脂の種類等によって異なるが、種々の
ワックス類を使用することができ、以下に示すものが好
ましい。
【0143】可溶なワックスとしては、例えば、アルコ
ールワックス、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、
パルミチン酸等の脂肪酸、またはその化合物、アルコー
ルアルキレンオキサイド付加物ワックス、エステルワッ
クス、硬化ヒマシ油、アルコール誘導体ワックス、アミ
ドワックス、ケトンワックスおよびこれらのワックスの
酸化物、グラフト変性物等の誘導体ワックス、パラフィ
ンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水
素系ワックスおよびこれらのワックスの酸化物、グラフ
ト変性物等の誘導体ワックス、モンタンワックス、動物
系ワックス、植物系ワックス、ペトロラクタム、および
これらの誘導体ワックス等を例示することができる。
【0144】不溶なワックスとしては、例えば、パラフ
ィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロ
ラクタム等の石油系ワックス及びこれらのワックスの酸
化物、ビニルモノマーとのブロック共重合体物、グラフ
ト変性物等の誘導体ワックス、ポリオレフィンワック
ス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワック
ス、ポリエチレンワックス等の合成系ワックスおよびこ
れらのワックスの酸化物、ビニルモノマーとのブロック
共重合体物、グラフト変性物等の誘導体ワックス、アル
コールワックス、脂肪酸ワックス、アルコールアルキレ
ンオキサイド付加物ワックス、エステルワックス、アル
コール誘導体ワックス、アミドワックス、ケトンワック
スおよびこれらのワックスの酸化物、グラフト変性物等
の誘導体ワックス、上記誘導体ワックスのケン化物、及
びその塩等を例示することができる。
【0145】尚、上記ワックス群の中で、転写性や帯電
性に与える影響が小さいことや分子量分布の制御の点か
ら、結着樹脂成分単量体に可溶なエステルワックス、パ
ラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の
ワックス及びこれらのワックスの酸化物・誘導体ワック
スと不溶なポリオレフィンワックス、フィッシャートロ
プシュワックス、モンタンワックス、等の合成系ワック
スおよびこれらのワックスの酸化物・誘導体ワックスを
組み合わせることが特に好ましい。
【0146】また、これらのワックスを、プレス発汗
法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス法、融
液晶析法等を用いて分子量分布をシャープにしたものや
脂肪酸、アルコール、低分子化合物、その他の不純物を
除去したものも、本発明では好ましく用いられる。
【0147】上記のごときワックスを使用する際のトナ
ー粒子中の含有量としては、トナー粒子中の結着樹脂に
対して総量で0.5〜50質量%の範囲が好ましい。ワ
ックスの含有量が0.5質量%未満では低温オフセット
抑制効果が十分に発揮されないことがあり、50質量%
を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、他
のトナー材料の分散性が悪くなり、磁性トナーの流動性
の悪化や画像特性の低下につながることがある。
【0148】また、ワックスの含有量比については、結
着樹脂100質量部に対して可溶ワックス成分量の含有
量をE質量部、不溶ワックス成分量をF質量部としたと
き、0.5≦E/F≦100の範囲であることが好まし
い。ワックス含有量比E/Fが0.5未満であると、結
着樹脂に対する可塑化が不充分となり、むしろ不溶ワッ
クス成分の凝集が生じやすくなるため、低温定着性が悪
化し、耐久での選択現像が生じるため、特に低温低湿環
境下での画像濃度の低下が起こりやすくなる。ワックス
含有量比E/Fが100を越えると、不溶なワックスが
奏する結晶核剤の効果が小さくなるため、低温定着性に
は優れるものの、耐久性が悪化し、特に像担持体に対し
てトナー融着等が生じやすくなる。
【0149】また、各ワックスの示差熱分析における吸
熱ピークは、定着性及び製造性等の観点から45℃以上
150℃以下、更には50℃以上130℃以下の範囲に
一つ以上あることが好ましい。前記吸熱ピークが45℃
よりも小さいと磁性トナーの保存安定性が不十分となり
やすく、またトナー融着による画像不良を生じることが
ある。また、前記吸熱ピークが150℃よりも大きいと
磁性トナーの定着性が不十分となりやすく、また製造性
の観点からも生産効率の低下を招くことがある。
【0150】なお、本発明では、上記ワックスの示差熱
分析における吸熱ピークは、「ASTM D 3418
−8」に準じて行えば良い。測定には例えばパーキンエ
ルマー社製DSC−7を用いることが好ましい。より具
体的には、装置検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛
の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用
い、測定サンプルの保持にはアルミニウム製のパンを用
い、対照用には空のパンを用い、10℃/minの昇温
速度で測定を行う。
【0151】本発明の磁性トナーは、トナー粒子中に磁
性粉体を含むことを特徴とする。本発明の磁性トナーに
用いられる磁性粉体は、リン、コバルト、ニッケル、
銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素など
の元素を含んでもよい、四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸
化鉄を主成分とするものであり、これらを一種または二
種以上併用して用いられる。これら磁性粉体は、窒素吸
着法によるBET比表面積が好ましくは2〜30m2
g、特に3〜28m2/g、更にモース硬度が5〜7の
ものが好ましい。
【0152】磁性粉体の形状としては、8面体、6面
体、球形、針状、燐片状などがあるが、8面体、6面
体、球形、不定型等の異方性の少ないものが画像濃度を
高める上で好ましい。こういった磁性粉体の形状は例え
ばSEM(走査型電子顕微鏡)などによって確認するこ
とができる。磁性粉体の体積平均粒径としては0.01
〜1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜
0.5μmが好ましい。
【0153】磁性粉体の体積平均粒径が0.01μm未
満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの
着色剤としては着色力が不十分となるうえに、複合酸化
物粒子どうしの凝集が強くなるため、分散性が悪化する
傾向となる。一方、体積平均粒径が1.0μmを越えて
しまうと、一般の着色剤と同様に着色力が不足すること
がある。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使
用する場合、個々のトナー粒子に同個数の磁性粒子を分
散させることが確率的に困難となり、分散性が悪化しや
すい。
【0154】なお、磁性粉体の体積平均粒径及び粒度分
布の好適な測定方法としては、磁性粉体を十分に分散さ
せた状態で、透過型電子顕微鏡(TEM)において3万
倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子
径を測定して求める方法が挙げられる。
【0155】本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体
は、水系媒体中でカップリング剤を加水分解することに
より表面処理されていることが好ましい。この表面処理
については、磁性トナーの製造過程と密接な関連があ
る。磁性粉体の表面処理について、以下に説明する。
【0156】本発明の磁性トナーは、粉砕法によって製
造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナ
ー粒子は一般に不定形のものであり、本発明の磁性トナ
ーの必須要件である平均円形度が0.960以上、より
好ましくは0.970以上という物性を得るためには機
械的・熱的または何らかの特殊な処理を行うことが必要
となり、生産性が劣るものとなる。
【0157】そこで、本発明においては、磁性トナーを
重合法、特には懸濁重合法により製造することが好まし
い。この懸濁重合法においては重合性単量体および着色
剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御
剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて
単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤
を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用
いて分散し同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有す
るトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法で得ら
れる磁性トナー(以下、「重合トナー」ともいう)は、
個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平
均円形度が0.960以上という本発明に必須な物性要
件を満たす磁性トナーが得られやすい。
【0158】しかしながら、重合トナー中に通常の磁性
粉体を含有させても、遊離の磁性粉体が多く生じてしま
い、トナー粒子の帯電特性が著しく低下する。さらに、
懸濁重合トナーの製造時に磁性粉体と水との相互作用が
強いことにより、円形度が0.960以上の磁性トナー
が得られ難い。これは、(1)磁性粉体粒子は一般的に
親水性であるために上記単量体組成物と水系媒体との界
面近傍に存在しやすいこと、(2)水溶媒撹拌時に磁性
粉体が乱雑に動き、それに単量体組成物から成る懸濁粒
子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこ
と、等が原因と考えられる。こういった問題を解決する
ためには磁性粉体粒子の有する表面特性の改質が重要で
ある。
【0159】重合トナーに使用される磁性粉体の表面改
質に関しては、数多く提案されている。例えば、特開昭
59−200254号公報、特開昭59−200256
号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59
−224102号公報等に磁性粉体の各種シランカップ
リング剤処理技術が提案されており、特開昭63−25
0660号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシラン
カップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0160】しかしながら、これらの処理によりトナー
粒子表面からの磁性粉体の露出はある程度抑制されるも
のの、磁性粉体表面の疎水化を均一に行うことが困難で
あるという問題があり、したがって、磁性粉体同士の合
一や疎水化されていない磁性粉体粒子の発生を避けるこ
とができず、磁性粉体の露出を完全に抑制するには不十
分である。
【0161】また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として
特公昭60−3181号公報にアルキルトリアルコキシ
シランで処理した磁性酸化鉄を含有する磁性トナーが提
案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かに磁
性トナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性
酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子
が生じたり、疎水化が不均一であったりで、必ずしも満
足のいくものではなく、本発明の磁性トナーに適用する
にはさらなる改良が必要である。
【0162】さらに、処理剤等を多量に使用したり、高
粘性の処理剤等を使用した場合、疎水化度は確かに上が
るものの、磁性粉体粒子同士の合一等が生じて分散性は
逆に悪化してしまう。このような磁性粉体を用いて製造
された磁性トナーは、摩擦帯電性が不均一であり、それ
に起因してカブリや転写性が良くないものとなる。この
ように、従来の表面処理磁性粉体を用いた重合トナーで
は、疎水性と分散性の両立は必ずしも達成されておら
ず、このような重合トナーを本発明の如き接触帯電工程
から成る画像形成方法に適用しても、高精細な画像を安
定して得ることは難しい。
【0163】そこで、本発明の画像形成方法に関わる磁
性トナーに使用される磁性粉体においては、その粒子表
面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性粉体粒子を一次
粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解し
ながら表面処理する方法を用いることが非常に好まし
い。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性
粉体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理によ
る磁性粉体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性粉体はほ
ぼ一次粒子の状態で表面処理される。このような磁性粉
体の疎水化処理を行うことで、磁性トナーの平均円形度
や前述したB/A、さらにはトナー粒子中における磁性
粉体の良好な分散性(前述したD/C)を実現する上で
より一層効果的である。
【0164】カップリング剤を水系媒体中で加水分解し
ながら磁性粉体表面を処理する方法は、クロロシラン類
やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリン
グ剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中で
は磁性粉体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理が困
難であった高粘性のカップリング剤も使用できるように
なり、疎水化の効果は絶大である。
【0165】上記の磁性粉体の表面処理において使用で
きるカップリング剤としては、例えば、シランカップリ
ング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好
ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一
般式
【化1】RmSiYn [式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数
を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、
メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整
数を示す。]で示されるものである。
【0166】このようなカップリング剤としては、例え
ばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキ
シプロピリトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシ
シラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オ
クタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができ
る。
【0167】特に、式
【化2】Cp2p+1−Si−(OCq2q+13 [式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数
を示す]で示されるアルキルトリアルコキシシランカッ
プリング剤を使用して水系媒体中で磁性粒子を疎水化処
理するのが良い。
【0168】上記式におけるpが2より小さいと疎水化
処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困
難であり、トナー粒子からの磁性粒子の露出を抑制する
のが難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は
十分になるが、磁性粉体粒子同士の合一が多くなり、ト
ナー粒子中へ磁性粉体粒子を十分に分散性させることが
困難になり、カブリや転写性が悪化傾向となる。また、
qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低
下して疎水化が十分に行われにくくなる。
【0169】特に、式中のpが2〜20の整数(より好
ましくは3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数
(より好ましくは1又は2の整数)を示すアルキルトリ
アルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
【0170】前述したカップリング剤の処理量は、処理
による効果及び生産性等の観点から、磁性粉体100質
量部に対して0.05〜20質量部、好ましくは0.1
〜10質量部とするのが良い。
【0171】ここで、水系媒体とは、水を主要成分とし
ている媒体である。具体的には、水系媒体として水その
もの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH
調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが
上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコー
ルの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性
剤は、水に対して0.1〜5wt%添加するのが良い。
pH調製剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。
【0172】前記カップリング剤による磁性粉体の表面
処理では、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的に
は、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混
合装置)等を用いて、磁性粉体粒子が水系媒体中で、一
次粒子になるように充分に攪拌を行うと良い。
【0173】磁性粉体の磁気特性としては、磁場79
5.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/k
g、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜
30kA/mであるものが用いられる。本発明の磁性ト
ナーに用いられる磁性粉体は、結着樹脂100質量部に
対して、10質量部乃至200質量部を用いることが好
ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いる
ことが良い。10質量部未満では磁性トナーの着色力が
乏しく、カブリの抑制も困難な場合がある。一方、20
0質量部を越えると、トナー担持体への磁力による保持
力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への
磁性粉体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性
が低下してしまう場合がある。
【0174】ここで本発明の磁性トナーに用いられる磁
性粉体の一例を紹介する。磁性粉体が例えばマグネタイ
トの場合、下記方法で製造される。
【0175】まず、第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して
当量または当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリ
を加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製し
た水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜1
0)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以
上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性
酸化鉄粒子の芯となる種晶を生成する。
【0176】次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加
えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一
鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜10に維持し
ながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応をすす
め種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反
応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していく
が、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応
の終期に液のpHを調製し、磁性酸化鉄が一次粒子にな
るよう十分に攪拌し、カップリング剤を添加して十分に
混合攪拌し、攪拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕するこ
とで疎水性処理磁性酸化鉄粒子が得られる。
【0177】または、酸化反応終了後、洗浄、濾過して
得られた酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再
分散させた後、再分散液のpHを調製し、十分攪拌しな
がらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理
を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥
工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、本発明
における重要なポイントである。
【0178】第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン
製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生す
る硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能であ
る。
【0179】水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は、
一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の
溶解度から、鉄濃度0.5〜2mol/Lの水溶液が用
いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が
細かくなる傾向を有する。又、反応に際しては、空気量
が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0180】このようにして製造された疎水性磁性粉体
粒子を材料とした磁性トナーを使用することにより、感
光体の削れ及びトナー融着が発生せず、高画質及び高安
定性が可能となる。
【0181】本発明の磁性トナーには、荷電特性を安定
化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤
としては公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速
く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御
剤が好ましい。さらに、磁性トナーを直接重合法を用い
て製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体
への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好まし
い。
【0182】具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御
剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキル
サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族
カルボン酸の金属化合物、アゾ染料またはアゾ顔料の金
属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側
鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、
ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ま
た、ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四
級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グア
ニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合
物等が挙げられる。電荷制御剤をトナーに含有させる方
法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する
方法があり、本発明ではいずれの方法であっても良い。
【0183】これらの電荷制御剤の使用量としては、結
着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めた磁
性トナー製造方法によって決定されるもので、一義的に
限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100
質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは
0.1〜5質量部の範囲で用いられる。しかしながら、
本発明の画像形成方法に関わる磁性トナーは、必ずしも
荷電制御剤の添加は必須ではなく、現像工程時における
摩擦帯電を積極的に利用することで磁性トナー中に必ず
しも荷電制御剤を含む必要はない。
【0184】さらにまた、本発明の磁性トナーには、磁
性粉体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る
着色材料としては、磁性または非磁性無機化合物、公知
の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コ
バルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれら
にクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類
元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタン
ブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、
フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、磁性粉
体と同様に表面を処理して用いても良い。
【0185】次に本発明に用いられるトナー粒子の製造
方法について説明する。本発明の磁性トナーは、その製
造方法については特に限定されない。本発明では、前述
したように粉砕法や重合法(特に好ましい重合法として
は懸濁重合法)等の公知の製造方法を利用することによ
りトナー粒子を製造することができる。
【0186】まず重合法について説明する。本発明の磁
性トナーは、トナー粒子の一部または全体が重合法によ
って製造されることが好ましく、懸濁重合法によって製
造されることが特に好ましい。
【0187】懸濁重合法による本発明の磁性トナーで
は、まず一般に上述のトナー粒子組成物、すなわち重合
性単量体中に磁性粉体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、
架橋剤、場合によって着色剤等、磁性トナーとして必要
な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する
重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分
子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボ
ールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依
って均一に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安
定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。
【0188】この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機
のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子
のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシ
ャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性
単量体中に他の添加剤を添加する時に加えても良いし、
水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒
直後、重合反応を開始する前に重合性単量体または溶媒
に溶解した重合開始剤を加える事も出来る。造粒後は、
通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の
浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0189】重合工程においては、重合温度は40℃以
上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行
う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべ
き離型剤、すなわち可溶なワックスが不溶なワックスの
影響を受け微分散しながら相分離により析出し、適度に
ワックスが分散した状態を有したままトナー粒子内に内
包化される。残存する重合性単量体を消費するために、
重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで
上げる事は可能である。
【0190】重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法
によって濾過、洗浄、乾燥を行い、得られたトナー粒子
に無機微粉体等の外添剤を混合し表面に付着させること
で、磁性トナーを得ることができる。また、製造工程に
分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発
明の望ましい形態の一つである。
【0191】本発明の磁性トナーにおける結着樹脂の構
成要素である単量体(重合性単量体)としては以下のも
のが挙げられる。
【0192】重合性単量体としては、スチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のス
チレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アク
リル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アク
リル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ス
テアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等
のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、
メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げ
られる。
【0193】これらの単量体は単独、または混合して使
用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチ
レン誘導体を単独で、またはほかの単量体と混合して使
用する事が磁性トナーの現像特性及び耐久性の点から好
ましい。
【0194】本発明に用いられるトナー粒子の製造にお
いては、単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例
えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解し
て乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボ
ン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリ
ル基等、親水性官能基含有の単量体成分をトナー粒子中
に導入したい時には、これらとスチレンまたはエチレン
等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合
体、またはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、
またはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエ
ーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能と
なる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー
粒子中に共存させると、前述のワックス成分を相分離さ
せ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロ
ッキング性、低温定着性の良好な磁性トナーを得ること
ができる。
【0195】このような極性官能基を含む高分子重合体
を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好
ましく用いられる。5,000以下、特に4,000以
下では、本重合体が表面付近に集中し易い事から、現像
性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好
ましくない。また、極性重合体としては特にポリエステ
ル系の樹脂が好ましい。
【0196】また、材料の分散性や定着性、または画像
特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中
に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及び
その置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合
体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビ
ニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル
共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチ
レン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル
酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルア
ミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル
共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、
スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−
メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン
−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエ
チルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、
スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン
系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメ
タクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリア
クリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フ
ェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香
族系石油樹脂などが単独または混合して使用できる。
【0197】これら樹脂の添加量としては、単量体10
0質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未
満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加する
と重合トナーの種々の物性設計が難しくなる傾向にあ
る。さらに、単量体を重合して得られるトナー粒子の分
子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解し
て重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高
い磁性トナーを得ることが出来る。
【0198】重合法によるトナー粒子の製造において
は、前記単量体を重合させるための重合開始剤等を用い
ることができる。このような重合開始剤としては、重合
反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性
単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を
行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体
を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与える
ことが出来る。
【0199】重合開始剤例としては、2,2'−アゾビ
ス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−
アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シ
クロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾ
ビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジア
ゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエ
チルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシ
カーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−
ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエ
ート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0200】重合法によって本発明に用いるトナー粒子
を製造する場合では、架橋剤を添加しても良く、好まし
い添加量としては、0.001〜15質量%である。こ
こで架橋剤としては、主として二個以上の重合可能な二
重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル
化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジ
オールジメタクリレート等のような二重結合を二個有す
るカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエ
ーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジ
ビニル化合物;及び三個以上のビニル基を有する化合
物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0201】重合法によって本発明に用いられるトナー
粒子を製造する場合では、分散安定剤として公知の界面
活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分
散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により
分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定
性が崩れ難く、洗浄も容易で磁性トナーに悪影響を与え
難いので、好ましく使用できる。
【0202】こうした無機分散剤の例としては、燐酸カ
ルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸
亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベント
ナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0203】これらの無機分散剤は、重合性単量体10
0質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用す
る事が望ましいが、粒径のより小さなトナー粒子を得る
ために0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用し
ても良い。
【0204】界面活性剤としては、例えばドデシルベン
ゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペ
ンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、
オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられ
る。
【0205】なお、前記無機分散剤を用いる場合には、
そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るた
め、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させること
が好ましい。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌
下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを
混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させること
が出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、
同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒
体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶
解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し
難くなるので、より好都合である。
【0206】前述した分散安定剤は、重合反応終期に残
存重合性単量体を除去する時には障害となることから、
重合反応終期に水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂
で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸ま
たはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出
来る。
【0207】次に粉砕法について説明する。本発明に用
いられるトナー粒子を粉砕法により製造する場合は、公
知の方法が用いられるが、例えば、結着樹脂、磁性粉
体、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等、磁性
トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシ
ェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合し
てから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き
熱混練機を用いて熔融混練して樹脂類をお互いに相熔せ
しめた中に磁性粉体等の他のトナー粒子材料を分散又は
溶解せしめ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表
面処理を行ってトナー粒子を得ることが出来る。分級及
び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程にお
いては生産効率上、多分割分級機を用いることが好まし
い。
【0208】粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の
公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
本発明に係わる特定の円形度を有する磁性トナーを得る
ためには、さらに熱をかけて粉砕したり、または補助的
に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。ま
た、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱
水中に分散させる湯欲法,熱気流中を通過させる方法な
どを用いても良い。
【0209】機械的衝撃力を加える手段としては,例え
ば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社
製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、ま
た、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステム
や奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム
等の装置のように,高速回転する羽根によりトナーをケ
ーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦
力等の力によりトナー粒子に機械的衝撃力を加える方法
が挙げられる。
【0210】機械的衝撃法を用いる場合においては、処
理温度をトナー粒子のガラス転移点Tg付近の温度(T
g±10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産
性の観点から好ましい。さらに好ましくは、トナー粒子
のガラス転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、
転写効率を向上させるのに特に有効である。
【0211】さらにまた、本発明の磁性トナーは、特公
昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流
体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー
を得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶
な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方
法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合し磁性ト
ナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化
重合方法等を用い磁性トナーを製造する方法等によって
も製造が可能である。
【0212】本発明の磁性トナーは、いわゆる外添剤と
して、トナー粒子の表面に、流動化剤としての無機微粉
体及びトナー粒子の平均粒径よりも小さい導電性微粉体
を有することを特徴とする。本発明の磁性トナーに用い
られる無機微粉体は、平均一次粒径が4〜80nmであ
ることが好ましい。無機微粉体は、磁性トナーの流動性
改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加される
が、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によって磁
性トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を
付与することも好ましい形態である。
【0213】無機微粉体の平均一次粒径が80nmより
も大きい場合、または80nm以下の無機微粉体が添加
されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付着
した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な帯
電特性を得ることが困難となりやすい。また、良好な磁
性トナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与
が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、
トナー飛散等の問題が生じることがある。
【0214】無機微粉体の平均一次粒径が4nmよりも
小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、一次粒
子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を
持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の
現像、像担持体または現像担持体等を傷つけるなどによ
る画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をよ
り均一とするためには無機微粉体の平均一次粒径は6〜
35nmであることがより良い。
【0215】本発明において、無機微粉体の平均一次粒
径は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した磁性トナー
の写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等
の元素分析手段によって無機微粉体が含有する元素でマ
ッピングされた磁性トナーの写真を対照しつつ、トナー
粒子表面に付着または遊離して存在している無機微粉体
の一次粒子を100個以上測定し、個数平均一次粒径を
求めることにより測定される。
【0216】本発明で用いられる無機微粉体は、上記平
均一次粒径のシリカ、酸化チタン、アルミナ、及びその
複酸化物から少なくとも選ばれる無機微粉体を含有する
ことがより好ましい。このような無機微粉体について、
シリカを例に説明すると、シリカとしてはケイ素ハロゲ
ン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又
はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラ
ス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可
能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノ
ール基が少なく、製造残渣の少ない乾式シリカの方が好
ましい。
【0217】また、複酸化物について説明すると、乾式
シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アル
ミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ
素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと
他の金属酸化物の複合微粉体(すなわち複酸化物)を得
ることができ、前記無機微粉体はそれらも包含する。
【0218】平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉体
の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%
であることが好ましい。無機微粉体の添加量が0.1質
量%未満ではその効果が十分発揮されないことがあり、
3.0質量%以上では定着性が悪くなることがある。
【0219】無機微粉体は、疎水化処理された物である
ことが高温高湿環境下での特性から好ましい。トナー粒
子に添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の
帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
【0220】疎水化処理の処理剤としては、シリコーン
ワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイ
ル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シラン
カッブリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化
合物の如き処理剤を単独でまたは併用して処理しても良
い。
【0221】その中でも、シリコーンオイルにより処理
したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシ
ラン化合物で疎水化処理すると同時に、または処理した
後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境
下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を
防止する上でよい。
【0222】無機微粉体の好適な処理条件としては、例
えば第一段反応としてシラン化合物を用いてシリル化反
応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、
第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性
の薄膜を形成することができる。
【0223】上記シリコーンオイルは、25℃における
粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さら
には3,000〜80,000mm2/sのものが好ま
しい。10mm2/s未満では、無機微粉体に安定性が
無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾
向がある。200,000mm2/sを超える場合は、
均一な処理が困難になる傾向がある。
【0224】使用されるシリコーンオイルとしては、例
えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコ
ーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイ
ル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリ
コーンオイル等が特に好ましい。
【0225】シリコーンオイルの処理の方法としては、
例えばシラン化合物で処理された無機微粉体とシリコー
ンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直
接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを
噴霧する方法を用いてもよい。または適当な溶剤にシリ
コーンオイルを溶解または分散せしめた後、シリカ微粉
体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉
体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方
法がより好ましい。
【0226】シリコーンオイルの処理量は無機微粉体1
00質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20
質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良
好な疎水性が得られない傾向にあり、多すぎるとカブリ
発生等の不具合が生ずることがある。
【0227】本発明で用いられる平均一次粒径が80n
m以下の無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着に
より比表面積が20〜250m2/g範囲内のものが好
ましく、より好ましくは40〜200m2/gのものが
更に良い。比表面積の測定については、BET法に従っ
て、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニク
ス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BE
T多点法を用いて比表面積を算出する。
【0228】本発明の磁性トナーには、外添剤としてさ
らに導電性微粉体が用いられる。これは、静電的要因に
より像担持体に融着した磁性トナーを導電性微粉体によ
り絶縁破壊することにより除去しやすくし、トナー融着
を抑制できるためである。
【0229】また、導電性微粉体の磁性トナー全体に対
する含有量は、0.2〜10質量%であることが好まし
い。本発明の磁性トナーは表面に磁性粉体が実質上露出
していない為、帯電量が高く、導電性微粉体の磁性トナ
ー全体に対する含有量が0.2質量%よりも少ないと、
現像性が低下する傾向にある。また、含有量が0.2質
量%よりも少ないと、現像兼クリーニングを用いた画像
形成方法に適用する際には、帯電用接触帯電部材への絶
縁性の転写残トナーの付着・混入による帯電阻害に打ち
勝って像担持体の帯電を良好に行わせるのに十分な量の
導電性微粉体を、帯電部材と像担持体とのニップ部また
はその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電
性が低下し帯電不良を生じることがある。
【0230】また、含有量が10質量%よりも多い場合
では、現像兼クリーニングによって回収される導電性微
粉体が多くなりすぎることによる現像部での磁性トナー
の帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛
散を生ずることがある。導電性微粉体の磁性トナー全体
に対する含有量は、0.5〜5質量%であることがより
好ましい。
【0231】また、導電性微粉体は、抵抗が109Ω・
cm以下の非磁性導電性微粉体であることが好ましい。
導電性微粉体の抵抗が、109Ω・cmよりも大きいと
上記と同様に、現像性が低下する傾向にある。また、現
像兼クリーニングを用いた画像形成方法に適用する際に
は、導電性微粉体を帯電部材と像担持体とのニップ部ま
たはその近傍の帯電領域に介在させ、接触帯電部材の導
電性微粉体を介しての像担持体への緻密な接触性を維持
させても、良好な帯電性を得るための帯電促進効果が得
られないことがある。
【0232】導電性微粉体の帯電促進効果を十分に引き
出し、良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微
粉体の抵抗が、接触帯電部材の表面部または像担持体と
の接触部の抵抗よりも小さいことが好ましい。このよう
な観点から導電性微粉体の抵抗は、106Ω・cm以下
であることがより好ましい。
【0233】導電性微粉体の平均粒子径は0.5〜5μ
mであることが好ましい。導電性微粉体の平均粒子径が
小さいと、現像性の低下を防ぐために導電性微粉体の磁
性トナー全体に対する含有量を小さく設定しなければな
らない。導電性微粉体の平均粒子径が0.5μm未満で
は、導電性微粉体の有効量を確保できず、帯電工程にお
いて、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着
・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良
好に行わせるのに十分な量の導電性微粉体を帯電部材と
像担持体とのニップ部またはその近傍の帯電領域に介在
させることができず、帯電不良を生じ易くなる。この観
点から、導電性微粉体の平均粒子径は好ましくは0.8
μm以上、更に好ましくは1.1μm以上5μm未満が
良い。
【0234】また、導電性微粉体の平均粒子径が大きす
ぎると、帯電部材から脱落した導電性微粉体は静電潜像
を書き込む露光光を遮光または拡散し、静電潜像の欠陥
を生じ画像品位を低下させる傾向にある。更に、導電性
微粉体の平均粒子径が大きいと、単位重量当たりの粒子
数が減少するため、帯電部材からの導電性微粉体の脱落
等による減少、劣化を考慮して導電性微粉体を帯電部材
と像担持体とのニップ部またはその近傍の帯電領域に逐
次に導電性微粉体が供給し続け介在させるために、ま
た、帯電部材が導電性微粉体を介して像担持体への緻密
な接触性を維持し良好な帯電性を安定して得るために
は、導電性微粉体の磁性トナー全体に対する含有量を大
きくしなければならない。しかし、導電性微粉体の含有
量を大きくしすぎると、特に高湿環境下での磁性トナー
全体としての帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下
やトナー飛散を生ずることがある。このような観点か
ら、導電性微粉体の平均粒子径は好ましくは5μm未満
が良い。
【0235】また、導電性微粉体は、透明、白色または
淡色の導電性微粉体であることが、転写材上に転写され
る導電性微粉体がカブリとして目立たないため好まし
い。潜像形成工程における露光光の妨げとならない意味
でも導電性微粉体は、透明、白色または淡色の導電性微
粉体であることがよく、より好ましくは、導電性微粉体
の露光光に対する透過率が30%以上であることが良
い。
【0236】本発明においては、導電性微粉体の光透過
性については以下の手順で測定することが好ましい。よ
り具体的には、片面に接着層を有する透明のフィルムの
導電性微粉体を一層分固定した状態で透過率を測定す
る。光はシートの鉛直方向から照射しフィルム背面に透
過した光を集光し光量を測定する。フィルムのみと粒子
を付着したときの光量から正味の光量として粒子の透過
率を算出する。実際にはX−Rite社製310T透過
型濃度計を用いて測定できる。
【0237】本発明における導電性微粉体としては、例
えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉
末;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微
粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニ
ウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、
酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングス
テンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウ
ム、チタン酸カリなどの金属化合物、またはこれらの複
合酸化物などを、必要に応じて粒度及び粒度分布を調整
することで使用できる。これらの中でも酸化亜鉛、酸化
すず、酸化チタン等の無機酸化物を少なくとも表面に有
する微粒子が特に好ましい。
【0238】また、導電性微粉体の抵抗値を制御する等
の目的で、該導電性微粉体の主金属元素と異なるアンチ
モン、アルミニウムなどの元素を0.1〜5質量%含有
した金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粒子など
も使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表面処理
された酸化チタン微粒子、アンチモンでドープされた酸
化第二スズ微粒子、または酸化第二スズ微粒子などであ
る。また、導電性微粉体としては、該無機酸化物を酸素
欠損型としたものも好ましく用いられる。
【0239】このような導電性微粉体としては、以下の
ものを例示することができる。市販の酸化スズ・アンチ
モン処理された導電性酸化チタン微粒子としては、例え
ばEC−300(チタン工業株式会社)、ET−30
0、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、
W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0240】市販のアンチモンドープの導電性酸化スズ
としては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)や
SN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販
の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式
会社)などが挙げられる。特に好ましいのは、現像性の
観点からアルミニウムを含有する金属酸化物及び/また
は酸素欠損型の金属酸化物である。
【0241】本発明に用いられる導電性微粉体の体積平
均粒径及び粒度分布は、対象とする粒径によって適宜好
ましい測定方法によって測定することができるが、例え
ばコールター社製、LS−230型レーザー回折式粒度
分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.0
4〜2000μmの測定範囲で測定することができる。
測定法としては、純水10mLに微量の界面活性剤を添
加し、これに導電性微粉体の試料10mgを加え、超音
波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散し
た後、測定時間90秒、測定回数1回で測定した。
【0242】本発明において、導電性微粉体の粒度及び
粒度分布の調整方法としては、導電性微粉体の一次粒子
が製造時において所望の粒度及び粒度分布が得られるよ
うに製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒
子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒
子を粉砕する方法または分級による方法等が可能であ
り、更には、所望の粒度及び粒度分布の基材粒子の表面
の一部もしくは全部に導電性粒子を付着または固定化す
る方法、所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成分が
分散された形態を有する導電性微粒子を用いる方法等も
可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉体
の粒度及び粒度分布を調整することも可能である。
【0243】導電性微粉体が微粒子の凝集体として構成
されている場合の導電性微粉体の粒径は、その凝集体と
しての平均粒径として定義される。導電性微粉体は、一
次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集し
た状態で存在することも問題はない。どのような凝集状
態であれ、凝集体として帯電部材と像担持体とのニップ
部またはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助または
促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0244】本発明において、導電性微粉体の抵抗測定
は、粉体の抵抗値の測定方法として良く知られているい
わゆる錠剤法により測定することができる。より詳しく
は錠剤法により測定し正規化して求めた。即ち、底面積
2.26cm2の円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入
れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの
電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を
算出した。
【0245】また、本発明の磁性トナーには、潤滑性向
上等の目的で、さらに一次粒径30nmを超える(好ま
しくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは
一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2
/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに
添加することも好ましい形態のひとつである。このよう
な微粒子としては、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメ
チルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好まし
く用いられる。
【0246】本発明の磁性トナーには、実質的な悪影響
を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン
(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化
ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、または酸化セリウム粉
末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの
研磨剤、または例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウ
ム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、
逆極性の有機微粒子、及び無機微粉体を現像性向上剤と
して少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎
水化処理して用いることも可能である。
【0247】本発明の磁性トナーは、現像兼クリーニン
グ画像形成方法またはクリーナレス画像形成方法等の画
像形成方法にも好ましく適用される。
【0248】まず、現像兼クリーニング画像形成方法に
おいて、トナー粒子に導電性微粉体を外部添加した場合
の画像形成プロセス中でのトナー粒子及び導電性微粉体
の挙動を説明する。
【0249】磁性トナーに含有させた導電性微粉体は、
現像工程における像担持体側の静電潜像の現像時にトナ
ー粒子とともに適当量が像担持体側に移行する。像担持
体上のトナー画像は転写工程において記録媒体側に転移
する。像担持体上の導電性微粉体も一部は記録媒体側に
付着するが、残りは像担持体上に付着保持されて残留す
る。
【0250】磁性トナーと逆極性の転写バイアスを印加
して転写を行う場合には、磁性トナーは記録媒体側に引
かれて積極的に転移するが、像担持体上の導電性微粉体
は導電性であることで記録媒体側には積極的には転移せ
ず、一部は記録媒体側に付着するものの残りは像担持体
上に付着保持されて残留する。
【0251】クリーナーを用いない画像形成方法では、
転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の
残存導電性微粉体は、像担持体と帯電部材のニップ部で
ある帯電部に像担持体面の移動でそのまま持ち運ばれて
帯電部材に付着・混入する。従って、像担持体と帯電部
材とのニップ部に導電性微粉体が介在した状態で像担持
体の接触帯電が行われる。
【0252】この導電性微粉体の存在により、帯電部材
への転写残トナーの付着・混入による汚染にかかわら
ず、帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を
維持できるため、該帯電部材による像担持体の帯電を良
好に行わせることができる。
【0253】また、帯電部材に付着・混入した転写残ト
ナーは、帯電部材から像担持体へ印加される帯電バイア
スによって、帯電バイアスと同極性に帯電を揃えられて
帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持体
面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像
兼クリーニング(回収)される。
【0254】更に、画像形成が繰り返されることで、磁
性トナーに含有させてある導電性微粉体が、現像部で像
担持体面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て
帯電部に持ち運ばれて帯電部に逐次に導電性微粉体が供
給され続けるため、帯電部において導電性微粉体が脱落
等で減少したり、劣化するなどしても、帯電性の低下が
生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持さ
れる。
【0255】更なる解決すべき課題として、像担持体と
帯電部材とのニップ部に積極的に導電性微粉体を存在さ
せ、帯電部材への絶縁性の転写残トナーの付着・混入に
よる帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わ
せるために必要量の導電性微粉体を磁性トナーに含有さ
せた場合、トナーカートリッジ内で磁性トナー量が少な
くなるまで使用された際に画像濃度低下またはカブリの
増大により、良好な画像品位が保持できないことがあ
る。
【0256】従来のクリーニング機構を有する画像形成
装置においても、磁性トナーに導電性微粉体を含有させ
た場合、現像工程において選択的に導電性微粉体が消費
されるまたは逆に選択的に導電性微粉体が残ってしまう
ことによる磁性トナー中での導電性微粉体の偏析等によ
り、トナーカートリッジ内で磁性トナー量が少なくなる
まで使用された際には、画像濃度低下またはカブリの増
大を生ずることがある。このため、トナー粒子に導電性
微粉体を固着させるなどして、導電性微粉体の選択的な
消費または偏析を低減し、画像濃度低下、カブリの増大
等による画像性の低下を防止することが知られている。
【0257】しかし、導電性微粉体を含有させた磁性ト
ナーを現像兼クリーニング画像形成方法に適用した場合
には、導電性微粉体の偏析がより大きな影響を画像特性
に与える。すなわち、前述のように、磁性トナーに含有
させた導電性微粉体は、現像工程においてトナー粒子と
ともに適当量が像担持体側に移行した後、転写工程にお
いて像担持体上の導電性微粉体も一部は記録媒体側に付
着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0258】転写バイアスを印加することで転写を行う
場合には、トナー粒子は記録媒体側に引かれて積極的に
転移するが、像担持体上の導電性微粉体は導電性である
ことで記録媒体側には積極的には転移せず、一部は記録
媒体側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持さ
れて残留する。
【0259】本発明の画像形成方法では、クリーナーを
用いないため転写後の像担持体面に残存の転写残トナー
および上記の残存導電性微粉体は、帯電部材に付着・混
入する。このとき、帯電部材に付着・混入する導電性微
粉体の転写残トナーに対する量の比率は、導電性微粉体
とトナー粒子の転写性の差から、元の磁性トナー中での
導電性微粉体の量比率よりも明らかに多くなる。
【0260】この状態で帯電部材に付着・混入した導電
性微粉体は、転写残トナーと共に帯電部材から徐々に像
担持体上に吐き出されて像担持体面の移動とともに現像
部に至り、現像工程において現像兼クリーニング(回
収)される。すなわち、現像兼クリーニングによって、
導電性微粉体の比率が著しく多い磁性トナーが回収され
ることにより、導電性微粉体の偏析が大幅に加速され、
著しい画像濃度低下等による画像性の低下を招く。
【0261】これに対して、従来のクリーニング機構を
有する画像形成装置における場合と同様に、トナー粒子
に導電性微粉体を固着させて導電性微粉体の偏析を低減
しようとすると、転写工程においても導電性微粉体がト
ナー粒子とともに挙動するため、トナー粒子とともに記
録媒体側に転移してしまい、帯電部材に付着・混入して
帯電部において導電性微粉体が介在することができず、
または介在したとしても転写残トナー量に対して導電性
微粉体の介在量が不十分となり、転写残トナーによる帯
電性阻害に打ち勝って帯電性を維持することができず、
また、帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗
を維持できず、帯電部材による像担持体の帯電性が低下
し、カブリ及び画像汚れを生じてしまう。帯電部材を用
いた現像兼クリーニング画像形成方法に導電性微粉体を
含有させた磁性トナーを適用するには、上述のような困
難があった。
【0262】本発明の磁性トナーを用いることにより、
現像兼クリーニング画像形成方法またはクリーナレス画
像形成方法において、良好な帯電性を維持しつつ導電性
微粉体の偏析を大幅に緩和し、画像濃度低下等の画像性
の低下を実用上問題ないレベルまで改良することができ
る。
【0263】次に、前述した磁性トナーを用いる本発明
の画像形成方法について説明する。本発明の画像形成方
法は、像担持体とニップ部を形成して接触する帯電部材
に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる帯電
工程と、像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を
書き込む潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させた
磁性トナーにより該静電潜像を現像しトナー像とする現
像工程と、そのトナー像を記録媒体に転写する転写工程
とを少なくとも含む画像形成方法であって、前述した磁
性トナーを用いることを特徴とする。
【0264】本発明の画像形成方法における帯電工程
は、像担持体とニップ部を形成して接触する帯電部材に
電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程で
あることを特徴とする。この帯電工程は、帯電部材と像
担持体とのニップ部に103個/mm2以上の導電性微粉
体が介在した状態で像担持体を帯電させる工程であるこ
とが好ましい。
【0265】像担持体と帯電部材とのニップ部における
導電性微粉体の介在量は、少なすぎると、該微粉体によ
る潤滑効果が十分に得られず、像担持体と帯電部材との
摩擦が大きくて帯電部材を像担持体に速度差を持って回
転駆動させる場合において困難となる傾向にある。つま
り、駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると帯
電部材や像担持体の表面が削れてしまう。更に導電性微
粉体による接触機会増加の効果が得られないこともあり
十分な帯電性能が得られにくい。一方、介在量が多過ぎ
ると、導電性微粉体の帯電部材からの脱落が著しく増加
し作像上に悪影響が出る傾向にある。
【0266】実験によると導電性微粉体の介在量は10
3個/mm2以上が好ましく、より好ましくは104個/
mm2以上が良い。103個/mm2より低いと十分な潤
滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下
が生じることがある。104個/mm2より低いと転写残
トナーが多い場合に帯電性能の低下が生じることがあ
る。導電性微粉体の塗布密度範囲は、導電性微粉体をど
れぐらいの密度で像担持体上に塗布することで均一帯電
性の効果が得られるかでも決定される。
【0267】帯電時は少なくともこの記録解像度よりは
均一な接触帯電が必要なことは言うまでもない。しかし
ながら人間の目の視覚特性に関して、空間周波数が10
cycles/mm以上では、画像上の識別諧調数が限
りなく1に近づいていく。すなわち濃度ムラを識別でき
なくなる。この特性を積極的に利用すると、像担持体上
に導電性微粉体を付着させた場合、少なくとも像担持体
上で10cycles/mm以上の密度で導電性微粉体
を存在させ、直接注入帯電を行えば良いことになる。た
とえ導電性微粉体の存在しないところにミクロな帯電不
良が発生したとしても、その帯電不良によって発生する
画像上の濃度ムラは、人間の視覚特性を越えた空間周波
数領域に発生するため、画像上では問題は無いことにな
る。
【0268】導電性微粉体の塗布密度が変化したとき
に、画像上に濃度ムラとしての帯電不良が認知されるか
どうかについては、導電性微粉体をわずかにでも塗布さ
れれば(例えば10個/mm2)、帯電ムラ発生の抑制
に効果が認められるが、画像上の濃度ムラが人間にとっ
て許容可能かどうかと言う点においてはまだ不十分であ
る。
【0269】ところがその塗布量を102個/mm2以上
すると、画像の客観評価において急激に好ましい結果が
得られるようになる。更に、塗布量を103個/mm2
上増加させていくことにより、帯電不良に起因する画像
上の問題点は皆無となる。
【0270】直接注入帯電方式による帯電では、放電帯
電方式とは根本的に異なり、帯電部材が感光体に確実に
接触する事で帯電が行われている訳であるが、たとえ導
電性微粉体を像担持体上に過剰に塗布したとしても、接
触できない部分は必ず存在する。ところが本発明の人間
の視覚特性を積極的に利用した導電性微粉体の塗布を行
うことで、実用上この問題点を解決する。
【0271】しかしながら、直接注入帯電方式を現像兼
クリーニング画像形成における潜像担持体の一様帯電と
して適用する場合には、転写残トナーの帯電部材への付
着または混入による帯電特性の低下が生ずる。転写残ト
ナーの帯電部材への付着及び混入を抑制し、または転写
残トナーの帯電部材への付着または混入による帯電特性
への悪影響に打ち勝って、良好な直接注入帯電を行うに
は、像担持体と帯電部材とのニップ部における導電性微
粉体の介在量が104個/mm2以上であることが好まし
い。
【0272】また、導電性微粉体の塗布量の上限値は、
導電性微粉体が像担持体上に一層均一に塗布されるまで
であり、それ以上塗布されても効果が向上するわけでは
なく逆に、露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊
害が生じる。
【0273】塗布密度上限値は導電性微粉体の粒径によ
っても変わってくるために、一概にはいえないが、強い
て記述するならば、導電性微粉体が像担持体上に1層均
一に塗布される量が上限である。導電性微粉体の量は5
×105個/mm2を超えると、導電性微粉体の像担持体
への脱落が著しく増加し、導電性微粉体自体の光透過性
を問わず、像担持体への露光量不足が生じる傾向にあ
る。5×105個/mm2以下では脱落する導電性微粉体
量も低く抑えられ露光の阻害を改善できる。該介在量範
囲において像担持体上に脱落した導電性微粉体の存在量
を測ると102〜105個/mm2であったことから、作
像上弊害がない該存在量としては104〜5×105個/
mm2の介在量が好ましい。
【0274】帯電ニップ部での導電性微粉体の介在量及
び潜像形成工程での像担持体上の導電性微粉体の存在量
の測定方法について述べる。導電性微粉体の介在量は帯
電部材と像担持体の接触面部を直接測ることが望ましい
が、ニップ部を形成する帯電部材の表面と像担持体の表
面には速度差を設けている場合、帯電部材に接触する前
に像担持体上に存在した粒子(転写残トナーや導電性微
粉体等)の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部
材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達
する直前の帯電部材表面の粒子量をもって介在量とし
た。
【0275】具体的には、帯電バイアスを印加しない状
態で像担持体及び弾性導電性ローラーの回転を停止し、
像担持体及び弾性導電性ローラーの表面をビデオマイク
ロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及び
デジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−310
0)で撮影した。弾性導電性ローラーについては、弾性
導電性ローラーを像担持体に当接するのと同じ条件でス
ライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデ
オマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レン
ズで10箇所以上撮影した。
【0276】得られたデジタル画像から個々の粒子を領
域分離するため、ある閾値を持って二値化処理し、粒子
の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計
測した。また、像担持体上の存在量についても像担持体
上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処
理を行い計測した。
【0277】更に、本発明における帯電工程は、ニップ
部を形成する帯電部材の表面と像担持体の表面が相対的
速度差を有しつつ移動して像担持体を帯電させる工程で
あると、帯電部材と像担持体のニップ部において導電性
微粉体が像担持体に接触する機会を格段に増加させ、よ
り高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上
させる点で好ましい。
【0278】帯電部材と像担持体とのニップ部に導電性
微粉体を介在させることにより、導電性微粉体の潤滑効
果(摩擦低減効果)により帯電部材と像担持体との間に
大幅なトルクの増大及び帯電部材及び像担持体表面の顕
著な削れ等を伴うことなく速度差を設けることが可能と
なる。
【0279】速度差を設ける構成としては、帯電部材を
回転駆動して像担持体と該帯電部材に速度差を設ける構
成を挙げることができる。
【0280】また、本発明における帯電工程では、帯電
部に持ち運ばれる像担持体上の転写残トナーを帯電部材
に一時的に回収し均すために、帯電部材の表面と像担持
体の表面が互いに逆方向に移動しつつ像担持体を帯電さ
せることが好ましい。例えば、帯電部材を回転駆動し、
さらに、その回転方向は像担持体表面の移動方向とは逆
方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、
逆方向回転で像担持体上の転写残トナーを一旦引き離し
帯電を行うことにより優位に直接注入帯電を行うことが
可能である。
【0281】帯電部材を像担持体表面の移動方向と同じ
方向に移動させて速度差をもたせることも可能である
が、直接注入帯電の帯電性は像担持体の周速と帯電部材
の周速の比に依存するため、逆方向と同じ周速比を得る
には順方向では帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて
大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が回
転数の点で有利である。ここで記述した周速比は、
【数4】周速比(%)=(帯電部材周速/像担持体周
速)×100 である(帯電部材周速はニップ部において帯電部材表面
が像担持体表面と同じ方向に移動するとき正の値であ
る)。
【0282】本発明の画像形成方法における帯電工程で
は、前述した像担持体(被帯電体)に、ローラー型(帯
電ローラー)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレー
ド型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電
器)が用いられ、この帯電部材に所定の帯電バイアスを
印加して像担持体面を所定の極性・電位に帯電させる接
触帯電装置が用いられる。像担持体上の転写残トナーを
一時的に回収するとともに導電性微粉体を担持し直接注
入帯電を優位に実行する上でも、帯電部材として可撓性
部材である弾性導電性ローラーまたは回動可能な帯電ブ
ラシロールを用いることが好ましい。
【0283】本発明においては、帯電部材が、帯電部材
と像担持体との間に導電性微粉体を介在させるニップ部
を設ける上で弾性を有することが好ましく、帯電部材に
電圧を印加することにより像担持体を帯電させるために
導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は弾性
及び導電性を有するローラー部材、磁性粒子を磁気拘束
させた磁気ブラシ部を有し該磁気ブラシ部を像担持体に
接触させた磁気ブラシ帯電部材、または導電性繊維から
構成される帯電ブラシ等のブラシ部材であることが好ま
しい。
【0284】帯電部材にローラー部材を用いる場合で
は、本発明における帯電工程は、アスカーC硬度が50
度以下の導電性のローラー部材に電圧を印加することに
より像担持体を帯電させる工程であることが好ましい。
ローラー部材の硬度は、硬度が低すぎると形状が安定し
ないために像担持体との接触性が悪くなり、更に、帯電
部材と像担持体とのニップ部に導電性微粉体を介在させ
ることでローラー部材表層を削りまたは傷つけ、安定し
た帯電性が得られない傾向にある。また、硬度が高すぎ
ると像担持体との間に帯電ニップ部を確保できないだけ
でなく、像担持体表面へのミクロな接触性が悪くなる傾
向がある。これらの理由により、前記ローラー部材の硬
度は、アスカーC硬度で25度から50度がより好まし
い範囲である。なお、アスカーC硬度は、具体的には、
例えば、高分子計器株式会社製のアスカー硬度計C型を
使用し、荷重500gの条件で測定することによって測
定することができる。
【0285】前記ローラー部材は弾性を持たせて像担持
体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する像担持
体を充電するに十分低い抵抗を有する電極として機能す
ることが重要である。一方では像担持体にピンホールな
どの欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する
必要がある。
【0286】像担持体として電子写真用感光体を用いた
場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、本発明にお
ける帯電工程は、抵抗が103Ω・cm以上108Ω・c
m以下のローラー部材に電圧を印加することにより像担
持体を帯電させる工程であることが好ましい。前記ロー
ラー部材の抵抗は、104Ω・cm以上107Ω・cm以
下であることがより好ましい。ローラー抵抗は、ローラ
ーの芯金に総圧1kgの加重がかかるよう直径30mm
の円筒状アルミドラムにローラーを圧着した状態で、芯
金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測する
ことが本発明では好ましい。
【0287】前記ローラー部材は、例えば芯金上に可撓
性部材としてのゴムまたは発泡体の中抵抗層を形成する
ことにより作製される。中抵抗層は樹脂(例えばウレタ
ン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化
剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形
成する。その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状
を整え導電性弾性ローラーを作製することができる。
【0288】該ローラ表面は導電性微粉体を介在させる
ために微小なセルまたは凹凸を有していることが好まし
い。また、ローラー部材は球形換算での平均セル径が5
〜300μmである窪みを少なくとも表面に有してお
り、該窪みを空隙部としたローラー部材表面の空隙率が
15〜90%であることが好ましい。前記セル径が上記
範囲から外れると導電性微粉体の保持が不十分となりや
すく、前記空隙率が上記範囲を外れると導電性微粉体の
保持量が不十分となりやすく、ともに導電性微粉体を介
在させる効果が不十分となる傾向にある。
【0289】前記ローラー部材の材質としては、弾性発
泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エ
チレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPD
M)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(N
BR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調
整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物
質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものが
あげられる。また、導電性物質を分散せずに、または導
電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調
整をすることも可能である。
【0290】ローラー部材は像担持体としての像担持体
に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設
し、ローラー部材と像担持体のニップ部である帯電ニッ
プ部を形成させる。この帯電ニップ部幅は特に制限され
るものではないが、ローラー部材と像担持体の安定して
密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2m
m以上が良い。
【0291】また、ローラー部材には、その表面に離型
性被膜を設けてもよい。離型性被膜としては、ナイロン
系樹脂、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PVdC
(ポリ塩化ビニリデン)、フッ素アクリル樹脂などが適
用可能である。
【0292】また、本発明における帯電工程は、導電性
を有するブラシ部材に電圧を印加することにより像担持
体を帯電させることも好ましい。ブラシ部材としては、
一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調
整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知ら
れている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アク
リル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が
挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電
材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニ
ウム、金、銀等の導電性金属または酸化鉄、酸化亜鉛、
酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性金属
の酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げら
れる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整
の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際して
は、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用い
る。
【0293】帯電部材としてブラシ部材(帯電ブラシ)
を用いる場合には、固定型と回動可能なロール状のもの
がある。ロール状帯電ブラシとしては、例えば導電性繊
維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル
状に巻き付けてロールブラシとすることができる。導電
性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10
〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15m
m、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本
(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108
本程度)のものが好ましく用いられる。
【0294】帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を
使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の
微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、300デ
ニール/50フィラメントのように300デニールの微
細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛すること
も可能である。しかしながら、本発明においては、直接
注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯
電部材と像担持体との帯電ニップ部及びその近傍の導電
性微粉体の介在密度に依存しているため、帯電部材の選
択の範囲は広められている。
【0295】帯電ブラシの抵抗値は、前述した弾性導電
性ローラーの場合と同様に十分な帯電性と耐リークを得
るには103〜108Ω・cmの抵抗であることが良く、
より好ましくは104〜107Ω・cm抵抗であることが
良い。
【0296】帯電ブラシの材質としては、ユニチカ
(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−
C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)
製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネ
ボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レ
ーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)
製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−
B、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に
好ましい。
【0297】また、帯電部材が可撓性を有していること
が帯電部材と像担持体のニップ部において導電性微粉体
が像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得
ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好まし
い。つまり、帯電部材が導電性微粉体を介して密に像担
持体に接触して、帯電部材と像担持体のニップ部に存在
する導電性微粉体が像担持体表面を隙間なく摺擦するこ
とで、帯電部材による像担持体の帯電は帯電促進粒子の
存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入
帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られな
かった高い帯電効率が得られ、帯電部材に印加した電圧
とほぼ同等の電位を像担持体に与えることができる。
【0298】本発明における帯電工程では、帯電部材に
対する印加帯電バイアスは直流電圧のみでも良好な帯電
性を得ることが可能であるが、直流電圧に交番電圧(交
流電圧)を重畳してもよい。
【0299】交番電圧の波形としては、正弦波、矩形
波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周
期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波
であっても良い。このように交番電圧の波形としては周
期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用でき
る。
【0300】本発明における帯電工程は、直流電圧、ま
たは直流印加における放電開始電圧をVthとしたとき
に2×Vth(V)未満のピーク間電圧を有する交流電
圧を直流電圧に重畳した電圧を前記帯電部材に印加する
ことにより像担持体を帯電させる工程であることが好ま
しい。また、本発明における帯電工程は、直流電圧、ま
たは直流印加における放電開始電圧をVthとしたとき
にVth(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を
直流電圧に重畳した電圧を前記帯電部材に印加すること
により、実質的に放電現象を伴うことなく像担持体を帯
電させる工程であることが、オゾン等の発生を防止する
上でより好ましい。
【0301】本発明における帯電工程で、ローラー部材
を帯電部材として用いた場合の好ましいプロセス条件の
一例を紹介すると、像担持体に対するローラー部材の当
接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)
で、直流電圧または直流電圧に交流電圧を重畳したもの
が用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用
いる場合では、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周
波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5
kVが好ましい。
【0302】次に、本発明の画像形成方法に用いられる
像担持体について説明する。本発明に用いられる像担持
体には、導電性基体と、導電性基体上に形成される感光
層とを有する公知の構成を採用することができる。感光
層は、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、電荷注入
層、保護層等から選ばれる、異なる機能を有する複数の
層から形成することが好ましい。
【0303】本発明の画像形成方法においては、像担持
体の最表面層の体積抵抗が1×10 9Ω・cm以上1×
1014Ω・cm以下であると、より良好な帯電性を与え
ることができ好ましい。電荷の直接注入による帯電方式
においては、像担持体側の抵抗を下げることでより効率
良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最
表面層の体積抵抗値としては1×1014Ω・cm以下で
あることが好ましい。一方、像担持体として静電潜像を
一定時間保持する必要するためには、最表面層の体積抵
抗値としては1×109Ω・cm以上であることが好ま
しい。
【0304】更に、像担持体が電子写真感光体であり、
該電子写真感光体の最表面層の体積抵抗が1×109Ω
・cm以上1×1014Ω・cm以下であることにより、
プロセススピードの速い装置においても、十分な帯電性
を与えることができより好ましい。
【0305】また、像担持体はアモルファスセレン、C
dS、ZnO2、アモルファスシリコン又は有機系感光
物質の様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは
感光ベルトであることが好ましく、アモルファスシリコ
ン感光層、又は有機感光層を有する感光体が特に好まし
く用いられる。
【0306】有機感光層としては、感光層が電荷発生物
質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単
一層型でもよく、又は電荷輸送層と電荷発生層を有する
機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷
発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の
積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0307】本発明の画像形成方法は、像担持体の表面
抵抗を調整することで、更に安定して均一に帯電を行う
ことができる。像担持体の表面抵抗を調整することによ
って電荷注入をより効率化または促進するために、電子
写真感光体の表面に電荷注入層を設けることも好まし
い。電荷注入層は、樹脂中に導電性微粒子を分散させた
形態が好ましい。
【0308】電荷注入層を設ける形態としては、例え
ば、 (i)セレン、アモルファスシリコンの如き無機感光体
もしくは単一層型有機感光体の上に、電荷注入層を設け
る場合 (ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層として、電
荷輸送剤と樹脂を有する表面層を持つものに電荷注入層
としての機能を兼ねさせる場合(例えば、電荷輸送層と
して樹脂中に電荷輸送剤と導電性粒子を分散させる、ま
たは電荷輸送剤自体もしくはその存在状態によって、電
荷輸送層に電荷注入層としての機能を持たせる場合) (iii)さらに機能分離型有機感光体上に最表面層と
して電荷注入層を設ける場合 等があるが、最表面層の体積抵抗が好ましい範囲にある
ことが重要である。
【0309】電荷注入層としては、例えば、金属蒸着膜
等の無機の層、または導電性微粒子を結着樹脂中に分散
させた導電粉分散樹脂層等によって構成され、蒸着膜は
蒸着、導電粉分散樹脂層はディッピング塗工法、スプレ
ー塗工法、ロールコート塗工法及びビーム塗工法等の適
当な塗工法にて塗工することによって形成される。ま
た、絶縁性のバインダーに光透過性の高いイオン導電性
を持つ樹脂を混合もしくは共重合させて構成するもの、
または中抵抗で光導電性のある樹脂単体で構成するもの
でもよい。
【0310】この中でも、像担持体の最表面層が、少な
くとも金属酸化物を含む導電性微粒子が分散された樹脂
層であることが、電子写真感光体の表面の抵抗を下げる
ことでより効率良く電荷の授受が行えるようにし、かつ
像担持体として静電潜像を保持している間に表面の抵抗
を下げたことで潜像電荷が拡散することによる潜像のボ
ケまたは流れを抑制する上で好ましい。
【0311】導電性微粒子分散層の場合、分散粒子によ
る入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の
粒径の方が小さいことが必要であり、分散される導電性
微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ま
しい。
【0312】また、導電性微粒子の含有量は、最表面層
の総重量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜70
質量%がより好ましい。2質量%より少ない場合には、
所望の体積抵抗値を得にくくなり、また90質量%より
多い場合には、膜強度が低下してしまい電荷注入層が削
りとられやすくなり、感光体の寿命が短くなる傾向があ
る。また導電性微粒子が多いと、抵抗が低くなってしま
い潜像電位が流れることによる画像不良を生じやすくな
るためである。
【0313】前記最表面層の層厚は0.1〜10μmが
好ましく、潜像の輪郭のシャープさを得る上では5μm
以下であることがより好ましく、電荷注入層の耐久性の
点からは1μm以上であることがより好ましい。
【0314】また、電荷注入層のバインダーは下層のバ
インダーと同じとすることも可能であるが、この場合に
は電荷注入層の塗工時に下層(例えば電荷輸送層)の塗
工面を乱してしまう可能性があるため、このように互い
に接する層のバインダーを同じにする場合では、層の形
成方法を特に選択する必要がある。
【0315】なお、本発明における像担持体の最表面層
の体積抵抗値の測定方法は、表面に金を蒸着させたポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持
体の最表面層と同様の組成からなる層を作製し、これを
体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製414
0B pA MATER)にて、23℃、65%の環境
で100Vの電圧を印加して測定するというものであ
る。
【0316】また、本発明においては、像担持体表面に
離型性を付与することが好ましく、像担持体表面の水に
対する接触角が85度以上であることが好ましく、90
度以上であることがより好ましい。
【0317】像担持体の表面層に離型性を付与する手段
としては、(1)膜を構成する樹脂自体に表面エネルギ
ーの低いものを用いる、(2)撥水、親油性を付与する
ような添加剤を加える、(3)少なくともフッ素系樹
脂、シリコーン系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂から
選ばれる、高い離型性を有する材料を粉体状(滑剤微粒
子)にして分散する、などが挙げられる。
【0318】(1)の手段としては、樹脂の構造中にフ
ッ素含有基、シリコーン含有基等を導入することにより
達成される。(2)の手段としては、界面活性剤等を添
加剤とすればよい。(3)の手段としては、フッ素原子
を含む化合物、すなわちポリ4フッ化エチレン、ポリフ
ッ化ビニリデン、フッ化カーボン等の材料の使用が挙げ
られる。
【0319】これらの手段によって像担持体表面の水に
対する接触角を85度以上(好ましくは90度以上)と
することができ、トナーの転写性及び感光体の耐久性を
一層向上させることができる。この中でも特にポリ4フ
ッ化エチレンが好適である。本発明においては、前述し
た手段のうち、(3)の含フッ素樹脂などの離型性粉体
の最表面層への分散が、像担持体表面に離型性を付与す
るのに好適である。
【0320】これらの滑剤微粒子を表面に含有させるた
めには、バインダー樹脂中に該粒子を分散させた層を感
光体最表面に設けるか、または、元々樹脂を主体として
構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設
けなくても、最上層に該粒子を分散させれば良い。従っ
て像担持体が光導電性物質を利用した感光体であること
が、像担持体の最表面層に所望の物性を付与させる上で
好ましい。
【0321】滑剤微粒子の添加量は、表面層総重量に対
して、1〜60質量%、さらには、2〜50質量%が好
ましい。1質量%より少ないと磁性トナーの転写性及び
像担持体の耐久性改善の効果が不十分であり、60質量
%を越えると膜の強度が低下したり、像担持体への入射
光量が著しく低下する傾向にあるため好ましくない。
【0322】本発明は、帯電部材が像担持体に接触して
像担持体を帯電させることから、帯電部材が像担持体に
接することのないコロナ放電等による方法に比べて、オ
ゾンの発生が少ない点で好ましいが、像担持体表面に対
する負荷が大きいので、上記の構成は感光体寿命という
点で改善効果が顕著であり、好ましい適用形態のひとつ
である。
【0323】また、本発明は感光体表面が高分子結着剤
を主体として構成される場合に有効である。例えば、セ
レン、アモルファスシリコンなどの無機感光体の上に樹
脂を主体とした、保護膜を設ける場合、又は機能分離型
有機像担持体の電荷輸送層として、電荷輸送材と樹脂か
らなる表面層をもつ場合、さらにその上に上記のような
離型性を有する層を保護層として設ける場合等がある。
【0324】図8は、表面層として電荷注入層を設けた
感光体の層構成模型図である。即ち該感光体は、導電性
基体(アルミニウム基体)11上に導電層12、正電荷
注入防止層13、電荷発生層14、電荷輸送層15の順
に重ねて塗工された一般的な有機感光体ドラムに電荷注
入層16を塗布することにより、帯電性能を向上したも
のである。
【0325】電荷注入層16として重要な点は、表層の
体積抵抗値が1×109Ω・cm以上1×1014Ω・c
m以下の範囲にあることである。本構成のように電荷注
入層16を設けない場合でも、例えば電荷輸送層15が
上記抵抗範囲にある場合は同等の効果が得られる。例え
ば、表層の体積抵抗が約1013Ωcmであるアモルファ
スシリコン感光体等を用いても同様に良好な帯電性が得
られる。
【0326】本発明に用いられる像担持体(感光体)の
好ましい様態のひとつを以下に説明する。導電性基体と
しては、アルミニウム・ステンレス等の金属、アルミニ
ウム合金・酸化インジウム−酸化錫合金等による被膜層
を有するプラスチック、導電性粒子を含侵させた紙・プ
ラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチック等の
円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0327】これら導電性基体上には、感光層の接着性
向上・塗工性改良・基体の保護・基体上に欠陥の被覆・
基体からの電荷注入性改良・感光層の電気的破壊に対す
る保護等を目的として下引き層を設けても良い。下引き
層は、ポリビニルアルコール・ポリ−N−ビニルイミダ
ゾール・ポリエチレンオキシド・エチルセルロース・メ
チルセルロース・ニトロセルロース・エチレン−アクリ
ル酸コポリマー・ポリビニルブチラール・フェノール樹
脂・カゼイン・ポリアミド・共重合ナイロン・ニカワ・
ゼラチン・ポリウレタン・酸化アルミニウム等の材料に
よって形成される。その膜圧は通常0.1〜10μm、
好ましくは0.1〜3μm程度である。
【0328】電荷発生層は、アゾ系顔料・フタロシアニ
ン系顔料・インジゴ系顔料・ペリレン系顔料・多環キノ
ン系顔料・スクワリリウム色素・ピリリウム塩類・チオ
ピリリウム塩類・トリフェニルメタン系色素、セレン・
非晶質シリコン等の無機物質などの電荷発生物質を適当
な結着剤に分散し塗工するまたは蒸着等により形成され
る。
【0329】結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から
選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂・ポリエステ
ル樹脂・ポリビニルブチラール樹脂・ポリスチレン樹脂
・アクリル樹脂・メタクリル樹脂・フェノール樹脂・シ
リコン樹脂・エポキシ樹脂・酢酸ビニル樹脂等が挙げら
れる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量
%以下、好ましくは0〜40質量%に選ぶ。また、電荷
発生層の膜圧は5μm以下、特には0.05〜2μmが
好ましい。
【0330】電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層
から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有
している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結
着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形
成され、その膜圧は一般的には5〜40μmである。
【0331】電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖に
ビフェニレン・アントラセン・ピレン・フェナントレン
などの構造を有する多環芳香族化合物、インドール・カ
ルバゾール・オキサジアゾール・ピラゾリンなどの含窒
素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、セ
レン・セレン−テルル・非晶質シリコン・硫化カドニウ
ム等が挙げられる。
【0332】また、これら電荷輸送物質を分散させる結
着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂・ポリエステル
樹脂・ポリメタクリル酸エステル・ポリスチレン樹脂・
アクリル樹脂・ポリアミド樹脂等の樹脂、ポリ−N−ビ
ニルカルバゾール・ポリビニルアントラセン等の有機光
導電性ポリマー等が挙げられる。
【0333】又、表面層として、保護層を設けてもよ
い。保護層の樹脂としては、ポリエステル・ポリカーボ
ネート・アクリル樹脂・エポキシ樹脂・フェノール樹
脂、またはこれらの樹脂の硬化剤等が単独または二種以
上組み合わされて用いられる。
【0334】また、保護層の樹脂中に導電性微粒子を分
散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属・金属
酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化亜鉛・酸化チタ
ン・酸化スズ・酸化アンチモン・酸化インジウム・酸化
ビスマス・酸化スズ被膜酸化チタン・スズ被膜酸化イン
ジウム・アンチモン被膜酸化スズ・酸化ジルコニウム等
の超微粒子がある。これらは単独で用いても二種以上を
混合して用いても良い。
【0335】一般的に保護層に粒子を分散させる場合、
分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長
よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、本発
明における保護層に分散される導電性、絶縁性粒子の粒
径としては0.5μm以下であることが好ましい。ま
た、保護層中での含有量は、保護層総重量に対して2〜
90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好まし
い。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1
〜7μmがより好ましい。表面層の塗工は、樹脂分散液
をスプレーコーティング、ビームコーティングまたは浸
透(ディッピング)コーティングすることによって行う
ことができる。なお、これらの層厚は、ヘルムート・フ
ィッシャー社製の高周波式膜厚計(例えば、パーマスコ
ープE111型)によって測定される。
【0336】本発明の画像形成方法は、像担持体の帯電
面に静電潜像として画像情報を書き込む潜像形成工程を
含む。本発明における潜像形成工程は、像露光により像
担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む工
程であることが好ましい。潜像形成工程には、公知の潜
像形成手段が用いられる。
【0337】静電潜像形成のための潜像形成手段として
は、デジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段
に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露
光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈
等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるも
のなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるもの
であるなら構わない。
【0338】また、本発明では、静電記録誘電体等の像
担持体を用いることができるが、この場合は、該誘電体
面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針
ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の
静電潜像を書き込み形成する潜像形成手段を用いること
が出来る。
【0339】本発明の画像形成方法は、トナー担持体上
に担持させた磁性トナーにより静電潜像をトナー像とし
て可視化する現像工程を含む。本発明における現像工程
では、公知の現像手段が用いられる。このような現像手
段としては、例えばトナーを収容する現像容器と、内部
に固定される磁界発生手段を有するとともに現像容器の
開口部に回転自在に設けられる非磁性及び導電性のスリ
ーブ(トナー担持体)と、トナー担持体上に担持される
磁性トナーの層厚を規制する層厚規制部材と、前記スリ
ーブに電圧を印加する現像バイアス印加手段とを有する
現像手段を例示することができる。
【0340】本発明の画像形成方法は、前記現像工程
が、トナー像を記録媒体上に転写した後に像担持体に残
留した磁性トナーを回収するクリーニング工程を兼ねて
いる、いわゆる現像兼クリーニング画像形成方法または
クリーナーレス画像形成方法と呼ばれる画像形成方法で
あることが好ましい。
【0341】本発明における現像工程は、トナー担持体
上に5〜30g/m2のトナー層を形成し、トナー層か
ら磁性トナーを像担持体に転移させ静電潜像を現像する
工程であることが好ましい。トナー担持体上のトナー量
が5g/m2よりも小さいと、十分な画像濃度が得られ
にくく、磁性トナーの帯電が過剰になることによるトナ
ー層のムラを生じ易くなる。トナー担持体上のトナー量
が30g/m2よりも多くなると、トナー飛散を生じ易
くなる。
【0342】また、本発明における現像工程は、像担持
体とトナー担持体との間隙が100〜1000μmであ
ることが好ましい。トナー担持体の像担持体に対する離
間距離が100μmよりも小さいと、離間距離の振れに
対する磁性トナーの現像特性の変化が大きくなるため、
安定した画像性を満足する画像形成装置を量産すること
が困難となることがある。トナー担持体の像担持体に対
する離間距離が1000μmよりも大きいと、像担持体
上の潜像に対する磁性トナーの追従性が低下するため
に、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招く
ことがある。好ましくは120〜500μmがよい。
【0343】また本発明における現像工程は、カブリの
無い高画質を得るために、像担持体とトナー担持体との
間隙、すなわちトナー担持体と感光体の最近接距離(S
−D間)よりも小さな層厚のトナー層をトナー担持体上
に形成し、該トナー層から磁性トナーを像担持体に転移
させ静電潜像を現像する工程であることが好ましい。す
なわち、本発明における現像工程では、トナー担持体上
の磁性トナーを規制する層圧規制部材によってトナー担
持体上のトナー層厚よりも感光体とトナー担持体の最近
接間隙が広くなるように設定されることが、磁性トナー
を均一帯電させる観点から特に好ましい。
【0344】また、上記のごとく像担持体に対してトナ
ー層を非接触とすることにより像担持体の静電潜像をト
ナー画像として可視化する非接触型現像方法を適用する
ことで、電気抵抗値が低い導電性微粉体を磁性トナー中
に添加しても、現像バイアスが像担持体へ注入すること
による現像かぶりの発生が抑制され、良好な画像を得る
ことができる。
【0345】本発明の画像形成方法における現像工程
は、磁性トナーを担持して像担持体に対する現像部に搬
送するトナー担持体が像担持体に対して速度差を有しつ
つ静電潜像を現像する工程とすると、トナー担持体側か
ら像担持体側へのトナー粒子および導電性微粉体の供給
が十分に行われるため、良好な画像を得ることができ
る。
【0346】この場合における磁性トナーを担持するト
ナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に
移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。
その移動方向が同方向である場合像担持体の移動速度に
対して、比で100%以上であることが望ましい。10
0%未満であると画像品質が低下する傾向にある。移動
速度比が高まれば高まるほど現像部位に供給される磁性
トナーの量は多く、潜像に対し磁性トナーの脱着頻度が
多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付
与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得
られる傾向にある。具体的には、トナー担持体表面の移
動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.05〜
3.0倍の速度であることが好ましい。
【0347】本発明において、トナー担持体に対して交
番電界を印加して現像を行う現像工程で現像されること
が好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交番電圧
(交流電圧)を重畳してもよい。交番電圧の波形として
は、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。ま
た、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形
成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧
の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバ
イアスが使用できる。
【0348】本発明の画像形成方法が現像兼クリーニン
グ画像形成方法である場合では、本発明における現像工
程は、磁性トナーを担持をするトナー担持体と像担持体
との間に少なくとも交番電圧を現像バイアスとして印加
して像担持体の静電潜像を磁性トナーによって現像する
工程であり、交番電界はピーク間の電界強度で3×10
6〜107V/m、周波数100〜5000Hzであるこ
とが好ましい。トナー担持体と像担持体との間に印加さ
れる現像バイアスによる電界強度が3×106V/mよ
りも小さいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低
下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、現
像力が小さいために画像濃度の低い画像となり易い。
【0349】一方、現像バイアスによる電界強度が10
7V/mよりも大きいと現像力が大き過ぎることによる
細線の潰れによる解像性の低下、カブリの増大による画
質低下を生じ易く、現像バイアスの像担持体へのリーク
による画像欠陥を生じ易くなる。
【0350】また、トナー担持体と像担持体との間に印
加される現像バイアスのAC成分の周波数が100Hz
よりも小さいと、潜像に対する磁性トナーの脱着頻度が
少なくなり、現像装置への転写残トナーの回収性が低下
しやすく、画像品質も低下し易い。現像バイアスのAC
成分の周波数が5000Hzよりも大きいと、電界の変
化に追従できる磁性トナーが少なくなるために、転写残
トナーの回収性が低下し、現像性が低下しやすい。
【0351】交番電圧を現像バイアスとして印加する等
によって、トナー担持体と像担持体間に高電位差がある
場合でも、現像部による像担持体への電荷注入が生じな
いため、トナー担持体側の磁性トナー中に添加された導
電性微粉体が均等に像担持体側に移行されやすく、均一
に導電性微粉体を像担持体に塗布し、帯電部で均一な接
触を行い、良好な帯電性を得ることが出来る。
【0352】本発明に使用されるトナー担持体は、アル
ミニウム、ステンレススチールの如き金属又は合金で形
成された導電性円筒(現像ローラー)が好ましく使用さ
れる。また、トナー担持体は、充分な機械的強度及び導
電性を有する樹脂組成物で導電性円筒が形成されていて
も良く、導電性のゴムローラーを用いても良い。また、
トナー担持体は、上記のような円筒状に限られず、回転
駆動する無端ベルトの形態をしても良い。
【0353】また、本発明に使用されるトナー担持体の
表面粗さはJIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜
3.5μmの範囲にあることが好ましい。Raが0.2
μm未満ではトナー担持体上の帯電量が高くなり、現像
性が不充分となる傾向にある。また、Raが3.5μm
を超えると、トナー担持体上のトナーコート層にむらが
生じ、画像上で濃度むらとなる傾向にある。トナー担持
体のRaは、0.5〜3.0μmの範囲にあることがよ
り一層好ましい。
【0354】本発明において、トナー担持体の表面粗度
Raは、JIS表面粗さ「JISB 0601」に基づ
き、表面粗さ測定器(例えばサーフコーダSE−30
H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心
線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその
中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜
き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方
向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式
によって求められる値をミクロメートル(μm)で表し
たものを言う。
【0355】
【数5】
【0356】さらに、本発明に係わる磁性トナーは高い
帯電能力を有するために、現像に際しては磁性トナーの
総帯電量をコントロールすることが望ましく、本発明に
係わるトナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑
剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0357】トナー担持体の被覆層において、樹脂材料
に含まれる導電性微粒子は、120kg/cm2で加圧
した後の抵抗値が0.5Ω・cm以下であるものが好ま
しい。
【0358】前記樹脂材料に含まれる導電性微粒子とし
ては、カーボン微粒子、カーボン微粒子と結晶性グラフ
ァイトとの混合物、または結晶性グラファイトが好まし
い。この導電性微粒子は、粒径0.005〜10μmを
有するものが好ましい。
【0359】前記樹脂材料に含まれる導電性微粒子は、
樹脂成分10質量部当たり、3〜20質量部使用するの
が好ましい。カーボン微粒子とグラファイト粒子を組み
合わせて使用する場合は、グラファイト10質量部当た
り、カーボン微粒子1〜50質量部を使用するのが好ま
しい。
【0360】前記樹脂材料に含まれる導電性微粉末が分
散されてるスリーブの樹脂コート層の体積抵抗率は10
-6〜106Ω・cmが好ましい。
【0361】前記樹脂層を形成する樹脂材料は、例え
ば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスル
ホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキ
サイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹
脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリ
コーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂または
光硬化性樹脂を使用することができる。
【0362】中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のよう
な離型性のあるもの、またはポリエーテルスルホン、ポ
リカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミ
ド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ス
チレン系樹脂のような機械的性質に優れたものが、前記
樹脂材料としてより好ましい。特に、フェノール樹脂が
好ましい。
【0363】また本発明においては、トナー担持体上の
磁性トナーを規制する層厚規制部材が磁性トナーを介し
てトナー担持体に当接されていることによって規制され
る事が、磁性トナーを温湿度環境の影響を受けにくくさ
せ、トナー飛散の起こりにくい均一な帯電を得る観点か
ら特に好ましい。このような層厚規制部材としては、例
えばゴム等の弾性材料で形成された弾性ブレード等を例
示することができる。
【0364】本発明の画像形成方法は、像担持体上のト
ナー像を記録媒体に転写する転写工程を含む。本発明に
おける転写工程は、転写部材が転写時に記録媒体を像担
持体に当接させ、像担持体上のトナー像を記録媒体に転
写する接触転写工程であることが好ましい。本発明にお
いて、像担持体からトナー画像の転写を受ける記録媒体
は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。記録媒体
を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などの転写
材に再度転写することでトナー画像が得られる。
【0365】前記接触転写工程では、像担持体と転写部
材との当接圧力としては線圧2.9N/m(3g/c
m)以上であることが好ましく、より好ましくは19.
6N/m(20g/cm)以上である。当接圧力として
の線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転
写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるた
め好ましくない。
【0366】また、接触転写工程における転写手段とし
ては、転写ローラーまたは転写ベルトを有する公知の装
置が使用される。図4に転写ローラーの構成の一例を示
す。転写ローラー34は少なくとも芯金34aと導電性
弾性層34bからなり、導電性弾性層はカーボン等の導
電材を分散させたウレタンやEPDM等の、体積抵抗1
6〜1010Ωcm程度の弾性体で作られており、転写
バイアス電源35により転写バイアスが印加されてい
る。
【0367】本発明の画像形成方法は、磁性トナー中に
含まれる導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し、
転写工程の後も像担持体上に残留して運ばれ、前記帯電
工程において少なくとも帯電部材と像担持体ニップ部及
びその近傍の少なくともいずれかに存在することがより
好ましい。
【0368】本発明の画像形成方法は、感光体の表面が
有機化合物である様な像担持体に対して接触転写方法を
用いる場合において特に有効である。即ち、有機化合物
が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を
用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂
との接着性が強く、転写性がより低下する傾向にあるた
めである。
【0369】また、本発明の画像形成方法に接触転写方
法を適用する場合、使用される感光体の表面物質として
は、たとえばシリコーン樹脂、塩化ビニリデン、エチレ
ン−塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル、スチレ
ン−メチルメタクリレート、スチレン、ポリエチレンテ
レフタレートおよびポリカーボネート等が挙げられる
が、これらに限定されることはなく他のモノマーまたは
前述の結着樹脂間での共重合体およびブレンド体等も使
用することができる。
【0370】また、接触転写方法を適用した本発明の画
像形成方法は、直径が50mm以下の小径の像担持体を
有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即
ち、小径感光体の場合には、同一の線圧に対する曲率が
大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいため
である。ベルト状の像担持体でも同一の現象があると考
えられるが、本発明は、転写部での曲率半径が25mm
以下の画像形成装置に対しても有効である。
【0371】次に、本発明の画像形成方法を実現する画
像形成方法の一例を図に沿って具体的に説明する。図1
において、100は像担持体であるドラム状の感光体
で、その周囲に帯電部材である帯電ローラー117、現
像器140、転写部材である転写ローラー114、クリ
ーナ116、レジスタローラー124等が設けられてい
る。そして感光体100は帯電ローラー117によって
−700Vに帯電される。(印加電圧は交流電圧−2.
0kVpp、直流電圧−700Vdc)そして、レーザ
ー発生装置121によりレーザー光123を感光体10
0に照射する事によって露光される。感光体100上の
静電潜像は現像器140によって前記磁性トナーで現像
され、転写材を介して感光体に当接された転写ローラー
114により転写材上へ転写される。トナー画像をのせ
た転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運
ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残さ
れたトナーはクリーナ116によりクリーニングされ
る。
【0372】現像器140は図2に示すように感光体1
00に近接してアルミニウム、ステンレス等非磁性金属
で作られた円筒状のトナー担持体102(以下現像スリ
ーブと称す)が配設され、感光体100と現像スリーブ
102との間隙は図示されないスリーブ/感光体間隙保
持部材等により約300μmに維持されている。現像ス
リーブ内にはマグネットローラー104が現像スリーブ
102と同心的に固定、配設されている。但し現像スリ
ーブ102は回転可能である。マグネットローラー10
4には図示の如く複数の磁極が具備されており、S1は
現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り
込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響してい
る。
【0373】現像スリーブ102に付着して搬送される
磁性トナー量を規制する部材として、弾性ブレード10
3が配設され弾性ブレード103の現像スリーブ102
に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が
制御される。現像領域では、感光体100と現像スリー
ブ102との間に直流及び交流の現像バイアスが印加さ
れ、現像スリーブ上トナーは静電潜像に応じて感光体1
00上に飛翔し可視像となる。
【0374】本発明の画像形成方法は、前述したように
現像兼クリーニング画像形成方法を好適に採用すること
ができる。以下に本発明に係る現像兼クリーニング画像
形成方法を実現する画像形成装置の一例を説明する。
【0375】図5は本発明に従う画像形成装置の一例の
概略構成模型図である。本実施形態の画像形成装置は、
転写式電子写真プロセスを利用した現像兼クリーニング
プロセス(クリーナーレスシステム)のレーザープリン
ター(記録装置)である。クリーニングブレードの如き
クリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去
したプロセスカードリッジを有し、トナーとしては磁性
一成分系トナー(前述した磁性トナー)を使用し、トナ
ー担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配
置される非接触現像の例である。
【0376】(1)本実施形態プリンターの全体的な概
略構成 21は像担持体としての回転ドラム型OPC感光体であ
り、矢印の時計方向に94mm/secの周速度(プロ
セススピード)をもって回転駆動される。22は帯電部
材(ローラー部材)としての帯電ローラーである。帯電
ローラー22は感光体21に対して弾性に抗して所定の
押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体21と帯
電ローラー22の当接部である帯電当接部である。
【0377】本実施形態では、帯電ローラー22は感光
体21との接触面である帯電当接部nにおいて対向方向
(感光体表面の移動方向と逆方向)に100%の周速比
で回転駆動されている。即ち帯電部材としての帯電ロー
ラー2の表面は感光体21の表面に対して速度差を持た
せた。また、帯電ローラー22の表面には、塗布量がお
よそ1×104個/mm2で均一になるように前記導電性
微粉体3を塗布した。
【0378】また帯電ローラー2の芯金22aには帯電
バイアス印加電源から−700Vの直流電圧を帯電バイ
アスとして印加するようにした。本実施形態では感光体
21の表面は帯電ローラー22に対する印加電圧とほぼ
等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式にて一様
に帯電処理される。これについては後述する。
【0379】23はレーザーダイオード・ポリゴンミラ
ー等を含むレーザービームスキャナ(露光器)である。
このレーザービームスキャナは目的の画像情報の時系列
電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレー
ザー光を出力し、該レーザー光で上記感光体21の一様
帯電面を走査露光Lする。この走査露光Lにより回転感
光体21の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形
成される。
【0380】24は現像装置である。感光体21の表面
の静電潜像はこの現像装置によりトナー画像として現像
される。本実施形態の現像装置24は、磁性トナーとし
て本発明の負帯電性磁性一成分絶縁トナーBを用いた非
接触型の反転現像装置である。トナーBには導電性微粉
体を外添添加してある。
【0381】感光体21と現像スリーブ24aとの間隙
は290μmとした。トナー担持体24aとしては、下
記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(R
a)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直径1
6mmのアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブを
使用した。該スリーブは、現像磁極90mT(900ガ
ウス)のマグネットロールを内包し、該スリーブには、
トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長1.5m
mのウレタン製ブレードを29.4N/m(30g/c
m)の線圧で当接させた。 フェノール樹脂 100部 グラファイト(粒径約7μm) 90部 カーボンブラック 10部
【0382】また、感光体21との対向部である現像部
a(現像領域部)にて感光体21の回転方向と順方向に
感光体21の周速の120%の周速で回転させる。この
現像スリーブ24aに弾性ブレード24cで磁性トナー
が薄層にコートされる。トナーは弾性ブレード24cで
現像スリーブ24aに対する層厚が規制され、また電荷
が付与される。この時、現像スリーブ24aにコートさ
れたトナー量は、15g/m2であった。現像スリーブ
24aにコートされた磁性トナーは現像スリーブ24a
の回転により、感光体21と現像スリーブ24aの対向
部である現像部aに搬送される。
【0383】また、現像スリーブ24aには現像バイア
ス印加電源より現像バイアス電圧が印加される。現像バ
イアス電圧は、−420VのDC電圧と、周波数160
0Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×106
V/m)の矩形のAC電圧を重畳したものを用い、現像
スリーブ24aと感光体21の間aで一成分ジャンピン
グ現像を行わせた。
【0384】25は接触転写手段としての中抵抗の転写
ローラーであり、感光体21に98N/m(100g/
cm)の線圧で圧接させて転写ニップ部bを形成させて
ある。この転写ニップ部bに不図示の給紙部から所定の
タイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、か
つ転写ローラー25に転写バイアス印加電源から所定の
転写バイアス電圧が印加されることで、感光体21側の
トナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に
順次に転写されていく。
【0385】本実施形態ではローラ抵抗値は5×108
Ωcmのものを用い、+3000VのDC電圧を印加し
て転写を行った。即ち、転写ニップ部bに導入された転
写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、感光体
21の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静
電気力と押圧力にて転写材Pの表面側に転写されてい
く。
【0386】26は熱定着方式等の定着装置である。転
写ニップ部bに給紙されて感光体21側のトナー像の転
写を受けた転写材Pは感光体21の表面から分離されて
この定着装置26に導入され、トナー像の定着を受けて
画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出さ
れる。
【0387】本実施形態のプリンターはクリーニングユ
ニットを除去しており、転写材Pに対するトナー像転写
後の感光体21の表面に残留の転写残トナーはクリーナ
ーで除去されることなく、感光体21の回転にともない
帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置24にお
いて現像兼クリーニング(回収)される。
【0388】27はプリンター本体に対して着脱自在の
プロセスカートリッジである。本実施形態のプリンター
は、感光体21、帯電ローラー22、現像装置24の3
つのプロセス機器を一括してプリンター本体に対して着
脱自在のプロセスカートリッジとして構成してある。プ
ロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等
は上記に限られるものではなく任意である。
【0389】28はプロセスカートリッジの着脱案内・
保持部材である。
【0390】(2)本実施形態における導電性微粉体の
挙動について 現像装置24の磁性トナーtに混入させた導電性微粉体
mは、現像装置24による感光体21側の静電潜像のト
ナー現像時にトナーとともに適当量が感光体21側に移
行する。感光体21上のトナー画像は転写部bにおいて
転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引か
れて積極的に転移するが、感光体21上の導電性微粉体
mは導電性であることで転写材P側には積極的には転移
せず、感光体21上に実質的に付着保持されて残留す
る。
【0391】本発明においては、前記画像形成装置は独
立したクリーニング機構を有さないため、転写後の感光
体21の表面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導
電性微粉体mは感光体21と帯電部材である帯電ローラ
ー22の当接部である帯電部nに感光体21面の移動で
そのまま持ち運ばれて、帯電ローラー22に付着または
混入する。したがって、感光体21と帯電ローラー22
とのニップ部nにこの導電性微粉体mが存在した状態で
感光体21の直接注入帯電が行われる。
【0392】この導電性微粉体mの存在により、帯電ロ
ーラー22にトナーが付着・混入した場合でも、帯電ロ
ーラー22の感光体21への緻密な接触性と接触抵抗を
維持できるため、該帯電ローラー22による感光体21
の直接注入帯電を行わせることができる。つまり、帯電
ローラー22が導電性微粉体mを介して密に感光体21
に接触して、帯電ローラー22と感光体21の相互接触
面に存在する導電性微粉体mが感光体21表面を隙間な
く摺擦することで、帯電ローラー22による感光体21
の帯電は導電性微粉体mの存在により放電現象を用いな
い安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来の
ローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得ら
れ、帯電ローラー22に印加した電圧とほぼ同等の電位
を感光体21に与えることができる。
【0393】また帯電ローラー22に付着または混入し
た転写残トナーは帯電ローラー22から徐々に感光体2
1上に吐き出されて感光体21面の移動とともに現像部
に至り、現像手段において現像兼クリーニング(回収)
される。
【0394】現像兼クリーニングは、転写後に感光体2
1上に残留した磁性トナーを、引き続く画像形成工程の
現像時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を
形成し、該潜像の現像時において、現像装置のかぶり取
りバイアス、即ち現像装置に印加する直流電圧と感光体
の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbac
kによって回収するものである。本実施形態におけるプ
リンターのように反転現像の場合では、この現像兼クリ
ーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から
現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブ
から感光体の明部電位へ磁性トナーを付着させる電界の
作用でなされる。
【0395】また、画像形成装置が稼働されることで、
現像装置24の磁性トナーtに混入させてある導電性微
粉体mが現像部aで感光体21面に移行し該像担持面の
移動により転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれて帯電
部nに新しい粒子mが逐次に供給され続けるため、帯電
部nにおいて導電性微粉体mが脱落等で減少したり、該
粒子mが劣化するなどしても、帯電性の低下が生じるこ
とが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0396】かくして、接触帯電方式、転写方式、トナ
ーリサイクルプロセスの画像形成装置において、帯電部
材として簡易な帯電ローラー22を用いて、しかも該帯
電ローラー22の転写残トナーによる汚染にかかわら
ず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡
り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与える
ことが出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による
障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を
得ることができる。
【0397】また、前述のように導電性微粉体mは帯電
性を損なわないために、電気抵抗値が抵抗値が1×10
9Ω・cm以下である必要がある。そのため、現像部a
において磁性トナーが直接感光体21に接触する接触現
像装置を用いた場合には、磁性トナー中の導電性微粉体
mを通じて、現像バイアスにより感光体21に電荷注入
され、画像かぶりが発生してしまう。
【0398】しかし、本実施形態では現像装置は非接触
型現像装置であるので、現像バイアスが感光体21に注
入されることがなく、良好な画像を得ることが出来る。
また、現像部aにおいて感光体21への電荷注入が生じ
ないため、ACのバイアスなど現像スリーブ24aと感
光体21間に高電位差を持たせることが可能であり、導
電性微粉体mが均等に現像されやすく、均一に導電性微
粉体mを感光体21表面に塗布し、帯電部で均一な接触
を行い、良好な帯電性を得ることが出来き、良好な画像
を得ることが可能となる。
【0399】帯電ローラー22と感光体21との接触面
nに導電性微粉体mを介在させることにより、該導電性
微粉体mの潤滑効果(摩擦低減効果)により帯電ローラ
ー22と感光体21との間に容易に効果的に速度差を設
けることが可能となる。帯電ローラー22と感光体21
との間に速度差を設けることにより、帯電ローラー22
と感光体21の相互接触面部nにおいて導電性微粉体m
が感光体21に接触する機会を格段に増加させ、高い接
触性を得ることができ、良好な直接注入帯電を可能とし
ている。
【0400】本実施形態では、帯電ローラー22を回転
駆動し、その回転方向は感光体21表面の移動方向とは
逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持
ち運ばれる感光体21上の転写残トナーを帯電ローラー
22に一時的に回収し均す効果を得ている。即ち、逆方
向回転で感光体21上の転写残トナーを一旦引き離し帯
電を行うことにより優位に直接注入帯電を行うことが可
能である。
【0401】更に、本実施形態では像担持体としての感
光体21と帯電部材としての帯電ローラー22との帯電
当接部nにおける適当な量の導電性微粉体mの介在によ
って、該粒子による潤滑効果により帯電ローラー22と
感光体21との摩擦を低減し、帯電ローラー22を感光
体21に速度差を持って回転駆動させることが容易であ
る。つまり、駆動トルクが低減し、帯電ローラー22や
感光体21の表面の削れまたは傷を防止できる。更に該
粒子による接触機会増加により十分な帯電性能が得られ
る。また、導電性微粉体の帯電ローラー22からの脱落
よる作像上に悪影響もない。
【0402】
【実施例】以下、本発明を製造例及び実施例により具体
的に説明するが、これは本発明をなんら限定するもので
はない。尚、以下の配合における部数は全て質量部であ
る。
【0403】(表面処理磁性粉体の製造例1)硫酸第一
鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の
苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を
調製した。水溶液のpHを9前後に維持しながら空気を
吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成
させるスラリー液を調製した。次いでこのスラリー液
に、当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)
に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液
を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹
き込みながら酸化反応をすすめ、酸化反応後に生成した
磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過して一旦取り出した。この
時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておい
た。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体
中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調整し、
十分攪拌しながらシランカップリング剤(n−C1021
Si(OCH33)を磁性酸化鉄に対し1.0質量部
(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値
として計算した)添加し、カップリング処理を行った。
生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾
燥し、次いで若干凝集している粒子を解砕処理して表面
処理磁性粉体1を得た。
【0404】(磁性粉体の製造例1)表面処理磁性粉体
の製造例1と同様に酸化反応を進め、酸化反応後に生成
した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過後、表面処理を行わず
に乾燥し、凝集している粒子を解砕処理して磁性粉体1
を得た。
【0405】(表面処理磁性粉体の製造例2)磁性粉体
の製造例1で得られた磁性粉体1を、別の水系媒体中に
再分散させた後、再分散液のpHを約6に調製し、十分
攪拌しながらシランカップリング剤(n−C1021Si
(OCH33)を磁性酸化鉄に対し1.0質量部添加
し、カップリング処理を行った。生成した疎水性酸化鉄
粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集して
いる粒子を解砕処理して表面処理磁性粉体2を得た。
【0406】(表面処理磁性粉体の製造例3)表面処理
磁性粉体の製造例1に於いてシランカップリング剤の処
理量を0.04質量部とする以外は同様にして表面処理
磁性粉体3を得た。
【0407】(導電性微粉体1)体積平均粒径3.7μ
m、粒度分布における0.5μm以下が6.6体積%、
5μm以上が8個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗が80Ω
・cm、一次粒子径が0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一
次粒子を圧力により造粒して得られた物、白色)を導電
性微粉体1とする。この導電性微粉体1は、走査型電子
顕微鏡にて3000倍及び3万倍で観察したところ、
0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜10μm
の凝集体からなっていた。実施例1の画像形成装置で画
像露光に用いられるレーザービームスキャナの露光光波
長740nmにあわせて、波長740nmの光源を用い
て、この波長域における透過率をX−Rite社製31
0T透過型濃度計を用い測定したところ、この導電性微
粉体1の透過率はおよそ35%であった。
【0408】(導電性微粉体2)導電性微粉体1を風力
分級して得られた、体積平均粒径2.4μm、粒度分布
における0.5μm以下が4.1体積%、5μm以上が
1個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗440Ω・cm、透過
率35%)を導電性微粉体2とする。この導電性微粉体
2は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.1〜
0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜5μmの凝集体か
らなっていたが、導電性微粉体1と比較すると一次粒子
は減少していた。
【0409】(導電性微粉体3)導電性微粉体1を風力
分級して得られた、体積平均粒径1.5μm、粒度分布
における0.5μm以下が35体積%、5μm以上が0
個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗1500Ω・cm、透過
率35%)を導電性微粉体3とする。この導電性微粉体
3は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.1〜
0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜4μmの凝集体か
らなっていたが、導電性微粉体2と比較すると一次粒子
は増加していた。
【0410】(導電性微粉体4)体積平均粒径0.3μ
m、粒度分布における0.5μm以下が80体積%、5
μm以上が0個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗が100Ω
・cm、一次粒子径が0.1〜0.3μm、白色、透過
率35%、純度99%以上)を導電性微粉体4とする。
この導電性微粉体4は、走査型電子顕微鏡にて観察した
ところ、凝集体の少ない0.1〜0.3μmの酸化亜鉛
一次粒子からなっていた。
【0411】(導電性微粉体5)酸化スズ・アンチモン
で表面処理された体積平均粒径2.8μmのホウ酸アル
ミニウムを、風力分級によって粗粒子を除いた後に、水
系に分散して濾過を繰り返し行うことで微粒子を除き、
体積平均粒径3.2μm、粒度分布における0.5μm
以下が0.4体積%、5μm以上が1個数%の灰白色の
導電性粒子を得た。これを導電性微粉体5とする。導電
性微粉体1〜5の代表的物性値を下記表1に示す。
【0412】
【表1】
【0413】(トナーの製造例1)イオン交換水709
gに0.1M−Na3PO4水溶液451gを投入し60
℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7
gを徐々に添加してCa3(PO42を含む水系媒体を
得た。 スチレン 80部 n−ブチルアクリレート 20部 不飽和ポリエステル樹脂 2部 飽和ポリエステル樹脂 3部 負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1部 表面処理磁性粉体1 90部 上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用
いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に
加温し、そこにベヘニン酸ベヘニルを主体とするエステ
ルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72
℃、溶解性試験○)5部とポリエチレンワックス(DS
Cにおける吸熱ピークの極大値89℃、溶解性試験
×)5部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2'
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/
2 =140分,60℃条件下]5gを溶解した。前記水
系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2
雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業
(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造
粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6
時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹
拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行
い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa 3(P
42を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径
6.9μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子の1k
Vにおける電子顕微鏡(FE−SEM、日立製:S−8
00)観察では、表面に磁性粉体が存在せず、露出は全
く認められなかった。このトナー粒子100部と、一次
粒径8nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を
処理した後にシリコーンオイルで処理し、処理後のBE
T値が140m2/gの疎水性シリカ微粉体1.2部と
導電性微粉体3、2.0部をヘンシェルミキサー(三井
三池化工機(株))で混合して、トナーAを調製した。
トナーAの処方及び物性を表2及び表3に示す。
【0414】(トナーの製造例2)トナーの製造例1の
処方の中で、磁性粉体を表面処理磁性粉体3に変更した
他は全てトナーの製造例1と同様にして重量平均粒径
6.6μmのトナー粒子を得、疎水性シリカ微粉体及び
導電性微粉体3を混合してトナーBを調製した。トナー
Bの処方及び物性を表2及び表3に示す。なおトナーB
の電子顕微鏡観察においても磁性粉体の露出は見られな
かった。
【0415】(トナーの製造例3)トナーの製造例1の
処方の中で、磁性粉体を除き、さらにNa3PO4水溶液
とCaCl2水溶液の投入量を変更し、重量平均粒径
0.5μmのトナー粒子(レーザー回折型粒度分布計
LS−230にて測定)を得た。このトナー粒子5部
と、トナーの製造例1で得られたトナー粒子100部を
衝撃式表面処理装置(処理温度60℃、回転式処理ブレ
ード周速90m/sec.)を用いて、磁性トナー粒子
上に非磁性トナー粒子を固着皮膜化させた重量平均粒径
8.1μmの球形化トナー粒子を得た。得られた球形化
トナー粒子とトナーの製造例1で使用した疎水性シリカ
微粉体2.0部と導電性微粉体3、2.0部をヘンシェ
ルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナ
ーCを調製した。トナーCの処方及び物性を表2及び表
3に示す。なおトナーCの電子顕微鏡観察においても磁
性粉体の露出は見られなかった。
【0416】(トナーの製造例4)トナーの製造例1の
処方の中で、磁性粉体を表面処理磁性粉体2に変更した
他は全てトナーの製造例1と同様にして重量平均粒径
6.6μmのトナー粒子を得、疎水性シリカ微粉体と導
電性微粉体を混合してトナーDを調製した。トナーDの
処方及び物性を表2及び表3に示す。なおトナーDの電
子顕微鏡観察においても磁性粉体の露出は見られなかっ
た。
【0417】(トナーの製造例5)トナーの製造例1の
処方の中で、エステルワックス及びポリエチレンワック
スの処方量をそれぞれ0.2部に変更した他は全てトナ
ーの製造例1と同様にして重量平均粒径6.2μmのト
ナー粒子を得、疎水性シリカ微粉体と導電性微粉体を混
合してトナーEを調製した。トナーEの処方及び物性を
表2及び表3に示す。なおトナーEの電子顕微鏡観察に
おいても磁性粉体の露出は見られなかった。
【0418】(トナーの製造例6)トナーの製造例1の
中で、エステルワックスの使用量を51部とした他は全
て磁性トナーのトナー1と同様にして重量平均粒径8.
0μmのトナー粒子を得、疎水性シリカ微粉体と導電性
微粉体を混合してトナーFを調製した。トナーFの処方
及び物性を表2及び表3に示す。なおトナーFの電子顕
微鏡観察においても磁性粉体の露出は見られなかった。
【0419】(トナーの製造例7)トナーの製造例1の
処方の中で、エステルワックスの処方量を0.2部に変
更した他は全てトナーの製造例1と同様にして重量平均
粒径6.2μmのトナー粒子を得、疎水性シリカ微粉体
と導電性微粉体を混合してトナーGを調製した。トナー
Gの処方及び物性を表2及び表3に示す。なおトナーG
の電子顕微鏡観察においても磁性粉体の露出は見られな
かった。
【0420】(トナーの製造例8)トナーの製造例1の
処方の中で、エステルワックス及びポリエチレンワック
スの処方量をそれぞれ15部と0.1部に変更した他は
全てトナーの製造例1と同様にして重量平均粒径7.8
μmのトナー粒子を得、疎水性シリカ微粉体と導電性微
粉体を混合してトナーHを調製した。トナーHの処方及
び物性を表2及び表3に示す。なおトナーHの電子顕微
鏡観察においても磁性粉体の露出は見られなかった。
【0421】(トナーの製造例9)トナーの製造例1の
処方の中で、エステルワックスをモンタンワックス6部
(DSCにおける吸熱ピークの極大値66℃、溶解性試
験 ○)に変更した他は全てトナーの製造例1と同様に
して重量平均粒径8.7μmのトナー粒子を得、疎水性
シリカ微粉体と導電性微粉体を混合してトナーIを調製
した。トナーIの処方及び物性を表2及び表3に示す。
なおトナーIの電子顕微鏡観察においても磁性粉体の露
出は見られなかった。
【0422】(トナーの製造例10)トナーの製造例1
の処方の中で、ポリエチレンワックスをポリプロピレン
5部(DSCにおける吸熱ピークの極大値152℃、溶
解性試験 ×)に変更した他は全てトナーの製造例1と
同様にして重量平均粒径8.7μmのトナー粒子を得、
疎水性シリカ微粉体と導電性微粉体を混合してトナーJ
を調製した。トナーJの処方及び物性を表2及び表3に
示す。なおトナーJの電子顕微鏡観察においても磁性粉
体の露出は見られなかった。
【0423】(トナーの製造例11)トナーの製造例1
において、得られたトナー粒子100部に対して一次粒
径8nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を処
理し、処理後のBET値が250m2/gの疎水性シリ
カ微粉体1.2部と導電性微粉体をヘンシェルミキサー
(三井三池化工機(株))で混合してトナーKを調製し
た。トナーKの処方及び物性を表2及び表3に示す。な
おトナーKの電子顕微鏡観察においても磁性粉体の露出
は見られなかった。
【0424】(トナーの製造例12)トナーの製造例1
において、得られたトナー粒子100部に対して一次粒
径82nmの酸化チタンにヘキサメチルジシラザンで表
面を処理した後にシリコーンオイルで処理し、処理後の
BET値が130m2/gの疎水性酸化チタン微粉体
1.2部と導電性微粉体をヘンシェルミキサー(三井三
池化工機(株))で混合して、トナーLを調製した。ト
ナーLの処方及び物性を表2及び表3に示す。なおトナ
ーLの電子顕微鏡観察においても磁性粉体の露出は見ら
れなかった。 (トナーの製造例13)トナーの製造例1において、得
られたトナー粒子100部に対して一次粒径8nmの未
処理シリカ微粉体1.2部と導電性微粉体をヘンシェル
ミキサー(三井三池化工機(株))で混合してトナーM
を調製した。トナーMの処方及び物性を表2及び表3に
示す。なおトナーMの電子顕微鏡観察においても磁性粉
体の露出は見られなかった。
【0425】(トナーの製造例14〜17)トナーの製
造例1において、導電性微粉体3を導電性微粉体1、
2、4、5とする以外は同様にしてトナーN、O、P、
Qを調製した。トナーN、O、P、Qの処方及び物性を
表2及び表3に示す。
【0426】 (トナーの比較製造例1) スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比80/20) 100部 トナーの製造例1で使用した不飽和ポリエステル樹脂 2部 飽和ポリエステル樹脂 3部 負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1部 表面処理磁性粉体1 90部 トナーの製造例1で使用したエステルワックス 5部 トナーの製造例1で使用したポリエチレンワックス 5部 上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した
二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物を
ハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微
粉砕し風力分級して、重量平均粒径8.0μmの非球形
トナー粒子を得た。次に、得られた非球形トナー粒子1
00部に対して、トナーの製造例1で使用した疎水性シ
リカ1.2部と導電性微粉体を加えた混合物をヘンシェ
ルミキサーで混合しトナーRを調製した。トナーRの処
方及び物性を表2及び表3に示す。なおトナーRの電子
顕微鏡観察においては、一部磁性粉体の露出が見受けら
れ、磁性粉体の完全な内包化が成されていないことが示
唆された。
【0427】(トナーの比較製造例2)トナーの製造例
1の処方の中で、エステルワックス及びポリエチレンワ
ックスの処方をポリエチレンワックス(DSCにおける
吸熱ピークの極大値128℃、溶解性試験 ×)に変更
した他は全てトナーの製造例1と同様にして重量平均粒
径7.8μmのトナー粒子を得、トナーの製造例1で使
用した疎水性シリカ微粉体と導電性微粉体を混合してト
ナーSを調製した。トナーSの処方及び物性を表2及び
表3に示す。なおトナーSのトナーの電子顕微鏡観察に
おいても磁性粉体の露出は見られなかった。
【0428】(トナーの比較製造例3)トナーの製造例
1の処方の中で、磁性粉体を疎水化していない磁性粉体
1に変更した他は全てトナーの製造例1と同様にして重
量平均粒径6.9μmのトナー粒子を得、トナーの製造
例1で使用した疎水性シリカ微粉体と導電性微粉体を混
合してトナーTを調製した。トナーTの処方及び物性を
表2及び表3に示す。なおトナーTのトナーの電子顕微
鏡観察においては、一部磁性粉体の露出が見受けられ、
磁性粉体の完全な内包化が成されていないことが示唆さ
れた。
【0429】(トナーの比較製造例4)トナーの製造例
1において、導電性微粉体3を抵抗が1012Ω・cmで
ある樹脂粒子に変更した以外は同様にしてトナーUを調
製した。トナーUの処方及び物性を表2及び表3に示
す。
【0430】なお得られた磁性トナーの磁場79.6k
A/mにおける磁化の強さは、いずれも26〜30Am
2/kgであった。また、トナーA〜Q、トナーS及び
トナーUのESCA(X線光電子分光分析)により測定
される該トナーの表面に存在する炭素元素の含有量
(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)は
0.001以下であったが、トナーRは0.0032、
トナーTは0.0057であった。
【0431】
【表2】
【0432】
【表3】
【0433】(感光体製造例1)感光体としては直径3
0mmのAlシリンダーを基体とした。これに、図3に
示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感
光体を作製した。 (1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフ
ェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μ
m。 (2)下引き層:変性ナイロン、及び共重合ナイロンを
主体とする。膜厚0.6μm。 (3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブ
チラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6
μm。 (4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化
合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法によ
る分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主
体とし、さらにポリ4フッ化エチレン粉体(粒径0.2
μm)を総固形分に対して10質量%添加し、均一に分
散した。膜厚25μm。水に対する接触角は95度であ
った。なお、接触角の測定には純水を用い、装置には協
和界面科学(株)製、接触角計CAーX型を用いた。
【0434】(実施例1)画像形成装置として、LBP
−1760を改造し、概ね図1に示されるものを用い
た。静電荷像担持体としては感光体製造例1の有機感光
体(OPC)ドラムを用いた。この感光体に、一次帯電
部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆
されたゴムローラー帯電器を当接させ(当接圧60g/
cm)、直流電圧−700Vdcに交流電圧2.0kV
ppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯
電させる。一次帯電に次いで、レーザー光で画像部分を
露光することにより静電潜像を形成する。この時、暗部
電位Vd=−680V、明部電位VL=−130Vとし
た。
【0435】感光ドラムと現像スリーブとの間隙は29
0μmとした。この現像スリーブは、トナー担持体とし
て下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ
(Ra)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直
径16mmのアルミニウム円筒上に形成した構成とされ
ており、この現像スリーブには、現像磁極85mT(8
50ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、
自由長1.0mmのシリコーンゴム製ブレードを29.
4N/m(30g/cm)の線圧で当接させた。 フェノール樹脂 100部 グラファイト(粒径約7μm) 90部 カーボンブラック 10部
【0436】次いで、現像バイアスとしては、直流バイ
アス成分Vdc=−400V、重畳する交流バイアス成
分Vp−p=1600V、f=2000Hzを用いた。
また、現像スリーブの周速は感光体周速(94mm/s
ec)に対して順方向に105%のスピード(103m
m/sec)とした。
【0437】また、図4のような転写ローラー(導電性
カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電
性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24
゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/c
m))を図4中A方向の感光体周速(94mm/se
c)に対して等速で回転させる。転写バイアスは直流
1.5kVとした。
【0438】定着方法としてはLBP−1760のオイ
ル塗布機能のない、フィルムを介してヒーターにより加
熱加圧定着する方式の定着装置を用いた。この時加圧ロ
ーラはフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ロ
ーラの直径は30mmであった。また、定着温度は18
0℃、ニップ幅を7mmに設定した。
【0439】まず、トナーとしてトナーAを使用し、3
2.5℃、80%RH環境下において画出し試験を行っ
た。転写材としては90g/m2の紙を使用した。その
結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの
転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像
が得られた。
【0440】次に、印字面積比率4%の横ラインのみか
らなる画像パターンで耐久性の評価を行った。画像評価
は以下のように行った。
【0441】(トナー融着)トナー融着の評価は、画像
不良が現れやすいハーフトーン画像上に、トナー融着に
よる画像不良、即ち黒点または白抜けが発生した耐久枚
数で判断した。発生するまでの耐久枚数が多い程、画像
形成方法の耐久性が良好なことを意味する。
【0442】(転写効率)転写効率は、ベタ黒画像転写
後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテ
ーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃
度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイ
ラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の
紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした
時、近似的に以下の式で計算した。
【数6】 転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0443】(画質)画質の判断基準は、画像の均一
性、細線再現性を総合的に評価したものである。
【0444】なお、画像の均一性はべた黒画像、ならび
に、ハーフトーン画像で判断を行う。 ◎:細線再現性、画像の均一性に優れ、鮮明な画像。 ○:細線再現性、画像の均一性が若干劣るものの、良好
な画像。 △:実用的には問題の無い画質。 ×:細線再現性、画像の均一性が悪く、実用上好ましく
ない画像。
【0445】(かぶり)カブリの測定は、東京電色社製
のREFLECTMETER MODEL TC−6D
Sを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィル
ターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【数7】 カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0446】(画像濃度)画像濃度はマクベス濃度計R
D918(マクベス社製)で測定した。画像濃度は初期
(20枚目)と、6000枚のプリントアウトを終了し
た後2日放置して再び電源を入れた1枚目の画像濃度に
より評価した。
【0447】(定着性)オフセット性は、耐久1000
枚後の画像サンプルの裏側に発生する汚れを観察し、得
られたプリントアウト画像の裏汚れの程度について、以
下に基づいて評価した。 A:未発生 B:ほとんど発生せず C:若干発生したが、実用的に問題がない D:かなり発生し、実用的に問題がある
【0448】また、定着こすり試験として、A4の複写
機用普通紙(105g/m2)に単位面積あたりのトナ
ー重量を1.0mg/cm2になるように調整し、濃度
測定用の10mmx10mmベタ画像を多数有する画像
を出力し、得られた定着画像を50g/cm2の加重を
かけたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度低下
率から以下に基づいて評価した。 A:2%未満, B:2%以上、5%未満 C:5%以上、10%未満 D:10%以上
【0449】得られた結果を表4に示す。
【0450】
【表4】
【0451】(実施例2〜13)トナーとしてトナー
B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、Mを使
用し、実施例1と同様にして画出し試験を行った。その
結果、表4に示した様に実用的に問題の無い結果が得ら
れた。
【0452】(実施例14〜17)トナーとしてトナー
N、O、P、Qを使用し、実施例1と同様の画像形成方
法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に
実用的に問題の無い結果が得られた。
【0453】(比較例1)トナーとしてトナーRを使用
し、実施例1と同様にして画出し試験を行った。その結
果、画像濃度がやや低く、さらに転写性も低くドット再
現性の低い画像となった。結果を表4に示す。
【0454】(比較例2)トナーとしてトナーSを使用
し、実施例1と同様にして画出し試験を行った。その結
果、耐久1000枚後での画像裏汚れが悪く、さらにト
ナー融着の発生枚数も5500枚と非常に多量であっ
た。結果を表4に示す。
【0455】(比較例3)トナーとしてトナーTを使用
し、実施例1と同様にして画出し試験を行った。その結
果、初期から画像濃度の薄く、耐久1000枚後での画
像裏汚れも悪化していた。結果を表4に示す。
【0456】(比較例4)トナーとしてトナーUを使用
し、実施例1と同様にして画出し試験を行った。その結
果、初期において高い転写性を示すが,濃度の薄い画像
になった。また、トナー融着の発生枚数も4500枚と
多量に発生した。結果を表4に示す。
【0457】また本発明の磁性トナーは、クリーナレス
画像形成方法または現像兼クリーニング画像形成方法に
も適用可能である。以下、具体的実施例によって本発明
を説明するが本発明はなんらこれに限定されるものでは
ない。まず、本発明の実施例に用いる像担持体としての
感光体の製造例について述べる。
【0458】(感光体製造例2)感光体は負帯電用の有
機光導電性物質を用いた感光体(以下OPC感光体)で
あり、直径30mmのアルミニウム製のシリンダーを基
体とした。これに、図8に示すような構成の層を順次浸
漬塗布により積層して、感光体を作製した。
【0459】第1層は導電層であり、アルミニウムシリ
ンダーの欠陥等をならすため、またレーザー露光の反射
によるモアレの発生を防止するために設けられている厚
さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化
チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体と
する)である。
【0460】第2層は正電荷注入防止層(下引き層)で
あり、アルミニウム支持体から注入された正電荷が感光
体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割
を果たし、メトキシメチル化ナイロンによって106Ω
・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層で
ある。
【0461】第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の
顔料をブチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層
であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷
対を発生する。
【0462】第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネ
ート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μm
の層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に
帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電
荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送する
ことができる。
【0463】第5層は電荷注入層であり、光硬化性のア
クリル樹脂に導電性酸化スズ超微粒子及び粒径約0.2
5μmの四フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものであ
る。具体的には、アンチモンをドーピングし低抵抗化し
た粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を樹脂に対して1
00質量%、更に四フッ化エチレン樹脂粒子を20質量
%、分散剤を1.2質量%分散したものである。このよ
うにして調製した塗工液をスプレー塗工法にて厚さ約
2.5μmに塗工し、光照射にて硬化させて電荷注入層
とした。
【0464】得られた感光体の表面の抵抗は5×1012
Ω・cm、感光体表面の水に対する接触角は102度で
あった。
【0465】(感光体製造例3)感光体製造例2の第5
層に、四フッ化エチレン樹脂粒子と分散剤を分散しなか
ったこと以外は、感光体製造例1と同様にして感光体を
作製した。これにより、感光体表面層の体積抵抗値は2
×1012Ω・cm、感光体表面の水に対する接触角は7
8度であった。
【0466】(感光体製造例4)感光体製造例1の第5
層において、アンチモンをドーピングし、低抵抗化した
粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を光硬化性のアクリ
ル樹脂100質量部に対して300質量部分散したもの
を加えたこと以外は、感光体製造例1と同様にして感光
体を作製した。この場合、感光体表面層の体積抵抗値は
2×107Ω・cm、感光体表面の水に対する接触角は
88度であった。
【0467】(感光体製造例5)感光体製造例1の第5
層(電荷注入層)を設けない、電荷輸送層を最外層とす
る4層構成の感光体とすること以外は、感光体製造例1
と同様にして感光体を作製した。この場合、感光体表面
層の体積抵抗値は1×1015Ω・cm、感光体表面の水
に対する接触角は73度であった。
【0468】次に、本発明の実施例に用いる帯電部材の
製造例について述べる。 (帯電部材の製造例1)直径6mm、264mmのSU
Sローラーを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性
粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処
方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さ
らに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材とし
て直径12mm、234mmの帯電ローラーを作製し
た。得られた帯電ローラーは、抵抗が105Ω・cmで
あり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。ま
た、この帯電ローラー表面を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、平均セル径は約100μmで、空隙率は60
%であった。
【0469】(帯電部材の製造例2)直径6mm、26
4mmのSUSローラーを芯金とし、芯金上に導電性ナ
イロン繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にス
パイラル状に巻き付けてロール状帯電ブラシを作製し
た。ナイロン繊維にカーボンブラックを分散させて抵抗
調整された、繊維の太さが6デニール(300デニール
/50フィラメント)、ブラシの繊維の長さは3mm、
ブラシ密度は1平方インチ当たり10万本で植毛された
物を用いた。得られた帯電ブラシロールの抵抗値は1×
107Ω・cmであった。
【0470】(実施例18)本実施例では、図5に示し
た現像兼クリーニング画像形成装置を用いた。本実施例
では、像担持体として感光体製造例2の感光体を用い、
帯電部材として帯電部材の製造例1の帯電ローラーを用
いた。
【0471】本実施例では、トナーカートリッジ内に1
20gのトナーAを充填して、2%カバレッジの300
0枚の間欠プリントにより、トナーカートリッジ内で磁
性トナー量が少なくなるまで使用した。転写材としては
75g/m2のA4コピー紙を用い、一枚間欠で100
0枚のプリントを行ったが現像性の低下は見られなかっ
た。
【0472】また、3000枚の間欠プリント後、帯電
ローラー22上で感光体21とのニップ部nに対応する
部分をテーピングし、観察したところ、微量の転写残ト
ナーが確認されるものの、ほぼ白色の酸化亜鉛粒子(導
電性微粉体3)で覆われており、介在量はおよそ3×1
5個/mm2であった。帯電部材と像担持体とのニップ
部に介在している転写残トナーを走査型顕微鏡で観察し
たところ、表面を非常に粒径が細かい導電性微粉体で固
着しているように覆われたような転写残トナーは観察さ
れなかった。
【0473】また、感光体21と帯電ローラー22との
ニップ部nに導電性微粉体mが存在した状態で、かつ導
電性微粉の抵抗が1500Ω・cmと十分に低いため
に、初期より3000枚の間欠プリント後まで帯電不良
に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が
得られた。
【0474】また、像担持体として感光体製造例2の最
表面層の体積抵抗が5×1012Ω・cmの感光体を用い
たことにより、静電潜像を維持することでシャープな輪
郭の文字画像が得られ、3000枚の間欠プリント後も
十分な帯電性が得られる直接注入帯電を実現ができる。
3000枚の間欠プリント後の直接注入帯電後感光体電
位は、印加帯電バイアス−700Vに対して−670V
であり、初期からの帯電性の低下は10Vと軽微であ
り、帯電性の低下による画像品質の低下は認められなか
った。
【0475】更に、像担持体の表面の水に対する接触角
が102度である感光体製造例2の感光体を用いたこと
とあいまって、転写効率は初期及び3000枚の間欠プ
リント後も非常に優れていた。転写後の感光体上に転写
残トナー量が少ないことを勘案しても、3000枚の間
欠プリント後の帯電ローラー2上での転写残トナーが微
量であったことと非画像部のカブリが少ないことより、
現像での転写残トナーの回収性が良好であったことが解
る。更に、3000枚の間欠プリント後も感光体上の傷
は軽微であり、この傷に対応して画像上に生じる画像欠
陥は実用上許容できるレベルに抑制されていた。
【0476】以下プリント画像の評価法について述べ
る。 (1)画像濃度 初期及び3000枚の間欠プリントアウトを終了した
後、2日放置して再び電源を入れた1枚目の画像濃度に
より評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」
(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地
部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し
た。
【0477】(2)画像カブリ 「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定した
プリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色
度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを
評価した。 A:非常に良好(1.5%未満) B:良好(1.5%以上乃至2.5%未満) C:普通(2.5%以上乃至4.0%未満) D:悪い(4%以上)
【0478】(3)転写性 転写性はベタ黒画像形成時の感光体上の転写残トナー
を、マイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、は
ぎ取ったマイラーテープを紙上に貼ったもののマクベス
濃度から、マイラーテープのみを紙上に貼ったもののマ
クベス濃度を差し引いた数値で評価した。 A:非常に良好(0.05未満) B:良好(0.05以上乃至0.1未満) C:普通(0.1以上乃至0.2未満) D:悪い(0.2以上)
【0479】(4)帯電性 初期及びプリントアウト試験終了後、一様帯電後の感光
体表面電位を現像器位置にセンサーを配置し測定し、そ
の差分により帯電性を評価した。差分がマイナスに大き
くなるほど帯電性の低下が大きいことを示す。
【0480】(5)像担持体と帯電部材との当接部にお
ける導電性微粉体の介在量 感光体と帯電部材との当接部における導電性微粉体の介
在量を前述の方法で測定した。104〜5×105個/m
2の介在量が好ましい。
【0481】(6)感光体傷 プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の傷及び
傷へのトナーの固着の発生状況とプリントアウト画像へ
の影響を目視で評価した。 A:非常に良好(未発生) B:良好(わずかに傷の発生が見られるが、画像への影
響はない) C:普通(トナー固着や傷があるが、画像への影響は少
ない) D:悪い(傷に沿ってトナー固着が多く、縦スジ状の画
像欠陥を生じる) 結果を表5に示す。表5からわかるように本実施例では
良好な結果が得られた。
【0482】(実施例19〜21)実施例18で用いた
感光体製造例2の感光体の代わりに、感光体製造例3〜
5で得られた感光体を用いる以外は、実施例18と同様
に画出しテストを行った。結果を表5に示す。
【0483】感光体製造例3を用いた実施例19では、
実施例18と比較するとやや転写性に劣るものの良好な
画像が得られた。
【0484】感光体製造例4を用いた実施例20では、
実施例18と比較するとややトナー画像の輪郭のシャー
プさが劣るが、それ以外はほぼ良好な性能を示した。
【0485】感光体製造例5を用いた実施例21では、
実施例18と比較すると初期から帯電効率が悪く、印加
帯電バイアス電源−700Vに対し帯電後の感光体表面
電位は初期から−660Vとやや劣った。また、300
0枚の間欠プリントアウトを終了した後の感光体の傷が
実施例18よりも広い範囲でかつ深く入っていた。
【0486】(実施例22)実施例18で用いた帯電部
材製造例1の帯電部材の代わりに、帯電部材製造例2で
得られたブラシ帯電部材を用いる以外は、実施例18と
同様に画出しテストを行った(図6)。結果を表5に示
す。実施例18と比較すると感光体と帯電部材との当接
部における導電性微粉体の介在量がやや少なく、帯電均
一性に劣るものの良好な画像が得られた。
【0487】(実施例23〜25)実施例18で用いた
トナーAの代わりに、表2及び表3に示すトナーB、
D、Kを用いる以外は、実施例18と同様に画出しテス
トを行った。結果を表5に示す。
【0488】(実施例26〜28)実施例18で用いた
トナーAの代わりにトナーE、F、H、を用いる以外は
実施例18と同様に行った。結果を表5に示す。
【0489】(実施例29〜32)実施例18で用いた
トナーAの代わりにトナーM、N、O、Pを用いる以外
は実施例18と同様に行った。結果を表5に示す。
【0490】(比較例5)実施例18で用いたトナーA
の代わりに、表2及び表3に示すトナーQを用いる以外
は、実施例18と同様に画出しテストを行った。結果を
表5に示す。トナーQを用いた比較例5は、実施例18
と比較すると初期から画像濃度がやや薄く、カブリや転
写残トナーも非常に多く許容できない画像であった。ま
た、100枚の間欠プリントで帯電ローラがトナーで汚
染され、著しい帯電不良が生じた。
【0491】(比較例6)実施例18で用いたトナーA
の代わりに、表2及び表3に示すトナーRを用いる以外
は、実施例18と同様に画出しテストを行った。結果を
表5に示す。トナーRを用いた比較例6は、実施例18
と比較すると初期の画像濃度がやや薄いが、カブリや転
写残トナーは実用上問題のない範囲であった。しかし、
耐久枚数を重ねるに従い、画像濃度は更に低下し、50
0枚の間欠プリントで帯電ローラがトナーで汚染され、
著しい帯電不良が生じた。
【0492】(比較例7)実施例18で用いたトナーA
の代わりに、表2及び表3に示すトナーSを用いる以外
は、実施例18と同様に画出しテストを行った。結果を
表5に示す。トナーSを用いた比較例7は、実施例18
と比較すると初期から画像濃度がやや薄く、カブリや転
写残トナーも非常に多く許容できない画像であった。ま
た、100枚の間欠プリントで帯電ローラがトナーで汚
染され、著しい帯電不良が生じた。
【0493】(比較例8)実施例18で用いたトナーA
の代わりに、表2及び表3に示すトナーTを用いる以外
は、実施例18と同様に画出しテストを行った。結果を
表5に示す。トナーTを用いた比較例8は、実施例18
と比較すると初期から画像濃度が明らかに低く、許容で
きない画像であった。また、耐久枚数を重ねるに従い、
画像濃度は更に低下すると同時に、ドラム上カブリや転
写残が徐々に増加し、1000枚の間欠プリントで帯電
ローラがトナーで汚染され著しい帯電不良が生じた。
【0494】
【表5】
【0495】
【発明の効果】本発明によれば、接触帯電方式の画像形
成法において、無機微粉体と導電性微粉体を表面に有す
る、磁性粉体が実質的に表面に露出しておらず、平均円
形度が0.960以上であり、結着樹脂の構成要素であ
る単量体に可溶なワックスと不溶なワックスを二種含有
している特殊な磁性トナーを用いることにより、高品位
で解像性の高く、カブリや転写性及び定着性の優れた画
像が得られる。
【0496】また、本発明のトナーを用いて接触帯電方
法及び磁性一成分現像方法から成る画像形成方法、及び
接触帯電方式、当接転写方式、トナーリサイクルプロセ
スの画像形成装置において、帯電部材への転写残トナー
への付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の
帯電を良好に行わせ、長期にわたる繰り返し使用におい
ても、トナーカートリッジ内で磁性トナー量が少なくな
るまで使用された際においても良好な画像を安定して得
ることができる。
【0497】また、帯電部材として簡易な部材を用い
て、帯電部材の転写残トナーによる汚染にかかわらず、
低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安
定に維持させることができ、均一な帯電性を与えること
が出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害
等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得る
ことができる。
【0498】更に、導電性微粉体を帯電部材と像担持体
とのニップ部に介在させることにより、長期の繰り返し
使用にわたる像担持体上の傷を大幅に減少でき、画像上
の画像欠陥を抑制することができる。
【0499】また、本発明によれば、前工程の転写残ト
ナーを回収する現像工程を用いることにより、廃トナー
量を大幅に減らすことができ、低コストで装置の小型化
に有利な現像兼クリーニング画像形成方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を実現する画像形成装置
の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す現像器を示す図である。
【図3】本発明の画像形成方法に用いられる像担持体の
一例を示す概略図である。
【図4】本発明の画像形成方法における転写工程で用い
られる転写ローラーの一例を示す図である。
【図5】本発明の画像形成方法において現像兼クリーニ
ング画像形成方法を実現する画像形成装置の一例を示す
概略図である。
【図6】本発明の実施例で用いられる現像兼クリーニン
グ画像形成方法を実現する、ブラシ帯電器を有する画像
形成装置の一例を示す概略図である。
【図7】電子写真法における接触帯電の帯電効率例を表
したグラフである。
【図8】本発明の画像形成方法に用いられる像担持体の
他の例を示す層構成模型図である。
【符号の説明】
11 アルミニウム基体 12 導電層 13 正電荷注入防止層 14 電荷発生層 15 電荷輸送層 16 電荷注入層 16a 導電粒子(導電フィラー) 21、100 感光体(像担持体) 22、117 帯電ローラー(帯電部材) 22a、34a 芯金 22’ ブラシ帯電部材(帯電部材) 23 レーザービームスキャナ 24 現像装置 24a、102 現像スリーブ(トナー担持体) 24b、141 攪拌部材 24c、103 弾性ブレード 25 転写ローラー 26 定着装置 26a ヒータ 26b 定着フィルム 26c 加圧ローラ 27 プロセスカートリッジ 28 カートリッジ保持部材 34、114 転写ローラー 34b 導電性弾性層 35 転写バイアス電源 104 マグネットローラー 116 クリーナ 121 レーザー発生装置 123 レーザー光 124 レジスタローラー 125 搬送ベルト 126 定着器 140 現像器 P 転写材(記録媒体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 374 G03G 9/08 375 375 15/02 101 9/087 15/06 101 15/02 101 15/08 506A 15/06 101 9/08 101 15/08 506 384 507 15/08 507B (72)発明者 河本 恵司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 馬籠 道久 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 橋本 昭 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 千葉 建彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2H003 BB11 CC05 CC06 DD03 2H005 AA02 AA06 AA08 AA15 AB06 CA12 CA13 CA14 CA26 CB07 CB13 DA07 DA09 EA01 EA02 EA03 EA05 EA07 2H068 AA05 AA06 AA08 BB03 BB31 BB33 CA37 FC01 FC08 FC11 FC15 2H073 BA03 BA13 BA43 CA02 2H077 AA37 AC16 AD06 AD36 BA07 EA13 EA16 GA03

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 像担持体とニップ部を形成して接触する
    帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電さ
    せる帯電工程と、像担持体の帯電面に静電潜像として画
    像情報を書き込む潜像形成工程と、トナー担持体上に担
    持させた磁性トナーにより該静電潜像を現像しトナー像
    とする現像工程と、そのトナー像を記録媒体に転写する
    転写工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、 前記磁性トナーが、少なくとも結着樹脂、ワックス、及
    び磁性粉体を含むトナー粒子と、無機微粉体と、該トナ
    ー粒子よりも小さい平均粒径を有する導電性微粉体とを
    有し、平均円形度が0.960以上であり、該磁性粉体
    がトナー粒子表面に実質上露出していないトナーであ
    り、また該ワックスは少なくとも結着樹脂の構成要素で
    ある単量体に可溶なワックスと不溶なワックスとの少な
    くとも二種類を含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 前記磁性トナーの円形度が0.970以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方
    法。
  3. 【請求項3】 透過型電子顕微鏡を用いた磁性トナーの
    断面観察において、前記磁性トナーの投影面積円相当径
    をCとし、前記磁性粉体と前記トナー粒子表面との最小
    の距離の最小値をDとしたときに、D/C≦0.02の
    関係を満たすトナー粒子の個数が50%以上であること
    を特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 前記磁性トナーが、前記ワックスを総量
    で結着樹脂に対し0.5〜50質量%含有することを特
    徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 結着樹脂100質量部に対して可溶ワッ
    クス成分量の含有量をE質量部、不溶ワックス成分量を
    F質量部としたとき、前記ワックスが該トナー中に0.
    5≦E/F≦100の範囲で含有されていることを特徴
    とする請求項1に記載の画像形成方法。
  6. 【請求項6】 前記可溶なワックスが、エステルワック
    ス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
    ス、これらのワックス酸化物及び誘導体ワックスを含む
    群の中より選択されるワックスであることを特徴とする
    請求項1に記載の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 前記不溶なワックスが、ポリオレフィン
    ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、モンタ
    ンワックス、これらのワックスの酸化物及び誘導体ワッ
    クスを含む群の中より選択されるワックスであることを
    特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 前記ワックスの示差熱分析による吸熱ピ
    ークが45℃〜150℃の範囲に少なくとも一つ以上あ
    ることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
  9. 【請求項9】 前記磁性トナーのモード円形度が0.9
    9以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形
    成方法。
  10. 【請求項10】 前記磁性トナー中のトナー粒子の一部
    又は全体が重合法によって得られることを特徴とする請
    求項1に記載の画像形成方法。
  11. 【請求項11】 前記磁性トナーは、磁場79.6kA
    /mにおける磁化の強さが10〜50Am2/kgであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  12. 【請求項12】 前記無機微粉体は、平均一次粒径4〜
    80nmであることを特徴とする請求項1に記載の画像
    形成方法。
  13. 【請求項13】 前記無機微粉体が、平均一次粒径4〜
    80nmのシリカ、酸化チタン、アルミナ、及びその複
    酸化物から選ばれる少なくとも一種の無機微粉体を含有
    することを特徴とする請求項12に記載の画像形成方
    法。
  14. 【請求項14】 前記無機微粉体が疎水化処理されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  15. 【請求項15】 前記無機微粉体が、少なくともシリコ
    ーンオイルで疎水化処理されていることを特徴とする請
    求項14に記載の画像形成方法。
  16. 【請求項16】 前記無機微粉体が、少なくともシラン
    化合物及びシリコーンオイルで処理されていることを特
    徴とする請求項15に記載の画像形成方法。
  17. 【請求項17】 前記導電性微粉体は、抵抗が109Ω
    ・cm以下である非磁性導電性微粉体であり、磁性トナ
    ー中の含有量が磁性トナー全体に対し0.2〜10質量
    %であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方
    法。
  18. 【請求項18】 前記導電性微粉体は、抵抗が106Ω
    ・cm以下である非磁性導電性微粉体であることを特徴
    とする請求項17に記載の画像形成方法。
  19. 【請求項19】 前記帯電工程は、前記帯電部材と前記
    像担持体とのニップ部に103個/mm2以上の導電性微
    粉体が介在した状態で像担持体を帯電させる工程である
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  20. 【請求項20】 前記帯電工程は、ニップ部を形成する
    前記帯電部材の表面と前記像担持体の表面が相対的速度
    差を有しつつ移動して像担持体を帯電させる工程である
    ことを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
  21. 【請求項21】 前記帯電工程は、前記帯電部材の表面
    と前記像担持体の表面が互いに逆方向に移動しつつ像担
    持体を帯電させる工程であること特徴とする請求項20
    に記載の画像形成方法。
  22. 【請求項22】 前記帯電工程は、アスカーC硬度が5
    0度以下のローラー部材に電圧を印加することにより像
    担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項
    19乃至21のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  23. 【請求項23】 前記帯電工程は、抵抗が103Ω・c
    m以上108Ω・cm以下のローラー部材に電圧を印加
    することにより像担持体を帯電させる工程であることを
    特徴とする請求項22に記載の画像形成方法。
  24. 【請求項24】 前記帯電工程は、ローラー部材が球形
    換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを少な
    くとも表面に有しており、該窪みを空隙部としたローラ
    ー部材表面の空隙率が15〜90%であることを特徴と
    する請求項23に記載の画像形成方法。
  25. 【請求項25】 前記帯電工程は、導電性を有するブラ
    シ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させ
    る工程であることを特徴とする請求項19乃至21のい
    ずれか一項に記載の画像形成方法。
  26. 【請求項26】 前記帯電工程は、直流電圧、または直
    流印加における放電開始電圧をVthとしたときに2×
    Vth(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直
    流電圧に重畳した電圧を帯電部材に印加することにより
    像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求
    項19乃至25のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  27. 【請求項27】 前記帯電工程は、直流電圧、または直
    流印加における放電開始電圧をVthとしたときにVt
    h(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電
    圧に重畳した電圧を帯電部材に印加することにより、実
    質的に放電現象を伴うことなく像担持体を帯電させる工
    程であることを特徴とする請求項19乃至26のいずれ
    か一項に記載の画像形成方法。
  28. 【請求項28】 前記像担持体の最表面層の体積抵抗が
    1×109Ω・cm以上1×1014Ω・cm以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  29. 【請求項29】 前記像担持体の最表面層が、少なくと
    も金属酸化物を含む導電性微粒子が分散された樹脂層で
    あることを特徴とする請求項28に記載の画像形成方
    法。
  30. 【請求項30】 前記像担持体の表面の水に対する接触
    角が85度以上であることを特徴とする請求項28また
    は29に記載の画像形成方法。
  31. 【請求項31】 前記像担持体の最表面層が、少なくと
    もフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂及びポリオレフィン
    系樹脂から選ばれる滑剤微粒子が分散された層であるこ
    とを特徴とする請求項30に記載の画像形成方法。
  32. 【請求項32】 前記像担持体が光導電性物質を利用し
    た感光体であることを特徴とする請求項28乃至31の
    いずれか一項に記載の画像形成方法。
  33. 【請求項33】 前記潜像形成工程は、像露光により像
    担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む工
    程であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方
    法。
  34. 【請求項34】 前記現像工程が、トナー像を記録媒体
    上に転写した後に像担持体に残留した磁性トナーを回収
    するクリーニング工程を兼ねていることを特徴とする請
    求項1に記載の画像形成方法。
  35. 【請求項35】 前記現像工程は、トナー担持体上に5
    〜30g/m2のトナー層を形成し、トナー層からトナ
    ーを像担持体に転移させ静電潜像を現像する工程である
    ことを特徴とする請求項1または34に記載の画像形成
    方法。
  36. 【請求項36】 前記現像工程は、像担持体とトナー担
    持体との間隙が100〜1000μmであることを特徴
    とする請求項34または35に記載の画像形成方法。
  37. 【請求項37】 前記現像工程は、像担持体とトナー担
    持体との間隙よりも小さな層厚のトナー層をトナー担持
    体上に形成し、該トナー層からトナーを像担持体に転移
    させ静電潜像を現像する工程であることを特徴とする請
    求項34乃至36のいずれか一項に記載の画像形成方
    法。
  38. 【請求項38】 前記現像工程は、トナーを担持するト
    ナー担持体と像担持体との間に少なくとも交番電圧を現
    像バイアスとして印加して像担持体の静電潜像をトナー
    によって現像する工程であり、該交番電界はピーク間の
    電界強度で3×106〜1×107V/m、周波数100
    〜5000Hzであることを特徴とする請求項34乃至
    37のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  39. 【請求項39】 前記転写工程は、転写部材が転写時に
    記録媒体を像担持体に当接させ、像担持体上のトナー像
    を記録媒体に転写する工程であることを特徴とする請求
    項1に記載の画像形成方法。
  40. 【請求項40】 磁性トナー中に含まれる導電性微粉体
    が、現像工程で像担持体に付着し、転写工程の後も像担
    持体上に残留して運ばれ、前記帯電工程に於いて少なく
    とも帯電部材と像担持体のニップ部及びその近傍の少な
    くともいずれかに存在することを特徴とする請求項1に
    記載の画像形成方法。
  41. 【請求項41】 請求項1乃至40のいずれか一項に記
    載の画像形成方法に用いられる磁性トナーであって、 前記磁性トナーが、少なくとも結着樹脂、ワックス、及
    び磁性粉体を含むトナー粒子と、無機微粉体と、該トナ
    ー粒子よりも小さい平均粒径を有する導電性微粉体とを
    有し、平均円形度が0.960以上であり、該磁性粉体
    がトナー粒子表面に実質上露出していないトナーであ
    り、また該ワックスは少なくとも結着樹脂の構成要素で
    ある単量体に可溶なワックスと不溶なワックスとの少な
    くとも二種類を含むことを特徴とする磁性トナー。
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