JP4357751B2 - ガスタービンシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン排熱を用いてガスタービン燃料を水素含有ガスに変換する改質器及び当該改質器を備えるガスタービンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素から水素リッチなガスを生成するための水蒸気改質反応は、従来より良く知られている。例えば、天然ガスの主成分であるメタンは、式(1)及び式(2)の反応により、水素を含むガスに転換され得る。
【0003】
【数1】
式(1)の反応は、水蒸気改質反応と呼ばれる吸熱反応であり、数気圧程度の低い圧力であれば、600℃程度の温度でも50%程度が転化する。一方、式(2)の反応は、水性ガスシフト反応と呼ばれる反応である。
【0004】
例えば特開2000−80927号に開示されているように、式(1)及び式(2)の反応を利用すると、図15に示すようなガスタービン排熱回収発電システムを構成することができる。図15のシステムにおいて、水1は、蒸発器102によって水蒸気3とされた後、ガスタービン燃料4と混合されて、改質器105へ導入される。改質器105では、タービン排ガス6の熱によって式(1)及び式(2)の反応が発生し、改質されたガス10b(水素含有ガス)が燃焼器107へ導入される。
【0005】
ここで、式(1)及び式(2)の反応は、吸熱反応であるが、タービン排ガス6の熱が利用される。このため、システムの効率が向上されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
改質反応のために排熱を利用する従来のシステムにおいては、以下のような技術的課題がある。
【0007】
まず、ガスタービンの排熱利用の効率についての課題である。この課題は、最も優先すべき課題である。排熱の利用(回収)は、一般に、タービン排ガスと燃料ガス(改質前のガスタービン燃料と水蒸気との混合ガス、あるいは、改質後の水素含有ガス)との熱交換によってなされる。ここで、排熱回収量は、ガスと隔壁との間の熱伝達の程度や、改質用触媒との接触熱抵抗等によって影響される。例えば、改質用触媒との接触熱抵抗が小さいほど排熱回収量が多くなり、改質器自体もコンパクトにできる。
【0008】
また、ガスと隔壁の間の熱伝達は、タービン排ガスの流速に大きく影響を受ける。例えば、流速が大きいほど伝熱係数は大きくなる。しかし、流速が大きいと圧力損失も同時に大きくなる。圧力損失が大きいと、タービンの膨張に影響を与え、システムの効率を下げる。従って、伝熱係数と圧力損失とのバランスについて留意すべきである。
【0009】
また、ガスと隔壁の間の熱伝達は、燃料ガスの圧力にも影響を受ける。従って、必要に応じて燃料ガスを昇圧すべきであるが、その場合にも、伝熱係数と圧力損失とのバランスについて留意すべきである。
【0010】
また、タービン排ガスと燃料ガスとを区画する熱交換のための隔壁は、燃焼器の圧力(燃料ガスの圧力)とタービン出口の圧力(タービン排ガスの圧力)との圧力差に耐える必要がある。
【0011】
さらに、触媒の活性および耐熱性の両立も課題である。多くの水蒸気改質用の触媒は、ニッケルをアルミナなどに担持させたものが多いが、一般的に低温での活性を高くするためには、ニッケル量を多くする必要がある。しかし、500℃を超えるような温度域では、ニッケル量の多い触媒は、シンタリングなどの粒成長が進行し、耐熱性及び耐久性に問題が生じる。
【0012】
従来のシステムは、以上の各課題について未だに十分な解決策を提示していない。本発明は、このような点を考慮し、安価で、効率を最大限に引き出すガスタービンシステムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料ガスが供給される管状流路と、管状流路内に充填された改質用触媒と、管状流路の周囲を取り囲むダクトと、を有する改質器と、改質器に接続され、改質された燃料ガスを燃焼させるガスタービンと、ガスタービンの排ガスをダクト内に供給する排ガス管と、を備え、前記触媒は、2種類以上の充填密度、あるいは、2種類以上の触媒粒径、あるいは、2種類以上の触媒粒形状を有していることを特徴とするガスタービンシステムである。
【0014】
本発明によれば、タービン排ガスと燃料ガスとを区画する熱交換のための隔壁が管状であるので、比較的高い強度を容易に実現することができる。また、ダクトの容量等を適宜に調製することによって、タービン排ガスの圧力損失を容易に低減することができる。これらの特徴により、安価かつ高効率なガスタービンシステムを提供することができる。また、前記触媒は、2種類以上の充填密度、あるいは、2種類以上の触媒粒径、あるいは、2種類以上の触媒粒形状を有しているため、触媒活性と耐熱性を両立させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガスタービンシステムを示す図である。図1に示すように、改質器5は、管8と、管8内に充填された触媒9と、管8の周囲を取り囲むダクト11と、を有している。タービン排ガス6は、排ガス管5aを介してダクト11内に導入され、ダクト11の中で、管8の外側を通過するようになっている。これにより、ガスタービン7からのタービン排ガス6は、管8の内部を触媒9に接触しながら通過する燃料ガス10a、例えばガスタービン用燃料と水蒸気との混合ガス、に熱を与える。これにより、燃料ガス10aは、前記の式(1)及び式(2)の反応によって水素含有ガス10bへと転化する。
【0016】
なお、本実施の形態の改質前の燃料ガス10aは、例えば、従来と略同様に、水1が蒸発器2によって水蒸気3とされた後、ガスタービン燃料4と混合されて生成される。
【0017】
タービン排ガス6は、流量が多く、圧力損失がタービン出力に顕著に影響する。従って、なるべく圧力損失(抵抗)を小さくする必要がある。しかし、圧力損失を低減させるためにタービン排ガス6の流速を落とすと、燃料ガス10a(あるいは改質後の水素含有ガス10b)との熱抵抗が大きくなり、ガスタービンシステムの効率向上及び出力向上があまり望めなくなる。従って、改質器の構成は、タービン排ガス6の圧力損失と伝熱性とのバランスを最も考慮して設計される必要がある。
【0018】
本実施の形態のような改質器5は、各部の設計自由度が高く、タービン排ガス6の圧力損失を許容範囲内としながら伝熱性を最大限に引き出すような設計が容易である。すなわち、本実施の形態の改質器5を具備するガスタービンシステムは、高効率化と高出力化を容易に実現することができる。
【0019】
ここで、管8という形態は、燃焼器圧力とタービン排ガス圧力との差圧に対する強度を十分に確保できる形態である。なお、管8の断面は、図1では円形としたが、楕円や矩形でも効果に変わりはない。また、管の径や断面形状は1つの管において一定でなくてもよいし、管の外側にフィンがついていてもよい。また、管8は、図1では1本であるが、2本以上並置されても構わない。
【0020】
なお、触媒9は、耐熱性と低温活性とを留意して選定されることが好ましい。例えば、触媒9の金属元素としては、ニッケル、クロム、マンガン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ルテニウム、パラジウム、白金が適当である。また、触媒9の担持体としては、マグネシア、シリカ、アルミナ、ジルコニアを用いることが適当である。
【0021】
本実施の形態によれば、改質反応がスムーズに進行し、システムの効率や出力が向上するだけでなく、耐久性も向上したガスタービンシステムを提供することができる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施の形態について図2を用いて説明する。図2に示すように、本実施の形態の改質器5は、改質前燃料ガス10aあるいは改質後水素含有ガス10bが流通する複数の管8a及び8bと、管8a及び8bの各両端部をそれぞれ束ねるヘッダ空間12a及び12bと、を備えている。
【0023】
図2に示すように、上方のヘッダ空間12aは仕切板13(水素透過膜等によって構成され得る)によって奥側と手前側とに分離されている。そして、管8a及び8bは、上下方向に平行に配置されており、仕切板13に対して奥側に配置された管8aには低温活性触媒9aが充填されており、仕切板13に対して手前側に配置された管8bには高温活性触媒9bが充填されている。また、ヘッダ空間12aの奥側には配管14aが接続され、ヘッダ空間12aの手前側には配管14bが接続されている。配管14aは、改質前の燃料ガス10aが導入される管である。図2の場合、低温活性触媒9aが、ヘッダ空間12aの奥側にも充填されている。
【0024】
以上のような管配置によって、図2に示すように、改質前の燃料ガスについて、配管14a→ヘッダ空間12aの奥側→管8a(下降する)→ヘッダ空間12b→管8b(上昇する)→ヘッダ空間12aの手前側→配管14bという流路が形成される。
【0025】
タービン排ガス6は、図2の手前側からダクト11内に案内されて管8a及び8bの周囲を通過し、燃料ガス10aとの間で熱交換を行う。具体的には、ダクト11内に導入される時に600℃程度の温度であるタービン排ガス6は、改質反応に熱を奪われて温度を下げ、500℃程度になる。
【0026】
一方、改質前の燃料ガス10aについては、前記流路を通過する間に改質反応が進行して水素や二酸化炭素が生成され、水素含有ガス10bへと変化し、温度も徐々に上昇する。改質前燃料ガス10aのヘッダ12aの入口での温度が、例えば150℃である場合、ヘッダ12bに到達する時には450℃程度に上昇している。この時、管8a内での触媒温度は、500℃以下である。従って、低温活性触媒9aが有効に作用し、500℃以下の温度でも水素含有ガスへの転化が促進される。また、管8b内での触媒温度は、配置の関係からタービン排ガス6の入口温度600℃に近くなる。従って、高温用触媒9bが有効に作用する一方、耐熱性が向上されている。
【0027】
本実施の形態によれば、低温活性を犠牲にすることなく、耐熱性も向上した改質器及びガスタービンシステムを提供することができる。
【0028】
次に、本発明の第3の実施の形態について図3を用いて説明する。図3に示す改質器5では、平行に配置された管8の群が、奥側(右側)から手前側(左側)に3段に分離された構成となっている。各段を構成する管群15は、3行×12列となっている。
【0029】
また、ヘッダ空間12a及び12bの各々が仕切板13a及び13bを有している。この場合、ヘッダ空間12aの仕切板13aは、最も奥側の管群15と中間の管群15との間に設けられており、ヘッダ空間12bの仕切板13bは、最も手前側の管群15と中間の管群15との間に設けられている。
【0030】
そして、配管14bが、ヘッダ空間12aではなく、ヘッダ空間12bの仕切板13bに対する手前側に設けられている。
【0031】
以上のような管配置によって、図3に示すように、改質前の燃料ガス10aについて、配管14a→ヘッダ空間12aの奥側→管8(下降する)→ヘッダ空間12bの奥側及び中間側→管8(上昇する)→ヘッダ空間12aの中間側及び手前側→管8(下降する)→ヘッダ空間12bの手前側→配管14bという流路が形成される。
【0032】
その他の構成は、図2を用いて説明した第2の実施の形態と略同様である。第2の実施の形態と同様の部材には同様の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施の形態によっても、低温活性を犠牲にすることなく、耐熱性も向上した改質器及びガスタービンシステムを有効に提供することができる。
【0034】
特に本実施の形態では、流路全般にわたって、加熱源のタービン排ガス6と燃料ガス10aの温度差を大きくとることができる。従って、交換熱量が多くなり、水素含有ガス10bへの転化率が高い。なお、本実施の形態のように、タービン排ガス6と燃料ガス10a(あるいは水蒸気水素含有ガス10b)との流通方向は、少なくとも部分的に対向していることが好ましい。
【0035】
なお、管群15は、例えば4行×16列であってもよいし、管群の組合せは、例えば5段であってもよい。管群15の配置態様は、自由に設計することができる。
【0036】
ここで、管群15の配置態様を設計するにあたって、水素含有ガス10bの充填触媒層による圧力損失とタービン排ガスの圧力損失との両者を考慮する必要がある。充填層内での圧力損失Δpは、Ergunによって式(3)によって与えられている。
【0037】
【数2】
ここで、ηは粘性、dp は充填粒子の等価直径、εは空隙率、ρは密度、uは流速、Lは充填層長さ、をそれぞれ示す。式(3)によれば、圧力損失は、流速の影響を大きく受けることがわかる。
【0038】
また、管壁を介して充填層内部に熱を伝えるのは、主に半径方向の熱伝導である。充填層内部の熱伝導率については、矢木、国井らによって、式(4)として与えられ得る。
【0039】
【数3】
ここで、λg は気体の熱伝導率、λe0は流体静止時の有効熱伝導率、Prはプラントル数、Rep は粒径を代表長さとするレイノルズ数、をそれぞれ示す。式(4)は、流速が大きければ伝熱性が向上することを示している。
【0040】
一方、タービン排ガスの圧力損失も、式(5)に示すように、タービン排ガスの流速uの2乗及び管行数nに比例する。また、式(6)に示すように、タービン排ガスと管壁との熱伝達率は、タービン排ガスの通過流速に大きく依存し、流速が大きいと熱伝達率も大きくなる。
【0041】
【数4】
つまり、式(3)〜式(6)に示した水素含有ガス10b及びタービン排ガス6の伝熱及び圧力損失という4つの項目を、全て考慮に入れる必要がある。そのためには、本実施の形態のような構成が、設計の自由度やコスト等の観点から、有効な解決方法の1つであると言える。
【0042】
なお、改質の反応速度を考慮し、改質器容積がなるべく小さく、かつ、出口での転化率ができるだけ高くなるように設定することがことが好ましい。
【0043】
ここで、具体的な例として、図4(a)及び図4(b)に示すような2タイプの8列構成の改質器を考える。ここで、改質前の燃料ガスの流量が同じであれば、1行の管束が8段である改質器(図4(b))は、8行の管束が1段である改質器(図4(a))よりも、管内部の伝熱性について優る一方、圧力損失は格段に大きくなってしまう。
【0044】
次に、図5を用いて、別の具体例について説明する。図5(a)の例は、管束3行の3段構成となっている。
【0045】
ここで、図5(a)の構成において、水素含有ガス10bへの転化率及び温度が低かったと仮定する。この場合、管内の流速を上げれば管内への入熱量が多くなるので、図5(c)に示すように、管束2行の4段構成に変形し、ヘッダ12aの総断面積を小さくして、管内流速を大きくすることが有効となる。
【0046】
一方、図5(a)の構成において、水素含有ガス10bの圧力損失が大きかったと仮定する。この場合、図5(b)に示すように、管束4行の2段構成に変形すれば、管内の流速が小さくなるので、圧力損失も小さくなる。
【0047】
以上のように、管束の行数及び段数を変えることにより、あらゆる条件下において、圧力損失及び伝熱特性を適宜のバランスに調製した改質器を提供することができる。
【0048】
次に、本発明の第4の実施の形態について図6及び図7を用いて説明する。図6は、2行4段で構成された改質器5を示している。この場合、タービン排ガス6は、図6の左方から右方へ流れ、水素含有ガス10b(あるいは改質前の燃料ガス10a)は、ヘッダ12aと12bを上下に往復しつつ、領域A〜領域Dを順に流れる。
【0049】
図7は、各領域A〜Dについてのタービン排ガス6の温度、水素含有ガス10b(あるいは改質前の燃料ガス10a)の温度及び改質の反応速度を示すグラフである。図7に示すように、水素含有ガス10bの温度は、タービン排ガス6の温度との差が大きい領域A及び領域Bにおいては急激に上昇するが、温度差が縮まる領域C及び領域Dにおいては上昇速度が鈍る。
【0050】
一方、改質の反応速度については、水素含有ガス10bの温度が低い領域A及び領域Bのあたりでは比較的低く、水素含有ガス10bの温度の上昇とともに領域C及び領域Dでは急激に上昇する。すなわち、入口から領域Aまで、及び、領域Aから領域Bまでの温度の低い触媒充填層は、反応に寄与せず、単なる予熱部としてしか機能していない。従って、これらの部分の触媒充填層について、触媒を省いたり、反応性は犠牲にしても圧損の少ない触媒を用いたり、充填密度を下げたり、あるいは、アルミナボール等のダミー触媒を充填したりすることで、圧力損失を小さくして全体のシステム効率を上昇させることが可能となる。
【0051】
ここで、管8の径と触媒9の粒径との関係について説明する。図8(a)及び図8(b)は、触媒9の粒径の一例と管8の径の一例とを略同尺比で示した図である。
【0052】
管8には触媒9が充填される。この充填の空隙率が小さいほど、単位体積あたりの触媒量は多くなる。この場合、触媒9の反応寄与量は当然に増大するが、管8における触媒充填層による圧力損失が問題となり得る。
【0053】
式(3)に示した充填層管内の圧力損失Δpは、空隙率に大きく影響され、空隙率が大きくなると圧力損失は顕著に小さくなる。一方、式(4)に示した重点層内部の熱伝導率は、空隙率に大きく依存し、空隙率が大きくなると、有効率伝導率λe は小さくなる。
【0054】
図9は、6種類の様々な形状の触媒を外径25.4ミリの管に充填し、空隙率と触媒の等価直径との関係を示したグラフである。図9に示すように、触媒粒径が小さくなると、空隙率は小さくなる。また、粒径が大きくなると、空隙率は大きくなるが、一定値に近づく。式(3)、式(4)及び図9から、以下のことがわかる。
1.半径方向の伝熱を考慮すると、改質管径はあまり大きくできない。
2.圧力損失が大きくなるので、粒径をあまり細かくできない。
3.充填効率や反応速度に影響を与えるため、粒径をあまり大きくできない。
【0055】
以上の3点を併せて考えると、改質管8の直径と触媒9の粒径との比dt/dp(図8参照)が、3以上50以下程度である場合が好ましい。この場合に、前記の3点の問題が概ね許容範囲に収まって、改質器5が最適化され得る。
【0056】
次に、タービン排ガス6の圧力損失について説明する。タービン排ガス6は、ダクト11内に設置された改質管8の群を通過する際に圧力損失を生じる。管8間のピッチが狭いと、タービン排ガス6の流速は増大するが、式(5)に示すように、圧力損失も大きくなる。一方で、式(6)に示すように、タービン排ガス6と管8壁との熱伝達率は、流速が大きいほど大きくなる。
【0057】
本件発明者は、管8の中心間距離を管8の代表直径の1.1倍から3.0倍とした場合に、伝熱と圧力損失とを適切なバランス範囲に収めることができることを知見した。
【0058】
さらに、タービン排ガス6の圧力損失は、管8の行数nに比例して大きくなる。一方、改質前燃料ガス10a(または改質後水素含有ガス10b)の充填層での圧力損失は、式(3)に示すように、流速と長さとに依存する。流速を下げて圧力損失を小さくするには、1管束あたりの管群の本数を増やして総断面積を大きくすればよい。しかしながら、同じ列数で管群の行数nを増加させると、タービン排ガスの圧力損失が増大してしまう。
【0059】
管の列数は、タービン排ガス6の流路幅で決定される。従って、改質管8内の圧力損失及びタービン排ガス6側の圧力損失が燃料ガス10aの供給機器及びガスタービン7に与える負荷、更にはシステム効率に与える影響等から、管束の数は、1から20の間であることが好ましいことが知見された。
【0060】
次に、本発明の第5の実施の形態について図10を用いて説明する。図10は、第2の実施の形態の管8及び仕切板13の配置等を変更した実施の形態を示すものである。図10(a)は概略平面図、図10(b)は概略側断面図である。
【0061】
図10に示す改質器5では、平行に配置された管8の群が、右側から左側に3段に分離された構成となっている。各段を構成する管群15a〜15cは、それぞれ、2行×8列、3行×8列、4行×8列となっている。
【0062】
また、ヘッダ空間12a及び12bの各々が仕切板13a及び13bを有している。この場合、ヘッダ空間12aの仕切板13aは、右側の管群15aと中間の管群15bとの間に設けられており、ヘッダ空間12bの仕切板13bは、左側の管群15cと中間の管群15bとの間に設けられている。配管14bは、ヘッダ空間12bの仕切板13bに対する左側に設けられている。
【0063】
以上のような管配置によって、図10に示すように、改質前の燃料ガスについて、配管14a→ヘッダ空間12aの右側→管8(下降する)→ヘッダ空間12bの右側及び中間側→管8(上昇する)→ヘッダ空間12aの中間側及び左側→管8(下降する)→ヘッダ空間12bの左側→配管14bという流路が形成される。
【0064】
その他の構成は、図2を用いて説明した第2の実施の形態と略同様である。第2の実施の形態と同様の部材には同様の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0065】
本実施の形態によれば、燃料ガス10a(または10b)の温度が高くなって密度が小さくなることを考慮して、通過可能な管8の数が増えているため、流速が増大することなく、結果的に圧力損失があまり大きくならない。一方、温度を急速に上昇させたい低温域においては、ある程度の流速が確保されており、すなわち、管8内の熱伝達率が大きく保たれて伝熱性が確保されている。
【0066】
なお、本実施の形態の各管群15a〜15cは、それぞれ8の倍数の本数の管8から構成されているが、本実施の形態の主旨は各管群を構成する管8の本数が変化していることであり、特に8の倍数で規則正しく整列している必要は無い。
さらに、図10に示すように、本実施の形態の管8は円形断面で千鳥格子状に規則正しく配列されているが、管8の断面形状は不問であり、その配列も正方格子等であってよい。また、管8の中心間距離も、一定である必要はない。
【0067】
ここで、ガスタービン燃料における炭素分と水蒸気のモル比(スチームカーボン比、以下S/C)について説明する。一般に、S/Cが大きいほど式(1)及び式(2)の反応は水素生成側へ進行し、また、式(7)に示すように、式(1)及び式(2)の反応式によって生成される一酸化炭素からカーボン固体が析出するような反応も、S/Cが大きいほど生じにくいことが知られている。
【0068】
【数5】
しかし、S/Cが大きい場合、流量が多くなり、管内の圧力損失が非常に大きくなる。管内の圧力損失の増大がシステム効率を下げる影響と、ガスタービン燃料の転化率が上昇して再生される熱量が増大することと、水蒸気分のタービン作動ガスの増加によるタービン出力の増大でシステム効率が上昇することと、をすべて考慮に入れ、あらゆるシステムを検討した結果、本件発明者は、S/Cは2から7が適当であることを知見した。
【0069】
図11は、触媒Aを用い、温度490℃の条件下で、ガスタービン燃料をメタンとした場合で、メタン転化率が7.5%の時の反応速度の測定結果をS/Cとの関係で示したグラフである。図11に示すように、S/Cが約3.8の時に反応速度は最大となり、S/Cが3.8以上の状態よりも、反応の経過途中で一時的に反応速度は増大しないことがわかる。
【0070】
図12は、代表的な改質器5の例として、8段構成の改質器5を示している。図13は、S/C=5.0の場合について、図12における領域A〜領域Hについてのメタン転化率の推移を示している。図13によれば、入口に近い領域A及び領域Bでは、転化率が10%以下であり、入口のS/Cを3.8程度にしておけば、反応速度が大きくなって、転化率も高くなることが予想される。その後、領域C以後で水蒸気を加えることが好ましい。水蒸気を加えることによって、S/Cを変えることができる。
【0071】
例えば、予めS/Cを低く設定されたガスタービン燃料と水蒸気との混合ガス10aが、入口14aから導入され、1段目の管束を通過して、わずかながら水素を含んだ水素含有ガス10bに転化する。領域Aに達した水素含有ガス10bは、ヘッダ空間12bの中間部等に接続された水蒸気入口16(例えば図14に示すような形態が考えられる)から加えられる水蒸気3と混合され、S/Cを高められて、さらに領域B、領域C…へと流れる。S/Cの高くなった水素含有ガス10bは、更に反応速度が大きくなり、一気にガス温度の平衡転化率まで達する。この場合、水素含有ガスの1段目の流速は、蒸気が少ない分、2段目以降よりも小さいため、触媒充填層の圧力損失を小さくすることができる。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、タービン排ガスと燃料ガスとを区画する熱交換のための隔壁が管状であるので、比較的高い強度を容易に実現することができる。また、ダクトの容量等を適宜に調製することによって、タービン排ガスの圧力損失を容易に低減することができる。これらの特徴により、安価かつ高効率なガスタービンシステムを提供することができる。
【0073】
特に、2種類以上の触媒を用いれば、触媒活性と耐熱性を両立させることができる。
【0074】
また、触媒粒、管の配置(管群の構成)、段数などを最適化することにより、伝熱性をなるべく犠牲にすることなく圧力損失を低減した改質器を提供することができる。
【0075】
また、S/Cを適切な値に設定したり、S/Cを可変とすることで、圧力損失を押さえつつ反応速度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のガスタービンシステムを示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の改質器を示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の改質器を示す図。
【図4】改質器の変形例を示す図。
【図5】改質器の変形例を示す図。
【図6】本発明の第4の実施の形態の改質器を示す図。
【図7】タービン排気ガス温度等の推移を示す図。
【図8】管と触媒粒とを略同縮尺比で示す図。
【図9】空隙率と触媒粒径の関係を示すグラフ。
【図10】本発明の第5の実施の形態の改質器を示す図。
【図11】S/Cと反応速度との関係を示す図。
【図12】1行8段の改質器を示す図。
【図13】図12の改質器内でのメタン転化率の推移を示す図。
【図14】本発明の第6の実施の形態の改質器を示す図。
【図15】排熱を回収する従来のガスタービンシステムを示す図。
【符号の説明】
1 水
2 蒸発器
3 水蒸気
4 ガスタービン燃料
5 改質器
5a 排ガス管
6 タービン排ガス
7 燃焼器
8、8a、8b 管
9 触媒
9a 低温活性触媒
9b 高温用触媒
10a ガスタービン燃料および水蒸気混合ガス(改質前燃料ガス)
10b 水素含有ガス(改質後燃料ガス)
11 ダクト
12a、12b ヘッダ空間
13 仕切板(水素透過膜)
14a 入口配管
14b 出口配管
15a、15b、15c 管束
16 水蒸気追加口
Claims (4)
- 燃料ガスが供給される管状流路と、
管状流路内に充填された改質用触媒と、
管状流路の周囲を取り囲むダクトと、
を有する改質器と、
改質器に接続され、改質された燃料ガスを燃焼させるガスタービンと、
ガスタービンの排ガスをダクト内に供給する排ガス管と、
を備え、
前記触媒は、2種類以上の充填密度、あるいは、2種類以上の触媒粒径、あるいは、2種類以上の触媒粒形状を有している
ことを特徴とするガスタービンシステム。 - 前記改質用触媒は、ニッケル、クロム、マンガン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ルテニウム、パラジウム、白金、マグネシア、シリカ、アルミナ、ジルコニアの少なくとも1つ以上を含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービンシステム。 - 前記管状流路は、複数本が並列に設けられて管群を構成していることを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービンシステム。
- 燃料ガスは、炭化水素ガスと水蒸気ガスとの混合ガスである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスタービンシステム。
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