JP4356907B2 - イソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法およびその分解回収設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば化学プラントで廃棄されている蒸留残渣として得られるようなイソシアネート系化合物を、高圧高温水と接触させて分解処理し、このイソシアネート系化合物の原料化合物またはその誘導体として回収することによって再利用可能とするイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法およびその分解回収設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学プラントにおいて種々の化学製品を工業的に合成する場合、目的物以外の副生成物が生成したり、未反応物が残存することは良く知られている。例えば重合反応プラントでは、反応槽内の生成ポリマーと未反応モノマーを分離する装置が必須的に設けられており、一般的には、回収された未反応モノマーは重合反応原料として再利用される。重合反応の場合、オリゴマー等の多量体が副生することも知られているが、多量体がポリマー中に残存していると、目的とする特性が得られなかったり、経時的に特性が悪化するといった弊害があるため、多量体の分離除去工程が行われることが多い。未反応モノマーは原料供給ラインへ組み込むだけで再利用が可能であるが、多量体は当然ながらモノマーと同一に扱うことはできないため、専ら焼却処理や廃棄処理が行われる程度である。
【0003】
また重合反応プラントではなく、低分子化合物を合成する化学プラントにおいても、副反応生成物や、目的化合物の二量体や三量体等の多量体が生成し、これらの副生成物や多量体を目的化合物から例えば蒸留等の方法で分離する必要がある。低分子化合物の場合、副生成物の分離は比較的容易であるが、多量体と目的化合物の分離は難しいことが多いため、結局、蒸留残渣等の廃棄物には多量体と目的化合物が多く含まれることになる。これらの廃棄物を有効利用する方法はほとんどなく、焼却・廃棄処理が施されるのみであるため、省資源の観点から問題視されていた。
【0004】
一方近年になって、高圧高温水中での加水分解や酸化反応を利用して、廃棄物を無害化したり、有効利用可能な生成物を得る試みがなされている。例えば、特表平3−500264号には、排液系廃棄物を超(または亜)臨界状態での酸化反応を利用して無害化する方法が、また特開平5−31000号には種々の高分子化合物を超臨界または亜臨界状態の水を用いて加水分解する方法が、さらに特公平3−16328号や特開平5−271328号には廃ポリエチレンテレフタレートから純テレフタル酸およびグリコールを得る方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特表平3−500264号の技術は、無害化方法としては重要であるが酸化反応を伴うために得られる物質の有用性に問題があり、またその他の公報には、オリゴマーや二量体以上の多量体等を含む化合物を効率的に分解回収する方法や装置についての言及はなされていない。
【0006】
他方、海外においては、英国公報991387、同1047101、米国特許3225094、同4137266等に、イソシアネート系化合物を分解し、アミン化合物として回収する方法が開示されているが、これらはいずれも回分式の方法であって、バッチ替えの際の冷却・昇温あるいは減圧・昇圧のために莫大なエネルギーが必要であり、設備の規模の点から、処理量にも限度があって、工業的に適した方法とは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明では、これまで焼却や廃棄処理する以外に利用方法のなかった化学プラント内廃棄物の中でも、イソシアネート系化合物の製造ラインで副生成するイソシアネート系化合物の多量体やその他の副生成物を分解対象化合物として選択し、このイソシアネート系分解対象化合物を、出発原料化合物や、中間原料となるその誘導体として分解回収して、有効再利用することができるように、連続的な分解処理方法を確立することを課題として掲げたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法は、分解対象化合物に高圧高温水を接触させることにより前記分解対象化合物を分解し、該分解対象化合物の原料またはその誘導体として回収する方法であって、
少なくとも1個のイソシアネート基またはイソシアネート基から誘導された基を有するイソシアネート系化合物を分解対象化合物とし、
このイソシアネート系分解対象化合物を溶融状態または溶液状態で反応器に連続的に供給すると共に、高圧高温水を前記反応器へ連続的に供給し、反応器内の温度を190〜300℃にして分解反応を行うところに要旨を有する。この温度範囲で反応を行うことにより、分解を速やかに高効率で行うことができる。
【0009】
また、反応器での分解反応の後の工程として、脱水工程と、精製工程を経ることにより、イソシアネート系分解対象化合物の原料またはその誘導体を回収する方法を採用すると、分解反応後に得られた目的物を高効率で回収することができる。
【0010】
反応器内におけるイソシアネート系分解対象化合物の重量に対する高圧高温水の重量を0.5〜5.0倍とすること、イソシアネート系分解対象化合物を120〜180℃の溶融状態、またはイソシアネート系分解対象化合物を溶媒に溶解させた溶液状態で反応器に供給することは、いずれも分解反応における好ましい実施態様である。
【0011】
さらに、脱水工程を240℃以下で行うこと、精製工程を250℃以下で行うことは、目的回収物の収率を上げるための好ましい実施態様である。脱水工程を220℃以下で行うと、より一層目的回収物の収率が向上する。
【0012】
本発明法を適用できる分解対象化合物としては、少なくとも1個のイソシアネート基またはイソシアネート基から誘導された基を有するイソシアネート系化合物であれば特に限定されないが、イソシアネート系化合物の製造工程において廃棄物として生産される蒸留残渣に適用することが好ましい。また、分解対象化合物の原料またはその誘導体として回収される化合物が、アミノ基を有するアミン化合物であると、イソシアネート系化合物の製造プラントにおける原料として利用できるので、製造プラントと本発明の分解回収設備を連続させることによって、極めて効率的にイソシアネート系化合物を製造することができる。
【0013】
本発明には、反応器と、イソシアネート系分解対象化合物を溶融状態または液体状態のまま前記反応器へ連続的に供給する手段と、前記反応器へ高圧高温水を供給する手段と、反応器から排出される分解反応生成物の脱水を行う脱水装置と、脱水後の分解反応生成物の精製を行う精製装置を備えるイソシアネート系分解対象化合物の分解回収設備も含まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の分解回収方法の対象物は、少なくとも1個のイソシアネート基(−NCO)またはイソシアネート基から誘導された基を有するイソシアネート系化合物である。すなわち、少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物、または、このイソシアネート基を有する化合物が二量化反応や三量化反応を起こして、カルボジイミド、ウレチジオン、ウレトンイミン、イソシアヌレート等の二量体や三量体以上の多量体となった化合物、あるいはイソシアネート基含有化合物が他の官能基含有化合物と化学反応を起こして生成した、ウレタン結合、アロハネート結合、ウレア(尿素)結合、ビュレット結合等を有する化合物等のイソシアネート基に由来する基(結合も含む)を有する化合物がすべて含まれる。
【0015】
これらの化合物のイソシアネート基またはイソシアネート基から誘導された基は、反応器内で高圧高温水との接触によって加水分解されてアミノ基(−NH2 )になるので、アミン化合物として回収することができる。
【0016】
汎用されているイソシアネート系分解対象化合物の代表例であるイソシアネート化合物と、この化合物から本発明法によって回収されるアミン化合物を以下に示す。
【0017】
もちろん、上記ジイソシアネート化合物が多量化反応や前述した他の官能基化合物と反応した結果生成したイソシアネート由来の基または結合を有する化合物もそれぞれ対応するアミン化合物として回収することができる。
【0018】
本発明法の分解対象化合物は、イソシアネート基含有化合物を合成する際の化学プラントにおける精製蒸留工程で蒸留残査として排出される廃棄物の中にほとんど必須的に含まれているものである。例えは、ジイソシアネート化合物を製造する化学プラントでは、精製蒸留工程で高純度のジイソシアネート化合物を得て、これを製品とするが、このときに生成する蒸留残査の中にジイソシアネート化合物が含まれているにもかかわらず、目的とするジイソシアネート化合物の多量体やその他の不純物との分離ができないため、これらの蒸留残査は廃棄物として焼却やその他の処分に回さざるを得ない。しかし、本発明の分解回収方法によれば、上記分解対象化合物中のイソシアネート基またはイソシアネート基から誘導された基がアミノ基に分解されるため、蒸留残査の中からイソシアネート基含有化合物を合成する際の出発原料であるアミン化合物を高収率で回収することができ、蒸留残査の再生利用、資源保護、環境保護という種々の点で、極めて有用な発明である。なお、本発明における分解対象化合物は、少なくとも1個のイソシアネート基またはイソシアネート基から誘導された基を有するイソシアネート系化合物であれば、化学プラントの蒸留残査中のものには限定されない。
【0019】
また本発明の分解回収方法は、分解対象化合物から有用化合物を連続的に回収できるというメリットも有している。例えば、化学プラントの廃棄物を分解対象化合物とする場合、廃棄物は連続的に排出されるので、回分式の処理方法では廃棄物の貯蔵槽が必要になると共に、貯蔵槽中での分解・重合等の変質が避けられず、またバッチ替えの際の反応器の冷却・昇温や減圧・昇圧のためのエネルギーロスが大きいという問題もある。しかし本発明法では、溶融状態または液体状態のままの化学プラント内廃棄物を連続的に一定の圧力および温度条件で処理できるため、上記のようなデメリットがなく、省エネルギー化に対する効果が大きい。
次に本発明における分解回収方法を具体的に説明する。
【0020】
図1には、本発明の分解回収設備の一例を示した。イソシアネート系分解対象化合物は、一旦貯槽に蓄えられて溶融状態または溶液状態で供給ポンプによって反応器に連続的に供給されるか、または化学プラントから蒸留残査として直接反応器に連続的に供給される。直接供給の方が貯槽が不要になるため、より好適である。分解対象化合物を溶媒を使用せずに反応器へ導入する場合には、流動状態を保つことができるように120℃以上の溶融状態とすることが好ましい。しかし、180℃を超える温度で導入するとイソシアネート系分解対象化合物の重合反応が促進する恐れがあるため、反応器に供給するときの溶融物の温度の上限は180℃とすることが好ましい。より好ましい導入温度は、130〜170℃である。
【0021】
また、分解対象化合物に溶媒を加えて溶液状態で反応器に導入することもでき、この場合の溶媒としては、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素や、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤等を単独または混合して使用することができる。これらの溶媒は、分解対象化合物の流動状態を確保するために適当な量使用されるが、速やかに均一溶液とするために加熱を併用してもよい。
【0022】
高圧高温水は、上記分解対象化合物とは別ラインで反応器へ連続供給される。分解対象化合物を反応器に導入する前に、分解対象化合物の供給ラインに高圧高温水を合流させて反応器に導入してもよい。分解反応は、190〜300℃で行う。分解反応のより好ましい温度範囲は200〜290℃である。反応圧力は、分解反応がこの温度範囲で行われるように適宜調節すればよく、ほぼ100〜150kg/cm2である。また反応器内における高圧高温水の重量は、反応器に供給される分解対象化合物の重量に対して(以下加水比という。)、0.5倍以上とすることが好ましい。0.5倍より少ないと充分な流動性が確保できないことがある。収率を考慮すると、加水比を1.0倍以上とすることが好ましい。一方本発明では、溶融状態または溶液状態の分解対象化合物を反応器に供給するため加水分解反応が効率的に行えるので、加水比の上限は反応器内の分解対象化合物に対して5.0倍であり、これ以上供給する必要はない。また、加水比が3.0倍を超えると、分解効率もほぼ飽和するため、後の脱水工程におけるエネルギー負荷を考慮すると加水比を3.0倍以下とすることが推奨される。
【0023】
反応器において分解反応を行った後は、脱水工程を行う。分解物(アミン化合物)、二酸化炭素、水、重質分等の他に、場合によってHClまたは塩素基を有する副生物(イオン状態の塩素も含まれる)等が含まれている分解反応生成物を、例えば脱水塔のような脱水装置に導入することにより、水と二酸化炭素を分離除去する。分解反応生成物は、60℃以上、より好ましくは80℃以上で脱水塔へ導入する。温度が低過ぎると固体が析出することがある。
【0024】
ホスゲン法で工業的にイソシアネート化合物を合成するプラントからの廃棄物を分解対象化合物とした場合にはHClや塩素基が分解反応生成物に含まれるが、このときは脱水反応時の温度条件に留意する必要があり、240℃以下とすることが推奨される。好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下とする。脱水温度が高すぎると、反応器での分解反応で得られたアミン化合物が、HClまたは塩素基と反応することによりさらに分解され、最終的にアミン化合物の回収率が減少してしまうためである。この分解反応は、反応器内では高圧高温水がリッチに存在しているのでほとんど起こらないが、脱水工程で水が減少すると、HClや塩素基の濃度が相対的に増大するため、アミン化合物の分解反応が起こり易くなる。なお、HClや塩素基がほとんど含まれていないものを分解対象化合物とするときや、回収しようとする目的物がHClや塩素基と反応して分解を起こさない化合物であれば、脱水温度の上限を設定する必要はない。
【0025】
図2には、TDI残査を反応器で分解した後脱水塔へ導入したときに、脱水塔での塔内滞留時間と塔底温度(脱水塔の塔底部で測定した温度)がTDA(TDIの分解物)の減少率に及ぼす影響を示した。図2から明らかなように、脱水時の温度が高いほどTDAの分解が促進されており、特に260℃のときは塔内滞留時間の増加に伴いTDAの減少率が急激に上昇している。脱水に必要な時間を考慮すれば、滞留時間が240分でもTDAの分解率が5%以下となる200℃以下で脱水工程を行うことが推奨される。なお図1においては、分解反応生成物が反応器から直接脱水塔に導入されているが、脱水塔に導入する前に、フラッシュ塔に通して二酸化炭素と水蒸気を予め除去しておいてもよい。
【0026】
脱水工程の後は、分解反応によって得られたアミン化合物を他の重質分と分離して回収するための精製工程を行う。図1では、精製装置として減圧蒸留塔を採用した例を示している。精製工程においても、アミン化合物とHClまたは塩素基との反応が起こる可能性があるので、アミン化合物の回収率が減少しないように温度条件を制御する必要がある。なお、HClや塩素基がほとんど含まれていないものを分解対象化合物とするときや、回収しようとする目的物がHClや塩素基と反応して分解を起こさない化合物であれば、蒸留温度の上限を設定する必要はない。圧力は、温度条件に応じて適宜選択することができる。
【0027】
TDI残渣を分解対象化合物として分解反応工程と脱水工程を行った後の分解反応生成物を用い、精製工程における蒸留温度とTDAの分解による減少率の関係を調べ、表1および図3にその結果を示した。
【0028】
【表1】
【0029】
蒸留温度が上昇するにつれて、TDAの減少率が増加しており、特に250℃を超えると減少率の増加が著しいことがわかる。従って、TDI蒸留残渣からTDAを分解回収するための精製(蒸留)工程は、TDAの収率を考えると250℃を超えない温度で行うことが好ましい。より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは230℃以下で行うとよい。
【0030】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0031】
実施例1
トリレンジイソシアネート(TDI)を合成する化学プラントで廃棄される蒸留残査を用い、TDIの中間原料であるトリレンジアミン(TDA)として分解回収する実験を行った。蒸留残査の組成は、TDIが約10重量%、TDIの2量体以上の多量体等が約90重量%であった。この蒸留残査を分解対象化合物とし、図1に示した分解反応装置を用いて、表2に示したように反応器内の条件を変化させて分解した。各実験におけるTDAの収率(%)を表2および図4に示した。なお、TDAの収率(重量%)は、反応器へ導入した蒸留残査がすべてTDIであるとし、さらにこれらがすべてTDAとして回収されることとしたときのTDAの理論回収量(重量)に対する実際に得られたTDA(重量)の割合である。
【0032】
【表2】
【0033】
表2および図4から、加水比が0.5倍以上であれば各温度でTDAを回収することが確認できた。また、加水比が1.0倍以上で、反応温度が190〜300℃であれば、20重量%以上のTDAが回収でき、特に200〜290℃ではほぼ70重量%以上、250℃付近では100重量%の回収率となることがわかった。また分解反応は温度の影響が大きく、同一温度では加水比が3.0倍を超えると、収率の増加が飽和することも明らかとなった。この実験に用いた蒸留残査は、そのまま250℃で蒸留した場合には多量体の分解が起こりTDIを約40重量%回収することができるが、本発明法によれば、TDIやTDIの多量体をTDAとして高収率で回収でき、TDIの合成プロセスの中間原料として利用できるため、その優位性が明らかである。
【0034】
分解反応後は、反応器から出た分解反応生成物を脱水塔で0.95kg/cm2以下で二酸化炭素と水を除去した。脱水塔の塔頂温度は75℃、塔底温度は160℃であった。また、次いで精製工程として蒸留塔で、圧力:0.027kg/cm2で減圧蒸留を行った。このときは、塔頂温度が100℃、塔底温度は230℃であった。脱水および精製の結果、供給された分解反応生成物中のTDAの約90重量%以上のTDAを回収することができた。
【0035】
実施例2
実施例1で使用したものと同じ蒸留残査とジクロロベンゼンを重量比で1:1で混合し溶液状態としてから、反応温度250℃、反応圧力150kg/cm2、加水比1.8で分解反応を行った。TDAの収率は90重量%であった。
【0036】
実施例3
イソシアネート系分解対象化合物としてモノメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を用い、高圧高温水による加水分解実験を行った。MDIは室温状態では固体のため、溶融させて反応器へ連続供給した。反応温度250℃、反応圧力150kg/cm2、加水比1.8で分解回収反応を行った。MDAの収率は99重量%であり、MDIをMDAとして高収率で回収できることが確認できた。
【0037】
【発明の効果】
本発明の分解回収方法および分解回収設備によって、イソシアネート系分解対象化合物を、この化合物を製造する際の原料または中間原料として回収することができるようになった。本発明法は、分解対象化合物を連続的に分解処理できるため、しかも回分式のバッチ替えの際の反応器の冷却や昇温のためのエネルギーロスがなく、例えば溶融状態または溶液状態のままの化学プラント内廃棄物として排出される分解対象化合物を連続的に一定の条件で処理することができる。
【0038】
また特にイソシアネート系分解対象化合物からアミン化合物を回収する際の最適な脱水条件と精製条件を見い出すことができたので、イソシアネート系化合物の製造プラントで排出される蒸留残査から、極めて高い回収率でアミン化合物を回収することができ、イソシアネート系化合物を製造する際の原料として有効再利用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための設備の一例を示す概略説明図である。
【図2】脱水工程における脱水塔底温度と脱水時間がTDA減少率に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】精製工程における蒸留塔底温度がTDA減少率に及ぼす影響を示すグラフである。
【図4】分解反応工程における反応温度と加水比がTDAの収率に及ぼす影響を示すグラフである。
Claims (7)
- ホスゲン法で工業的にイソシアネート化合物を合成するプラントからの廃棄物を分解対象化合物とし、分解対象化合物に高圧高温水を接触させることにより前記分解対象化合物を分解し、該分解対象化合物の原料またはその誘導体としてアミノ基を有するアミン化合物を回収する方法であって、
少なくとも1個のイソシアネート基またはイソシアネート基から誘導された基を有するイソシアネート系化合物を分解対象化合物とし、
このイソシアネート系分解対象化合物を溶融状態または溶液状態で反応器に連続的に供給すると共に、高圧高温水を前記反応器へ連続的に供給し、反応器内の温度を190〜300℃に、反応器内の反応圧力を100〜150kg/cm 2 として分解反応を行い、
続いて、240℃以下で分解反応生成物の脱水工程を行うことを特徴とするイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法。 - 反応器での分解反応の後の工程として、脱水工程に続き、250℃以下での精製工程を経ることにより、アミノ基を有するアミン化合物を回収するものである請求項1に記載のイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法。
- 反応器内におけるイソシアネート系分解対象化合物の重量に対する高圧高温水の重量を0.5〜5.0倍とするものである請求項1または2に記載のイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法。
- イソシアネート系分解対象化合物を120〜180℃の溶融状態で反応器に供給するものである請求項1〜3のいずれかに記載のイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法。
- イソシアネート系分解対象化合物を溶媒に溶解させた溶液状態で反応器に供給するものである請求項1〜3のいずれかに記載のイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法。
- イソシアネート系分解対象化合物が、イソシアネート系化合物の製造工程における蒸留残渣である請求項1〜5のいずれかに記載のイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のイソシアネート系分解対象化合物の分解回収方法を実施するための装置であって、
反応器と、
イソシアネート系分解対象化合物を溶融状態または溶液状態のまま前記反応器へ連続的に供給する手段と、
前記反応器へ高圧高温水を供給する手段と、
反応器から排出される分解反応生成物の脱水を行う脱水装置と、
脱水後の分解反応生成物の精製を行う精製装置と、
を備えることを特徴とするイソシアネート系分解対象化合物の分解回収設備。
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