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JP4356508B2 - ポリアミック酸組成物、並びに画像形成装置、それを用いたポリイミド無端ベルト及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミック酸組成物、並びに画像形成装置、それを用いたポリイミド無端ベルト及びその製造方法 Download PDF

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JP4356508B2 JP2004131458A JP2004131458A JP4356508B2 JP 4356508 B2 JP4356508 B2 JP 4356508B2 JP 2004131458 A JP2004131458 A JP 2004131458A JP 2004131458 A JP2004131458 A JP 2004131458A JP 4356508 B2 JP4356508 B2 JP 4356508B2
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Description

本発明は、電気電子機器に使用されるポリイミド材料の原料となるポリアミック酸組成物に関する。特に、例えば、写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、これらの複合装置などの電子写真装置に用いるポリイミド無端ベルトの原料となるポリアミック酸組成物、及びこれを用いたポリイミド無端ベルトに関する。
従来、電子写真装置は、導電性材料からなる感光体上に一様に電荷を形成し、変調した画像信号をレーザー光などで静電潜像を形成した後、帯電したトナーにより静電潜像を現像してトナー像とする。次いでこのトナー像を直接又は中間転写体を介して紙などの記録媒体に転写することにより画像を得る装置である。
ここで、感光体上のトナー像を中間転写体に一次転写し、次いで中間転写体上のトナー像を紙などの記録媒体へ二次転写する方法、いわゆる中間転写方式を採用した画像形成装置に用いられる中間転写ベルトは、例えばポリフッ化ビニリデン(例えば、特許文献1参照。)、ポリカーボネート(例えば、特許文献2参照。)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体とポリカーボネートとのブレンド(例えば、特許文献3参照。)などの熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電剤を分散させた導電性無端ベルトが提案されている。
さらに近年、この中間転写体を加熱することで記録媒体上のトナー像を定着せしめる方法、即ち中間転写及び定着方式が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
中間転写・定着方式は、トナー像を記録媒体へ中間転写体を介して二次転写せしめた後、この中間転写体を直接又は間接的に加熱することで、この中間転写体に接触している記録媒体上のトナー像を定着する方式であり、中間転写機構と定着機構が離別していた従来装置と比較して、装置の小型化、低コスト化が可能であるという利点を有する。
ここで、中間転写及び定着方式に用いられるベルト材料には、駆動時の応力に耐える機械強度を有すると同時に、定着時に与えられる200℃近い熱に耐え得ることが要求される。この要請から、中間転写及び定着ベルトに用いられる材料には、高い機械強度と耐熱性を併有するポリイミド樹脂が適している。
このように、従来、ポリイミド樹脂は高い機械強度、耐熱性などの優れた特性より、電子写真装置に限らず、広く電気機器材料として使用されている。
しかしながら、一般にポリイミド樹脂は溶媒に対して不溶であり、加熱によっても溶融しないため、その前駆体であるポリアミック酸溶液を基材上に塗布した後、乾燥・焼成処理を行い、脱水閉環反応によりポリイミド樹脂成型品を製造している。
ポリイミド焼成は300℃以上で行われることが多く、エネルギー消費、環境への影響の点で大きな問題となっている。また、ポリアミック酸の脱水に伴い、塗膜表面ならびに塗膜中のボイドの発生や、脱水開環反応に伴う体積収縮により発生する応力により膜厚の均一性がとれないことや、抵抗値のばらつきが生じるなど成形品品質の点で課題が大きい。
これらの問題に対して、可溶性ポリイミド材料の適用が検討されている(例えば、特許文献6参照)。可溶性ポリイミド材料は、予めイミド化処理を施したポリイミド樹脂を溶剤に溶解させたものであり、基材に塗布した後溶剤を乾燥させるだけで、ポリイミド成型品を製造することが出来る。溶剤の乾燥には、先に示した焼成工程に比べ低い温度で行うことが出来るため、ポリアミック酸の熱イミド化反応を行う工程に比べて、エネルギー消費やボイドの発生を抑えることが出来る点で優れている。
しかし、可溶性ポリイミド材料は、溶剤への可溶性を担保するため、その分子構造中に屈曲構造や大きな分子構造からなる側鎖置換基などを含むため、ポリアミック酸を焼成して得られるポリイミド樹脂のもつ高い機械特性、耐熱性を達成することが出来ず、例えば、ベルトとして使用するには、一般には強度が小さく、伸び、破断などを起こし易く不適なものであった。
また、焼成時にポリアミック酸のイミド化を促進させるため、3級アミン等を共存させて加熱する方法が特許文献7〜10等で開示されているが、かかる3級アミン類添加によるイミド化促進効果は小さく、実用化は難しい。
また、ポリアミック酸と溶媒とから成る組成物において、溶媒組成をN−メチル−2−ピロリドンと、γ−ブチロラクトンとの混合物とした例は、特許文献11にて開示されているが,かかる発明は液晶配向剤に関しての印刷性能を改善することを目的としており,イミド化反応を促進することを目的とした本出願にかかる発明と、産業上の利用分野、発明の目的において本質的に異なるものである。すなわち、液晶配向剤はガラス等の基板上に厚さ1000μm以下で形成しイミド化反応進行により発現する自己支持性は必要とされないのに対して本発明にかかるポリアミック酸組成物によって、成形されるポリイミド成形品は、ベルト基材などの厚膜として使用されることを目的としているため,イミド化反応進行による自己支持性は必要不可欠である。
特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−258960号公報 特開平10−45910号公報 特開平6−207014号公報 特開2002−127165公報 特開2002−283366公報 特開2002−296919公報 特開平6−138463号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、低い焼成処理温度、短い焼成処理時間でも高いイミド化反応率が得られ、焼成温度低減、焼成時間短縮を可能となるポリアミック酸組成物を提供することである。
そして、他の目的は、上記ポリアミック酸組成物を用い、イミド化反応不足による膜品質の低下を防ぎ、十分な強度などの特性を備えるポリイミド無端ベルト、及びその製造方法を提供することである。また、このポリイミド無端ベルトを備えた画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1) γ−ブチロラクトンと、N−メチル−2−ピロリドンとの混合溶媒と、
ポリアミック酸構造を含むポリマーと、
3級アミンと、
カルボン酸無水物と、
を含有することを特徴とするポリアミック酸組成物。
(2)さらに導電剤を含むことを特徴とする(1)に記載のポリアミック酸組成物
(3) (1)又は(2)に記載のポリアミック酸組成物をイミド化して得られたことを特徴とするポリイミド無端ベルト。
(4) (3)に記載のポリイミド無端ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
(5) (1)又は(2)に記載のポリアミック酸組成物を成形型に塗布した後、乾燥・焼成工程を施してイミド化することを特徴とするポリイミド無端ベルトの製造方法
本発明のポリアミック酸組成物によれば、低い焼成処理温度、短い焼成処理時間でも高いイミド化反応率が得られ、焼成温度低減、焼成時間短縮を可能となる、といった効果を奏する。
また、本発明のポリイミド無端ベルト及びその製造方法によれば、上記本発明のポリアミック酸組成物を用いるため、イミド化反応不足による膜品質の低下を防ぎ、十分な強度などの特性を備える、といった効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリアミック酸組成物]
第1の本発明のポリアミック酸組成物は、特定の塗工溶媒と、ポリアミック酸、及び/又はポリアミック酸−ポリイミド共重合体と、を含有して構成されている。そして、さらに、3級アミン、カルボン酸無水物を含む。また、必要に応じて、導電剤などの添加物を含むこともできる。
第1の本発明のポリアミック酸組成物では、当該組成物中の溶媒成分として、後述する特定の塗工溶媒を使用することで、熱イミド化反応が促進され焼成温度低減、焼成時間短縮を可能とし、かつ、従来の工程、設備をそのまま使用しえることより産業上に利用可能性が高いものである。また、後述する特定の塗工溶媒は、ポリイミド分子構造に対する制約もなく、剛直な分子構造のポリイミド材料にも適用することが出来るため、十分な強度などの特性を備えるポリイミド成形品が得られる。
そして、後述する特定の塗工溶媒と、3級アミンとを組み合わせることで、3級アミンのみの添加では焼成時のイミド化反応を大きく促進し得、さらに脱水剤としてカルボン酸無水物を併用することでさらに大きな促進効果が得られる。触媒として3級アミンのみを使用してイミド化反応を行う従来の技術に比べて、特定の溶媒組成のポリアミック酸組成物を使用することで、低い焼成処理温度、短い焼成処理時間でも高いイミド化反応率となり、イミド化反応不足による膜品質の低下を防ぎ、十分な強度などの特性を備える成形品が得られる。その結果、従来に比べて焼成温度低減、焼成時間短縮を可能となるため省エネルギー、生産性の向上が見込めるといった産業上の利用可能性が高くなる。さらに、特定の塗工溶媒と3級アミンとの併用による効果として塗工時のレベリング性能が向上し、乾燥・焼成工程後のベルトの平滑度の向上が達成され高品質化が図られる。
以下、各組成物について説明する。
((A)ポリアミック酸構造を含むポリマー)
ポリアミック酸構造を含むポリマーは、ポリイミド前駆体となり得るポリマーであり、ポリアミック酸、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体が挙げられる。
ポリアミック酸としては、下記一般式(1)で表されるポリアミック酸が好適に挙げられる。また、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体としては、下記一般式(2)で表されるポリアミック酸−ポリイミド共重合体が好適に挙げられる。
Figure 0004356508
一般式(1)中、R1は4価の有機基を示し、R2は2価の有機基を示す。一方、一般式(2)中、R3は4価の有機基を示し、R4は2価の有機基を示し、R5は4価の有機基を示し、R6は2価の有機基を示す。
ここで、2価の有機基R2、R4、R6は、対応するジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基構造として表される。また、4価の有機基R1、R3、R5は、対応するテトラカルボン酸化合物より4つのカルボニル基を除いたその残基として表される。
以下、ポリアミック酸、及びポリアミック酸−ポリイミド共重合体をより詳細に説明する。
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを実質的に等モル量を有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。また、ポリイミド−ポリアミック酸共重合体は、ポリアミック酸重合後、部分的にイミド化反応を行い合成される。
−テトラカルボン酸二無水物−
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げることができる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物が好ましく、さらに、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、が最適に使用される。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
−ジアミン化合物−
次にポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等を挙げることができる。
ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、が好ましい。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
−テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との組み合わせ−
ポリアミック酸としては、好ましくは、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。
−合成溶媒−
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸及びポリアミック酸−ポリイミド共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。
−ポリアミック酸重合時の固形分濃度−
ポリアミック酸溶液の固形分濃度は特に規定されるものではないが、5〜50重量%が好ましく、さらに10〜30重量%が好ましい。固形分濃度が5重量%未満であるとポリアミック酸の重合度が低く、最終的に得られる成型体の強度が低下する。また、重合時の固形分濃度が、50重量%より高いと反応時に原料モノマーの不溶部が生じてしまい反応がほとんど進行し得ない。その結果、最終的に得られる成型体の強度が低下する。
−ポリアミック酸重合温度−
ポリアミック酸重合時の反応温度としては、0℃〜80℃の範囲で行われる。反応温度が0℃以下であると、溶液の粘度が高くなり、反応系の攪拌が十分に行うことができなくなるためである。また、反応温度が80℃より高くなると、ポリアミック酸の重合と平行して、一部イミド化反応が起こるため、反応制御の点で問題が生じる。
−イミド化反応−
ポリアミック酸−ポリイミド共重合体は、上記ポリアミック酸を加熱処理してイミド化する方法/又は脱水剤及び/又は触媒を作用させる化学的イミド化方法により、ポリアミック酸中のアミック酸基の一部を脱水閉環反応によってイミド基に転換して得られる。
加熱処理による方法における加熱温度は、通常60℃以上200℃以下とされ、好ましくは100℃以上170℃以下とされる。加熱温度が60℃未満では脱水閉環が十分に進行せず、加熱温度が200℃を超えると得られる重合体の分子量が小さいものになる。
一方、化学的イミド化方法は、ポリアミック酸溶液中に脱水剤及び/又は触媒を添加し化学的にイミド化反応を進行させる。脱水剤は、1価カルボン酸無水物であれば特に限定はされない。例えば、無水酢酸、プロピオン酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、ブタン酸無水物及びシュウ酸無水物などの酸無水物から選ばれる1種類または2種類以上を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01モル以上2モル以下とするのが好ましい。
触媒としては、例えばピリジン、ピコリン、コリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミンなどの3級アミンから選ばれる1種類または2種類以上を用いることができるが、これらに限定されるものではない。触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01モル以上2モル以下とするのが好ましい。
この化学的イミド化反応は、ポリアミック酸溶液中に脱水剤及び/又は触媒を添加し必要に応じて加熱することにより行われる。脱水閉環の反応温度は、通常0℃以上180℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下とされる。
部分的にイミド化されていれば、特に制限はないが、イミド化された構造と未反応のアミック酸構造との組成比は、0/100(モル/モル)〜80/20(モル/モル)であることが好ましい。イミド基とアミック酸基との組成比が、80/20(モル/モル)以上であると、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体が不溶化する可能性がある。
ポリアミック酸−ポリイミド共重合体に、作用させた脱水剤及び/又は触媒は除去しなくとも良いが、溶液粘度の経時安定性を図るため以下の方法で除去しても良い。作用させた脱水剤及び/又は触媒を除去する方法としては、減圧加熱、又は再沈殿法を用いることができる。減圧加熱は、真空下80℃以上120℃以下の温度で行われ、触媒として使用される3級アミン、未反応の脱水剤及び加水分解されたカルボン酸を留去する。また、再沈殿法は、触媒、未反応の脱水剤及び加水分解されたカルボン酸を溶解させ、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体は溶解させないような貧溶媒を用い、この貧溶媒の大過剰中に、反応液を加えることによって行われる。貧溶剤としては、特に制限はなく、水や、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤、アセトンやメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤、ヘキサンなどのような炭化水素系溶剤、などが使用できる。析出するポリアミック酸−ポリイミド共重合体は、ろ別・乾燥後、再度γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に溶解させる。
以上、説明したポリアミック酸構造を含むポリマーは、そのポリアミック酸組成物中の固形分濃度が、ベルト材料として所望の厚みを得る観点から10重量%以上であることが好ましい。一方で、従来、この固形分濃度が高いと、金型上への塗工性能が悪化し、かつ、乾燥・焼成工程で溶媒が十分に除去できず、形状、膜強度の点で品質が低下する場合があるが、本発明では効果的に改善が図れる。この固形分濃度として好ましくは、15重量%以上であり、その上限は50重量%である。
((B)塗工溶剤)
特定の塗工溶媒(以下第1塗工溶媒)としては、γ−ブチロラクトンから選ばれる第1溶媒と、N−メチル−2−ピロリドンから選択される第2溶媒との混合溶媒である。
第1塗工溶媒としては、特にγ−ブチロラクトンから選択される第1溶媒と、N−メチル−2−ピロリドンから選択される第2溶媒との混合溶媒であることが、焼成時のイミド化反応を円滑に進行させる点、塗工加工時のレベリング性の点で好適である。
第1塗工溶媒において、第1溶媒と第2溶媒との重量比(第1溶媒/第2溶媒)は、90/10から10/90の範囲であることが好ましく、より好ましくは、80/20から30/70の範囲であり、さらに好ましくは49/51から30/70の範囲である。
1塗工溶媒は、先のポリアミック酸合成時から使用しても、ポリアミック酸重合後、もしくはイミド化反応後に所定の溶媒に置換してもよい。溶媒の置換には、ポリアミック酸溶液、又はポリアミック酸−ポリイミド共重合体溶液に所定の溶剤を添加して希釈する方法、ポリマーを再沈殿した後に所定溶媒中に再溶解させる方法、溶剤を徐々に留去しながら所定溶媒を添加して組成を調整する方法のいずれかでもよい。
((C)3級アミン)
3級アミンは、イミド化反応の触媒と働くものであり、例えば、ピリジン、ピコリン、コリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミンから選ばれる1種又は2種以上を好適に使用することができる。
3級アミンの含有率は、ポリアミック酸組成物中樹脂分100重量部に対して0.1〜30重量部添加されうる。添加量が0.1重量部以下であるとイミド化促進効果を発現することができず、また、30重量部以上であるとポリアミック酸組成物の安定性を確保することができないためである。
((D)カルボン酸無水物)
カルボン酸無水物は、イミド化反応時の脱水剤として働き、イミド化反応を促進するものである。カルボン酸無水物としては、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブタン酸無水物及びシュウ酸無水物などが挙げられ、これらの中でも無水酢酸が好適である。これらは、1種類又は2種類以上用いてもよい。
カルボン酸無水物の含有率は、ポリアミック酸組成物中樹脂分100重量部に対して0.1〜30重量部添加されうる。添加量が0.1重量部以下であるとイミド化促進効果を発現することができず、また、30重量部以上であるとポリアミック酸組成物の安定性を確保することができないためである。
((E)導電剤)
本発明のポリアミック酸組成物は、導電剤を含有することもできる。例えば、得られるポリイミド成形品を電子写真装置における中間転写体用途に用いる場合、導電剤が分散されると共に、所望の電気抵抗率を有するポリイミド成形品(例えば、半導電性ベルト)を得ることができる。
導電剤としては、導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。本発明では、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、成形品(例えば半導電性ベルト)の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる電気抵抗の経時での安定性より、pH5以下の酸化処理カーボンブラックを好ましくは添加することを提案する。
―酸化処理カーボンブラック―
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。
具体的には、酸化処理カーボンブラックは、例えばコンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。
なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
酸化処理カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5.0以下の酸化処理カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基が、あるので、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、成形品(例えば半導電性ベルト)の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる
ここで、pHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25%、好ましくは2〜20%、より好ましくは、3.5〜15%含まれていることが好適である。揮発分が1%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。一方、25%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解してしまう、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることが出来る。
酸化処理カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
−酸化処理カーボンブラックの添加量−
酸化処理カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、成形品(例えば半導電性ベルト)中のカーボンブラックの量が多くなるため、上記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
酸化処理カーボンブラックを10〜30重量%含有することにより、成形品(例えば半導電性ベルト)の表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸化処理カーボンブラックの効果を発揮させている。この含有量が10重量%未満であると所望の抵抗値が得られ難くなる。一方、30重量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなり、電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる。さらに、酸化処理カーボンブラックを18〜30重量%含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性を顕著に向上させることができる。
以上、本発明にかかるポリアミック酸組成物について説明したが,本発明はこれらの実施の態様のみについて限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で,当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
[ポリイミド無端ベルト及びその製造方法]


本発明のポリイミド無端ベルトは、上記本発明のポリアミック酸組成物を成形型に塗布した後、乾燥・焼成工程によりイミド化して得られるポリイミド成形体を主体として構成されている。
本発明のポリイミド無端ベルトは、具体的には、例えば次のようにして製造される。
まず、例えば、上記本発明のポリアミック酸組成物を次のようにして調整する。まず、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶媒中で重合反応させて得られたポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸溶液をメタノールなどの貧溶媒中に添加してポリアミック酸を析出させ再沈殿精製する。析出したポリアミック酸ろ別した後、γ−ブチロラクトンなどの溶媒に再溶解させ、ポリアミック酸溶液を得る。
ポリアミック酸溶液に、所定量の3級アミン、無水カルボン酸を加えて攪拌溶解させ、ポリアミック酸組成物を得る。
次に、この溶液に、必要に応じてカーボンブラックなどの導電剤をポリアミック酸樹脂の乾燥重量100重量部に対して合計5重量部〜60重量部含有せしめる。
ここで、この導電剤を分散させ、その凝集体を壊砕する方法としては、ミキサーや攪拌子による攪拌、平行ロール、超音波分散などの物理的手法、さらには分散剤の導入などの化学的手法が例示されるが、これらに限定されるものではない。
次に、この溶液を金型の内面もしくは外面に塗布する。金型としては、円筒形金型が好ましく、金型の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の様々な素材の成形型が、本発明に係る成形型として良好に動作し得る。また、成形型の表面にガラスコートやセラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することも適宜選択されうる。更に、円筒金型に対するクリアランス調整がなされた膜厚制御用金型を、円筒金型に通し平行移動させることで、余分な溶液を排除し円筒金型上の溶液の厚みを均一にする。円筒金型上への溶液塗布の段階で、溶液の均一な厚み制御がなされていれば、特に膜厚制御用金型を用いなくてもよい。
次に、ポリイミド樹脂前駆体溶液を塗布したこの円筒金型を、加熱環境に置き、含有溶媒の30質量%以上好ましくは50質量%以上を揮発させるための乾燥を行う。
乾燥温度は、50〜200℃の温度範囲で乾燥を行う。
更に、この金型を150℃〜450℃で加熱し、イミド転化反応を進行させる。イミド化の温度は、原料のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類、又は添加される3級アミンによって、それぞれ異なるが、イミド化が完結する温度に設定しなければならない。イミド化が不充分であると、機械的特性及び電気的特性に劣るものとなる。
その後、金型から樹脂を取り外し、目的のポリイミド無端ベルトを得ることができる。得られたポリイミド無端ベルトには、更に必要に応じて端部のスリット加工、パンチング穴あけ加工、テープ巻き付け加工等が施されることもある。
なお、ポリイミド無端ベルトを電子写真用転写体として使用する場合、所望の電気抵抗となるように、上述のようにポリアミック酸組成物中に導電剤を含有させることが必要である。
また、ポリイミド無端ベルトを電子写真用定着体として使用する場合、表面(外周面)に付着するトナーの融着防止のため、ベルト表面(外周面)に非粘着性の樹脂層を形成することが必要である。
この樹脂層を構成する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂が挙げられる。非粘着層には、耐摩耗性や静電オフセットの向上、トナーの付着防止用オイルとの親和性等のために、カーボン粉体や、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機化合物粉体等、フッ素樹脂以外の材料を含んでもよい。
定着体としての好ましいポリイミド無端ベルトの厚さは、25〜200μm、非粘着層の厚さは5〜50μmの範囲である。
ポリイミド無端ベルト外周面にフッ素樹脂層を形成するには、その水性分散液をベルト表面に塗布して焼き付け処理する方法が好ましい。また、フッ素樹脂層の密着性が不足する場合には、必要に応じて、無端ベルト表面にプライマー層を形成する方法がある。プライマー層を構成する材料としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド及びこれらの誘導体が挙げられ、さらにフッ素樹脂から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。プライマー層の厚さは0.5〜10μmの範囲が好ましい。
ポリイミド無端ベルト外周面上にプライマー層及びフッ素樹脂層を形成するには、芯体外周面に形成された(加熱処理後の)PI樹脂皮膜上にこれらの層を形成する材料を塗布形成することができる。あるいは芯体外周面に形成された(加熱処理前の)ポリアミック酸組成物の塗膜上に、プライマー層を構成する材料やフッ素樹脂層を構成する材料を含む分散液を塗布し、その後に加熱してイミド化縮合反応とフッ素樹脂の焼成処理を同時に行ってもよい。後者の場合には、プライマー層が無くてもポリイミド樹脂層とフッ素樹脂層との密着性が十分に強固な場合もあるため、この場合にはプライマー層を形成する必要はない。
以上、本発明にかかるポリイミド無端ベルトの製造方法について説明したが、本発明はこれらの実施の態様のみに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
[本発明の画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、前記本発明のポリイミド無端ベルトを備える、電子写真方式などの画像形成装置である。
本発明の画像形成装置としては、例えば、像担持体、像担持体表面を帯電する帯電手段、像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光手段、像担持体表面に形成された潜像を現像剤にて現像し、トナー像を形成する現像手段、被転写材上のトナー像を転写する転写手段、被転写材上のトナー像を定着する定着手段、像担持体に付着したトナーやゴミ等を除去するクリーニング手段、像担持体表面に残留している静電潜像を除去する除電手段、など必要に応じて公知の方法で任意に備えた画像形成装置が挙げられる。このような構成の画像形成装置において、中間転写ベルトを利用した2次転写方式の転写手段や、定着ベルトを利用したベルト方式の定着手段のベルトとして、上記本発明のポリイミド無端ベルトが適用される。
このような本発明の画像形成装置の具体例について以下に図面を用いて説明する。図1は本発明の画像形成装置の具体例を示す模式断面図であり、図1中、1は画像形成装置、2は画像処理装置、3はROS(Rastor Output Scanning)、4は回転多面鏡、5はf・θレンズ、6は反射ミラー、7は感光体ドラム、8はスコロトロン(帯電器)、9は現像装置、10は転写前帯電器、11は中間転写ベルト、12は一次転写ロール、13は駆動ロール、14aは従動ロール、14bはテンションロール、15はバックアップロール、16は記録シート、17は二次転写ロール、18は給紙カセット、18aはフィードロール、19は中間転写ベルトクリーニングユニット、20は感光体クリーニングユニット、21は現像剤収納部、22は搬送ロール、23はレジストロール、24は搬送ベルト、25は定着ベルトを利用した定着装置、26は手差し給紙部、60は排出トレイを表す。
感光体ドラム7の周囲には時計周り方向(回転方向)に沿って、スコロトロン8、現像装置9、転写前帯電器10、中間転写ベルト11を介して対抗配置された一次転写ロール12(1次転写部)、感光体クリーニングユニット20が配置されている。スコロトロン8と現像装置9との間の感光体ドラム7表面には、回転多面鏡4、f・θレンズ4、反射ミラー6を備えたROS3から照射されるレーザー光により、画像情報に応じた潜像が形成可能である。現像装置9は、現像剤収納部21と連通しており、適宜、現像剤収納部21から現像剤の供給を受けることができる。
画像の形成に際しては、感光体ドラム7表面がスコロトロン8により帯電され、帯電された感光体ドラム7表面にROS3から照射されるレーザー光によって潜像が形成される。続いて、現像装置9により潜像が現像剤により現像されトナー像を得た後、中間転写ベルト11外周面に転写される。なお、転写後の感光体ドラム7表面に残留するトナーは感光体クリーニングユニット20により除去される。
感光体ドラム7の下側には、中間転写ベルト11と、この中間転写ベルト11を張架する為にその内周面に時計回り方向に配置された、一次転写ロール12と、駆動ロール13と、バックアップロール15と、従動ロール14aと、テンションロール14bと、を含む中間転写ユニットが設けられている。更に、中間転写ベルト11の外周面には、駆動ロール13に対して中間転写ベルト11を挟んで対向配置された中間転写ベルトクリーニングユニット19と、バックアップロール15に対して中間転写ベルト11を挟んで対向配置された二次転写ロール17と、が設けられている。
また、二次転写ロール17と中間転写ベルト11外周面との間(2次転写部)は、記録媒体が挿通可能である。この2次転写部への記録媒体の搬送・供給は、給紙カセット18内に収納された記録シート(記録媒体)16をフィードロール18a、搬送ロール22、レジストロール23を介して自動的に行うことができるが、給紙トレイ26からレジストロール23を介しても行うことができる。
なお、2次転写部のこれら2つの給紙手段が設けられた側と反対側(記録シート16が排出される側)には、トナー像が転写された記録シート16を搬送する搬送ベルト24と、搬送ベルト24により搬送された記録シート16を定着処理する定着装置25と、定着処理を得た後の画像が形成された記録シート16を機外へ排出する排出トレイ60とが設けられている。なお、定着装置25としては、ベルト・ベルト方式やベルト・ロール方式などの定着ベルトを利用した公知のベルトニップ方式の定着装置が適用される。
1次転写部で中間転写ベルト11外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11が反時計周り方向に回転することにより2次転写部にまで搬送され、2次転写部にて、記録シート16上に転写される。トナー像が転写された記録シート16は、搬送ベルト24により定着装置25に搬送され、上述したようにトナー像が記録シート16表面に加熱定着され、画像が形成される。その後、画像が形成された後の記録シート16は排出トレイ60に排出される。
なお、本発明の画像形成装置の構成としては、特に限定されるわけではなく、公知の構成とすることができる。
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(合成例1)ポリアミック酸の重合(A)
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中に、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.1モル)とN−メチル−2−ピロリドン117.68gを注入した。十分攪拌・溶解した後、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)をγ−ブチロラクトン80.08gに溶解させた溶液を10℃に保持したフラスコ内に徐々に滴下した。ジアミン溶液滴下後10〜15℃にて攪拌、重合を行った。反応液をメタノール中に注ぎ、析出したポリアミック酸をろ別した。γ−ブチロラクトンに再溶解させて、濃度20%ポリアミック酸(A)溶液を得た。
(合成例2)ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)の合成
合成例1と同様にポリアミック酸(A)をフラスコ内で重合した後、ピリジン7.91g(0.1モル)と無水酢酸10.21g(0.1モル)を順次添加した。60℃にて2時間反応を行った。反応液をメタノール中に注ぎ、析出したポリアミック酸−ポリイミド共重合体をろ別した。γ−ブチロラクトンに再溶解させて、濃度を20%に調整して、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)を得た。
なお、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)の溶解性は、γ−ブチロラクトンに対しては、N−メチル−2−ピロリドンに比べて、低いため溶解には加熱処理を行った。
参考例1〕
(製造例1−1〜1−16)
表1に従って、ポリアミック酸組成物を調整し、このポリアミック酸組成物を用い、乾燥・焼成工程を施して試料を作製し、得られた試料について評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、ポリアミック酸(A)、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)にそれぞれ各種溶媒を添加し、1重量%ポリアミック酸組成物を調整した。シリコーンウェハー上にスピンコート法により製膜した。そして、所定温度に調整したホットプレート上で加熱して溶媒の乾燥を行った後、所定温度に調整したクリーンオーブン中で焼成処理を行った。
−イミド化率の測定−
得られた試料について堀場製作所製顕微フーリエ変換赤外分光光度計FT−530を使用して1000〜2000cm-1の範囲で赤外吸光度の測定を行った。1780cm-1のイミド基に起因するピークと1500cm-1のベンゼン環のピーク比を用いてイミド化率を定量した。結果を表1に示す。
(製造例1−17〜1−30)
表2に示すように、ポリアミック酸(A)、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)にそれぞれ各種溶媒を添加し、10重量%ポリアミック酸組成物を調整した。離型剤処理を施した金属板上にバーコーターを用いて塗布厚500μmで塗工した。ホットプレート上で100℃にて30分間溶媒の乾燥を行った後、クリーンオーブン中にて150℃で30分間焼成処理を行った。金属板より剥離してポリイミドフィルムを作製した。
また、カーボンブラック分散ポリイミド製品の場合(製造例1−23、1−30)、次のようにしてポリイミド成形品を作製し評価した。まず、ポリアミック酸(A)、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)にそれぞれ各種溶媒を添加し、10重量%ポリアミック酸組成物を調整し、導電剤として、デグサ社製カーボンブラック「プリンテックス150T」をポリアミック酸含有量に対して20重量部になるように添加した。ディスパーにて分散処理を行った。離型剤処理を施した金属板状にバーコーターを用いて塗布厚500μmで塗工した。ホットプレート上で100℃にて30分間溶媒の乾燥を行った後、クリーンオーブン中にて150℃で30分間焼成処理を行った。金属板より剥離して得られたポリイミドフィルムを作製した。
−ポリイミド成形品の機械強度−
得られたポリイミドフィルムから打ち抜き機を使用して幅5mmのダンベル型試験片を作製した。そして、アイコーエンジニアリング社製引っ張り試験機1605Nを用いて、引張り強度(速度100mm/分)、弾性率、引張り強度及び破断時の伸びを測定した。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
(製造例1−31〜1−40)
表3、表4に従って、ポリアミック酸組成物における溶媒組成をN−メチル−2−ピロリドン単独とした以外は、参考例1と同様にして試験を行った。結果を表3、表4に示す。
Figure 0004356508
Figure 0004356508
Figure 0004356508
Figure 0004356508
表1〜4の結果から、特定の溶媒組成を含有するポリアミック酸組成物を使用すると、従来のポリアミック酸組成物に比較して、低い焼成温度で、なおかつ短時間でイミド化反応が行えることがわかる。
参考例2〕
(調整例1)ポリアミック酸組成物(A)の調整
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中に、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.1モル)とN−メチル−2−ピロリドン117.68gを注入した。十分攪拌・溶解した後、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン80.08gに溶解させた溶液を10℃に保持したフラスコ内に徐々に滴下した。ジアミン溶液滴下後10〜15℃にて攪拌・重合を行った。反応溶液を大量のメタノール中に注ぎ、析出したポリアミック酸をろ別・乾燥した後、γ−ブチロラクトンとN−メチル−2−ピロリドン(50/50重量比)との混合溶媒に溶解させて20重量%ポリアミック酸組成物(A)を得た。
(調整例2)ポリアミック酸−ポリイミド共重合体組成物(B)の調整
調整例1と同様にポリアミック酸(A)をフラスコ内で重合した後、ピリジン7.91g(0.1モル)と無水酢酸10.21g(0.1モル)を順次添加した。60℃にて2時間反応を行った。反応液をメタノール中に注ぎ、析出したポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)をろ別した。乾燥した後、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトン(50/50重量比)との混合溶媒に溶解させて20重量%ポリアミック酸−ポリイミド共重合体組成物(B)を得た。
(調整例3〜6)ポリアミック酸組成物(C)〜(F)の調整
ろ過後再溶解させる溶媒を、表1に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして、ポリアミック酸組成物(C)〜(F)を調整した。
(調整例7)カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物液(a)の調整
ポリアミック酸組成物(A)200g中に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)8.0gを添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(a)を得た。
(調整例8〜10)カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(b)〜(e)の調整
使用したポリアミック酸組成物を、変更した以外は、調整例7と同様にして、カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(b)〜(d)を得た。
Figure 0004356508
Figure 0004356508
(製造例2−1)
得られたポリアミック酸組成物(A)を、内径90mm、長さ450mmの円筒状SUS製金型表面に均一に塗布した。なお、この円筒状金型には、表面にフッ素系の離型剤を予め塗布することで、ベルト成形後の剥離性を向上させた。次に、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、金型をオーブンに入れ、220℃、約30分焼成を行い、イミド化反応を進行させた。その後、金型を室温で放冷し、金型から樹脂を取り外し、目的のポリイミド無端ベルトを得た。
得られたポリイミド無端ベルトのイミド化率、厚み測定、及び引張り強度等の機械的特性を以下のように行った。結果を表7に示す。
−イミド化率−
得られたポリイミド無端ベルトから試験片を切り出しFT−IRにより測定を行った。400℃焼成品をイミド化率100%として、1776cm-1のイミド基に由来するカルボニル基の伸縮ピークと1500cm-1の芳香環の振動ピークとの比により求めた。
−ベルト厚み測定−
得られたポリイミド無端ベルトから試験片をランダムに10箇所切りだし、フィルム厚み計を用いて行った。
−機械強度−
弾性率、引張り強度及び破断時の伸びは、引張り試験機(アイコーエンジニアリング株式会社製1605N)にて測定した。打ち抜き成型機を使用して、長さ100mm、幅5mmの試験片を作製し、40mm長で引張り試験を行った。
−ベルト外観−
得られたベルトの外観を、目視観察し、以下のように評価を行った。
○:まったくボイドの発生が見られず、膜の均一性に優れる。
○〜△:ボイドの発生がやや見られるが、実用には問題ない。
△:ボイドの発生が見られ、実用にはやや支障がある。
×:ボイドが多発し、実用できない。
その結果、このポリイミド無端ベルトのイミド化率はおよそ100%で、厚みは70±2μmであり、イミド化反応進行に見られるフィルムの膜厚ムラも抑えられ均一であった。また、ベルトは、イミド化反応がほぼ十分進行しているため、高い膜強度を得ている。定着ベルトとして好適な特性を示していた。
(製造例2−2〜2−14)
調整例1〜10で調整したポリアミック酸組成物を用いて、表7に示すように焼成温度、焼成時間を変更させた以外は、製造例2−1と同様にしてポリイミド無端ベルトを作製した。得られたポリイミドベルトの特性等は表7に示す。いずれの条件で得られたベルトも、製造例2−1と同様の好適な特性を備えていることが確認された。
また、カーボンブラックを含むポリアミック酸組成物から得られた半導電性ベルトについてその、体積抵抗率を、以下の条件で測定したところ、いずれのベルトの体積抵抗値も1×108Ωcmを示し、中間転写ベルトとして好適な特性を備えていることが確認された。
−体積抵抗値−
得られたポリイミド無端ベルトから10×10cm2の試験片を切りだし、アドバンテック社製の超高抵抗測定装置でその体積抵抗値を測定した。
(電子写真機搭載試験)
製造例2−9〜2−14得られたポリイミド製無端ベルトを、中間転写ベルトとして富士ゼロックス社製電子写真装置「DocuCentreColor400CP」に組み込み、初期複写画質の評価を行った。複写画質の評価項目として、印字ズレの有無、印字濃度ムラの有無、ゴーストの有無等を評価した。また、50000枚通紙テスト後の画質を同様に評価した。通紙試験の前後でのベルト長を測定し、実機使用でのベルト耐久性を評価比較した。評価結果を表8に示す。
〔比較例2〕
(調整例11)ポリアミック酸組成物(G)の調整
調整例1と同様にしてポリアミック酸を合成した。その後、メタノール中で析出を行った後、N−メチル−2−ピロリドン単独溶媒に溶解させて、20重量%ポリアミック酸組成物(G)を得た。
(調整例12)ポリアミック酸−ポリイミド共重合体組成物(H)の調整
調整例2と同様にポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)を合成した。その後、メタノール中で析出を行った後、N−メチル−2−ピロリドン単独溶媒に溶解させて、20重量%ポリアミック酸−ポリイミド共重合体組成物(H)を得た。
(調整例13、14)カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物液(g)(h)の調整
ポリアミック酸組成物(G)、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体組成物(H)を使用した以外は、調整例7と同様にして、それぞれカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(g)、(h)を得た。
(製造例2−15〜2−24)
ポリアミック酸組成物として、ポリアミック酸組成物(G)、(H)、(g)、(h)を用いてポリイミドベルトを製造した。表9に、作製されたベルトの特性を参考例2と同様に示す。また、表10に製造例21〜24でカーボンブラック含むポリアミック酸組成物より製造したポリイミド製無端ベルトについて、参考例2と同様に電子写真装置に中間転写ベルトとして組み込んでの評価結果を示す。
Figure 0004356508
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表7〜10の結果結果より、力学的特性、電気的特性を良化しつつ、膜品質をも向上させたポリイミド無端ベルトは、本発明にかかるもののみであったことがわかる。
以上、参考例1及び2及び比較例1及び2から、特定の溶媒組成を含有するポリアミック酸組成物を使用すると、従来のポリアミック酸組成物に比較して、低い焼成温度でイミド化反応が行うことが出来ることがわかる。その結果、本発明にかかるポリイミド成型体からなるポリイミド製無端ベルトは焼成時に低エネルギーで製造することが可能であり、消費エネルギー低減、環境負荷抑制に大きく貢献できることもわかる。また、本発明にかかるポリイミド製無端ベルトは、熱イミド化時に見られるボイドの発生等の欠陥が少なく、イミド化反応の面内ばらつきに起因するフィルムの不均一性を防止されていることがわかる。
さらに本発明にかかるポリイミド無端ベルトは中間転写ベルトとして使用した場合、優れた特性を発現することもわかる。
(実施例3−1〜3−17)
−製膜・乾燥・焼成工程及びイミド化率の測定−
表11に従って、ポリアミック酸(A)、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)にそれぞれ各種溶媒、3級アミンとしてピリジンならびに無水酢酸を所定量添加し、1重量%ポリアミック酸組成物を調整した。シリコーンウェハー上にスピンコート法(スピンコート条件;300rpm×10秒+3000rpm×60秒)により製膜した。
所定温度に調整したホットプレート上100℃で30分間加熱して溶媒の乾燥を行った後、所定温度に調整したクリーンオーブン中で焼成処理を行った。得られた試料について堀場製作所製顕微フーリエ変換赤外分光光度計FT−530を使用して1000〜2000cm-1の範囲で赤外吸光度の測定を行った。
1780cm-1のイミド基に起因するピークと1500cm-1のベンゼン環のピーク比を用いてイミド化率を定量した。
結果を、表11に示す。但し、実施例3−、3−73−9、3−17を除いた例は参考例に相当する。
(実施例3−18〜3−31)
−ポリイミド無端ベルト−
表12に従って、ポリアミック酸(A)、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)にそれぞれ各種溶媒、3級アミンとしてピリジンならびに無水酢酸を所定量添加し、15重量%ポリアミック酸組成物を調整した。これを内径90mm、長さ450mmの円筒状SUS製金型表面に均一に塗布した。なお、この円筒状金型には、表面にフッ素系の離型剤を予め塗布することで、ベルト成形後の剥離性を向上させた。次に、金型を回転させながら、150℃で、30分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、金型をオーブンに入れ、200℃、約30分焼成を行い、イミド化反応を進行させた。その後、金型を室温で放冷し、金型から樹脂を取り外し、目的のポリイミド無端ベルトを得た。
得られたポリイミド無端ベルトの引張り強度等の機械的特性及び表面状態を以下のように評価した。結果を、表12に示す。但し、実施例3−21、3−23、3−25を除いた例は参考例に相当する。
−ポリイミド無端ベルトの機械的特性評価−
得られたポリイミド無端ベルトから打ち抜き機を使用して幅5mmのダンベル型試験片を作製した。そして、アイコーエンジニアリング社製引っ張り試験機1605Nを用いて、引張り強度(速度100mm/分)、弾性率、及び破断時の伸びを測定した。
―表面状態の評価―
得られたポリイミド無端ベルトの表面状態を調べるため、表面粗さRaを測定した。この表面粗さRaの測定は、表面粗さ計サーフコム1400A(東京精密社製)を用いて、JIS B0601−1994に準拠し、評価長さLnを4mm、基準長さLを0.8mm、カットオフ値を0.8mmとした測定条件で行った。
(実施例3−32〜3−45)
(カーボンブラック分散ポリイミド無端ベルト)
表13に従って、ポリアミック酸(A)、ポリアミック酸−ポリイミド共重合体(B)にそれぞれ各種溶媒、3級アミンとしてピリジンならびに無水酢酸を所定量添加し、15重量%ポリアミック酸組成物を調整した。導電剤として、デグサ社製カーボンブラック「プリンテックス150T」をポリアミック酸含有量に対して20重量部になるように添加した。ディスパーにて分散処理を行った。
これを内径90mm、長さ450mmの円筒状SUS製金型表面に均一に塗布した。なお、この円筒状金型には、表面にフッ素系の離型剤を予め塗布することで、ベルト成形後の剥離性を向上させた。次に、金型を回転させながら、150℃で、30分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、金型をオーブンに入れ、200℃、約30分焼成を行い、イミド化反応を進行させた。その後、金型を室温で放冷し、金型から樹脂を取り外し、目的のポリイミド無端ベルトを得た。
得られたベルトについて機械強度、体積抵抗を評価した。また、得られたポリイミド無端ベルトを富士ゼロックス社製電子写真装置DocuCentreColor400CP中間転写ベルトして組み込み、初期複写画質の評価を行った。複写画質の評価項目として、印字ズレの有無、印字濃度ムラの有無、ゴーストの有無等を評価した。また、50000枚通紙テスト後の画質を同様に評価した。通紙試験の前後でのベルト長を測定し、実機使用でのベルト耐久性を評価比較した。結果を、表13に示す。但し、実施例3−35、3−37、3−39を除いた例は参考例に相当する。
(比較例3−1〜3−33)
表14、表15及び表16に従って、溶媒組成を単独溶媒とした場合について、実施例と同様にして試験を行った。結果を、表14、表15及び表16に示す。
Figure 0004356508
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表11〜16の結果より、本発明にかかる特定の溶媒組成、3級アミンを含有するポリアミック酸組成物を使用すると、従来のポリアミック酸組成物に比較して、低い焼成温度でイミド化反応が行うことが可能であることがわかる。その結果、焼成時に低エネルギーで製造することが可能であり、消費エネルギー低減に大きく貢献できることがわかる。また、表面状態から、熱イミド化時に見られる欠陥が抑制され、イミド化反応の面内ばらつきに起因するベルトの不均一性が改善されていることがわかる。特に、当該欠陥や不均一性が生じやすい、高濃度のポリアミック酸組成物でもこれらが改善されていることがわかる。
さらに本発明にかかるポリイミド無端ベルトは中間転写ベルトとして使用した場合、優れた特性を発現することもわかる。
本発明の画像形成装置の具体例の一つを示す模式断面図である。
符号の説明
1 画像形成装置
2 画像処理装置
3 ROS
4 回転多面鏡
5 f・θレンズ
6 反射ミラー
7 感光体ドラム
8 スコロトロン
9 現像装置
10 転写前帯電器
11 中間転写ベルト
12 一次転写ロール
13 駆動ロール
14a 従動ロール
14b テンションロール
15 バックアップロール
16 記録シート
17 二次転写ロール
18 給紙カセット
18a フィードロール
19 中間転写ベルトクリーニングユニット
20 感光体クリーニングユニット
21 現像剤収納部
22 搬送ロール
23 レジストロール
24 搬送ベルト
25 定着装置

Claims (5)

  1. γ−ブチロラクトンと、N−メチル−2−ピロリドンとの混合溶媒と、
    ポリアミック酸構造を含むポリマーと、
    3級アミンと、
    カルボン酸無水物と、
    を含有することを特徴とするポリアミック酸組成物。
  2. さらに導電剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリアミック酸組成物をイミド化して得られたことを特徴とするポリイミド無端ベルト。
  4. 請求項に記載のポリイミド無端ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1又は2に記載のポリアミック酸組成物を成形型に塗布した後、乾燥・焼成工程を施してイミド化することを特徴とするポリイミド無端ベルトの製造方法。
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