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JP4331335B2 - ワタ繊維特性が改良されたワタ植物、その作出方法および該ワタ植物体からのワタ繊維の製造方法 - Google Patents

ワタ繊維特性が改良されたワタ植物、その作出方法および該ワタ植物体からのワタ繊維の製造方法 Download PDF

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JP4331335B2 JP21285899A JP21285899A JP4331335B2 JP 4331335 B2 JP4331335 B2 JP 4331335B2 JP 21285899 A JP21285899 A JP 21285899A JP 21285899 A JP21285899 A JP 21285899A JP 4331335 B2 JP4331335 B2 JP 4331335B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、野生株に比べて繊維特性が改良されたワタ繊維を生産するワタ植物、詳細には増加した繊維繊度(太さ)および繊維長均斉度(短繊維の含有率)などの繊維特性を有するワタ繊維を生産するワタ植物に関する。また、本発明は、該ワタ植物の作出方法および該ワタ植物からの繊維特性が改良されたワタ繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ワタ繊維はゴシピウム(Gossypium )属に属するワタ植物を栽培し、得られた朔果(コットンボール)より採取することにより製造される。ワタ繊維は種皮(seed coat)の表皮細胞(epidermal cell)が分化した単一細胞であり、伸長開始(initiation)、伸長(elongation)、二次細胞壁厚化(secondary cell wall thickening)および熟成(maturation)の4段階を経て生育する。より具体的には、ワタ繊維の伸長は、胚珠の表皮細胞が開花直後より繊維伸長を開始し、その後急速に繊維が伸長して開花後25日程度で伸長が完了する。それ以後、繊維の伸長は停止し二次細胞壁が生成され、熟成を経て成熟した1本のワタ繊維になる。
【0003】
ワタ植物には多くの品種があり、それぞれ異なった繊維特性を有するワタ繊維が得られ、各種用途に応じて使い分けられている。繊維特性を示す種々の特性パラメータがあるが、特に重要なものとして繊維長、繊度、強度、繊維長均斉度が挙げられる。従来より、ワタ繊維の特性を改良するために多大な努力がなされてきたが、その繊維特性を改良する中心は繊維長と繊度であった。その中でも、より長く細い繊維が望まれてきた。このような繊維特性を有する品種としては海島綿が有名であるが、生産性が低く、大変高価である。もし、海島綿と同等以上の繊維特性を有するワタ繊維をより高い生産性で得ることができれば、産業上非常に有益である。
【0004】
繊維特性の改良および/または生産性の向上を図る手段としては、大きく分けて、(1)交配による品種改良、(2)植物ホルモンによる処理および(3)遺伝子組換え技術を利用した品種改良の3つが挙げられる。
【0005】
交配による品種改良は、従来最も広く使われてきたもので、現在のワタ植物の栽培品種はこの方法により育種されてきた。しかしながら、この方法は近縁の種からしか有用形質を導入することができないため、多くの時間を要する割に変化の程度が低く、特にワタ繊維特性あるいはワタ繊維の収量に関しては、顕著な改良はあまり期待できない。
【0006】
オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレンのような植物ホルモンが農作物や園芸植物の生長調節に幅広く実用化されている。ワタ植物の繊維特性、中でも繊維伸長メカニズムに対する植物ホルモンの影響は、ジベレリン、オーキシン、ブラシノステロイド等で知られているが、実際には、産業上利用可能な程度に十分な効果は得られておらず、実用化に至っていないのが現状である。
【0007】
一方、近年、植物育種の分野での遺伝子組換え技術の発達はめざましいものがあり、種々の植物(例えば、ワタ、ダイズ、トウモロコシ、トマト等)において、特定の有用外来遺伝子を導入・発現させることにより、その植物に目的の有用形質を付与することに成功した例が数多く報告されている。
【0008】
ワタ植物でも、BT毒素[バチルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)が産生する殺虫性蛋白毒素]遺伝子を導入した耐虫性組換えワタや、5−エノールピルビルシキミ酸−3−燐酸合成酵素遺伝子を導入した除草剤(グリフォセート)耐性組換えワタ等が開発され、既に商品化されている(米国での組換えワタの作付面積シェアは既に過半数に達したといわれている)。
【0009】
同様にして、害虫抵抗性遺伝子や除草剤耐性遺伝子の代わりに、ワタ繊維の形成や伸長に関与する遺伝子をワタ植物に導入して大量発現させることにより、その繊維特性あるいは生産性が飛躍的に向上することが期待される。また逆に、アンチセンス遺伝子を組込んで内在性遺伝子の働きを抑制することにより、繊維特性を変化させることも理論的には可能である。このような遺伝子工学的手法を用いた方法は、従来の交配・選抜による育種に比べて、短期間のうちに、繊維の伸長や形成をより確実に制御し得るものと期待される。
【0010】
しかしながら、遺伝子組換え技術により所望の繊維特性を有するワタ繊維を取得するには、繊維の伸長や形成のメカニズムを遺伝子レベルで明らかにし、それらのメカニズムに密接に関与する遺伝子を決定することが不可欠であるが、現時点ではそのような遺伝子に関する分子生物学的知見は非常に乏しい。植物の細胞伸長についてはこれまで多くの研究がなされているものの、その制御要因にはなお不明な点が多く、現在に至るまでその制御機構は解明されていない。
【0011】
もっとも、ワタ繊維の伸長や形成に関与する遺伝子に関する報告が皆無というわけではない。例えば、Johnらはディファレンシャルスクリーニンング法(Differential Screening)により開花15日目と24日目の繊維組織にプレファレンシャルに発現しているE6遺伝子(Maliyakal E. John and Laura J. Crow, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 5769-5773 (1992) )や二次細胞壁形成時に活発に働くプロリンリッチなタンパク質をコードするH6遺伝子(Maliyakal E. John and Greg Keller, Plant physiol., 108, 669-676 (1995))を単離した。さらに、JohnはE6遺伝子をアンチセンス型でワタ植物に導入し、内在性E6遺伝子の発現レベルを抑制し、E6遺伝子のワタ繊維特性に及ぼす効果を調べた(Maliyakal E. Jhon, Plant Molecular Biology, 30, 297-306 (1996))。しかし、繊維組織中のE6RNAの発現レベルは低下したにもかかわらず、繊維長、強度、繊度は有意に変化しなかったと報告し、E6遺伝子はワタ繊維の発達に重要ではないと結論づけている。
一方、Songらはディファレンシャルデイスプレイ法(Differential Display)によりワタ繊維組織に特異的に発現するアシルキャリヤータンパク質(ACP)をコードするcDNAをワタ植物から同定した(Ping Song, Randy D. Allen, Biochimica et Biophysica Acta, 1351, 305-312 (1997))。また、ワタ繊維のセルロース合成に関する遺伝子としてセルロース合成酵素の触媒サブユニットのcDNAが単離されている(Julie R. Pear, Yasushi Kawagoe, et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 12637-12642 (1996) )。
【0012】
さらに、繊維特性への関与が示唆される遺伝子を導入した組換えワタ植物の作出例もいくつか報告されている。例えば、米国Agracetus 社は、繊維特異的に発現する遺伝子のプロモーターの下流に、胚珠および繊維の発達と関連があると考えられるペルオキシダーゼ遺伝子を繋いでワタ植物に導入することにより、繊維強度が向上したワタ繊維を生産する組換えワタ植物を開発したと報告している(国際公開WO95/08914号公報)。また、本発明者らは、ディファレンシャルスクリーニング法とディファレンシャルディスプレイ法により、ワタ繊維伸長時に特異的に発現する5種類の遺伝子をワタ植物から単離・同定し(特開平9−75093号公報)、そのうちの1つであるKC22遺伝子をワタ植物に導入することにより、繊維長が向上したワタ繊維を生産する組換えワタ植物を取得している。
【0013】
しかしながら、ワタ繊維の形成・伸長時に特異的に発現する遺伝子は、上記のように未だごくわずかしか単離されておらず、ましてや、それら繊維特異的遺伝子のうちのどの遺伝子が、繊維長、繊維強度、繊度、繊維長均斉度等のワタ繊維特性の各パラメータの決定に重要な役割を果たしているかについては、ほとんど解明されていないのが現状である。さらに、繊維繊度や繊維長均斉度等の特性パラメータが改良されたワタ繊維を生産する組換えワタ植物は未だに報告されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ワタ繊維の伸長や形成に関与する遺伝子、特に繊維繊度(繊維の太さ)および繊維長均斉度(短繊維の含有率)等のワタ繊維特性の決定に重要な役割を果たす遺伝子をスクリーニングし、該遺伝子の発現を人為的に制御することによって、上記のワタ繊維特性が改良された組換えワタ植物を作出することである。また、本発明の目的は、該ワタ植物からの繊維特性が改良されたワタ繊維の製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意努力した結果、カタラーゼ遺伝子をワタ植物に導入してワタ繊維中で過剰発現させることによって、ワタ繊維の繊度や繊維長均斉度等の特性パラメータが改良されることを見出し、さらに、この組換えワタ植物からワタ繊維を収穫・単離することにより、繊維特性が改良されたワタ繊維を製造することに成功して本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を安定に保持し、且つ野生株に比べて改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産する、ゴシピウム属に属するワタ植物、特に、ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を含む発現ベクターで該野生株を形質転換して得られるトランスジェニック植物である当該ワタ植物。
2.該カタラーゼ遺伝子についてホモ接合体である上記ワタ植物、特に、種子の形態である当該ワタ植物。
3.上記ワタ植物から得られる、野生株に比べて改良された繊維特性を有するワタ繊維。
4.ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を含む発現ベクターで、ゴシピウム属に属するワタ植物野生株の細胞を形質転換する工程を含む、該野生株に比べて改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産するワタ植物の作出方法、特に、該形質転換細胞から植物体を再生する工程をさらに含む当該方法。
5.以下の工程:
(1) ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を含む発現ベクターで、ゴシピウム属に属するワタ植物野生株の細胞を形質転換し、
(2) 該形質転換細胞から、該野生株に比べて改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産するワタ植物体(R0)を再生し、
(3) 該植物体から自家受粉により種子を採取し、および
(4) 該種子を栽培して得られるワタ植物体(R1)から自家受粉により得られる種子における該カタラーゼ遺伝子の分離比を検定する
を含む、該カタラーゼ遺伝子についてホモ接合体である、該野生株に比べて改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産する形質が固定されたワタ植物の作出方法。
6.上記いずれかのワタ植物の自家受粉により得られる種子を採取し、該種子の種皮からワタ繊維を分離する工程を含む、野生株に比べて改良された繊維特性を有するワタ繊維の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のワタ植物は、ゴシピウム(Gossypium )属に属し、ワタ繊維を生産する植物に由来するものであれば特に限定されず、例えば、ゴシピウム・ヒルスツム(G. hirsutum )、ゴシピウム・バルバデンセ(G. barbadense )、ゴシピウム・アルボレウム(G. arboreum )、ゴシピウム・アノマルム(G. anomalum )、ゴシピウム・アルムリアヌム(G. armourianum)、ゴシピウム・クロッツキアヌム(G. klotzchianum )、ゴシピウム・ヘルバケウム(G. herbaceum)、ゴシピウム・レモンデイ(G. raimondii)等のワタ植物由来のものが挙げられる。
【0018】
ここで「ワタ植物」は、熟成したワタ繊維を朔果中に含む植物体の他、ワタ繊維形成中または形成前であっても、最終的には該植物体と同等のワタ繊維を生産し得る生育中のワタ植物体、該未成熟ワタ植物体へと分化する能力を有するワタ植物細胞または組織、並びに該ワタ植物体から採取される種子(但し、該種子を栽培して得られる植物体は親と同等のワタ繊維を生産する)をすべて包含する。
【0019】
本発明において「野生株」とは、外因性カタラーゼ遺伝子をゲノム上に有しないあらゆるワタ植物を意味する。したがって、いわゆる野生種のほか、通常の交配によって樹立された栽培品種、それらの自然または人工変異体、並びにカタラーゼ以外の外因性遺伝子を導入されたトランスジェニックワタ植物などをすべて包含する。
【0020】
本発明において「改良された繊維特性を有するワタ繊維」とは、例えば、繊維長、繊度、繊維強度、繊維長均斉度等の、繊維特性の評価に通常使用される各種パラメータの少なくとも1つが、野生株に比べて改善されたワタ繊維を意味する。好ましくは、本発明のワタ植物は、繊維繊度および繊維長均斉度のうちの少なくとも1つの特性パラメータが、野生株に比べて向上したワタ繊維を生産する。より好ましくは、本発明のワタ植物は、繊維繊度および繊維長均斉度の両方が野生株に比べて向上したワタ繊維を生産する。
【0021】
本発明のワタ植物は、これらのゴシピウム属のワタ植物野生株に、遺伝子工学的手法により外因性カタラーゼ遺伝子が導入され、且つ安定に保持されたものである。ここで「安定に保持される」とは、少なくともカタラーゼ遺伝子が導入された当代の植物体が生産するワタ繊維中で該カタラーゼ遺伝子が発現し、それによってワタ繊維の繊維特性を改良するに十分な期間、該ワタ植物細胞内に保持されることをいう。したがって、現実的には、該カタラーゼ遺伝子は宿主ワタ植物の染色体上に組み込まれる必要がある。該カタラーゼ遺伝子は次世代に安定に遺伝することがより好ましい。
【0022】
植物のカタラーゼの多くはミクロボディーに局在し、代謝上産生される毒性のH2 2 を水と酸素に分解する無毒化酵素である。しかし、植物におけるその機能は十分に明らかになっていない。カタラーゼが植物の低温適応性や病原菌抵抗性(Sanchez-Casas, P. and Klessing, D. F. Plant Physiol., 106, 1675-1679 (1994), Prasad, T. K., Anderson, M. D., et al, Plant Cell, 6, 65-74 (1994) )に関与しているという報告はあるが、カタラーゼとワタ植物の繊維特性との関連についてはこれまで報告がなされていない。
【0023】
本発明において「カタラーゼ遺伝子」とは、過酸化水素の分解反応(2H2 2 →O2 +2H2 O)を触媒する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAである。該カタラーゼ遺伝子の由来に特に制限はなく、既にクローニングされ容易に入手可能なカタラーゼ遺伝子を使用することができる。該カタラーゼ遺伝子はmRNA(またはcDNAライブラリー)から得られたcDNAであっても、ゲノミックDNAライブラリーから得られたゲノミックDNAであっても、あるいは化学合成によるものであってもよい。好ましくは、カタラーゼ遺伝子は植物由来、より好ましくはエンドウ由来の遺伝子である(後記参考例1に、エンドウ由来カタラーゼcDNAのクローニング手順を示す)。
【0024】
本発明において使用されるカタラーゼ遺伝子の好ましい例として、配列表配列番号1に示される塩基配列中塩基番号57〜1541で示される塩基配列を有するDNA、もしくは該配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列を有し、且つ該配列と同等のカタラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、特定カタラーゼ遺伝子配列にコードされるカタラーゼと同等のカタラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列のみが該特定配列とハイブリッド(いわゆる特異的ハイブリッド)を形成し、同等の活性を有しないポリペプチドをコードする塩基配列は該特定配列とハイブリッド(いわゆる非特異的ハイブリッド)を形成しない条件を意味する。当業者は、ハイブリダイゼーション反応および洗浄時の温度や、ハイブリダイゼーション反応液および洗浄液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。具体的には、6×SSC(0.9M NaCl,0.09M クエン酸三ナトリウム)または6×SSPE(3M NaCl,0.2M NaH2 PO4 ,20mM EDTA・2Na,pH7.4)中42℃でハイブリダイズさせ、さらに42℃で0.5×SSCにより洗浄する条件が、本発明のストリンジェントな条件の1例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明の「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列」は、任意のDNAプール(例えば、カタラーゼ産生細胞・組織由来のcDNAもしくはゲノミックDNAライブラリー)について、配列番号1の塩基配列を有するDNAをプローブとしてストリンジェントな条件でハイブリダイゼーション反応を行うことにより取得することができる。
【0026】
また、ここで「外因性」とは、ワタ植物が生来有しておらず、外部より導入されたものを意味する。したがって、本発明の「外因性カタラーゼ遺伝子」は、遺伝子操作により外部より導入される、宿主ワタ植物と同種の(すなわち、該宿主ワタ植物由来の)カタラーゼ遺伝子であってもよい。コドン使用(codon usage )の同一性を考慮すれば、宿主由来のカタラーゼ遺伝子の使用もまた好ましい。
【0027】
外因性カタラーゼ遺伝子はいかなる遺伝子工学的手法によってワタ植物に導入されてもよく、例えば、カタラーゼ遺伝子を有する異種植物細胞とのプロトプラスト融合、カタラーゼ遺伝子を発現するように遺伝子操作されたウイルスゲノムを有する植物ウイルスによる感染、あるいはカタラーゼ遺伝子を含有する発現ベクターによる宿主ワタ植物細胞の形質転換が挙げられる。
【0028】
しかしながら、好ましくは、本発明のワタ植物は、ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を含む発現ベクターで、ワタ植物野生株の細胞を形質転換することにより得られる、トランスジェニック植物である。
【0029】
ワタ繊維中で機能し得るプロモーターとしては、植物細胞で構成的に発現する遺伝子のプロモーター、好ましくは植物または植物ウイルス由来の構成的プロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、CaMV19Sプロモーター、NOSプロモーター等)、およびワタ繊維の形成および伸長時に特異的に発現するワタ植物内在のプロモーターが挙げられる。このようなワタ繊維特異的プロモーターとしては、国際公開WO95/08914号公報に記載される種々のプロモーター等が挙げられる。
【0030】
本発明の発現ベクターにおいて、外因性カタラーゼ遺伝子は、ワタ繊維中で機能し得るプロモーターによりその転写が制御されるように、該プロモーターの下流に配置される。該カタラーゼ遺伝子の下流には、ワタ繊維中で機能し得る転写終結シグナル(ターミネーター領域)がさらに付加されていることが好ましい。このようなターミネーターとしては、例えば、NOS(ノパリン合成酵素)遺伝子ターミネーター等が挙げられる。
【0031】
ワタ繊維の伸長には細胞壁の発達を伴うので、繊維伸長に関与する遺伝子は細胞壁およびその近傍で活性を発現することが好ましいと予測される。したがって、導入されるべき外因性カタラーゼ遺伝子がワタ植物細胞で認識される細胞壁移行シグナルのコード配列を有していない場合、プロモーターと成熟カタラーゼのコード配列との間に該シグナルペプチドのコード配列を挿入することが望ましい。このようなシグナル配列としては、ワタ植物由来ペルオキシダーゼのシグナル配列等が好ましく例示される。
【0032】
本発明の発現ベクターは、エンハンサー配列等のシス調節エレメントをさらに含んでいてもよい。また、該発現ベクターは、薬剤耐性遺伝子マーカー等の形質転換体選択のためのマーカー遺伝子、例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NPTII)遺伝子、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)遺伝子、グリフォセート耐性遺伝子等をさらに含むことが望ましい。選択圧をかけない条件下では、組み込まれた遺伝子が脱落する現象が起こる場合があるので、除草剤耐性遺伝子をベクター上に共存させておけば、栽培中該除草剤を使用することにより、常に選択圧がかかった条件を実現できるという利点もある。
さらに、大量調製および精製を容易にするために、該発現ベクターは、大腸菌での自律複製を可能にする複製起点および大腸菌での選択マーカー遺伝子(例えばアンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子等)を含むことが望ましい。本発明の発現ベクターは、簡便には、pUC系またはpBR系の大腸菌ベクターのクローニング部位に上記カタラーゼ遺伝子の発現カセットと必要に応じて選択マーカー遺伝子を挿入することにより構築することができる。
【0033】
アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens )やアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)による感染を利用して外因性カタラーゼ遺伝子を導入する場合には、該細菌が保持するTiまたはRiプラスミド上のT−DNA領域(植物染色体に転移する領域)内に該カタラーゼ遺伝子の発現カセットを挿入して用いることができる。現在、アグロバクテリウム法による形質転換の標準的な方法ではバイナリーベクター系が使用される。T−DNA転移に必要な機能は、T−DNA自身とTi(またはRi)プラスミドの両者から独立に供給され、それぞれの構成要素は別々のベクター上に分割できる。バイナリープラスミドはT−DNAの切り出しと組込みに必要な両端の25bpボーダー配列を有し、クラウンゴール(または毛状根)を引き起こす植物ホルモン遺伝子が除去されており、同時に外来遺伝子の挿入の余地を与えている。このようなバイナリーベクターとして、例えばpBI101やpBI121(ともにCLONTECH社)などが市販されている。なお、T−DNAの組込みに作用するvir 領域は、ヘルパープラスミドと呼ばれる別のTi(またはRi)プラスミド上にあってトランスに作用する。
【0034】
ワタ植物の形質転換には、従来公知の種々の方法を使用することができる。例えば、セルラーゼやヘミセルラーゼなどの細胞壁分解酵素処理により、ワタ植物の細胞からプロトプラストを単離し、該プロトプラストと上記カタラーゼ遺伝子の発現カセットを含む発現ベクターとの懸濁液にポリエチレングリコールを加えてエンドサイトーシス様の過程で該発現ベクターをプロトプラスト内に取り込ませる方法(PEG法)、ホスファチジルコリン等の脂質膜小胞内に超音波処理等により発現ベクターを入れ、該小胞とプロトプラストをPEG存在下に融合させる方法(リポソーム法)、ミニセルを用いて同様の過程で融合させる方法、プロトプラストと発現ベクターの懸濁液に電気パルスを印加して外液中のベクターをプロトプラスト内に取り込ませる方法(エレクトロポーレーション法)が挙げられる。しかしながら、これらの方法は、プロトプラストから植物体へ再分化させる培養技術を必要とする点で煩雑である。細胞壁を有するインタクトな細胞への遺伝子導入手段としては、マイクロピペットを細胞に刺し込み、油圧やガス圧でピペット内のベクターDNAを細胞内に注入するマイクロインジェクション法、およびDNAをコーティングした微小金属粒子を火薬の爆発やガス圧を利用して加速し、細胞内に導入するパーティクルガン法等の直接導入法と、アグロバクテリウムによる感染を利用した方法とがある。マイクロインジェクションは操作に熟練を要し、また、扱える細胞数が少ないという欠点がある。したがって、操作の簡便性を考慮すれば、アグロバクテリウム法およびパーティクルガン法によりワタ植物を形質転換することが好ましい。パーティクルガン法は、栽培中の植物の頂端分裂組織に直接遺伝子を導入することが可能である点でさらに有用である。また、アグロバクテリウム法において、バイナリーベクターに植物ウイルス、例えばトマトゴールデンモザイクウイルス(TGMV)等のジェミニウイルスのゲノムDNAをボーダー配列の間に同時に挿入することにより、栽培中の植物の任意の部位の細胞に注射筒などを用いて菌懸濁液を接種するだけで、植物体全体にウイルス感染が拡がり、同時に目的遺伝子も植物体全体に導入される。
【0035】
但し、パーティクルガン法やアグロバクテリウム法では、遺伝子導入がキメラとなる場合が多いので、生殖系列(germ line )の細胞に高頻度にカタラーゼ遺伝子が導入されるような試料細胞を、形質転換のために使用する必要がある。例えば、胚、胚軸切片、胚形成カルス(embryogenic callus)、単離した生長点等が挙げられる。一方、プロトプラストを用いる上記の各形質転換法およびマイクロインジェクション法は、単一の細胞からの再分化植物の選択が可能なので、全細胞にカタラーゼ遺伝子が導入されたホモジニアスなトランスジェニック植物を取得するという観点からは優れた形質転換手段といえる。
【0036】
以下に、具体例として、ワタ植物における、アグロバクテリウムによる目的遺伝子の導入および形質転換細胞の植物体への再生法を示す。
ワタ植物の種子を常法に従って、Stewart の種子発芽用培地(Stewart の濃縮物、0.75g/L MgCl2 、2.0g/L ファイタジェル、pH6.8)に播種し、無菌的に栽培する。一方で、プロモーターに目的遺伝子が接続され、且つカナマイシン耐性遺伝子を有するプラスミドにより形質転換したアグロバクテリウムを培養し、MSNH(MS無機塩類、30g/L グルコース、pH5.8)で希釈したものをチューブに分注しておく。発芽したワタの幼植物体から胚軸を切り出し、胚軸切片を上記の菌希釈液に浸して感染させる。アグロバクテリウムに感染させた胚軸切片を滅菌した濾紙上においてアグロバクテリウム希釈液を取り除き、T2プレート(MS無機塩類、0.75g/L MgCl2 、0.1mg/L 2,4−D、0.5mg/L カイネチン、30g/L グルコース、2.0g/L ファイタジェル、pH5.8)上で3日間共存培養する。共存培養した胚軸をMS2NKKCLプレート(MS無機塩類、0.75g/L MgCl2 、30g/L グルコース、2mg/L ナフタレン酢酸、0.1mg/L カイネチン、2.0g/L ファイタジェル、50μg/ml カナマイシン、500μg/ml セフォタキシム、pH5.8)上に移し、3〜4週間カルス培養を行う。約4mmサイズのカルスが観察されたら胚軸からカルスを取り除き、新鮮なMS2NKKCLプレートに移しさらに増殖させる。約1cmサイズのカルスになるまで十分に増殖させた後、胚誘導用のカナマイシン含有MSNH液体培地に移し、液体懸濁培養を開始する。液体懸濁培養はわずかに球状でライトグリーン色の細胞が肉眼で観察できるまで行う。十分に増殖した細胞を含む懸濁培養液をMKNHで希釈し、MSK50Kプレート(MS無機塩類、0.75g/L MgCl2 、1.9g/L KNO3 、30g/L グルコース、2.0g/L ファイタジェル、50μg/ml カナマイシン、pH5.8)に移し、プレートに広げて胚形成を行う。少なくとも約1mmサイズの胚が形成されるまで培養を続け、発芽培地であるSAプレート(Stewart の濃縮物、20g/L スクロース、20g/L 寒天、pH6.8)に移す。数週間培養を続け発根が観察されたら根を取り除いて胚をSGAプレート(Stewart の濃縮物、5g/L スクロース、0.75g/L MgCl2 、5g/L 寒天、1.5g/L ファイタジェル、pH6.8)に移し、本葉が観察されるまで培養を続ける。最初の本葉が観察されたら、ワタの幼植物体をSGA培地を含んだパイントサイズの缶詰ビンに移植することができる。ワタの幼植物体の背丈が10cmになり、数枚の本葉が観察されたら適当なポットに定植し温室で栽培することができる。このようにして得られたワタの形質転換体から種子やワタ繊維を得ることができる。
【0037】
この形質転換体より、常法に従ってゲノミックDNAを抽出し、このDNAを適当な制限酵素で切断し、導入した目的遺伝子をプローブに用いてサザンハイブリダイゼーションを行ない、形質転換の有無を確認することができる。また、目的遺伝子を特異的に増幅するプライマーを合成して、PCR法により形質転換の有無を確認することもできる。
また、形質転換体や、非形質転換体より、常法に従ってRNAを抽出し、導入した目的遺伝子のセンス、若しくはアンチセンス配列を有するプローブを作成し、これらのプローブを用いてノザンハイブリダイゼーションを行い、目的遺伝子の発現の状態を調べることができる。
【0038】
このようにして得られるトランスジェニックワタ植物の自家受粉により得られる種子から分化するワタ繊維には、野生株から得られるワタ繊維に比べて繊維特性が改良されたものが、外因性カタラーゼ遺伝子の組込み様式に応じて統計的に一定の比率で含まれる。好ましくは、該ワタ繊維は、少なくとも繊維繊度または繊維長均斉度のいずれかのパラメータ、より好ましくは、両方のパラメータが向上した繊維特性を有する。さらに好ましくは、該ワタ繊維は、さらに繊維長や繊維強度が野生株と比較して向上した繊維特性を有する。
【0039】
再分化当代(R0)植物体の自家受粉により得られるR1種子から分化するワタ繊維における、該改良された繊維特性の出現比率は、通常メンデル則に従う。例えば、該カタラーゼ遺伝子が一遺伝子座にヘテロに(heterozygous)組み込まれた場合、R1種子では改良されたワタ繊維特性は3:1の割合で分離する。改良された繊維特性を有するワタ繊維を分化させたR1種子を栽培し、自家受粉させて得られるR2種子において、改良されたワタ繊維特性がすべての種子で保持されていれば、該R1植物は導入されたカタラーゼ遺伝子についてホモ接合体(homozygote)であり、該ワタ繊維特性が3:1に分離すれば、該R1植物は導入されたカタラーゼ遺伝子についてヘテロ接合体(heterozygote)であると決定できる。
【0040】
このようにして選抜された、導入されたカタラーゼ遺伝子についてホモ接合体であるワタ植物は、改良されたワタ繊維特性が固定された系統として、種子産業の分野において極めて有用である。
【0041】
本発明はまた、上記のようにして得られる、改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産するワタ植物から、該ワタ繊維を製造する方法を提供する。
選抜された系統のワタ種子を用いて、閉鎖系温室または隔離圃場で栽培試験を行うことができる。栽培試験は選抜したワタ種子を常法に従って播種し、ワタ植物を生長させて開花後、自家受粉を行い朔果を得、開じょした朔果から種子を採取することができる。
【0042】
採取した種子について常法に従ってマシンジニングを行うことにより、ワタ繊維を単離することができる。得られたワタ繊維について、例えばソーター法やプレスレー法、ステロメーター法およびHVI(大量高速検品機)システム法等を用いてワタ繊維特性の評価を行うことができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0044】
参考例1 エンドウ由来カタラーゼcDNAの単離
cDNAクローニングは、Plant Mol. Biol., 17, 1263-1265 (1991)の本文第1263頁左欄第18行〜右欄第15行に記載の方法に従った。
(1)cDNAライブラリーの構築
発芽10日目のエンドウ(Pisum sativum )の苗から葉を採取し、常法にしたがってpoly(A)+ RNAを抽出した。単離したpoly(A)+ RNAを鋳型として、オリゴ(dT)プライマーと逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、ポリメラーゼ反応によって2本鎖化したものをベクターに挿入し、大腸菌を形質転換することにより、cDNAライブラリーを作製した。poly(A)+ RNAの単離、cDNAの合成は、市販のcDNAクローニングキットを用い、添付のプロトコールにしたがって行った。
【0045】
(2)プラークハイブリダイゼーション法による目的遺伝子のスクリーニング
上記方法で作製したcDNAライブラリーのファージプラークからレプリカしたフィルターに、ワタ植物由来のカタラーゼ遺伝子(Ni W., Turley R. B., Trelease R. N., Biochim. Biophys. Acta., 1049, 219-222 (1990))cDNAを、放射性同位元素である32Pで標識したものをプローブとしてハイブリダイズさせ、陽性を示すシグナルを検出することにより、目的遺伝子のcDNAを選抜した。クローン化されたcDNAの塩基配列の決定は、自動シーケンサーを用いてダイデオキシ法により決定した。得られた塩基配列を配列表配列番号1に示す。494アミノ酸をコードするORF(塩基番号57〜1541)が見出された。このエンドウ由来カタラーゼ遺伝子をCATと命名した。
【0046】
実施例1 ワタ植物の形質転換体の作製
(1)カタラーゼ遺伝子発現プラスミドの構築
CaMV35Sプロモーターと配列番号1に示したCAT遺伝子との間にワタ植物由来ペルオキシダーゼの細胞壁移行シグナル配列を挿入した。ベクター構築の手順を図1に示す。シグナル配列(S.S)は、ワタ植物由来cDNAライブラリーから、XhoIとBamHIの制限酵素サイトを付加した特異的プライマーを用いて常法に従ってPCRで増幅し、pRTL2ベクターにサブクローニングした。次に、CAT遺伝子をBamHIとHindIII で切断したフラグメント1(Fr.1)、HindIII とEcoRIで切断したフラグメント2(Fr.2)、EcoRIとXbaIで切断したフラグメント3(Fr.3)に分割した。シグナル配列にフラグメント1を連結し、さらにフラグメント2を連結した。フラグメント3は、pRTL2ベクターの35Sプロモーター配列(35S pro)とターミネーター配列(ter)の間に挿入した。シグナル配列とフラグメント1と2が連結した断片をXhoIとEcoRIで切断し、35Sプロモーターとフラグメント3の間にサブクローニングした。次に、このクローンをPstIで切断し、BamHIアダプターを使ってカナマイシン耐性遺伝子(nptII)の発現カセット(Nos pro−nptII−ter)を含むバイナリーベクターpBIN19にサブクローニングした。このプラスミドをpBIN35S−S.S−CATと命名した。なお、該プラスミドで形質転換された大腸菌JM109を、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)JM109/pBIN35S−S.S−CATと命名した。
【0047】
(2)プラスミドのアグロバクテリウムへの導入
上記(1)で得られたエシェリヒア・コリJM109/pBIN35S−S.S−CATと、ヘルパープラスミドpRK2013を持つエシェリヒア・コリHB101株とを、それぞれ50μg/mlカナマイシン含有LB培地で37℃、1晩、また、アグロバクテリウムEHA101株を50μg/mlカナマイシン含有LB培地で37℃、2晩培養した。各培養液1.5mlをエッペンドルフチューブに取り遠心して集菌した後、LB培地で洗浄した。これらの菌体を1mlのLB培地に懸濁後、各懸濁液100μlを別のチューブに入れて3つの菌を混合し、これをLB寒天培地にまき、28℃で培養して2種のプラスミドをアグロバクテリウムに接合伝達させた。1〜2日後にコロニーの一部を白金耳で掻き取り、50μg/mlカナマイシン含有LB寒天培地上に塗布した。28℃で2日間培養した後、単一コロニーを選択した。得られた形質転換体をEHA101/pBIN35S−S.S−CATと命名した。
【0048】
(3)種子殺菌と発芽
ワタ植物(G.ヒルスツム 栽培品種コーカー312)の種子を70%エタノール中で30秒間放置した。種子を回収し、100mlの滅菌水で洗浄した。続いて殺菌液(Clorox/Tween20)に浸し、20分間振とう(110rpm)した。種子を回収し、100mlの滅菌水で洗浄後、約30〜60分間かけて種子を滅菌水で十分に洗浄した。殺菌した種子を種子発芽培地プレート(Stewart の濃縮物、0.75g/L MgCl2 、2.0g/L ファイタジェル、pH6.8)に置床した。このプレートを30℃にて7〜10日間培養した。
【0049】
(4)アグロバクテリウムの感染
(3)で得られたワタ幼植物を取り出し、メスで子葉と根を取り除き、6〜8mmサイズの胚軸を切り出した。上記(2)で得られた形質転換したアグロバクテリウムを30℃で24時間培養し、培養液をMSNH(MS無機塩類、30g/L グルコース、pH5.8)で19倍希釈した。希釈した培養液に胚軸切片を30秒間浸した。2枚重ねた滅菌濾紙上に胚軸を並べ、余分な水分を除き、T2プレート(MS無機塩類、0.75g/L MgCl2 、0.1mg/L 2,4−D、0.5mg/L カイネチン、30g/L グルコース、2.0g/L ファイタジェル、pH5.8)に各々並べた。T2プレートは暗黒下、室温で3日間共存培養した。共存培養した胚軸をMS2NKKCLプレート(MS無機塩類、0.75g/L MgCl2 、30g/L グルコース、2mg/L ナフタレン酢酸、0.1mg/L カイネチン、2.0g/L ファイタジェル、50μg/ml カナマイシン、500μg/ml セフォタキシム、pH5.8)に移し、乾燥を防ぐためにパラフィルムでシールして明条件下、30℃で培養した。
【0050】
(5)カルス形成
胚軸をMS2NKKCLプレート上で培養し、1ヶ月毎に新しいプレートに移した。形質転換したカルスが約3〜4週間後に出現した。約4mmサイズのカルスになるまで培養し、胚軸からメスで切り出し新鮮なMS2NKKCLプレートに移した。約1cmサイズのカルスになるまで十分に増殖(3〜5ヶ月間必要)させた。
【0051】
(6)胚形成
十分に増殖したカルスをカナマイシン(250μg/ml)を含む10mlのMSNH液体培地を加えた50mlサイズの培養フラスコに移し、液体懸濁培養を行った。液体懸濁培養は、明条件下、30℃での振とう(110rpm)培養により、約2〜8週間にわたって行った。培養液中に球状でライトグリーン色の細胞が観察された後、培養液を50mlの滅菌チューブに移し、細胞をチューブの底に集めた。上澄みのMSNH液体培地を取り除き、約20〜30mlの新鮮なMSNH液体培地を加えて細胞を洗浄した。この操作を2回行った。細胞をチューブの底に集め、0.5mlの細胞に対して9.5mlのMSNH液体培地を加え細胞希釈液を作製した。細胞希釈液を2mlづつ分取し、各々MSK50プレート(MS無機塩類、0.75g/L MgCl2 、1.9g/L KNO3 、30g/L グルコース、2.0g/L ファイタジェル、、50μg/ml カナマイシン、pH5.8)に移してプレート上にまんべんなく広げた。プレートは乾燥を防ぐためにパラフィルムでシールし、明条件下、30℃でインキュベートした。体細胞胚の発達状況を確認したところ、約3週間後にはプレート上に体細胞胚が幾つか観察された。出現した体細胞胚を少なくとも1mmサイズまで発達させ、SAプレート(Stewart の濃縮物、20g/L スクロース、20g/L 寒天、pH6.8)に移した。
【0052】
(7)形質転換植物の再生
SAプレートをパラフィルムでシールし、暗黒下、30℃で約2週間インキュベートした。2週間後、根をメスで切り落とし、胚をSGAプレート(Stewart の濃縮物、5g/L スクロース、0.75g/L MgCl2 、5g/L 寒天、1.5g/L ファイタジェル、pH6.8)に移した。SGAプレートはパラフィルムでシールせずに、明条件下、30℃でインキュベートした。発芽した胚は本葉が出現するまでSGAプレートでインキュベートした。本葉が観察された幼植物をパイントサイズの缶詰ビンに移植した。背丈が約10cm、本葉が数枚観察された形質転換体をポットに移し換え温室で育成した。再生した形質転換体および該形質転換体から得られたR1種子から生育させたR1植物体についてサザンハイブリダイゼーションとノザンハイブリダイゼーション解析を行い、目的のカタラーゼ遺伝子が安定に組み込まれ、且つ発現している形質転換体を確認した。
【0053】
実施例2 形質転換体の野外試験
(1)目的遺伝子が導入されている系統(セルライン)の選抜
実施例1で作製した形質転換体について、1996〜1997年にわたりテキサス工科大学付属の閉鎖系温室で栽培試験を実施し、ノザン解析による目的遺伝子の導入確認と得られたワタ繊維の特性評価を行った。その結果から、確実に目的のカタラーゼ遺伝子が導入され、且つ該遺伝子を発現しているセルラインを選抜した(表1)。
【0054】
【表1】
Figure 0004331335
【0055】
(2)隔離圃場での栽培試験(1998年5月〜12月に実施)
表1に記載したセルラインの種子と遺伝子組換えを行っていないコーカー312を供試材料として用いた。1998年5月20日に、テキサス工科大学付属の隔離圃場に播種した。1998年7月5日から、これらのワタ植物は開花を始め、受粉は自家受粉を行った。1998年7月〜9月にかけて栽培している全ての形質転換体から健全な若い葉を採取し、常法に従って導入した目的遺伝子をプローブにしてノザン解析を行い、目的遺伝子の発現を調べた。1998年9月から朔果が開じょし、乾燥後、胚珠を収穫した。Texas A & M Agricultural Experiment Station でマシンジニングを行い, ワタ繊維を種子から分離した。得られたワタ繊維について、(1)900HVIシステム(Spinlab社製)を用いて、繊維繊度、繊維長均斉度、繊維長および繊維強度を測定した。その結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
Figure 0004331335
【0057】
表2より明らかなように、エンドウ由来のカタラーゼ遺伝子であるCATが導入された形質転換体は、全てのセルラインで顕著に繊維繊度、繊維長均斉度および繊維強度が増大した。
以上の結果から、ワタ植物にエンドウ由来のカタラーゼ遺伝子であるCATを導入することによって、繊維繊度および繊維長均斉度等の繊維特性が有意に増大したワタ繊維を生産するワタ植物が得られることが明らかとなった。
【0058】
【発明の効果】
上述したように、本発明により、ワタ繊維における繊度、繊維長均斉度等の繊維特性の改良を行うことができる、例えば、繊度が改良されることにより糸の染色性が高まり、また、繊維長均斉度が改良されることにより糸の強度が高まる。したがって、本発明のワタ植物から採取されるワタ繊維により、織物品質の向上が可能となる。さらに本発明のワタ植物は、より優れたワタ繊維特性および/またはワタ繊維生産性を有する、さらに新規なワタ品種の作出のための植物材料としても利用することができる。
【0059】
【配列表】
Figure 0004331335
Figure 0004331335
Figure 0004331335
Figure 0004331335
Figure 0004331335

【図面の簡単な説明】
【図1】エンドウ由来カタラーゼ遺伝子の発現カセットを含むバイナリーベクターpBIN35S−S.S−CATの構築手順を示す図である。なお、図中の略語の意味は以下の通りである。S.S:ワタペルオキシダーゼ由来細胞壁移行シグナル配列,Fr.1:フラグメント1,Fr.2:フラグメント2,Fr.3:フラグメント3,35S pro:カリフラワーモザイクウイルス由来35Sプロモーター,ter:ターミネーター,NOS pro:ノパリン合成酵素プロモーター,nptII:ネオマイシンホスホトランスフェラーゼIIコード配列,S.S−CAT:ワタペルオキシダーゼ由来細胞壁移行シグナル配列とエンドウ由来カタラーゼcDNAの融合遺伝子,RB:ライトボーダー配列,LB:レフトボーダー配列,Xh:XhoI制限サイト,B:BamHI制限サイト,H:HindIII 制限サイト,E:EcoRI制限サイト,Xb:XbaI制限サイト,P:PstI制限サイト

Claims (17)

  1. ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子及び細胞壁移行シグナルのコード配列を安定に保持し、且つ野生株に比べて以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維特性が改良されたワタ繊維を生産する、ゴシピウム属に属するワタ植物
    (a)繊維強度;
    (b)繊維繊度;
    (c)繊維長均斉度
  2. 該ワタ植物が、ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を含む発現ベクターで該野生株を形質転換して得られるトランスジェニック植物である、請求項1記載のワタ植物。
  3. 該カタラーゼ遺伝子が植物由来である、請求項1または2記載のワタ植物。
  4. 該カタラーゼ遺伝子がエンドウ由来である請求項3記載のワタ植物。
  5. 該カタラーゼ遺伝子が以下の(a)または(b)の塩基配列を有するものである、請求項1または2記載のワタ植物。
    (a)配列表配列番号1に示される塩基配列中塩基番号57〜1541で示される塩基配列
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ上記(a)の配列を有する核酸がコードするポリペプチドと同等のカタラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列
  6. 該ワタ植物が、ゴシピウム・ヒルスツム、ゴシピウム・バルバデンセ、ゴシピウム・アルボレウム、ゴシピウム・アノマルム、ゴシピウム・アルムリアヌム、ゴシピウム・クロッツキアヌム、ゴシピウム・ヘルバケウムおよびゴシピウム・レモンデイからなる群より選択される植物由来である、請求項1〜5のいずれかに記載のワタ植物。
  7. 細胞壁移行シグナルが、ワタ植物由来ペルオキシダーゼのシグナル配列である、請求項1〜6のいずれかに記載のワタ植物。
  8. 該カタラーゼ遺伝子についてホモ接合体である請求項1〜のいずれかに記載のワタ植物。
  9. 種子の形態である請求項記載のワタ植物。
  10. ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を含む発現ベクターで、ゴシピウム属に属するワタ植物野生株の細胞を形質転換する工程を含む、該野生株に比べて以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種の改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産するワタ植物の作出方法
    (a)繊維強度;
    (b)繊維繊度;
    (c)繊維長均斉度
  11. 該形質転換細胞から植物体を再生する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
  12. 該カタラーゼ遺伝子が植物由来である、請求項10または11記載の方法。
  13. 該カタラーゼ遺伝子がエンドウ由来である、請求項12記載の方法。
  14. 該カタラーゼ遺伝子が、以下の(a)または(b)の塩基配列を有するものである、請求項10または11記載の方法。
    (a)配列表配列番号1に示される塩基配列中塩基番号57〜1541で示される塩基配列
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ上記(a)の配列を有する核酸がコードするポリペプチドと同等のカタラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列
  15. 該ワタ植物野生株が、ゴシピウム・ヒルスツム、ゴシピウム・バルバデンセ、ゴシピウム・アルボレウム、ゴシピウム・アノマルム、ゴシピウム・アルムリアヌム、ゴシピウム・クロッツキアヌム、ゴシピウム・ヘルバケウムおよびゴシピウム・レモンデイからなる群より選択される、請求項10〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 以下の工程:
    (1)ワタ繊維中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性カタラーゼ遺伝子を含む発現ベクターで、ゴシピウム属に属するワタ植物野生株の細胞を形質転換し、
    (2)該形質転換細胞から、野生株に比べて以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種の改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産するワタ植物体(R0)を再生し、
    (3)該植物体から自家受粉により種子を採取し、および
    (4)該種子を栽培して得られるワタ植物体(R1)から自家受粉により得られる種子における該カタラーゼ遺伝子の分離比を検定することを含む、該カタラーゼ遺伝子についてホモ接合体である、該野生株に比べて以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種の改良された繊維特性を有するワタ繊維を生産する形質が固定されたワタ植物の作出方法
    (a)繊維強度;
    (b)繊維繊度;
    (c)繊維長均斉度
  17. 請求項1〜のいずれかに記載のワタ植物の自家受粉により得られる種子を採取し、該種子の種皮からワタ繊維を分離する工程を含む、野生株に比べて以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種の改良された繊維特性を有するワタ繊維の製造方法
    (a)繊維強度;
    (b)繊維繊度;
    (c)繊維長均斉度
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