次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の車両用シート収納機構を説明する。
なお、図中矢印FRで示す方向は車両前方を示し、矢印UPRで示す方向は車両上方を示している。
図1に示す車両フロアF上には、車両前後方向に沿って延在された一対の平行なスライドレール10、10が固定されている。そして、このスライドレール10、10上には複数のシート20A〜20Cが配設されている。
各スライドレール10は、図10に示すように、底壁10aと一対の側壁10b、10bとを有するとともに、上方に向かって開放した両側壁10b、10bの上端に内方下側へ延出されたカギ状のフック部10c、10cがそれぞれ形成されている。
また、このスライドレール10は、前端部10d及び後端部10eは図示しないスペーサを介して車両フロアFに固定されている。このスペーサにより車両フロアFと底壁10aとの間に間隙が生じる。
そして、スライドレール10の底壁10aには、図10A(b)に示すように、後述するブラケットロック手段であるブラケットロック部材30の嵌合爪33が嵌合するロック孔11が長手方向に所定間隔をおいて多数形成されている。さらに、フック部10cの周縁には、ゴム等により形成された介装部材12が設けられている。
また、スライドレール10の内側には、長手方向に所定間隔をおいて複数のローラRが回動可能に設けられている。このローラRは、後述する支持ブラケット21を円滑に摺動させるものである。なお、嵌合爪33は、複数のローラRの間に対応して嵌合するようになっている。
複数のシート20A〜20Cは、ここでは最前部に位置する第一シート20A、中間部に位置する第二シート20B、最後部に位置する第三シート20Cであり、これらは図1及び図2に示すように車両前後方向に並設されている。
各シート20A〜20Cは、スライドレール10に摺動可能に保持された支持ブラケット21を備えている。この支持ブラケット21は、図10に示すように、車両前後方向に延びるとともに垂直に起立した板状の基部21aと、基部21aの下端から水平方向に延在された支持部21bとを有している。なお、支持部21bの両端部にはそれぞれ上下方向に延出されたフランジ部21c、21cが形成されている。
そして、支持ブラケット21は、基部21aの下端がスライドレール10のフック部10c、10c間を挿通し、支持部21bとローラRが当接することで支持されている。また、支持ブラケット21とスライドレール10のフック部10c、10cとは、介装部材12を介して当接している。
なお、図示は省略したが、複数のローラRは支持部21bに対して前後に相対移動しないようになっている。
そして、この支持ブラケット21の基部21aには、図3〜図5に示すように、後縁部22aが回動自在に保持されたシートクッション22と、下端部23aが回動自在に保持されたシートバック23と、中間部が回動自在に保持されるとともに一端25aが後述するチップアップロック24に係合したシートロック手段である第一回転ブラケット25と、中間部が回動自在に保持されるとともに一端26aが第一回転ブラケット25に当接した第二回転ブラケット26とが設けられている。
シートクッション22は、図1〜図5に示すように、乗員が座る座面22bを備えており、後縁部22aが回動することにより座面22bの前端部22cが上下方向に回動するようになっている。
シートバック23は、シートクッション22の後側に立設され、下端部23aが回動することにより車両前後方向に傾動するようになっている。そして、シートクッション22が上方に回動して折り畳まれた際に、シートクッション22の座面22bがシートバック23の前面に当接するようになっている。
また、このシートバック23の上部23bには、把持部23cが設けられている(図1,図2,図6〜図8参照)。この把持部23cには、少なくとも後述するブラケットロック解除ワイヤー50に接続されたレバーLが支軸Laを中心に傾動可能に設けられている。
すなわち、レバーLは、図6に示す初期位置から車両後方に向かって傾動可能となっており、図示しないバネにより初期位置に保持されるように付勢されている。
さらに、ここでは、シートバック23の上部23bにヘッドレスト23dが設けられている。
チップアップロック24は、シートクッション22の座面22bをほぼ垂直状態に折り畳み回動させる回動付勢手段であり、シートクッション22の裏面側に回動可能に設けられている。そして、このチップアップロック24は、第一回転ブラケット25が係合する切欠部24aが形成されるとともに、シートクッション22の座面22bとの間に図示しないバネが内蔵されている。チップアップロック24は、この図示しないバネによりシートクッション22に上方に向かう付勢力を付加している。
第一回転ブラケット25は、チップアップロック24の回動付勢力に抗してシートクッション22の座面22bをほぼ水平状態に保持するシートロック手段であり、車両前後方向に延在された板材により形成され、中間部に設けられた回転軸25cを中心に上下方向に回動可能となっている。そして、この第一回転ブラケット25の一端25aには、チップアップロック24の切欠部24aに係合する係合爪27aが形成され、他端25bには、第二回転ブラケット26に向けて突出した当接部27bが形成されている。
さらに、係合爪27aの下方にはバネ台部材28aが突設されており、このバネ台部材28aと第一回転ブラケット25との間に介助バネ28が介装されている。そして、この介助バネ28は、係合爪27aを上方に向かって付勢している。
第二回転ブラケット26は、車両前後方向に延在された板材により形成されており、中間部に設けられた回転軸26cを中心に上下方向に回動可能となっている。そして、この第二回転ブラケット26の一端26aは、第一回転ブラケット25の当接部27bに当接し、他端26bには後述するブラケットロック手段であるブラケットロック部材30が支持軸26dを介して回動可能に取り付けられている。
また、この第二回転ブラケット26の一端26a近傍には、ブラケットロック解除ワイヤー50の一端が接続されており、このブラケットロック解除ワイヤー50を介してレバーLに接続されている。
なお、ここでは、第二回転ブラケット26の裏面側に、支持ブラケット21の基部21aを挟んで第三ブラケット29が設けられている(図3〜図5参照)。この第三ブラケット29は、一端が回転軸26cに保持され、他端が支持軸26dに保持されている。
ブラケットロック部材30は、支持ブラケット21をスライドレール10に係脱自在に固定するブラケットロック手段であり、ブラケットロック本体31と、ブラケットロック本体31から上方に延在された取付部32と、スライドレール10に嵌合する複数の嵌合爪33とを備えている。
ブラケットロック本体31は、図10に示すように、スライドレール10の上下を挟むように断面コ字状に形成され、スライドレール10の一方の側壁10bに当接している。
取付部32は、ブラケットロック本体31の上端部31aから延在され、第二回転ブラケット26と第三ブラケット29との間に、支持軸26dを介して回動自在に保持されている。
嵌合爪33は、ブラケットロック本体31の下端部31bから上方に向かって突出するように設けられている。また、この嵌合爪33は、長手方向にロック孔11と同程度の間隔をおいて複数設けられている(図6〜図8参照)。さらに、嵌合爪33は、ロック孔11内に挿入可能となるように、車両前後方向の大きさがロック孔11よりも僅かに小さい程度にされているとともに、ロック孔11から外せるように、上下方向の大きさが車両フロアFとスライドレール10との間隙よりも小さい程度にされている。
そして、図3及び図4に示すように、最前部に位置する第一シート20A及び中間部に位置する第二シート20Bのブラケットロック部材30には、それぞれ第一連結手段である第一連結ブラケット40が設けられている。
また、図4及び図5に示すように、中間部に位置する第二シート20B及び最後部に位置する第三シート20Cの支持ブラケット21には、それぞれ第二連結手段である第二連結ブラケット41が設けられている。
さらに、第二連結ブラケット41の上方には、図4及び図5に示すように、連結部材である連結手段42が上下動可能に設けられている。
第一連結ブラケット40は、ブラケットロック本体31の側面に設けられるとともに、車両前後方向に延在されている。そして、この第一連結ブラケット40の車両後方に向かった後端部には上向き傾斜面(ガイド面)40aが形成されている。また、この第一連結ブラケット40の上向き傾斜面40a近傍の部分には、上下方向に貫通した挿通孔43が形成されている。
なお、この第一連結ブラケット40は、ブラケットロック部材30の嵌合爪33がスライドレール10のロック穴11に嵌合しているときに、第二連結ブラケット41とほぼ同じ高さに位置するようになっている(図6参照)。
第二連結ブラケット41は、支持ブラケット21の基部21aに設けられ、車両前後方向に延在されている。そして、この第二連結ブラケット41の車両前方に向かった前端部には、下向き傾斜面(ガイド面)41aが形成されている。また、この第二連結ブラケット41の下向き傾斜面41a近傍の部分には、上下方向に貫通した貫通孔44が形成されている。
なお、この第二連結ブラケット41の側面は、第一連結ブラケット40の側面とほぼ同じ位置になっており、挿通孔43と貫通孔44との中心軸は同一の車幅方向位置に位置している。
連結手段42は、図11(c)のように前側のシート(図11では図示略)の第一連結ブラケット40の挿通孔43に挿入可能な連結ピン42aと、連結ピン42aの上方に突設された抑え板42bと、連結ピン42aと押さえ板42bとの間に介装された抑えバネ42cとを備えている。
連結ピン42aは、貫通孔44の内径よりも僅かに小さい外径に形成されているとともに、先端に後側下方を向いた傾斜面(ガイド面)が形成されている。そして、この傾斜面が貫通孔44から突出している。また、この連結ピン42aの中間部には、第二連結ブラケット41の上面に当接するフランジ部42dが形成されている。
また、この連結ピン42aの上部には連結解除ワイヤー51の一端が接続されており、連結手段42は、この連結解除ワイヤー51を介してレバーLに接続されている。
さらに、抑えバネ42cは、連結ピン42aを下方に向かうように付勢しており、連結ピン42aは通常フランジ部42dが第二連結ブラケット41の上面に当接した状態で保持されている。
ブラケットロック解除ワイヤー50は、ブラケットロック部材30によるスライドレール10への支持ブラケット21の固定を任意に解除するブラケットロック解除手段であり、一端が第二回転ブラケット26に接続され、他端がレバーLに接続されている。そして、中間部に長さ調節機構52が設けられ、レバーLの傾斜角度によって全長が調節可能となっている。
連結解除ワイヤー51は、連結手段42による第一、第二連結ブラケット40、41の連結を解除する連結解除手段であり、一端が連結手段42に接続され、他端がレバーLに接続されている。そして、中間部に長さ調節機構52が設けられ、レバーLの傾斜角度によって全長が調節可能となっている。
なお、ブラケットロック解除ワイヤー50及び連結解除ワイヤー51は、それぞれ支持ブラケット21、シートクッション22、シートバック23に沿って配設されており、外側から見えないようになっている。
また、図9(a)〜(f)に示すように、各シート20A〜20cには、それぞれ車幅方向左右対称となるように、各ブラケット等が設けられている。
次に、この発明の車両用シート収納機構の作用について説明する。
あらかじめ各シート20A〜20Cは、図1に示すように、それぞれ所定の位置に間隔をおいて配設されるとともに、図6に示すように、ブラケットロック部材30の嵌合爪33がロック孔11に嵌合することで、それぞれスライドレール10に固定されている。
また、各シート20A〜20Cのシートクッション22は、座面22bがほぼ水平状態になるように保持されており、チップアップロック24の切欠部24aは第一回転ブラケット25の係合爪27aと係合している。
なお、図6〜図8は説明の便宜上中間部に位置する第二シート20Bを示しているが、各シート20A〜20Cとも同様の作用効果を奏する。
まず、スライドレール10上に複数配設されたシート20A〜20Cを、すべて車両前側に移動させる場合を説明する。
この場合、まず最後部に位置する第三シート20Cのシートバック23に設けられた把持部23cのレバーLを、図7に示すように第一段階、いわゆる半握り状態まで車両後方側に傾動させる。
レバーLが第一段階まで傾動すると、このレバーLに接続されたブラケットロック解除ワイヤー50の中間部に設けられた長さ調節機構52が操作され、ブラケットロック解除ワイヤー50の全長が短くなる。
これにより、ブラケットロック解除ワイヤー50の他端に接続された第二回転ブラケット26の一端26aが上方に引き上げられ、第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回動する。
このとき、第二回転ブラケット26の他端26bに取り付けられたブラケットロック部材30は、第二回転ブラケット26の回動に伴って下方に押し下げられる。
そして、ブラケットロック部材30が下方に押し下げられることにより、スライドレール10のロック孔11から嵌合爪33が外れる。これにより、第三シート20Cの支持ブラケット21はスライドレール10への固定が解除され、第三シート20Cは摺動可能となる。
一方、第二回転ブラケット26の一端26aに当接した第一回転ブラケット25の他端25bは、第二回転ブラケット26の回転に伴って上方に押し上げられる。これにより、第一回転ブラケット25は回転軸25cを中心に回動する。
このように、第一回転ブラケット25が回動することにより、この第一回転ブラケット25の一端25aに形成された係合爪27aは下方に向かって回動し、この係合爪27aとチップアップロック24の切欠部24aとの係合が外れる。
チップアップロック24は、係合爪27aとの係合が外れることにより回動し、図示しないバネの付勢力がシートクッション22に作用して、シートクッション22の後縁部22aを上方に向かって回動させる。これにより、第三シート20Cのシートクッション22の座面22bがほぼ垂直状態になるように折り畳まれる。
そして、このように第三シート20Cが前後方向に摺動可能となると同時に、この第三シート20Cのシートクッション22が折り畳まれたら、把持部23cを握ってレバーLを傾動させた状態で、この第三シート20Cを前方に移動させ、前側に位置する第二シート20Bに当接させる。
前後に位置する第二シート20Bと第三シート20Cとが当接すると、まず、後側に位置する第三シート20Cの第二連結ブラケット41と、前側に位置する第二シート20Bの第一連結ブラケット40とが徐々に近づく。そして、第二連結ブラケット41の下向き傾斜面41aと第一連結ブラケット40の上向き傾斜面40aとが当接する(図11(a)参照)。
さらに、第三シート20Cを前方へ移動させていくと、第三シート20Cの第二連結ブラケット41の下向き傾斜面41aが、第二シート20Bの第一連結ブラケット40の上向き傾斜面40aに沿って相対的に上方に移動し、第二シート20Bの第一連結ブラケット40を徐々に押し下げる(図11(b)参照)。
このように、第一連結ブラケット40が押し下げられることで、この第一連結ブラケット40が設けられた第二シート20Bのブラケットロック部材30が下方に押し下げられることとなる。そのため、第二シート20Bのブラケットロック部材30の嵌合爪33がスライドレール10のロック孔11から外れ、支持ブラケット21のスライドレール10への固定が解除されて、第二シート20Bは摺動可能となる。
さらに、第二シート20Bでは、ブラケットロック部材30が押し下げられることにより、このブラケットロック部材30が取り付けられた第二回転ブラケット26の他端26bが下方に押し下げられる。
そのため、この第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回転し、第二回転ブラケット26の一端26aに当接した第一回転ブラケット25の他端25bは、第二回転ブラケット26の回転に伴って上方に押し上げられる。これにより、第一回転ブラケット25は回転軸25cを中心に回動する。
このように、第一回転ブラケット25が回動することにより、この第一回転ブラケット25の一端25aに形成された係合爪27aは下方に向かって回動し、この係合爪27aとチップアップロック24の切欠部24aとの係合が外れる。
チップアップロック24は、係合爪27aとの係合が外れることにより回動し、図示しないバネの付勢力がシートクッション22に作用して、シートクッション22の後縁部22aを上方に向かって回動させる。これにより、第二シート20Bのシートクッション22がほぼ垂直状態に折り畳まれる。
また、図11(b)に示すように、第三シート20Cに設けられた連結ピン42aは、第二シート20Bに設けられた第一連結ブラケット40の上向き傾斜面40aに当接することで、この上向き傾斜面40aに沿って上方に持ち上げられる。
そして、貫通孔44と挿通孔43とが対向したときに、図11(c)に示すように、連結ピン42aは、抑えバネ42cの付勢力により貫通孔44を貫通すると同時に挿通孔43内に挿入される。
これにより、第二シート20Bの第一連結ブラケット40と、第三シート20Cの第二連結ブラケット41とが連結される。
そして、このように第二シート20Bと第三シート20Cとが連結した状態で前後方向に摺動可能となると同時に、第二シート20Bのシートクッション22が折り畳まれたら、第三シート20Cの把持部23cを握ってレバーLを傾動させた状態で、この第二、第三シート20B、20Cを車両前方に移動させ、前側に位置する第一シート20Aに当接させる。
前後に位置する第一シート20Aと第二シート20Bとが当接すると、まず、後側に位置する第二シート20Bの第二連結ブラケット41と、前側に位置する第一シート20Aの第一連結ブラケット40とが徐々に近づく。そして、第二連結ブラケット41の下向き傾斜面41aと第一連結ブラケット40の上向き傾斜面40aとが当接する(図11(a)参照)。
さらに、第二、第三シート20B、20Cをともに前方へ移動させていくと、第二シート20Bの第二連結ブラケット41の下向き傾斜面41aが、第一シート20Aの第一連結ブラケット40の上向き傾斜面40aに沿って相対的に上方に移動し、第一シート20Aの第一連結ブラケット40を徐々に押し下げる(図11(b)参照)。
このように、第一連結ブラケット40が押し下げられることで、この第一連結ブラケット40が設けられた第一シート20Aのブラケットロック部材30も下方に押し下げられる。そのため、第一シート20Aのブラケットロック部材30の嵌合爪33がスライドレール10のロック孔11から外れ、支持ブラケット21のスライドレール10への固定が解除されて、第一シート20Aは摺動可能となる。
さらに、第一シート20Aでは、ブラケットロック部材30が押し下げられることにより、このブラケットロック部材30が取り付けられた第二回転ブラケット26の他端26bが下方に押し下げられる。
そして、この第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回転し、第二回転ブラケット26の一端26aに当接した第一回転ブラケット25の他端25bは、第二回転ブラケット26の回転に伴って上方に押し上げられる。これにより、第一回転ブラケット25は回転軸25cを中心に回動する。
このように、第一回転ブラケット25が回動することにより、この第一回転ブラケット25の一端25aに形成された係合爪27aは下方に向かって回動し、この係合爪27aとチップアップロック24の切欠部24aとの係合が外れる。
チップアップロック24は、係合爪27aとの係合が外れることにより回動し、図示しないバネの付勢力がシートクッション22に作用して、シートクッション22の後縁部22aを回動させる。これにより、第一シート20Aのシートクッション22がほぼ垂直状態に折り畳まれる。
さらに、図11(b)に示すように、第二シート20Bに設けられた連結ピン42aは、第一シート20Aに設けられた第一連結ブラケット40の上向き傾斜面40aに当接することで上方に持ち上げられる。
そして、貫通孔44と挿通孔43とが対向したときに、図11(c)に示すように、連結ピン42aは、抑えバネ42cの付勢力により貫通孔44を貫通すると同時に挿通孔43内に挿入される。
これにより、第一シート20Aの第一連結ブラケット40と、第二シート20Bの第二連結ブラケット41とが連結される。
このように第一シート20A〜第三シート20Cがすべて連結した状態で前後方向に摺動可能となると同時に、第一シート20Aのシートクッション22が折り畳まれたら、第三シート20Cの把持部23cを握ってレバーLを傾動させた状態で、この第一シート20A〜第三シート20Cを車両前方に移動させ、スライドレール10の前端部10d近傍にまで摺動させる。
そして、摺動後、把持部23cの握りを解除してレバーLを初期位置まで車両前方側に傾動させると、このレバーLに接続されたブラケットロック解除ワイヤー50の中間部に設けられた長さ調節機構52が操作され、ブラケットロック解除ワイヤー50の全長が長くなる。
これにより、ブラケットロック解除ワイヤー50の他端に接続された第二回転ブラケット26の一端26aが下方に押し下げられ、第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回転する。そして、この回転に伴って、他端26bに取り付けられたブラケットロック部材30が上方に引き上げられる。
これにより、第三シート20Cのブラケットロック部材30の嵌合爪33と、スライドレール10のロック孔11とが嵌合し、第三シート20Cがスライドレール10に固定される。
なお、このとき、第三シート20Cのシートクッション22は、第二シート20Bのシートバック23に当接しており、下方に回動することはない。
次に、互いに連結された状態ですべて車両前側に移動した複数のシート20A〜20Cを、それぞれ所定の位置に配設する場合を説明する。
この場合、まず最後部に位置する第三シート20Cのシートバック23に設けられた把持部23cのレバーLを、図8に示すように第二段階、いわゆる全握り状態まで車両後方側に傾動させる。
レバーLが第二段階まで傾動すると、このレバーLに接続されたブラケットロック解除ワイヤー50の中間部に設けられた長さ調節機構52と、連結解除ワイヤー51の中間部に設けられた長さ調節機構52とがそれぞれ操作される。そして、ブラケットロック解除ワイヤー50及び連結解除ワイヤー52の全長がそれぞれ短くなる。
これにより、まず、ブラケットロック解除ワイヤー50の他端に接続された第二回転ブラケット26の一端26aが上方に引き上げられ、第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回動する。
このとき、第二回転ブラケット26の他端26bに取り付けられたブラケットロック部材30は、第二回転ブラケット26の回動に伴って下方に押し下げられる。
ブラケットロック部材30が下方に押し下げられると、スライドレール10のロック孔11から嵌合爪33が外れる。これにより、第三シート20Cの支持ブラケット21はスライドレール10への固定が解除され、第三シート20Cは摺動可能となる。
一方、連結解除ワイヤー51の他端に接続された連結手段42の連結ピン42aは、上方へ引き上げられる(図12(a)参照)。
これにより、連結ピン42aは挿通孔43から引き抜かれ、第二シート20Bの第一連結ブラケット40と、第三シート20Cの第二連結ブラケット41との連結が解除される(図12(b)参照)。
そして、このように、支持ブラケット21のスライドレール10への固定が解除されて摺動可能となるとともに、第二シート20Bとの連結が解除された第三シート20Cを、把持部23cを握ってレバーLを傾動させた状態で車両後方に向かって摺動させる。そして、第三シート20Cを配設したい任意の位置で把持部23cの握りを解除してレバーLを初期位置まで前方側に傾動させる。
レバーLが初期位置まで傾動すると、このレバーLに接続されたブラケットロック解除ワイヤー50の中間部に設けられた長さ調節機構52が操作され、ブラケットロック解除ワイヤー50の全長が長くなる。
これにより、ブラケットロック解除ワイヤー50の他端に接続された第二回転ブラケット26の一端26aが下方に押し下げられ、第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回転して、他端26bに取り付けられたブラケットロック部材30が上方に引き上げられる。
これにより、第三シート20Cのブラケットロック部材30の嵌合爪33と、スライドレール10のロック孔11とが嵌合し、第三シート20Cが固定される。
また、この第三シート20Cの第二回転ブラケット26の一端26aが下方に押し下げられることで、この第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回動する。そして、第二回転ブラケット26の回動に伴って、第一回転ブラケット25が一端25aを押し下げるように回動する。このとき、介助バネ28によって上方に付勢された係合爪27aは上方に向かって移動し、チップアップロック24に当接して、このチップアップロック24を回動させる。そして、チップアップロック24の切欠部24aと第一回転ブラケット25の係合爪27aとが係合する。
これにより、第三シート20Cのシートクッション22は、前端部22cが下方に向かって回動し、チップアップロック24の付勢力に抗して展開され、ほぼ水平状態に保持される。
一方、第三シート20Cの第二連結ブラケット41によって下方に押し下げられていた第二シート20Bの第一連結ブラケット40は、第三シート20Cが後方に摺動されることにより第二連結ブラケット41が離れるので、図12(c)に示すように上方に持ち上がる。
そして、上方に持ち上がった第一連結ブラケット40に伴って、第二シート20Bのブラケットロック部材30が上方へ持ち上がり、ブラケットロック部材30の嵌合爪33とスライドレール10のロック孔11とが嵌合する。これにより、第二シート20Bはスライドレール10に固定される。
なお、このとき、第三シート20Cのシートクッション22は、第二シート20Bのシートバック23に当接しており、下方に回動することはない。
次に、第二シート20Bのシートバック23に設けられた把持部23cのレバーLを、図7に示すように第一段階、いわゆる半握り状態まで車両後方側に傾動させる。
レバーLが第一段階まで傾動すると、このレバーLに接続されたブラケットロック解除ワイヤー50の中間部に設けられた長さ調節機構52が操作され、ブラケットロック解除ワイヤー50の全長が短くなる。
これにより、ブラケットロック解除ワイヤー50の他端に接続された第二回転ブラケット26の一端26aが上方に引き上げられ、第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回動する。
このとき、第二回転ブラケット26の他端26bに取り付けられたブラケットロック部材30は、第二回転ブラケット26の回動に伴って下方に押し下げられる。
ブラケットロック部材30が下方に押し下げられると、スライドレール10のロック孔11から嵌合爪33が外れる。これにより、第二シート20Bの支持ブラケット21はスライドレール10への固定が解除され、第二シート20Bは摺動可能となる。
また、このとき、第二回転ブラケット26の一端26aに当接した第一回転ブラケット25の他端25bは、第二回転ブラケット26の回転に伴って上方に押し上げられる。これにより、第一回転ブラケット25は回転軸25cを中心に回動する。
これにより、この第一回転ブラケット25の一端25aは下方に向かって回動し、係合爪27aとチップアップロック24の切欠部24aとの係合が外れ、チップアップロック24に内蔵された図示しないバネの付勢力がシートクッション22に作用して、第二シート20Bのシートクッション22がほぼ垂直状態に折り畳まれた状態に保持される。
そして、この状態で、第二シート20Bの把持部23cを握ってレバーLを傾動させた状態で後方に向かって摺動させる。このとき、第一シート20Aの第一連結ブラケット40と、第二シート20Bの第二連結ブラケット41とが連結手段42を介して連結されているので、第一シート20Aは第二シート20Bと一体となって車両後方に向かって摺動する。
そして、第一シート20Aを配設したい任意の位置で、第二シート20Bの把持部23cのレバーLを、図8に示すように第二段階、いわゆる全握り状態まで車両後方側に傾動させる。
レバーLが第二段階まで傾動すると、このレバーLに接続されたブラケットロック解除ワイヤー50の中間部に設けられた長さ調節機構52と、連結解除ワイヤー51の中間部に設けられた長さ調節機構52とがそれぞれ操作される。そして、ブラケットロック解除ワイヤー50及び連結解除ワイヤー51の全長がそれぞれ短くなる。
これにより、連結解除ワイヤー51の他端に接続された連結手段42の連結ピン42aが、上方へ引き上げられる(図12(a)参照)。
そして、連結手段42の連結ピン42aは挿通孔43から引き抜かれ、第一シート20Aの第一連結ブラケット40と、第二シート20Bの第二連結ブラケット41との連結が解除される(図12(b)参照)。
また、第二シート20Bの第二連結ブラケット41によって下方に押し下げられていた第一シート20Aの第一連結ブラケット40は、第三シート20Cが後方に摺動されることにより第二連結ブラケット41が離れるので、図12(c)に示すように上方に持ち上がる。
そして、上方に持ち上がった第一連結ブラケット40に伴って、第一シート20Aのブラケットロック部材30が上方へ持ち上がり、ブラケットロック部材30の嵌合爪33とスライドレール10のロック孔11とが嵌合する。これにより、第一シート20Aはスライドレール10に固定される。
また、第一シート20Aのブラケットロック部材30が上方に持ち上がると、このブラケットロック部材30が取り付けられた第二回転ブラケット26が回転軸26cを中心に回転する。これにより、第一シート20Aの第二回転ブラケット26の一端26aは下方に押し下げられる。
そして、この第二回転ブラケット26の回転に伴って、第一回転ブラケット25が、一端25aを押し下げるように回動する。このとき、介助バネ28によって上方に付勢された係合爪27aは上方に向かって移動し、チップアップロック24に当接して、このチップアップロック24を回動させる。そして、チップアップロック24の切欠部24aと第一回転ブラケット25の係合爪27aとが係合する。
これにより、第一シート20Aのシートクッション22は、前端部22cが下方に向かって回動し、チップアップロック24の付勢力に抗して展開され、ほぼ水平状態に保持される。
さらに、支持ブラケット21のスライドレール10への固定が解除されて摺動可能となった第二シート20Bを、把持部23cを握ってレバーLを傾動させた状態で車両後方に向かって摺動させ、この第二シート20Bを配設したい任意の位置で把持部23cの握りを解除してレバーLを初期位置まで前方側に傾動させる。
レバーLが初期位置まで傾動すると、このレバーLに接続されたブラケットロック解除ワイヤー50の中間部に設けられた長さ調節機構52が操作され、ブラケットロック解除ワイヤー50の全長が長くなる。
これにより、ブラケットロック解除ワイヤー50の他端に接続された第二回転ブラケット26の一端26aが下方に押し下げられ、第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回転して、他端26bに取り付けられたブラケットロック部材30が上方に引き上げられる。
これにより、第二シート20Bのブラケットロック部材30の嵌合爪33と、スライドレール10のロック孔11とが嵌合し、第二シート20Bがスライドレール10に固定される。
また、この第二シート20Bの第二回転ブラケット26の一端26aが下方に押し下げられることで、第二回転ブラケット26は回転軸26cを中心に回動する。そして、第二回転ブラケット26の回動に伴って、第一回転ブラケット25が一端25aを押し下げるように回動する。このとき、介助バネ28によって上方に付勢された係合爪27aは上方に移動し、チップアップロック24に当接して、このチップアップロック24を回動させる。そして、チップアップロック24の切欠部24aと第一回転ブラケット25の係合爪27aとが係合する。
これにより、第二シート20Bのシートクッション22は、前端部22cが下方に向かって回動し、チップアップロック24の付勢力に抗して展開され、ほぼ水平状態に保持される。
以上説明したように、複数のシート20A〜20Cのうち、前側に位置するシートに設けられた第一連結手段である第一連結ブラケット40と、後側に位置するシートに設けられた第二連結手段である第二連結ブラケット41とが連結部材である連結手段42によって互いに連結されたとき、前側に位置するシートのシートロック手段である第一回転ブラケット25及びブラケットロック手段であるブラケットロック部材30が、この連結に連動してそれぞれ解除可能となっている。
そのため、後側に位置するシートのシートクッション22を折り畳んだ後、前方に移動させ、前側に位置するシートと後側に位置するシートとを当接させると、それにより前側に位置するシートのブラケットロック部材30が自動的に解除されて、前側に位置するシートを移動させることができるようになる。
また、この前側に位置するシートのブラケットロック部材30が自動的に解除されることと同時に、前側に位置するシートのシートロック手段である第一回転ブラケット25が回転してチップアップロック24との係合が解除され、前側に位置するシートのシートクッション22が回動付勢手段であるチップアップロック24の付勢力により自動で折り畳まれる。
そして、上述のように前後に位置するシートが当接すると、同時に互いに連結することによって、連結された状態で同時に移動させることが可能となる。
このように、各シートの折り畳み動作と移動動作とをそれぞれ個別に行う必要がなくなり、この折り畳み動作と移動動作とを連動させてシートの収納を容易に行うことができる。また、連結手段42により車両前後方向に並設された複数のシート20A〜20Cを連結して一体にし、同時に移動させることが可能となって、シート収納の効率を向上させることもできる。
さらに、後側に位置するシートのブラケットロック解除手段であるブラケットロック解除ワイヤー50の解除操作に連動して、連結解除手段である連結解除ワイヤー51が操作され、連結部材である連結手段42による第一、第二連結ブラケット40、41の連結を解除することができる。
これにより、前後に位置するシートの連結を任意の位置で解除することができ、各シートをそれぞれ任意の位置に配置することができる。
また、連結手段42による連結が解除されると、この解除に連動して前側に位置するシートの第一回転ブラケット25が回転してチップアップロック24と係合するとともに、ブラケットロック部材30がスライドレール10と嵌合し、それぞれロックされる。
つまり、連結手段42による連結の解除に連動して、前側に位置するシートの支持ブラケット21がスライドレール10に固定されると同時に、シートクッション22が下方に回動して座面22bがほぼ水平状態に保持される。
このように、前後に位置するシートを離間させることで、前側に位置するシートの位置決め及びシートクッション22の展開を同時に行うことが可能となり、さらに効率よくシートの折り畳み動作と移動動作とを行うことができる。