JP4323121B2 - プラスチックロッドレンズ、レンズアレイ、並びにイメージセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スキャナ、複写機等に搭載されるイメージセンサ等に好適に用いられるレンズアレイ用のロッドレンズ、該ロッドレンズを複数本配列してなるレンズアレイ、並びに、該レンズアレイを備えたイメージセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
微小レンズの一つとして、両端面を鏡面研磨した円柱状のプラスチックロッドレンズが知られている。プラスチックロッドレンズは、単体で用いられる他、複数のレンズを配列し一体化させたレンズアレイの形態で用いられ、ハンドスキャナ等の各種スキャナや、複写機、ファクシミリ等に搭載されるイメージセンサ用の部品や、光源にLED(発光ダイオード)を用いたLEDプリンタの書き込みデバイス等として広く利用されている。また、プラスチックロッドレンズは、製造コストが安価である等の理由から、今後益々用途が拡大していくものと思われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ファクシミリ、シートフィード型のスキャナ等と異なり、ハンドスキャナ、フラットベット型スキャナ等では、原稿面が固定されていないため、原稿が浮いて、レンズアレイの原稿面からの距離が多少変化したとしても鮮明な画像の読み取りを可能とするために、焦点深度の深いロッドレンズを用いてイメージセンサを構成する必要がある。そのため、かかる用途においては、ロッドレンズの焦点深度を深くするために、開口角の小さいロッドレンズが用いられているが、開口角を小さくする程、共役長が長くなるため、光学系の小型化を図ることが難しくなる。なお、光学系の小型化を図るために、レンズ径を小さくして共役長を短くしたガラスロッドレンズが市販されているが、かかるロッドレンズでは、焦点深度が浅いことに加えて、機械的強度が不十分であるため、クラック等が入りやすく、取り扱い性にも問題がある。
また、近年、ハンドスキャナやフラットベット型スキャナ等の小型のスキャナにおいても、画像のカラー化が進められており、色収差が小さく、にじみの少ないカラー画像を伝送することが可能な、カラー特性に優れたロッドレンズが必要になっている。
【0004】
特開2000−35519号公報には、断面の半径を0.2mmと以上と、比較的大きく確保しながら、中心軸から0.6r以上外側の範囲に、伝送光の少なくとも一部を吸収する光吸収剤を含有する50μm以上の厚みの光吸収層を設けることにより、光吸収剤の吸収波長領域の光についての有効径を小さくし、これによって、共役長を比較的短くすると共に、焦点深度を深くしたロッドレンズが開示されている。
しかしながら、特開2000−35519号公報に開示されたロッドレンズでは、半径rが0.2〜0.45mm、屈折率分布定数gが0.35〜0.5mm-1、及びg・rが0.10〜0.16であるため、525nmの波長の光についてのMTFが最大になるように、6Lp/mmの格子パターン、ロッドレンズ、及び受光センサを順次配置させた後、格子パターンのみを移動させたときに、MTFが40%以上となる格子パターンの移動範囲の幅として規定される焦点深度が1mm以下であり、複写機等に使用する場合に焦点深度が十分に深いロッドレンズとはならない場合があった。また、アッベ数分散の大きい材料でロッドレンズを構成した場合は、RGBの各波長における共役長の差が大きくなり、用途によってはカラー特性が十分ではない場合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、共役長が短いと共に、焦点深度が深く、かつカラー特性に優れたロッドレンズ及びレンズアレイ、該レンズアレイを備えたイメージセンサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく検討を行った結果、以下のプラスチックロッドレンズ、レンズアレイ、イメージセンサを発明するに到った。なお、以下、単に、「ロッドレンズ」、若しくは「レンズ」と略記することがあるが、ガラスロッドレンズと明記している以外は、すべてプラスチックロッドレンズを意味しているものとする。
【0007】
本発明のプラスチックロッドレンズは、断面視円形状で、かつ、中心軸から外周面に向かって屈折率が連続的に減少するプラスチックロッドレンズにおいて、断面の半径rが0.05mm以上0.2mm未満であり、少なくとも中心軸から0.3r〜0.7rの範囲における屈折率分布が下記式(1)で規定される2次曲線で近似され、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gが、0.2mm-1≦g≦0.325mm-1、及び0.04≦g・r<0.065を満たしていると共に、少なくとも中心軸から0.8r以内の範囲に、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体、及びメチルメタクリレート単位を有する重合体を含有し、中心軸から0.8r以内の範囲における、最大アッベ数と最小アッベ数との差が0.5以下であることを特徴とする。
n(L)=n0{1−(g2/2)L2}・・・(1)(但し、式(1)中、n0はロッドレンズの中心軸の屈折率、Lはロッドレンズの中心軸からの距離(0≦L≦r)、gはロッドレンズの屈折率分布定数、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における屈折率をそれぞれ表す。)
また、本発明のロッドレンズにおいて、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を構成する脂環式基としては、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基が特に好適である。
【0008】
本発明者は、以上の構成を採用することにより、共役長が短いと共に、焦点深度が深く、かつカラー特性に優れたロッドレンズを提供することができることを見出した。
具体的には、本発明によれば、ロッドレンズの525nmの波長の光についてのMTFが最大になるように、6Lp/mmの格子パターン、本発明のロッドレンズ、及び受光センサを順次配置させた後、格子パターンのみを移動させたときに、MTFが40%以上となる格子パターンの移動範囲の幅として規定される焦点深度が3mm以上の、焦点深度の深いロッドレンズを提供することができることを見出した。
また、本発明によれば、525nmの波長の光についての共役長が25mm以下の、共役長の短いロッドレンズを提供することができることを見出した。また、630nmの波長の光についての共役長と、470nmの波長の光についての共役長との差が1.8mm以下であり、色収差が小さく、カラー特性に優れたロッドレンズを提供することができることを見出した。
【0009】
また、本発明のロッドレンズが、中心軸から0.6r以上外側の範囲に、ロッドレンズの伝送光のうち少なくとも一部の光を吸収する光吸収剤を含有する光吸収層を有することが好ましく、かかる構成とすることにより、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを構成した際の、フレア光やクロストーク光の発生を抑制することができ、レンズアレイの解像度を向上することができる。
【0010】
また、本発明のレンズアレイは、本発明のロッドレンズ複数本を、各ロッドレンズの中心軸方向が互いに略平行方向となるように、ロッドレンズの中心軸方向に対して垂直方向に向けて配列したロッドレンズ列を少なくとも1段具備してなることを特徴とする。
この本発明のレンズアレイは、本発明のロッドレンズを用いて構成されたものであるので、共役長が短いと共に、焦点深度が深く、かつカラー特性に優れたものとなる。
【0011】
また、本発明のレンズアレイを備えることにより、スキャナ等に搭載した場合に、装置全体の小型化を図ることができると共に、原稿が浮いて、レンズアレイと原稿面との距離が多少変化したとしても、鮮明な画像を読み取ることができるイメージセンサを提供することができる。また、鮮明なカラー画像を読み取ることが可能なカラーイメージセンサを提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[プラスチックロッドレンズの構造]
本発明のプラスチックロッドレンズは、断面視円形状で、かつ、中心軸から外周面に向かって屈折率が連続的に減少すると共に、少なくとも中心軸から0.3r〜0.7r(但し、rは断面の半径)の範囲における屈折率分布が下記式(1)で規定される2次曲線で近似されるレンズである。
n(L)=n0{1−(g2/2)L2}・・・(1)
(但し、式(1)中、n0はロッドレンズの中心軸における屈折率、Lはロッドレンズの中心軸の距離(0≦L≦r)、gはロッドレンズの屈折率分布定数、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における屈折率をそれぞれ表す。)
なお、本明細書において、ロッドレンズの「断面」は、中心軸に対して垂直方向に切断した時の断面を意味しているものとする。
【0013】
本発明のロッドレンズの中心軸の屈折率n0は、1.4〜1.6であることが好ましい。中心軸の屈折率n0がこの範囲にあると、本発明のロッドレンズに用いることができる材料の選択肢が広くなるため、良好な屈折率分布を有し、透明性に優れたロッドレンズを簡易に得ることができ、好適である。
【0014】
また、本発明のロッドレンズにおいて、断面の半径rは0.05mm以上0.2mm未満である。このように、本発明では、半径rを0.2mm未満としているので、共役長を短くすることができ、本発明のロッドレンズを用いてイメージセンサ等の光学系を構成した場合に、光学系の小型化を図ることができる。また、本発明によれば、共役長を短くすることができる結果、波長の異なる伝送光についての共役長の差を小さくすることができるので、色収差を小さくすることができ、にじみの少ないカラー画像を伝送することが可能な、カラー特性に優れたロッドレンズを提供することができる。また、このように、本発明のロッドレンズでは、半径rを小さく設定しているが、プラスチック製であるため、ガラスロッドレンズと異なり、十分な機械的強度を有し、クラック等が発生する恐れはない。
【0015】
なお、半径rが0.2mm以上の場合には、ロッドレンズの屈折率分布定数gが小さくなり、共役長が大きくなるので、本発明のロッドレンズを用いてイメージセンサ等の光学系を構成した場合に、光学系の小型化を図ることが難しくなる。また、波長の異なる伝送光についての共役長の差が大きくなるため、カラー特性が低下する恐れもある。
また、半径rを小さくする程、共役長を短くすることができるが、半径rが0.05mm未満になると、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを製造する際の加工性や取り扱い性が低下すると共に、本発明のロッドレンズを用いて構成したレンズアレイにより、イメージセンサ等の光学系を構成する際に、光源や受光センサとの光軸がずれやすくなり、光学特性が低下する恐れもある。
【0016】
また、本発明のロッドレンズにおいて、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gが、0.2mm-1≦g≦1.0mm-1を満たしていることが好ましい。
525nmの波長の光についての屈折率分布定数gが1.0mm-1を超えた場合には、ロッドレンズの1周期長が短くなるため、レンズ長が短くなりすぎ、本発明のロッドレンズの取り扱い性が低下すると共に、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを製造する際の加工性や取り扱い性が低下する恐れがある。
また、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gが0.2mm-1未満の場合には、ロッドレンズの1周期長が長くなるため、共役長が大きくなりすぎ、本発明のロッドレンズを用いてイメージセンサ等の光学系を構成した場合に、光学系の小型化を図ることが困難になる。
これに対して、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gを0.2〜1.0mm-1とすることにより、ロッドレンズの取り扱い性を低下させることなく、光学系の小型化を図ることができ、好適である。
【0017】
また、本発明のロッドレンズにおいて、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gと半径rの積(g・r)が、0.04≦g・r<0.1を満たしていることが好ましい。このようにg・rを規定することにより、十分な出射光量を確保しながら、共役長が短いと共に、焦点深度が非常に深いロッドレンズを簡易に提供することができる。なお、g・rを小さくする程、焦点深度の深いロッドレンズを得やすくなるが、g・rが0.04未満になると、開口角が著しく小さくなり、取り込める光量が著しく低下するため、好ましくない。また、g・rを大きくする程、開口角を大きくすることができるので、共役長が短く、出射光量の大きいロッドレンズを得やすくなるが、g・rが0.1を超えた場合には、焦点深度を十分に深くすることが難しくなる。
【0018】
さらに、本発明のロッドレンズにおいて、中心軸から0.8r以内の範囲における、最大アッベ数と最小アッベ数との差が0.5以下であることが好ましい。かかる構成とすることにより、レンズの色収差を一層小さくすることができ、にじみの少ないカラー画像を伝送することが可能となる。
【0019】
なお、上述したような所望の屈折率分布定数gを有すると共に、このようなアッベ数差を有するロッドレンズは、少なくともロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲を構成する重合体として、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体、及びメチルメタクリレート単位を有する重合体を用いることにより、簡易に得ることができる。なお、これらの重合体は、脂環式基含有(メタ)アクリレート、あるいはメチルメタクリレートの単独重合体であっても良いし、所望の透明性、屈折率分布定数g、アッベ数差を得ることができる範囲内であれば、他の単量体単位を有する共重合体であっても良い。
また、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を構成する脂環式基としては、アダマンチル基、イソボルニル基が好ましく、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基が特に好ましい。
【0020】
ここで、脂環式基含有(メタ)アクリレートの単独重合体のアッベ数は53〜55程度、メチルメタクリレートの単独重合体のアッベ数は55である。したがって、例えば、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲を構成する重合体として、アッベ数53の脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体とメチルメタクリレート単位を有する重合体とを主として用い、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位の含有率の変化を25質量%以下とすることにより、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲における、最大アッベ数と最小アッベ数と差を0.5以下にすることができる。
また、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲において、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体、及びメチルメタクリレート単位を有する重合体の合計含有量を100質量%とした時、これら重合体中に占める、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位の合計含有量は90〜100質量%であることが好ましい。
【0021】
なお、中心軸から0.8r以上外側の範囲についても、ロッドレンズを構成する重合体として、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体、及びメチルメタクリレート単位を有する重合体を用いても良いが、ロッドレンズの中心軸と外周部との屈折率差を大きくし、ロッドレンズの外周部の屈折率分布をより理想の分布に近づけるために、ロッドレンズの外周部側には、透明性が高いと共に、屈折率が十分に低いフッ素化アルキルメタクリレート単位を有する重合体を用いることが好ましい。ここで、フッ素化アルキルメタクリレート単位を有する重合体としては、オクタフルオロペンチルメタクリレート単位を有する重合体等を例示することができる。
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、半径rを0.2mm未満と小さく設定すると共に、g・rを0.04以上0.1未満に規定しているので、共役長の短いロッドレンズを提供することができる。また、共役長を短くすることができる結果、波長の異なる伝送光についての共役長の差を小さくすることができることに加えて、少なくともロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲において、ロッドレンズを構成する重合体として、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体、及びメチルメタクリレート単位を有する重合体を用いる構成としているので、少なくともロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲における最大アッベ数と最小アッベ数との差を0.5以下と小さくすることができ、カラー特性に優れたロッドレンズを提供することができる。
具体的には、本発明によれば、525nmの波長の光(緑色光)についての共役長が25mm以下の、共役長の短いロッドレンズを提供することができる。また、630nmの波長の光(赤色光)についての共役長と、470nmの波長の光(青色光)についての共役長との差が1.8mm以下であり、カラー特性に優れたロッドレンズを提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、g・rを0.04以上0.1未満に規定しているので、焦点深度の非常に深いロッドレンズを提供することができる。
具体的には、本発明によれば、ロッドレンズの525nmの波長の光についてのMTFが最大になるように、6Lp/mmの格子パターン、本発明のロッドレンズ、及び受光センサを順次配置させた後、格子パターンのみを移動させたときに、MTFが40%以上となる格子パターンの移動範囲の幅として規定される焦点深度が3mm以上の、焦点深度の深いロッドレンズを提供することができる。
なお、本明細書において、「6Lp/mmの格子パターン」とは、透明ラインと遮光(黒)ラインとの組(ラインペア:Lp)を1mmの幅の中に6組設けてある格子パターンのことをいう。
また、「MTF」とは、格子パターンを、ロッドレンズにより受光センサに結像させて読み取ったときの、測定光量の最大値(iMAX)と最小値(iMIN)とから、下記式により算出される値のことをいう。
MTF[%]=((iMAX−iMIN)/(iMAX+iMIN))×100
【0024】
さらに、本発明のロッドレンズの中心軸から0.6r以上外側の範囲に、ロッドレンズの伝送光のうち少なくとも一部の光を吸収する光吸収剤を含有する光吸収層を形成することが好ましい。
ロッドレンズの外周部には、屈折率分布の不整な部分が形成されやすいため、かかる構成とすることにより、屈折率分布の不整な部分に入射した光の少なくとも一部を光吸収層により吸収させることができるので、フレア光の発生を抑制することができる。また、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを構成した際に、隣接するロッドレンズ間をクロストークするクロストーク光についても、光吸収層により吸収させることができる。したがって、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを構成した際に、フレア光とクロストーク光の双方の発生を抑制することができ、レンズアレイの解像度を向上することができるので、好適である。なお、光吸収層を中心軸から0.6r未満の範囲に形成する場合には、出射光量が著しく低下するため、好ましくない。
なお、このように、本発明のロッドレンズでは、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを構成した際に、フレア光やクロストーク光の発生を抑制するために、外周部に光吸収層を設けているが、特開2000−35519号公報では、有効径を小さくするために、光吸収層を設けているため、50μm以上の厚みが必要であるのに対し、本発明では、有効径を小さくしなくても、上述のように、短い共役長と深い焦点深度とを実現することができるので、光吸収層の厚みは50μm未満であっても良い。
【0025】
ここで、光吸収層に含有させる光吸収剤としては、ロッドレンズが用いられる光学系で使用される波長の光を吸収し得る種々の染料や顔料、色素を使用することができる。
具体的には、イメージセンサ等においては、可視光(400nm〜700nm程度)、近赤外光(700nm〜1000nm程度)を出射する光源が広く用いられているため、可視光、近赤外光のうち、特定波長域の光のみを吸収する光吸収剤、若しくは、可視光、近赤外光のうち、全波長域の光を吸収する光吸収剤を用いれば良い。なお、1種類の光吸収剤のみを単独で用いても良いし、吸収する波長が異なる光吸収剤を2種以上組み合わせて用いても良い。
カラーイメージセンサ用のレンズアレイ用として用いられるロッドレンズでは、例えば、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ吸収する光吸収剤を組み合わせて用いることにより、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを構成した際に、赤色光、緑色光、青色光のすべての光に対して、フレア光、クロストーク光の発生を抑制することができ、好適である。また、可視光、近赤外光のうち、全波長域の光を吸収する光吸収剤としては、複数種の光吸収剤を混合して黒色としたものや、カーボンブラック、グラファイトカーボン等の黒色の光吸収剤を例示することができる。
【0026】
また、光吸収層内において、光吸収剤はできるだけ均一に分布していることが好ましい。すなわち、光吸収剤は、光吸収層中に均一に分散されているか、若しくは光吸収層を構成する高分子に均一に結合されていることが好ましい。このように、光吸収剤を均一に分布させることにより、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを構成した際に、フレア光、クロストーク光が局所的に発生することを防止することができる。
また、光吸収層中の光吸収剤の濃度は、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。光吸収剤の濃度をこの範囲とすることにより、出射光量を十分に確保しつつ、本発明のロッドレンズを用いてレンズアレイを構成した際の、フレア光、クロストーク光の発生を抑制することができ、好適である。
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、断面の半径r、屈折率分布定数g、屈折率分布定数gと半径rの積(g・r)を所定の範囲内に規定すると共に、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体及びメチルメタクリレート単位を有する重合体を用いてロッドレンズを構成することにより、十分な出射光量を確保しながら、共役長が短いと共に、焦点深度が深く、かつカラー特性に優れたロッドレンズを提供することができる。
【0028】
[ロッドレンズの製造方法]
次に、本発明のロッドレンズの製造方法の一例について、説明する。
はじめに、硬化後の屈折率nがn1>n2>・・・・>nN(但し、N≧3)となるN個の層形成用溶液(第1層形成用溶液〜第N層形成用溶液)を調製し、これらN個の層形成用溶液を用い、硬化後に中心軸から外周面に向かって順次屈折率が低くなるような配置で、同心円状に押し出し、第1層から第N層が同心円状に積層形成された、未硬化の糸状体を紡糸する。
次に、紡糸後の糸状体に、糸状体の屈折率分布が中心軸から外周面に向かって連続的に変化するように、隣接する層中の物質を相互拡散させる相互拡散処理を施した後、硬化処理を施す。なお、相互拡散処理は、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、未硬化の糸状体を所定温度で所定時間保持し、隣接する層中の物質を濃度差により拡散させることにより、行うことができる。また、相互拡散処理と硬化処理とを同時に施すことも可能である。
次に、硬化処理後に得られる糸状体に対して、必要に応じて加熱延伸、緩和処理を行った後、得られた糸状体を所定長さずつに切断することにより、本発明のロッドレンズを製造することができる。なお、相互拡散処理、硬化処理、加熱延伸処理、緩和処理については、連続的に行っても良いし、バッチ式で行っても良い。
【0029】
以上、本発明のロッドレンズの製造方法の概略について説明した。さらに、上記の製造方法について詳述する。
糸状体を紡糸する際に、積層する層の数Nは4〜6とすることが好ましい。層の数Nが4未満では、得られるロッドレンズの屈折率分布を理想的な分布に近づけることが難しくなり、層の数Nが6を超えた場合には、糸状体の紡糸が難しくなるため、好ましくない。
【0030】
また、糸状体を紡糸する際に調製する各層形成用溶液の粘度を、102〜107Pa・sとすることが好ましい。層形成用溶液の粘度が102Pa・s未満では、紡糸時に糸切れが生じやすくなり、紡糸が困難になる恐れがある。また、層形成用溶液の粘度が107Pa・sを超えた場合には、紡糸時の操作性が悪化し、各層の同心円性が損なわれると共に、均一な径を有する糸状体を得ることが困難になる恐れがある。
【0031】
ここで、各層形成用溶液の主成分である硬化性材料としては、ラジカル重合性ビニル単量体等を例示することができる。
ラジカル重合性ビニル単量体としては、メチルメタクリレート(n=1.49)、スチレン(n=1.59)、クロルスチレン(n=1.61)、酢酸ビニル(n=1.47)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート(n=1.37〜1.44)、n=1.43〜1.62の(メタ)アクリレート類、例えば、エチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を例示することができる。また、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、フッ素化アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート等も用いることができる。
【0032】
本発明において、中心軸から0.8r以内の範囲を構成する層については、上述の単量体の中で、少なくとも脂環式基含有(メタ)アクリレート及びメチルメタクリレートを用いることが好ましい。上述したように、脂環式基含有(メタ)アクリレート、メチルメタクリレートを用いて、中心軸から0.8r以内の範囲を構成する層を形成することにより、所望のアッベ数差を有する、カラー特性に優れたロッドレンズを提供することができる。ここで、脂環式基含有(メタ)アクリレートを構成する脂環式基としては、上述したように、アダマンチル基、イソボルニル基が好ましく、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基が特に好ましい。
また、上述したように、ロッドレンズの中心軸と外周部との屈折率差を大きくし、ロッドレンズの外周部の屈折率分布をより理想の分布に近づけるために、中心軸から0.8r以上外側の範囲を構成する層については、上述の単量体の中で、少なくともフッ素化アルキルメタクリレートを用いることが好ましい。
【0033】
また、層形成用溶液の粘度調整や、中心軸から外周面へ向かって連続的に屈折率を変化させること等を目的として、層形成用溶液には、硬化性材料の他に、硬化性材料に可溶な重合体(可溶性重合体)を含有させることが好ましい。
ここで、中心軸から外周面へ向かって連続的に屈折率を変化させること等を目的として配合する重合体としては、前述のラジカル重合性ビニル単量体から生成される重合体と相溶性が良いものが用いることが好ましく、ポリメチルメタクリレート(n=1.49)、ポリメチルメタクリレート系共重合体(n=1.47〜1.50)、ポリ4ーメチルペンテンー1(n=1.46)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(n=1.46〜1.50)、ポリカーボネート(n=1.50〜1.57)、ポリフッ化ビニリデン(n=1.42)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(n=1.42〜1.46)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(n=1.40〜1.46)、フッ化アルキル(メタ)アクリレート系重合体等が好適である。これらの中でも特に、ポリメチルメタクリレートは透明性に優れ、それ自体の屈折率も高いので、好適である。
また、糸状体を構成する各層に、略同一の屈折率を有する重合体を含有させることが好ましく、かかる構成とした場合には、中心軸から外周面に向かって連続的に屈折率が変化するロッドレンズを簡易に得ることができるので好ましい。
【0034】
また、未硬化の糸状体を硬化するため、各層形成用溶液には、熱硬化触媒あるいは光硬化触媒を添加しておくことが好ましい。
ここで、熱硬化触媒としては、パーオキサイド系、アゾ系等の触媒を例示することができる。また、光硬化触媒としては、ベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン等を例示することができる。
【0035】
また、未硬化の糸状体の硬化処理は、用いる重合触媒の種類に応じて、適宜行うことができる。すなわち、重合触媒として熱硬化触媒を用いる場合には、未硬化の糸状体を、所定温度で、所定時間加熱することにより、硬化させることができる。また、重合触媒として光硬化触媒を用いる場合には、未硬化の糸状体に対して、紫外線等の光を照射することにより、硬化させることができる。なお、このときに用いて好適な光源としては、150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、レーザー光等が挙げられる。また、重合触媒として熱硬化触媒と光硬化触媒の双方を用いる場合には、これらの処理を組み合わせて行えば良い。
【0036】
硬化処理後の糸状体の加熱延伸処理は、公知の方法により行うことができる。例えば、硬化処理後の糸状体を第1のニップローラーにより所定の速度で加熱炉内に供給し、加熱炉を通過した糸状体を第2のニップローラーにより、第1のニップローラーよりも速い速度で引き取ることにより、加熱延伸処理を施すことができる。
この工程において、糸状体の加熱温度は、ロッドレンズの材質等に応じて設定されるが、Tg−20℃以上(但し、Tgはロッドレンズのガラス転移温度)とすることが好ましい。また、延伸倍率は、未硬化の糸状体の径と、所望のロッドレンズ径とにより決定され、第1及び第2のニップローラーの周速度比により調節することができる。
【0037】
加熱延伸処理後の糸状体の緩和処理は、公知の方法により行うことができる。例えば、延伸処理後の糸状体を第3のニップローラーにより所定の速度で加熱炉内に供給し、加熱炉を通過した糸状体を第4のニップローラーにより、第3のニップローラーよりも遅い速度で引き取ることにより、緩和処理を施すことができる。
この工程において、糸状体の加熱温度は、ロッドレンズの材質等に応じて設定されるが、Tg以上とすることが好ましい。また、緩和率(緩和処理後の長さ/緩和処理前の長さ)は、延伸処理後の糸状体の径と、所望のロッドレンズ径とにより決定され、第3及び第4のニップローラーの周速度比により調節することができるが、緩和率が99/100〜4/5程度となるように、緩和処理を施すことが好ましい。このように、緩和処理を施すことにより、製造後のロッドレンズの熱による収縮を抑制することができ、好適である。なお、緩和率が小さすぎると、ロッドレンズ径が不均一になる恐れがあるため好ましくない。
【0038】
以上説明した製造方法によれば、本発明のロッドレンズを簡易に製造することができ、好適である。
【0039】
[レンズアレイの構造]
本発明のレンズアレイは、上記の本発明のロッドレンズ複数本を、各ロッドレンズの中心軸方向が互いに略平行方向となるように、ロッドレンズの中心軸方向に対して垂直方向に向けて配列したロッドレンズ列を少なくとも1段具備して構成されたものである。
【0040】
本発明のレンズアレイにおいて、隣接するロッドレンズを離間配置しても良いが、密接配置することが好ましい。また、ロッドレンズ列を2段以上具備する場合には、ロッドレンズを俵積み状に配列することが好ましい。かかる構成を採用することにより、より多くのロッドレンズを配列させることができるので、ロッドレンズを透過する光量を大きくすることができ、好適である。なお、隣接するロッドレンズを離間配置する場合には、隣接するロッドレンズの中心軸間距離が均等になるように、ロッドレンズを配置することが好ましい。
【0041】
なお、例えば、一対の基板間に、1段若しくは2段以上のロッドレンズ列を挟持させ、隣接するロッドレンズ間、及び基板と基板に隣接するロッドレンズ間の隙間に接着剤を充填するなどして、複数のロッドレンズを固定することができる。ここで、隣接するロッドレンズ間、及び基板と基板に隣接するロッドレンズ間の隙間に充填する接着剤としては、本発明のレンズアレイからロッドレンズ内を透過した光のみを出射させるために、カーボンブラック、染料等の遮光剤を含有する接着剤を用いることが好適である。
【0042】
かかる構造の本発明のレンズアレイは、公知の方法により製造することができる。例えば、一定の長さに切断したロッドレンズを一対の基板間に配列した後、隣接するロッドレンズ間、及び基板と基板に隣接するロッドレンズ間の隙間に、未硬化の接着剤を注入し、硬化させる。次いで、必要に応じて、所望の長さに切断した後、ダイヤモンド刃等を用いて各ロッドレンズの両端面を鏡面研磨することにより、本発明のレンズアレイを製造することができる。
【0043】
本発明のレンズアレイは、本発明のロッドレンズを用いて構成されたものであるので、共役長が短く、本発明のレンズアレイを搭載する複写機等の光学系の小型化を図ることができるものとなる。また、焦点深度が深いため、原稿が浮いて、原稿面からの距離が多少変化したとしても、優れた解像力を発揮するため、複写機のフラットベッド側のイメージセンサ等として有用である。また、色収差が小さく、カラー特性に優れるため、本発明のレンズアレイを搭載することにより、高解像度のカラーイメージセンサを提供することができる。
【0044】
[イメージセンサの構造]
次に、本発明のイメージセンサについて説明する。
本発明のイメージセンサは、読み取り原稿の原稿面を照明するための照明装置と、光を受光し電気信号に変換する光電変換素子(受光センサ)と、読み取り原稿からの反射光を光電変換素子に結像する上記の本発明のレンズアレイとを具備して概略構成され、必要に応じて、原稿を安定に固定するためのカバーガラス等が備えられたものである。
【0045】
読み取り原稿を照明するための照明装置は、白熱電球、冷陰極管、LED(発光ダイオード)等からなる光源と、光源から出射された光を導光する導光体とを具備して構成される。また、必要に応じて、光源から出射された光のうち、特定波長の光を除去するために、導光体と読み取り原稿との間、あるいは読み取り原稿と本発明のレンズアレイとの間等の特定波長の光を除去するために適当な位置に、フィルタ素子を具備して構成される。
また、例示した光源の中でも特に、特定の波長域の光のみを出射する(出射される光の波長分布の狭い)LEDが好適である。また、波長(色)の異なる光を出射する複数種類のLEDを用いることにより、カラー画像の読み取りが可能なカラーイメージセンサを提供することができる。
例えば、赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を発光する3種類のLEDを用いることにより、カラーイメージセンサを得ることができるが、色再現性を良くするためには、赤色光、緑色光、青色光を発光する3種類のLEDとして、各々、発光波長のピークが、600〜660nm、510〜560nm、450〜480nmのLEDを用いることが好ましい。
【0046】
また、光源から出射された光を導光する導光体としては、例えば、アクリル樹脂等の透明樹脂からなる導光板が好適である。このように、導光体として導光板を用いる場合には、光源を導光板の少なくとも一側方に配置し、導光板の光出射面側に原稿面が位置するように、読み取り原稿を配置すれば良い。すなわち、導光板の側方に配置された光源から出射された光は、導光板と空気との界面で全反射を繰り返して、導光板中を伝搬した後、導光板の一方の面(光出射面)から出射されるので、導光板の光出射面側に原稿面を配置することにより、原稿面に対して光を照射することができる。
【0047】
以下、光源として、赤色光、緑色光、青色光を発光する3種類のLEDを用いたカラーイメージセンサを例として、本発明のイメージセンサの画像読み取りの機構について簡単に説明する。
赤、緑、青を発光する3種類のLEDを時間順次に点灯し、各LEDから発光された各色光を、照明装置から原稿面に対して斜め方向に照射する。そして、原稿面により反射され、各色の色情報を持った光を、本発明のレンズアレイにより光電変換素子上に結像する。光電変換素子は、各色の色情報を持った光を電気信号に変換する素子であるので、光電変換素子により電気信号に変換された画像情報を、コンピュータ等を備えたシステム部に伝送し、システム部において、各色の電気信号を処理することにより、カラー画像を再現することができる。以上のようにして、カラー画像の読み取りを行うことができる。
【0048】
本発明のイメージセンサは、本発明のレンズアレイを備えたものであるので、光学系の小型化を図ることができ、ハンドスキャナ等のスキャナや複写機等に搭載した場合に、装置全体の小型化を図ることができるものとなる。また、原稿が浮いて、レンズアレイと原稿面との距離が多少変化したとしても、強く鮮明な画像を読み取ることができるものとなる。また、本発明のイメージセンサはカラー特性にも優れているため、鮮明なカラー画像の読み取りが可能であり、高解像度のカラースキャナ等にも好適に用いることができる。
【0049】
【実施例】
次に、本発明に係る実施例及び比較例について説明する。なお、各実施例、比較例において、屈折率分布の測定は、カールツァイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用い、公知の方法に基づいて行った。また、以下の実施例、比較例において、ポリメチルメタクリレートとしては、メチルエチルケトン(MEK)中で、25℃にて測定した相対粘度が0.4のものを用いた。
【0050】
(実施例1)
ポリメチルメタクリレート48質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート24質量部、メチルメタクリレート28質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第1層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート48質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート21質量部、メチルメタクリレート31質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第2層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート48質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート18質量部、メチルメタクリレート34質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第3層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート48質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート15質量部、メチルメタクリレート37質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第4層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート50質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート12質量部、メチルメタクリレート38質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第5層形成用溶液を得た。
なお、レンズアレイを構成した際に、フレア光やクロストーク光を抑制するために、加熱混練前の第4層及び第5層形成用溶液に、溶液全体に対して、染料Blue ACR(日本化薬(株)製)0.12質量%、染料MS YellowHD−180(三井東圧染料(株)製)0.10質量%、染料MS Magenta HM−1450(三井東圧染料(株)製)0.08質量%を添加した。
【0051】
次に、中心軸側が第1層形成用溶液、外周面側が第5層形成用溶液となるように、得られた5種類の層形成用溶液を、同心円状5層複合ノズルを用いて押し出し、第1層〜第5層が同心円状に積層された構造の未硬化の糸状体を紡糸した。なお、複合紡糸ノズルの加熱温度は50℃とし、第1層〜第5層の半径方向の厚さの比が40/28/12/11/9となるように、紡糸を行った。
次に、長さ30cmの相互拡散処理部内を通過させ、得られた糸状体に相互拡散処理を施した。なお、相互拡散処理部における窒素流量は72L/minとした。次いで、長さ120cm、40Wのケミカルランプ18本を円状に等間隔に配置した第1の光照射部の中心を通過させ、さらに、2kW高圧水銀灯3本を円状に等間隔に配置した第2の光照射部の中心を通過させ、糸状体に光を照射することにより、各層を硬化した。なお、これらの相互拡散処理と硬化処理とは、複合紡糸ノズルから押し出された糸状体を、ニップローラーにより150cm/minの速度で引き取りながら、連続的に行った。また、硬化処理後に得られた糸状体の径は0.3mmであった。
得られた糸状体を135℃で4.4倍に延伸した後、155℃で緩和率が10/11になるように緩和処理を施し、本発明のロッドレンズを作製した。
【0052】
得られたロッドレンズの断面の半径rは0.15mm、中心軸の屈折率は1.498であった。また、中心軸から0.2r〜0.8rの範囲における屈折率分布を上記式(1)で近似することができ、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gは0.325mm-1、g・rは0.049であった。また、得られたロッドレンズには、外周面から中心軸に向けて、染料をほぼ均一に含有する光吸収層が、約30μmの厚さで形成されていた。
また、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲における最大アッベ数は54.7、最小アッベ数は54.5、最大アッベ数と最小アッベ数との差は0.2であり、得られたロッドレンズは、最大アッベ数と最小アッベ数との差が小さく、色収差が小さいものであった。
【0053】
また、得られたロッドレンズを、両端面が鏡面となるように、ダイヤモンド刃を用いて切削し、レンズ長を12.0mmとした。このロッドレンズの525nmの波長の光についての共役長は22.2mmと短く、良好であった。また、このロッドレンズの630nmの波長の光についての共役長は23.1mm、470nmの波長の光についての共役長は21.8mmであり、630nmの波長の光と470nmの波長の光についての共役長の差は1.3mmと小さく、良好であった。また、MTFが最大になるように、6Lp/mmの格子パターン、ロッドレンズ、受光センサを順次配置させた後、格子パターンのみを移動させたときに、MTFが40%以上となる格子パターンの移動範囲の幅として規定される焦点深度は3.4mmであり、焦点深度も深く、良好であった。
【0054】
(実施例2)
実施例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ756本を、2枚のフェノール樹脂製基板(厚さ0.5mm)の間に1列に密接配列した後、隣接するロッドレンズ間、及び基板と基板に隣接するロッドレンズ間の隙間に、接着剤(カーボンブラック(2質量%)を添加したエピフォーム(ソマール社製))を充填し、硬化させた。次いで、両端面を切断した後、ダイヤモンド刃を用いて鏡面研磨し、レンズ長が12.0mmのA4サイズ(幅227mm)の本発明のレンズアレイを作製した。
得られたのレンズアレイの470nm、525nm、630nmの波長の光についての共役長は、それぞれ21.8mm、22.2mm、23.1mmであり、共役長が短いと共に、波長の異なる伝送光についての共役長の差が小さく、良好なレンズアレイが得られた。
また、このレンズアレイと、発光波長のピークが470nm、525nm、630nmの3種類のLEDと、受光センサとを備えたシートフィード型のカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられた鮮明なカラー画像が得られた。
【0055】
(実施例3)
実施例2と同様にして作製された本発明のレンズアレイと、発光波長のピークが470nm、525nm、630nmの3種類のLEDと、受光センサとを備えたカラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられた鮮明なカラー画像が得られた。また、原稿が少し浮いた部分においても、画像を鮮明に読み取ることができた。
【0056】
(参考例1)
硬化処理後の糸状体を、140℃で27.5倍に延伸した後、155℃で緩和率が10/11になるように緩和処理を施した以外は、実施例1と同様にして、本発明のロッドレンズを作製した。
得られたロッドレンズの断面の半径rは0.06mm、中心軸の屈折率は1.498であった。また、中心軸から0.2r〜0.8rの範囲における屈折率分布を上記式(1)で近似することができ、屈折率分布定数gは0.812mm-1、g・rは0.049であった。また、得られたロッドレンズには、外周面から中心軸に向けて、染料をほぼ均一に含有する光吸収層が、約12μmの厚さで形成されていた。
また、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲における最大アッベ数は54.7、最小アッベ数は54.5、最大アッベ数と最小アッベ数との差は0.2であり、得られたロッドレンズは、最大アッベ数と最小アッベ数との差が小さく、色収差の小さいものであった。
【0057】
また、得られたロッドレンズを、実施例1と同様に鏡面切削し、レンズ長を4.8mmとした。このロッドレンズの525nmの波長の光についての共役長は8.9mmと短く、良好であった。また、このロッドレンズの630nmの波長の光についての共役長は9.1mm、470nmの波長の光についていの共役長は8.8mmであり、630nmの波長の光と470nmの波長の光についての共役長の差は0.3mmと小さく、良好であった。また、実施例1と同様にして求めた焦点深度は3.4mmであり、焦点深度も深く、良好であった。
【0058】
(参考例2)
参考例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ約1900本を用い、レンズ長を4.8mmとした以外は、実施例2と同様にして、A4サイズの本発明のレンズアレイを作製した。
得られたレンズアレイの470nm、525nm、630nmの波長の光についての共役長は、それぞれ8.8mm、8.9mm、9.1mmであり、共役長が短いと共に、波長の異なる伝送光についての共役長の差が小さく、良好なレンズアレイが得られた。
また、このレンズアレイを用い、実施例2と同様にして、シートフィード型の小型のカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられた鮮明なカラー画像が得られた。
【0059】
(参考例3)
参考例2と同様にして作製された本発明のレンズアレイを用い、実施例3と同様にして、小型のカラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられた鮮明なカラー画像が得られた。また、原稿が少し浮いた部分についても、画像を鮮明に読み取ることができた。
【0060】
(実施例4)
ポリメチルメタクリレート48質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート28質量部、メチルメタクリレート24質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第1層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート48質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート24質量部、メチルメタクリレート28質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第2層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート48.4質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート20質量部、メチルメタクリレート31.6質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第3層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート49質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート16質量部、メチルメタクリレート35質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第4層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート50質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート12質量部、メチルメタクリレート38質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第5層形成用溶液を得た。
なお、実施例1と同様に、レンズアレイを構成した際に、フレア光やクロストーク光の発生を抑制するために、加熱混練前の第4層及び第5層形成用溶液に、染料を添加した。
【0061】
次に、実施例1と同様に、得られた5種類の層形成用溶液を同心円状5層複合防止ノズルから同時に押し出し、未硬化の糸状体を紡糸した。なお、第1層〜第5層の半径方向の厚さの比が、42/24/18/7/9となるように、紡糸を行った。
次いで、糸状体の引き取り速度を100cm/minとした以外は、実施例1と同様にして、相互拡散処理と硬化処理とを施した。硬化処理後に得られた糸状体の径は0.3mmであった。
次に、得られた糸状体を135℃で3.06倍に延伸した後、155℃で緩和率が10/11になるように緩和処理を施し、本発明のロッドレンズを作製した。
【0062】
得られたロッドレンズの断面の半径rは0.18mm、中心軸の屈折率は1.499であった。また、中心軸から0.2r〜0.8rの範囲における屈折率分布を上記式(1)で近似することができ、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gは0.318mm-1、g・rは0.057であった。また、得られたロッドレンズには、外周面から中心軸に向けて、染料をほぼ均一に含有する光吸収層が、約29μmの厚さで形成されていた。
また、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲における最大アッベ数は54.7、最小アッベ数は54.4、最大アッベ数と最小アッベ数との差は0.3であり、得られたロッドレンズは、最大アッベ数と最小アッベ数との差が小さく、色収差の小さいものであった。
【0063】
また、得られたロッドレンズを実施例1と同様に鏡面切削し、レンズ長を12.0mmとした。このロッドレンズの525nmの波長の光についての共役長は24.0mmと短く、良好であった。また、このロッドレンズの630nmの波長の光についての共役長は25.1mm、470nmの波長の光についての共役長は23.5mmであり、630nmの波長の光と470nmの波長の光についての共役長の差は1.6mmと小さく、良好であった。また、実施例1と同様にして求めた焦点深度は3.1mmであり、焦点深度も深く、良好であった。
【0064】
(実施例5)
実施例4で得られた鏡面切削前のロッドレンズ630本を用い、レンズ長を12.0mmとした以外は、実施例2と同様にして、A4サイズの本発明のレンズアレイを作製した。
得られたレンズアレイの470nm、525nm、630nmの波長の光についての共役長は、それぞれ23.6mm、24.0mm、25.1mmであり、共役長が短いと共に、波長の異なる伝送光についての共役長の差が小さく、良好なレンズアレイが得られた。
また、このレンズアレイを用い、実施例1と同様にして、シートフィード型のカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられた鮮明なカラー画像が得られた。
【0065】
(実施例6)
実施例5と同様にして作製された本発明のレンズアレイを用い、実施例3と同様にして、カラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、色収差によるにじみが抑えられた鮮明なカラー画像が得られた。また、原稿が少し浮いた部分についても、画像を鮮明に読み取ることができた。
【0066】
(比較例1)
ポリメチルメタクリレート52質量部、ベンジルメタクリレート35質量部、メチルメタクリレート13質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第1層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート48質量部、ベンジルメタクリレート10質量部、メチルメタクリレート35質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート7質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第2層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート47質量部、メチルメタクリレート30質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート23質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第3層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート40質量部、メチルメタクリレート18質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート42質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第4層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート37質量部、メチルメタクリレート4質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート59質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第5層形成用溶液を得た。
なお、実施例1と同様に、レンズアレイを構成した際に、フレア光やクロストーク光の発生を抑制するために、加熱混練前の第4層及び第5層形成用溶液に、染料を添加した。
このように、比較例1では、実施例1、4、7と異なり、脂環式基含有メタクリレートを用いずに、各層形成用溶液を得た。
【0067】
次に、実施例1と同様に、得られた5種類の層形成用溶液を同心円状5層複合防止ノズルから同時に押し出し、未硬化の糸状体を紡糸した。なお、第1層〜第5層の半径方向の厚さの比が、35/38/20/6/1となるように、紡糸を行った。
次に、得られた糸状体に対して、実施例1と同様に、相互拡散処理と硬化処理とを施した。硬化処理後に得られた糸状体の径は0.24mmであった。次に、125℃で2.2倍に延伸した後、140℃で緩和率が10/11になるように緩和処理を施し、ロッドレンズを作製した。
【0068】
得られたロッドレンズの断面の半径rは0.17mm、中心軸の屈折率は1.513であった。また、中心軸から0.2r〜0.8rの範囲における屈折率分布を上記式(1)で近似することができたが、525nmの波長の光についての屈折率分布定数gは1.51mm-1、g・rは0.26であり、g及びg・rはいずれも実施例1、4、7に比較して大きいものであった。また、得られたロッドレンズには、外周面から中心軸に向けて、染料をほぼ均一に含有する光吸収層が、約12μmの厚さで形成されていた。
また、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲における最大アッベ数は57、最小アッベ数は50、最大アッベ数と最小アッベ数との差は7であり、得られたロッドレンズは、実施例1、4、7に比較して最大アッベ数と最小アッベ数との差が大きく、色収差の大きいものであった。
【0069】
また、得られたロッドレンズを実施例1と同様に鏡面切削し、レンズ長を2.4mmとした。このロッドレンズの525nmの波長の光についての共役長は5.9mmと短く、良好であった。また、このロッドレンズの630nmの波長の光についての共役長は6.4mm、470nmの波長の光についての共役長は5.5mmであり、630nmの波長の光と470nmの波長の光についての共役長の差は0.9mmと小さく、良好であった。しかしながら、実施例1と同様にして求めた焦点深度は0.25mmと、実施例1、4、7に比較して浅かった。
【0070】
(比較例2)
比較例1で得られた鏡面切削前のロッドレンズ667本を用い、実施例2と同様にして、レンズ長が2.4mmのA4サイズのレンズアレイを作製した。
得られたレンズアレイの470nm、525nm、630nmについての共役長は、それぞれ5.5mm、5.9mm、6.4mmであった。
このレンズアレイを用い、実施例2と同様にして、シートフィード型の小型のカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、得られたカラー画像には色収差によるにじみが見られた。
【0071】
(比較例3)
比較例2と同様にして作製されたレンズアレイを用い、実施例3と同様にして、カラーハンドスキャナを作製した。このカラーハンドスキャナを用いて雑誌のカラー画像の読み取りを行ったところ、得られたカラー画像には色収差によるにじみが見られた。また、原稿が少し浮いた部分については、ほとんど画像を鮮明に読み取ることができなかった。
【0072】
(比較例4)
ポリメチルメタクリレート47質量部、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニルメタクリレート30質量部、メチルメタクリレート23質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部及びハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第1層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート50質量部、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニルメタクリレート10質量部、メチルメタクリレート40質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部及びハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第2層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート50質量部、メチルメタクリレート40質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート10質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第3層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート50質量部、メチルメタクリレート40質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート10質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第4層形成用溶液を得た。
ポリメチルメタクリレート42質量部、メチルメタクリレート18質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート40質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、ハイドロキノン0.1質量部を、70℃で加熱混練して第5層形成用溶液を得た。
なお、実施例1と同様に、レンズアレイを構成した際に、フレア光やクロストーク光の発生を抑制するために、加熱混練前の第4層及び第5層形成用溶液に、染料を添加した。
得られた5種類の層形成用溶液を用い、第1層〜第5層の半径方向の厚さの比が、18/50/26/5/1となるように、紡糸を行った以外は、実施例1と同様にして、ロッドレンズを得た。
【0073】
得られたロッドレンズの断面の半径rは0.29mmと、実施例1、4、7に比較して大きく、中心軸の屈折率は1.497であった。また、中心軸から0.2r〜0.8rの範囲における屈折率分布を上記式(1)で近似することができたが、屈折率分布定数gは0.48mm-1、g・rは0.14であり、g・rは実施例1、4、7に比較して大きいものであった。また、得られたロッドレンズには、外周面から中心軸に向けて、染料をほぼ均一に含有する光吸収層が、約17μmの厚さで形成されていた。
また、ロッドレンズの中心軸から0.8r以内の範囲における最大アッベ数は56.1、最小アッベ数は54.6、最大アッベ数と最小アッベ数との差は1.5であり、得られたロッドレンズは、実施例1、4、7に比較して最大アッベ数と最小アッベ数との差が大きく、色収差の大きいものであった。
【0074】
また、得られたレンズを実施例1と同様に鏡面切削し、レンズ長を7.6mmとした。このロッドレンズの525nmの波長の光についての共役長は17.6mmと短く、良好であった。また、630nmの波長の光についての共役長は18.2mm、470nmの波長の光についての共役長は17.2mmであり、630nmの波長の光と470nmの波長の光についての共役長の差は1.0mmと小さく、良好であった。しかしながら、実施例1と同様にして求めた焦点深度は0.8mmと、実施例1、4、7に比較して浅かった。
【0075】
(比較例5)
比較例4で得られた鏡面切削前のロッドレンズ391本を用い、実施例2と同様にして、レンズ長が7.6mmのA4サイズのレンズアレイを作製した。
得られたレンズアレイの470nm、525nm、630nmの波長の光についての共役長は、それぞれ17.2mm、17.6mm、18.2mmであった。
このレンズアレイを用い、実施例2と同様にして、シートフィード型の小型のカラースキャナを作製した。このカラースキャナを用いてカラー画像の読み取りを行ったところ、得られたカラー画像には色収差によるにじみが見られた。
【0076】
以上の実施例1〜6、比較例1〜5および参考例1〜3の結果から、断面の半径r、屈折率分布定数g、屈折率分布定数gと半径rの積(g・r)を規定すると共に、脂環式基含有メタクリレート及びメチルメタクリレートを用いてロッドレンズを作製することにより、共役長が短いと共に、焦点深度が深く、かつカラー特性に優れたロッドレンズ及びレンズアレイを提供することができることが判明した。また、かかる特性を有するレンズアレイを用いることにより、原稿が浮いて、レンズアレイと原稿面との距離が多少変化したとしても、画像を鮮明に読み取ることが可能な、小型のカラーイメージセンサを提供することができることが判明した。
【0077】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、共役長が短いと共に、焦点深度が深く、かつカラー特性に優れたプラスチックロッドレンズ及びレンズアレイを提供することができる。また、本発明のレンズアレイを用いることにより、原稿が多少浮いて、レンズアレイと原稿面との距離が多少変化したとしても、画像を鮮明に読み取ることが可能な、スキャナ、複写機等に適した小型のイメージセンサを提供することができる。また、本発明のレンズアレイを用いることにより、鮮明なカラー画像を読み取ることが可能なカラーイメージセンサを提供することができる。
Claims (5)
- 断面視円形状で、かつ、中心軸から外周面に向かって屈折率が連続的に減少するプラスチックロッドレンズにおいて、
断面の半径rが0.05mm以上0.2mm未満であり、
少なくとも中心軸から0.3r〜0.7rの範囲における屈折率分布が下記式(1)で規定される2次曲線で近似され、
525nmの波長の光についての屈折率分布定数gが、0.2mm-1≦g≦0.325mm-1、及び0.04≦g・r<0.065を満たしていると共に、
少なくとも中心軸から0.8r以内の範囲に、脂環式基含有(メタ)アクリレート単位を有する重合体、及びメチルメタクリレート単位を有する重合体を含有し、
中心軸から0.8r以内の範囲における、最大アッベ数と最小アッベ数との差が0.5以下であり、
前記ロッドレンズの525nmの波長の光についてのMTFが最大になるように、6Lp/mmの格子パターン、前記ロッドレンズ、及び受光センサを順次配置させた後、前記格子パターンのみを移動させたときに、MTFが40%以上となる格子パターンの移動範囲の幅として規定される焦点深度が3mm以上であることを特徴とするプラスチックロッドレンズ。
n(L)=n0{1−(g2/2)L2}・・・(1)
(但し、式(1)中、n0はロッドレンズの中心軸の屈折率、Lはロッドレンズの中心軸からの距離(0≦L≦r)、gはロッドレンズの屈折率分布定数、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における屈折率をそれぞれ表す。) - 525nmの波長の光についての共役長が25mm以下であると共に、630nmの波長の光についての共役長と、470nmの波長の光についての共役長との差が1.8mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックロッドレンズ。
- 中心軸から0.6r以上外側の範囲に、前記ロッドレンズの伝送光のうち少なくとも一部の光を吸収する光吸収剤を含有する光吸収層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチックロッドレンズ。
- 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のロッドレンズ複数本を、各ロッドレンズの中心軸方向が互いに略平行方向となるように、前記ロッドレンズの中心軸方向に対して垂直方向に向けて配列したロッドレンズ列を少なくとも1段具備してなることを特徴とするレンズアレイ。
- 請求項4に記載のレンズアレイを備えたことを特徴とするイメージセンサ。
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