JP4321169B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
また、炭酸ジエステル等沸点の比較的高いものについては、減圧することにより該化合物の沸点を下げることも有効である。
本発明においては、炭酸ジエステルを含有する洗浄液を使用する場合、常圧、高温度下では、残存した樹脂が分解しモノヒドロキシ化合物が生成するため、生成したモノヒドロキシ化合物の沸点以上に加熱し洗浄することにより、該モノヒドロキシ化合物が還流し天板及び留去ラインが洗浄される。
なお、本発明における「反応装置」とは、反応槽、反応槽を繋ぐ配管、バルブ、送液ポンプ、副生物留去ラインなどを意味する。
洗浄時間に特に制限はないが、残存樹脂等が無くなれば良く、通常30分以上が好ましい。しかし、高温で洗浄する場合は洗浄時間を極端に長くすると洗浄液自体が変性劣化し、反応装置内壁面に吸着し、洗浄液を抜き出した後も残存するため着色の原因となってしまうことから、30時間以内とするのがよい。ここで洗浄時間とは、洗浄液が該反応装置に接触している時間をいう。
反応槽における洗浄液の張り込み量は、洗浄時間を短縮する上で、製造運転時に反応液が接液する部位を満たしているのが好ましいが、本発明では、洗浄液の一部を還流させているため、少なくともかまわないが洗浄効率を考慮し反応槽容積の1/3以上とするのがよい。
また、洗浄液抜き出し後、反応装置内に残存する洗浄液を水、アセトンやメタノール等の有機溶剤に溶解し抜き出した後、高減圧下で残存する該リンス液を除去してもよい。
この際ハロゲン系の溶剤は好ましくなく、ハロゲンが反応装置内壁面に吸着され減圧除去されないため、反応再開時の着色原因となったり、或いは重合を阻害してしまう。
洗浄後の洗浄液中には、残存していた樹脂と、該樹脂が一部分解され生成する、或いは反応槽の天板或いは副生物留去ラインに付着していたオリゴマー、原料、モノヒドロキシ化合物が含有されていることはいうまでもない。
本発明では、反応停止後、反応槽の反応液を抜き出した後24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上を洗浄液として送液することが好ましく、更に好ましくは18時間以内、より好ましくは12時間以内である。
洗浄液の送液方法に特に制限はないが、連続的に各反応槽の液レベルを保ちつつ洗浄液を第1反応槽より最終反応槽まで通液する方法、各反応槽にそれぞれ洗浄液を送液し、バッチ式に洗浄する方法、或いは第1反応槽より洗浄液を送液し、所定時間洗浄した後第2反応槽に送液していくように、第1反応槽より順次洗浄していく方法等が挙げられる。
また、比較的分子量が低く、洗浄が容易な反応槽は順次洗浄液を送液していき、分子量の高い反応槽には別途洗浄液を送液して洗浄する方法も好適に実施される。
洗浄後は、常温に反応装置内が下がるまで不活性ガス雰囲気下とするのが好ましく、更に好ましくは反応再開時まで反応装置内を不活性ガス雰囲気下とし酸素と接触させないことが好ましい。
反応装置内が酸素と接触するような雰囲気下で保持されると、反応再開時に樹脂が着色する場合がある。理由は明らかではないが、反応装置内において酸素と接触すると、反応装置内壁面に吸着した有機物、或いは金属表面に酸素が吸着され着色原因となるものと推察される。
また、生産調整等で運転を休止する場合においても、不活性ガス下で、且つ反応装置内に残存する樹脂等が無く十分に洗浄された状態で維持されていれば1ヶ月程度であれば、反応再開前に特に洗浄処理を行うことなく反応初期における樹脂の着色を抑制することが可能である。
定期修理等で、装置を分解修理する際は空気中の酸素と反応装置内壁面が接触する環境下となるが、この際もできるだけ不活性ガスでフローするなど酸素との接触を抑えることが望ましい。
反応再開前に、上述の反応停止時に行う洗浄処理を行うことも望ましく、特に反応装置内壁面が酸素と接触した場合は更に好ましい。この際も、反応装置を所定の温度まで昇温する前に、反応装置内を十分に不活性ガスにより置換するのが好ましい。
反応開始時初期に生成する着色した樹脂を排出せずにそのまま次の反応槽に送液し、重合を進めると、樹脂の着色が徐々に薄まり色相の優れた樹脂が得られるまでに長時間を有し、生産性が低下することとなる。
また、本発明に使用する反応装置の材質としてはニッケル、クロム、コバルト、或いはそれらの合金、さらにはそれらに鉄等を含有したステンレス鋼が使用される。これらの中でも特に、ステンレス鋼が安価で加工しやすいため好適に用いられる。さらには該ステンレス鋼製の各反応槽内壁、送液配管、及び副生物が還流する部位に電解研磨処理を施すことにより色相の優れた樹脂を製造でき好ましい。
本発明で使用するステンレス鋼としては、特に制限はないが、SUS310、SUS310S、SUS309、SUS309S、SUS314等のニッケル含有量12〜22wt%、クロム含有量22〜26wt%のステンレス鋼であることが好ましい。
本発明におけるポリカーボネートとは、炭酸ジエステルと二価のジヒドロキシ化合物を、エステル交換触媒の存在下溶融重合して得られる芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートである。
本発明に用いられる炭酸ジエステルは、下記一般式(V)で表される化合物であ
る。
上記一般式(V)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジメチルカーボネート
、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ジキシリルカーボネート、ビスプロピルフェニルカーボネート、ビスオクチルフェニルカーボネート、ビスノニルフェニルカーボネート、ビスメトキシフェニルカーボネート、ビスエトキシフェニルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート(以下DPCと記す)が挙げられ、塩素含有量は、1ppm 以下であることが好ましい。炭酸ジエステルは、モノマーとして用いられるジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.2モルの量で用いられることが好ましく、特に好ましくは0.99〜1.10モルの量である。
本発明の反応に用いられる脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、トリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジエチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジプロピルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10.04,8]ペンタデカンジメタノール、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノール、アダマンタンジメタノールなどが挙げられる。
これらのうちで光学用途に用いる場合は、脂環構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、特に下記構造式(III)で示されるトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール(以下TCDDMと記す)、下記構造式(IV)で示される3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(以下SPGと記す)が好ましい。
本発明の反応に用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は下記一般式(VI)で表さ
れる化合物である。
上記一般式(VI)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
これらのうちで、特に下記構造式(I)で示される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)、下記構造式(II)で示される1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZと記す)が好ましい。
該押出機に導入された樹脂に、触媒失活剤、リン系、硫黄系、ヒンダードフェノール系或いはラクトン系等の酸化防止剤、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、或いはシアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、シリコーン系、高級脂肪酸エステル系或いはパラフィン系の離型剤、その他難燃剤、帯電防止剤、有機充填剤、無機充填剤、顔料、染料等の着色剤を必要に応じて単独或いは併用して添加しペレット化する。
これらの添加方法に制限はなく、使用する添加剤を混合しサイドフィーダーにより添加する方法、或いはこれらを溶融し、或いは溶剤に溶解希釈してポンプを用いて圧入する方法、製造するものと同種或いは異種のポリカーボネートをベースとして各種添加剤を混合した粉末状のマスターバッチ、或いは溶融混練されたマスタバッチペレットとして、サイドフィーダーを用いて添加する方法、或いは単軸又は2軸押出機により溶融添加する方法等が挙げられる。
この際、製造するものと同種で分子量の異なるポリカーボネート、製造するものとは異種のポリカーボネート、或いは他樹脂を押出機等で溶融添加し、コンパウンディングを同時に行ってもよく、また、製造された樹脂中に残存する未反応モノマー、オリゴマー、副生物等を除去するために注水脱揮処理を行っても良い。
本発明における脂肪族ポリカーボネート、及び芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートに熱安定性、耐衝撃性など諸物性を改善する目的で芳香族ポリカーボネートを前述の押出工程で添加する手法も好適に実施される。或いは、一度ペレット化した後、再度該芳香族ポリカーボネートを押出機等で溶融混練してもよい。添加する該芳香族ポリカーボネートは溶融法、界面法等により製造された粉末状或いはペレット状のものが使用される。
本発明に使用される触媒失活剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルリン酸、フェニルホスフィン、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフェート、ジフェニルホスファイト、ジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルホスフィン酸、モノメチルアシッドホスフェート、モノメチルアシッドホスファイト、ジメチルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスファイト、モノブチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスファイト、ジブチルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスファイト、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート等のリン含有酸性化合物、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ペンチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸フェネチル、p−トルエンスルホン酸ナフチル等の芳香族スルホン酸化合物が挙げられる。
このリン含有酸性化合物、芳香族スルホン酸化合物の添加量は、アルカリ金属化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物触媒に対して中和当量の1/5〜20倍量、好ましくは1/2〜15倍量であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
また、芳香族スルホン酸ホスホニウム塩も好適に用いることができ、例えば、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ブチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩等が挙げられる。
この芳香族スルホン酸ホスホニウム塩の添加量は、ポリカーボネートに対して1〜300ppm、好ましくは10〜100ppmであり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
これらの失活剤は、単独或いは2種以上併用してもよい。
重量平均分子量(Mw)
GPC(Shodex GPC system 21H)を用い、ポリスチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。展開溶媒にはクロロホルムを用いた。
溶液色相(YI値)
サンプル9.0gを塩化メチレン90mlに溶解し、5.0cm石英ガラスセルを用いてYI値(イエローインデックス)を測定した、色差計は日本電色工業社製スペクトロカラーメーターSE−2000を使用した。
本発明では、反応装置材質にSUS310S製ステンレス鋼を用い、反応槽内壁面、配管内壁面、留去ラインの還流部に電解研磨を施したものを使用して反応を行った。
芳香族ポリカーボネート合成例1
窒素ガス雰囲気下、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA;BPAと記す)とジフェニルカーボネート(DPCと記す)とを一定のモル比(DPC/BPA=1.040)に混合調製した溶融混合物を原料貯蔵槽より濾過精度0.6μmの原料フィルターを介して、88.7kg/hの流量で、常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した第1竪型攪拌反応槽に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として0.02重量部の炭酸セシウム水溶液を320ml/h(BPA1モルに対し、1×10-6モル)の流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き直列に配した第2、3、4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 メガネ翼重合機(商品名))に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。
芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネート合成例2
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、第1竪型攪拌反応槽(反応条件:13329Pa、205℃、攪拌速度160rpm)での原料モル比(DPC/(BPZ+TCDDM))が1.01となるように、触媒として水酸化ナトリウムをBPZ(mol)に対して5μmol、及びDPCと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZと記す)とを一定比率(DPC/BPZ(モル比)=2.525)で混合調製した溶融混合物を45.1kg/hの流量で、第1反応槽に連続的に供給し、また、同時に16.4kg/hの流量でトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール(TCDDMと記す)を連続的に供給し、第1反応槽での平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。槽底より排出された重合液(プレポリマー)は、引き続き第2、第3、第4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 格子翼重合機(商品名))に逐次連続供給され、第5横型反応槽より35kg/hで芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造した。
芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネート合成例3
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、第1竪型攪拌反応槽(反応条件:13329Pa、205℃、攪拌速度160rpm)での原料モル比(DPC/(BPZ+TCDDM+SPG))が1.01となるように、触媒として2価のジヒドロキシ化合物の合計1molに対して炭酸水素ナトリウムを2μmol、炭酸カルシウムを2μmol、及びDPCとBPZと、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(SPGと記す)とを一定比率(DPC/(BPZ+SPG)[モル比]=3.61、BPZ:SPG[モル比]=6:1)で混合調製した溶融混合物を40.8kg/hの流量で、第1反応槽に連続的に供給し、また、同時に19.7kg/hの流量でTCDDMを連続的に供給し、第1反応槽での平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。槽底より排出された重合液(プレポリマー)は、引き続き第2、第3、第4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 格子翼重合機(商品名))に逐次連続供給され、第5横型反応槽より35
kg/hで芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造した。
実施例1
芳香族ポリカーボネートを合成例1の方法で製造し、反応を停止後、各反応槽中の反応液を各反応槽から次の反応槽に送液する配管に設けられたドレン口より抜き出した。反応液を抜き出した後、すぐに第1反応槽へ原料貯蔵槽より攪拌翼が浸る量の原料混合液(BPA+DPC)を送液し、30分攪拌洗浄後、第2反応槽へ該洗浄液を送液した。以下同様に30分洗浄後、順次次の反応槽へ洗浄液を送液し第5反応槽を洗浄した後、該1回目の洗浄液を抜き出した。各槽の洗浄温度、攪拌速度は反応時と同条件とし、原料の一部が反応し生成した、及び残存していた樹脂が分解し生成したフェノールを還流させることにより天板及び留去ラインを洗浄した。第1反応槽より1回目の洗浄液を第2反応槽へ送液した後すぐに、2回目の洗浄液としてDPCが第1反応槽に送液され各槽の洗浄時間を1時間とした以外は同様に、順次洗浄液を送液した。2回目の洗浄液を次の反応槽に送液が終了した反応槽より順次、僅かに残存する洗浄液を減圧除去し、窒素で復圧した後、窒素フローの状態で維持し反応槽を冷却した。2週間後、窒素雰囲気下で維持された反応装置を再度昇温し、合成例1の方法で製造を再開し、第5反応槽より排出されたポリマーを連続的に3ベント式2軸押出機(46mm2軸押出機 神戸製鋼所製)のフィードバレルに導入し、C1バレルに接続されたサ
イドフィーダーより触媒失活剤のマスターバッチを2重量%の割合で添加し、ペレット化した。触媒失活剤のマスターバッチとして、ベースとなる樹脂にフレーク状のBPAタイプの芳香族ポリカーボネート(三菱ガス化学製ユーピロンS−3000)を用い、p−トルエンスルホン酸ブチル(東京化成工業製;以下pTSB)を添加し、触媒として用いられた炭酸セシウムの中和当量の5倍量[10μmol/BPAmol]となるよう濃度を調節した。
実施例2
各反応槽の反応液抜き出し後、洗浄液として攪拌翼が浸る量のDPCを第1反応槽から第5反応槽まで各々に送液し30分攪拌洗浄した。洗浄後、各反応槽の洗浄液を順次第5反応槽に送液し、各反応槽を繋ぐ配管、バルブ、及びギヤポンプを洗浄しながら洗浄液を第5反応槽より抜き出した。洗浄時間を1時間とした以外は同様にDPCを送液し2回目の洗浄を行った。上記以外の他は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
実施例3
合成例2に従い芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートの製造を行い、反応を停止し洗浄した後、1週間後に製造を再開すること、及び洗浄液として原料貯蔵槽より原料混合液(DPC+BPZ+水酸化ナトリウム)を送液し用いること以外は実施例1と同様に行った。原料貯蔵槽における原料混合液中には一部反応が進行しフェノールが20重量%含有されていた。結果を表−1に示す。
実施例4
合成例3に従い芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートの製造を行い、反応を停止し洗浄した後、1週間後に製造を再開すること、洗浄液にフェノールを用いること、及び洗浄時間を1時間とした3回目の洗浄を更に行ったこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
実施例5
実施例1において、反応再開時、以下に示したこと以外は同様に行った。
第1反応槽より順次反応を開始し第2反応槽より反応液を供給し、反応を進行させながら滞留時間が60分となる量が供給された後、第3反応槽(Mw=12900)からギヤポンプを介しドレン口より反応液の抜き出しを開始した。抜き出したサンプルのYI値は1.3以下(YI値=0.5)であったので、続いて第4反応槽(Mw=30100)に送液を開始し、同じくギヤポンプを介しドレン口より抜き出しを開始した。抜き出したサンプルのYI値が1.3以下(YI値=0.8)となったところで、第5反応槽に送液を開始した。ドレン口より反応液を抜き出した時間は30分であった。第5横型反応槽(Mw=56800)より同じくギヤポンプを介してドレン口より抜き出しを開始し、15分後押出機に導入を開始した。
YI値が1.3以下となったことを確認する手段として、5cmΦ、厚さ3cmの円板の型に樹脂を流し込み円板を成型し、リファレンス(YI値1.3)の円板と比較し判断した。正確なYI値は追ってサンプルを塩化メチレンに溶解し色差計により測定した。結果を表−1に示す。
実施例6
実施例3において、反応停止、洗浄後、定期修理のため1ヶ月間主要部分の分解修理を行った後、反応装置内を窒素置換し、DPCを洗浄液とし第1反応槽より順次第5反応槽まで洗浄処理した後、反応を再開したこと以外は同様に行った。この際、各反応槽の温度は250℃、減圧度を26658Pa、洗浄時間1時間とし洗浄液を還流させた。また、各反応槽から洗浄液を送液後、僅かに残存した洗浄液を減圧除去した。
結果を表−1に示す。
比較例1
実施例1において、洗浄液に1回目、2回目ともにトリエチレングリコールを使用し、各反応槽の洗浄温度を285℃とした以外は同様に行った。結果を表−1に示す。
比較例2
実施例5において、以下の点を変更した以外は同様に行った。
合成例1の代わりに合成例2に従って芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造したのち、反応を停止し、反応液を抜き出した後30時間後に洗浄を開始した。反応液抜き出し後洗浄開始までの間は、各反応槽は反応時の温度を維持し、窒素雰囲気下で保持した。
洗浄は、1回目、2回目がDPCでそれぞれ2時間、3回目はフェノールで1時間行った。この結果、第4反応槽から抜き出した樹脂に‘ヤケ’が多数混入しているのが見られ、ヤケがなくなり、且つYI値が1.3以下となるのに8時間を要した。また、第5横型反応槽から抜き出した樹脂中にもヤケの混入が同じく見られ、ヤケがなくなり、且つYI値が1.3以下となるのに18時間を要した。
比較例3
実施例1において、1回目、2回目の洗浄時間をそれぞれ2時間、また、各反応槽の洗浄温度を170℃とし洗浄液を還流させなかったこと以外は同様に行った。
比較例4
実施例4において、各反応槽の洗浄温度を170℃とし洗浄液を還流させなかったこと以外は同様に行った。その結果、反応再開後69時間後、第3反応槽において減圧不良が発生し、製造を中止した。反応液抜き出し後、留去ラインを調べたところ未反応SPGが付着しており、閉塞気味となっていた。
比較例5
実施例5において、反応を停止し、各反応槽の反応液を抜き出した後、洗浄することなく少量の樹脂が残存した状態で冷却し、反応を再開したこと以外は同様に行った。
その結果、反応再開時に第3反応槽からドレン口より反応液の抜き出しを開始後、YI値が1.3以下になるのに5時間を要した。続いて第4反応槽からドレン口より反応液の抜き出しを開始したところヤケ、及び白色の結晶化物の混入が見られ、これらが無くなりYI値が1.3以下になるのに12時間を要した。第5横型反応槽からの反応液の抜き出し時にも同様にヤケ、及び白色の結晶化物の混入が見られ、24時間後ヤケは無くなったものの結晶化物が依然として少量ではあるが混入していたため反応を停止した。
比較例6
実施例3において、反応を停止し洗浄した後、洗浄液を減圧除去し空気で復圧後、大気開放下で反応装置を保持し、反応再開直前に窒素置換して反応装置の昇温、反応開始すること以外は同様に行った。結果を表−1に示す。
Claims (3)
- 炭酸ジエステルと二価のジヒドロキシ化合物を、エステル交換触媒の存在下溶融重合してポリカーボネート樹脂を連続的に製造する方法において、溶融重合反応停止後、反応槽の反応液を抜き出し、24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上を洗浄液とし、該洗浄液に含まれる少なくとも一つの化合物の沸点以上に反応装置を加熱保持し、該洗浄液を還流させることにより、反応槽、反応槽を繋ぐ配管、バルブ、及び送液装置に残存した樹脂を溶解洗浄した後、少なくとも装置内部が常温となるまで実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で装置内を保持することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 洗浄液として触媒を含有した原料混合液を用いることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 請求項1記載の方法により停止した反応を再開させる際に、反応装置内が実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で加熱昇温し、反応開始時、連結した各反応槽の出口におけるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が10,000以上となる反応槽を繋ぐ配管、或いは該反応槽底部に樹脂排出ラインを設け、反応開始後反応槽より排出される樹脂のYI値が1.3以下となるまで該排出ラインより樹脂を抜き出し、該条件に達した後、次の反応槽へ送液を行う方法により段階的に反応を開始することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
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