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JP4309635B2 - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents

内燃機関用潤滑油組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関用潤滑油組成物に関し、詳しくは優れた摩耗防止性、塩基価維持性、高温清浄性及び低摩擦性を有する内燃機関用潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDTP)は優れた摩耗防止性及び過酸化物分解剤としての酸化防止性を有し、内燃機関用潤滑油を始め、あらゆる種類の潤滑油に不可欠な添加剤として使用されている。
一方、ZDTPを使用しない潤滑油としては、その摩耗防止性能を維持するためにジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛や硫黄系添加剤を配合した潤滑油組成物が知られている(例えば、特許文献1〜7参照。)。これらの特許文献に記載の潤滑油はZDTPを含有する潤滑油と同様に硫黄分を多く含有している。そしてこのような潤滑油は一般に酸化安定性が悪く、塩基価の消耗(劣化)が加速される傾向にあった。
【0003】
【特許文献1】
特開昭52−704号公報
【特許文献2】
特開昭62−253691号公報
【特許文献3】
特表昭62−501572号公報
【特許文献4】
特表昭62−501917号公報
【特許文献5】
特開昭63−304095号公報
【特許文献6】
特表平1−500912号公報
【特許文献7】
特開平6−41568号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、硫黄分を多く含む内燃機関用潤滑油の塩基価維持性に着目し、鋭意研究を重ねた結果、ZDTP等の硫黄を含有する化合物はそれ自身が酸化あるいは熱分解すると潤滑油中に硫酸を生成してしまい、それにより塩基価が著しく消耗して潤滑油の寿命が早まり、また特に高温での使用では清浄性が著しく悪化すること、及び低摩擦性に劣ることが判明した。
また特にDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を装着したディーゼルエンジン用で硫黄分が50質量ppm以下にまで低減された深度脱硫軽油や、硫黄分が50質量ppm以下である灯油、ガソリン、LPG、天然ガス、あるいは硫黄分を実質的に含有しない水素、ジメチルエーテル、アルコール等を燃料として使用する場合には、エンジン用潤滑油には、燃料中の硫黄に起因する硫酸分の混入量が減少するため、高硫黄含有燃料を使用した場合に比べ一般に潤滑油の寿命が長くなる。しかしながら、エンジン油を更にロングドレイン化し、及び該油の高温清浄性を更に高めるためには、上記のような低硫黄含有燃料を使用するのみでは不充分であり、ZDTPをはじめとする硫黄含有摩耗防止剤及び酸化防止剤に代わる添加剤の検討が必要になってきた。また、特にガスエンジンは一般に燃焼温度が高く、潤滑油が高温やNOxにさらされるため、酸化安定性や高温清浄性の改善が必要となっている。更にDPFや三元触媒、酸化触媒、NOx吸蔵還元触媒、EGR等排ガス浄化装置の性能を維持するためには硫黄分の少ないエンジン油であることも望まれる。
従って、本発明の課題は、従来から使用されているZDTP等の摩耗防止性能や酸化防止性能を維持あるいはさらに向上させ、かつエンジン油中の硫黄分を低減して該油の劣化に伴う塩基価の消耗を抑えてロングドレイン性能を高めると共に高温清浄性、低摩擦性にも優れた内燃機関用潤滑油組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、潤滑油基油に特定のリン系化合物、特定の無灰分散剤、特定の金属系清浄剤及び特定の酸化防止剤を特定量含有させることで、摩耗防止性に優れ、塩基価維持性が改良されてロングドレイン化が図れると共に、高温清浄性、低摩擦性にも優れた潤滑油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明は、潤滑油基油に、(A)一般式(1)で示されるリン酸トリエステルをリン元素換算量で0.01〜0.2質量%、(B)コハク酸イミド及び/又はその誘導体を窒素元素換算量で0.01〜0.3質量%、(C)アルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤を金属元素換算量で0.05〜1質量%、及び(D)フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤を0.01〜3質量%含有してなり、前記清浄剤が、金属元素の価数×金属元素含有量(mol)/せっけん基含有量(mol)で表される金属比が3以下であるサリシレート系清浄剤であり、かつジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDTP)を含有しないことを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物である。
O=P(OR (1)
(式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を示し、各々同一であっても異なっていてもよい。)
【0009】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物において、前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤が、金属元素の価数×金属元素含有量(mol)/せっけん基含有量(mol)で表される金属比が1.5以下であるアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤と、金属比が1.5超えるアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤との混合物であることが好ましい。
【0010】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物において、前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤が、金属元素の価数×金属元素含有量(mol)/せっけん基含有量(mol)で表される金属比が1.5以下であるアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート系清浄剤との混合物であることが好ましい。
【0011】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、さらに硫黄元素換算量で0.1質量%以下の含有量の硫黄含有摩耗防止剤を含有することが好ましい。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、潤滑油基油の全芳香族分が3質量%以下で硫黄分が50質量ppm以下であることが好ましい。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、硫黄分が50質量ppm以下の燃料を使用する内燃機関に用いられることが好ましい。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、ガスエンジンに用いられることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物における潤滑油基油は、通常使用される鉱油系潤滑油、合成油系潤滑油又はこれらの中から選ばれる2種以上の潤滑油の任意混合割合の混合物等が使用でき、例えば、1種以上の鉱油系潤滑油、1種以上の合成油系潤滑油、1種以上の鉱油系潤滑油と1種以上の合成油系潤滑油との混合油等を挙げることができる。
【0013】
鉱油系潤滑油としては、具体的には例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を一つあるいは二以上を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用できる。特に、芳香族分、硫黄分をより低減することが可能である高度水素化分解プロセスやGTL Wax(ガス・トゥー・リキッド・ワックス)を異性化した手法で製造されたもの等を使用することが好ましい。
また合成系潤滑油としては、特に制限はないが、例えば、ポリ−α−オレフィン(例えば、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)若しくはその水素化物、イソブテンオリゴマー若しくはその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、及びポリフェニルエーテル等が使用できる。
【0014】
潤滑油基油中の硫黄分に特に制限はないが、500質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましく、20質量ppm以下であることがさらに好ましく、10質量ppm以下であることが特に好ましい。潤滑油基油に硫黄分が多く含まれると、組成物の塩基価維持性や上記排ガス浄化装置への悪影響があるため好ましくない。
潤滑油基油中の全芳香族含有量は、特に制限はないが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であり、2質量%以下であることが特に好ましい。基油の全芳香族含有量が15質量%を越える場合は、塩基価維持性、高温清浄性に劣るため好ましくない。なお、上記全芳香族含有量とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、及びこれらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、又はピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
【0015】
潤滑油基油の100℃における動粘度は特に制限はないが、低温粘度特性や潤滑箇所での油膜形成に優れ、潤滑油基油の蒸発損失を小さくするためには、1〜20mm2/sとすることが好ましく、2〜10mm2/sとすることが特に好ましい。
潤滑油基油の粘度指数は特に制限はないが、80以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましく、120以上であることが特に好ましい。
【0016】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物における(A)成分は下記一般式(1)で示されるリン酸トリエステルである。
O=P(OR13 (1)
上記R1は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。三つのR1は、各々同一であっても異なっていても良い。
上記炭素数1〜30の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。
【0017】
上記アルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよく、これらの例としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基及びオクタデシル基等を挙げることができる。
【0018】
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、これらの例としては、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基の置換位置も任意である)を挙げることができる。
【0019】
アルケニル基は、直鎖状であっても分枝を有していてもよく、これらの例とてては、具体的には、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、及びオクタデセニル基等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基の二重結合の位置も任意である)を挙げることができる。
【0020】
アリール基は、アルキル基で置換されていても良く、このような例としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜18のアリール基:トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、ジエチルフェニル基、ジブチルフェニル基、及びジオクチルフェニル基等の炭素数7〜26のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)を挙げることができる。
【0021】
アリールアルキル基の例としては、具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、及びフェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を挙げることができる。
【0022】
上記R1で表される炭化水素基は、直鎖状又は分枝状の炭素数3〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が好ましく、特に塩基価維持性に優れる点で、炭素数3〜5のアルキル基であることが好ましく、特に高温清浄性に優れる点で、直鎖状又は分枝状の炭素数6〜18のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が好ましい。本発明においては、揮発性が低く、高温清浄性及び摩擦低減効果に最も優れる点で、直鎖状又は分枝状の炭素数6〜18、好ましくは炭素数6〜12のアルキル基である場合が望ましい。R1は、全て同一であることが好ましい。
【0023】
一般式(1)で表されるリン酸トリエステルを用いることにより、ZDTP等金属系摩耗防止剤を使用した場合に比べて組成物の金属含有量をより低減することができ、また、ZDTP、リン酸モノエステル又はジエステル、あるいは亜リン酸エステルを用いた場合に比べ、より高い摩耗防止性、塩基価維持性及び高温清浄性を有する潤滑油組成物を得ることができる。
【0024】
本発明における(A)成分の含有量の下限値は、組成物全量基準で、リン元素換算量で、0.01質量%であり、0.02質量%であることが好ましく、0.05質量%であることが特に好ましい。一方、その上限値は、組成物全量基準で、リン元素換算量で、0.2質量%であり、0.15質量%であることが好ましく、0.1質量%であることが特に好ましい。(A)成分の含有量が0.01質量%未満では本発明の充分な効果が得られず、一方、(A)成分の含有量が0.2質量%を超える場合、排ガス浄化触媒等への影響が懸念されるためそれぞれ好ましくない。
【0025】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物における(B)成分は、コハク酸イミド及び/又はその誘導体である。
コハク酸イミドとしては、下記の一般式(2)で表されるモノコハク酸イミド、一般式(3)で表されるビスコハク酸イミド等が例示できる。
【0026】
【化1】
Figure 0004309635
【0027】
【化2】
Figure 0004309635
【0028】
一般式(2)又は(3)において、R10、R11及びR12は、それぞれ個別にポリブテニル基を示し、nは2〜7の整数を示す。本発明においては、本発明の効果をより高めることができる点で、一般式(3)で表わされるビスタイプのコハク酸イミドであることが好ましい。
上記R10、R11及びR12で表されるポリブテニル基は、その数平均分子量が700以上であることが好ましく、更に好ましくは900以上であり、一方、ポリブテニル基の数平均分子量は3500以下であることが好ましく、更に好ましくは2500以下、特に好ましくは1500以下である。数平均分子量を700以上とすることによって、清浄性、分散性により優れた潤滑油組成物を得ることが可能となる。一方、数平均分子量を3500以下とすることによって、低温流動性により優れた潤滑油組成物を得ることが可能となる。スラッジ抑制効果に優れる点から、nの下限値は2で、好ましくは3であり、一方、nの上限値は7で、好ましくは6である。ここで、ポリブテニル基は、1−ブテンとイソブテンの混合物又は高純度イソブテンを塩化アルミニウム、フッ化ホウ素等の触媒で重合して得られるポリブテン(ポリイソブテン)から得ることができ、ポリブテン混合物中において末端にビニリデン構造を有するものが通常5〜100モル%含有される。また、このポリブテン(ポリイソブテン)としては、製造過程の触媒に起因し、残留する微量のフッ素分や塩素分を更に適当な処理法により除去されたものも使用することができ、従ってこれらのフッ素や塩素等のハロゲン元素の含有量は50質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは10質量ppm以下、更に好ましくは5質量ppm以下、特に好ましくは1質量ppm以下であるものも使用できる。
【0029】
一般式(2)又は(3)で表されるコハク酸イミドの製造法は特に制限はない。例えば、上記ポリブテンを塩素化したもの、好ましくは塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンを無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、あるいはペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させる方法を利用することができる。なお、ビスコハク酸イミドを製造する場合は、該ポリブテニルコハク酸をポリアミンの2倍量(モル比)反応させれば良く、モノコハク酸イミドを製造する場合は、該ポリブテニルコハク酸とポリアミンを等量(モル比)で反応させれば良い。
【0030】
また、コハク酸イミドの誘導体としては、例えば、一般式(2)又は(3)で表される化合物に含酸素有機化合物やホウ素化合物等を作用させて残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した化合物であってもよい。
含酸素有機化合物としては、具体的には、例えば、ぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸;シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸若しくはこれらの無水物、又はエステル化合物;炭素数2〜6のアルキレンオキサイド;ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる。このような含酸素有機化合物を作用させることで、例えば、一般式(2)又は(3)の化合物におけるアミノ基又はイミノ基の一部又は全部が下記の一般式(4)で示す構造になると推定される。
【0031】
【化3】
Figure 0004309635
【0032】
ここでR13は水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、又は−O−(R14O)mHで表されるヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレン基を示し、R14は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、mは1〜5の整数を示す。
【0033】
ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル類等が挙げられる。ホウ酸としては、具体的には例えばオルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩としては、ホウ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、例えばメタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム、過ホウ酸リチウム等のホウ酸リチウム;メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等のホウ酸ナトリウム;メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等のホウ酸カリウム;メタホウ酸カルシウム、二ホウ酸カルシウム、四ホウ酸三カルシウム、四ホウ酸五カルシウム、六ホウ酸カルシウム等のホウ酸カルシウム;メタホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム、六ホウ酸マグネシウム等のホウ酸マグネシウム;及びメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム等が挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコールとのエステル等が挙げられ、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、及びホウ酸トリブチル等が挙げられる。
【0034】
ホウ素化合物を作用させたコハク酸イミドは、そのホウ素量と窒素量の質量比(B/N比)に特に制限はないが、塩基価維持性及び高温清浄性を高める観点から0.1〜1.2であることが好ましく、0.2〜1.0であることがさらに好ましく、0.3〜0.9であることが特に好ましい。
【0035】
本発明においては、(B)成分として、上記コハク酸イミド及びその誘導体の中から選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
【0036】
本発明における(B)成分の含有量の下限値は、組成物全量基準で、窒素元素換算量で、0.01質量%であり、0.05質量%であることが好ましく、0.08質量%であることが特に好ましい。一方、その上限値は、組成物全量基準で、窒素元素換算量で、0.3質量%であり、0.2質量%であることが好ましく、0.15質量%であることが特に好ましい。(B)成分の含有量が0.01質量%未満である場合、本発明の効果が得られず、またその含有量が0.3質量%を超える場合、組成物の低温粘度特性及び抗乳化性が悪化するためそれぞれ好ましくない。
【0037】
本発明における(C)成分は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤である。この(C)成分には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート等が含まれる。本発明では、これらからなる群より選ばれる1種又は2種以上のアルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤、特にアルカリ土類金属系清浄剤を好ましく使用することができる。
【0038】
アルカリ土類金属スルホネートとしては、分子量300〜1500、好ましくは400〜700のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩であり、カルシウム塩が好ましく用いられる。
上記アルキル芳香族スルホン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルホン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。
上記石油スルホン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。また合成スルホン酸としては、例えば洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、炭素数2〜12のオレフィン(エチレン、プロピレン等)のオリゴマーをベンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したもの、あるいはジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したもの等が用いられる。またこれらアルキル芳香族化合物をスルホン化する際のスルホン化剤としては特に制限はないが、通常発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。
【0039】
アルカリ土類金属フェネートとしては、例えば、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。具体的には、下記一般式(5)、(6)及び(7)で表されるものを挙げることができる。
【0040】
【化4】
Figure 0004309635
【0041】
【化5】
Figure 0004309635
【0042】
【化6】
Figure 0004309635
【0043】
上記一般式(5)、(6)、及び(7)において、R21、R22、R23、R24、R25及びR26はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、M1、M2及びM3は、それぞれアルカリ土類金属、好ましくはカルシウム又はマグネシウムを示し、xは1または2を示す。
【0044】
上記R21、R22、R23、R24、R25及びR26で表されるアルキル基としては、具体的には、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、及びトリアコンチル基等が挙げられる。これらは直鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。
【0045】
アルカリ土類金属サリシレートとしては、例えば、アリキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。具体的には下記一般式(8)で表される化合物を挙げることができる。
【0046】
【化7】
Figure 0004309635
【0047】
一般式(8)において、R27は炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、M4はアルカリ土類金属、好ましくはカルシウム又はマグネシウムを示す。
上記R27で表されるアルキル基としては、具体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等が挙げられ、これらは直鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。
【0048】
アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリシレートには、上記のアルキル芳香族スルホン酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物、アルキルサリチル酸等を直接、マグネシウム及び/又はカルシウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と反応させたり、又は一度ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩としてからアルカリ土類金属塩と置換させること等により得られる中性(正塩)アルカリ土類金属スルホネート、中性(正塩)アルカリ土類金属フェネート及び中性(正塩)アルカリ土類金属サリシレート;あるいは中性アルカリ土類金属スルホネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレートと過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性アルカリ土類金属スルホネート、塩基性アルカリ土類金属フェネート及び塩基性アルカリ土類金属サリシレート;更には中性アルカリ土類金属スルホネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレートの存在下で、アルカリ土類金属の水酸化物と炭酸ガス又はホウ酸とを反応させることにより得られる過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属スルホネート、過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属フェネート及び過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属サリシレートも含まれる。
【0049】
本発明においては、上記の中性アルカリ土類金属塩、塩基性アルカリ土類金属塩、過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属塩及びこれらの混合物等を用いることができ、その全塩基価は任意であるが、通常全塩基価が500mgKOH/g以下、好ましくは60〜400mgKOH/gである。なお、ここで全塩基価は、JIS K2501(1992)の「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による全塩基価を意味する。
アルカリ土類金属系清浄剤は、通常、軽質潤滑油基油等で希釈された状態で市販されており、また入手可能であるが、一般的にその金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%のものを用いる。
【0050】
本発明に用いる(C)成分の金属比としては、特に制限はないが、通常、1〜20、好ましくは1〜15のものを用いる。
本発明においては、(C)成分として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤を必須として含有することが好ましい。また、その金属比は好ましくは3以下、より好ましくは2.6以下であり、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下とすることが望ましい。なお、このようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤は、単独でも、また異なった金属比のものを混合して使用しても良い。例えば、金属比が2以下、好ましくは1.5以下、特に1.2以下であるアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートを必須成分として単独で使用したり、金属比が1.5以下、好ましくは1.2以下のものと、金属比が1.5を超えるもの、特に2.6を超えるものとを併用し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート混合物における金属比が1.3以上、好ましくは2.3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下に調製して使用しても良い。アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレートの金属比を1.3〜2.3の範囲に調製することにより、(C)成分の含有量に対する塩基価維持性、高温清浄性、さらには低摩擦性の向上効果をより高めることができる。
【0051】
また、(C)成分は、金属比が1.5以下、好ましくは1.2以下であるアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート系清浄剤とを併用することが好ましい。なお、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート系清浄剤の金属比は特に制限はないが、通常1〜20であり、好ましくは1〜15、特に好ましくは5〜12である。(C)成分をこのような構成とすることで、塩基価維持性、高温清浄性、さらには低摩擦性の向上効果をより高めることができる。
【0052】
なお、ここでいう金属比とは、金属元素の価数×金属元素含有量(mol)/せっけん基(即ち、アルキルサリチル酸基などの基)含有量(mol)で表され、即ち、金属比はアルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤中のアルキルサリチル酸基、アルキルスルホン酸基含有量に対するアルカリ金属又はアルカリ土類金属含有量を示す。
【0053】
本発明におけるアルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤(C)の含有量の下限値は、組成物全量基準で、アルカリ金属又はアルカリ土類金属元素換算量で、0.05質量%であり、好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは0.15質量%、特に好ましくは0.2質量%である。一方その上限値は、組成物全量基準で、アルカリ金属又はアルカリ土類金属元素換算量で、1質量%であり、好ましくは0.5質量%、さらに好ましくは0.4質量%である。(C)成分の含有量が0.05質量%未満の場合、本発明のような優れた塩基価維持性及び高温清浄性を発揮できず、一方(C)成分の含有量が1質量%を超える場合、含有量に見合うだけの効果が得られないため、それぞれ好ましくない。
【0054】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物における(D)成分は、フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤である。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が好ましい具体例として挙げられる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
【0055】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミンを挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。なお、ここでいうアルキル基は一般に炭素数1〜16のアルキル基を示す。
上記フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤は単独で使用しても良いが、本発明の効果をより高めることができることから、組み合せて配合することが好ましい。
【0056】
本発明の潤滑油組成物において(D)成分の含有量の下限値は、塩基価維持性及び高温清浄性をより高めるために組成物全量基準で0.01質量%であり、好ましくは0.1質量%、更に好ましくは0.5質量%、特に好ましくは1.0質量%である。一方、(D)成分の含有量の上限値は、組成物全量基準で3.0質量%であり、好ましくは2.5質量%であり、3.0質量%を超える場合は、配合量に見合った十分な酸化防止性が得られないため好ましくない。
【0057】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物には(A)成分以外の摩耗防止剤を配合することができる。
(A)成分以外の摩耗防止剤としては、下記一般式(9)で表されるチオリン酸エステル若しくはリン酸エステルの金属塩、下記一般式(10)で表されるチオリン酸エステル若しくはリン酸エステル、又はその金属塩又はアミン塩の他、亜リン酸エステル若しくはチオ亜リン酸エステル、又はその金属塩又はアミン塩、チオリン酸トリエステルやジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジスルフィド、硫化オレフィン、硫化油脂等のリン及び/又は硫黄含有摩耗防止剤等が挙げられる。
【0058】
【化8】
Figure 0004309635
【0059】
【化9】
Figure 0004309635
【0060】
上記R30、R31、R32、R33、R34及びR35はそれぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、炭素数1〜30の炭化水素基としては、前記(A)成分の一般式(1)におけるR1と同義であり、またその好ましい範囲も同義である。
【0061】
上記X1、X2、X3、X4、X5及びX6はそれぞれ個別に酸素原子又は硫黄原子を示し、これらのうち少なくとも1つが酸素原子であり、2つ以上が酸素原子であることが好ましく、全てが酸素原子である場合が特に好ましい。少なくとも一つの酸素原子を含むことにより、組成物中の硫黄分をより低減でき、また、酸化又は熱分解を受けた際に硫酸の発生量を低減でき、従って塩基価の消耗を著しく抑制することができる。
【0062】
Yで表される金属原子としては、具体的には、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マンガン等が挙げられる。より高い摩耗防止性能を得られる点から、Yは亜鉛であることが好ましい。
Uは、水素(プロトン)、一価の金属イオン又はアンモニウムイオンを示し、kは1〜20の整数であり、Uのイオンの数を示す。kは1〜10の整数であることが好ましい。より好ましくは1〜8の整数である。
Uで表される一価の金属イオンとしては、塩を形成できる金属原子であり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属を挙げることができる。アンモニウムイオンは、このイオン由来の化合物、例えば、アミン塩を形成できる含窒素化合物を挙げることができる。
【0063】
含窒素化合物としては、例えば、アンモニア、モノアミン、ジアミン、ポリアミンが挙げられる。より具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン等の炭素数1〜30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミン;
【0064】
エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、オレイルアミン等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルケニルアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、ヘプタノールアミン、オクタノールアミン、ノナノールアミン、メタノールエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタノールプロパノールアミン、エタノールブタノールアミン、プロパノールブタノールアミン等の炭素数1〜30のアルカノール基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノールアミン;
【0065】
メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン等の炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物やN−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の複素環化合物;これらの化合物のアルキレンオキシド付加物;及びこれらの混合物等が例示できる。
【0066】
なお、本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、上記(A)成分以外の摩耗防止剤のうち、硫黄を含有する摩耗防止剤を含有させる場合、その含有量は特に制限はないが、組成物全量基準で、硫黄元素換算量で、0.1質量%以下とすることが好ましく、0.09質量%以下とすることがさらに好ましい。また、硫黄含有摩耗防止剤を含有させないことが特に好ましい。硫黄含有摩耗防止剤を0.1質量%以下とすることで極めて塩基価維持性、高温清浄性に優れる組成物を得ることが可能となる。
また、上記(A)成分以外の摩耗防止剤のうち、硫黄を含有しないリン含有摩耗防止剤を含有させる場合、通常、その含有量は、組成物全量基準で、リン元素換算量で、0.01〜0.2質量%である。その場合でも、排ガス浄化触媒等への悪影響が懸念されることから、組成物におけるリン元素換算量が(A)成分と併せて0.2質量%を超えないことが好ましく、0.15質量%を超えないことが特に好ましい。
【0067】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、摩耗防止性、塩基価維持性及び高温清浄性に優れるものであるが、その性能をさらに向上させるために、その目的に応じて任意の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、粘度指数向上剤、(B)成分以外の無灰分散剤、(C)成分以外の金属系清浄剤、摩擦調整剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、及び着色剤等を挙げることができる。
【0068】
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体若しくはその水添物などのいわゆる非分散型粘度指数向上剤、又はさらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン−α‐オレフィン共重合体(α‐オレフィンとしてはプロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン等が例示できる)若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体及びポリアルキルスチレン等が挙げられる。
これらの粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが好ましい。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合では、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜350,000のものが、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合は800〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものが、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物の場合は800〜500,000、好ましくは3,000〜200,000のものが望ましい。
またこれらの粘度指数向上剤の中でもエチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物を用いた場合には、特にせん断安定性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。上記粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができる。粘度指数向上剤の含有量は、通常潤滑油組成物全量基準で0.1〜20.0質量%である。
【0069】
(B)成分以外の無灰分散剤としては、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個を有するベンジルアミン、ポリアミン及びこれらの誘導体が例示できる。
【0070】
摩擦調整剤としては、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アミン、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0071】
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
【0072】
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
【0073】
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0074】
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
【0075】
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコーン、及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
【0076】
これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は潤滑油組成物全量基準で、(B)成分以外の無灰分散剤、(C)成分以外の金属系清浄剤、(D)成分以外の酸化防止剤、摩擦調整剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ0.01〜5質量%、金属不活性化剤では0.005〜1質量%、消泡剤では0.0005〜1質量%の範囲で通常選ばれる。
【0077】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、上述の硫黄含有摩耗防止剤と共に、硫黄を含有する添加剤の含有量も制限することが好ましく、硫黄含有添加剤物(硫黄含有摩耗防止剤を含む)の含有量は、組成物全量基準で、硫黄元素換算量で、0.1質量%以下とすることが好ましく、0.09質量%以下とすることがさらに好ましく、硫黄含有添加剤(硫黄含有摩耗防止剤を含む)を含有させないことが特に好ましい。なお、市販添加剤には、添加剤を合成する際に使用する溶剤や添加剤のハンドリングを良くするための希釈油(例えば溶剤精製鉱油等)を含有している場合が一般的であり、ここでいう硫黄含有添加剤はこれら溶剤や希釈油に起因する硫黄化合物を意味するものではない。
【0078】
本発明においては、これら溶剤や希釈油に起因する硫黄分が含有されたとしても、組成物中の全硫黄分含有量は、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下とする。これにより、摩耗防止性、塩基価維持性及び高温清浄性に優れ、さらには排ガス浄化触媒等の性能を維持した組成物が得られる。なお、本発明においては、これら溶剤や希釈油を硫黄分含量が10質量ppm以下である高度水素化分解基油、あるいは実質的に硫黄分を含有しないGTL Wax(ガス・トゥー・リキッド・ワックス)を異性化した手法で製造された基油等、あるいは合成油等を使用し、硫黄含有添加剤を含有させないことで、組成物中の全硫黄分が10質量ppm以下である組成物、あるいは実質的に含有しない組成物を得ることも可能となる。
【0079】
【実施例】
以下に本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例になんら限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1、2)
表1に示す組成及び性状の各内燃機関用潤滑油組成物(実施例1〜4及び比較例1、2)をそれぞれ調製した。なお、組成物中の硫黄分が0.05質量%となっているものは、添加剤の希釈油に起因するものである。
【0080】
【表1】
Figure 0004309635
【0081】
上記実施例1〜4及び比較例1、2で得られた内燃機関用潤滑油組成物の性能を下記の性能評価試験により評価した。
(1)ISOTによる全塩基価の経時変化
JIS K 2514に準拠するISOT試験(165.5℃)にて試験油を強制劣化させたときの全塩基価(塩酸法)の経時変化を測定した。その評価結果を表1に示す。全塩基価残存率が高いほど塩基価維持性能が高く、より長時間使用できるロングドレイン油であることを示す。
表1に示すように、本発明の組成物(実施例1〜4)は、ZDTP(硫黄含有摩耗防止剤)が内燃機関用潤滑油として一般的な量(硫黄元素量で、0.16質量%、リン元素量で0.08質量%)含有する組成物(比較例1及び2)に比べ塩基価維持性が極めて高いことがわかる。中でもトリオクチルホスフェート含有組成物(実施例1)に比べ、トリフェニルホスフェート含有組成物(実施例4)や、特にトリブチルホスフェート含有組成物(実施例3)は塩基価維持性が極めて高いことがわかる。
【0082】
(2)NOx吸収試験による全塩基価の経時変化
日本トライボロジー会議予稿集1992、10、465に準拠した条件(150℃、NOx:1185ppm)にて試験油にNOxガスを吹き込み、強制劣化させたときの全塩基価(塩酸法)の経時変化を測定した。その評価結果を表1に示す。全塩基価の減少が小さいほど内燃機関で使用されるようなNOx存在下においても塩基価維持性能が高く、より長時間使用できるロングドレイン油であることを示す。
表1に示すように、本発明の組成物(実施例1〜4)は上記ISOTでの結果と同様、塩基価維持性に優れ、内燃機関用潤滑油等のNOxに晒される雰囲気下においても優れたロングドレイン性を示すことがわかる。
【0083】
(3)ファレックス試験でみた摩耗防止性
ASTM D3233に準拠するファレックス試験(A法、290rpm、室温において、試験片が焼付きを生じた時の荷重を測定した。その評価結果を表1に示す。焼付き荷重が大きいほど摩耗防止性に優れていることを示す。
表1に示すように、本発明の組成物は比較例1及び2の組成物に比べ同等以上の優れた摩耗防止性能を示すことがわかる。
【0084】
(4)ホットチューブ試験でみた高温清浄性能
JPI−5S−5599に準拠し、ホットチューブ試験を行った。評点は、無色透明(汚れなし)を10点、黒色不透明を0点とし、この間を予め1刻みで作成した標準チューブを参照して評価した。290℃において当該評点が6以上であれば、通常のガソリンエンジン用、ディーゼルエンジン用の潤滑油として清浄性に優れたものであるが、ガスエンジン用の潤滑油としては、本試験において300℃以上においても優れた清浄性を示すことが好ましい。
表1に示すように、本発明の組成物は、300℃以上の試験条件においても、極めて優れた高温清浄性を示すことがわかる。特にトリオクチルホスフェートを使用した場合、トリブチルホスフェートよりも揮発性が低いと考えられ、極めて優れた高温清浄性を示す。
【0085】
(実施例5〜9及び比較例3)
表2に示す組成及び性状の各内燃機関用潤滑油組成物(実施例5〜9及び比較例3)をそれぞれ調製し、下記の性能評価を行い、その結果を表2に示した。なお、実施例9の組成物は表1における実施例1の組成物と同一であり、比較例3の組成物は、表1における比較例1の組成物と同一である。
【0086】
【表2】
Figure 0004309635
【0087】
(5)LFW−1境界摩擦試験でみた低摩擦性能
LFW−1試験機を用い、荷重100lbs、温度100℃、様々な滑り速度でのLFW−1境界摩擦試験を行った。
表2の結果から明らかなように、実施例9の組成物(表1における実施例1の組成物)は、比較例3の組成物(表1における比較例1の組成物)と比べ低摩擦特性にも優れていることがわかる。また、(C)成分として、特に金属比の低いアルカリ土類金属サリシレートを必須として使用した場合(実施例5〜8)には、極めて優れた低摩擦性能を示すことがわかる。これらの組成物は、塩基価維持性、摩耗防止性、高温清浄性は実施例9の組成物と同等以上の性能を示す。なお、実施例6における(C)成分は、金属比1.0及び2.7のカルシウムサリシレートの混合物であり、その金属比は1.46となるが、実施例5の組成物における(C)成分含有量を低減できるとともに、特に高滑り速度領域において相乗的に摩擦係数が低下していることが認められる。また、(A)成分としてトリオクチルホスフェートに代えて、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェートを使用した場合、比較例3と比べ低摩擦性能は優れているが、トリオクチルホスフェートが最も優れた低摩擦性能を示した。
【0088】
【発明の効果】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、ZDTPのような硫黄含有摩耗防止剤兼酸化防止剤を低減してもあるいは全く使用しなくても、摩耗防止性が低下することなく、酸化防止性が極めて向上し、塩基価維持性、すなわちロングドレイン性能に極めて優れ、かつ優れた高温清浄性、低摩擦性をも有する。
また、本発明の本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、組成物の全硫黄分含有量を0.2質量%以下に低く抑えることができるので、排ガス浄化触媒等への硫黄による被毒を極めて低減することができ、排ガス浄化触媒等の排ガス後処理装置を装着したエンジンに好適に用いることができる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、前述のような硫黄分が50質量ppm以下の燃料、好ましくは20質量ppm以下、さらに好ましくは10質量ppm以下の燃料、例えば、ガソリンやLPG、天然ガス等を燃料として用いるエンジン、特にガスエンジンに適用することで、さらにロングドレイン性能を伸ばすことが可能となり、廃油問題や省資源に貢献することができる。
さらに、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は摩耗防止性、塩基価維持性及び高温清浄性が必要とされる潤滑油、例えば、自動又は手動変速機等の駆動系用潤滑油、湿式ブレーキ、油圧作動油、タービン油、ギヤ油、軸受け油等の潤滑油としても好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 潤滑油基油に、(A)一般式(1)で示されるリン酸トリエステルをリン元素換算量で0.01〜0.2質量%、(B)コハク酸イミド及び/又はその誘導体を窒素元素換算量で0.01〜0.3質量%、(C)アルカリ金属又はアルカリ土類金属系清浄剤を金属元素換算量で0.05〜1質量%、及び(D)フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤を0.01〜3質量%含有してなり、前記清浄剤が、金属元素の価数×金属元素含有量(mol)/せっけん基含有量(mol)で表される金属比が3以下であるサリシレート系清浄剤であり、かつジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有しないことを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
    O=P(OR (1)
    (式中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を示し、各々同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤が、金属比が1.5以下であるサリシレート系清浄剤と、金属比が1.5超えるサリシレート系清浄剤との混合物であることを特徴とする請求項に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  3. 前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤が、金属比が1.5以下であるサリシレート系清浄剤であり、更にアルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート系清浄剤を含むことを特徴とする請求項に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  4. 潤滑油組成物中の全硫黄分が0.2質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  5. 潤滑油基油の全芳香族分が3質量%以下で硫黄分が50質量ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  6. 硫黄分が50質量ppm以下の燃料を使用する内燃機関に用いられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  7. ガスエンジンに用いられることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
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