JP4288126B2 - 包装用箱 - Google Patents

Description

本発明は、例えば貼付剤等の商品を包装するための包装用箱に関する。

従来より、商品の包装用容器として、紙、例えば段ボール紙やコートボール紙から構成された包装用箱が広く使用されている。また、店頭で商品を販売する際、上部を切除して展示箱としても使用できるようにした包装用箱も知られている。

かかる展示箱兼用の包装用箱には、前面部の上下方向中央部に形成された水平の第１の切込み線（いわゆるミシン目）と、各側面部に形成され、第１の切込み線の端部から側面部の後端縁の上端部まで斜め上方に延びる第２の切込み線と、後面部の上縁に沿って形成された第３の切込み線とを備えるものがある。第１〜第３の切込み線に沿って包装用箱を切断し開封すると、下部部分が展示箱として機能する。側面部の切込み線を斜めとしているのは、美観が良いことに加え、側方からの商品（特にパップ剤のような貼付剤等の薄手の商品）の取出しが容易となるためである。

ところで、上述したような型式の包装用箱には、開封をより容易化するために、前面部の第１の切込み線が上下２本とされたもの（特許文献１参照）や、第１の切込み線のみならず第２の切込み線も上下２本とされたもの（特許文献２参照）がある。これらは、上下の切込み線間の部分を開封片として用い、この開封片を指で把持して引っ張ることで、切断を容易に行うようにしたものである。

特許文献１に記載の包装用箱の場合、前面部の開封片を切除した後は、その切除部分に指を差し込み、包装用箱の上部部分を引き上げて、側面部を第２の切込み線に沿って切断する。

特許文献２に記載の包装用箱の場合、前面部のみならず左右の側面部にも開封片が形成されているため、開封片を引き剥がすことで、前面部から側面部までの切断を一気に行うことが可能である。
特開平１１−７９１６６号公報 特開２００２−２６８５号公報

しかしながら、特許文献１に記載の包装用箱においては、開封片は前面部のみに形成されているため、開封片の除去部分を指で引き上げようとした際、前面部と側面部との角（二面交差部）で裂け、第２の切込み線に沿って切断されないことがある。かかる場合、再度、第２の切込み線に沿って包装用箱を切断する必要があり、手間がかかる。

また、特許文献２に記載の包装用箱においては、前面部の開封片を適正に切除することができたとしても、側面部の開封片を切除しようとした際、開封片に隣接する表面層が剥がれ、美観を損ね、展示箱としての機能を果たさなくなるおそれがある。

本発明の目的は、上記従来における問題点を解決することのできる包装用箱を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討した結果、特許文献１に記載の包装用箱において、平面状の側面部を上下から引っ張って切込み線に沿って裂くよりも、前面部を持ち上げて前面部と側面部との角で裂く方が力がかからない場合があることを見出した。

一方、特許文献２に記載の包装用箱の上記問題は、包装用箱を形成している紙に繊維の方向があることに起因すると考えた。すなわち、前面部の水平の開封片を適正に切除できるようにするには、包装用箱の前面部における紙の繊維方向を略水平に向ける必要がある。そのような向きとした場合、通常、包装用箱の側面部における繊維方向も略水平となるが、側面部の開封片は斜めに形成されているため、側面部の開封片を切除する際、切込み線の繋ぎ目部分（ミシン目の細線孔間の部分）が繊維方向に切裂しようとし、それが表面層の剥離となるのである。

本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、前面部と、この前面部の左右の各端縁に連設された側面部と、左右の側面部の後端縁間を繋ぐ後面部と、上部開口を閉じる上面部と、底部開口を閉じる底面部とを備える包装用箱において、前面部に水平に形成された上下２本の第１の切込み線と、第１の切込み線のそれぞれの各端部から水平に延びるよう、側面部のそれぞれに形成された上下２本の第２の切込み線であって、側面部の後端縁に至る前で終端している前記第２の切込み線と、第２の切込み線の後端部から側面部の後端縁まで斜め上方に延びる傾斜切込み線と、左右の傾斜切込み線の後端部間を繋ぐ第３の切込み線とを備えることを特徴としている。

前述したような本発明による包装用箱においては、側面部に形成される上下１対の第２の切込み線も第１の切込み線と同様に水平に延びているため、切込み線間の開封片の切除を容易に行うことができ、また、紙の繊維方向に沿って切断できることから、開封片に隣接する部分の表面層剥離も防止することができる。

また、本発明では、側面部の傾斜切込み線の始点が第２の切込み線の後端部となっている。すなわち、傾斜切込み線の始点は側面部の中央部にあることから、開封時、側面部に引張り力を作用させると、確実に傾斜切込み線に沿って側面部を切断することができる。

よって、本発明による包装用箱は、開封が容易であり、開封後の美観にも優れ展示箱としても良好なものとなる。

以下、図面に沿って本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。

図１は、本発明による包装用箱を示す斜視図であり、図２は、開封状態を示す同包装用箱の斜視図である。この包装用箱１０は、１枚の厚紙、好ましくは展示箱としての美観的効果を奏することのできるコートボール紙から作られている。

図１に示すように、包装用箱１０は直方体形状をなし、矩形の底面部１２と、この底面部１２の各長縁から垂直上方に延びる前面部１４及び後面部１６と、底面部１２の各短縁から垂直上方に延び且つ前面部１４及び後面部１６の対応端縁間を連結する左右の側面部１８，２０と、前面部１４、後面部１６及び側面部１８，２０の上縁が画す上部開口を閉じる上面部２２とから構成されている。なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲において「水平」、「垂直」、「上」、「下」等の方向を表す語は、図１の包装用箱１０を水平面に置いた時の状態を基準としている。

図３は、かかる包装用箱１０の展開図であり、矩形部分２４は包装用箱１０の前面部１４を構成し、その左右両側に連設される矩形部分２６，２８はそれぞれ左右の側面部１８，２０を構成する。また、左側の矩形部分２６に連設される矩形部分３０は後面部１６を構成するものである。矩形部分３０の左側に続く部分３２は継ぎ代であり、これを右側の矩形部分２８に接着剤等により接合することで、矩形部分２４〜３０は角筒状となる。各矩形部分２４〜３０の下縁に連接される各部分３４，３６，３８，４０を組み合わせることで、包装用箱１０の底部開口を閉じる底面部１２をなす。また、側面部１８，２０となる矩形部分２６，２８の上縁から延びる部分４２，４４はいわゆる内フラップであり、前面部１４及び後面部１６となる矩形部分２４，３０の上縁から延びる部分４６，４８はいわゆる外フラップである。内フラップ４２，４４及び外フラップ４６，４８を折り曲げ、内フラップ４２，４４の上に外フラップ４６，４８を重ねて接着剤等で互いに接合することで、包装用箱１０の上面部２２が形成される。

本実施形態に係る包装用箱１０においては、更に、その前面部１４に水平方向に延びる上下１対の切込み線（第１の切込み線）５０，５２が形成されている。これらの切込み線５０，５２間の部分５４は開封片として機能するものである。この開封片５４を水平方向に切除するために、包装用箱１０を構成する紙の繊維方向も略水平となるよう定められている。切込み線５０，５２の上下方向の間隔、すなわち開封片５４の幅は、限定的なものではないが、指でこれを摘めるよう、１cm前後であることが好ましい。また、包装される商品の形態や寸法にもよるが、商品が薄手の貼付剤等の場合、これらの切込み線５０，５２は、包装用箱１０の上下方向の略中間位置に形成することが好ましい。

左右の各側面部１８，２０にも、前面部１４における各切込み線５０，５２から一直線状に延びるよう、水平の切込み線（第２の切込み線）５６，５８が形成されている。各側面部１８，２０における切込み線５６，５８は、当該側面部１８，２０の後端縁に至る手前の適当な位置、例えば前後方向の略中間位置にて終端している。

このように、本実施形態における包装用箱１０の前面部１４及び左右の側面部１８，２０には、連続する上下１対の切込み線５０，５６；５２，５８が形成され、図３から理解される通り、これらの上下の切込み線５０，５６；５２，５８の間の部分５４，６０，６２が、直線状の１本の開封片として機能するようになっている。当該開封片５４，６０，６２は、左側の側面部１８から前面部１４、そして右側の側面部２０にかけて、或いはその逆の方向に、包装用箱１０から切除することが可能であるが、本実施形態では、右利きの人間による開封片切除作業の利便性を考慮して、左側の側面部１８からの切除を容易とする形状に切込み線５０，５２，５６，５８が形成されている。また、図３に示すように、左側の側面部１８における切込み線５６，５８の終端部分５６ａ，５８ａは、間隔の小さなミシン目とされ、且つ、上下を繋ぐ縦のミシン目６４が形成されている。これは、指を軽い力で切込み線５６，５８間に押し入れて開封片６０の端部を摘めるようにするためである。

左右の側面部１８，２０には、上側の切込み線５６の末端から、当該側面部１８，２０の後端縁６５の上部、好ましくは側面部１８，２０、後面部１６及び上面部２２の交点６６まで斜め上方に延びる傾斜切込み線６８が１本形成されている。この傾斜切込み線６８は通常のミシン目である。更に、後面部１６と上面部２２との角に沿って、すなわち左右の傾斜切込み線６８の上端間にも、切込み線（第３の切込み線）７０が形成されている。この切込み線７０も通常のミシン目である。

このような構成の包装用箱１０を開封する場合、まず、左側の側面部１８における切込み線５６，５８の終端部分５６ａ，５８ａ間に指を押し込む。これによりミシン目５６ａ，５８ａ，６４が裂け、開封片６０の端部を摘むことが可能となる。この後、開封片６０を引っ張り、左側の側面部１８から前面部１４を経て右側の側面部２０へと開封片６０，５４，６２を連続的に切除する。開封片５４，６０，６２を形成している切込み線５０，５２，５６，５８は前面部１４でも側面部１８，２０でも水平に延び、また、包装用箱１０を構成している紙の繊維方向も略水平に向けられているため、包装用箱１０の表面層が剥離することなく、開封片５４，６０，６２をきれいに切除することが可能となる。

開封片５４，６０，６２が切除されたならば、その切除部分に指を差し入れ、前面部１４の上部部分を上方に引き上げる。これにより、側面部１８，２０の上部部分には上方への引張り力が作用し、傾斜切込み線６８に沿って側面部１８，２０が上下に切断される。この際、平面状の側面部１８，２０に、傾斜切込み線６８を境にして相反する引張り力を作用させることになるが、傾斜切込み線６８上の部分以外の部分は強度が高く、切断は傾斜切込み線６８に沿って確実に行われる。

最後に、後面部１６と上面部２２との間の切込み線７０に沿って包装用箱１０の上部部分を切り取る。この状態が図２に示す状態である。図２に示す開封状態の包装用箱１０は、内部に収容された貼付剤のような商品（図示しない）の下部を支持し、また、商品と同等の高さを有する後面部１６にて商品を確実に支えることができる。これを前方から見た場合、商品の上部の大部分を見ることが可能であるので、商品の展示箱としての機能を果たすことができる。また、側面部１８，２０の前半分の高さが前面部１４と同じ高さで一定とされ、側面部１８，２０の後半分も後方にかけて漸次高くされているので、側方からの商品取出しが容易となる。更に、図２から理解される通り、美観にも優れたものとなる。

以上、本発明の最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、切込み線５０，５２，５６，５８の高さ位置や幅は包装される商品等により適宜変更される。

本発明による包装用箱を示す斜視図である。 開封状態を示す図１の包装用箱の斜視図である。 図１の包装用箱の展開図である。

符号の説明

１０…包装用箱
１２…底面部
１４…前面部
１６…後面部
１８，２０…側面部
２２…上面部
５０，５２…（第１の）切込み線
５４，６０，６２…開封片
５６，５８…（第２の）切込み線
６８…傾斜切込み線
７０…（第３の）切込み線

Claims (1)

1. 前面部と、前記前面部の左右の各端縁に連設された側面部と、左右の前記側面部の後端縁間を繋ぐ後面部と、上部開口を閉じる上面部と、底部開口を閉じる底面部とを備える包装用箱において、
   前記前面部に水平に形成された上下２本の第１の切込み線と、
   前記第１の切込み線のそれぞれの各端部から水平に延びるよう、前記側面部のそれぞれに形成された上下２本の第２の切込み線であって、前記側面部の後端縁に至る前で終端している前記第２の切込み線と、
   前記第２の切込み線の後端部から前記側面部の後端縁まで斜め上方に延びる傾斜切込み線と、
   左右の前記傾斜切込み線の後端部間を繋ぐ第３の切込み線と
   を備えることを特徴とする包装用箱。
   

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