JP4284841B2 - 液体混合器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、化学分析や化学合成などの分野において微小量の液体を混合するのに用いられる液体混合器に係り、特に微小量の液体の混合を効率良く行えるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に液体を混合する場合、混合対象の液体を大型容器に入れて攪拌することによって混ぜ合わせたり、あるいは、混合対象の各液体を一緒にして流す流路中に障害物を配してカルマン渦を発生させることによって混ぜ合わせたりしている。しかし、最近は、例えば化学分析や化学合成の分野においては、廃液の量を減らす等のために微小量の液体を混合する必要性が生じており、図11に示す超小型の液体混合器によって液体の混合を行うことが試みられている〔A.Manz,Proceedings of the μTAS '98 Workshop,pp.235-240(1988) 参照〕.
【0003】
この超小型の液体混合器は、図11の断面図に示すように、面同士を水密状態に接合して上下に積層された3枚のプレート51〜53を備え、中央のプレート52の表面(上面)にA液を流すための導入用流路54と、A、B両液の混合を行う混合用流路56とが形成されているとともに、裏面(下面)にB液を流すための導入用流路55が形成されている。そして、中央のプレート52には導入用流路54、導入用流路55、及び混合用流路56よりも極めて微小な貫通孔(ノズル)57を有しているとともに、この貫通孔57と、導入用流路54、導入用流路55、及び混合用流路56とが連通されている。そして導入用流路54内のA液と、導入用流路55内のB液とが、貫通孔57を介して混合用流路56内で積層されることによって、A液とB液との混合が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の液体混合器は、貫通孔57の径の大きさが導入用流路54、55、及び混合用流路56と比較して極めて微小なので、貫通孔57はノズル式の機構となる。従って、B液が貫通孔57より吹き上げられてA液に混合されるので、貫通孔57と混合用流路56との連結点にて乱流が発生する場合が生じる。従って、実際にはA、B両液が均一に積層されるわけではない。そこで、本発明者等は上記課題を解決するため、先に特願2000ー83599号を出願している。この特願2000ー83599号(以下、適宜『改良発明』とする)は、以下のような構成を採り、作用をもたらす。
【0005】
即ち、面同士を水密状態に接合して上下に積層された3枚のプレート101〜103を備え、図12の断面図に示すように、A、B両液の混合を行う混合用流路104が上側のプレート101の重ね合わせ面でかつ図12の紙面に対して垂直方向に形成されている。下側のプレート103の重ね合わせ面に導入用流路105が形成されており、中央のプレート102に混合用流路104とほぼ同じ幅を有する整流用流路106がプレート102の厚み方向に形成されている。そして、上記整流用流路106を介して、混合用流路104と導入用流路105とが連通されている。
【0006】
混合用流路104内にA液が既に流れ込んでいる状態で、導入用流路105内にB液を流し込んで、A液とB液とを混合させると、導入用流路105内のB液の圧力を、混合用流路104は直接受けることはない。従って、図12の断面図に示すように、B液が矢印の方向に導入用流路に流れ込むと、整流用流路106を介して、混合用流路104に均一に拡散する。また、整流用流路106の幅は混合用流路104とほぼ同じ幅を有しているので、ノズル式の液体混合器とは違って、乱流が発生することもない。その結果、流路の深さ方向(即ち、プレートの厚み方向)だけでなく流路の幅方向に対しても均一に積層することができる。しかしながら、上述の改良発明に係る液体混合器でも、以下の問題点がある。
【0007】
通常は、複数種類の液体を混合させるために、複数本の混合用流路104・導入用流路105・整流用流路106が必要になってくる。それに伴い、これらの流路を形成させるプレートがより多く必要になってくる。上述の液体混合器では、どのような簡易な構造でも少なくとも3枚のプレートまたはこれら流路を複雑に組み合わせてパターン形成したプレートが必要となり、構造が複雑となってしまう。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑み、微小量の液体の混合を効率良く行うことができる簡易な液体混合器を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、この発明は次のような構成をとる。
即ち、請求項1に記載の発明に係る液体混合器は、面同士を水密状態に接合して重ね合わされた複数枚のプレートを備え、前記プレートの重ね合わせ面の一方面に混合流路を、他方面に前記混合流路に合流する少なくとも1つの分割流路を形成し、前記分割流路に液体を注入することにより、混合流路を流れる液体と分割流路を流れる液体とを混合させるように構成された液体混合器において、前記分割流路の溝の深さが同じ分割流路の幅の長さよりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体混合器において、複数本の前記分割流路を備え、各分割流路が異なる合流地点で前記混合流路にそれぞれ合流されていることを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用について説明する。
面同士を水密状態に接合して上下に積層された2枚のプレート1、2を備えるとともに、上側のプレート1の重ね合わせ面1aには、図5(a)及び図6の斜視図に示すように、混合用流路6が形成されており、下側のプレート2の重ね合わせ面2aには、導入用分割流路10が形成されている液体混合器を例に採って請求項1の作用を説明する。
【0012】
導入用分割流路10内のB液は、混合用流路6と導入用分割流路10との接続部位Sにて、この発明の混合流路に相当する混合用流路6に流れ込んで混合用流路6内のA液と混合される。導入用分割流路10の幅方向から接続部位Sの壁面S1 が受ける力、即ちせん断応力を、図5(a)及び図6に示すように、せん断応力P1 として、導入用分割流路10の深さ方向(即ち、プレートの厚み方向)から接続部位Sの壁面S2 が受ける力を、圧力P2 とする。
【0013】
導入用分割流路10の幅をLとして導入用分割流路10の深さをDとすると、幅Lや深さDの大きさを変えると上記せん断応力P1 や圧力P2 もそれに応じて変化する。そこで、本発明者等は、上記せん断応力P1 や圧力P2 に着目して、幅Lや深さDの大きさをそれぞれ変化させてシミュレーションを行った。
【0014】
即ち、幅Lに対する深さDの比(=D/L)、いわゆるアスペクト比(aspect ratio)を大きくしながらそれぞれのシミュレーションを行った。アスペクト比が1未満、即ち深さDが幅Lよりも小さいときには、上述の構成を有する液体混合器の場合では、図5(a)に示すように、せん断応力P1 よりも圧力P2 の方が影響が大きいので、導入用分割流路10内のB液が接続部位Sの壁面S1 に接触した途端に、図5(b)の断面図に示すように、混合用流路6の深さ方向に深く拡散してしまう。導入用分割流路10内のB液が接続部位Sの壁面S1 に深く拡散した分だけ、導入用分割流路10の壁面S1 よりも下流側までB液が、混合用流路6に行き渡らなくなる。従って、混合用流路6の幅方向に対してA液とB液とが不均一に混合されてしまう。さらに幅方向に対して不均一に混合されることによって、幅方向ばかりでなく深さ方向にまで影響を及ぼす。
【0015】
アスペクト比が1よりも大きい、即ち深さDが幅Lよりも大きいときには、上述の構成を有する液体混合器の場合では、図6に示すように、圧力P2 よりもせん断応力P1 の方が影響が大きくなる。導入用分割流路10内のB液が接続部位Sの壁面S1 に接触しても、混合用流路6の深さ方向に深く拡散することなく、導入用分割流路10の壁面S1 から下流側までB液が、混合用流路6内に均一に拡散する。その結果、改良発明に係る整流用流路を設けた液体混合器と同じように、混合用流路6の深さ方向だけでなく混合用流路6の幅方向に対してもA液とB液とが均一に積層されることが、シミュレーションから確認された。
【0016】
以上より、請求項1に記載の発明に係る液体混合器は、分割流路の溝の深さが同じ分割流路の幅の長さよりも大きくなるように形成されているので、混合流路に分割流路が合流する合流地点において、分割流路の幅方向から受けるせん断応力の方が、同じ分割流路の深さ方向から受ける圧力よりも影響が大きくなる。分割流路内の液体が上記合流地点に到達しても、混合流路の深さ方向に深く拡散することなく、混合流路を流れる液体と分割流路を流れる液体とは混合流路の深さ方向だけでなく幅方向に対しても均一に積層されて、混合されることになる。なお、本明細書中の「分割流路の溝の深さが同じ分割流路の幅の長さよりも大きい」とは、「分割流路の溝の深さと、分割流路の幅の長さとは同じである」も含める。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、各分割流路が異なる合流地点で混合流路にそれぞれ合流されているので、分割流路が合流する度に各液体の積層数が増してゆく。その結果、混合流路において各液体はプレートの厚み方向に繰り返し多段に積み重ねられて薄層で互いに隣接した状態となるので、各液体同士の間で速やかに拡散が進行し、各液体は十分に混合されることになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
続いて、この発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1はこの発明における実施例に係る液体混合器の外観を示す斜視図、図2は本実施例の液体混合器における流路構成を示す流路系統図、図3は本実施例の液体混合器の上側のプレートの重ね合わせ面を示す平面図、図4は本実施例の液体混合器の下側のプレートの重ね合わせ面を示す平面図、図5は(流路幅に対する深さの比であるアスペクト比が1未満のときの)液体混合器の作用の説明に供する斜視図及び断面図、図6は(流路幅に対する深さの比であるアスペクト比が1より大きいときの)液体混合器の作用の説明及び本実施例の液体混合器の説明に供する斜視図、図7は図1及び2のA−Bから見た矢視断面図である。
【0019】
本実施例の液体混合器は、図1に示すように、面同士が密着して重ね合わされて接合された2枚のプレート1、2からなるチップ型の混合器である。
【0020】
本実施例の場合、図3に示すように、上側のプレート1の重ね合わせ面1aには、混合対象液であるA液を導入するための液体導入口3と、他方の混合対象液であるB液を導入するための液体導入口4と、A、B両液が混ぜ合わされた混合液を導出するための液体導出口5とが、プレート1を厚み方向に貫通しているとともに、A、B両液が送り込まれて一緒になる混合用流路6が形成されている。また、混合用流路6の下流側(液体を導出する側)と、液体導出口5とは連通されている。なお、混合用流路6は、この発明における混合流路に相当する。
【0021】
また、図4に示すように、下側のプレート2の重ね合わせ面2aには、液体導入口3からA液を導入するための液体用流路を有する導入用流路7、及び導入用流路を複数(本実施例では4つ)に分割するための各分岐流路を有する導入用分割流路8が形成されている。さらに液体導入口4からB液を導入するための液体用流路を有する導入用流路9、及び導入用流路を複数(本実施例では4つ)に分割するための各分岐流路を有する導入用分割流路10が形成されている。なお、導入用分割流路8、及び導入用分割流路10は、この発明における分割流路に相当する。
【0022】
なお、重ね合わせ面2aの導入用流路7と重ね合わせ面1aの液体導入口3と、及び重ね合わせ面2aの導入用流路9と重ね合わせ面1aの液体導入口4とはそれぞれ連通されている。また、重ね合わせ面2aの分割された両導入用分割流路8、10内のA、B両液が送り込まれて、重ね合わせ面1aの混合用流路6内でそれぞれ合流して混合されるように、両導入用分割流路8、10と混合用流路6とは連通されている。その際、図2に示すように、重ね合わせ面2aの分割された各導入用分割流路8、10は、混合用流路6の上流側(液体を導入する側)から順に、それぞれ交互に連結されている。従って、上側のプレート1の重ね合わせ面1aと下側の重ね合わせ面2aとを重ね合わせると、図2に示すような流路を構成していることになる。
【0023】
さらに、図6に示すように、各導入用分割流路10の深さDが同じ導入用分割流路10の幅の長さよりも大きくなるように導入用分割流路10はそれぞれ形成されている。図6中では図示を省略するが同様に、各導入用分割流路8の深さDが同じ導入用分割流路8の幅の長さよりも大きくなるように導入用分割流路8はそれぞれ形成されている。なお、「作用」の欄でも述べたように、本明細書中の「分割流路の溝の深さが同じ分割流路の幅の長さよりも大きい」とは、「分割流路の溝の深さと、分割流路の幅の長さとは同じである」も含める。従って、深さDと幅Lとが同じ長さである、即ち幅Lに対する深さDの比であるアスペクト比が1の導入用分割流路8,10も含める。また、アスペクト比は大きければ大きい程、A、B両液はより均一に積層されて混合されるが、アスペクト比が2前後でほぼ頭打ちの状態となる。従って、A、B両液はより均一に積層されて混合されるという点では、アスペクト比を2以上にしてもそれほどの効果は得られない。微小量の液体の混合及びプレート1、2の厚みを考慮すると、アスペクト比は1〜2程度が好ましい。
【0024】
以上より、本実施例では、液体導入口3、導入用流路7、及び導入用分割流路8がA液導入流路を構成し、液体導入口4、導入用流路9、及び導入用分割流路10がB液導入流路を構成するとともに、混合用流路6及び液体導出口5が混合液導出流路を構成していることになる。さらに、A、B両液はそれぞれ両導入用分割流路8、10から混合用流路6の上流側(液体を導入する側)へと順に、均一な薄層状態でそれぞれ交互に混合されていくことになる。
【0025】
実施例の液体混合器の場合、液体導入口3、4及び液体導出口5はそれぞれ直径1mmの小孔である。上側及び下側のプレート1、2は、それぞれ縦:45mm、横:20mmで厚み:1mmの石英(SiO2 )からなる平板である。また、各導入用流路7、9や導入用分割流路8、10の各導入用流路は、幅50μm、深さ100μmであり、混合用流路6は幅200μm、深さ20μmである。ここでは、導入用分割流路8、10のアスペクト比は2(幅L=50μm、深さD=100μm、アスペクト比=D/L=100/50=2)である。
【0026】
また、液体混合器の製造工程中での接合時の基板のズレを吸収するために、図2及び図6に示すように、各導入用分割流路8及び10の終端(導入用分割流路10の場合、図2及び図6から見て流路の左端)は、混合用流路6よりも下流側(導入用分割流路10の場合、図2及び図6の左側)に突出しているが、かかる構造でも均一な薄層状態でA、B両液は混合される。逆に、製造工程中に接合時の位置合わせを精密に行うことによって、各導入用分割流路8及び10の終端と混合用流路6の下流側とが揃えられるのならば、そのような構造であっても構わない。
【0027】
本実施例では、プレート1、2は石英(SiO2 )であったが、各プレート1、2の板基材には、ガラス板やシリコン(Si)板あるいはプラスチック板の他に金属板などの中から用途や混合対象の液体の種類などに応じて適当な板基材を選ぶことができる。例えば、流路の中の混合液に適当な光を照射して反射光ないし透過光を検出することにより液の分光分析を行うような場合は、プレート1、2として透明板(例えば無色透明のガラス板)が用いられる。
【0028】
実施例の液体混合器により液体の混合を実行する際には、A液やB液の送液が必要となる。この送液は、シリンジポンプのような物理式送液方法や、電気浸透流などの電気式送液方法を用いて行われる。電気浸透流による送液の場合、例えば液体導入口3、4と液体導出口5に電極をセットして電圧を印加することによって液体を移動させる。
【0029】
続いて、実施例の液体混合器の製造方法について説明する。実施例の液体混合器を製造する場合、上側のプレート1に用いる板基材の重ね合わせ面となる表面に対して混合用流路以外の領域を覆うマスクを施しておいてから、エッチング処理を施した後、マスクを除去することにより各流路を掘り込み形成し、さらにサンドブラスト法または超音波加工法等によりスルホールを板基材に穿設して液体導入口3、4及び液体導出口5を形成し、上側のプレート1を作製する。
【0030】
一方、下側のプレート2に用いる板基材の重ね合わせ面となる表面に対しても導入用流路、及び導入用分割流路となる部分以外の領域を覆うマスクを施しておいてから、エッチング処理を施した後、マスクを除去することにより各流路を掘り込み形成し、下側のプレート2を作製する。
【0031】
ついで作製したプレート1、2を重ね合わせ面で貼り合わせて水密状態に接合すれば、実施例の液体混合器が完成する。貼り合わせ方法としては、板基材が例えばガラス基板や石英基板の場合は、重ね合わせ面1a、2aの両面をフッ酸系の薬剤で少し溶解してプレート1、2を重ね合わせて接合すればよい。あるいは、接着剤を重ね合わせ面1a、2aの両面に薄く塗布してプレート1、2を重ね合わせて接合してもよい。
【0032】
このように、実施例の液体混合器は、いわゆるフォトリソグラフィ技術やマイクロマシニング技術を利用してプレート1、2を簡単に作製して貼り合わす程度のことで容易に完成させられるのである。
【0033】
次に、上述した構成を有する実施例の液体混合器により液体を混合を実行する時の様子を図面を参照しながら説明する。
【0034】
混合対象のA液を液体導入口3から導入用流路7へ導入するとともに、混合対象のB液を液体導入口4から導入用流路9へ導入する。
【0035】
導入用流路7に導入されたA液は各導入用分割流路8で4つに分割されながら混合用流路6へ向けて流れる。また、導入用流路9に導入されたB液は各導入用分割流路10で4つに分割されながら混合用流路6へ向けて流れる。
【0036】
次に、導入用分割流路10から混合用流路6に流れ込む様子を、図7の矢視断面図を参照しながら説明する。なお、導入用分割流路8から混合用流路6に流れ込む様子については、導入用分割流路10と同様なので省略する。
【0037】
各導入用分割流路10の深さDが同じ導入用分割流路10の幅の長さよりも大きくなるように導入用分割流路10はそれぞれ形成されているので、導入用分割流路10の幅方向から受けるせん断応力の方が導入用分割流路10の深さ方向が受ける圧力よりも影響が大きい。従って、図7に示すように、B液が矢印の方向に導入用分割流路10内に流れ込むと、混合用流路10に均一に拡散する。その結果、流路の深さ方向だけでなく流路の幅方向に対しても均一に積層することができる。
【0038】
一方、導入用分割流路8及び10と混合用流路6とは異なるプレートの重ね合わせ面に形成されていて段差があるので、分割された各導入用分割流路8及び10と混合用流路6との連結点(図6中の接続部位S)に達したA液あるいはB液は、混合用流路6に流れ込むと、図8に示すように、上下方向(流路6の深さ方向)に交互に積まれて流れてゆき、薄層状態で均一に混合積層される。勿論、各混合用流路の深さは同じであるので、積層の都度、各層の厚みは半分となってゆく。従って、液体導出口5では4層のA液と4層のB液が交互に積層された8層の流れとなって進んでゆくとともに、A,B両液は薄層で互いに隣接しているので、A,B両液の間で拡散が速やかに進行し、両液は十分に混合されて液体導出口5から流出してくることとなる。なお、積層の途中でもA、B両液の間で拡散は進行するので、A液とB液は、図示した層を境として完全に2液に分離した状態となっているわけではない。
【0039】
以上に詳述したように、各導入用分割流路8、10の深さDが同じ導入用分割流路8、10の幅の長さよりも大きくなるように導入用分割流路8、10はそれぞれ形成されているので、導入用分割流路8、10内の各液体A、Bは混合用流路6に均一に流入することができる。その結果、流路の深さ方向だけでなく流路の幅方向に対しても均一に積層することができて、液体導出口5ではA、B両液は均一な薄層状態で効率良く混合される。
【0040】
この発明は、上記実施の形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0041】
(1)上述した本実施例では、混合流路に相当する混合用流路6は上側のプレート1の重ね合わせ面1aに、分割流路に相当する導入用分割流路8、10は下側のプレート2の重ね合わせ面2aにそれぞれ形成されていたが、下側のプレート2の重ね合わせ面2aに混合用流路6を、上側のプレート1の重ね合わせ面1aに導入用分割流路8、10を形成してもよい。上述の場合でも、本実施例と同じ作用・効果を奏する。
【0042】
(2)上述した本実施例では、図2の流路系統図に示すように、混合用流路6と、各導入用分割流路8、10とはそれぞれ互いに直交するように構成されていたが、図9の変形例に示すように、斜め方向から混合するような流路系統に構成されていてもよい。ただし、斜め方向から各液体が混合用流路6に流入してくるので、混合用流路6の長手方向から乱流が発生し易く、本実施例のように直交方向から各液体が流入する流路系統の方が好ましい。
【0043】
(3)上述した本実施例では、A液とB液の2種類の液体を混合する構成であったが、この発明の液体混合器により混合される液体の種類数は2種類に限らず3種類以上の液体を混合する構成であってもよい。例えば、図10に示す変形例の液体混合器の場合、A液〜D液の4種類の液体を混合することができる。
【0044】
実施例の場合は、プレート1、2の重ね合わせ面に1つの混合ユニットが形成されていただけであったが、変形例の液体混合器では、図10に示すように、プレート1、2の重ね合わせ面に第1〜第2の3個の混合ユニットUA1〜UA3が形成されていて、第1混合ユニットUA1でA、B両液を混合するとともに、第2混合ユニットUA2でC、D両液を混合しておいて、さらに第3混合ユニットUA3でA、B両液の混合液とC、D両液の混合液とをさらに混合してA液〜D液の4種類の液体を混合できる構成となっている。もちろん、各混合ユニットUA1〜UA3での混合作用は実施例の場合と全く同様である。また、第1,第3の2個の混合ユニットUA1,UA3だけを備え混合ユニットUA2を備えない構成の変形例の場合、A液〜C液の3種類の液体を混合する構成の液体混合器となる。
【0045】
(4)上述した本実施例以外の流路系統については、(1)及び(2)の変形例に例示されるように、特に限定されない。また上述した本実施例では導入及び混合用流路や導入用分割流路は直線状であったが、これらの流路の形状は、S字状に屈曲を繰り返す形状や渦巻き状などの形状であってもよい。また上述した本実施例では、液体導入口3、4及び液体導出口5は上側のプレート1の外面に開いていたが、液体導入口3、4及び液体導出口5は下側のプレート2の外面に開いていてもよいし、上下のプレート1、2の外面に分かれて開いていてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1の発明に係る液体混合器によれば、分割流路の溝の深さが同じ分割流路の幅の長さよりも大きくなるように形成されているので、混合流路の深さ方向だけでなく混合流路の幅方向に対しても各液体を均一に積層して混合することができる。また、簡易な構造の場合には2枚のプレートのみで請求項1に記載の発明に係る液体混合器を構成することができる。従って、構造が複雑になっても、改良発明に係る整流用流路を設けた液体混合器と比べて、液体混合器を構成するのに必要なプレートの枚数は少なくて済む。その結果、改良発明に係る整流用流路を設けた液体混合器と比べて、微小量の液体の混合を効率良く行い、かつ簡易な液体混合器を構成することができる。
【0047】
また、請求項2の発明に係る液体混合器によれば、各分割流路が異なる合流地点で混合流路にそれぞれ合流されているので、混合流路において各液体を薄層状態で均一に混合することできる。従って、各液体の拡散を速やかに進行することできて、各液体を十分に混合することができる。その結果、効率良く各液体の混合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る液体混合器の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施例の液体混合器における流路構成を示す流路系統図である。
【図3】本実施例の液体混合器の上側のプレートの重ね合わせ面を示す平面図である。
【図4】本実施例の液体混合器の下側のプレートの重ね合わせ面を示す平面図である。
【図5】液体混合器の作用の説明に供する斜視図及び断面図である。
【図6】液体混合器の作用の説明及び本実施例の液体混合器の説明に供する斜視図である。
【図7】本実施例の液体混合器において液体が合流する状態を示す断面図である。
【図8】本実施例の液体混合器において上流側から下流側まで液体が合流する状態を示す断面図である。
【図9】変形例の液体混合器における流路構成を示す流路系統図である。
【図10】他の変形例の液体混合器における流路構成を示す流路系統図である。
【図11】従来例に係るノズル式液体混合器の断面図である。
【図12】改良発明に係る整流用流路を設けた液体混合器の断面図である。
【符号の説明】
1 …上側のプレート
1a …重ね合わせ面
2 …下側のプレート
2a …重ね合わせ面
3、4 …液体導入口
5 …液体導出口
6 …混合用流路液体導出口
7、9 …導入用流路
8、10 …導入用分割流路
Claims (2)
- 面同士を水密状態に接合して重ね合わされた複数枚のプレートを備え、前記プレートの重ね合わせ面の一方面に混合流路を、他方面に前記混合流路に合流する少なくとも1つの分割流路を形成し、前記分割流路に液体を注入することにより、混合流路を流れる液体と分割流路を流れる液体とを混合させるように構成された液体混合器において、前記分割流路の溝の深さが同じ分割流路の幅の長さよりも大きくなるように形成されていることを特徴とする液体混合器。
- 請求項1に記載の液体混合器において、複数本の前記分割流路を備え、各分割流路が異なる合流地点で前記混合流路にそれぞれ合流されていることを特徴とする液体混合器。
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