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JP4281619B2 - 蒸気エンジン - Google Patents

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JP4281619B2
JP4281619B2 JP2004149599A JP2004149599A JP4281619B2 JP 4281619 B2 JP4281619 B2 JP 4281619B2 JP 2004149599 A JP2004149599 A JP 2004149599A JP 2004149599 A JP2004149599 A JP 2004149599A JP 4281619 B2 JP4281619 B2 JP 4281619B2
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Description

本発明は、管内に封入された液体の加熱による気化と冷却による液化とを繰り返し実行することによって、管内の液体に流動変位を生じさせるよう構成された蒸気エンジンに関する。
従来より、蒸気エンジンの一つとして、容器内の流体を加熱によって気化させると共に、冷却によって液化させることで、容器内の圧力を変化させ、その圧力変化によって機械的エネルギの出力ができるようにされたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、本出願人は、以下に示す構成を有する蒸気エンジンが開示された技術につき特許出願を行なった(特許文献2参照)。
この蒸気エンジン500は、図9に示す構成を有している。
すなわち、蒸気エンジン500は、液体が封入され略U字状の流体通路を有する管502と、管502内の液体を加熱する加熱器504と、加熱器504における加熱により液体が気化してなる蒸気を冷却する冷却器506と、出力部508と、を備える。
出力部508は、シリンダ510と、シリンダ510内を往復運動できるよう構成されたピストン512と、ピストン512に一端が連結された可動部514と、可動部514の他端に配置されたばね材516と、を備える。ピストン512は、管502内の流体から受ける圧力に応じてシリンダ510内を往復運動するよう構成されている。
この蒸気エンジン500では、加熱器504にて管502内の液体が加熱されて沸騰・気化すると、管502内の流体に容積膨張が起きる。次に、加熱器504にて気化してなる蒸気は、下方に移動し、冷却器506にて冷却されて液化される。このとき、管502内の流体容積は収縮される。出力部508におけるピストン512と可動部514は、このようにして管502内に生ずる流体容積の膨張・収縮による液面変化(流動変位)を圧力変化として受け、往復運動を行う。
従って、例えば、可動部514に永久磁石を取り付けた上、当該永久磁石に対向するようコイルを配置すれば、ピストン512と可動部514の往復運動によってコイルに起電力が発生し、発電がなされることになる。
特開昭58−57014号公報 特開2004−84523号公報
ところで、図9に示した蒸気エンジン500において、加熱器504は、管502の周囲から管502内の液体を加熱するよう構成されている。
しかし、このような構成では熱効率が不十分であるという問題があった。
つまり、管502の周囲から管502内の液体を加熱するタイプの加熱器504を用いる場合、管502内の液体には、図10に示すような温度勾配が生じる。すなわち、加熱器504近傍における管502内の液体の部分のうち、加熱器504に近い部分は温度が高くなり、加熱器504から遠い部分は温度が低くなる。
よって、加熱器504で加熱される液体は、「沸騰して蒸気になる液体」と「沸騰することなく冷却器506側に移動してしまう温められた液体」とに分かれる。
そして、この後者の液体は、管502内の液面変化に関与することなく冷却器506で冷却されることから、このような構成の蒸気エンジンにおいては、この液体によって大きな熱損失が生じていた。
そこで、本発明は、管内に封入された液体の加熱による気化と冷却による液化とを繰り返し実行することによって、管内の液体に流動変位を生じさせるよう構成された蒸気エンジンにおいて、熱効率を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の蒸気エンジンは、液体が封入された管と、該管内の液体を加熱する加熱器と、加熱器における加熱により液体が気化してなる蒸気を冷却する冷却器と、加熱器における加熱による液体の気化と冷却器における冷却による蒸気の液化とにより管内の液体に発生する流動変位を機械的エネルギとして取り出す出力部と、を有する。
この蒸気エンジンにおいては、加熱器は、管を介して管内の液体を加熱するよう構成されている。また、加熱器、冷却器、出力部は、管がなす管路上に、加熱器、冷却器、出力部の順に配置される。
従って、この蒸気エンジンでは、加熱器における加熱により液体が気化されることで管内の流体に容積膨張が起きる一方、この気化されてなる蒸気が加熱器と出力部との間に配置された冷却器により冷却されて液化されることで管内の流体に容積収縮が起きる。出力部ではこの流体容積の膨張・収縮による流動変位を機械的エネルギとして取り出す。
そして、本発明の蒸気エンジンは、液体導入部を有する。液体導入部は、管の内部における加熱器近傍の箇所が液体で満たされず、液体が管内における出力部側の領域に位置している状態において、管の内壁面のうち液体で満たされていない加熱器近傍の箇所に対する液体の導入を促進させる。
ここで、「管の内部における加熱器近傍の箇所が液体で満たされず、液体が管内における出力部側の領域に位置している状態」は、例えば、(1)管の内部のうち加熱器による熱供給を受ける領域には液体の液面が及ばず、液体が管内における出力部側の領域(管内における少なくとも出力部近傍の領域を含んだ領域。出力部近傍の領域の他、冷却器近傍の領域を含んだ領域であってもよい。以下において同じ。)に位置している状態、の他、(2)管の内部のうち加熱器による熱供給を受ける部分に液体の液面が及ばない領域が少なくとも部分的にあり、液体が管内における出力部側の領域に位置している状態、などを概念的に含む文言である。
また、「管の内壁面のうち液体で満たされていない加熱器近傍の箇所に対する液体の導入」は、例えば、(1)管の内壁面のうち液体の液面が及んでいない加熱器近傍の箇所全てに対する液体の導入、の他、(2)管の内壁面のうち液体の液面が及んでいない加熱器近傍の箇所のうち少なくとも一部に対する液体の導入、などを概念的に含む文言である。
本発明の蒸気エンジンは、上記のような液体導入部を有するため、管の内部における加熱器近傍の箇所が液体で満たされなくても、液体導入部によって、液体で満たされていない加熱器近傍の箇所に位置する管の内壁面に液体を導入させることができる。
そして、本発明においては、加熱器は管を介して管内の液体を加熱するものであることから、液体導入部により液体で満たされていない加熱器近傍の箇所に位置する管の内壁面に導入された液体は、加熱器から好適に熱供給を受け、そのほとんど全てが気化される。
よって、本発明の蒸気エンジンによれば、例えば、液体導入部により加熱器近傍の箇所に位置する管の内壁面に液体を導入するものの、管の内部における加熱器近傍の箇所全体を液体で満たす操作は行なわないようにすることにより、加熱器により加熱されたものの沸騰するに至らない液体が冷却器側に移動する現象の発生を好適に抑制できる。
そして、その結果、本発明では、このような現象の発生を抑制できる分だけ、従来に比べ、熱効率を向上できる。
本発明において、液体導入部は、加熱器近傍の箇所に至る管の内壁面に沿った液体の流れを促進させる内壁面流動促進部を管の内壁面に有していてもよい。このようにしても上記と同様の効果が得られる。
そして、内壁面流動促進部としては、管の内壁面に設けられたウイックを有するものであってもよい。
なお、ここで、「ウイック」とは、管内の液体による毛細管現象を生じさせて管の内壁面に沿った液体の流れを促進させるべく設けられる毛細管構造のことである。
このような毛細管構造は、例えば、金網状の金属材、繊維材、あるいは、焼結金属などの多孔質材を管の内壁面に配置したり、毛細管現象を生じさせるに足る細溝を管の内壁面に設けたりすることで、形成される。
また、内壁面流動促進部としては、管の内壁面に設けられた親水処理面を有するものであってもよい。
ここで、内壁面流動促進部としては、上記の「ウイック」と「親水処理面」のうち一方を有するものであってもよいのは勿論である。
但し、内壁面流動促進部を介しての加熱器近傍の箇所への液体の供給を速やかに行なえるようにするためには、内壁面流動促進部は、上記の「ウイック」と「親水処理面」を組み合わせた構成であることが好ましい。
この場合には、両構成の組み合わせにより加熱器近傍の箇所への液体の供給が速やかにできる分だけ、当該蒸気エンジンの応答性を高めることができる。
なお、ここで述べた『「ウイック」と「親水処理面」を組み合わせた構成』には、例えば、毛細管現象を生じさせるに足る細溝として構成されたウイックの表面に親水処理を施した場合など、構成の異なる「ウイック」と「親水処理面」が組み合わされる場合の他、焼結金属材として構成されたウイック自体が親水処理面としても機能する場合など、「ウイック」と「親水処理面」が実質的に同一構成として形成される場合も含まれる。
本発明において、内壁面流動促進部は、管の内壁面のうち少なくとも加熱器近傍の箇所に設けられたものであっても良い。
但し、当該蒸気エンジンの熱効率を好適に向上させるためには、内壁面流動促進部は、管の内壁面のうち、加熱器近傍の箇所よりも出力部側の箇所から、加熱器近傍の箇所に至る部分、に設けられることが望ましい。
このようにすれば、管内において、加熱器による熱供給を受ける加熱器近傍の箇所に液体の液面を及ぼさなくても、内壁面流動促進部により、加熱器近傍における管の内壁面に液体を導入させることができる。
つまり、この場合、内壁面流動促進部は、その出力部側の端部を加熱器近傍の領域外の位置に有している。よって、この端部に管内における液体の液面が及んでさえいれば、この端部から、内壁面流動促進部を介して、加熱器近傍における管の内壁面に液体を導入させることができる。
従って、この場合には、加熱器から熱供給を受ける液体を加熱器近傍における管の内壁面に位置する液体だけにすることができ、その結果、加熱器近傍に導入される液体のほとんど全てを好適に気化させることができる。
すなわち、この場合には、加熱器近傍の管内中心部分に位置して熱損失を発生させてしまう液体、換言すれば、沸騰することなく冷却器側に移動してしまう温められた液体、の量を効果的に抑制できる分だけ、蒸気エンジンの熱効率が好適に向上される。
本発明の蒸気エンジンが内壁面流動促進部を備える場合には、管の内壁面のうち、内壁面流動促進部の出力部側の端部領域に、撥水処理面が設けられていても良い。
このようにすれば、例えば、加熱器によって管内の液体が加熱されて沸騰・気化することで管内の流体に容積膨張が起き、管内における液体の液面が撥水処理面を介して出力部側の位置に移動した際に、内壁面流動促進部に残留する液体の量を効果的に低減できる。
つまり、このような撥水処理面を設ければ、設けない場合に比べ、液体の液面が出力部側に移動する際に撥水処理面を通過することで内壁面流動促進部にその後においても液体供給が継続的になされることが効果的に防止される。
よって、この場合には、液体の液面が出力部側に移動した後においても内壁面流動促進部を介して加熱器近傍の管内壁面に液体が継続的に供給されて液体の気化が継続的に発生してしまうことを好適に防止できる。
そして、このように液体の気化の継続的発生を防止できれば、管内の液体に振動的な流動変位(自励振動変位)を安定的に発生させることができる。そして、管内の液体に発生する振動的な流動変位(自励振動変位)の周波数を比較的高めに設定することも容易になる。
一方、本発明の蒸気エンジンにおいて、液体導入部は、管の部分のうち、加熱器が設けられた部分の内壁面と、加熱器よりも出力部側の部分と、を連結する接続管を有するものであっても良い。
この場合、この接続管の管内径は、管内に封入された液体による毛細管現象が誘発される管内径となるよう構成されたものであることが望ましい。
このようにすれば、管内において、加熱器による熱供給を受ける加熱器近傍の箇所に液体の液面を及ぼさなくても、加熱器よりも出力部側の部分に設けられた接続管の端部の領域まで液体の液面が及んでさえいれば、この端部から、接続管を介して、加熱器近傍における管の内壁面に液体を導入させることができる。
従って、この場合には、加熱器から熱供給を受ける液体を加熱器近傍における管の内壁面に位置する液体だけにすることができ、その結果、加熱器近傍に導入される液体のほとんど全てを好適に気化させることができる。
すなわち、この場合には、加熱器近傍の管内中心部分に位置して熱損失を発生させてしまう液体、換言すれば、沸騰することなく冷却器側に移動してしまう温められた液体、の量を効果的に抑制できる分だけ、蒸気エンジンの熱効率が好適に向上される。
本発明の蒸気エンジンにおいて、加熱器が設けられた管の部分における内壁面は特定のものに限定されない。
但し、当該内壁面上での液体の移動、広がりを速やかにすることで、加熱器からの加熱による液体の気化が速やかになされるようにするためには、当該内壁面は略水平方向に延びている部分を有していることが望ましい。
また、本発明の蒸気エンジンでは、加熱器は冷却器よりも上方に位置していても良い。
この場合は、例えば、管内の液体に作用する重力を利用すれば、管内における加熱器近傍の箇所よりも下方の領域までしか液体の液面が到達しないようにすること、すなわち、管内における加熱器近傍の箇所が液体で満たされないようにすること、が容易に可能となる。
但し、本発明では、このように加熱器近傍の箇所よりも下方の領域までしか液体の液面が到達しないようにしつつも、液体導入部により、加熱器が設けられた管の部分における内壁面には液体が供給されるようにすることができる。
その結果、この場合には、加熱器からの熱供給を受ける液体を加熱器近傍における管の内壁面に位置する液体だけにすることが容易に実現され、その結果、蒸気エンジンの熱効率が好適に向上される。
なお、加熱器が冷却器よりも上方に位置する場合としては、加熱器が冷却器の鉛直上方に位置する場合の他、加熱器が冷却器の斜め上方に位置する場合などが考えられる。
また、本発明の蒸気エンジンでは、加熱器と冷却器とが略同一の高さに位置していても良い。
但し、この場合においては、蒸気エンジンの熱効率を好適に向上させるため、例えば、管内における冷却器近傍の箇所を液体で満たす場合においても、管内における加熱器近傍の箇所が液体で満たされ難い構成を採用することが望ましい。
このような構成としては、例えば、次のようなものが考えられる。
すなわち、例えば、加熱器や冷却器が配置された管の部分が略水平方向を長手方向とする管の部分である場合は、管内の液体に作用する表面張力により管内の液面が略水平方向に延びる面ではなく略鉛直方向に延びる面となる程度に、この部分の管径を細く構成する。
このようにすれば、管内における加熱器近傍の箇所よりも出力部側の領域までしか液体の液面が到達しないようにすること、すなわち、例えば、管内における冷却器近傍の箇所を液体で満たす場合においても、管内における加熱器近傍の箇所が液体で満たされないようにすること、が容易に可能となる。
但し、本発明では、このように加熱器近傍の箇所よりも出力部側の領域までしか液体の液面が到達しないようにしつつも、液体導入部により、加熱器が設けられた管の部分における内壁面には液体が供給されるようにすることができる。
その結果、この場合においても、加熱器からの熱供給を受ける液体を加熱器近傍における管の内壁面に位置する液体だけにすることが容易に実現され、その結果、蒸気エンジンの熱効率が好適に向上される。
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態をとり得る。
[実施例1]
図1は、実施例1の蒸気エンジン1の概略構成を示す図である。
図1に示す如く、蒸気エンジン1は、水等の液体が予め定められた圧力状態で封入された管10と、加熱器30と、冷却器32と、出力部100と、を備えている。
管10は、上下方向に延在する2つの上下方向延在管12,14と、2つの上下方向延在管12,14の下端部を連結する左右方向延在管16と、からなる略U字状に形成されたパイプ状の容器である。本実施例では、加熱器30、冷却器32、出力部100が、管10がなす管路上に、加熱器30、冷却器32、出力部100の順に配置されている。
加熱器30は、管10内の液体を部分的に加熱して気化させるものであり、例えば、加熱用の熱交換器から構成される。また、冷却器32は、加熱器30の作用により液体が気化してなる蒸気を冷却して液化させるものであり、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。加熱器30は、上下方向延在管12の上端部18近傍における当該上下方向延在管12の外面に設けられている。加熱器30は、上下方向延在管12を介して当該上下方向延在管12内部の液体を加熱する。また、冷却器32は、上下方向延在管12の外面における加熱器30よりも下方の箇所に設けられている。冷却器32は、上下方向延在管12を介して当該上下方向延在管12内部を冷却する。
本実施例では、加熱器30による加熱や冷却器32による冷却が効率良く実行できるよう上下方向延在管12における少なくとも加熱器30や冷却器32が設置された箇所の外壁部分を熱伝導率に優れた素材(例えば、銅やアルミニウム等)を用いて構成している。なお、管10におけるその他の部分は断熱性に優れた素材にて構成することが望ましい。
出力部100は、開口部とされた上下方向延在管14の上端部20に設けられており、上下方向延在管14の上端部20内における液体に生じる液面変化(自励振動変位)に応動して発電を行なえるよう構成されている。
出力部100は、上下方向延在管14の上端部20内に連通するよう配置されたシリンダ102と、シリンダ102内を往復運動できるよう構成されたピストン104と、ピストン104に一端が連結された可動部106と、可動部106の他端に配置されたばね材108と、を備える。この出力部100において、可動部106には永久磁石(図示省略)が取り付けられている。また、該永久磁石に対向する位置には、コイル(図示省略)が配置されている。ピストン104と可動部106は、上下方向延在管14の上端部20内に生じる液面変化を圧力変化として受けることで、直線的に往復駆動される。そして、出力部100では、この往復駆動に応じてコイルに起電力が発生し、その結果、発電がなされる。
次に、図1に加えて図2(a),(b)も用いて加熱器30近傍における上下方向延在管12の内部構成について説明する。なお、図2(a),(b)は、上下方向延在管12の上端部18近傍部分の内部構成を示す部分拡大図である。
上下方向延在管12の内壁面のうち加熱器30近傍の箇所よりも下方の冷却器32側の箇所から加熱器30近傍の箇所に至る部分には、上下方向延在管12の長手方向(上下方向)に延在するウイックとしての複数の細溝40(内壁面流動促進部に相当)が設けられている。細溝40は、管10内の液体による毛細管現象を生じさせるに足る構成のものである。また、上下方向延在管12の内壁面における、細溝40の冷却器32側の端部領域(下端領域)には、撥水処理面42が設けられている。
次に、管10内に充填される液体量につき言及した後、蒸気エンジン1の動作につき説明する。
本実施例の蒸気エンジン1は、上下方向延在管12の内部における加熱器30近傍の箇所が液体で満たされることはないよう構成されている。
つまり、管10内の液体に面した状態で管10内側の一端(下死点)と管内10側とは反対側の他端(上死点)との間で往復駆動されるピストン104が下死点に位置したとき、上下方向延在管12の内部における液体の液面は一番最高位となる。
しかし、本実施例では、このように一番最高位となる状態においても、上下方向延在管12の内部における液体の液面は細溝40の下端領域に至る程度となる(図2(a)参照)。
但し、この状態においては、毛細管現象により、液体が、細溝40を介して加熱器30近傍における上下方向延在管12の内壁面まで導入される。
よって、本実施例の蒸気エンジン1では、このように細溝40を介して加熱器30近傍に導入された液体が加熱器30からの加熱によって沸騰・気化される。その結果、気化に伴う流体の容積膨張により、管10内の流体に容積膨張が起きる。
具体的には、気化されてなる蒸気により、上下方向延在管12の内部における液体の液面は撥水処理面42以下の高さまで押し下げられ(図2(b)参照)、その結果、上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面が上昇する。出力部100におけるピストン104と可動部106は、この液面上昇を両者に付与される圧力の上昇として受け、その結果、ピストン104と可動部106は上昇する。
次に、本実施例では、加熱器30によって気化されてなる蒸気のうち下方に位置する部分が、気化による容積膨張に伴い、加熱器30の配置箇所よりも下方に延びていく。そして、この蒸気の下方部分は冷却器32の高さ位置に至る。
このように冷却器32の高さ位置に至った蒸気は、冷却器32の作用により冷却され液化される。その結果、液化に伴う流体の容積収縮により、容器10内の流体に容積収縮が起きる。
具体的には、蒸気の液化により、上下方向延在管12の内部における液体の液面は上昇し、その結果、上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面が下降する。出力部100におけるピストン104と可動部106は、この液面下降を両者に付与される圧力の減少として受け、その結果、ピストン104と可動部106は下降に転ずる。そして、ピストン104が下死点に達したときには、上下方向延在管12の内部における液体の液面は細溝40の下端領域に至る高さまで再び上昇する(図2(a)参照)。
本実施例の蒸気エンジン1では、上述した上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面変化(自励振動変位)を繰り返し発生させることで、ピストン104と可動部106の往復運動を継続させ、それにより、発電を行なう。
以上、本実施例の蒸気エンジン1につき説明を行なったが、本実施例の蒸気エンジン1においては、上下方向延在管12の内部における液体の液面を最高位でも細溝40の下端領域に至る程度とする。そして、加熱器30からの熱供給を受ける液体を、細溝40を介して加熱器30近傍における上下方向延在管12の内壁面に導入される液体だけとする。その結果、本実施例では、加熱器30近傍に導入される液体のほとんど全てを好適に気化させることができる。
すなわち、本実施例では、上下方向延在管12の内部における加熱器30近傍領域を液体で満たさない分だけ、加熱器30近傍における上下方向延在管12内中心部分に位置して熱損失を発生させてしまう液体、換言すれば、沸騰することなく冷却器32側に移動してしまう温められた液体、の量を効果的に低減している。
従って、本実施例の蒸気エンジン1によれば、このように熱損失を発生させる液体の量を低減した分だけ、従来に比べ、熱効率が好適に向上される。
また、本実施例では、上下方向延在管12の内壁面における細溝40の下端領域に撥水処理面42が設けられているため、管10内の液体に自励振動変位を安定的に発生させることができる。
つまり、まず、本実施例では、上下方向延在管12内の加熱器30近傍領域での液体の気化によって上下方向延在管12の内部における液体の液面が押し下げられる際に、この液面は撥水処理面42以下の高さまで押し下げられる(図2(b)参照)。
このように液面が押し下げられた際には、細溝40と液体の液面の間には撥水処理面42が介在することになるため、細溝40への液体の供給は確実に停止される。
従って、本実施例では、上下方向延在管12の内部における液体の液面が押し下げられた後においては、撥水処理面42により、細溝40に対する液体の供給が継続してしまうことが防止される。
そして、本実施例では、このように細溝40に対する液体の継続的供給が防止されるため、上下方向延在管12の内部における液体の液面が押し下げられた後においても細溝40に残留する液体が加熱器30により継続的に気化される現象の発生を効果的に防止できる。加熱器30による液体の気化が細溝40に残留する液体の存在により液面押し下げ後においても継続してしまうと、管10内の液体に自励振動変位を安定的に発生させることが困難となる。本実施例では、撥水処理面42を設けることで、このような継続的気化現象の発生を好適に防止している。
なお、上記においては、内壁面流動促進部としての細溝40を上下方向に延在する構成のものとしたが、細溝40は、加熱器30近傍における上下方向延在管12の内壁面まで毛細管現象により液体の運搬を行なうことが可能に構成されたものでさえあれば、このようなものに限定されない。
図3は、このような細溝の他の態様を示す図である。図3に示すウイックとしての細溝40a(内壁面流動促進部に相当)は、細溝40の場合と同様、上下方向延在管12の内壁面のうち加熱器30近傍の箇所よりも下方の冷却器32側の箇所から加熱器30近傍の箇所に至る部分に設けられている。
細溝40aは、例えば、上下方向に延在する複数の上下溝の他、これら上下方向に延在する上下溝から細かく枝分かれした微小溝からなる。
このように微小溝を有する細溝40aを用いれば、微小溝を緻密に構成して細溝40aの表面積を増大させることにより、細溝40a部分にて比較的多量の液体を加熱器30近傍領域に導入させることができる。
よって、比較的多量の液体を加熱器30近傍領域に導入できる分だけ、加熱器30からの加熱により発生させることができる蒸気の量を多くすることができ、その分だけ、蒸気エンジン1の出力を大きくすることができる。
なお、細溝40や、細溝40aにおける上下溝のように規則的形状を有する溝部分は、例えば、機械加工の他、エッチング等の化学的処理などにより形成することができる。
また、細溝40aにおける微小溝のように不規則形状を有する溝部分は、例えば、エッチング処理によって上下方向延在管12の内壁面をランダムに粗くしたり、あるいは、電解液中に浸漬した上下方向延在管12の内壁面に金属析出を起こさせることで表面に不規則で微細な凸面を形成したりすることで、設けられる。
また、上記においては、加熱器30近傍における上下方向延在管12の内壁面まで液体の運搬を行なう構成として、上下方向延在管12の内壁面に細溝40を設けたが、細溝40が設けられる領域を、図4に示すように親水処理面43(内壁面流動促進部に相当)として構成しても良い。このようにしても上記の場合と略同様の効果が得られる。
なお、親水処理面43の具体的態様としては、例えば、下記のものが考えられる。
(1)CaF2、CaO、MgO、Al23、BeO、ZnO、TiO2、SiO2、SnO2、Cu2O、Na2S、B22、CaS、CuO等の親水性セラミックを用いたコーティング層として親水処理面43を形成する。なお、親水性セラミックのうちSiO2(ガラス)をコーティング層として用いる場合であって、上下方向延在管12の内壁面のうち少なくともこのコーティング層の被覆を行なう箇所をアルミ材からなるものとする場合には、例えば、コーティング層の被覆を行なう部分を水ガラスで煮ることによって、コーティング層(親水処理面43)の形成を行なうことができる。
(2)親水基である水酸基(−OH基)やカルボキシル基(−COOH基)などが結合した構成を設けることで親水処理面43とする。
(3)例えば、上下方向延在管12が銅材などの金属材からなる場合においては、上下方向延在管12の内壁面に焼結金属材や、発泡金属の拡散接合材を付着させることで親水処理面43とする。これらの付着金属材は上下方向延在管12と同一素材からなるものであることが望ましい。
(4)例えば、上下方向延在管12がカーボンの焼結材からなるものである場合には、上下方向延在管12の内壁面部分にシラノール基(−Si−O−H)を結合させることで親水処理面43とする。
但し、細溝40,40aや親水処理面43などとして実現される内壁面流動促進部を介して加熱器30近傍の箇所に液体の供給を速やかに行なえるようにするためには、例えば、ウイックとしての細溝40,40aの表面を親水処理面43として構成すると良い。
この場合には、加熱器30近傍の箇所への液体の供給が速やかにできる分だけ、蒸気エンジン1の応答性を高めることができる(換言すれば、管10内の液体に生じる自励振動変位の高周波数化を図ることができる。)。
また、一方、上記蒸気エンジン1においては、内壁面流動促進部を介しての加熱器30近傍の箇所への液体の供給を速やかに行なえるようにするため、管10内に封入する液体をエタノールなど水に比べて表面張力が小さい液体にしても良い。また、管10内に封入する液体を水にする場合においても、表面張力を小さくするため、この水に界面活性剤を入れておいても良い。
[実施例2]
次に、実施例2について図5〜図7を用いて説明する。
本実施例(実施例2)は、上記実施例1に示した態様の変形例といえるものであり、本実施例において、上記実施例1と同様な箇所の説明は、省略又は簡略化する。
図5(a)は、本実施例の蒸気エンジン1Aの概略構成を示す図であり、図5(b)は、図5(a)中の破線円部の部分分解拡大図である。また、図6(a)、(b)は、後述する水平延在管22の内壁面の構成を示す横断面図である。
本実施例が上記実施例1に示した態様と異なるのは、次に述べる点である。
すなわち、本実施例の蒸気エンジン1Aは、上下方向延在管12の上端に略水平方向に延びる内壁面24を有する水平延在管22を有する点で、実施例1の蒸気エンジン1と異なる。
本実施例では、水平延在管22は、略円形の横断面を有する円筒状部分である。そして、水平延在管22の外面部は、水平延在管22内の液体を水平延在管22を介して加熱して気化させるための加熱器30Aとして構成されている。
本実施例では、加熱器30Aで気化させる液体の量を最小限にして蒸気エンジン1Aの熱効率の向上を図るため、水平延在管22の上下方向の厚さT1を小さくしている。例えば、厚さT1は、上下方向延在管12の管径T2以下とされる(図5(a)参照)。
水平延在管22の内壁面24には、図6(a)に示すように、冷却器32側に通じる中心部開口26から放射状に外側に延びる複数の主溝27aと、これらの主溝27aから細かく枝分かれした微小溝27bとからなるウイックとしての細溝27(内壁面流動促進部に相当)が設けられている。細溝27は、管10内の液体による毛細管現象を生じさせるに足る構成のものである。細溝27における主溝27a(規則的形状部分)は、例えば、機械加工の他、エッチング等の化学的処理などにより形成することができる。一方、微小溝27b(不規則形状部分)は、例えば、エッチング処理によって水平延在管22の内壁面24をランダムに粗くしたり、あるいは、電解液中に浸漬した水平延在管22の内壁面24に金属析出を起こさせることで内壁面24に不規則で微細な凸面を形成したりすることで、設けられる。
なお、内壁面流動促進部としての細溝27は、水平延在管22の内壁面24上で毛細管現象により管10内の液体の運搬を行なうことが可能に構成されたものでさえあれば、図6(a)に示すものに限定されない。このような細溝は、例えば、図6(b)に示すように、規則的形状のみからなる細溝28として構成されたものであってもよい。細溝28は、中心部開口26から放射状に外側に延びる複数の線状溝28aと、中心部開口26の中心位置を中心とする半径の異なる複数の同心円溝28bと、からなる。細溝28をなす溝は、例えば、機械加工の他、エッチング等の化学的処理などにより形成することができる。
次に、管10内に充填される液体量につき言及した後、蒸気エンジン1Aの動作につき説明する。
本実施例の蒸気エンジン1Aは、水平延在管22の内部全体が液体で満たされることはないよう構成されている。
つまり、出力部100におけるピストン104が下死点に位置し、上下方向延在管12の内部における液体の液面が一番最高位となるとき、上下方向延在管12の内部における液体の液面は細溝27(28)の中心部開口26近傍の部分を液体で浸す程度の高さに至る。
但し、この状態においては、毛細管現象により、液体が、細溝27(28)を介して水平延在管22の内壁面24全体に広がる。
よって、本実施例の蒸気エンジン1Aでは、このように細溝27(28)を介して加熱器30A近傍の内壁面24に導入された液体が加熱器30Aからの加熱によって沸騰・気化される。その結果、気化に伴う流体の容積膨張により、管10内の流体に容積膨張が起きる。
具体的には、気化されてなる蒸気により、上下方向延在管12の内部における液体の液面は撥水処理面42以下の高さまで押し下げられ、その結果、上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面が上昇する。出力部100におけるピストン104と可動部106は、この液面上昇を両者に付与される圧力の上昇として受け、その結果、ピストン104と可動部106は上昇する。
次に、本実施例では、加熱器30Aによって気化されてなる蒸気が下方に延びていき、冷却器32の高さ位置に至る。
このように冷却器32の高さ位置に至った蒸気は、冷却器32の作用により冷却され液化される。その結果、液化に伴う流体の容積収縮により、容器10内の流体に容積収縮が起きる。
具体的には、蒸気の液化により、上下方向延在管12の内部における液体の液面は上昇し、その結果、上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面が下降する。出力部100におけるピストン104と可動部106は、この液面下降を両者に付与される圧力の減少として受け、その結果、ピストン104と可動部106は下降に転ずる。そして、ピストン104が下死点に達したときには、上下方向延在管12の内部における液体の液面は細溝27(28)の中心部開口26近傍の部分を液体で浸す程度の高さまで再び上昇する。
本実施例の蒸気エンジン1Aでは、上述した上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面変化(自励振動変位)を繰り返し発生させることで、ピストン104と可動部106の往復運動を継続させ、それにより、発電を行なう。
そして、本実施例によれば、実施例1の効果に加え、次の効果が得られる。
すなわち、本実施例では、実施例1において上下方向に延びる部分として構成された細溝40(40a)と異なり、細溝27(28)が略水平方向に延びる部分として構成されている。
従って、液体が重力の影響を受けない分だけ、細溝40(40a)の場合よりも、細溝27(28)の場合の方が、液体の運搬速度が速くなる。
よって、本実施例によれば、細溝27(28)によって、液体が加熱器30Aからの熱供給を受ける内壁面24上で高速に広がる分だけ、蒸気エンジン1Aの応答性の向上が可能となる。
なお、本実施例では、水平延在管22の内壁面24に細溝27(28)を設けたが、その代わりに、内壁面24を親水処理面29(内壁面流動促進部に相当)として構成しても良い(図7参照)。
このようにしても親水処理面29を介して内壁面24上での液体の広がり(液体導入)が促進されることから、細溝27(28)を設ける場合と略同様の効果が得られる。なお、親水処理面29の態様としては、実施例1の親水処理面43の場合と同様に、種々の態様が考えられる。
但し、水平延在管22の内壁面24への液体の供給をより速やかに行なえるようにすることで、蒸気エンジン1Aの応答性の更なる向上を図るためには、例えば、ウイックとしての細溝27(28)の表面を親水処理面29として構成するとよい。
[実施例3]
次に、実施例3について図8を用いて説明する。
本実施例(実施例3)は、上記実施例1に示した態様の変形例といえるものであり、本実施例において、上記実施例1と同様な箇所の説明は、省略又は簡略化する。
図8は、本実施例の蒸気エンジンにおける上下方向延在管12の上端部18近傍部分の内部構成を示す部分拡大図である。
本実施例が上記実施例1に示した態様と異なるのは、次に述べる点である。
すなわち、本実施例の蒸気エンジンは、細溝40(40a)の代わりに、上下方向延在管12の部分のうち、加熱器30が設けられた部分の内壁面(上端部A)と、加熱器30よりも下方の出力部100側の部分(下端部B)と、を連結する接続管50を有する点で、実施例1の蒸気エンジン1と異なる。接続管50の管内径は、管10内に封入された液体による毛細管現象が誘発される管内径となるよう構成されている。
次に、管10内に充填される液体量につき言及した後、本実施例の蒸気エンジンの動作につき説明する。
本実施例の蒸気エンジンは、上下方向延在管12の内部における加熱器30近傍の箇所が液体で満たされることはないよう構成されている。
つまり、出力部100におけるピストン104が下死点に位置し、上下方向延在管12の内部における液体の液面が一番最高位となるとき、上下方向延在管12の内部における液体の液面は接続管50の下端部Bを液体で浸す程度の高さに至る(図8参照)。
但し、この状態においては、毛細管現象により、液体が、接続管50を介して加熱器30近傍における上下方向延在管12の内壁面(上端部A)まで導入される。
よって、本実施例の蒸気エンジンでは、このように接続管50を介して加熱器30近傍に導入された液体が加熱器30からの加熱によって沸騰・気化される。その結果、気化に伴う流体の容積膨張により、管10内の流体に容積膨張が起きる。
具体的には、気化されてなる蒸気により、上下方向延在管12の内部における液体の液面は押し下げられ、その結果、上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面が上昇する。出力部100におけるピストン104と可動部106は、この液面上昇を両者に付与される圧力の上昇として受け、その結果、ピストン104と可動部106は上昇する。
次に、本実施例では、加熱器30によって気化されてなる蒸気が下方に延びていき、冷却器32の高さ位置に至る。
このように冷却器32の高さ位置に至った蒸気は、冷却器32の作用により冷却され液化される。その結果、液化に伴う流体の容積収縮により、容器10内の流体に容積収縮が起きる。
具体的には、蒸気の液化により、上下方向延在管12の内部における液体の液面は上昇し、その結果、上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面が下降する。出力部100におけるピストン104と可動部106は、この液面下降を両者に付与される圧力の減少として受け、その結果、ピストン104と可動部106は下降に転ずる。そして、ピストン104が下死点に達したときには、上下方向延在管12の内部における液体の液面は接続管50の下端部Bを液体で浸す程度の高さまで再び上昇する。
本実施例の蒸気エンジンでは、上述した上下方向延在管14の上端部20内における液体の液面変化(自励振動変位)を繰り返し発生させることで、ピストン104と可動部106の往復運動を継続させ、それにより、発電を行なう。
本実施例では、加熱器30から熱供給を受ける液体を、接続管50を介して加熱器30近傍における上下方向延在管12の内壁面(上端部A)に導入される液体だけとする。その結果、本実施例では、加熱器30近傍に導入される液体のほとんど全てを好適に気化させることができる。
すなわち、本実施例では、上下方向延在管12の内部における加熱器30近傍領域を液体で満たさない分だけ、加熱器30近傍における上下方向延在管12内中心部分に位置して熱損失を発生させてしまう液体、換言すれば、沸騰することなく冷却器32側に移動してしまう温められた液体、の量を効果的に低減している。
従って、本実施例の蒸気エンジンにおいても、このように熱損失を発生させる液体の量を低減した分だけ、従来に比べ、熱効率が好適に向上される。
なお、本実施例においては、接続管50に加え、上記実施例1で述べた細溝40(40a)や、撥水処理面42を設けても良いのは勿論である。
実施例1の蒸気エンジンの概略構成を示す図である。 実施例1における加熱器側の上下方向延在管の上端部近傍部分の内部構成を示す部分拡大図であり、(a)は、上下方向延在管内の液面が上昇した状態を示す図、(b)は、上下方向延在管内の液面が下降した状態を示す図である。 実施例1における細溝の他の態様を示す図である。 実施例1における細溝を親水処理面に置き換えた状態を示す図である。 (a)は、実施例2の蒸気エンジンの概略構成を示す図であり、(b)は、(a)中の破線円部の部分分解拡大図である。 (a)、(b)は、それぞれ、実施例2における水平延在管の内壁面の構成を示す横断面図である。 実施例2における細溝を親水処理面に置き換えた状態を示す図である。 実施例3の蒸気エンジンにおける加熱器側の上下方向延在管の上端部近傍部分の内部構成を示す部分拡大図である。 従来の蒸気エンジンの概略構成を示す図である。 図9中の破線円部の部分拡大図を用いて従来の蒸気エンジンで生じる問題を説明する説明図である。
符号の説明
1,1A…蒸気エンジン、10…管、12,14…上下方向延在管、16…左右方向延在管、18…上端部、20…上端部、22…水平延在管、24…内壁面、27,28…細溝、29…親水処理面、30,30A…加熱器、32…冷却器、40,40a…細溝、42…撥水処理面、43…親水処理面、50…接続管、100…出力部、102…シリンダ、104…ピストン、106…可動部、108…ばね材

Claims (10)

  1. 液体が封入された管と、
    前記管内の液体を加熱する加熱器と、
    前記加熱器における加熱により液体が気化してなる蒸気を冷却する冷却器と、
    前記加熱器における加熱による液体の気化と前記冷却器における冷却による蒸気の液化とにより前記管内の液体に発生する流動変位を機械的エネルギとして取り出す出力部と、
    を有する蒸気エンジンであって、
    前記加熱器は、前記管を介して前記管内の液体を加熱するよう構成され、
    前記加熱器、前記冷却器、前記出力部は、前記管がなす管路上に、前記加熱器、前記冷却器、前記出力部の順に配置され、
    前記管の内部における前記加熱器近傍の箇所が前記液体で満たされず、前記液体が前記管内における前記出力部側の領域に位置している状態において、前記管の内壁面のうち前記液体で満たされていない前記加熱器近傍の箇所に対する前記液体の導入を促進させる液体導入部を設けたことを特徴とする蒸気エンジン。
  2. 請求項1に記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記液体導入部は、
    前記加熱器近傍の箇所に至る前記管の内壁面に沿った前記液体の流れを促進させる内壁面流動促進部を前記管の内壁面に有することを特徴とする蒸気エンジン。
  3. 請求項2に記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記内壁面流動促進部は、
    前記管の内壁面に設けられたウイックを有することを特徴とする蒸気エンジン。
  4. 請求項2又は3に記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記内壁面流動促進部は、
    前記管の内壁面に設けられた親水処理面を有することを特徴とする蒸気エンジン。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記内壁面流動促進部は、
    前記管の内壁面のうち少なくとも前記加熱器近傍の箇所に設けられたことを特徴とする蒸気エンジン。
  6. 請求項2〜4のいずれかに記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記内壁面流動促進部は、
    前記管の内壁面のうち、前記加熱器近傍の箇所よりも前記出力部側の箇所から、前記加熱器近傍の箇所に至る部分、に設けられたことを特徴とする蒸気エンジン。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記管の内壁面のうち、前記内壁面流動促進部の前記出力部側の端部領域に、撥水処理面が設けられたことを特徴とする蒸気エンジン。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記液体導入部は、
    前記管の部分のうち、前記加熱器が設けられた部分の内壁面と、前記加熱器よりも前記出力部側の部分と、を連結する接続管を有し、
    該接続管の管内径は、前記管内に封入された液体による毛細管現象が誘発される管内径となるよう構成されたことを特徴とする蒸気エンジン。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記加熱器が設けられた前記管の部分における内壁面は略水平方向に延びている部分を有していることを特徴とする蒸気エンジン。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の蒸気エンジンにおいて、
    前記加熱器は、前記冷却器よりも上方に位置していることを特徴とする蒸気エンジン。
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