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JP4270928B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気入りラジアルタイヤ、なかでも、高速走行に供することができる、偏平率が60%以下のランフラットタイヤに関するものであり、とくには、タイヤ内圧の洩出後のいわゆるランフラット走行に当って、トレッド踏面の、幅方向の中央部分が路面から浮き上がるバックリング現象の発生を抑制することによって高い操縦安定性を確保し、また、すぐれたランフラット耐久性をもたらす技術を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤのサイドウォール部と対応する部分で、その内側に、横断面形状が三日月状をなす補強ゴムを配設したランフラットタイヤは、従来から各種のものが提案されている。このようなランフラットタイヤは、タイヤのパンク等によって充填空気圧の一部もしくは全部が洩出した場合に、主には、三日月状の補強ゴムによって輪荷重の一部もしくは全部を支持することにより、たとえば、タイヤの交換設備、修理設備等を具えるサービスステーションその他に到るまでの相当距離を、操舵の不具合や、タイヤの障害の進行等の不利を生じることなく、車両を安全に継続走行させることを目的として構成されている。
【0003】
ところで、かかるランフラットタイヤは、たとえばタイヤ内圧が大気圧まで低下した状態の下で、補強ゴムによる輪荷重の支持下でそれを転動させるランフラット走行において、タイヤサイド部の剛性が補強ゴムによって増加されることに起因して、その補強ゴムによって支持される輪荷重にあって、タイヤサイド部に沿ってトレッド部の両側に伝達されて、トレッド踏面をその幅方向に圧縮する輪荷重分力により、トレッド踏面、とくにはそれの幅方向中央部分が路面から大きく浮き上がるバックリング現象を生じることが知られている。
そして、このようなバックリング現象が発生した場合には、トレッド踏面の接地面積が減少し、接地圧が不均一となることにより、操縦安定性の低下が余儀なくされることになる。
【0004】
そこで、ランフラットタイヤのトレッド部へのバックリング現象の発生を抑えることを目的に、たとえば、特開平6−191243号公報には、ラジアルカーカスのクラウン部の外周に配設した、二層以上のベルト層からなるベルトと、ベルトの外周に沿って巻回した有機繊維コードよりなるキャップとの間に、タイヤ赤道面に対して実質上直交する多数のコード配列になる一層以上のタイエレメントをほぼベルト幅一杯に配設することで、トレッド部の、幅方向断面内での曲げ剛性を高める技術が、また、特開平8−244422号公報には、トレッド部に、それの全周にわたって連続する一本以上の円環状ビードコアを、ベルトの縮径変形下で埋設することで、そのトレッド部の円周方向剛性を高める技術がそれぞれ記載されており、特開2001−63324号公報には、ベルトの両側部と対応するそれぞれのショルダー域で、トレッド部に環状体を埋設することによって円周方向の剛性を高める技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−191243号
【特許文献2】
特開平8−244422号
【特許文献3】
特開2001−63324号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、タイヤ赤道面と直交する方向に延びるコードよりなるタイエレメントを、ベルトのほぼ全幅にわたって配設する従来技術にあっては、タイヤ重量の比較的大きな増加が不可避となる他、トレッド部の、幅方向断面内での曲げ剛性が、それのほぼ全幅にわたって大きくなるため、タイヤ内圧が洩出等する前のそれの正常状態でのタイヤの負荷転動に際するタイヤの振動が大きく、結果として、車両への振動乗り心地が低下するという問題があった。
また、トレッド部に、予め円環状に形成された一本以上のビードリングを埋設する従来技術にあっては、一般的なタイヤ成型設備によるタイヤの成型工程では、そのビードリングの、適正位置へのセットが極めて困難であるという問題があった。
【0007】
これに対し、それぞれのショルダー域で、トレッド部に環状体を埋設する従来技術では、タイヤの成型は、従来タイヤとほぼ同様にして容易に行うことができ、しかも、製品タイヤにおいて、それぞれの環状体が、トレッド幅方向に十分離隔して位置することから、タイヤ重量の増加を有効に抑制することができ、また、タイヤの振動を有利に緩和して、振動乗心地の低下を防止することができる。
【0008】
ところが、この従来技術の環状体は、トレッド部の踏面に形成される複数本の周方向溝のうち、その踏面の最も幅方向外側に位置するショルダー周方向溝よりもさらに幅方向外側に配設されていることから、たとえば、ランフラット走行時に、踏面をそれの幅方向に圧縮する向きに作用する、前述したような輪荷重分力に対し、環状体をもって、そのショルダー周方向溝の形成部分を有効に保護することができず、この結果として、ランフラット走行時に、トレッド部が、ショルダー周方向溝の溝底部分で、その溝を閉じる向きに大きく屈曲変形して路面から浮き上がるという変形形態のバックリングが発生するという問題があった。
【0009】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、タイヤ重量の増加を抑制し、タイヤの振動を有利に緩和することに加え、トレッド部の、とくには、ショルダー周方向溝の変形部分での大きな屈曲変形を有効に阻止することでバックリング現象の発生を抑制し、これにより、すぐれた操縦安定性およびランフラット耐久性を実現した空気入りラジアルタイヤを提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッド部と、その両側に連なる一対のサイドウォール部と、各サイドウォール部の内周側に連続するビード部とを具えるとともに、トレッド部の踏面に形成した複数本の周方向溝および、少なくともサイドウォール部と対応する部分でその内側に配設した、横断面形状が三日月状をなす補強ゴムを具え、二層以上のベルト層よりなるベルトを、タイヤ赤道面に対して15〜30°の角度で延びるベルト層コードを層間で相互に交差させて構成するとともに、各ベルト層の幅を、トレッド踏面幅の60%以上としたものであり、ベルトの外周側に、それの側部部分だけを覆うそれぞれの補強層を配設し、これらの各補強層の配設域を、ベルト側縁からトレッド部の側方へ、トレッド踏面幅の0.5〜7.5%離れた位置と、前記踏面の最も幅方向外側に位置するショルダー周方向溝の溝中心からトレッド部の中央側へ、トレッド踏面幅の5〜10%離れた位置との間にわたる範囲とするとともに、補強層を構成するコードの、タイヤ赤道面に対する交角を40〜90°としたものである。
【0011】
ここで、「トレッド踏面幅」とは、タイヤを適用リムに組付けて規定の空気圧を充填するとともに、そこに、最大負荷能力に相当する質量を負荷したときのトレッド部踏面の接地幅をいうものとする。なおここにおける「適用リム」は、以下の規格に規定されるリムをいい、「規定の空気圧」とは、以下の規格において、最大負荷能力に対応して規定される最高空気圧をいい、また、「最大負荷能力」とは、以下の規格でタイヤに負荷することが許容される最大の質量をいう。
【0012】
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって定められたものであり、たとえば、アメリカ合衆国では“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.のYEAR BOOKであり、欧州では“The European Tyre and Rim Technical OrganizationのSTANDARDS MANUAL”であり、日本では日本自動車タイヤ協会のJATMA YEAR BOOKである。
【0013】
先に述べたようなタイヤトレッド部のバックリングは、トレッド部踏面が路面に対して、三次元的に曲面状に浮き上がる現象であり、トレッド部は、トレッド幅方向および周方向のいずれの方向の断面内においても、路面から逃げる向きに撓み変形することにより発生する。
しかるに、このようなバックリングの主たる原因は、前述したように、タイヤ幅方向の断面内で、タイヤサイド部がトレッド部を、その踏面が幅方向に圧縮される向きに押圧し、その結果として、タイヤサイド部が接地域内へ潜り込む向きに変形することにあり、周方向断面内での踏面の浮き上がりは、その潜り込みの結果として生じる二次的な現象であると考えることができる。
【0014】
そこで、トレッド部の、タイヤ幅方向断面内での、図11に示すような撓み変形についてみるに、ラジアルカーカスCは、その変形の中立軸に近い引張側に、一方ベルトBは圧縮側に位置することになって、カーカスCの引張歪に比してベルトの圧縮歪がはるかに大きくなっている。
従って、バックリング現象の抑制のためには、中立軸の圧縮側で、トレッド部の幅方向圧縮力に対する剛性を高めることが有効である。
【0015】
そこでこのタイヤでは、スチールコードもしくはポリアミド繊維コードとすることが好ましいコードにて構成した補強層において、そのコードの、タイヤ赤道面に対する交角を40〜90°とすることで、補強層に、高い圧縮剛性の発現を可能とし、しかも、その補強層を、中立軸からより離れた、ベルトよりも踏面に近い側に配設することにより、トレッド部の、幅方向断面内での撓み抗力の一層の増加を担保する。
なおここで、補強コードの、タイヤ赤道面に対する交角が40°未満では、そのコードに、幅方向圧縮力に対する高い剛性を発揮させることが困難となる。
【0016】
このような補強層は、それをベルトの側部部分だけを覆うよう配設することで、タイヤ重量の増加を極力抑制し、また、振動乗心地の低下を防止しつつバックリングの発生を効率良く防止することができる。なおこの場合、各補強層の配設域は、ベルト側縁、いいかえれば、最も広幅のベルト層の側縁からトレッド部の側方へ、トレッド踏面幅の0.5〜7.5%離れた位置と、トレッド部踏面の最も幅方向外側に位置するショルダー周方向溝の溝中心からトレッド部の中央側へ、トレッド踏面幅の5〜10%、より好ましくは5〜8%離れた位置との間にわたる範囲とすることが必要であり、これによれば、タイヤサイド部の、接地面内への潜り込み現象の発生を、補強層の高い圧縮剛性をもって有効に阻止することができるとともに、とくには、ショルダー周方向溝の溝底部分での大きな屈曲変形を有利に阻止することができ、結果として、バックリングの発生を効果的に抑制することができる。
【0017】
すなわち、補強層のベルト側縁からの突出量が0.5%未満では、トレッド部への圧縮力の作用領域に対して補強領域が狭くなりすぎることになる。また、バックリングの発生時には、トレッドショルダ部の接地域が、ベルト側縁から、トレッド部側方にトレッド踏面幅の0.5〜5%の範囲となることから、幅方向剛性の増加のためには少なくとも0.5%の突出量が必要であり、それ未満では、路面からの浮き上がり域を補強することになるため、バックリング抑制効果が大きく低下することになる。一方それが7.5%を越えると、トレッドショルダ域の剛性が高くなりすぎて、偏摩耗、振動乗心地等の他の性能の低下が余儀なくされることになる。
また、補強層の、ショルダー周方向溝の溝中心に対するトレッド中央側への突出量が5%未満では、大きな圧縮力の作用領域に対して補強領域が狭くなりすぎ、それが10%を越えると、補強領域が広くなりすぎて、タイヤ重量の不要な増加が不可避となる。
【0018】
かくして、このタイヤによれば、タイヤの重量増加および振動乗心地の低下を十分に抑制しつつ、ランフラット走行時の、トレッド部へのバックリングの発生を有効に阻止してすぐれた操縦安定性を実現することができ、また、タイヤサイド部の屈曲変形を緩和してランフラット耐久性を大きく向上させることができる。
【0019】
かかるタイヤにおいてより好ましくは、トレッド部の中央域で、最外層ベルト層の外周側に、ベルト層コード中の最も高い引張り強度の1〜1.5倍の引張り強度を有するコードを実質上トレッド円周方向に延在させて形成した補助層を、トレッド踏面幅の7.5〜15%の幅で配設する。
【0020】
なおこの補助層に代えて、ベルト層コード中の最も大きい曲げ剛性の1〜1000倍の曲げ剛性を有するコードをタイヤ赤道面に対して25〜65°の角度で延在させて構成した他の補助層を、トレッド踏面幅の7.5〜15%の幅で配設することもできる。
【0021】
バックリングのさらなる抑制のためには、上述したように、トレッド部の幅方向断面内での撓み剛性を高めることに加えて、トレッド部の周方向剛性および、トレッド部の接地面内での周方向および幅方向の曲げ剛性を増加させて、トレッド部の、接地面からの逃げ変形に対する拘束力を高めることがより効果的であることが、解析により明らかになったので、タイヤ重量の幾分の増加は不可避となるものの、前者のタイヤでは、実質上トレッド周方向に延びるコードよりなる補助層をベルトの外周側に配設することで、トレッド部の中央域での周方向剛性の増加を担保している。
【0022】
ここで、補助層コードの引張り強度を、ベルト層コード中の最も高い引張り強度の1〜1.5倍とするのは、それが1倍未満では、補強層を設けることの実効に乏しく、一方、1.5倍を越えると、剛性段差が大きくなることに起因する走行中の発熱によって、補助層のセパレーションのおそれが生じる他、通常走行時の振動乗心地が低下するおそれが生じることによる。
また、補助層の配設域をトレッド踏面幅の7.5〜15%の幅とするのは、面内曲がり歪および周方向歪の大きい領域が、トレッド中央部の、7.5〜15%の範囲に分布することによるものである。
【0023】
この一方で、後者のタイヤでは、タイヤ赤道面に対して25〜65°の角度で延びるコードよりなる補助層を配設することで、トレッド部中央域での高い面内曲げ剛性を実現する。
【0024】
ここにおいて、コード角度を25〜65°とするのは、それが25°未満では幅方向曲げ剛性の低下が、また、65°を越えると周方向曲げ剛性の低下が大きくなって、幅方向と周方向とに必要な剛性を確保することが難しくなり、バックリングの抑制効果が小さくなることによる。
また、補助層コードの曲げ剛性を、ベルト層コード中の最も大きい曲げ剛性の1〜1000倍とするのは、タイヤの他の性能に及ぼす影響をできるだけ小さくしつつ、できるだけ大きな面内剛性を確保するためである。
【0025】
そしてさらに、補強層の外周側または、補強層および補助層のそれぞれの外周側に、実質上トレッド周方向に延びる有機繊維コードよりなり、ベルト幅とほぼ等しい幅を有するキャップ層を配設した場合には、タイヤの正常時の高速回転に対し、径成長によるトレッド部の迫出し変形を有効に阻止して、トレッド部の高速耐久性、トレッド部踏面の耐偏摩耗性、操縦安定性等を改善することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1は、この発明の実施形態を示す断面斜視図であり、図中1はトレッド部、2は、トレッド部1のそれぞれの側部に連続する一対のサイドウォール部を、そして3は、各サイドウォール部の半径方向内方に連なるビード部をそれぞれ示す。
【0027】
ここで、トレッド部1の踏面には、周方向に直線状にまたはジグザグ状に連続して延びる複数本、図では細溝も含めて五本の周方向溝4を設け、また、少なくともサイドウォール部と対応する部分で、その内側に、横断面形状がほぼ三日月状をなす補強ゴム5を配設する。
かかる補強ゴム5は、図に示すところからは明らかではないが、多くは、それぞれのビード部3に配設したビードコア6間でトロイダルに延びるラジアルカーカス7と、それの内周側のインナライナゴムとの間に配設される。
【0028】
そしてここでは、ラジアルカーカス7のクラウン部の外周側に、タイヤ赤道面に対して15〜30°の傾斜配列になる実質的に非伸長性のコード、たとえば、スチールコード、アラミド繊維コード等からなる少なくとも二層のベルト層8a,8bのコード交差積層構造になるベルト8を配設し、両ベルト層8a,8bの幅wの、トレッド踏面幅TWに対する比率を60%以上とする。
【0029】
またここでは、ベルト8のさらに外周側に、それの側部部分だけを覆う補強層9を配設する。ここで、タイヤ赤道面に対する交角を40〜90°とした、好ましくは、スチールコードもしくはアラミド繊維コードよりなる各補強層9の配設域を、ベルト側縁から、トレッド部1の側方へトレッド踏面幅TWの0.5〜7.5%離れた位置と、ショルダー周方向溝4の溝中心からトレッド部1の中央側へ、トレッド踏面幅TWの5〜10%離れた位置との間にわたる範囲とする。
【0030】
ところで、図中10は、補強層9の外周側に、ベルト幅とほぼ同等幅で配設したキャップ層を示し、このキャップ層10は、実質上トレッド周方向に延びる、たとえば熱収縮性の有機繊維コードで構成してなる。
【0031】
このように構成してなるタイヤによれば、前述したように、タイヤ重量の増加および、振動乗り心地の低下を抑制する一方で、ショルダー周方向溝の形成部分への大きな屈曲変形の発生を阻止してトレッド部のバックリングを有効に防止することができる。
なおここで、補強層コードを、スチールコードもしくはアラミド繊維コードとしたときは、トレッド部の圧縮剛性を大きく増加させて、バックリングの発生を一層有効に防止することができる。
【0032】
図2に示すタイヤは、図1について述べたところにおいて、各補強層9の、トレッド部中央側の側縁を、ショルダー周方向溝4の溝中心から大きく離隔させることで、その補強層側縁を、ショルダー周方向溝4に隣接するセカンド周方向溝4の溝底と対応する部分を丁度カバーする位置まで延在させたものであり、これによれば、セカンド周方向溝位置でのトレッド部1の屈曲変形をもまたその補強層9をもって有効に拘束することができるので、バックリング抑制効果を一層高めることができる。
【0033】
図3は他の実施形態を示す、図1と同様の図であり、これは、図1に示すところに加え、トレッド部1の中央域で、最外層ベルト層8bの外周側、すなわち、ベルト8の外周側に、ベルト層コードの最高の引張り強度に対し、1〜1.5倍の引張り強度を有するコードを実質上トレッド周方向に延在させて形成した補助層11を、トレッド踏面幅TWの7.5〜15%の幅で配設したものである。
このタイヤでは、補強層9の作用の下で、前述したと同様の作用効果をもたらすことができる他、補助層11をもって、トレッド部1の周方向剛性を高めることができるので、トレッド部1のバックリングをより有効に防止することができる。
【0034】
図4はさらに他の実施形態を示す図であり、これは、図1に示すところに加えて、トレッド部1の中央域で、ベルト8の外周側に、ベルト層コードの最大曲げ剛性に対し、1〜1000倍の曲げ剛性を有するコードを、タイヤ赤道面に対して25〜65°の角度で延在させた他の補助層12を、上述したと同様の範囲内に配設したものである。
このタイヤによれば、とくには補助層12によって、トレッド部1の接地面内での、周方向および幅方向の面内曲げ剛性が増加されるので、これによってもまた、トレッド部のバックリングを、図1に示すものより効果的に防止することができる。
【0035】
【実施例】
サイズが215/45 R17であり、通常は、230kPaの充填空気圧、4165Nの負荷条件で使用される乗用車用タイヤにおいて、ラジアルカーカスの内側に補強ゴムを配設し、そのラジアルカーカスを、1650d/3のレーヨン繊維コードよりなる1枚のカーカスプライで構成し、また、ベルトを、0.22φのスチールフィラメントを五本層状に撚り合わせたコードを並行に配置するとともに、タイヤ赤道面に対するコード角度を24°とした二層のコード交差ベルト層により構成し、さらに、ベルトの外周側に、アラミド繊維コードを実質上トレッド周方向に延在させてなる二層のキャップ層をベルト幅一杯に配設した、図5に示す補強構造を基本構造とし、スチールコードからなる補強層の配設態様を種々に変化させた実施例タイヤおよび比較例タイヤのそれぞれにつき、トレッド部のバックリング量、ランフラット耐久およびコーナリングパワーを求めたところ表1に示す結果を得た。
なお表1には、各タイヤの諸元をも併せて示す。
【0036】
ところで、バックリング量は、荷重直下部での、トレッドセンタ部の路面からの浮き上がり量を、CTスキャンによって測定することにより評価し、
また、ランフラット耐久は、FR車の後輪のバルブコアを抜き取って、ランフラット走行状態を作り出し、90km/hの速度で走行中に、車室内の振動加速度計をもって上下方向の加速度を測定し、振れ幅が閾値を越えるに至るまで実車走行を行なって走行距離を評価し、
そして、コーナリングパワーは、フラットベルト試験機を用い、1°のスリップアングルを付与したときの、60km/hでの横力を測定することにより評価した。
【0037】
【表1】
Figure 0004270928
【0038】
上記表1によれば、実施例タイヤ1および2と、比較例タイヤ1との間には性能上の差がほとんど無いので、これらの実施例タイヤは、タイヤの重量の点でとくにすぐれたものであることが解る。この一方で、補強層の幅の狭い比較例タイヤ3および、補強層の配設域の異なる比較例タイヤ4は、バックリング量およびランフラット耐久で著しく劣ったものとなることが解る。
また、補助層を配設した実施例タイヤ3〜5は、バックリング量の点でとくにすぐれた効果を示すことが明らかである。
【0039】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、タイヤ重量の増加および振動乗心地の低下を抑制しつつ、トレッド部のバックリングを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態を示す断面斜視図である。
【図2】 図1の変形例を示す図である。
【図3】 この発明の他の実施形態を示す断面斜視図である。
【図4】 この発明のさらに他の実施形態を示す断面斜視図である。
【図5】 基本構造タイヤを示す断面斜視図である。
【図6】 実施例タイヤ1、2および比較例タイヤ2の構造を示す断面斜視図である。
【図7】 実施例タイヤ3、4の構造を示す断面斜視図である。
【図8】 実施例タイヤ8の構造を示す断面斜視図である。
【図9】 比較例タイヤ3の構造を示す断面斜視図である。
【図10】 比較例タイヤ4の構造を示す断面斜視図である。
【図11】 バックリングの発生態様をトレッド半部について示す断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 周方向溝
5 補強ゴム
6 ビードコア
7 ラジアルカーカス
8 ベルト
8a,8b ベルト層
9 補強層
10 キャップ層
11,12 補助層
TW トレッド踏面幅
w ベルト層幅

Claims (5)

  1. トレッド部、サイドウォール部およびビード部を具えるとともに、トレッド部の踏面に形成した複数本の周方向溝および、少なくともサイドウォール部と対応する部分でその内側に配設した、横断面形状が三日月状をなす補強ゴムを具え、また、タイヤ赤道面に対して15〜30°の傾斜配列をなすベルト層コードからなる少なくとも二層のコード交差積層になるベルトを具え、各ベルト層の幅を、トレッド踏面幅の60%以上とした空気入りラジアルタイヤであって、
    ベルトの外周側に、それの側部部分だけを覆うそれぞれの補強層を配設し、これらの各補強層の配設域を、ベルト側縁からトレッド部の側方へ、トレッド踏面幅の0.5〜7.5%離れた位置と、前記踏面の最も幅方向外側に位置するショルダー周方向溝の溝中心からトレッド部の中央側へ、トレッド踏面幅の5〜10%離れた位置との間にわたる範囲とするとともに、補強層を構成するコードの、タイヤ赤道面に対する交角を40〜90°としてなる空気入りラジアルタイヤ。
  2. 補強層を構成するコードを、スチールコードもしくはアラミド繊維コードとしてなる請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. トレッド部の中央域で、最外層ベルト層の外周側に、ベルト層コード中の最も高い引張り強度の1〜1.5倍の引張り強度を有するコードを実質上トレッド円周方向に延在させて形成した補助層を、トレッド踏面幅の7.5〜15%の幅で配設してなる請求項1もしくは2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. トレッド部の中央域で、最外層ベルト層の外周側に、ベルト層コード中の最も大きい曲げ剛性の1〜1000倍の曲げ剛性を有するコードをタイヤ赤道面に対して25〜65°の角度で延在させて構成した補助層を、トレッド踏面幅の7.5〜15%の幅で配設してなる請求項1もしくは2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 補強層の外周側または、補強層および補助層のそれぞれの外周側に、実質上トレッド円周方向に延びる有機繊維コードよりなり、ベルト幅とほぼ同等の幅を有するキャップ層を配設してなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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