JP4269648B2 - 電解質組成物および電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子化合物と添加剤と電解質塩化合物とを含んでなる電解質組成物に関し、特に、電池、キャパシター、センサー等の電気化学デバイス用材料として好適な電解質組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電池、キャパシター、センサーなどの電気化学デバイスを構成する電解質は、イオン伝導性の点から溶液またはペースト状のものが用いられているが、液漏れによる機器の損傷の恐れがあること、また電解液を含浸させるセパレーターを必要とするので、デバイスの超小型化、薄型化に限界があることなどの問題点が指摘されている。これに対し無機結晶性物質、無機ガラス、有機高分子系物質などの固体電解質が提案されている。有機高分子系物質は一般に加工性、成形性に優れ、得られる固体電解質が柔軟性、曲げ加工性を有し、応用されるデバイスの設計の自由度が高くなることなどの点からその進展が期待されている。しかしながら、イオン伝導性の面では他の材質より劣っているのが現状である。
【0003】
エチレンオキシドの単独重合体とアルカリ金属イオン系におけるイオン伝導性の発見より、高分子固体電解質の研究は活発に行われるようになった。その結果、ポリマーマトリックスとしては、その運動性の高さ及び金属カチオンの溶解性の点でポリエチレンオキシドなどのポリエーテルが最も有望と考えられている。イオンの移動はポリマーの結晶部ではなくアモルファス部分で起こることが予測されている。それ以来、ポリエチレンオキシドの結晶性を低下させるために、種々のエポキシドとの共重合が行われてきている。特公昭62-249361号公報には、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる固体電解質、米国特許USP 4,818,644号公報にはエチレンオキシドとメチルグリシジルエーテルとの共重合体からなる固体電解質が示されている。しかしながら、いずれもイオン伝導度は必ずしも満足のいくものではなかった。
【0004】
また、ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル−エチレンオキシド共重合体に特定のアルカリ金属塩を含有させて高分子固体電解質に応用する試みが本出願人を含む特開平9−324114号公報に提案されているが、実用的に充分な伝導度の値は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的特性およびイオン伝導性が優れた電解質組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)架橋可能な官能基を有していても良いエーテル結合を有するポリマーと、(2)エチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物を含む添加剤と、(3)電解質塩化合物とを含んでなる電解質組成物であって、
エーテル結合を有するポリマー(1)が、
(1−1)下記式(i)で表される構成単位と、下記式(ii)で表される構成単位とを有してなる共重合体、および/または
(1−2)構成単位(i)、構成単位(ii)、および下記式(iii)で表される架橋可能な構成単位を有してなる共重合体であり、
エチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物を含む添加剤(2)が、下記式(iv)、(v)および(vi)で表されるエチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物からなる群から選択されることを特徴とする電解質組成物を提供する。
【0007】
【化7】
【化8】
[式中、R1はアルキル基または -CH2-O-(-CH2-CH2-O-)n-CH3または-CH2-O-CH[(-CH2-CH2-O-)n-CH3]2を表し、nは0〜12の整数である。]
【化9】
[式中、R2 は反応性官能基を有する官能基を表す。]
【化10】
[式中、A11、A12、A13およびA14は各々異なってよく、-(-CH2)p-(但し、pは0〜3の整数。)を表し、X11、X12、X13およびX14は各々異なってよく、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を表し、a、b、cおよびdは1〜50の整数である。]
【化11】
[式中、A21、A22およびA23は各々異なってよく、-(-CH2)p-(但し、pは0〜3の整数。)を表し、X21、X22、X23およびX24は各々異なってよく、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を表し、h、iおよびjは1〜50の整数である。]
【化12】
[式中、A31およびA32は各々異なってよく、-(-CH2)p-(但し、pは0〜3の整数)を表し、X31、X32、X33、X34、X35およびX36は各々異なってよく、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を表し、sおよびuは1〜50の整数、tは0〜10の整数、t<sかつt<uである。]
【0008】
さらに、本発明は、(1)エーテル結合を有するポリマーを架橋した架橋ポリマー、(2)エチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物を含む添加剤、ならびに(3)電解質塩化合物を含んでなる電解質組成物を提供する。
加えて、本発明は、前記電解質組成物を用いた電池をも提供する。
【0009】
電解質組成物の架橋体は高温での形状安定性が必要な時に用いられる。
本発明の電解質組成物を用いると、内部抵抗の小さい高性能の電池が得られることも見いだした。本発明の電解質組成物は、ゲル状であってよい。ここで、ゲルとは溶媒(例えば、水および/または有機溶媒など)によって膨潤したポリマーである。
【0010】
エーテル結合を有するポリマー(1)は、
(1−1)下記式(i)で表される構成単位と、下記式(ii)で表される構成単位とを有してなる共重合体、あるいは
(1−2)構成単位(i)、構成単位(ii)、および下記式(iii)で表される架橋可能な構成単位を有してなる共重合体であることが好ましい。
【0011】
【化13】
【化14】
[式中、R1はアルキル基(例えばC1〜C20、好ましくはC1〜C10さらに好ましくはC1〜C3のアルキル基)または -CH2-O-(-CH2-CH2-O-)n-CH3または-CH2-O-CH[(-CH2-CH2-O-)n-CH3]2を表し、nは0≦n≦12 の整数である。]
【0012】
【化15】
[式中、R2 は反応性官能基を有する官能基を表す。]
【0013】
ポリマー(1)における構成単位(i)を構成する単量体は、エチレンオキシドである。
【0014】
ポリマー(1)における構成単位(ii)を構成するオキシラン化合物には、置換基を有していてもよいアルキレンオキサイド、グリシジルエーテル化合物などがある。具体的には、プロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、1,2-エポキシヘキサンなどのオキシラン化合物、エチレングリコールメチルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、1,3-ビス(2-メトキシエトキシ)プロパン2-グリシジルエーテル、1,3-ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]プロパン2-グリシジルエーテルが挙げられる。
【0015】
ポリマー(1)における架橋可能な構成単位(iii)を形成するオキシラン化合物の反応性官能基は、(a)反応性ケイ素基、(b)メチルエポキシ基、(c)エチレン性不飽和基、または(d)ハロゲン原子である。
【0016】
反応性ケイ素基(a)を有するオキシラン化合物には、
2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4-グリシドキシブチルメチルトリメトキシシラン、3-(1,2−エポキシ)プロピルトリメトキシシラン、4-(1,2−エポキシ)ブチルトリメトキシシラン、5-(1,2−エポキシ)ペンチルトリメトキシシラン、1-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中で、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが特に好ましい。
【0017】
メチルエポキシ基(b)を有するオキシラン化合物には、
2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテル、エチレングリコール-2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテル、及びジエチレングリコール-2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテル、2-メチル-1,2,3,4-ジエポキシブタン、2-メチル-1,2,4,5-ジエポキシペンタン、2-メチル-1,2,5,6-ジエポキシヘキサン、ヒドロキノン-2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテル、カテコール-2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0018】
その中でも、特に2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテル、及びエチレングリコール-2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテルが好ましい。
【0019】
エチレン性不飽和基(c)を有するオキシラン化合物には、
アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α-テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカジエン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5-シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル-4-ヘキセノエートが用いられる。
好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが挙げられる。
【0020】
ハロゲン原子(d)を有するオキシラン化合物には、
エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピクロロヒドリンなどが挙げられる。
【0021】
エーテル結合を有するポリマーの重合法は、エチレンオキサイド部分の開環反応により多元共重合体を得る重合法であり、本出願人の特開昭63−154736号公報および特開昭62−169823号公報に記載の方法と同様にして行われる。
【0022】
重合反応は次のようして行える。開環重合用触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などを用いて、各モノマーを溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10〜80℃、撹拌下で反応させることによってポリエーテル共重合体が得られる。なかでも、重合度、あるいは作られる共重合体の性質などの点から、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系が特に好ましい。重合反応において反応性官能基は反応せず、反応性官能基を有するポリマー(1)が得られる。
【0023】
本発明の電解質組成に使われるエーテル結合を有するポリマーに対して、構成単位(i)を構成するエチレンオキシドの割合は10〜95重量部、好ましくは20〜90重量部、構成単位(ii)を構成するオキシラン化合物の量は90〜5重量部、好ましくは80〜10重量部、架橋可能な構成単位(iii)を構成するオキシラン化合物は0〜30重量部、好ましくは0〜20重量部である。
【0024】
架橋可能な構成単位(iii)を構成するオキシラン化合物の量が30重量部以下である場合に、架橋されたポリマーは、イオン伝導度が良好である。
【0025】
構成単位(i)を構成するエチレンオキシドの量が10重量部以上である場合に、低温でも電解質塩化合物が溶けやすいために、イオン伝導度が高い。
一般にガラス転移温度を下げることによりイオン伝導性が向上することは知られているが、本発明の電解質組成物の場合はイオン伝導性の向上効果は格段に大きいことがわかった。
【0026】
電解質組成物に使われるポリマーの分子量は、良好な加工性、成形性、機械的強度、柔軟性を得るために、重量平均分子量104〜107の範囲内、好ましくは105〜5×106の範囲内のものが適する。
【0027】
反応性官能基が反応性ケイ素基(a)であるポリマー(1)の架橋方法としては、反応性ケイ素基と水との反応によって架橋できる。反応性を高めるには、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウム等のアルミニウム化合物などの有機金属化合物、あるいは、ブチルアミン、オクチルアミン等のアミン系化合物などを触媒として用いても良い。
【0028】
反応性官能基がメチルエポキシ基(b)であるポリマー(1)の架橋方法においてはポリアミン類、酸無水物類などが用いられる。
ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。ポリアミンの添加量はポリアミンの種類により異なるが、通常、可塑剤(即ち、添加剤(2))を除いた電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。
【0029】
酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。酸無水物類の添加量は酸無水物の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いた電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。これらの架橋には促進剤を用いても良く、ポリアミン類の架橋反応にはフェノール、クレゾール、レゾルシンなどがあり、酸無水物類の架橋反応にはベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノエチル)フェノール、ジメチルアニリンなどがある。促進剤の添加量は促進剤により異なるが、通常、架橋剤100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。
【0030】
反応性官能基がエチレン性不飽和基(c)であるポリマー(1)の架橋方法としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が用いられる。更には、水素化ケイ素を有する架橋剤を用いる事もできる。
【0031】
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は有機過酸化物の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いた電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲内である。
【0032】
アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2'-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。アゾ化合物の添加量はアゾ化合物の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いた電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲内である。
【0033】
紫外線等の活性エネルギー線照射による架橋においては、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、ケイ皮酸グリシジルエーテルが特に好ましい。また、増感助剤としてジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、フェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸等のアジド類等を任意に用いることができる。
【0034】
架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタリクレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスフェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。
【0035】
エチレン性不飽和基(c)を架橋する水素化ケイ素を有する化合物としては、少なくとも2個の水素化ケイ素を有する化合物が用いられる。特にポリシロキサン化合物またはポリシラン化合物が良い。
ポリシロキサン化合物としては(a−1)式もしくは(a−2)式で表される鎖状ポリシロキサン化合物、又は(a−3)式で表される環状ポリシロキサン化合物がある。
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
但し、(a−1)式〜(a−3)式に於いてR10, R11, R12, R13, R14,R15, R16, R17 および R18は各々異なってよく、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基またはアルコキシ基を表し、n≧2 、 m≧0 、2≦m+n≦300を表す(mおよびnは整数)。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの低級アルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの低級アルコキシ基が好ましい。
【0040】
ポリシラン化合物としては(b−1)式で表される鎖状ポリシラン化合物が用いられる。
【化19】
【0041】
但し、(b−1)式に於いてR19, R20, R21, R22及びR23は各々異なってよく、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基またはアルコキシ基を表し、n≧2 、 m≧0 、2≦m+n≦100を表す(mおよびnは整数)。
【0042】
ヒドロシリル化反応の触媒の例としては、パラジウム、白金などの遷移金属あるいはそれらの化合物、錯体が挙げられる。また、過酸化物、アミン、ホスフィンも用いられる。最も一般的な触媒はジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、塩化白金酸が挙げられる。
【0043】
反応性官能基がハロゲン原子(d)であるエーテル結合を有するポリマー(1)の架橋方法としては、ポリアミン類、メルカプトイミダゾリン類、メルカプトピリミジン類、チオウレア類、ポリメルカプタン類等の架橋剤が用いられる。ポリアミン類としては、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。メルカプトイミダゾリン類としては2-メルカプトイミダゾリン、4-メチル-2-メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。メルカプトピリミジン類としては2-メルカプトピリミジン、4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン、等が挙げられる。チオウレア類としてはエチレンチオウレア、ジブチルチオウレアなどが挙げられる。ポリメルカプタン類としては2-ジブチルアミノ-4,6-ジメチルカプト-s-トリアジン、2-フェニルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、等が挙げられる。架橋剤の添加量は架橋剤の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いた電解質組成物100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲である。
【0044】
また、高分子固体電解質に更に受酸剤となる金属化合物を添加することは、ハロゲン含有ポリマーの熱安定性の見地から有効である。このような受酸剤となる金属酸化物としては、周期律表第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表VIa族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等がある。具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、鉛丹、ステアリン酸錫、等を挙げることができる。上記酸受酸剤となる金属化合物の配合量は種類により異なるが、通常、可塑剤を除いた電解質組成物100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲である。
【0045】
有機ケイ素化合物を含む添加剤(2)は、可塑剤として機能する。電解質組成物にエチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物を含む添加剤(2)を入れると、ポリマーの結晶化が抑制されガラス転移温度が低下し、低温でも無定形相が多く形成されるためにイオン伝導度が良くなる。
【0046】
有機ケイ素化合物は、ケイ素−酸素結合(シロキサン結合)を有しない化合物またはケイ素−酸素結合(シロキサン結合)を有する化合物であってよい。シロキサン結合を有しない有機ケイ素化合物においては、ケイ素原子の数は1つであってよい。シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物においては、ケイ素原子の数は1つ、または2〜11であってよい。有機ケイ素化合物は、少なくとも4つの分子末端を有するが、全ての分子末端がメチル基であってよい。
【0047】
エチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物の例は、下記式(iv)、(v)および(vi)で表されるエチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物であることが好ましい。
【化20】
[式中、A11、A12、A13およびA14は各々異なって良く、-(-CH2)p-(但し、pは0〜3の整数。)を表し、X11、X12、X13およびX14は各々異なって良く、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を表し、a、b、cおよびdは1〜50、好ましくは1〜10の整数である。]
【0048】
【化21】
[式中、A21、A22およびA23は各々異なって良く、-(-CH2)p-(但し、pは0〜3の整数。)を表し、X21、X22、X23およびX24は各々異なって良く、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を表し、h、iおよびjは1〜50、好ましくは1〜10の整数である。]
【0049】
【化22】
[式中、A31およびA32は各々異なって良く、-(-CH2)p-(但し、pは0〜3の整数)を表し、X31、X32、X33、X34、X35およびX36は各々異なって良く、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基を表し、sおよびuは1〜50、好ましくは1〜10の整数、tは0〜10、好ましくは0〜5の整数、t<sかつt<uである。]
【0050】
添加剤(2)の配合割合は任意であるが、ポリマー(1)100重量部に対して、5〜2,000重量部、好ましくは20〜1,000重量部である。
【0051】
本発明において用いられる電解質塩化合物(3)は、ポリマー(1)の未架橋体または架橋体、および可塑剤(2)からなる混合物に可溶であることが好ましい。本発明においては、以下に挙げる塩化合物が好ましく用いられる。
【0052】
即ち、金属陽イオン、アンモニウムイオン、アミジニウムイオン、及びグアニジウムイオンから選ばれた陽イオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF6 −、PF6 −、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7,7,8,8-テトラシアノ-p-キノジメタンイオン、X1SO3 −、[(X1SO2)(X2SO2)N]−、[(X1SO2)(X2SO2)(X3SO2)C]−、及び[(X1SO2)(X2SO2)YC]− から選ばれた陰イオンとからなる化合物が挙げられる。但し、X1、X2、X3及びYは電子吸引性基である。好ましくはX1、X2、及びX3は各々独立して炭素数が1から6迄のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基又はシアノ基である。X1、X2及びX3は各々同一であっても、異なっていてもよい。金属陽イオンとしては遷移金属の陽イオンを用いる事ができる。好ましくはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びAg金属から選ばれた金属の陽イオンが用いられる。又、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca及びBa金属から選ばれた金属の陽イオンを用いても好ましい結果が得られる。電解質塩化合物として前述の化合物を2種類以上併用することは自由である。Liイオン電池においては電解質塩化合物としては、Li塩化合物が好ましい。
【0053】
本発明において、電解質塩化合物(3)の使用量は、ポリマー(1)が100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜20重部の範囲がよい。この値が50重量部以下にあると、加工性、成形性及び得られた固体電解質の機械的強度や柔軟性が高く、さらにイオン伝導性も高い。
【0054】
電解質組成物を使用する際に難燃性が必要な場合には、難燃剤を使用できる。難燃剤として、臭素化エポキシ化合物、テトラブロムビスフェノールA、塩素化パラフィン等のハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル、ポリリン酸塩、及びホウ酸亜鉛から選択して有効量を添加する。
【0055】
本発明の電解質組成物の製造方法は特に制約はないが、通常夫々の成分を機械的に混合すればよい。架橋を必要とするポリマー(1)の場合には、それぞれの成分を機械的に混合後、架橋させるなどの方法によって製造されるが、架橋後に可塑剤に長時間浸漬して含浸させても良い。機械的に混合する手段としては、各種ニーダー類、オープンロール、押出機などを任意に使用できる。
【0056】
反応性官能基が反応性ケイ素基である場合に、架橋反応に用いられる水の量は、雰囲気中の湿気によっても容易に起こるので特に制限されない。短時間冷水又は温水浴に通すか、又はスチーム雰囲気にさらす事で架橋する事もできる。
反応性官能基がエチレン性不飽和基である場合に、ラジカル開始剤を利用すると、10℃〜200℃の温度条件下1分〜20時間で架橋反応が終了する。また、紫外線等のエネルギー線を利用する場合、一般には増感剤が用いられる。通常、10℃〜150℃の温度条件下0.1秒〜1時間で架橋反応が終了する。水素化ケイ素を有する架橋剤では10℃〜180℃の温度条件下10分〜10時間で架橋反応が終了する。
【0057】
電解質塩化合物(3)および添加剤(2)をポリマー(1)(即ち、ポリエーテル共重合体)に混合する方法は特に制約されないが、電解質塩化合物および添加剤を含む有機溶媒にポリエーテル共重合体を長時間浸漬して含浸させる方法、電解質塩化合物および添加剤をポリエーテル共重合体へ機械的に混合させる方法、ポリエーテル共重合体および電解質塩化合物を添加剤に溶かして混合させる方法あるいはポリエーテル共重合体を一度他の有機溶媒に溶かした後、添加剤を混合させる方法などがある。有機溶媒を使用して製造する場合は、各種の極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が単独、或いは混合して用いられる。
【0058】
本発明で示された電解質組成物は機械的強度と柔軟性に優れており、その性質を利用して大面積薄膜形状の固体電解質とすることが容易に得られる。例えば本発明の電解質組成物を用いた電池の作製が可能である。この場合、正極材料としてはリチウム-マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム、五酸化バナジウム、オリビン型リン酸鉄、ポリアセチレン、ポリピレン、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリピロール、ポリフラン、ポリアズレン等がある。負極材料としてはリチウムがグラファイトあるいはカーボンの層間に吸蔵された層間化合物、リチウム金属、リチウム-鉛合金等がある。また高い電気伝導性を利用してアルカリ金属イオン、Cuイオン、Caイオン、及びMgイオン等の陽イオンのイオン電極の隔膜としての利用も考えられる。本発明の電解質組成物は特に電池、キャパシター、センサー等の電気化学デバイス用材料として好適である。
【0059】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0060】
ポリエーテル共重合体のモノマー換算組成は1H NMRスペクトルにより求めた。ポリエーテル共重合体の分子量測定にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定を行い、標準ポリスチレン換算により分子量を算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定は株式会社島津製作所の測定装置RID−6A、昭和電工(株)製カラムのショウデックスKD−807、KD−806、KD−806M及びKD−803、及び溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて60℃で行った。ガラス転移温度、融解熱量は理学電気(株)製示差走査熱量計DSC8230Bを用い、窒素雰囲気中、温度範囲−100〜80℃、昇温速度10℃/minで測定した。導電率σを測定するためにサンプルフィルムを事前に30℃、12時間真空乾燥を行った。導電率の測定は10℃で行い、フィルムをSUS製の電極ではさみ、電圧0.5V、周波数範囲5Hz〜1MHzの交流法を用い、複素インピーダンス法により算出した。
【0061】
合成例(触媒の製造)
撹拌機、温度計及び蒸留装置を備えた3つ口フラスコにトリブチル錫クロライド10g及びトリブチルホスフェート35gを入れ、窒素気流下に撹拌しながら250℃で20分間加熱して留出物を留去させ残留物として固体状の縮合物質を得た。以後これを重合用触媒として使用した。
【0062】
重合例1(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した下記式(11)のオキシラン化合物(EM-3) 140g及び溶媒としてn−ヘキサン 1,000g を仕込み、エチレンオキシド 70g はEM-3の重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー 200gを得た。この共重合体のガラス転移温度は -73℃、重量平均分子量は 140万、融解熱量は 3J/gであった。1H NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド 30wt%、EM-3 70wt%であった。
【化23】
【0063】
重合例2(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した下記式(12)のオキシラン化合物(GM) 100g、アリルグリシジルエーテル 10g及び溶媒としてn−ヘキサン 1,000g を仕込み、エチレンオキシド 120g はGMの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー 205g を得た。この共重合体のガラス転移温度は -74℃、重量平均分子量は 115万、融解熱量は 3J/g であった。1H NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド 53wt%、GM 43wt%、アリルグリシジルエーテル 4wt%であった。
【化24】
【0064】
重合例3(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した下記式(13)のオキシラン化合物(EM-2) 110g、メタクリル酸グリシジル 18g 及び溶媒としてn−ヘキサン 1,000g を仕込み、エチレンオキシド 90g はEM-2の重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー200gを得た。この共重合体のガラス転移温度は -71℃、重量平均分子量は 105万、融解熱量は 5J/g であった。1H NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド 43wt%、EM-2 50wt%、メタクリル酸グリシジル 7wt%であった。
【化25】
【0065】
実施例1
重合例1で得られたポリマー1g、下記式(14)のシロキサン結合を有する添加剤 0.5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 0.7gをアセトニトリル 50g 中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。 その後、30℃で12時間減圧乾燥し、膜厚 50μm のフィルムを得た。イオン伝導度は 4.3 x 10−4 S/cmであった。
【化26】
【0066】
実施例2
重合例2で得られたポリマー1g、下記式(15)のシロキサン結合を有する添加剤 1g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 0.7g、開始剤として過酸化ベンゾイル 0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート 0.3gをアセトニトリル 50g 中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で 12時間減圧乾燥し、更に、100℃、2時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、膜厚 50μm の架橋フィルムを得た。イオン伝導度は2.1 x 10−4 S/cmであった。
【化27】
【0067】
実施例3
重合例3で得られたポリマー1g、下記式(16)のシロキサン結合を有する添加剤 0.5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 0.6g、開始剤として過酸化ベンゾイル 0.015gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、2時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、膜厚 50μmの架橋フィルムを得た。イオン伝導度は8.2 x 10−5S/cmであった。
【化28】
(Mw:1,300 m/n=2)
【0068】
実施例4
重量平均分子量が70万であるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/メタクリル酸グリシジル3元共重合体(エチレンオキシド 80wt%, プロピレンオキシド 15wt%, メタクリル酸グリシジル5wt%) 1g、下記式(17)のシロキサン結合を有する添加剤 2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 0.7g、開始剤として過酸化ベンゾイル 0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート 0.3gをアセトニトリル 50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、2時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μmの架橋フィルムを得た。イオン伝導度は1.0 x 10−4 S/cmであった。
【化29】
【0069】
比較例1
シロキサン結合を有する添加剤を無添加にした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの成形を行った。イオン伝導度は1.2 x 10−5 S/cmであった。
【0070】
比較例2
シロキサン結合を有する添加剤を無添加にした以外は実施例2と同様の方法で架橋フィルムの成形を行った。イオン伝導度は2.1 x 10−5S/cmであった。
【0071】
比較例3
シロキサン結合を有する添加剤を無添加にした以外は実施例3と同様の方法で架橋フィルムの成形を行った。イオン伝導度は1.6 x 10−5 S/cmであった。
【0072】
比較例4
シロキサン結合を有する添加剤を無添加にした以外は実施例4と同様の方法で架橋フィルムの成形を行った。イオン伝導度は6.2 x 10−6 S/cmであった。
【0073】
実施例5
電解質として実施例2で得られた高分子固体電解質、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用いて二次電池を構成した。高分子固体電解質のサイズは 10 mm x 10 mm x 0.05 mmである。リチウム箔のサイズは 10 mm x 10 mm x 0.1 mmである。コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後900℃で5時間焼成する事により調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム85重量部に対してアセチレンブラック5重量部と重合例2で得られたポリマー10重量部、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)5重量部を加えロールで混合した後、30 MPaの圧力で 10 mm x 10 mm x 0.2 mm にプレス成形して電池の正極とした。
【0074】
実施例2で得られた高分子固体電解質をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように1 MPaの圧力をかけながら25℃で電池の充放電特性を調べた。初期の端子電圧 3.8 Vでの放電電流は 0.1 mA/cm2であり、0.1 mA/cm2で充電可能であった。本実施例の電池は容易に薄いものに作製できるので、軽量でしかも大容量の電池になる。
【0075】
実施例6
電解質として実施例3で得られた高分子固体電解質、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用いて二次電池を構成した。高分子固体電解質のサイズは 10 mm x 10 mm x 0.05 mmである。リチウム箔のサイズは 10 mm x 10 mm x 0.1 mmである。コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後900℃で5時間焼成する事により調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム85重量部に対してアセチレンブラック5重量部と重合例3で得られたポリマー10重量部、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)5重量部を加えロールで混合した後、30 MPaの圧力で 10 mm x 10 mm x 0.2 mm にプレス成形して電池の正極とした。
【0076】
実施例3で得られた高分子固体電解質をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように 1 MPaの圧力をかけながら25℃で電池の充放電特性を調べた。初期の端子電圧 3.8 Vでの放電電流は 0.1 mA/cm2であり、0.1 mA/cm2で充電可能であった。本実施例の電池は容易に薄いものに作製できるので、軽量でしかも大容量の電池になる。
【0077】
実施例7
電解質として実施例4で得られた高分子固体電解質、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用いて二次電池を構成した。高分子固体電解質のサイズは 10 mm x 10 mm x 0.05 mmである。リチウム箔のサイズは 10 mm x 10 mm x 0.1 mmである。コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後900℃で5時間焼成する事により調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム85重量部に対してアセチレンブラック5重量部と重合例3で得られたポリマー10重量部、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)5重量部、式(17)に示したシロキサン化合物5重量部を加えロールで混合した後、30 MPaの圧力で 10 mm x 10 mm x 0.2 mm にプレス成形して電池の正極とした。
【0078】
実施例4で得られた高分子固体電解質をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように 1 MPaの圧力をかけながら25℃で電池の充放電特性を調べた。初期の端子電圧 3.8 Vでの放電電流は 0.1 mA/cm2であり、0.1 mA/cm2で充電可能であった。本実施例の電池は容易に薄いものに作製できるので、軽量でしかも大容量の電池になる。
【0079】
【発明の効果】
本発明の高分子固体電解質は加工性、成形性、機械的強度、柔軟性や耐熱性などに優れており、かつそのイオン伝導性は著しく改善されている。したがって固体電池(特に、二次電池)をはじめ、大容量コンデンサー、表示素子、例えばエレクトロクロミックディスプレイなど電子機器への応用、更にゴムやプラスチック材料用の帯電防止剤又は制電材料への応用が期待される。
Claims (6)
- (1)架橋可能な官能基を有していても良いエーテル結合を有するポリマーと、(2)エチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物を含む添加剤と、(3)電解質塩化合物とを含んでなる電解質組成物であって、
エーテル結合を有するポリマー(1)が、
(1−1)下記式(i)で表される構成単位と、下記式(ii)で表される構成単位とを有してなる共重合体、および/または
(1−2)構成単位(i)、構成単位(ii)、および下記式(iii)で表される架橋可能な構成単位を有してなる共重合体であり、
エチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物を含む添加剤(2)が、下記式(iv)および(v)で表されるエチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物からなる群から選択されることを特徴とする電解質組成物。
- 架橋可能な構成単位における反応性官能基が、(a)反応性ケイ素基、(b)メチルエポキシ基、(c)エチレン性不飽和基または(d)ハロゲン原子である請求項1記載の電解質組成物。
- エーテル結合を有するポリマー(1)は重量平均分子量が 105〜107である請求項1または請求項2に記載の電解質組成物。
- 電解質塩化合物はリチウム塩化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の電解質組成物。
- ポリマー(1)が架橋可能な構成単位の反応性を利用して架橋されている共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の電解質組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電解質組成物、正極および負極からなる電池。
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