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JP4089246B2 - 架橋高分子固体電解質および電池 - Google Patents

架橋高分子固体電解質および電池 Download PDF

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JP4089246B2
JP4089246B2 JP2002059990A JP2002059990A JP4089246B2 JP 4089246 B2 JP4089246 B2 JP 4089246B2 JP 2002059990 A JP2002059990 A JP 2002059990A JP 2002059990 A JP2002059990 A JP 2002059990A JP 4089246 B2 JP4089246 B2 JP 4089246B2
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克人 三浦
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雅人 田渕
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高分子化合物と添加剤と電解質塩化合物とを含む電解質に関し、特に、電池、キャパシター、センサー等の電気化学デバイス用材料として好適な架橋高分子固体電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電池、キャパシター、センサーなどの電気化学デバイスを構成する電解質は、イオン伝導性の点から溶液またはペースト状のものが用いられているが、液漏れによる機器の損傷の恐れがあること、また電解液を含浸させるセパレーターを必要とするので、デバイスの超小型化、薄型化に限界があることなどの問題点が指摘されている。これに対し無機結晶性物質、無機ガラス、有機高分子系物質などの固体電解質が提案されている。有機高分子系物質は一般に加工性、成形性に優れ、得られる固体電解質が柔軟性、曲げ加工性を有し、応用されるデバイスの設計の自由度が高くなることなどの点からその進展が期待されている。しかしながら、イオン伝導性の面では他の材質より劣っているのが現状である。
【0003】
エチレンオキシドの単独重合体とアルカリ金属イオン系におけるイオン伝導性の発見より、高分子固体電解質の研究は活発に行われるようになった。その結果、ポリマーマトリックスとしては、その運動性の高さ及び金属カチオンの溶解性の点でポリエチレンオキシドなどのポリエーテルが最も有望と考えられている。イオンの移動はポリマーの結晶部ではなくアモルファス部分で起こることが予測されている。それ以来、ポリエチレンオキシドの結晶性を低下させるために、種々のエポキシドとの共重合が行われてきている。特公昭62-249361号公報には、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる固体電解質、米国特許USP 4,818,644号公報にはエチレンオキシドとメチルグリシジルエーテルとの共重合体からなる固体電解質が示されている。しかしながら、いずれもイオン伝導度は必ずしも満足のいくものではなかった。
【0004】
共重合体に特定のアルカリ金属塩を含有させて高分子固体電解質に応用する試みが本出願人を含む特開平9−324114号公報に提案されているが、電解質のフィルム強度を上げるために、このポリマー電解質を架橋すると分子の運動性が低下することにより、イオン伝導性の低下をもたらしている。実用的に充分な伝導度の値は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的特性およびイオン伝導性が優れた架橋高分子固体電解質を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A)架橋可能な官能基を2個以上有するシロキサン化合物、
(B)架橋可能な官能基を含むエーテル結合を有する重合体、
(C)電解質塩化合物、および
(D)必要に応じて存在する、反応性基を1個有するシロキサン化合物
から得られる架橋高分子固体電解質を提供する。
さらに、本発明は、前記架橋高分子固体電解質を用いた電池をも提供する。
【0007】
架橋高分子固体電解質が、可塑剤、特に、エチレンオキシド単位(オキシエチレン鎖)を有する有機ケイ素を含む可塑剤を含有すると、ポリマーの結晶化が抑制されガラス転移温度が低下し、低温でも無定形相が多く形成されるためにイオン伝導度が良くなる。
本発明の架橋高分子固体電解質を用いると、内部抵抗の小さい高性能の電池が得られることも見いだした。
本発明の架橋高分子固体電解質は、ゲル状であってよい。ここで、ゲルとは非プロトン性有機溶媒等の溶媒によって膨潤したポリマーである。
【0008】
架橋可能な官能基を2個以上有するシロキサン化合物(A)は、少なくとも2つの架橋可能な官能基および少なくとも1つのオキシエチレン鎖を有するシロキサン化合物であることが好ましい。架橋可能な官能基における反応性基は、一般に、(a)エチレン性不飽和基、(b)水素化ケイ素基、(c)エポキシ基または(d)水酸基である。好ましくは、エチレン性不飽和基である。
【0009】
シロキサン化合物(A)は、特に好ましくは下記式(A−1)、(A−2)または(A−3)で表される化合物である。
【0010】
【化9】
Figure 0004089246
[式中、RおよびRはCH=CCHCO-またはCH=CHCO-または炭素数2〜5のアルケニルオキシ基、RおよびRは各々-(CH)p-または-(CH)q-(但し、p, qは0〜3の整数)を表し、a, b およびcは0〜50の整数である。]
【0011】
【化10】
Figure 0004089246
[式中、RおよびR10はCH=CCHCOCH-またはCH=CHCOCH-または炭素数2〜5のアルケニル基、RおよびRは各々-(CH)r-または-(CH)s-(但し、r, sは0〜3の整数)を表し、dおよびeおよびfは0〜25の整数を示す。]
【0012】
【化11】
Figure 0004089246
[式中、R11 は CH=CCHCOCH- または CH=CHCOCH- または炭素数2〜5のアルケニル基、
R13はCH=CCHCO-または CH=CHCO- または炭素数 2〜5 のアルケニルオキシ基、
R12は-(CH)t-(但し、tは0〜3の整数)を表し、gおよびhは0〜25の整数を示す。]
【0013】
エーテル結合を有する重合体(B)は、一般に、主鎖にオキシエチレン鎖を有し、側鎖に反応性基を有する重合体であってよい。重合体(B)において、反応性基は(a)エチレン性不飽和基、(b)メチルエポキシ基、または(c)ハロゲン原子である。反応性基は、好ましくは、エチレン性不飽和基である。
重合体(B)は、少なくとも2種の単量体から製造される共重合体であってよい。重合体(B)は、一般に、エチレンオキシドモノマーと、反応性基を有するオキシラン化合物モノマーを重合して得られる共重合体である。
【0014】
重合体(B)は、下記式(B−1)で表される構成単位と、下記式(B−2)で表される構成単位と下記式(B−3)で表される架橋可能な構成単位を含む共重合体であることが好ましい。
【0015】
【化12】
Figure 0004089246
【化13】
Figure 0004089246
[式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、特にアルキル基、または-CH-O-(-CH-CH-O-)-CHまたは-CH-O-CH[(-CH-CH-O-)-CH]を表し、nは0〜12の整数である。]
【0016】
【化14】
Figure 0004089246
[式中、Rは反応性基を有する官能基を表す。]
【0017】
構成単位(B−1)はエチレンオキサイドによって形成される。
構成単位(B−2)を形成するオキシラン化合物には、置換基を有していてもよいアルキレンオキサイド、グリシジルエーテル化合物などがある。具体的には、プロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、1,2-エポキシヘキサンなどのオキシラン化合物、エチレングリコールメチルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、1,3-ビス(2-メトキシエトキシ)プロパン2-グリシジルエーテル、1,3-ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]プロパン2-グリシジルエーテルが挙げられる。
【0018】
構成単位(B−3)は、(a)エチレン性不飽和基、(b)メチルエポキシ基、または(c)ハロゲン原子から選択された反応基を有するオキシラン化合物によって形成できる。
【0019】
(a)エチレン性不飽和基を有するオキシラン化合物には、
アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α-テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカジエン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5-シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル-4-ヘキセノエートが用いられる。
好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが挙げられる。
【0020】
(b)メチルエポキシ基を有するオキシラン化合物には、
2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテル、及びエチレングリコール-2,3-エポキシプロピル-2',3'-エポキシ-2'-メチルプロピルエーテルが挙げられる。
【0021】
(c)ハロゲン原子を有するオキシラン化合物には、
ハロゲン原子を有する単量体の例は、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピクロロヒドリンである。
【0022】
エーテル結合を有する共重合体の重合法は、エチレンオキサイド部分の開環反応により共重合体を得る重合法であり、本出願人の特開昭63−154736号公報および特開昭62−169823号公報に記載の方法と同様にして行われる。
【0023】
本発明の架橋高分子固体電解質は、反応性基を1個有するシロキサン化合物(D)を含有してもよい。反応性基を1個有するシロキサン化合物(D)は、反応性基およびオキシエチレン鎖を有するシロキサン化合物が好ましい。反応性基の例は、エチレン性不飽和基、水素化ケイ素基、エポキシ基および水酸基である。反応性基はエチレン性不飽和基であることが好ましい。シロキサン化合物(D)は、特に好ましくは下記式(D−1)または(D−2)で表される化合物である。
【0024】
【化15】
Figure 0004089246
[式中、R14はCH=CCHCOCH-またはCH=CHCOCH-または炭素数2〜5のアルケニル基、
R16は炭素数1〜3のアルキル基、R15は-(CH)u-(但し、uは0〜3の整数)を表し、iおよびjは0〜50の整数を示す。]
【0025】
【化16】
Figure 0004089246
[式中、R17はCH=CCHCO-またはCH=CHCO-または炭素数2〜5のアルケニルオキシ基、
R18は-(CH)v-(但し、vは0〜3の整数)を表し、kおよびmは0〜50の整数を示す。]
【0026】
架橋可能な官能基を2個以上有するシロキサン化合物(A)の量は、重合体(B)100重量部に対して、0.1〜50重量部、例えば1〜30重量部、特に5〜25重量部であってよい。であってよい。必要に応じて使用される反応性基を1個有するシロキサン化合物(D)の量は、、重合体(B)100重量部に対して、0.1〜50重量部、例えば1〜30重量部、特に5〜25重量部であってよい。
【0027】
エーテル結合を有する重合体(B)を得るための重合反応は次のようにして行える。開環重合用触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などを用いて、モノマーを溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10〜80℃、撹拌下で反応させることによってポリエーテル重合体が得られる。なかでも、重合度、あるいは作られる多重合体の性質などの点から、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系が特に好ましい。重合反応において反応性基は反応せず、反応性基を有する重合体が得られる。
【0028】
重合体(B)が構成単位(B−1)、構成単位(B−2)および構成単位(B−3)からなる場合に、構成単位(B−1)を形成するエチレンオキシドの量は重合体(B)の5〜90重量%、好ましくは10〜90 重量%、構成単位(B−2)を形成するオキシラン化合物の量は重合体(B)の90〜5重量%、好ましくは90〜10重量%、構成単位(B−3)を形成するオキシラン化合物の量は重合体(B)の1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
【0029】
構成単位(B−3)を形成する架橋可能なオキシラン化合物の割合が 30 重量%以下である場合に、架橋された重合体は、イオン伝導度が良好である。
構成単位(B−1)を形成するエチレンオキシドの割合が 5 重量%以上である場合に、低温でも電解質塩化合物が溶けやすいために、イオン伝導度が高い。
一般にガラス転移温度を下げることによりイオン伝導性が向上することは知られているが、本発明の架橋高分子固体電解質の場合はイオン伝導性の向上効果は格段に大きいことがわかった。
【0030】
架橋高分子固体電解質に使われる重合体(B)の分子量は、良好な加工性、成形性、機械的強度、柔軟性を得るために、重量平均分子量 10〜10の範囲内、好ましくは 10〜10の範囲内のものが適する。
【0031】
架橋可能な官能基がエチレン性不飽和基であるシロキサン化合物(A)、架橋可能な官能基がエチレン性不飽和基である重合体(B)、および反応性基がエチレン性不飽和基であるシロキサン化合物(D)である場合の架橋方法としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が用いられる。
【0032】
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は有機過酸化物の種類により異なるが、通常、成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内である。
【0033】
アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2'-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。アゾ化合物の添加量はアゾ化合物の種類により異なるが、通常、成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計100重量部に対して、 0.1〜10 重量部の範囲内である。
【0034】
紫外線等の活性エネルギー線照射による架橋においては、増感助剤としてジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、フェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸等のアジド類等を任意に用いることができる。
【0035】
架橋可能な官能基が水素化ケイ素基であるシロキサン化合物(A)、および架橋可能な官能基がエチレン性不飽和基である重合体(B)、である場合の架橋方法としては、ヒドロシリル化反応が用いられる。
【0036】
ヒドロシリル化反応の触媒の例としては、パラジウム、白金などの遷移金属あるいはそれらの化合物、錯体が挙げられる。また、過酸化物、アミン、ホスフィンも用いられる。最も一般的な触媒はジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、塩化白金酸が挙げられる。
【0037】
架橋可能な官能基がメチルエポキシ基である重合体(B)、および、架橋可能な官能基がエポキシ基であるシロキサン化合物(A)である場合の架橋方法としては、ポリアミン類、酸無水物類などが用いられる。
【0038】
ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。ポリアミンの添加量はポリアミンの種類により異なるが、通常、成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計 100重量部に対して、0.1〜10 重量部の範囲である。
【0039】
酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。酸無水物類の添加量は酸無水物の種類により異なるが、通常、成分(A)、(B)および(D)の合計100重量部に対して、 0.1〜10 重量部の範囲である。これらの架橋には促進剤を用いても良く、ポリアミン類の架橋反応にはフェノール、クレゾール、レゾルシンなどがあり、酸無水物類の架橋反応にはベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノエチル)フェノール、ジメチルアニリンなどがある。促進剤の添加量は促進剤により異なるが、通常、架橋剤100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。
【0040】
架橋可能な官能基が水酸基であるシロキサン化合物(A)、および、架橋可能な官能基がハロゲン原子含有基である重合体(B)である場合の架橋方法としては、金属ナトリウムあるいは水素化ナトリウムなどが用いられる。また、架橋高分子固体電解質が、更に受酸剤となる金属化合物を含むことは、ハロゲン含有ポリマーの熱安定性の見地から有効である。このような受酸剤となる金属酸化物としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、鉛丹、ステアリン酸錫等を挙げることができる。上記酸受酸剤となる金属化合物の配合量は種類により異なるが、通常、成分(A)、(B)、(C)および(D)の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部である。
【0041】
本発明において用いられる電解質塩化合物(C)は、ポリエーテル重合体又は該重合体の架橋体、および可塑剤からなる混合物に可溶であることが好ましい。本発明においては、以下に挙げる塩化合物が好ましく用いられる。
【0042】
即ち、金属陽イオン、アンモニウムイオン、アミジニウムイオン、及びグアニジウムイオンから選ばれた陽イオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF 、PF 、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7,7,8,8-テトラシアノ-p-キノジメタンイオン、XSO 、[(XSO)(XSO)N]、[(XSO)(XSO)(XSO)C]、及び[(XSO)(XSO)YC] から選ばれた陰イオンとからなる化合物が挙げられる。但し、X、X、X及びYは電子吸引性基である。好ましくは X、X、及び Xは各々独立して炭素数が1から6のパーフルオロアルキル基又は炭素数が6から13のパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基又はシアノ基である。X、X及びXは各々同一であっても、異なっていてもよい。金属陽イオンとしては遷移金属の陽イオンを用いる事ができる。好ましくは Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn 及び Ag 金属から選ばれた金属の陽イオンが用いられる。又、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca及びBa金属から選ばれた金属の陽イオンを用いても好ましい結果が得られる。電解質塩化合物として前述の化合物を2種類以上併用することは自由である。
【0043】
本発明において、電解質塩化合物(C)の使用量は、重合体(B) 100 重量部に対して1〜100重量部、好ましくは10〜80重部の範囲がよい。電解質塩化合物(C)の量が100重量部未満であると加工性、成形性及び得られた固体電解質の機械的強度や柔軟性が良好であり、さらにイオン伝導性も良好である。
【0044】
本発明においてはイオン伝導性をさらに高めるために、(E)可塑剤を配合して、電解質をゲル状で用いても構わない。可塑剤(E)としては非プロトン性有機溶媒およびエチレンオキシド単位(オキシエチレン鎖)を有する化合物が好ましい。
【0045】
本発明に用いられる非プロトン性有機溶媒としては、非プロトン性のエーテル類及びエステル類が用いられる。具体的には、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジメトキプロパン、3-メチル-2-オキサゾリドン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4,4-メチル-1,3-ジオキソラン、tert-ブチルエーテル、iso-ブチルエーテル、1,2-エトキシメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、これらの2種以上の混合物を用いても良い。特に好ましいのはプロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ブチレンカーボネート、3-メチル-2-オキサゾリンである。
【0046】
エチレンオキシド単位を有する化合物としては、エーテル化合物及び有機ケイ素化合物が用いられる。具体的には、エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物はトリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、オリゴエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0047】
エチレンオキシド単位を有する有機ケイ素化合物は、下記式(i)、(ii)および(iii)で表されるものが挙げられる。
【0048】
【化17】
Figure 0004089246
[式中、A11、A12、A13およびA14は各々異なってよく、-(-CH)p-(但し、P は0〜3の整数)を表し、
X11、X12、X13およびX14は各々異なってよく、メチル基またはエチル基を表し、p1、q1、r1 および s1 は1〜50 の整数である。]
【0049】
【化18】
Figure 0004089246
[式中、A21、A22およびA23は各々異なってよく、-(-CH)p-(但し、Pは0〜3の整数) を表し、
X21、X22、X23およびX24は各々異なってよく、メチル基またはエチル基を表し、t1、u1 および v1 は1〜50 の整数である。]
【0050】
【化19】
Figure 0004089246
[式中、A31およびA32は各々異なってよく、-(-CH)p-(但し、Pは0〜3の整数) を表し、
X31、X32、X33、X34、X35およびX36は各々異なってよく、メチル基またはエチル基を表し、w1およびy1は1〜50の整数、x1<w1かつx1<y1である。]
【0051】
可塑剤(E)の配合割合は任意であるが、重合体(B)100 重量部に対して、5〜2,000重量部、好ましくは20〜1,000 重量部である。
【0052】
高分子固体電解質として使用する際に難燃性が必要な場合には、難燃剤を配合することができる。難燃剤として、臭素化エポキシ化合物、テトラブロムビスフェノールA、塩素化パラフィン等のハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル、ポリリン酸塩、及びホウ酸亜鉛から選択して有効量を添加する。
【0053】
本発明の架橋高分子固体電解質の製造方法は特に制約はないが、通常夫々の成分を機械的に混合すればよい。架橋を必要とする重合体の場合には、全ての成分を混合した後、熱または紫外線の活性化エネルギー線照射により架橋させるなどの方法によって製造されるが、架橋後に可塑剤に長時間浸漬して含浸させても良い。機械的に混合する手段としては、スターラー等の攪拌機、ニーダー類、オープンロール、押出機などを任意に使用できる。
【0054】
反応性基が反応性ケイ素基である場合に、架橋反応に用いられる水の量は、雰囲気中の湿気によっても容易に起こるので特に制限されない。短時間冷水又は温水浴に通すか、又はスチーム雰囲気にさらす事で架橋する事もできる。
【0055】
反応性基がエチレン性不飽和基である場合に、ラジカル開始剤を利用すると、10℃〜200℃の温度条件下 1 分〜20 時間で架橋反応が終了する。また、紫外線等のエネルギー線を利用する場合、一般には増感剤が用いられる。通常、10℃〜150℃の温度条件下0.1秒〜1 時間で架橋反応が終了する。水素化ケイ素を有する架橋剤では 10℃〜180℃の温度条件下 10分〜10 時間で架橋反応が終了する。
【0056】
電解質塩化合物および添加剤(即ち、シロキサン化合物(A)および(C)ならびに可塑剤(E)など)をポリマーに混合する方法は特に制約されないが、電解質塩化合物および添加剤を含む有機溶媒にポリエーテル重合体を長時間浸漬して含浸させる方法、電解質塩化合物および添加剤をポリエーテル重合体へ機械的に混合させる方法、ポリエーテル重合体および電解質塩化合物を添加剤に溶かして混合させる方法あるいはポリエーテル重合体を一度他の有機溶媒に溶かした後、添加剤を混合させる方法などがある。有機溶媒を使用して製造する場合は、各種の極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が単独、或いは混合して用いられる。
【0057】
本発明の架橋高分子固体電解質は機械的強度と柔軟性に優れており、その性質を利用して大面積薄膜形状の固体電解質とすることが容易に得られる。例えば本発明の架橋高分子固体電解質を用いた電池の作製が可能である。この場合、正極材料としてはリチウム-マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム、五酸化バナジウム、オリビン型リン酸鉄、ポリアセチレン、ポリピレン、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリピロール、ポリフラン、ポリアズレン等がある。負極材料としてはリチウムがグラファイトあるいはカーボンの層間に吸蔵された層間化合物、リチウム金属、リチウム-鉛合金等がある。また高い電気伝導性を利用してアルカリ金属イオン、Cuイオン、Caイオン、及び Mgイオン等の陽イオンのイオン電極の隔膜としての利用も考えられる。本発明の架橋高分子固体電解質は特に電池、キャパシター、センサー等の電気化学デバイス用材料として好適である。
【0058】
ポリマー電解質は、一次電池または二次電池、例えばリチウム二次電池において使用できる。電池におけるポリマー電解質の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、2μm〜2mmであってよい。
【0059】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
ポリエーテル共重合体のモノマー換算組成は H NMR スペクトルにより求めた。
ポリエーテル共重合体の分子量測定にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定を行い、標準ポリスチレン換算により分子量を算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定は株式会社島津製作所の測定装置 RID-10A、昭和電工(株)製カラムのショウデックスKD-807、KD-806、KD-806M及びKD-803、及び溶媒ジメチルホルムアミドを用いて60℃で行った。
ガラス転移温度、融解熱量は理学電気(株)製示差走査熱量計 DSC 8230B を用い、窒素雰囲気中、温度範囲-100〜80℃、昇温速度 10℃/min で測定した。
イオン伝導度σを測定するためにサンプルフィルムを事前に 30℃、12 時間真空乾燥を行った。イオン伝導度の測定は 10℃で行い、フィルムを SUS 製の電極ではさみ、電圧 0.5V、周波数範囲 5Hz〜1MHz の交流法を用い、複素インピーダンス法により算出した。
【0060】
合成例(触媒の製造)
撹拌機、温度計及び蒸留装置を備えた3つ口フラスコにトリブチル錫クロライド10g及びトリブチルホスフェート 35g を入れ、窒素気流下に撹拌しながら 250℃で20分間加熱して留出物を留去させ残留物として固体状の縮合物質を得た。以後これを重合用触媒として使用した。
【0061】
重合例1(架橋可能な官能基を含むエーテル結合を有する共重合体の製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として合成例(触媒の製造)で得られた縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した下記式(11)に示したオキシラン化合物(EM)110g、メタクリル酸グリシジル 18g及び溶媒としてn−ヘキサン 1,000g を仕込み、エチレンオキシド 90g はEMの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下 40℃で 24 時間、更に減圧下 45℃で 10時間乾燥してポリマー 200gを得た。この共重合体のガラス転移温度は -71℃、重量平均分子量は 105万、融解熱量は 5J/g であった。H NMR スペクトルによるこの重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド 43wt%、EM 50wt%、メタクリル酸グリシジル 7wt%であった。
【0062】
【化20】
Figure 0004089246
【0063】
重合例2(架橋可能な官能基を含むエーテル結合を有する共重合体の製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として合成例(触媒の製造)で得られた縮合物質 2g と水分 10ppm 以下に調整した下記式(12)に示したオキシラン化合物(GM) 100g、アリルグリシジルエーテル 10g及び溶媒としてn−ヘキサン 1,000g を仕込み、エチレンオキシド 120gはGMの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下 40℃で 24 時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー 205g を得た。この共重合体のガラス転移温度は -74℃、重量平均分子量は 115万、融解熱量は 3J/g であった。H NMR スペクトルによるこの重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド 53wt%、GM 43wt%、アリルグリシジルエーテル 4wt%であった。
【0064】
【化21】
Figure 0004089246
【0065】
実施例1
重合例1で得られたポリマー(エチレンオキシド/EM/メタクリル酸グリシジル3元共重合体) 1g、下記式(13)に示した架橋可能な官能基を2個有するシロキサン化合物 0.1g、下記式(14)に示した反応性基を1個有するシロキサン化合物 0.2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 0.6g、重合開始剤として過酸化ベンゾイル 0.015g をアセトニトリル 50g 中で均一になるまで混合させた後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した。 その後、30℃で 12時間減圧乾燥し、更に、100℃、2時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μm の架橋フィルムを得た。 イオン伝導度は 4.2 x 10−5 S/cm であった。
【0066】
【化22】
Figure 0004089246
【化23】
Figure 0004089246
【0067】
実施例2
重合例2で得られたポリマー(エチレンオキシド/GM/アリルグリシジルエーテル3元共重合体) 1g、式(13)に示した架橋可能な官能基を2個有するシロキサン化合物 0.2g、リチウム塩化合物としてLiTFSI 0.6g、重合開始剤として過酸化ベンゾイル 0.015g をアセトニトリル 50g 中で均一になるまで混合させた後、PETフィルム上に塗布した。 その後、30℃で 12時間減圧乾燥し、更に、100℃、2時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μm の架橋フィルムを得た。 イオン伝導度は 3.1 x 10−5 S/cm であった。
【0068】
実施例3
重量平均分子量が 70万であるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/メタクリル酸グリシジル(=60/32/8 wt%)3元共重合体 1g、実施例2における式(13)に示した架橋可能な官能基を2個有するシロキサン化合物 0.2g、下記式(15)に示したオキシエチレン鎖を有する化合物(可塑剤) 0.5g、リチウム塩化合物としてLiTFSI 0.6g、重合開始剤として過酸化ベンゾイル 0.015g をアセトニトリル 50g 中で均一になるまで混合させた後、PETフィルム上に塗布した。 その後、30℃で 12時間減圧乾燥し、更に、100℃、2時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μm の架橋フィルムを得た。 イオン伝導度は 1.2 x 10−4 S/cm であった。
【0069】
【化24】
Figure 0004089246
【0070】
実施例4
電解質として実施例1で得られた高分子固体電解質、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いて二次電池を構成した。高分子固体電解質のサイズは 10 mm X 10 mm X 0.05 mmである。リチウム箔のサイズは 10 mm X 10 mm X 0.1 mmである。コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後 900℃で5時間焼成する事により調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム 85重量部に対してアセチレンブラック5 重量部と重合例1で得られたポリマー 10 重量部、LiTFSI 5 重量部を加えロールで混合した後、3MPa の圧力で 10 mm X 10 mm X 0.2 mm にプレス成形して電池の正極とした。
【0071】
実施例1で得られた高分子固体電解質をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように 1 MPa の圧力をかけながら 25℃で電池の充放電特性を調べた。初期の端子電圧 3.8 Vでの放電電流は 0.1 mA/cmであり、0.1 mA/cmで充電可能であった。本実施例の電池は容易に薄いものに作製できるので、軽量でしかも大容量の電池になる。
【0072】
実施例5
電解質として実施例2で得られた高分子固体電解質、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いて二次電池を構成した。高分子固体電解質のサイズは 10 mm X 10 mm X 0.05 mmである。リチウム箔のサイズは 10 mm X 10 mm X 0.1 mmである。コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後 900℃で 5 時間焼成する事により調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム 85 重量部に対してアセチレンブラック5重量部と重合例2で得られたポリマー 10 重量部、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 5 重量部を加えロールで混合した後、3MPa の圧力で 10 mm X 10 mmX 0.2 mm にプレス成形して電池の正極とした。
【0073】
実施例2で得られた高分子固体電解質をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように 1MPaの圧力をかけながら 25℃で電池の充放電特性を調べた。初期の端子電圧 3.8 Vでの放電電流は 0.1 mA/cmであり、0.1 mA/cmで充電可能であった。本実施例の電池は容易に薄いものに作製できるので、軽量でしかも大容量の電池になる。
【0074】
実施例6
電解質として実施例3で得られた高分子固体電解質、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いて二次電池を構成した。高分子固体電解質のサイズは 10 mm X 10 mm X 0.05 mmである。リチウム箔のサイズは 10 mm X 10 mm X 0.1 mmである。コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後 900℃で 5時間焼成する事により調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム 85 重量部に対してアセチレンブラック5 重量部と重合例2で得られたポリマー 10重量部、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 5 重量部、式(15)に示したシロキサン化合物 5 重量部を加えロールで混合した後、3MPa の圧力で 10 mm X 10 mmX 0.2 mm にプレス成形して電池の正極とした。
【0075】
実施例3で得られた高分子固体電解質をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように 1MPaの圧力をかけながら 25℃で電池の充放電特性を調べた。初期の端子電圧 3.8 Vでの放電電流は 0.1 mA/cmであり、0.1 mA/cmで充電可能であった。本実施例の電池は容易に薄いものに作製できるので、軽量でしかも大容量の電池になる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の架橋高分子固体電解質は加工性、成形性、機械的強度、柔軟性や耐熱性などに優れており、かつそのイオン伝導性は著しく改善されている。したがって固体電池(特に、二次電池)をはじめ、大容量コンデンサー、表示素子、例えばエレクトロクロミックディスプレイなど電子機器への応用、更にゴムやプラスチック材料用の帯電防止剤又は制電材料への応用が期待される。

Claims (9)

  1. (A)架橋可能な官能基を2個以上有するシロキサン化合物、
    (B)架橋可能な官能基を含むエーテル結合を有する重合体、および
    (C)電解質塩化合物
    から得られる架橋高分子固体電解質であって、
    前記架橋可能な官能基を2個以上有するシロキサン化合物(A)は、下記式(A−1)、(A−2)または(A−3):
    Figure 0004089246
    [式中、 R および R CH =CCH CO - または CH =CHCO - または炭素数 2 5 のアルケニルオキシ基、 R および R は各々 -(CH ) p - または -(CH ) q -( 但し、 p, q 0 3 の整数 ) を表し、 a, b および c 0 50 の整数である。]
    Figure 0004089246
    [式中、 R および R 10 CH =CCH CO C H - または CH =CHCO C H - または炭素数 2 5 のアルケニル基、
    R および R は各々 -(CH ) r - または -(CH ) s -( 但し、 r, s 0 3 の整数 ) を表し、
    d および e および f 0 25 の整数を示す。]
    Figure 0004089246
    [式中、 R 11 CH =CCH CO C H - または CH =CHCO C H - または炭素数 2 5 のアルケニル基、
    R 13 CH =CCH CO - または CH =CHCO - または炭素数 2 5 のアルケニルオキシ基、
    R 12 -(CH ) t -( 但し、 t 0 3 の整数 ) を表し、
    g および h 0 25 の整数を示す。]
    で表される化合物であり、
    前記重合体(B)は、下記式(B−1)
    Figure 0004089246
    で表される構成単位と、下記式(B−2):
    Figure 0004089246
    [式中、 R は炭素数1〜20の炭化水素基、特にアルキル基、または -CH -O-(-CH -CH -O-) -CH または -CH -O-CH[(-CH -CH -O-) -CH ] を表し、
    n 0 12 の整数である。]
    で表される構成単位と下記式(B−3):
    Figure 0004089246
    [式中、 R は、(a) エチレン性不飽和基、 (b) メチルエポキシ基、および (c) ハロゲン原子からなる群から選択された反応性基を有する官能基を表す。]
    で表される架橋可能な構成単位を含む共重合体である架橋高分子固体電解質。
  2. さらに、(D)エチレン性不飽和基、水素化ケイ素基、エポキシ基および水酸基からなる群から選択された反応性基を1個有するシロキサン化合物をも含有する請求項1記載の架橋高分子固体電解質。
  3. 反応性基を1個有するシロキサン化合物(D)が、
    下記式(D−1)または下記式(D−2):
    Figure 0004089246
    [式中、R14はCH=CCHCOCH-またはCH=CHCOCH-または炭素数 2〜5 のアルケニル基、
    R16は炭素数1〜3のアルキル基、
    R15は-(CH)u-(但し、uは0〜3の整数)を表し、
    iおよびjは0〜50の整数を示す。]
    Figure 0004089246
    [式中、R17はCH=CCHCO-またはCH=CHCO-または炭素数2〜5のアルケニルオキシ基、
    R18は-(CH)v-(但し、vは0〜3の整数)を表し、
    kおよびmは0〜50の整数を示す。]
    で表されるシロキサン化合物である請求項2記載の架橋高分子固体電解質。
  4. エーテル結合を有する重合体(B)は重量平均分子量が、10〜10である請求項1または請求項2に記載の架橋高分子固体電解質。
  5. 更に、(E)可塑剤であって、(E−1)非プロトン性有機溶媒および(E−2)オキシエチレン鎖を有する化合物からなる群から選択された可塑剤をも含有する請求項1〜4のいずれかに記載の架橋高分子固体電解質。
  6. 重合体(B)100重量部に対して、架橋可能な官能基を2個以上有するシロキサン化合物(A)の量は0.1〜50重量部であり、電解質塩化合物(C)の使用量は1〜100重量部である請求項1〜5のいずれかに記載の架橋高分子固体電解質。
  7. 構成単位(B−1)を形成するエチレンオキシドの量は重合体(B)の 5 90 重量%、構成単位(B−2)を形成するオキシラン化合物の量は重合体(B)の 9 0 5 重量%、構成単位(B−3)を形成するオキシラン化合物の量は重合体(B)の 1 30 重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の架橋高分子固体電解質。
  8. 電解質塩化合物はリチウム塩化合物である請求項1〜のいずれかに記載の架橋高分子固体電解質。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の架橋高分子固体電解質、正極および負極からなる電池。
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