JP4260127B2 - サブマージアーク溶接用複合ワイヤ - Google Patents
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Description
前述の通り、充填フラックスの比表面積は、溶込み形状に大きく影響を及ぼす。充填フラックスの比表面積が0.10m2/gを超えると溶込み形状が浅くなる。一方、比表面積が0.02m2/g未満であると、製造時にフラックスの偏析が起こりやすくなり、フラックス率の変動が大きくなる等、品質が安定しなくなる。従って、充填フラックスの比表面積は0.02乃至0.10m2/gとする。比表面積は一般的には粒径が細かいほど大きい。また、比表面積は粒形状によっても影響を受ける。即ち、同じ原料でも、製造方法により粒径及び粒形状が異なり、比表面積が異なってくる。そこで、種々の製造方法により製造された比表面積が異なる種々の原料粉の中から、配合割合を調整して原料粉を選択すれば、充填フラックスの比表面積を所望のものに調整することができる。
充填フラックスの割合が、ワイヤ全質量に対して10質量%未満であると、目的の構造物の高強度化に対して必要な合金成分が不足する。一方、充填フラックスの割合が、ワイヤ全質量に対して30質量%を超えると、シーム有りワイヤの場合に成形が難しくなる。このため、本発明は充填フラックスの割合を、ワイヤ全質量に対して10乃至30質量%の範囲として、複合ワイヤを製造する。
充填フラックスとしては、金属粉、スラグ形成剤及びガス発生剤等がある。このうち、金属粉は溶接金属の強度及び靭性を確保するために添加され、また、金属粉は脱酸作用を有するため、本発明の充填フラックスとしてその主体となるものである。なお、この金属粉とは、純金属、鉄合金、金属の合金及び金属の炭化物を含むものである。スラグ形成剤は、各種の酸化物であり、サブマージアーク溶接に適用する場合、組み合わせフラックスで調整することが可能であるうえ、大気中の水分を吸着しやすい成分も多い。従って、スラグ形成剤は添加しないことが望ましい。また、ガス発生剤としては、フッ化物及び炭酸塩がある。これらは、アーク熱により分解し、ガスを発生するため、大気中の窒素ガス及び水素の侵入を防ぐ効果がある反面、大気中の水分と水和物を作りやすい成分でもあり、ワイヤ中の水分そのものを高くしてしまう虞もある。そして、ガス発生剤は、過剰に添加するとガス発生量が過大となり、ポックマークが発生する。従って、本発明においては、充填フラックスとして金属粉を90質量%以上を含み、スラグ形成剤及びガス発生剤の合計量は10質量%未満とする。
前述の如く、ガスシールドアーク溶接用複合ワイヤ用を使用してサブマージアーク溶接した場合に、アンダカットが生じたが、これは、アークが不安定であることと、高速溶接のために溶融池が不安定になったことに起因する。そこで、前述の如く、充填フラックスの比表面積を本発明の範囲に規定することにより、アークの集中性がよくなり、アンダカットもある程度抑制される。しかし、本発明者等が更に検討した結果、ワイヤ水分量を管理することで、アンダカットの発生を更に一層抑制できることを見出した。アンダカットの原因は、溶接時に、ワイヤ中の充填フラックスの水分が気化し、気化した水分によりアークの安定性が損ねられ、これにより溶融池が不安定となった結果、アンダカットが発生したものと考えられる。従って、アンダカットの抑制には、充填フラックスの水分量を低減することが好ましい。本発明者等が種々実験研究した結果、充填フラックスの水分量をワイヤ全質量の0.04質量%以下とすることにより、アンダカットの低減効果が得られることを見いだした。なお、ワイヤ水分量の測定方法は、ワイヤから充填フラックスを取り出し、110℃に1時間加熱して乾燥したときの加熱前後の質量変化と、そのワイヤのフラックス率とから算出することができる。又は、ワイヤ水分量の値は、フラックスの各原料毎の水分を上述のように加熱前後の質量変化から測定し、下記数式1に基づいて算出することができる。
複合ワイヤとすることで、同じ化学成分のソリッドワイヤと比較して大幅なワイヤ強度の低下が可能となった。しかし、帯鋼の強度が低いものを使用するとワイヤ強度が低くなりすぎるため、高速溶接時にビートが蛇行する傾向が認められた。ワイヤ強度を300N/mm2以上にするとワイヤのねじれも抑えられ、ワイヤ先端が溶接ねらい位置からずれる所謂センターずれは認められず、ビード蛇行も抑制される。一方、帯鋼の強度が高すぎると、ワイヤ製造時に帯鋼を幅方向に丸めていく成形工程が困難となり、またワイヤ断線が発生するため、ワイヤの引張り強度は750N/mm2を超えないようにする。よって、ワイヤの引張り強度は300乃至750N/mm2とすることが好ましい。なお、生産性を考慮すると、ワイヤ強度は、600N/mm2以下がより好ましい。このようなワイヤの引張強度の調節は、帯鋼の鋼種を変更する他、フラックス率を変更することによっても行うことができる。フラックス率が小さくなると、ワイヤ断面積に対して帯鋼断面積の割合が大きくなるので、ワイヤ強度は大きくなる。
前述の如く、充填フラックスの比表面積を本発明の範囲に規定することにより、溶け込み形状の改善が認められ、実用上は問題ない溶け込み形状が得られる。しかし、ソリッドワイヤと比較した場合、溶け込み形状が若干浅くなる傾向が認められており、本発明者等が更に検討を行った結果、充填フラックスとしてSiC粉を添加すると、より溶け込み形状が深くなることが明らかとなった。SiC粉を充填フラックス全量に対して2質量%以上含有すると、ソリッドワイヤと同等レベルの溶け込みが得られる。従って、充填フラックス全質量に対してSiC粉を2質量%以上含有することが好ましい。
溶込み形状を改善するためには、上述のごとくSiC粉を添加することが有効であるが、SiC粉は、溶接金属中にC及びSiとしてある程度含まれてしまう。従って、フラックスへのSiCの添加は、場合によっては、溶接金属の成分設計に制約を与えてしまうことが考えられる。そこで、本発明者らが更に検討を重ねた結果、ポリテトラフルオロエチレンを添加することで、溶込み形状の改善が可能となることを見出した。ポリテトラフルオロエチレンはC2F4であり、アーク熱により分解したCがアークの集中性を高め、深い溶込み形状が得られると考えられる。また、ポリテトラフルオロエチレンのC及びFは、アーク熱により分解してガスとなるため、溶接金属中に含まれることは殆どないと考えられる。このため、溶接金属の成分設計に制約を与えることなく、ポリテトラフルオロエチレンの添加が可能である。溶込み形状改善の効果を得るためには、フラックス全質量あたりポリテトラフルオロエチレンを0.1質量%以上含有することが好ましいが、アーク熱によりガスを発生させるため、前述の如く、フラックス中の金属粉は90質量%以上とし、金属粉でないポリテトラフルオロエチレンについては、10質量%以下となる。ポリテトラフルオロエチレンが10%を超えると、発生ガスが過剰となり、ポックマークが発生する。なお、ポリテトラフルオロエチレンは安定した成分であり、大気中の水分と反応して水和物をつくることもほとんどなく、水分量は極めて少ない。
PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B(%)
2:振れ幅
3:供試鋼板
4:開先
5:電極T
6:電極L
Claims (5)
- 鋼製外皮とこの外皮内に充填されたフラックスとからなるサブマージアーク溶接用複合ワイヤにおいて、前記フラックスは、フラックス全質量あたり、90質量%以上の金属粉を含有し、前記フラックスの比表面積が0.02乃至0.10m2/gであると共に、前記フラックスが、ワイヤ全質量に対して10乃至30質量%充填されていることを特徴とするサブマージアーク溶接用複合ワイヤ。
- 水分量の合計がワイヤ全質量に対して0.04質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のサブマージアーク溶接用複合ワイヤ。
- 引張り強度が300乃至750N/mm2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサブマージアーク溶接用複合ワイヤ。
- 前記フラックスは、フラックス全質量あたり、2質量%以上のSiC粉を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のサブマージアーク溶接用複合ワイヤ。
- 前記フラックスは、フラックス全質量あたり、0.1質量%以上のポリテトラフルオロエチレンを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のサブマージアーク溶接用複合ワイヤ。
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