JP4255628B2 - 赤外線2次元センサアレイシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、対象物体から放出される赤外線強度の2次元的分布を測定可能な赤外線2次元イメージセンサを駆動するための赤外線2次元センサアレイシステムの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
室温の物体や人体からは、波長10μm付近の赤外線(熱線)が輻射されており、これを計測することにより、それらの存在や温度の情報が非接触で得られる。これを利用することで、自動扉、侵入警戒機、電子レンジの調理モニタおよび化学計測等のさまざまな応用がなされている。
【0003】
こういった計測において、一番のキーデバイスは赤外線センサであり、量子型赤外センサと熱型赤外センサの2種類に大きく分けられる。
【0004】
量子型赤外センサは、感度が大きく検知能力に優れているが、冷却が必要なため装置が大型になるといった点で実用性に問題がある。一方、熱型赤外センサは、感度が量子型赤外センサよりは少し劣るものの室温動作が可能であるというメリットがあり、実用性に富んでいる。
【0005】
このため、熱型赤外センサとして、焦電効果を用いるもの、抵抗ボロメータ、誘電ボロメータ、サーモパイル、ゴーレイ(Golay)セル等数多くのものが提案されている。
【0006】
中でも、電界を印加して誘電率の温度変化を検知する誘電ボロメータは、他のセンサより感度が高く、チョッパが必要ない等の優れた特徴を有しており、実用的見知から期待されている。
【0007】
さらに、より高度な赤外線センシングとして、物体や風景の温度分布を非接触で得られる赤外線イメージセンサ(サーモグラフィ)への応用が期待される。
【0008】
特開平11−271141号公報(特願平10−72571号)には、容量変化検出型赤外線2次元センサアレイにおいて、各画素に対応する赤外線センサに参照キャパシタと赤外線検知キャパシタとを設ける構成が開示されている。この赤外線検知キャパシタは、温度に応じてその誘電率が変化する高誘電体材料、たとえば、強誘電体のBST[(Ba1-xSrx)TiO3](組成比x=0.33近傍)を電極で挟むことにより形成されている。この赤外線センサでは、赤外未照射時、赤外線検知キャパシタと参照キャパシタの容量が同じで、照射時の赤外吸収に伴う温度上昇で赤外線検知キャパシタの容量が変動するためにセンサ出力変化が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に、上述のような赤外線センサを作成する場合、上記赤外線検知キャパシタや参照キャパシタの特性は、画素内でも、また画素間でもばらついており、それらの容量には差が存在する。
【0010】
この容量の差により、赤外未照射時でも、各画素に対応する赤外線センサに出力オフセットが存在することになる。
【0011】
上記赤外線センサの対象となる熱源からの赤外線の受光後の出力は、たとえば、およそ数mV以下であるので、上記出力オフセットは数mVよりさらに1、2桁低減する必要がある。単体の赤外線検出センサ素子では、外部キャパシタ(バリコン等)を付加すること等で上記容量ずれを補正できるが、多画素センサ(センサアレイ)では、特に画素数が多い場合ではそのような外部素子付加による補正は現実には不可能である。
【0012】
また、2次元イメージを撮像する際に、各フレーム時間で、上記出力オフセットを安定に数mV以下に低減する補正は、各フレームごとに十分に短い時間内に行なわれる必要があり、補正回数、補正速度の点からも外部素子による調整は不可能である。
【0013】
ところが、これでは、高感度であって、かつチョッパレス、しかも比較的簡易な構造等の特徴を有する容量変化検出型赤外線センサを用いて、センサアレイを実動作させることは困難である。
【0014】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、チョッパを使う必要や外付の素子で補正を行なう必要がなく、集積化が容易で、検出感度の向上と高分解能とを両立可能な構成の赤外線2次元センサアレイシステムを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決するために、本発明に係る赤外線2次元センサアレイシステムは、赤外線検出キャパシタと参照キャパシタとの容量値、誘電損失および寄生抵抗値等のばらつきにより発生するオフセット出力を補正するように駆動信号を印加する。
【0016】
すなわち、請求項1記載の赤外線2次元センサアレイシステムは、行列状に複数の赤外線検出センサが配列された赤外線2次元センサアレイを備え、各赤外線検出センサは、参照キャパシタと、参照キャパシタと直列に接続され、入射する赤外線に応じて容量値が変化する赤外線検出キャパシタと、参照キャパシタの一方端および赤外線検出キャパシタの一方端との接続ノードから、信号レベルの読出しを選択的に行なうためのスイッチ手段とを含み、参照キャパシタの他方端に参照信号を印加するための第1の信号源と、赤外線検出キャパシタの他方端に駆動信号を印加するための第2の信号源とを備え、第2の信号源は、信号レベルの読出し対象となる赤外線検出センサに応じて、駆動信号の振幅および位相を予め定められた値に変化させる。
【0017】
請求項2記載の赤外線2次元センサアレイシステムは、請求項1記載の赤外線2次元センサアレイシステムの構成に加えて、第1の信号源は、複数の赤外線検出センサに共通に設けられ、第2の信号源は、赤外線2次元センサアレイの列ごとに設けられる複数の信号出力手段を含み、赤外線2次元センサアレイの行を選択して、選択された行に属するスイッチ手段を導通状態とするための行選択手段と、赤外線2次元センサアレイの列ごとに設けられ、スイッチ手段を介して信号レベルを読み出すための複数の信号読出手段とをさらに備える。
【0018】
請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステムは、請求項2記載の赤外線2次元センサアレイシステムの構成に加えて、複数の信号読出手段の出力から所望の周波数成分の信号を抽出するための信号抽出手段をさらに備え、信号抽出手段は、複数の信号読出手段の出力の各々に対して、所望の周波数に対応するフーリエ係数の第1の実数成分と第1の虚数成分を算出する周波数成分演算手段と、第1の実数成分と第1の虚数成分とからなる第1のベクトルと、赤外線2次元センサアレイへの赤外線非照射時において、複数の信号読出手段の出力の各々に対して所望の周波数に対応するフーリエ係数の算出を行なった際の第2の実数成分と第2の虚数成分とからなる第2のベクトルとの差ベクトルに基づいて、赤外線検出レベルを導出する赤外線レベル算出手段とを含む。
【0019】
請求項4記載の赤外線2次元センサアレイシステムは、請求項2記載の赤外線2次元センサアレイシステムの構成に加えて、第1の信号源から出力される参照信号と、第2の信号源から出力される駆動信号とは、ともに正弦波であり、赤外線検出センサごとに駆動信号として印加するべき信号の位相および振幅を記憶する駆動信号パラメータ記憶手段をさらに備える。
【0020】
請求項5記載の赤外線2次元センサアレイシステムは、請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステムの構成に加えて、所望の周波数は、駆動信号の周波数である、請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステム。
【0021】
請求項6記載の赤外線2次元センサアレイシステムは、請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステムの構成に加えて、第2の実数成分と第2の虚数成分とを、ユーザの要求にしたがって更新するための更新手段をさらに備える。
【0022】
請求項7記載の赤外線2次元センサアレイシステムは、請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステムの構成に加えて、行選択手段により第1のタイミングで選択された行に対する赤外線レベル算出手段による赤外線検出レベルの導出処理の少なくとも一部と、第1のタイミング後の第2のタイミングで行選択手段により選択された行に対する周波数成分演算手段の算出処理とが並行して行なわれる。
【0023】
【発明の実施の形態】
[赤外線検出センサ単体の構成とその駆動方式]
図1は、本発明に係る2次元センサアレイ中の、1つのセンサおよびそれを駆動する回路を等価的に示す図である。
【0024】
図1に示すとおり、センサアレイを構成する個々の容量変化検出型赤外センサIRSでは、受光部キャパシタCdは、その熱伝導を抑制して熱応答特性を向上させるために、基板を裏面からエッチングしてシリコン基板厚を薄くした領域、あるいは、基板を裏面または表面からエッチングしてシリコン基板が除去された領域に形成される。一方、参照用キャパシタ部Crefは、シリコンバルク上に形成される。
【0025】
ここで、参照用キャパシタ部Crefは、そのリーク電流の存在も考慮して、等価回路としては、容量C1と抵抗R1の並列接続で表現されている。一方、受光部キャパシタCdも、等価回路としては、容量C2と抵抗R2の並列接続で表現されている。
【0026】
受光部キャパシタCdの一方端と参照用キャパシタ部Crefの一方端とは、ノードncで結合されている。参照用キャパシタ部Crefの他方端には、信号源VG1から交流信号が与えられ、受光部キャパシタCdの他方端には、信号源VG2から交流信号が与えられる。ノードncの電位が、出力信号として、トランジスタTaを介して、赤外線センサIRSから出力される。トランジスタTaは、スイッチング信号Sswにより、選択的に導通状態または遮断状態とされる。
【0027】
図2は、信号源VG1およびVG2により、赤外線センサIRSに与えられる信号波形を示す図である。
【0028】
基本的には、参照用キャパシタCrefと受光部キャパシタCdの各々を、信号源VG1およびVG2からの振幅が同じで互いに位相が反転した1対の正弦波で駆動すると、赤外線に対する熱応答の差から共通電極ノードncに出力電圧が発生する。このとき、2つのキャパシタの容量は理想的には同じでなければならない。
【0029】
しかしながら上述のとおり、実際には成膜時の膜厚や膜質のばらつき、リソグラフィ時のキャパシタの面積のばらつき、およびリーク抵抗成分などで、2つのキャパシタCdおよびCrefの容量には数パーセントの差が存在する。
【0030】
一方、赤外線による容量の変化量は、赤外線光量にもよるが、典型的には、もともとの容量の0.1%以下である。振幅数Vで素子を駆動するとすれば、赤外線による信号は数mV以下となるが、そのままで、たとえば、8〜12ビットADコンバータなどを用いてデジタルデータとして撮像系に取込むには、ノイズや分解能から考えて、信号レベルは小さすぎる。
【0031】
そこで、100倍程度の増幅が必要になるが、容量のばらつきによる信号(オフセット)も同時に100倍に増幅されてしまうので、増幅系が飽和してしまうことになる。あるいは、大きなオフセットに隠れて赤外線応答の信号成分を得にくくなってしまう。したがって、受光部キャパシタCdと参照用キャパシタCrefの容量値の差を補正する必要がある。
【0032】
このような容量値の差の補正のためには、素子駆動正弦波パルスの振幅と位相を各素子ごとに変更することによって、オフセット値を調整することが可能である。
【0033】
図2では、例として、信号源VG2から出力される信号を、信号源VG1から出力される信号の反転信号から、位相差δθだけずらした状態を示している。さらに、必要に応じて、信号源VG2からの出力信号の振幅も変化させる。
【0034】
このようにして、駆動パルスの位相および振幅の調整による電気的な補正では、たとえば、素子の外部にコンデンサ等を外付けすることで補正する場合に比べて、センサアレイの外部の信号源から出力される信号の位相・振幅を調整すれば良いだけなので、温度の変化による出力のドリフトなども容易に補正することができる。
【0035】
なお、図2では、参照用キャパシタCrefと受光部キャパシタCdの各々を、信号源VG1およびVG2からの振幅が同じで互いに位相が反転した1対の正弦波で駆動する状態を基準として、駆動信号の位相および振幅を赤外線検出センサごとに変化させる構成としたが、本発明は、このような場合に限定されることなく、信号源VG1およびVG2からの信号は、互いに位相が反転した1対の信号を基準とするのであれば、正弦波に限定されるものではない。
【0036】
[2次元赤外線センサアレイシステムの構成とその駆動方式]
図3は、上述したような素子駆動正弦波パルスにより補正を行なうことが可能な赤外線2次元センサアレイおよびその駆動回路の構成を説明する概略ブロック図である。
【0037】
図3を参照して、赤外線センサアレイ10は、m(列)×n(行)個(m,n:自然数)のアレイ状に配置された容量変化型赤外線検出センサを備える。各赤外線検出素子が、画素に対応している。さらに、このm×n個のセンサは、1×n個のセンサからなるラインセンサがm個繰り返されるのと等価な構成となっており、このm個のラインセンサから、並列してm個のデータを読出す構成となっている。
【0038】
以下では、説明の簡単のために、赤外線センサアレイ10は、たとえば16×16の赤外線検出センサが行列状に配置されたものであり、この16×16アレイは、各々独立した1×16ラインセンサの繰返し配列として構成されるものとする。
【0039】
1×16ラインセンサの繰返し配列とする理由は、各列から並列に同時に画素出力データが得られ、2次元全画素データを直列・時系列に出力する場合に比べて、フレームあたりのデータ読出しを高速化できるからである。さらに、アレイ内では不良画素発生時のライン間相互の影響が小さくなるという利点もある。
【0040】
16×16センサアレイには、パーソナルコンピュータ100により制御されるフィールドプログラマブルゲートアレイ(以下、FPGA:Field Programable Gate Array)110により、各列ごとに駆動用正弦波が補正されて印加され、選択された行に属する赤外線検出センサの駆動が行なわれる。
【0041】
ここで、FPGA110により計算された補正された正弦波の値は、各ラインセンサごとに設けられたD/Aコンバータ120.0〜120.15により、それぞれ対応するラインセンサ中の赤外線検出センサに与えられる。さらに、FPGA110によりD/Aコンバータ120.16が制御されて、その出力により全画素について参照キャパシタCrefが駆動される。
【0042】
一方、FPGA110は、赤外線センサアレイ10中の行の選択を行なうために、赤外線検出センサIRSのトランジスタTaを駆動するための信号Ssw0〜Ssw15を出力する。すなわち、FPGA110は、16×16の2次元アレイから得られる赤外線フレーム画像をスキャンするために、各ラインセンサ中の選択される行に属する赤外線センサのスイッチングトランジスタを順次選択していく。
【0043】
16×16赤外線センサアレイから読出されたデータは、各ラインセンサごとに設けられるアンプ130.0〜130.15により増幅された後、バンドパスフィルタ140.0〜140.15で所望の周波数を含むできるだけ狭い周波数領域の成分のみが抽出された後、A/Dコンバータ150.0〜150.15によりデジタル信号に変換されてFPGA110に与えられる。
【0044】
上述したとおり、素子からの信号は数mV以下であるので、増幅を行なうことが必要である。また、デジタル回路部から発生する高周波ノイズや、誘電体膜および処理回路の歪みによると考えられる高周波成分をできるだけ少なくするとともに、電源の有する60Hzの成分や直流成分もカットする必要がある。そのため、図3に示した構成ではバンドパスフィルタ140.0〜140.15が設けられている。
【0045】
FPGA110では、このようにして得られた各ラインセンサからのデジタル信号を、後に説明するようにフーリエ係数の計算を行なうことで、入射赤外線に起因する信号成分のみの抽出を行なう。
【0046】
このようにしてFPGA110においてフーリエ係数の計算が行なわれたデータは、パーソナルコンピュータ100に返信され、パーソナルコンピュータ100において最終的に赤外線2次元イメージが構成されて、ディスプレイ(図示せず)上に出力される。
【0047】
図4は、図3において説明した2次元赤外線センサアレイ10およびFPGA110の構成を説明するための概略ブロック図である。なお、図4においては、説明の簡単のために図3のセンサアレイ10の構成のうち、2行2列分のみを抜き出して図示している。
【0048】
以下、図4にしたがって、その構成および処理の流れについてさらに詳しく説明する。
【0049】
各画素に対応する赤外線センサに与える駆動用正弦波は、スイッチング時のノイズやフィルタの過渡応答などを考慮すると、1画素に最低でも複数回、たとえば8パルス程度与えた上で、積算値を求める必要がある。一方で、駆動正弦波の周波数は、赤外線検出センサに用いられる強誘電体膜の誘電率の周波数特性等に起因して、たとえば、1kHz程度が適している。
【0050】
したがって、1画素の駆動には、上述の例では、最低8mS必要となる。つまり、16×16の2次元アレイを駆動する場合に、駆動正弦波源が1対のみでは、全画素を駆動して一巡する時間(フレーム時間)は、最小でも2048mS必要となる。これは、2秒間に1コマの画像が得られることに相当する。しかしながら、ほぼリアルタイムで赤外線画像を得るためには、1秒に5コマ以上(フレーム時間:200mS以下)のレートで画像データが読み出されることが望ましい。
【0051】
そこで、図3および図4に示した2次元赤外線センサアレイ10を駆動する駆動正弦波は、D/Aコンバータ120.0〜120.15により、同時に16対生成することとし、2次元センサアレイの各列に対応する16個の画素を同時に独立に駆動することにより、フレーム時間の短縮を図っている。一方で、参照用キャパシタCrefの駆動用正弦波は、全画素共通でよいので、D/Aコンバータ120.16により生成する。したがって、駆動正弦波は、同時に17個(受光部キャパシタ用16個と参照用キャパシタ用1個)を生成することになる。
【0052】
このため、FPGA110は、パーソナルコンピュータ100からの制御に応じて、駆動波形計算部1104において、同時に17個の振幅と位相の異なる正弦波のデータを計算する。さらに、FPGA110は、駆動波形計算部1104の計算結果に応じてD/A制御部1106によりD/Aコンバータ120.0〜120.16を制御して、バッファ121.0〜121.16からの出力波形をセンサアレイ10中の各赤外線検出センサに印加する。
【0053】
ここで、赤外線検出センサを2次元アレイ状に配列した場合は、ラインセンサに比べてその画素数が増加する上に、分解能を上げるためには一層の画素数の増加が必要になる。したがって、FPGA110上のメモリに個々の赤外線検出センサの各々について最適な振幅と位相を記憶させるとすると、FPGA110上に大規模なメモリが搭載されていることが必要である。
【0054】
むしろ、図4に示したシステムでは、各画素についての振幅および位相の補正値に対応したデータはパーソナルコンピュータ100中のメモリに保存し、駆動する画素を切換える前に最大16画素分のデータをパーソナルコンピュータ100からFPGA110に送信する構成としている。これにより、FPGA110上に容量の大きなメモリを搭載する必要がなくなる。
【0055】
FPGA110は、このようにしてセンサアレイ10の各列に属する赤外線検出センサのうち、読出し対象となる行に対応する赤外線検出センサについて、予め設定されている補償値に基づいて、最適な振幅および位相の駆動信号を計算し、D/Aコンバータ120.0〜120.15は、対応する列に対して駆動信号を出力する。
【0056】
さらに、FPGA110中のスイッチング制御部1108は、パーソナルコンピュータ100から与えられるスイッチングタイミングのデータと水晶発振器(図示せず)から与えられる正確なクロック信号に基づいて、センサアレイ10の行を順次選択するためのスイッチング信号を発生する。
【0057】
一方で、パーソナルコンピュータ100が、16個のA/Dコンバータ150.0〜150.15から同時に信号を取込むためには、それに対応した入出力インターフェイスをパーソナルコンピュータ100が備える必要がある。さらに、パーソナルコンピュータ100に対するデータ転送速度と計算速度の制約から、フーリエ係数計算もパーソナルコンピュータ100上で同時に行なうということは現実的でない。
【0058】
そこで、図4で示した構成では、FPGA110中のA/D制御部1101が16個のA/Dコンバータ150.0〜150.15の制御を行ない、かつ、FPGA110上のフーリエ係数計算部1112が、16画素分のフーリエ係数計算を行なって、その結果をインターフェース部1102を介してパーソナルコンピュータ100に送信する構成としている。
【0059】
もちろん、画素数がより大規模化した場合は、図4中のFPGA110で実現される機能と、パーソナルコンピュータ100上で実現される機能とを統合して専用LSIを設け、画素の駆動を行なう構成とすることも可能である。
【0060】
一方、パーソナルコンピュータ100は、撮像全体のコントロールと画像表示を行なう。このとき、図4に示すように、各画素ごとに最適な振幅と位相を調整するにあたり、パーソナルコンピュータ100からコントロールを行なうのであれば、そのソフトウェアの実装は比較的容易に行なうことができる。また、計測画像データからフィードバックにより最適なオフセット調整を行なうことが可能となる。
【0061】
[FPGA110の構成]
図5は、図4に示したFPGA110の構成をより詳しく説明するためのブロック図である。
【0062】
図5を参照して、パーソナルコンピュータ100とのインターフェイス部1102中のデータ・コマンドインターフェース部2102は、パーソナルコンピュータ100からのコントロールコードに従い、パーソナルコンピュータからのデータの受信を行なって、FPGA110中の各部にデータを送信する。また、データ・コマンドインターフェース部2102は、コントロールコードに従い、FPGA110の各部から受取ったデータをパーソナルコンピュータ100に送信する。
【0063】
一方、図4では図示省略されていた基準タイミング生成部2104は、パーソナルコンピュータ100から与えられるデータと水晶発振器からのクロック信号に基づいて、駆動用波形計算のタイミング、A/Dコンバータのデータ取込タイミング、フーリエ係数計算タイミング、データの記憶およびパーソナルコンピュータ100とのインターフェイス部へのデータ送出タイミングおよび赤外線検出センサのスキャニングのためのスイッチングのタイミングを発生する。
【0064】
ここで、パーソナルコンピュータ100からの受信データとしては、たとえば、素子の横方向のアドレス(列アドレス)および縦方向のアドレス(行アドレス)や、各赤外線検出センサに対応した駆動用正弦波の振幅と位相のデータがある。また、パーソナルコンピュータ100への送信データとしては、たとえば、各赤外線検出センサからのフーリエ係数と、選択された赤外線検出センサへの切換後の経過時間である。
【0065】
駆動波形計算部1104中の振幅・位相データ記憶部2106は、パーソナルコンピュータ100からインターフェイス部1102を介して送られてくる駆動波形の振幅と位相のデータを、センサアレイ10内の赤外線検出センサごとに記憶する。振幅・位相データ記憶部2106は、各素子を駆動する波形を発生するための駆動波形計算回路2108.0〜2108.16に、適切なタイミングでデータを送る。なお、駆動波形計算回路2108.16については、参照波の波形を計算するため、振幅・位相データ記憶部2106からデータを送らずに、波形を発生するためのデータは固定値としてもよい。
【0066】
駆動波形計算回路2108.0〜2108.16は、振幅・位相データ記憶部2106から送られるデータと、基準タイミング生成部2104から送られる計算の基準タイミングをもとに、各瞬間におけるD/Aコンバータ120.0〜120.16のデータを計算し、D/A制御回路2110.0〜2110.16にデータを送る。なお、駆動波形計算回路2108.16およびD/A制御回路2110.16は、参照電極キャパシタCrefの駆動用である。参照キャパシタ駆動用を含め、並列に17個の駆動波形計算回路2108.0〜2108.16が設けられている。
【0067】
D/A制御部1106中のD/A制御回路2110.0〜2110.16は、D/Aコンバータ120.0〜120.16をコントロールし、駆動波形計算回路2108.0〜2108.16より送られるデータをD/Aコンバータ120.0〜120.16に送出する。D/A制御回路2110.0〜2110.16も、並列に17個設けられている。
【0068】
A/D制御部1110中のA/D制御回路2112.0〜2112.15は、基準タイミング生成部2104より送られたタイミングに従って、A/Dコンバータ150.0〜150.15をコントロールし、A/Dコンバータ150.0〜150.15からのデータの取込みを行なう。A/D制御回路2112.0〜2112.15は、並列に16個設けられている。
【0069】
フーリエ係数計算部1112は、フーリエ係数計算回路2114と、フーリエ係数記憶部2116とを備える。フーリエ係数計算回路2114は、基準タイミング生成部2104より送られるタイミングに従って、A/D制御回路2112.0〜2112.15より送られるデータを用いて、センサアレイ10の列ごとに16個のフーリエ係数の計算を行なう。さらに、計算結果をフーリエ係数記憶部2116に送出する。
【0070】
フーリエ係数記憶部2116は、フーリエ係数計算回路2114より送られたフーリエ係数を素子ごとに記憶し、基準タイミング生成部2104より送られるタイミングに従って、インターフェイス部1102を介してパーソナルコンピュータ100にフーリエ係数を送出する。
【0071】
スイッチング制御部1108中のスイッチングパルス生成部2118は、各赤外線検出センサ中のスイッチング用トランジスタTaを適切なタイミングでオンオフさせるためのパルスを、基準タイミング生成部からのタイミングに従って生成する。
【0072】
[制御用パーソナルコンピュータ100の構成]
図6は、パーソナルコンピュータ100の構成の一部を抜き出して示す概略ブロック図である。
【0073】
図6を参照して、マンマシンインターフェイス部3002は、ユーザによりキーボード3000から入力された各パラメータを、画像表示用パラメータ設定部3004と画素駆動パラメータ記憶部3006に送る。
【0074】
画像表示パラメータ設定部3004は、画像表示時に用いるパラメータ、たとえば、各画素の「ゼロベクトル」や「感度係数」をキー入力に従って設定し記憶する。画像データ計算部3008がセンサアレイ10の出力に基づいて、画素の「ゼロベクトル」を算出し、画像表示パラメータ設定部3004は、この算出された値を受取る。各画素の「ゼロベクトル」とは、後に説明するように、センサアレイ10中の各赤外線検出センサについて、赤外線が未照射の状態での出力の複素フーリエ係数のベクトルを意味する。
【0075】
画像データ計算部3008は、たとえば、24ビットのデータ幅でFPGA110とデータの送受信を行なうI/Oカード部3014により、各画素ごとの信号(フーリエ係数)を受取り、画像表示パラメータ設定部3004から送られる各画素のゼロベクトルや感度係数を用いて表示データを計算する。画像データ計算部3008の計算結果に基づいて、画像表示部3010は、パーソナルコンピュータ100の画面に、測定対象の温度分布を反映した擬似カラー画像を表示する。
【0076】
画素駆動パラメータ記憶部3006は、後に説明する手順にしたがって、各画素駆動の最適な位相と振幅のデータを記憶する。位相と振幅のデータは、マニュアルキャリブレーション時には、マンマシンインターフェイス部3002より受取り、自動キャリブレーション時には、画像データ計算部3008より受取る。
【0077】
素子駆動パラメータ計算部3012は、画素駆動パラメータ記憶部3006より各画素の位相と振幅のデータを受取り、画素のアドレスを計算して適切なタイミングでI/Oカード部3014へデータを送出する。
【0078】
I/Oカード部3014は、FPGA110との通信・制御を行ない、FPGA110から各画素のフーリエ係数と、選択される赤外線検出センサの行の切換後の経過時間を受信し、FPGA110に各画素のアドレスと振幅および位相のデータを送信する。
【0079】
なお、以上の説明では、パーソナルコンピュータ100の外部インターフェースは、I/Oカード部3014であるものとしたが、もちろん、所定のビット幅と所望の速度でデータの授受を行なえるものであれば、他のインターフェースによってもよい。
【0080】
[赤外線2次元センサアレイシステムの動作]
以下では、パーソナルコンピュータ100において、各種パラメータをマン・マシンインタフェースにより設定する手続き、および各部の動作について、さらに詳しく説明する。
【0081】
再び、図3および図4を参照して、コントロール用パーソナルコンピュータ100は、各種パラメータ設定と画像表示およびFPGA110との通信・制御や、各画素の最適な振幅位相のデータ保持とオフセット調整処理を行なう。
【0082】
したがって、コントロール用パーソナルコンピュータ100は、FPGA110のコントロールや画像表示、キャリブレーション(オフセット調整)などの機能を果たすために以下のような動作および制御を行なう。
【0083】
i) ノーマルスキャン
画素からの信号をFPGA110を通してパーソナルコンピュータ100に取込み、擬似カラー化して2次元画像として表示する処理を行なう。このとき、ユーザからの指示に従って、後述する「ゼロベクトル値」の更新を行なう。
【0084】
ii) マニュアルキャリブレーション
画素を固定してキャリブレーション(オフセット調整)を行なう。
【0085】
パーソナルコンピュータ100の画面上にフーリエ係数の実軸係数と虚軸係数がリアルタイムに表示されるので、その画面表示を見ながらユーザからの指示で、画素に与える駆動正弦波の振幅と位相を変化させる。
【0086】
マニュアルキャリブレーション時にも、ユーザからの指示で固定された画素のゼロベクトル値を更新できる。
【0087】
iii) 自動キャリブレーション
ノーマルスキャン時に、キャリブレーションを自動で行なう。同時に横の画素数(最大16画素)分のキャリブレーションを一括して行なえるので、高速にキャリブレーションが終了する。
【0088】
iv) 経時変化の測定
マニュアルキャリブレーション時にユーザからの指示に応じて、横の画素数分のデータを最大2万点分まで記憶し、キャリブレーション終了時に自動的にファイルに保存する。
【0089】
v) キャリブレーション用データの保存
キャリブレーションを行なったときの各画素ごとの位相や振幅、感度のデータを自動的に保存する。計測ソフトを一度終了しても、次に計測ソフトを起動したときに自動的にこのパラメータを読込むことで、素子を変更しない限りパラメータの設定をし直す必要はなくなる。
【0090】
(各種パラメータ設定機能)
赤外線センサを駆動しその信号処理と画像表示を行なうためには、種々のパラメータを設定して、FPGA110のコントロールや計算を行なう必要がある。
【0091】
パーソナルコンピュータ100を用いたマンマシンインターフェイスにより、このようなパラメータの設定を行なう。以下ではこのようにして設定されるパラメータについてさらに詳しく説明する。
【0092】
i) ピクセル数
2次元アレイの画素数を、縦の画素数×横の画素数で表わす。なお、1×16と16×1は意味が異なり、1×16ではD/AコンバータやA/Dコンバータなどすべての処理が16個同時(並列)に行なわれ、スイッチングを行なうことはない。これに対して、16×1では処理は1画素ずつ行ない、16画素をスキャンする。したがって、同じ画素数でも1×16の方が16倍高速に全画素のデータを取込むことができる。
【0093】
ii) 表示の設定
後に、FPGA110の動作において詳しく説明するように、各画素のデータのフーリエ係数計算を行なう場合には、駆動正弦波に起因して出力される信号に対して、位相が同相の成分とπ/2ずれた成分を計算することになる。
【0094】
便宜上、同相成分を「実軸係数X」と呼び、π/2ずれた成分を「虚軸係数Y」と呼ぶことにする。
【0095】
図7は、フーリエ係数を係数Xと係数Yの2次元ベクトルで表現した場合において、赤外線非照射時と赤外線照射時のベクトルを表す概念図である。
【0096】
ここで、赤外線非照射時とは、たとえば、赤外線2次元センサアレイを搭載した赤外線カメラにおいて、赤外線2次元センサアレイへの入射赤外線を遮断するために、シャッタを閉じた状態を意味する。
【0097】
本来、赤外線非照射時のベクトルはオフセットの調整を行なうことで、その大きさが0となるべきものであるが、実際には、完全に0にすることは困難である。また、赤外線検出センサの出力のドリフトも存在するので、このベクトルは赤外線非照射時にも有限の値を持つ。
【0098】
そこで、赤外線非照射時の各画素のベクトル(「ゼロベクトル」)を記憶しておき、画像表示時にはゼロベクトルと赤外線照射時のベクトルとの差のベクトルの大きさに基づいて、各画素の赤外線レベルを導出して表示する。たとえば、差のベクトルの絶対値を赤外線の検出レベルとすればよい。
【0099】
iii) ゼロベクトルの取込み
上述したゼロベクトルは、時間および環境温度によりドリフトするので、随時更新する必要がある。したがって、パーソナルコンピュータ100から、ゼロベクトルのX・Y値を取込むことを指示すると、ノーマルスキャン時およびキャリブレーション(オフセット調整)時に記憶しているゼロベクトルの値を更新する。
【0100】
iv) ドライブ時間
1画素を駆動する時間を、たとえば、ミリ秒(mS)単位で入力する。この時間に縦の画素数を掛けた時間が、1フレームの時間になる。画素の切換時のノイズや過渡状態を避けるために、データ取込は画素切換後3mS後に開始する。したがって、データ取込時間はドライブ時間から3mSを引いた時間である。
【0101】
v) 自動キャリブレーションの設定
キャリブレーション(オフセット調整)を行なっても、ゼロベクトルは完全には0にならない。手動で行なう場合は人間が最小値を判断できるが、自動で行なう場合は収束条件が必要である。そこで、ゼロベクトルのX、Yの各係数の収束条件を「キャリブレーションの変化」と「正側・負側」により決定する。
【0102】
たとえば、Xの係数の偏差を5、負側とすれば、ゼロベクトルのXに対しては0>X>−5になった場合に収束したと判定する。
【0103】
vi) 各ピクセルの設定
各画素の感度やドリフトの方向などが異なるため、表示やキャリブレーションのパラメータを画素ごとに設定する必要がある。設定する画素をパーソナルコンピュータ100上の画面で指定した後、感度係数を入力することで、各画素ごとの感度の相違点を考慮した補正を行なうことが可能となる。
【0104】
vii) 経時変化測定の設定
経時変化を測定する際の時間間隔等設定を行なうこともできる。データの取込タイミングを指定すると、1回の測定時間と測定点間隔から時間間隔を計算して表示することになる。
【0105】
[I/Oカード部3014の機能と動作]
FPGA110と通信し制御を行なうためのインターフェイスであるI/Oカード部3014の機能と動作を以下にさらに説明する。
【0106】
i) 通信データの内容
パーソナルコンピュータ100から送信されるデータとしては少なくとも以下のものが必要である。
【0107】
すなわち、各画素の駆動用正弦波の片側振幅11ビットと位相の9ビットのデータ、どの素子のデータを送受信しているかを指定するためのアドレスの4ビットのデータ、素子駆動の開始や停止を行なうためのメインコントロールコードである。
【0108】
また、FPGA110からの受信データは次のようなものがある。
各画素のフーリエ係数の実軸と虚軸の係数それぞれ16ビットずつのデータおよびスイッチング後の経過時間8ビットのデータである。ここで、FPGA110からの経過時間のデータを用いるのは、パーソナルコンピュータ100は、OSの割込のため、1mS単位で正確な時間計測を行なうことができないからである。
【0109】
これらをすべて同時に送受信するためには、出力26ビット入力40ビットの合計66ビットが必要であるが、これだけのビット幅を持つI/Oポートやカードは、汎用のパーソナルコンピュータには存在しない。また、FPGA110側にもこれだけのI/Oピンを通信に割当てる余裕が存在しない。
【0110】
そこで、入出力の内容をコントロールするためのデータコントロールコード4ビットを追加し、代わりにデータの同時送受信を行なわないようにし、また各データを8ビット以下に分割するなどしてビット幅を縮小する構成としている。
【0111】
実際に用いるI/Oカードは、24ビット幅(8ビット×3ポート)であるので、次のようなビットの割当が行なわれる。
【0112】
1)Aポート:出力
0〜5ビット:振幅と位相データ
6,7ビット:メインコントロールコード
2)Bポート:入力
0〜7ビット:フーリエ係数X,Yおよび素子切換後経過時間
3)Cポート:出力
0〜3ビット:データコントロールコード
4〜7ビット:素子アドレス
ii) 通信データ速度と通信フロー
FPGA110が素子(赤外線検出センサ)を駆動してフーリエ係数の計算を行なう場合、上に述べたように画素を切換えてから所定の時間、たとえば3mSの間は過渡状態であるため、A/Dコンバータ150.0〜150.15によるデータの取込とフーリエ係数の計算を行なわない構成としている。
【0113】
つまり、この過渡状態の期間は、FPGA110上のメモリは、前に駆動していた画素のフーリエ係数のデータを保持している。
【0114】
したがって、パーソナルコンピュータ100がFPGA110と通信を行なう場合、この過渡状態の期間の間にFPGA110からフーリエ係数を1行分、たとえば、本実施の形態では最大16画素分受信する必要がある。
【0115】
つまり、1画素あたり32ビット(4バイト)のデータを受信するので、最大64バイトを3mSの間に受信しなければならない。ただし、実際には、どの画素のどのデータを受信するかをFPGA110にデータコントロールコード(4ビット)と送信アドレス(4ビット)の1バイトを用いて通知するので、通信時は倍の128バイトになり、1バイトあたりの通信時間は、約23μS以内でなければならない。
【0116】
FPGA110がある画素(同時に最大16個)を駆動している間に、パーソナルコンピュータ100は次の画素を駆動するための振幅と位相データ合計20ビット(実際には送信のデータビット幅は6ビットなので、4バイト分のデータに相当)を画素数分だけ(最大64バイト)、FPGA110に送信する必要がある。
【0117】
FPGA110がA/Dコンバータ150.0〜150.15のデータを取込み、フーリエ係数を計算する時間は、たとえば最小5mS(過渡時間と合わせると、1画素の駆動時間を最小8mS)であるので、この時間内にパーソナルコンピュータ100からFPGA110に送るコントロールコードと合わせて128バイトを送受信しなければならない。かつ、先に受信したフーリエ係数を用いて画像表示も行なわれる必要がある。
【0118】
図8は、このような送受信のフローを示すフローチャートである。
図8を参照して、パーソナルコンピュータ100のI/Oカード部3014は、すでに駆動を行なって読み出されたデータに基づいてFPGA110において計算が終了した1行分(16画素分)のフーリエ係数を受信する(ステップS100)。
【0119】
さらに、I/Oカード部3014は、センサアレイ10の選択される行の切換を行なってからの経過時間をFPGA110から受信しており(ステップS102)、パーソナルコンピュータ100は、切換から所定の過渡応答時間、たとえば、3mSが経過したかの判断のループ処理を行なう(ステップS102、ステップS104)。
【0120】
3mSが経過したと判断されると(ステップS104)、パーソナルコンピュータ100からFPGA110に対して、フーリエ係数計算開始の命令が送信される(ステップS106)。FPGA110では、これに応じて、A/Dコンバータ150.0〜150.15からデータの読出しが行なわれて、フーリエ計算回路2114でフーリエ係数の計算が順次行なわれ、計算結果はフーリエ係数記憶部2116に格納される。上述したとおり、1行分のフーリエ係数の計算には、たとえば、5mSかかるとすると、FPGA110において、素子の切換から過渡応答期間の3mS経過し、さらにフーリエ係数計算開始命令の送信から5mS経過後、すなわち、素子の切換から8mS[=3(mS)+5(mS)]経過後には、フーリエ係数記憶部2116に対する、新たに計算されたフーリエ係数の格納が終了することになる。
【0121】
一方、パーソナルコンピュータ100は、フーリエ係数計算開始の命令の送信後、続いて、次に選択される行に属する赤外線検出センサについて駆動波形の振幅と位相をFPGA110に対して送信する(ステップS108)。
【0122】
ステップS100で受信したデータに基づいて画像表示用のデータを計算し、画像表示が行なわれる(ステップS110)。
【0123】
画像表示のための処理の終了後、続いて、パーソナルコンピュータ100は、素子の切換からフーリエ係数の計算の終了が期待される時間、たとえば、上述の条件では、8mSが経過したかの判断のループ処理を行なう(ステップS112、ステップS114)。
【0124】
8mSが経過したと判断されると(ステップS114)、パーソナルコンピュータ100からFPGA110に対して、素子の切換、すなわちセンサアレイ10の選択行の切換の命令が送信される(ステップS116)。
【0125】
以後は、処理は、ステップS100に戻って、同様の処理を繰り返す。
[FPGA110の動作の詳細]
FPGA110は、上述のとおり、素子駆動用正弦波用のデジタルデータ計算と、D/AコンバータおよびA/Dコンバータの制御、フーリエ係数計算、パーソナルコンピュータ100との通信など、撮像システムの全体の制御およびデータ出力を行なう。以下では、その動作について、さらに詳しく説明する。
【0126】
a) 素子駆動用正弦波の計算
素子を駆動するためにD/Aコンバータ120が使用されている。たとえば、このD/Aコンバータ120の仕様としては、5ボルト単一電源で12ビットの分解能(最大出力4095mV、分解能1mV)である。
【0127】
赤外線照射による素子からの出力は数mV以下と考えられるので、素子のばらつきによる出力(オフセット)は1mV以下程度まで抑える必要がある。
【0128】
図1に示した等価回路により、素子駆動用正弦波の振幅を1mV変化されると、出力振幅は0.5mV変化する。
【0129】
つまり、正弦波の振幅を1mV単位で変化させれば、オフセットは最大0.25mVまで小さくすることが可能である。また、FPGA110に与えるクロック周波数は、速いほどFPGA110が高速動作するものの、このクロック周波数が速すぎるとD/Aコンバータ120.0〜120.16の動作が追いつけなくなってしまう。また、高速動作に伴う不要輻射に起因するノイズも増加する。
【0130】
そこで、クロック周波数は、特に限定されないが、たとえば、16MHzとする。この周波数で1kHzの正弦波の出力タイミングを制御すると、位相分解能は360度を16000で割って、0.0225度となる。シミュレーションの結果、振幅3.5V時に0.0225度位相を変化させると、出力が約0.6mV変化するとの結果が得られた。位相を0.0225度単位で調整すれば、オフセットは最大約0.3mVになる。
【0131】
以上から、オフセット調整に、分解能1mVのD/Aコンバータ120.0〜120.16と16MHzのクロックを用いれば、オフセット調整能力は十分であるといえる。
【0132】
図9は、D/Aコンバータ120.0〜120.16により出力する正弦波の波形を模式的に示す図である。
【0133】
正弦波をD/Aコンバータ120により出力する場合、図9(a)に示すように、データ出力タイミングを一定にして、振幅の変化量を変えていくことにより正弦波にする方法と、図9(b)に示すように、振幅の変化量を一定にしてデータ出力タイミングを変化させる方法とが考えられる。
【0134】
どちらの場合も階段波形となるが、前者の場合の振幅の変化量の最大値は、後者の場合の振幅変化量の一定の場合のπ/2倍(約1.6倍)となる。2つの正弦波の差を測定するシステムでは、駆動波形が滑らかな正弦波であれば、信号中に階段波形は存在しないが、階段波形の場合には、ステップ状変化に信号中にノイズとして重畳する。したがって、この変化量はできるだけ小さい方が望ましいと考えられるので、本システムにおいては後者の方法(図9(b))を採用している。
【0135】
用いられるD/Aコンバータ120.0〜120.16のデータ受信時間と変換時間の合計は、たとえば、およそ2μSであるので、この場合は、データの出力間隔は2μS以上が必要である。
【0136】
図9(b)に示した後者の方法で、1kHzを256分割(2の8乗)した場合、最小のデータ出力間隔が約2.3μSとなる。したがって、上記のような条件の下では、1周期を256分割として、システムを動作させればよい。
【0137】
正弦波はπ/2周期で左右や上下に反転した波形になるので、この正弦波を表現するためには、たとえば、1周期を4分割し、これを64個の点(0番目から63番目)で表わせばよい。この場合、正弦波を63段階の波形で表現することになる。
【0138】
今、n番目の点の電圧値V(n)は、パーソナルコンピュータ100から与えられる片側振幅値をVpcとすると、以下の式で表わすことができる。
【0139】
V(n)=Vpc×n÷63+DCオフセット
ただし、63で割る回路は回路規模が大きくなるので、単に下位6ビットを無視して等価的に64で割った値を用いる構成としてもよい。したがって、この場合は、Vpcの63/64が実際の片側振幅値になる。
【0140】
また、上式の掛算部分をそのままでは11ビット×6ビットで17ビットの大きな掛算回路になり、最大17個をFPGAに実装するのが困難となる。そこで、足算器とシフトレジスタで掛算器を構成し、6クロック(たとえば、約0.4μS)で動作する回路とすることが可能である。
【0141】
位相をシフトさせるためには、2分の1周期ごとに基準パルス(8000クロックごとのパルス)を作成し、この基準パルスからのクロックのカウント数がパーソナルコンピュータ100から与えるシフト数(0.0225度単位)に等しくなった時点で基準遅延パルスを生成し、これから正弦波の出力を始める構成とすればよい。
【0142】
b) フーリエ係数計算
センサアレイ10の赤外線検出センサからの出力信号には、ノイズのほかに歪み成分が重畳しており、たとえば、オシロスコープで出力を観測している場合には、所望の信号は、そのレベルが小さいと、この歪み成分に隠れてしまう。
【0143】
しかしながら、高速フーリエ変換(以下、FFT:Fast Fourier Transform)を行なうことにより、赤外線検出センサの駆動信号の周波数と同じ周波数の所望の信号である、たとえば、1kHzの信号成分の変化を取出せる。
【0144】
FFTのアルゴリズムは複雑で、また、最大16チャネルを同時に計算する必要があるので、その回路を、FPGAに実装することは困難である。ところで、FFTはナイキスト周波数までの全周波数の計算を行なうが、本発明では、上述のとおり、たとえば、1kHzの周波数成分のみを取出せばよいので、より簡単な1kHz固定のフーリエ係数の計算を行なう。
【0145】
信号波形に重畳する歪み信号を考慮すると、特に限定はされないが、サンプリング周波数は4kHz以上が必要である。一般的には、サンプリング周波数は、その必要な大きさの10倍程度を用いるので、図3のシステムでは、たとえば、32kHz(1KHzの2の5乗倍)でサンプリングを行なうこととすればよい。
【0146】
このとき、32kHzでサンプリングされたi番目のデータをZiとすると、1周期分のフーリエ係数Ca(複素数)は次式で表わすことができる。
【0147】
【数1】
ここで、nは32、fは1kHz、jは虚数単位である。
【0148】
上式からフーリエ係数Caは複素平面上のベクトルとなり、上述のとおり、実軸側の係数をX、虚軸側の係数をYと置く。
【0149】
1kHzの正弦波の振幅は、このベクトルの大きさ、サンプリングのタイミングに対する位相差はベクトルのX軸からの回転角で表わされる。複数の周期にわたって上式を計算した場合は、ベクトルの大きさが周期数に比例するが、位相角は変化しない。サンプリングにノイズが含まれる場合は、周期数の平方根に比例してS/Nが向上する。
【0150】
上式を実行するための回路をFPGA110に実装する場合、サンプリングのタイミングは決まっているので、サンプリングデータに乗ずるサインやコサインの関数は32種類の決まった数値になる。実際にはこれらの関数はπ/2周期で左右や上下に反転した形なので、8個の数値を用いるだけでよく、この8個の係数値をFPGA110のフーリエ係数記憶部2116中のROM(Read Only Memory)テーブルに記録させる。
【0151】
サンプリングデータは、たとえば、12ビット(1ビットが約1.22mV)であるが、最下位ビットはノイズが大きく意味を持たないので、この場合、上位11ビットのみを計算に使用すればよい。また、オフセット調整後の信号の振幅は増幅後であっても1V以下であるので、サンプリングデータが12ビットの場合は、フーリエ係数の計算に有効なビット数は10ビット以下である。
【0152】
そこで、この8個の係数値は、サンプリングデータを12ビットとするシステムでは、10ビットデータとすればよい。したがって、掛算は21ビット幅が必要である。21ビットの掛算回路は非常に大きな回路となり、また遅延も大きい。したがって、回路規模の抑制のためには、シフトレジスタと足算回路を用いて10クロックで動作する掛算回路を構成することが可能である。この掛算結果の数値を、さらにFPGA110のフーリエ係数記憶部2116中のRAM(Random Access Memory)に加算することにより、フーリエ係数を求める。
【0153】
本システムでは、一例として、21ビット整数を1周期に32(2の5乗)回加算し、最大256(2の8乗)周期まで加算することにしたので、最大34ビットになる可能性がある。しかしながら、実際の最大振幅は1V以下と考えられるので、この足算は31ビット幅で行なうこととすることができる。
【0154】
また、このような構成の場合は、31ビット中下位ビットは、計算後は、ノイズのため意味をなさないので、本システムでは、パーソナルコンピュータ100に送信するデータは下位15ビットを無視して上位16ビットのみとしてもよい。
【0155】
振幅(ピークツーピーク)が1Vの1kHz正弦波に対して、1周期分の上記の計算を行ない、下位15ビットを無視すると、フーリエ係数(ベクトル)の大きさ(ベクトルの長さ)は約102となる。
【0156】
これから、計算を行なった周期をN、計算されたフーリエ係数の大きさをFとすれば、実際の信号強度Vは次式で与えられる
V=F/N/102
歪成分の高調波が重畳した実際の信号波形(160倍の増幅後)において、オシロスコープ付属のFFT機能により求めた1kHzの振幅が12.6mVのとき、125周期のフーリエ係数計算により上式から求められる振幅値は12.9mVとなり非常によく一致していることが確認された。
【0157】
[アナログ信号処理部およびA/Dコンバータ]
図3に示した赤外線2次元センサアレイ10では、赤外線検出センサからの信号は数mV以下であるので増幅が必要である。また、デジタル回路部から発生する高周波ノイズや、誘電体膜および処理回路の歪みによると考えられる高周波成分をできるだけ少なくするとともに、60Hz成分や直流成分もカットする必要がある。そのためにバンドパスフィルタ140.0〜140.15を使用する。
【0158】
しかしながら、フィルタの遮断特性を急峻にすると過渡特性が長くなり、1画素当りの駆動時間も長くする必要が生じる。したがって、フィルタの遮断特性にも最適な次数が要求される。これらを考慮して設計されたアナログ回路部であるバンドパスフィルタ140.0〜140.15について、さらに説明しておく。
【0159】
たとえば、駆動正弦波の周波数を1kHzとすると、出力信号には、それに対する高調波の歪が現れる。
【0160】
そこで、60Hz成分や直流成分と、この歪成分をカットすることを考慮して、バンドパスフィルタ140.0〜140.15を、たとえば、中心周波数1kHz、利得45dB(180倍)の特性を有するように設計する。
【0161】
図10は、このようなバンドパスフィルタ140.0の構成を示す概略ブロック図である。他のバンドパスフィルタ140.1〜140.15の構成も同様である。
【0162】
入力側は、赤外線検出センサからの出力をJ−FETのソースフォロアによって受けている。この回路は5V単電源で駆動する。フィルタへの2.5V入力は、5V電源からツェナダイオードにより2.5Vに低電圧化し、フィルタに安定に供給するためのバッファを使用して生成したものである。
【0163】
(1) 利得周波数特性
図11は、図10に示した回路の利得周波数特性を示す図である。
【0164】
図11(a)はシミュレーション結果であり、図11(b)は実測値である。シミュレーション、実測値ともに中心周波数1kHz成分は約45dBの利得がある。また、1kHz成分に対して2kHz成分は約25dBの減衰がある。
【0165】
(2) 時間応答特性
赤外線センサの1画素当りに必要な駆動時間は、画素切換時のノイズやフィルタの時間応答特性を考慮して決める必要がある。フィルタの帯域幅を狭くすればするほど、ノイズ除去能力は高くなるが、信号が急変したときのフィルタ出力が定常状態に達するまでの時間は長くなる。この時間応答特性のために、波形処理は要求されている精度に落ち着くまでの時間を待ってから行なわないと誤った結果となってしまう。
【0166】
したがって、16×16あるいはそれ以上の2次元アレイにおいては、定常状態に達するまでの時間をなるべく短くする必要がある。
【0167】
図12は、図10に示したバンドパスフィルタの時間応答特性を示す図である。ここで、図12は、バンドパスフィルタに正弦波1kHzの信号を10波形バースト信号として入力したときの出力応答波形である。
【0168】
図12(a)はシミュレーション結果であり、図中の5msから15msまではバースト信号を入力したときの出力応答波形である。図12(b)は実測値であり、図中に示したようなタイミングで信号入力の開始終了を行なったときの出力信号波形である。
【0169】
シミュレーションおよび実測値ともに、立上がり、立下がりの3msの間は信号が安定しない。よって、逆にいえば、以上説明したような測定のパラメータの条件下では、バンドパスフィルタ140.0〜140.15からの出力信号の振幅をFPGA110により、1kHzのフーリエ係数計算する場合に、画素の切換から3ms以降の信号を取込めば、十分な精度のデータを得ることができることがわかる。
【0170】
したがって、以上説明したような構成により、高感度であって、かつチョッパレス、しかも比較的簡易な構造等の特徴を有する容量変化検出型赤外線センサを用いて、センサアレイを実動作させることが可能となる。
【0171】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0172】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の容量変化検出型赤外センサを2次元に配列した赤外線2次元イメージセンサに対する駆動回路および赤外線2次元イメージセンサシステムにより、室温で高感度かつ簡易な構成の赤外線検出回路を実現することができ、高感度かつ高密度画素の室温動作赤外線2次元イメージセンサを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る2次元センサアレイ中の、1つのセンサおよびそれを駆動する回路を等価的に示す図である。
【図2】 信号源VG1およびVG2により、赤外線センサIRSに与えられる信号波形を示す図である。
【図3】 素子駆動正弦波パルスにより補正を行なうことが可能な赤外線2次元センサアレイおよびその駆動回路の構成を説明する概略ブロック図である。
【図4】 2次元赤外線センサアレイ10およびFPGA110の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図5】 FPGA110の構成をより詳しく説明するためのブロック図である。
【図6】 パーソナルコンピュータ100の構成の一部を抜き出して示す概略ブロック図である。
【図7】 フーリエ係数を係数Xと係数Yの2次元ベクトルで表現した場合において、赤外線非照射時と赤外線照射時のベクトルを表す概念図である。
【図8】 送受信のフローを示すフローチャートである。
【図9】 D/Aコンバータ120.0〜120.16により出力する正弦波の波形を模式的に示す図である。
【図10】 バンドパスフィルタ140.0の構成を示す概略ブロック図である。
【図11】 図10に示した回路の利得周波数特性を示す図である。
【図12】 図10に示したバンドパスフィルタの時間応答特性を示す図である。
【符号の説明】
10 赤外線センサアレイ、100 パーソナルコンピュータ、110 FPGA、120.0〜120.16 D/Aコンバータ、Cref 参照キャパシタ、130.0〜130.15 アンプ、140.0〜140.15 バンドパスフィルタ、150.0〜150.15 A/Dコンバータ、1102 インターフェース部、1104 駆動波形計算部、1106 D/A制御部、1108スイッチング制御部、1110 A/D制御部、1112 フーリエ係数計算部、2102 データ・コマンドインターフェース部、2104 基準タイミング生成部、2106 振幅・位相データ記憶部、2108.0〜2108.16駆動波形計算回路、2110.0〜2110.16 D/A制御回路、2112.0〜2112.15 A/D制御回路、2114 フーリエ係数計算回路、2116 フーリエ係数記憶部、2118 スイッチングパルス生成部、3000 キーボード、3002 マンマシンインターフェイス部、3004 画像表示用パラメータ設定部、3006 画素駆動パラメータ記憶部、3008 画像データ計算部、3010 画像表示部、3012 素子駆動パラメータ計算部、3014 I/Oカード部。
Claims (7)
- 行列状に複数の赤外線検出センサが配列された赤外線2次元センサアレイを備え、
各前記赤外線検出センサは、
参照キャパシタと、
前記参照キャパシタと直列に接続され、入射する赤外線に応じて容量値が変化する赤外線検出キャパシタと、
前記参照キャパシタの一方端および前記赤外線検出キャパシタの一方端との接続ノードから、信号レベルの読出しを選択的に行なうためのスイッチ手段とを含み、
前記参照キャパシタの他方端に交流の参照信号を印加するための第1の信号源と、
前記赤外線検出キャパシタの他方端に交流の駆動信号を印加するための第2の信号源とを備え、
前記駆動信号は、前記参照信号と振幅が同じで、位相が反転した信号を基準とし、
前記第2の信号源は、前記信号レベルの読出し対象となる前記赤外線検出センサに応じて、前記駆動信号の振幅および位相を前記基準の値から予め定められた値だけ変化させる、赤外線2次元センサアレイシステム。 - 前記第1の信号源は、前記複数の赤外線検出センサに共通に設けられ、
前記第2の信号源は、前記赤外線2次元センサアレイの列ごとに設けられる複数の信号出力手段を含み、
前記赤外線2次元センサアレイの行を選択して、選択された行に属する前記スイッチ手段を導通状態とするための行選択手段と、
前記赤外線2次元センサアレイの列ごとに設けられ、前記スイッチ手段を介して前記信号レベルを読み出すための複数の信号読出手段とをさらに備える、請求項1記載の赤外線2次元センサアレイシステム。 - 前記複数の信号読出手段の出力から所望の周波数成分の信号を抽出するための信号抽出手段をさらに備え、
前記信号抽出手段は、
前記複数の信号読出手段の出力の各々に対して、前記所望の周波数に対応するフーリエ係数の第1の実数成分と第1の虚数成分を算出する周波数成分演算手段と、
前記第1の実数成分と第1の虚数成分とからなる第1のベクトルと、前記赤外線2次元センサアレイへの赤外線非照射時において、前記複数の信号読出手段の出力の各々に対して前記所望の周波数に対応するフーリエ係数の算出を行なった際の第2の実数成分と第2の虚数成分とからなる第2のベクトルとの差ベクトルに基づいて、赤外線検出レベルを導出する赤外線レベル算出手段とを含む、請求項2記載の赤外線2次元センサアレイシステム。 - 前記第1の信号源から出力される前記参照信号と、前記第2の信号源から出力される前記駆動信号とは、ともに正弦波であり、
前記赤外線検出センサごとに前記駆動信号として印加するべき信号の位相および振幅を記憶する駆動信号パラメータ記憶手段をさらに備える、請求項2記載の赤外線2次元センサアレイシステム。 - 前記所望の周波数は、前記駆動信号の周波数である、請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステム。
- 前記第2の実数成分と前記第2の虚数成分とを、ユーザの要求にしたがって更新するための更新手段をさらに備える、請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステム。
- 前記行選択手段により第1のタイミングで選択された行に対する前記赤外線レベル算出手段による赤外線検出レベルの導出処理の少なくとも一部と、前記第1のタイミング後の第2のタイミングで前記行選択手段により選択された行に対する前記周波数成分演算手段の算出処理とが並行して行なわれる、請求項3記載の赤外線2次元センサアレイシステム。
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