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JP4255294B2 - ガラス光学素子の製造方法及び成形装置 - Google Patents

ガラス光学素子の製造方法及び成形装置 Download PDF

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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形後において研削や研磨を必要としない、高精度のレンズ等のガラス光学素子の製造方法及び成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス光学素子の精密プレス成形においては、プレス時の温度制御、即ち、用いるガラス素材の温度制御及び成形型の温度制御が、成形される光学素子の形状精度や面精度を得る上で極めて重要である。特に、加熱した成形型に、それよりも高温の加熱軟化したガラス素材を供給し、直ちにプレス成形するいわゆる非等温プレスにおいては、ガラス素材を成形型に供給した瞬間から、ガラス素材の熱が成形型に奪われるので、ガラス素材を供給する瞬間の成形型の温度を精度高く管理する必要がある。
【0003】
そのような温度管理の従来技術として、例えば、特許文献1には、誘導加熱方式を使用した光学レンズの成形装置が開示されている。この技術では、1つの誘導加熱コイルの内部に上型と下型を収容した場合、上型側の温度が必然的に高くなったり、その他の理由で上下型に温度差が生じたりする問題が発生するが、それを解決するために、上型と下型の温度差を検出し、その温度差に応じた信号を位置制御回路に送ることにより、誘導加熱コイルを上下に移動させて、上下型を同一の設定温度とするようにしている。更に、同文献には、可飽和リアクトルを用いて、誘導加熱コイルの上下部分の電流の比を変化させることにより、上下型の温度を同一にする技術も開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、一対の成形型に対して、高周波コイルを上下に移動させ、上下型の温度を同一にしたり、あるいは、上下型に温度差を設けることが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、互いに離間した状態で加熱される上下型を備えたガラス成形体の成形装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−270847号公報
【特許文献2】
特開平5−310434号公報
【特許文献3】
特開平11−171564号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の技術では、上下型の平均温度及びその温度差を操作することはある程度可能であるが、コイルを可動にするためには、コイル用駆動手段を成形チャンバ内に設けなくてはならず、構成が複雑化する問題がある。また、例えば、上型の温度が高すぎた場合には、上型の加熱を弱めるべく誘導加熱コイルを下方に移動させて、上型をコイル上端から露出させたりする操作を行うことになるが、そうした場合、逆に下型がコイル内部に深く入ってしまい、結果的に、上下型をそれぞれ所望温度に的確に制御することが難しくなるという問題がある。
【0008】
また、上下型を包囲している誘導加熱コイルに上下型の離間部分に対応した離間部がないので、コイルによる磁束密度の大きい上下型の向かい合った面近傍が最も加熱されやすく、上下型のそれぞれに鉛直方向の大きな温度勾配が生じてしまう。このような大きな温度勾配、即ち、型の上面と下面の間の温度差が生じると、熱変形により成形型に反りが生じ、上下型のレンズ成形面の光軸がずれたり、加圧時の上下型の位置精度に狂いが生じて、成形されるレンズに肉厚不良や偏心不良が生じる原因となる。更に、上下型の位置合わせのために、向かい合う面に互いに嵌合するガイドピンとガイド孔を設けている場合、上記した熱変形によってガイドピンとガイド孔の位置が整合しなくなり、所定の肉厚になるまで加圧できなくなる等などの深刻な問題を発生する可能性もある。このことは、成形面を複数有する成形型による多レンズ同時プレス成形の場合に特に大きな問題となる。
【0009】
更に、特許文献1には、可飽和リアクトルを用いて上下型温度を同一に制御する技術についても記載されているが、可飽和リアクトルを用いると、設備が大掛かりになる上、実際には温度制御できる幅が意外と小さいために、熱容量の大きく異なる上下型を加熱対象とするような場合には、上下型を同一温度に制御することは難しいと思われる。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術では、高周波コイルの中で下型がプレスのために上昇した際に、下型の温度が上昇する影響を避けるためにコイルを上方に移動させるようにしているが、この場合も、特許文献1と同様の問題がある。
【0011】
また、特許文献3には、互いに離間した状態で上下型を加熱する点の記載はあるが、型温度を正確に制御する方法については記載されていない。
【0012】
成形型の温度が精緻に管理されず、所定範囲を超えて高ければ、所定の圧力を与えて加圧成形する段階で、ガラスの粘度が低すぎて成形体の肉厚不良、面精度不良が起きる。逆に温度が所定範囲を超えて低ければ、肉厚、面精度に不良が出るほか、成形体または成形型の破損が起きる懸念がある。
【0013】
例えば、連続的にプレス成形を行い、光学素子を量産する過程では、成形装置周辺の雰囲気温度が変動する。特に、プレス開始後、相当回数のプレス成形が行われるまでの間には、成形装置や近傍の温度が安定せず、上下型の熱サイクルが精度高く再現されない傾向がある。このプレス初期であっても、一回一回の上下型の熱サイクルを正確に制御し、均質な成形体を製造することができるようにするのが、従来の課題であった。
【0014】
そこで、本発明は、簡単な構成で型温度を的確に制御することができ、プレス初期であっても均質な高精度の成形体を製造することのできるガラス光学素子の製造方法及び成形装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のガラス光学素子の製造方法は、光学面を形成するための相対向する成形面を有し少なくとも一方が可動とされた上下一対の成形型を用いてガラス素材をプレス成形することを繰り返し行う工程を含むガラス光学素子の連続的な製造方法において、前記上下の成形型が互いに離間した状態で、上下の成形型の各々を、離間部を挟んで上加熱部及び下加熱部を有する加熱手段によってそれぞれ所定温度に加熱する加熱工程と、前記上下の成形型間で、軟化した状態のガラス素材を加圧成形する加圧工程とを有し、かつ、前記加熱工程ごとに、前記可動の成形型の温度を測定し、測定した温度情報に基づき可動の成形型を、該可動の成形型を加熱する上加熱部または下加熱部に対して移動させることにより、可動の成形型の温度を所定範囲内に制御することを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明のガラス光学素子の製造方法は、光学面を形成するための相対向する成形面を有し少なくとも一方が可動とされた上下一対の成形型を用いてガラス素材をプレス成形することを繰り返し行う工程を含むガラス光学素子の連続的な製造方法において、前記上下の成形型が互いに離間した状態で、上下の成形型の各々を、離間部を挟んで上加熱部及び下加熱部を有する加熱手段によってそれぞれ所定温度に加熱する加熱工程と、前記上下の成形型間で、軟化した状態のガラス素材を加圧成形する加圧工程とを有し、かつ、前記加熱工程ごとに、可動の成形型の温度を測定し、測定した温度情報に基づき可動の成形型を、該可動の成形型を加熱する上加熱部または下加熱部に対して移動させることにより、可動の成形型の上面と下面の温度差を所定範囲内に制御することを特徴とする。
【0017】
請求項1、2の発明では、加熱手段による成形型の周囲の温度分布を利用し、可動の成形型を加熱部に対して移動させて加熱部との相対位置を変化させることにより、可動の成形型の温度、または、可動の成形型の上下面の間の温度差を所定の範囲に制御するようにしている。ここで、ガラス光学素子の成形装置は、もともと上下の成形型の少なくとも一方が加圧成形のために上下動可能になっていて、その可動の成形型を動かすために精密な位置制御機構を備えているものであるから、請求項1、2の発明のように、可動の成形型を動かして該可動の成形型の温度制御を行うにあたって、特別な装置を新たに設ける必要がなく、従って、従来のように加熱手段側を移動するのと違って、簡単な構成で成形型の温度を的確に管理することができる。
【0018】
また、加熱工程においては、上下の成形型が互いに離間した状態で、上下の成形型の各々を、離間部を挟んで上加熱部及び下加熱部を有する加熱手段によってそれぞれ加熱し、しかも加熱工程ごとに、可動の成形型の温度を測定し、測定した温度情報に基づき、可動の成形型を移動して温度制御するようにしているので、上下各々の成形型の温度を的確に管理することができる。例えば、上下の成形型の熱容量が異なっていても、上下の成形型を同一温度に制御することができるし、必要に応じて上下の成形型に所望の温度差をつけることもできる。従って、上下の成形型は、製造するレンズ形状ごとに入れ替えが行われ、そのたびに熱容量が変化するが、そうした変化に拘わらず、上下の成形型を所望温度に的確に制御することができる。また、上下の成形型に温度差を設けることにより、離型時に光学素子が上型の成形面に貼りつくことによる離型不安定を解消することもできる。また、成形装置の立ち上げ開始後の、一定プレスサイクルが行われるまでの装置温度が不安定な状態でも、各プレス工程ごとにリアルタイムで上下の成形型の温度管理を的確に行うことができる。また、このように成形型の温度が精緻に管理できることにより、プレスごとの面精度、形状精度の変動を抑止することができる。
【0019】
更に、請求項2の発明では、加熱手段による成形型の周囲の温度分布を利用して、可動の成形型の上面と下面の温度差を制御するようにしているので、不要に発生する好ましくない成形型の上下面の温度差(反りの原因になる)の影響を相殺することができ、それにより、成形型の反りによる影響を抑止し、成形品の肉厚精度や偏心精度の向上を図ることができる。
【0020】
請求項3の発明のガラス光学素子の製造方法は、請求項2において、前記可動の成形型の上下方向に位置の異なる2点の温度を測定し、測定したそれぞれの温度情報に基づき、可動の成形型を、該可動の成形型を加熱する上加熱部または下加熱部に対して移動させることにより、可動の成形型の上面と下面の温度差を制御することを特徴とする。
【0021】
この請求項3の発明では、上下方向に位置の異なる2点で型の温度を測定し、その測定結果に応じて可動の成形型を移動させるので、成形型に的確な温度勾配を持たせることができる。この場合の2点は、好ましくは、各々上面、下面に近接した位置とする。
【0022】
請求項4の発明のガラス光学素子の製造方法は、請求項2または3において、前記可動の成形型が下型であり、前記加熱工程において、下型の上下面の温度差を5℃以内に制御することを特徴とする。
【0023】
請求項5の発明のガラス光学素子の製造方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記ガラス素材を前記上下の成形型の間に供給する供給工程を更に有し、前記供給工程においては、離間した状態で前記加熱工程によりそれぞれ所定温度に加熱された上下の成形型の間に、前記加熱手段の離間部から、予熱されたガラス素材を供給することを特徴とする。
【0024】
請求項1〜4の発明において使用する加熱手段には、上加熱部と下加熱部の間に離間部を確保してあるので、請求項5の発明のように、その離間部を利用してガラス素材を、加熱した上下の成形型間に供給することができる。また、同じ空間を利用して、加圧成形されたガラス成形体を吸着手段などを備えた取り出し機構によって取り出すこともできる。
【0025】
請求項6の発明のガラス光学素子の製造方法は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記加熱手段が、前記上加熱部及び下加熱部を共に含む1つの連続した高周波誘導コイルであることを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明のガラス光学素子の製造方法は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記加熱手段に含まれる上加熱部及び下加熱部が、各々独立した別の2つの回路で駆動されるものであることを特徴とする。
【0027】
請求項6、7の発明のように、加熱手段として高周波誘導コイルを使用することにより、迅速にかつ充分な熱量を成形型に与えることができる。特に請求項6の発明のように、1つの連続した高周波誘導コイルによって上加熱部と下加熱部を構成した場合は、装置がシンプルになる上、高周波の干渉が発生しないという利点が得られる。また、請求項7の発明のように、上加熱部と下加熱部をそれぞれ別の回路で独立して駆動するようにした場合は、上下の出力を広範囲に独立に調整できることから、各成形型の温度管理が一層やりやすくなる利点がある。
【0028】
請求項8の発明のガラス光学素子の製造方法は、請求項1〜7のいずれかにおいて、複数対の前記成形型が支持された上下一対の母型を用いて一度に複数個のガラス素材をプレス成形するガラス光学素子の連続な製造方法において、前記複数対のすべての成形型によって成形される成形品の光軸のティルトが5分以下となるようにして成形することを特徴とする。
【0029】
請求項8の発明では、複数のガラス素材を同時に成形するので、生産性の向上が図れる。
【0030】
請求項9の発明のガラス光学素子の成形装置は、上下一対の成形型を有し、これら上下一対の成形型の間で、加熱軟化したガラス素材をプレスすることによりガラス光学素子を成形するガラス光学素子の成形装置において、前記上下一対の成形型の少なくとも一方を上下方向に移動させる駆動手段と、前記上下の成形型が互いに離間した状態で上下の成形型の各々を加熱する、離間部を挟んで上加熱部及び下加熱部を有する加熱手段と、前記離間部から前記上下の成形型の間に加熱軟化したガラス素材を供給する供給手段と、前記駆動手段によって移動させる可動の成形型の温度を測定する温度測定手段と、該温度測定手段によって測定された温度情報に基づいて、前記可動の成形型を、該可動の成形型を熱する上加熱部または下加熱部に対して位置変化させる位置調整手段と、を備えていることと特徴とする。
【0031】
この成形装置を使用することによって、上記の製造方法を実施することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態の成形装置の概念を示している。
この成形装置は、上下に対をなす上型1及び下型2の間で、加熱軟化したガラス素材をプレスすることにより、ガラス光学素子を成形するものである。
【0033】
この場合の上型1及び下型2は、例えば、図5に示すように、上下の母型11、12に複数対の成形型(上金型11A、下金型12A)を取り付けたものであり、上母型11及び下母型12は、各々プレス装置の上主軸21及び下主軸22に取り付けられている。なお、母型11、12に取り付ける成形型(上金型11A、下金型12A)の個数は1対でもよいが、複数対とすることにより、複数のガラス素材を同時に成形することができて、生産性を高めることができる。また、上金型11Aの外周には、下金型12Aと狭いクリアランスで嵌合して滑動することによりレンズの上下面の軸ずれを防止するスリーブ13が設けられている。上型1の両側にはガイドピン14が突設され、これに対応して下型2にはガイド孔15が設けられている。
【0034】
成形型(上下金型11A、12A)には、ガラス光学素子(成形体W)の光学面を形成するための相対向する成形面が形成されており、各成形面の光軸方向は鉛直方向と一致している。また、各成形型(上下金型11A、12A)は所定の形状精度及び面精度に加工されている。上下の母型11、12はタングステン合金よりなり、その中に、上下複数組の炭素系離型膜付きSiC製の上下金型11A、12Aと、スリーブ13とが組み込まれている。
【0035】
ここでは、上型1側が固定で、下型2側が可動となっている。なお、上型1側が可動で、下型2側が固定でもよく、また両方が可動でもよい。いずれにしろ、上下型1、2の少なくとも一方が型開閉のため、また、プレス成形のために可動になっていればよい。
【0036】
本実施形態では、可動である下型2を下主軸22を介して上下移動できるように、下型2の下側に、サーボモータ30を利用した駆動装置(駆動手段)31が備わっている。サーボモータ以外の油圧シリンダ等で駆動装置を構成することもできる。
【0037】
また、この成形装置には、上下型1、2が互いに離間した状態で、上下型1、2の各々を独立して加熱することができるように加熱装置が備えられている。加熱装置としては、抵抗加熱、赤外線ヒータ加熱、高周波誘導加熱等の方式を採用することができるが、迅速にかつ充分な熱量が得られるため、本成形装置では、高周波誘導コイルによる誘導加熱方式が採用されている。
【0038】
本装置の加熱コイル40は、1つの連続した高周波誘導コイルよりなり、上型1を包囲する上加熱部41と、下型2を包囲する下加熱部42との間に、上下型1、2の型開き間隔に対応した寸法の離間部43を確保している。即ち、所定寸法の離間部43を挟んで、上加熱部41を構成するコイル部分と、下加熱部42を構成するコイル部分とが配置されている。ここで、上加熱部41と下加熱部42のコイル巻き数は、上下の母型11、12の熱容量を考慮して決定される。このような構成とすることで、上型1は主として上加熱部41により熱せられ、下型2は主として下加熱部42により熱せられ、離間部43は、上下の加熱部41、42の間にあって、上下の加熱部41、42と比較して加熱力が相対的に弱い部分として機能する。
【0039】
図4に離間部43を有しない場合(a)と、有する場合(b)の加熱力分布(温度分布)の違いを示している。離間部43を有しない(a)の場合は、コイル40の軸線方向中間部(上下型1、2の合わせ面付近)に対応する位置をピークとした温度分布(加熱力分布)となるが、離間部43を有する(b)の場合は、離間部43では加熱力が弱く、上下加熱部41、42の位置でそれぞれにピークを有する温度分布(加熱力分布)となる。従って、互いに離間した状態の上型1と下型2に対して、それぞれ有効に無駄なく加熱力を与えることができる。
【0040】
また、本実施形態のように、1つ連続した加熱コイル40によって上加熱部41と下加熱部42を構成した場合は、構成がシンプルになる上、上加熱部41と下加熱部42の相互間において高周波の干渉が発生しないため、加熱制御がやりやすくなる利点がある。
【0041】
なお、本実施形態のように高周波誘導コイル(加熱コイル40)で上下型1、2を加熱する場合は、前述したように上下の母型11、12を、高周波誘導によって加熱体となる磁性素材(ここではタングステン合金)で構成する必要がある。また、母型11、12に支持された複数の成形型(上金型11A及び下金型12A)の加熱は、加熱体である母型11、12からの熱伝導によって行われる。冷却については、コイル40を断電して放冷することにより行われる。あるいは、成形装置内に、気体を噴出して母型11、12を、またはその周囲の雰囲気を冷却する強制冷却手段(不図示)を設けても良い。
【0042】
また、本成形装置では、上下型1、2が離間した状態のとき、加熱コイル40も、上加熱部41と下加熱部42の間に離間部43を有しているため、その空間を利用してガラス素材を上下型1、2の間に供給したり、上下型1、2間から成形体を取り出したりすることができる。そこで、そのための図示しない供給機構や取出機構が前記の空間を介して作業できるように備わっている。
【0043】
また、上型1と下型2には、温度測定手段としての熱電対等の温度センサ51、52が設置されている。温度センサ51、52の取付位置は、上型1や下型2の互いに対向する表面近くに設定されている。
【0044】
また、本成形装置には、上下型1、2の温度制御のための制御手段として、加熱コイル40の加熱力を制御する加熱コイル制御回路101と、下加熱部41に対して下型2を動かして下型2に対する加熱力を制御するモータ制御回路(位置調整手段)102と、上型1の温度が目標温度となるように制御する信号を加熱コイル制御回路101に入力する温度調節回路105と、下型2の温度が目標温度となるように制御する信号をモータ制御回路102に入力する温度調節回路107と、上型1の温度と下型2の温度の差が目標温度差となるように下型用の温度調節回路107に目標値を入力する演算手段106とが備えられている。
【0045】
この制御手段では、上型1の温度センサ51の検出値は温度調節回路105に入力され、温度調節回路105は入力された上型温度検出値と上型温度目標値とを比較し、上型温度検出値と上型温度目標値が一致するように制御する信号を加熱コイル制御回路101に入力する。そして、加熱コイル制御回路101が、その入力された制御信号に応じたコイル加熱出力を加熱コイル40に与えることで、上型1と下型2に対する加熱制御を行う。
【0046】
また、演算手段106は、上型用の温度調節回路105からの上型温度検出値と、別に設定された温度差目標値とに基づいて下型温度目標値を算出し、下型用の温度調節回路107に入力する。下型用の温度調節回路107は、下型2の温度センサ52の検出値と下型温度目標値とを比較し、下型温度検出値と下型温度目標値が一致するように制御する信号をモータ制御回路102に入力する。そして、モータ制御回路102が、その入力された制御信号に応じたモータ駆動信号をサーボモータ30に与えて、下型2を下加熱部42に対して移動し、下型2と下加熱部42との相対位置を変化させることで、下型2に対する加熱温度制御を行う。
【0047】
次に、以上のように構成された成形装置によるガラス光学素子の製造方法について説明する。ガラス光学素子を製造する場合は、以下の(a)〜(e)の工程を繰り返して連続プレス成形を行う。
【0048】
(a)加熱工程:上型1と下型2を、それらを離間させた状態で、加熱コイル40によって所定温度まで加熱する。
(b)供給工程:加熱された上下型1、2間に、加熱コイル40の離間部43を通して、加熱軟化したガラス素材を供給し、下型2上に配置する。
(c)加圧工程:加熱軟化した状態のガラス素材を、下型2を上昇させることで加圧し、上下型1、2の成形面を転写することによって、所定面形状をもったガラス成形体を成形する。
(d)冷却・離型工程:上下型1、2を所定温度まで冷却し、下型2を下降させることで上下型1、2を離間し、ガラス成形体を離型させる。
(e)取り出し工程:上下型1、2間からガラス成形体(ガラス光学素子)を取り出す。
【0049】
この際、上記(a)の加熱工程ごとに、固定された上型1の温度が予め定められた一定の温度範囲に入るように、加熱コイル40の出力が加熱コイル制御回路101によって調整される。また、それと並行して、予め定められた上下型1、2の温度差となるように、下型2の駆動機構31にフィードバック信号が常に与えられている。このため昇温開始後、上型1が設定温度になるように制御され、かつ同時に、上下型1、2の温度差が設定値になるように、下型2の位置が制御される。
【0050】
即ち、下加熱部42による加熱温度分布は、図3に示すように上下方向の中間部にピークを有する山形分布となっているので、下型2の温度が低すぎる場合には、下型のモータ制御回路102の働きにより、下型2の駆動手段であるサーボモータ30を作動させ、下型2を下加熱部42の中央に入れる方向に下型2を移動させる。また、下型2の温度が高すぎる場合には、下型2を下加熱部42に対して、相対的に上方または下方に移動させ、下型2への加熱を抑制する。なお、上下型1、2を同一の温度設定とするときには、温度差をゼロにすればよい。
【0051】
次に、成形される光学素子の偏心精度(ティルトの抑止)や肉厚精度を上げることができる点について説明する。
従来の加熱コイルには、図4(a)に示すように、上加熱部41と下加熱部42の間に離間部(上加熱部、下加熱部の中央より相対的に低温である部分)が無いため、上型1と下型2の向かい合った面近傍が最も強く加熱されて、下型2の光軸方向(上下方向)に温度差が生じ、図6に示すような反りが発生する可能性が高かった。また、周辺の雰囲気での対流の影響で、下方の温度が低くなる傾向がある上、下型2の支持軸(下主軸22)から熱が逃げるため、このような反りの傾向が更に強まる可能性が高かった。
【0052】
このような反りが発生すると、加圧時の上下型1、2の位置制御を精密に行ったとしても、上下の成形面距離や角度に狂いが生じ、肉厚精度が損なわれたり、図7に示すように、上下の成形型11A、12Aの光軸に傾き(ティルト)θが発生して、成形される光学素子の偏心精度を損なう。これは、図6に示すように、1つの母型12に複数の成形型12Aを配置した多数個取りの成形装置において、支持軸の設けられた母型12の中心近傍の成形型12Aより、母型12の周辺近くの成形型12Aの間で特に発生しやすい問題である。
【0053】
この点、上記の成形装置の加熱コイル40は、上下型1、2の間の位置に対応させて、上下加熱部41、42に対し相対的に温度の低い離間部43があるため、上下型1、2の加熱工程において下型2の温度を調整する際に、下型2の上面のみが高温になることを抑止できる上、下型2の位置を選択することによって下型2の光軸方向の温度分布も調整することができる。
【0054】
即ち、図3に示すような下型2周辺の加熱温度分布を利用して、下型2の位置を調整することにより下型2の上下面の温度差を調整することができる。このため、下型2の上下面の温度差を、反りを相殺する上で有効な5℃以内に設定することができ、その結果、上述の問題を回避することが可能となる。
【0055】
なお、下型2の上下面の温度差を更に精密に制御する場合は、温度センサを上下方向に位置の異なる2点(好ましくは、それぞれ上面、下面に近接した位置)に配置して各温度を測定し、測定したそれぞれの温度情報に基づき、下型2を位置制御するのがよい。
【0056】
次に第2の実施形態の成形装置について説明する。
図2は本発明の第2実施形態の成形装置の概念を示している。この成形装置の図1の成形装置との違いは、加熱コイル40Bを構成する上加熱部(上加熱コイル)41及び下加熱部(下加熱コイル)42が、各々独立した高周波誘導コイルで構成され、それぞれに別の2つの回路で駆動される点である。この例の場合も、上加熱部41及び下加熱部42の間には、コイルの存在しない離間部43が確保されている。このように上加熱部41及び下加熱部42をそれぞれ別の高周波誘導コイルで構成することにより、上下加熱部41、42の出力を広範囲にわたって独立して調整できる利点が得られる。
【0057】
この成形装置の制御手段には、上加熱部41と下加熱部42を独立して制御するために、上加熱コイル制御回路111と下加熱コイル制御回路112とが別々に設けられている。また、上型1の温度が目標温度となるように制御する信号を加熱コイル制御回路111に入力する温度調節回路105と、下型2の温度が目標温度となるように制御する信号を下加熱コイル制御回路112に入力する温度調節回路108と、下型2の上下方向(光軸方向)の温度差を制御するために、下型2の上下方向に離間した2点の温度差が目標温度差範囲内となるように制御する信号をモータ制御回路102に入力する温度調節回路109と、下型2の上下方向の2点の温度差が目標温度差範囲内となるように温度差調整用の温度調節回路109に温度差検出値を入力する比較手段110とが備えられている。
【0058】
つまり、図2の成形装置では、下型2の上下移動による下型2の温度制御は、下型2の全体温度を制御し、且つ、下型2自体の上下方向の温度差を制御するために利用するようにしている。
【0059】
前記の温度差を適正に制御するために、下型2には、その上下の互いに離間した2つの測定点に温度センサ52a、52bを配置し、それぞれの点で温度測定ができるようにしている。上型1の温度センサ51に対向する位置の下型2側の温度センサ52aの信号は温度調節回路108に入力され、温度調節回路108は、入力された下型温度検出値と下型温度目標値とを比較し、下型温度検出値と下型温度目標値が一致するように制御する信号を下加熱コイル制御回路112に入力する。また、上型1の温度センサ51の信号は温度調節回路102に入力され、温度調節回路102は、入力された上型温度検出値と上型温度目標値とを比較し、上型温度検出値と上型温度目標値が一致するように制御する信号を上加熱コイル制御回路111に入力する。
【0060】
そして、下加熱コイル制御回路112が、入力された制御信号に応じたコイル加熱出力を加熱装置40Bの下加熱部(下加熱コイル)42に与えることで、下型2に対する加熱制御を行う。また、上加熱コイル制御回路111が、入力された制御信号に応じたコイル加熱出力を加熱装置40Bの上加熱部(上加熱コイル)41に与えることで、上型1に対する加熱制御を行う。
【0061】
また、比較手段110は、上側の温度センサ52aの検出する上面温度検出値と下側の温度センサ52bの検出する下面温度検出値との差を算出して温度調節装置109に入力し、温度差調節装置109は、入力された温度差検出値と、別に入力される温度差目標値とに基づいて下型2の温度差を目標値とするための制御信号を演算して、モータ制御回路102に入力する。そして、モータ制御回路102がその入力された制御信号に応じたモータ駆動信号をサーボモータ30に与えて、下型2を下加熱部42に対して移動し、下型2と下加熱部42との相対位置を変化させることで、下型2に対する加熱温度制御を行う。この場合、下型2の上面温度検出値と下面温度検出値とを比較することにより、他の条件で発生する温度差が相殺されるように、下型2の位置を調節して下型2の温度を管理する。
【0062】
このため、上下型1、2の温度を同一の温度にする場合、または、所望の温度差をつける場合のいずれにも、精度の高い温度管理を行うことができる。更に、下型2の上下方向の温度差を管理することで、成形される光学素子の偏心精度(ティルトの防止)や肉厚精度を向上させることもできる。
【0063】
先にガラス光学素子を製造する工程の種類の概略については述べたが、以下において更に詳しく説明する。
【0064】
(a)の加熱工程では、予め設定した温度になるように、離間した状態の上下型1、2を、加熱コイル40、40Bにより加熱する。加熱工程において加熱される上下型1、2の温度設定値は、上下型1、2とも同一でもよく、温度差を設けたものであってもよい。例えば、成形する光学素子の形状や径によって、上型1より下型2を高温にしたり、上型1より下型2を低温にすることができる。上下型1、2の温度は、ガラス素材の粘度で108 〜1012ポアズ相当とすることができる。上下型1、2に温度差をつける場合には、2〜15℃の範囲が好ましい。この加熱工程において、本発明の特徴である下型2の位置制御による温度制御が行われる。
【0065】
先立って行われたサイクルの(e)の取り出し工程が行われた上下型1、2はTg付近の温度に冷却されているため、次のサイクルの成形に適した設定温度に上下型1、2を加熱する。上下型1、2の熱容量は相違することが多いため、この点も考慮して、上加熱部41、下加熱部42のコイル巻き数、及び出力範囲を決定する。
【0066】
このようにして、周囲の温度環境やその変化、装置の立上時から安定するまでの温度変動などの影響なく、上下型1、2の温度制御がリアルタイムで正確に行われる。
【0067】
(b)のガラス素材の供給工程では、予め適切な重量の所定形状に予備成形されたガラス素材を加熱して、成形に適した粘度まで軟化したものを供給してもよく、それより低温のガラス素材を上下型1、2間に供給してから、そこで更に加熱してもよい。予め、型1、2の設定温度よりも高温に加熱し、軟化した状態のガラス素材を供給する場合には、特に型温度の制御が精密に行われていることが必要であり、本発明の効果がより顕著に得られる。このときのガラス素材の温度は、粘度で109ポアズ相当未満の温度とし、好ましくは105.5〜107.5ポアズ相当とすることができる。
【0068】
下型2の加熱工程での位置は、プレスの度に温度情報により決定される。従って、周囲の温度変化があるときや、プレスの立ち上げ後に装置の温度が安定するまでなどは、プレスの度に加熱工程における下型位置が異なる場合がある。しかしながら、ガラス素材を下型2上に配置するときの下型位置(及び後述する、成形されたガラス成形体の取出すときの下型位置)は一定であることが好ましい。ガラスの供給(及び取り出し)機構との位置が一定であり、十分小さい距離であるほうが、供給、取出しが安定に行われるからである。
【0069】
例えば、軟化したガラス素材を搬送して下型2上に配置するときには、ガラス素材が搬送部材に接触して、表面に欠陥が起きると、成形される光学素子の面形状に影響するため、軟化したガラス素材を気体に浮上させた状態で搬送し、下型2上にガラス素材を落下させる治具を用いることができる。
【0070】
(c)の加圧工程では、上下型1、2とガラス素材がそれぞれ所定の温度範囲にあるとき、下型2の駆動手段であるサーボモータ30を作動させて、下型2を所定ストローク上昇させ、ガラス素材を加圧する。ガラス素材が加熱軟化した状態で供給される場合には、供給後直ちに加圧が行われる。加圧のための下型2のストロークは予め、成形する光学素子の肉厚から設定された値であり、この後の冷却工程においてガラスが熱収縮する分を見込んで定めた量とする。加圧のスケジュールは、成形する光学素子の形状や大きさに応じて任意に設定することができ、初期加圧の後、荷重を開放または減じたのち、二次加圧を行うなどの、複数回の加圧を用いても良い。
【0071】
(d)の冷却・離型工程では、前述の加圧状態を維持したまま、または、加圧を減じた状態で、成形された光学素子と成形型の密着を保ち、ガラスの粘度で1012ポアズ相当の温度になるまで冷却したのち離型する。離型温度は、1012.5〜1013.5ポアズ相当で行うことが好ましい。
【0072】
(e)の取り出し工程では、例えば吸着部材を備えた取り出しアーム等により自動取り出しを行う。上記したとおり、このときの下型と取り出しアームとの相対位置は一定とすることが好ましい。
【0073】
なお、上記実施形態においては、下型2の温度情報に基づいて下型2の位置を下加熱部42に対して動かすことにより、下型2の温度を制御する場合について述べたが、上型1が可動の場合は、上型1を動かして上型の温度制御を行ってもよい。
【0074】
次に実際にガラス光学素子を成形した場合の実施例について述べる。
<実施例>
ホウ珪酸バリウム系ガラス(Tg510℃)を球形のプリフォームに予備成形したものをガラス素材として用い、図1に示す装置によって径6mmの両凸レンズを成形した。4組の上下金型11A、12Aを、上下母型11、12(厚さはそれぞれ26mm長さ120mm)に各々設置した。上下金型11A、12Aの位置合わせのため、向かい合う面にガイドピン14とガイド孔15を設け、そのクリアランスは約20ミクロンであった。4組の上下金型11A、12A及びスリーブ13をセットした上下母型11、12を、その中心位置が加熱コイル40の上加熱部41、下加熱部42の各々(高さ約30mm)の中心位置になるように支持体にセットした。
【0075】
なお、この加熱コイル40は、1つの電源を有し、上加熱部41、下加熱部42を離間して有するものである。上下型1、2は、互いに離間した状態で、上610℃、上下温度差10℃(上の方が高温)に予熱され、図示しない別の場所で浮上皿にて630℃に予熱されたガラスプリフォームを、上型1から離間した下型2上に落下供給した。その後直ちに加熱源を切ると同時に、サーボモータ30により下型2を上昇させ、上型1と重ね、100kg/cm2の圧力でプレス成形した。
【0076】
プレスがほぼ終了した時点で60kg/cm2まで減圧し、強制冷却のための冷却ガスを上下型1、2の周囲に流した。上下型1、2が490℃以下にまで冷却された時点で除圧し、下型2の位置を下加熱部42の位置付近にまで下げた。その後、取り出し用吸着パッドで、プレスされた光学素子を取り出し、次のサイクルに移った。成形サイクルタイム120秒で、300回このプレスを繰り返した。300回ともにスムーズなプレスがなされ、面精度・レンズ厚も公差内であった。成形された光学素子のティルトはいずれも5分以下であった。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加熱手段による成形型の周囲の温度分布を利用し、可動の成形型を加熱部に対して移動させて加熱部との相対位置を変化させることにより、可動の成形型の温度、または、可動の成形型の上下方向の温度差を所定の範囲に制御することができる。この場合、可動の成形型を動かして温度制御を行うので、特別な駆動装置を新たに設ける必要がなく、簡単な構成で成形型の温度を的確に管理することができる。
【0078】
また、加熱工程においては、上下の成形型を離間状態で、離間部を有する加熱手段によって加熱する上、加熱工程ごとに、温度測定情報に基づいて可動の成形型を移動して温度制御するようにしているので、上下各々の成形型の温度を的確に管理することができる。従って、成形装置の立ち上げ開始後の装置温度が不安定な状態でも、各プレス工程ごとにリアルタイムで上下の成形型の温度管理を的確に行うことができ、プレスごとの面精度や形状精度の変動を抑止することができ、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の成形装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の成形装置の概略構成図である。
【図3】下型位置と加熱手段による温度分布の関係を示す図である。
【図4】上下加熱部の間に離間部を有しない場合(a)と、有する場合(b)の加熱手段による温度分布を示す図である。
【図5】上下型の内部構造を示す側断面図(a)、及びA−A矢視図である。
【図6】下型の反りの問題の説明図である。
【図7】上下金型のティルトの問題の説明図である。
【符号の説明】
1 上型
2 下型
11 上母型
11A 上金型(成形型)
12 下母型
12A 下金型(成形型)
40,40B 加熱コイル
41 上加熱部
42 下加熱部
43 離間部
31 駆動機構
102 モータ制御回路(位置制御手段)

Claims (8)

  1. 光学面を形成するための相対向する成形面を有し少なくとも一方が可動とされた上下一対の成形型を用いてガラス素材をプレス成形することを繰り返し行う工程を含むガラス光学素子の連続的な製造方法において、
    前記上下の成形型が互いに離間した状態で、上下の成形型の各々を、離間部を挟んで上加熱部及び下加熱部を有する加熱手段によってそれぞれ所定温度に加熱する加熱工程と、
    前記上下の成形型間で、軟化した状態のガラス素材を加圧成形する加圧工程とを有し、
    かつ、前記加熱工程ごとに、前記可動の成形型の温度を測定し、測定した温度情報に基づき可動の成形型を、該可動の成形型を加熱する上加熱部または下加熱部に対して移動させることにより、可動の成形型の上下方向に離間した2点の温度差を所定範囲内に制御することを特徴とするガラス光学素子の製造方法。
  2. 前記可動の成形型の上下方向に位置の異なる2点の温度を測定し、測定したそれぞれの温度情報に基づき、可動の成形型を、該可動の成形型を加熱する上加熱部または下加熱部に対して移動させることにより、可動の成形型の上面と下面の温度差を制御することを特徴とする請求項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  3. 前記可動の成形型が下型であり、前記加熱工程において、下型の上面と下面の温度差を5℃以内に制御することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス光学素子の製造方法。
  4. 前記ガラス素材を前記上下の成形型の間に供給する供給工程を更に有し、
    前記供給工程においては、離間した状態で前記加熱工程によりそれぞれ所定温度に加熱された上下の成形型の間に、前記加熱手段の離間部から、予熱されたガラス素材を供給することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
  5. 前記加熱手段が、前記上加熱部及び下加熱部を共に含む1つの連続した高周波誘導コイルであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
  6. 前記加熱手段に含まれる上加熱部及び下加熱部が、各々独立した別の2つの回路で駆動されるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
  7. 複数対の前記成形型が支持された上下一対の母型を用いて一度に複数個のガラス素材をプレス成形するガラス光学素子の連続な製造方法において、前記複数対のすべての成形型によって成形される成形品の光軸のティルトが5分以下となるようにして成形することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス光学素子の製造方法。
  8. 上下一対の成形型を有し、これら上下一対の成形型の間で、加熱軟化したガラス素材をプレスすることによりガラス光学素子を成形するガラス光学素子の成形装置において、
    前記上下一対の成形型の少なくとも一方を上下方向に移動させる駆動手段と、
    前記上下の成形型が互いに離間した状態で上下の成形型の各々を加熱する、離間部を挟んで上加熱部及び下加熱部を有する加熱手段と、
    前記離間部から前記上下の成形型の間に加熱軟化したガラス素材を供給する供給手段と、
    前記駆動手段によって移動させる可動の成形型の温度を測定する温度測定手段と、
    該温度測定手段によって測定された温度情報に基づいて、前記可動の成形型を、該可動の成形型を熱する上加熱部または下加熱部に対して位置変化させて、可動の成形型の上下方向に離間した2点の温度差を所定範囲内に制御する位置調整手段と、
    を備えていることと特徴とするガラス光学素子の成形装置。
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