JP4253157B2 - Mg含有黒色酸化鉄粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は黒色酸化鉄粒子及びその製造方法に関し、詳しくは特定の元素組成物を有し、主に塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用の黒色顔料として好適であり、特に、カーボンブラック代替の非磁性トナー用や高温混練を要するエンジニアリングプラスチックスの着色用に好適である、黒色度に優れたMg含有酸化鉄粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用等に用いられる黒色顔料は、黒色度、色相、着色力、隠ぺい力等の特性に優れ、かつ安価であることが求められており、カーボンブラックやマグネタイトをはじめとする酸化鉄系顔料、その他複合酸化物顔料が用途に応じて利用されている。
【0003】
昨今、上記いずれの分野においても高性能化、高品質化の要求のみにとどまらず、例えば、前記カーボンブラックにおいては、環境問題や人体に与える影響等により、使用が差し控えられている。一方、マグネタイトに代表される、湿式酸化反応により得られる酸化鉄系顔料においては、カーボンブラックのような問題は少ないものの、その黒色性は含有されるFeO品位に左右され、かつ酸化により経時劣化を生じる上、比較的高磁化なため、低磁化あるいは非磁性であることを要求される用途には不適当である。
【0004】
上記問題点を改善する黒色顔料に関する技術として、昨今各種無機成分を含有する複合酸化物系顔料が注目されている。その代表例としては、特開平9−124972号公報や特開平9−237570号公報が挙げられる。該公報には、銅、クロム、鉄、マンガン等からなる特定の群の中から選ばれた二種以上の金属酸化物を主成分とする複合酸化物黒色顔料についての開示がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記複合酸化物系顔料においても、依然その主金属成分が銅、クロム、マンガン等、環境負荷物質と位置付けられた材料を用いた技術である。この事実は、これら主金属自体あるいは化合物が昨今環境負荷物質の排出・移動登録制度(PRTR)の国内法成立に伴い、特定化学物質として指定されていることより明らかである。
とはいえ、黒色顔料の重要な特性である黒色性一つをとっても、上記環境負荷物質を極力排しながらも、優れた黒色顔料を得ることは困難で、満足のゆく材料は未だ見出されていないのが実情である。
【0006】
従って、本発明の目的は、主に塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用の黒色顔料として好適であり、環境負荷が小さく、黒色度に優れ、かつ低磁化な黒色複合酸化鉄粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、環境負荷の小さい原料を精査し、複合酸化物黒色顔料として黒色度に優れた材料を鋭意検討した結果、Mgを含む特定の複合酸化鉄組成を含有する複合酸化鉄粒子を見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明のMg含有黒色酸化鉄粒子は、MgxFeyO(Fe2O3)1 + z(ただし、0.3<x<1、0<y<0.7、x+y=1、0<z<0.5)で表わされる組成物を含有し、かつ平均粒径が0.01〜0.5μmであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のMg含有黒色酸化鉄粒子の製造方法は、水酸化マグネシウムを含む水酸化第一鉄スラリーのpHが7以上となるように維持しながら、液温20〜50℃の範囲で酸化反応を行い、得られた複合酸化物粒子を、不活性ガス雰囲気下、1000〜1300℃で熱処理を行うことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子は、MgxFeyO(Fe2O3)1 + z(ただし、0.3<x<1、0<y<0.7、x+y=1、0<z<0.5)で表わされる組成物を含有し、かつ平均粒径が0.01〜0.5μmであることを特徴とする。
【0011】
従来の技術で述べたとおり、マグネタイトに代表される従来の酸化鉄系顔料においては、カーボンブラックのような問題は少ないものの、その黒色性は含有されるFeO品位に左右され、しかも酸化により経時劣化を生じる他、比較的高磁化であるという欠点を有す。
一方、本発明で着目したMgについては、単独の酸化物としては黒色を示さないが、酸化鉄と複合化した場合、例えばMgOFe2O3においては、黄味を帯びた褐色を呈することが知られている。
【0012】
本発明者等はおよびFe2O3が単純に混在する化合物ではなく、スピネル系の特徴を有すFe−Mg固溶型の組成のMg含有複合酸化鉄であれば、低磁化あるいは非磁性で、かつ黒色顔料に要求される黒色度を発現できるのではないかと考えた。
本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子について、X線回折測定を行った結果の一例を図1に示すが、この結果によると、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子は、FeOFe2O3やMgOFe2O3固有のピーク値からずれていながらも、スピネル系の複合酸化鉄粒子であることがわかる。
【0013】
本来、化学量論比に基づいたスピネル構造のFe−Mg固溶体であれば、FeOFe2O3とMgOFe2O3固有のピークの間に複合酸化鉄粒子のピークが現れると考えられる。これに対し、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子のピークは、前記ピークの間には存在せず、かつFe2O3のピークとも合致しないことから、単なるFeOFe2O3やMgOFe2O3、あるいはFe2O3の混合物ではなく、便宜上MgxFeyO(Fe2O3)1+z(ただし、0.3<x<1、0<y<0.7、x+y=1、0<z<0.5)のように表されるものである。
【0014】
0<z<0.5の場合、磁化を抑制する機構について解明されているわけではないが、FeOFe2O3に代表されるスピネル構造の一部をFe2O3で置換することで磁化を抑制し、化学的に安定で少ないFeO量で黒色度を確保することが可能となる。
【0015】
z=0の場合、酸化鉄粒子の形態が化学量論比に基づくスピネル構造であり、結晶構造が整っているゆえに、FeOやMgOの増減による影響が大きく、黒色度の安定性が得られなかったり、磁化の抑制が困難であったりする。
また、z<0の場合、酸化鉄粒子の黒色度は高いものの酸素欠陥型のFe−Mg固溶体となるため化学的に不安定で、時間が経過に伴って粒子表面が酸化され、黒色度が劣化するおそれがある。また、磁化が高いため、低磁化あるいは非磁性であることを要求される用途には不適当である。
また、z>0.5の場合、酸素が結晶中に十分存在するので、経時安定性は良く、磁化も低いものの、Fe2O3が多いため、黒色度や色相が不良となる。
【0016】
一方、x≦0.3の場合(y≧0.7)、FeOがMgOに相対して高くなるため、黒色度は高いものの、安定性に欠け、また、比較的磁化の高い粒子となり、低磁化あるいは非磁性であることを要求される用途には不適当である。
また、x=1(y=0)の場合、MgOFe2O3に近似した組成となるため、低磁化ではあるが、黒色度や色相が不良となる。
【0017】
以上のことから、黒色度と磁化の抑制をバランスさせるために、0.3<x<1、0<y<0.7、x+y=1、0<z<0.5であることが重要である。なお、0.5<x<1、0<y<0.5であれば、さらに経時安定性に優れた、黒色度と低磁化の複合酸化鉄粒子となり、好ましい。
【0018】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、平均粒径が0.01〜0.5μmである。この平均粒径が0.01μm未満の場合、粉体の色が赤味が強く、黒色度に乏しくなるおそれがあり、平均粒径が0.5μmを超えるとトナー用等、微細粒子を要求される用途分野には不向きとなる。
【0019】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、Mg含有量が、酸化鉄粒子全体に対して5〜14質量%であることが好ましい。このMg含有量が5質量%未満の場合、酸化鉄粒子が鉄系単独の酸化鉄粒子に近似するため、黒色度が高くても磁化が高いため磁性を要求しない分野での利用、代替に不都合である。また、Mg含有量が14質量%を超える場合、MgOFe2O3結晶相の析出が懸念され、黒色度の低下を招くおそれがある。
【0020】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、Mg/Feのモル比が0.1〜0.5であることが好ましい。このMg/Feのモル比が0.1未満の場合、酸化鉄粒子が鉄系単独の酸化鉄粒子に近似するため、黒色度が高くても磁化が高いため磁性を要求しない分野での利用、代替に不都合である。また、Mg/Feのモル比が0.5を超える場合、MgOFe2O3結晶相の析出が懸念され、黒色度の低下を招くおそれがある。
【0021】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、負荷磁場79.6kA/mにおける飽和磁化値が40Am2/kg以下であることが好ましい。この飽和磁化値が40Am2/kgを超える場合、非磁性トナー用途をはじめとする磁性を要求しない分野での利用、代替に不都合である。
【0022】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度及び色相測定において、色差計によるL値が22以下、a値が0.5以下、b値が0.5以下であることが好ましい。これらの数値が上記条件を満たさない場合、黒色度が低く、色相も赤味や黄味が強く、黒色顔料として不具合である。
【0023】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、Al、Ti、Caの内、一種又は二種以上を含有すればより好ましい。これらの物質が含有されている場合、より低磁化の複合酸化鉄粒子が得られるので、磁性を要求しない分野用途を目的とする場合、これらの物質の合計で12質量%以下含有されていると、黒色度を低下することなく、上記特徴を発現することができるようになる。
【0024】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Znの総含有量が1質量%以下であることが好ましい。前記物質は環境負荷が高いため、工業的には原料中の不可避成分として酸化鉄粒子中に含有されることが多いが、量的に低い方が好ましいことは言うまでもない。
【0025】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子においては、pH4に調製された0.01規定のフタル酸水素カリウム溶液中に懸濁させた際のMgの溶出量が、粒子全体のマグネシウム量に対し、1%以下であることが好ましい。
この理由は、前記フタル酸水素カリウム溶液中への溶出量は、酸化鉄粒子中にMgが複合酸化鉄の形態で取り込まれていない場合、大きいことによるものである。
【0026】
また、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子の形状は粒状(球状、六面体状、八面体状等)であれば特に限定されるものではない。
【0027】
次に、本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子の製造方法について述べる。
本発明のMg含有黒色複合酸化鉄粒子の製造方法は、水酸化マグネシウムを含む水酸化第一鉄スラリーのpHが7以上となるように維持しながら、液温20〜50℃の範囲で酸化反応を行い、固液分離し、水分を除去した複合酸化物微粒子を、不活性ガス雰囲気下、1000〜1300℃で熱処理を行うことを特徴とする。
【0028】
本発明に用いる鉄及びマグネシウム原料は、可溶性塩、もしくは金属や金属酸化物を酸で溶解させたもの等が使用できるが、まず塩基性水溶液にて鉄及びマグネシウム原料を中和して、水酸化マグネシウムを含む水酸化第一鉄スラリーを生成させる。この際に用いる塩基性水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム等、強塩基、弱塩基にかかわらず、中和作用を有するものであれば特に限定されることはない。
【0029】
まず、上記金属塩水溶液と塩基性水溶液を混合し、中和、水酸化物を生成させた後、温度20〜50℃、pHを7以上に保持しながら、酸化反応を行う。この酸化反応は、酸素含有ガスで反応させても、過酸化水素水等の各種酸化剤を使用しても良い。
【0030】
上記酸化反応時の温度を20〜50℃に保持することは重要で、温度が低すぎると反応の進行が進まず、温度が高すぎると粒子核生成にバラツキが生じ、複合酸化鉄粒子の特性に悪影響を及ぼす。
特に50℃を超える場合、FeOFe2O3の生成が著しいのみならず、水酸化マグネシウムが複合酸化鉄粒子表面に析出するため、反応後のスラリーを洗浄、濾過する際にMgが流失し、Mgが均一に取りこまれた複合酸化鉄粒子が得られにくいばかりか、熱処理後も高磁化の粒子となりやすく、不都合である。
【0031】
また、上記酸化反応時のpHを7以上に保持することも重要で、pHが低すぎると反応の進行が進まないのみならず、添加金属元素が粒子中に取り込まれにくい。なお、pHが高すぎると複合酸化鉄粒子の特性上の影響は少ないものの、コスト上不経済であるので12程度に抑えればより好ましい。
なお、上記酸化反応スラリー中にAl、Ti、Caの内、一種又は二種以上の水溶性塩を添加する操作を行うと、より低磁化の複合酸化鉄粒子が得られるので、適宜調整すれば良い。
【0032】
こうして酸化反応により得られた湿式反応生成物である複合酸化鉄粒子は、酸化の進み具合にもよるが、安定した状態を維持できないか、あるいは黒色度や色相の点で不十分なので、常法の洗浄、濾過、乾燥、粉砕を経た後、1000〜1300℃で熱処理する。この熱処理を行うことで、スピネル構造を持ったMgOFe2O3とFeOFe2O3が複合化、かつ安定性の高いFe2O3過剰型の複合酸化鉄粒子が得られる。
【0033】
この際の温度が1000℃未満の場合、スピネル化が進行せず、ヘマタイト(α−Fe2O3)が多く残存して、赤味の強い色相不良の粒子となる。また、1300℃を超える場合、スピネル化は問題ないものの、粒子の焼結が進んで、凝集が著しく、目的とする粒子状態とするのが困難である。
【0034】
この熱処理の際の雰囲気は、酸素の多い状態で行うと、MgOに相対して、FeOの比率が低下してしまうので、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが重要である。
なお、熱処理時間は、スピネル化が十分に進行し、かつFeOの低下を抑制する上で、8〜16 時間が適当である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例等により本発明を具体的に説明する。
【0036】
〔実施例1〕
濃度が硫酸第一鉄2mol/l、硫酸マグネシウム1mol/lである水溶液を1リットルずつ用意し、これを混合した後、さらに3mol/lの水酸化ナトリウム水溶液2リットルと混合した。このアルカリ混合時の温度は40℃となるように調整した。こうして得られた水酸化物を含むスラリーに、濃度34質量%の過酸化水素水溶液140mlを加え、pHを8、液温40℃を維持しながら、反応スラリー中の未反応Fe2+がほぼゼロとなるまで酸化反応を継続した。こうして得られた複合黒色酸化物粒子を含むスラリーを冷却後、常法の洗浄、脱水、乾燥、粉砕を経た後、温度1050℃、窒素ガス雰囲気中で12時間熱処理を行い、黒色酸化鉄粒子を得た。
【0037】
得られた黒色酸化鉄粒子について、下記の方法で諸特性を評価した。結果を表2に示す。
〔評価方法〕( a )総Fe、Mg含有量。試料を溶解し、ICPにて測定した。( b )FeO含有量。試料を硫酸にて溶解し、過マンガン酸カリウム標準溶液にて酸化還元滴定にて測定した。( c )平均粒径。SEM(走査型電子顕微鏡)で10万倍の写真を撮影し、200個の粒子のフェレ径を測定した。( d )飽和磁化。東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、外部磁場79.6kA/mにて測定した。( e )黒色度及び色相。粉体の黒色度測定はJIS K5101−1991に準拠して行った。試料2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フーバー式マーラーで練りこむ。この練り込んだサンプル2.0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後これをミラーコート紙上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製、カラーアナライザーTC-1800型)にて、黒色度(L値)及び色相(a値、b値)を測定した。なお、経時安定性を見るため、製造直後のサンプルを60℃、90%RHの環境下で28日間曝露した後、上記と同様の評価を行った。
【0038】
〔実施例2、比較例1〜4〕
表1に示すように各製造条件を変更した以外は、実施例1と同様の方法で黒色酸化鉄粒子を得た。
得られた黒色酸化鉄粒子について、実施例1と同様に諸特性を評価した。結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表2からも明らかなとおり、実施例の複合酸化鉄粒子は、L値が十分に低く、黒色度に優れ、色相にも優れている。また、飽和磁化が低く、非磁性用途にも好適であることが判る。また、図1及び2からも明らかなように、この複合酸化鉄粒子は、MgOFe2O3やFeOFe2O3のピーク位置からずれているものの、スピネル系特有のピークを有していることがわかった。
【0042】
これに比べ、比較例1の複合酸化鉄粒子は、大気中で熱処理を行ったことにより、図1からも明らかなように、α−Fe2O3とMgOFe2O3とおぼしきピークが観察され、黒色度、色相において著しく劣るものであった。
【0043】
また、比較例2の複合酸化鉄粒子は、熱処理温度が低かったために、スピネル化が不十分であり、形態分析の結果、α−Fe2O3とおぼしきピークが観察され、黒色度、色相において著しく劣るものであった。
【0044】
また、比較例3の複合酸化鉄粒子は、Mgを含有していないために、得られた粒子は、形態分析の結果、α−Fe2O3とFeOFe2O3とおぼしきピークが観察され、黒色度の安定性に欠け、また飽和磁化の高いものであった。
【0045】
また、比較例4の複合酸化鉄粒子は、湿式酸化反応時の反応温度が高かったため、FeOFe2O3の生成が著しく、かつMgの粒子中の歩留まりが低く、得られた粒子は、形態分析の結果、とFeOFe2O3とMgOFe2O3とおぼしきピークが観察され、黒色度の安定性に欠け、また飽和磁化の高いものであった。
【0046】
【発明の効果】
本発明に係わる黒色複合酸化物粒子は、環境負荷が小さく、黒色度に優れ、かつ低磁化であり、塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用の黒色顔料として好適である。特に、カーボンブラックや環境負荷物質含有酸化物顔料代替の非磁性トナー用黒色顔料や高温混練を要するエンジニアリングプラスチックスの着色用黒色顔料に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1及び比較例1のX線回折図。
【図2】図2は、実施例1のX線回折図のメインピーク近傍拡大図。
Claims (6)
- MgxFeyO(Fe2O3)1+z(ただし、0.3<x<1、0<y<0.7、x+y=1、0<z<0.5)で表わされる組成物を含有し、かつ平均粒径が0.01〜0.5μmであるMg含有黒色酸化鉄粒子。
- Mg含有量が、酸化鉄粒子全体に対して5〜14質量%である請求項1に記載のMg含有黒色酸化鉄粒子。
- Mg/Feのモル比が0.1〜0.5である請求項1又は2に記載のMg含有黒色酸化鉄粒子。
- 負荷磁場79.6kA/mにおける飽和磁化値が40Am2/kg以下である請求項1〜3のいずれかに記載のMg含有黒色酸化鉄粒子。
- JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度及び色相測定において、色差計によるL値が22以下、a値が0.5以下、b値が0.5以下である請求項1〜4のいずれかに記載のMg含有黒色酸化鉄粒子。
- 水酸化マグネシウムを含む水酸化第一鉄スラリーのpHが7以上となるように維持しながら、液温20〜50℃の範囲で酸化反応を行い、得られた複合酸化物粒子を、不活性ガス雰囲気下、1000〜1300℃で熱処理を行うことを特徴とするMg含有黒色酸化鉄粒子の製造方法。
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