JP4231469B2 - 擬似眉形成化粧料 - Google Patents

Description

本発明は、顔の眉部分に擬似的な眉形状を付与する、擬似眉形成化粧料に関する。

顔のメイクアップの一つとして、眉を所望の形状に整える化粧品には、眉墨、アイブロウ、眉マスカラ等と呼ばれる商品が実用化されている。これは、主に黒色ないし茶色系統の顔料を含んだ、粉末状、固形粉末状、液状、ペースト状等の形態で商品化され、所定のチップ、筆等を用い、あるいは鉛筆状として眉形状を描く化粧品である。

即ち、使用者が眉部分の地肌に所望の長さ、太さ、濃淡で眉形状を描くことで、本来の眉毛を補い、あるいはそれに代わる眉形状を形成して、美麗な仕上がりを意図するものである。

しかし、従来のこれらの商品は、本質的に色材を皮膚上に塗布するものであるため、持続性に乏しく、指等の摩擦や、汗、洗顔等により、容易に取れてしまう問題点があった。特に色材として顔料を主成分とした、ペンシル形やプレス成型してパレットに収納するパウダータイプの製品は、仕上がりが自然であるが、摩擦や汗等の水分により化粧落ちしやすく、汗をかきやすい季節や、スポーツ時、水泳時など、形成した眉の維持に悩む場合が多い。

この問題点を解決するために、汗や皮脂に対してくずれにくいフッ素系のポリマーを用いた化粧料等が提案されているが、先に述べた、スポーツ時、水泳時の定着性は十分でなく、また仕上がりも平板で不自然に見えるという問題点があった。

また、半恒久的な化粧手段として刺青法があるが、施術に痛みを伴うとともに時間もかかり、日常的な化粧で行えるものではない。

一方、日光や紫外線への暴露を必要とせずに、皮膚を広範囲に、あるいは部分的に日焼け色にする薬剤が知られている。例えば、ジヒドロキシアセトン（ＤＨＡ）は、皮膚のアミノ酸やケラチンのアミノ基との反応により、塗布部分が黄色ないし茶褐色に着色する性質を利用して、自己着色剤あるいはセルフタンニング剤と呼ばれる商品に応用されている（非特許文献１）。
光井武夫編「新化粧品学」南山堂、第２版、2001年1月18日、p.506

本発明は、従来のアイブロウ等の持続性に乏しい欠点を解決し、ある程度の期間、形成した眉形状を保持することができる擬似眉形成化粧料を提供する。

本発明者らは、皮膚成分との反応で塗布部分が染色される化粧料を、所望の部位、形状に塗布することにより、上記の課題が解決されることを見出した。

本発明の擬似眉形成化粧料は、皮膚上に塗布した後、皮膚成分との反応により呈色し、摩擦、汗、洗浄等によっても落ちにくい擬似眉を形成することができる。塗布後数時間で塗布した部分が染色されるので、例えば就寝前に塗布した場合、起床時には所望の眉形状が形成されている。従って、通常のメイクアップを施す前の状態でも、支障なく人前に出ることができる。

また、染色は皮膚の浅部にとどまるため、形成された眉形状は、数日から１週間程度で表皮の落屑とともに消失する。したがって、その間は当該眉形状が維持され、実用的に問題のない持続性を示す。この点で、半恒久的な刺青とも異なる利便性を有する。

本発明の擬似眉形成化粧料は、塗布部分において皮膚成分と反応して着色する化合物を含有する。かかる化合物としては、例えば、ジヒドロキシアセトン（１，３−ジヒドロキシ−２−プロパノン）やエリトルロース（１，３，４−トリヒドロキシ−２−ブタノン）等のポリヒドロキシケトン類を例示することができ、１種を単独で、又は２種以上を組合わせて用いることができる。特に、ジヒドロキシアセトンが容易に入手でき、皮膚上での発色性にも優れるので好ましい。

上記の皮膚着色化合物の含有量は、その種類及び化粧料の剤型にもよるが、好ましくは０．１〜１００質量％、より好ましくは１〜５０質量％である。また、粉末化粧料の場合は１０〜５０質量％が、液状化粧料の場合は１〜２０質量％が好ましい。

また、ジヒドロキシアセトン自体は白色結晶の化合物であり、そのままでは皮膚成分と反応し難いが、水に溶けることで皮膚成分と反応して発色すると考えられる。このため、水に溶解して用いるとより効果的であるが、粉体のままでも、皮膚上及び空気中の水分により溶解し、皮膚に浸透して発色機能を発揮する。

本発明の擬似眉形成化粧料は、一般的に眉用化粧料として適用できる原料とともに、各種形状の化粧料とすることができる。かかる化粧料は、それ自体は特に着色していないものでもよいが、顔料を含み、それ自体がある程度着色されたものでもよい。また、アイブロウ下地として用いることもできる。

本発明の擬似眉形成化粧料とともに用いられる顔料としては、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラック等の着色顔料、タルク、マイカ、セリサイト等の体質顔料及びパール顔料が挙げられる。

本発明の擬似眉形成化粧料をペンシル状にするには、固形油分に少量の液状油分と顔料及び本発明の皮膚染色成分を練り合わせる。ここで固形あるいは液状の油分としては、ステアリン酸、モクロウ、ミツロウ、固形パラフィン、ワセリン、ラノリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。

本発明の擬似眉形成化粧料を粉末固形状とする場合、前記顔料及び本発明の皮膚染色成分に油剤等の少量の結合剤を加え、押し固めるか容器に流し込んで成形する。この場合、筆、チップ、スポンジ等の道具を用いて所望の部位に眉形状を描くことができる。

本発明の擬似眉形成化粧料を液状とする場合、水系として、アクリル系ポリマーエマルション等の皮膜形成樹脂を用い、眉そのものを濃く見せることができる。この場合、擬似眉形成化粧料を筆付き容器に充填し、筆を用いて所望の部位に眉形状を描くことができる。

次に、実施例をあげて本発明を詳しく説明する。

表１に示す組成のアイブロウ下地（実施例１）を常法により調製した。

表２に示す組成のリキッドアイブロウ（実施例２）を常法により調製した。

表３に示す組成のパウダーアイブロウ（実施例３）を常法により調製した。

以上のとおり調製した実施例１〜３の擬似眉形成化粧料の性能を以下の方法により評価した。比較例としては、実施例１のアイブロウ下地のジヒドロキシアセトンを精製水に置き換えたもの（比較例１）を用いた。

１．腕での染色実験：
化粧料を被験者の前腕内側に塗布して染色性を調べる。塗布して放置する時間は、実際の化粧料の使用条件を考慮して１日あたり１０時間とし、３日間継続塗布した。塗布による肌色変化、及び塗布中止後の退色変化を、開始前の素肌色との色差（ΔＥ*）により経時測色した。

結果は非塗布部位の測定値により素肌色の日間変動分を相殺した値で示す。

２．眉での発色実験：
実施例１のアイブロウ下地を、朝、肌を整えた被験者（女性３名）の眉領域に塗布し、その上から通常のファンデーションその他のメイクアップを施した。塗布時間は被験者のメイク落としまで１２時間とし、３日間継続塗布した。以下の基準に従って、塗布開始３日後までの眉地肌の着色変化、及び使用中止後の退色変化を評価した。

＜評価基準＞
０：眉の地肌に着色なし。
１：眉の一部にかすかに地肌の着色がわかる。
２：眉全体の地肌の着色がわかる。
３：眉全体の地肌にはっきり着色している。

一般的に肌色領域ではΔＥ*≧１で見た目に色差を認知できるが、表４からわかるように実施例１〜３の化粧料はいずれも塗布３日以内で見た目にはっきりわかる肌の色変化が起こり、中止後７日後には塗布前の肌色に戻っている。

表５に示すように、実際に眉部位に塗布しても、眉の地肌に着色が起こり、塗布中止５日後で退色した。

Claims (6)

1. ジヒドロキシアセトン及びエリトルロースから選ばれる、皮膚成分と反応して着色する化合物を含有し、眉形状を描くために使用される化粧料であって、顔の眉部分の皮膚に塗布して用いられ、塗布した部分が皮膚成分と反応して着色することによって染色される擬似眉形成化粧料。
2. 皮膚成分と反応して着色する化合物がジヒドロキシアセトンである請求項１記載の擬似眉形成化粧料。
3. ジヒドロキシアセトンの含有量が０．１〜５０質量％である請求項２記載の擬似眉形成化粧料。
4. さらに他の色材を含有する請求項１〜３のいずれか１項記載の擬似眉形成化粧料。
5. ジヒドロキシアセトン及びエリトルロースから選ばれる、皮膚成分と反応して着色する化合物を含有する化粧料を顔面の眉部分の皮膚に塗布することにより眉形状を描く、擬似眉の形成方法。
6. 就寝前に前記化粧料を塗布し、起床時に眉形状が形成されている請求項５記載の擬似眉の形成方法。