JP4228573B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELとも略記する)素子および表示装置に関するものである。詳しくいえば、本発明は発光輝度に優れ、駆動電圧の低下した長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子、および該有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0003】
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子においては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。
【0004】
特許第3093796号では、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成している。
【0005】
また、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(特開昭63−264692号公報)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(特開平3−255190号公報)が知られている。
【0006】
以上のように、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。ところが、プリンストン大より、励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子の報告(M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154ページ(1998年))がされて以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている。例えば、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753ページ(2000年)、米国特許第6,097,147号など。励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。
【0007】
ドーパントとして用いられる燐光性化合物の発光色は、赤色、緑色では内部量子効率としてほぼ100%、寿命についても2万時間が達成されている一方(例えば、第62回応用物理学会学術講演会予稿集12−a−M7、パイオニア技術情報誌、第11巻、第1号)で、青〜青緑色の燐光性化合物をドーパントとして用いた場合、カルバゾール誘導体であるCBPをホスト化合物として使用した例があるが、その外部取り出し量子効率が6%であり、燐光性化合物を使用している割には不十分な結果である(例えば、第62回応用物理学会学術講演会予稿集12−a−M8)。これは、ホスト化合物としてCBPが青〜青緑色の燐光性化合物と相性が悪いために、十分な効率が得られていないものと考えられる。
【0008】
燐光性化合物をドーパントとして用いるときのホストは、例えば、C.Adachi et al.,Appl.Phys.Lett.,77巻、904ページ(2000年)、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL2000、浜松)等に詳しく記載されており、燐光性化合物の発光極大波長よりも短波な領域に発光極大波長を有することが必要である。一方、最近になって注目されている青〜青緑色発光のイリジウム錯体のホスト化合物には、従来のCBPや電子輸送性のホストとは異なる新しい観点からの分子設計が必要であり、それによって高輝度なホスト化合物が達成されるものと考えられる。
【0009】
また、近年、携帯情報機器としての用途から、有機EL素子に対する低駆動電圧化の要望が高まっている。このため、正孔注入層や正孔輸送層の改良により駆動電圧を低下させる試みが行われているが、満足な結果が得られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発光輝度の向上および低駆動電圧化を実現できる燐光ホスト化合物を含有する高輝度で長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、および該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた低消費電力、高輝度な表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0013】
1.ホスト化合物および燐光性化合物を含有する発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、ホスト化合物が前記一般式(1−1)で表される化合物であり、かつ、燐光性化合物がイリジウム化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
但し、一般式(1−1)で表される化合物は、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)ビフェニルを含まない。
【0015】
2.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(1−3)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0016】
3.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(2−1)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0017】
4.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(2−3)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0018】
5.上記一般式(2−3)のA22、A23が、ヘテロ原子を2個以上有する複素環であることを特徴とする前記4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0019】
6.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0022】
7.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(4)であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0023】
8.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(5)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0025】
9.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(6)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0028】
10.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(8−1)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0029】
11.前記一般式(1−1)で表されるホスト化合物が、前記一般式(8−2)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0030】
12.前記一般式(8−1)、(8−2)の、Z1、Z2、Z3はへテロ原子を少なくとも一つ含むことを特徴とする前記10又は11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0031】
13.分子内にトリアリールアミンを部分構造として有する化合物を含有するとことを特徴とする前記1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0033】
14.前記1〜13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
【0034】
本発明を更に詳しく説明する。本発明において、燐光性化合物は光励起により2個の電子スピンが平行の状態である励起三重項からの発光が観測される化合物である。ここで、本発明に記載の燐光性化合物では、前記蛍光性化合物の励起一重項状態、または、励起三重項状態からのエネルギー移動で、室温(15から30度)で励起三重項状態が形成されると考えられている。通常、燐光発光は77Kの低温でしか観測不能と考えられていたが、近年室温で燐光発光を観測できる化合物が見出されてからは、多くの化合物がイリジウム錯体系など重金属錯体を中心に合成検討されている(例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ、2001年)。
【0035】
最近になって注目されている青〜青緑色発光のイリジウム錯体のホスト化合物には、従来のCBPや電子輸送性のホストを用いても、十分な外部取り出し量子効率が得られないのは、それらのホストが何らかの原因でイリジウム錯体にエネルギー移動する効率が悪いためと推定される。
【0036】
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、分子内の部分構造として、オレフィン又はスチリル基を導入することにより、輝度の向上、寿命の改善が見られることが分かり、この周辺で燐光性化合物へ十分なエネルギー移動の効率を有するホスト化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0037】
本発明のホスト化合物とは、2種以上の化合物で構成される発光層中において、混合比(質量)の最も多い化合物であり、それ以外の化合物はドーパント化合物という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成しその混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。更に、発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。本発明における燐光性化合物は、ドーパント化合物の一種である。
【0038】
本発明の燐光性化合物とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、燐光量子収率が、25℃において0.001以上の化合物である。好ましくは0.01以上である。更に好ましくは0.1以上である。
【0039】
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398ページ(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられる燐光性化合物とは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率が達成されれば良い。
【0040】
本発明の燐光性化合物は、元素の周期律表でVIII属の金属を含有する錯体系化合物であり、イリジウム系化合物である。
【0041】
以下に、本発明で用いられる燐光性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704−1711に記載の方法等により合成できる。
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0045】
また、別の形態では、ホスト化合物と燐光性化合物の他に、燐光性化合物からの発光の極大波長よりも長波な領域に、蛍光極大波長を有する蛍光性化合物を少なくとも1種含有する場合もある。この場合、ホスト化合物と燐光性化合物からのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光性化合物からの発光が得られる。蛍光性化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的には、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または、希土類錯体系蛍光体などが挙げられる。
【0046】
以下、本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
本発明のホスト化合物は分子内にオレフィンを含有している化合物であり、好ましくは一般式(1−1)〜一般式(8−2)に示される化合物である。
【0047】
一般式(1−1)中、R1、R2、R3、R4は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はシアノ基を表す。
【0048】
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t―ブチル基、ベンジル基等がある。
【0049】
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等がある。
【0050】
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、p―トリル基、p―クロロフェニル基等がある。
【0051】
複素環基としては、ピロリル基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、トリアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基等がある。
【0052】
これらの基はさらに置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基等が挙げられる。
【0053】
一般式(1−1)中、R1、R2、R3、R4のうち、少なくとも二つは、アリール基、または、複素環基である。
【0054】
好ましくは、R1、R2、R3、R4のうち、2つがアリール基又はすべてアリール基の時である。
【0055】
一般式(1−2)中、X1、X2はアリール基または、複素環基を表し、R5、R6はアリール基、複素環基、または、脂環式炭化水素の残基を表し、かつ、R5、R6のいずれか一方は脂環式炭化水素の残基を表す。R5、R6は脂環式の環を形成してもよい。脂環式炭化水素の残基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の残基がある。脂環式炭化水素の残基として、特に好ましくは、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)である。これらの基は、さらに置換されていても良い。
【0056】
一般式(1−3)中、X3、X4はアリール基、または、複素環基を表し、R7、R8はアリール基、または、複素環基を表す。
【0057】
一般式(2−2)、(2−3)中、A20、A21、A22、A23、A24、A25及び一般式(5)中、A51、A52、A53、A54は、それぞれ独立に単環の芳香族環または複素環を表す。単環の芳香族環または複素環の具体例としてはベンゼン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等が挙げられる。
【0058】
R21からR24は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はシアノ基を表す。R21からR24で表される置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、フルオレニル基等)、アルコキシ基(例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよく、前記置換基としては、一般式(1−1)で挙げたものが挙げられる。
【0059】
一般式(2−3)において、A22、A23が複素環の場合、ヘテロ原子が2個以上の場合が好ましい。
【0060】
一般式(3)、(4)において、A31、A41、A42は、芳香族環、または、複素環を表す。これらの芳香族環、または、複素環は、単環基、縮合多環基、または、単環もしくは縮合多環を含む芳香族単位が連結した基である。具体的には、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アズレン、フルオレノン、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、オキサゾール、ピラジン、ピリミジン、オキサジアゾール、トリアゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゾチアゾール、フェナントロリン、キナクリドン等の置換もしくは未置換の芳香族環もしくは縮合芳香環の残基、さらには、ビフェニル、ターフェニル、ビナフチル、トリフェニルベンゼン、ジフェニルアントラセン、ルブレン、ビピリジン、ビキノリン、ビチオフェン、等の芳香環構造単位同士が直接連結した残基である。
【0061】
A41、A42は、スチリル基、または、置換スチリル基が置換基として導入された場合が最も好ましい。
【0062】
一般式(6)において、A61 及びR 61 は芳香族環基、または、複素環基を表す。芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ピレニル基、コロニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、フラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イミダゾリル基、等が挙げられる。
【0063】
一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(8−1)、(8−2)において、R 31 、R 32 、R 81 、R 82 、R 89 、R 90 は、アリール基、または、複素環基を表し、R33 〜R36、R41〜R48、R51〜R56、R61〜R63 、R 81〜R92は、水素原子、または、置換基を表す。R31〜R36、R41〜R48、R51〜R56、R61〜R63、R71〜R76、R83 〜R 85 、R 86 、R 87 、R 88 、R 91 、R 92 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はシアノ基を表す。R35、R36が置換基を表す場合、好ましくは、脂環系炭化水素の残基である。R41、R42は、水素原子が好ましい。
【0064】
一般式(8−1)、(8−2)において、X5、X6、X7は、−O−,−S−,−NRa−を表す。ここで、Raは置換基である。Z1、Z2、Z3は、5員環と共に縮合環を形成するのに必要な原子群である。具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、複素環等が挙げられる。
【0065】
請求項1から14で表されるホスト化合物は、分子内の部分構造としてトリアリールアミンを含有しても良い。また、素子の寿命に関しては,5配位のアルミニウム錯体を電子輸送層に導入いた場合、大きく改善され好ましい。
【0066】
以下に、具体的化合物例を示すが、本発明のホスト化合物が、これらに限定されるものではない。
【0067】
【化16】
【0068】
【化17】
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
【化28】
【0080】
【化29】
【0081】
【化30】
【0082】
【化31】
【0083】
【化32】
【0084】
【化33】
【0085】
【化34】
【0086】
【化35】
【0087】
【化36】
【0088】
【化37】
【0089】
【化38】
【0090】
【化39】
【0091】
【化40】
【0092】
【化41】
【0093】
【化42】
【0094】
【化43】
【0097】
【化46】
【0098】
【化47】
【0099】
【化48】
【0100】
【化49】
【0101】
【化50】
【0102】
本発明の化合物は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり、電場発光性にも優れており、発光材料として有効に使用できる。
【0103】
本発明の化合物は、従来既知の方法で合成できる。例えば、登録特許第3086272号や登録特許第3214674号等に詳しい。
【0104】
本発明の有機EL素子は、必要に応じ発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層、陽極バッファー層および陰極バッファー層等を有し、陰極と陽極で狭持された構造をとる。
【0105】
具体的には、
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極などの構造がある。
【0106】
本発明の化合物は、いずれの層中に含有されていてもかまわないが、発光層に含有されていることが好ましい。
【0107】
上記発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。
【0108】
発光材料は、発光性能の他に、正孔輸送機能や電子輸送機能を併せ持っていても良く、正孔輸送材料や電子輸送材料の殆どが、発光材料としても使用できる。
【0109】
この発光層は、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらの発光材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0110】
また、この発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については、特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
【0111】
次に正孔輸送層および電子輸送層について説明する。
正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、そのうえ、発光層に陰極、陰極バッファー層又は電子輸送層より注入された電子は、発光層と正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、発光層内の界面に累積され発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。この正孔輸送層の材料(以下、正孔注入材料、正孔輸送材料という)については、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0112】
上記正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。この正孔輸送材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0113】
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。
【0114】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0115】
また、p型−Si,p型−SiCなどの無機化合物も正孔輸送材料として使用することができる。この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。さらに、必要に応じて用いられる電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0116】
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体,ジフェニルキノン誘導体,チオピランジオキシド誘導体,ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物,カルボジイミド,フレオレニリデンメタン誘導体,アントラキノジメタン及びアントロン誘導体,オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0117】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0118】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq),トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム,トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム,トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム,トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム,ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn,Mg,Cu,Ca,Sn,Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として用いられるジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔輸送層と同様に、n型−Si,n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0119】
この電子輸送層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。電子輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子輸送層は、これらの電子輸送材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0120】
さらに、陽極と発光層または正孔注入層の間、および、陰極と発光層または電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
【0121】
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。
【0122】
陽極バッファー層は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0123】
陰極バッファー層は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウム、酸化リチウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0124】
特に、本発明の有機EL素子において、陰極バッファー層が存在した場合、駆動電圧低下や発光効率向上が大きく得られた。
【0125】
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
【0126】
さらに上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば特開平11−204258号、同11−204359号、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層などのような機能層を有していても良い。
【0127】
次に有機EL素子の電極について説明する。有機EL素子の電極は、陰極と陽極からなる。
【0128】
この有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
【0129】
上記陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
【0130】
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウムーカリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。
【0131】
更に本発明の有機EL素子に用いる陰極としては、アルミニウム合金が好ましく、特にアルミニウム含有量が90質量%以上100質量%未満であることが好ましく、最も好ましくは95質量%以上100質量%未満である。これにより、有機EL素子の発光寿命や、最高到達輝度を非常に向上させることができる。
【0132】
上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光効率が向上し好都合である。
【0133】
本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基板は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はない。本発明のエレクトロルミネッセンス素子に好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。
【0134】
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0135】
次に、該有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極からなるEL素子の作製法について説明すると、まず適当な基板上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極バッファー層の材料からなる薄膜を形成させる。
【0136】
この有機薄膜層の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用しても良い。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造、会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0137】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわないが、その際には作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
【0138】
また作製順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、陽極バッファー層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られたEL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0139】
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
【0140】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0141】
実施例1(燐光ホスト化合物としての使用)
陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をi−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、5つのモリブデン製抵抗加熱ボートに、α−NPD、CBP、Ir−10、BC、Alq3をそれぞれ入れ真空蒸着装置に取付けた。
【0142】
次いで、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで透明支持基板に膜厚50nmの厚さになるように蒸着し、正孔注入/輸送層を設けた。さらに、CBPの入った前記加熱ボートとIr−10の入ったボートをそれぞれ独立に通電してCBPとIr−10の蒸着速度が100:7になるように調節し膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設けた。
【0143】
ついで、BCの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで厚さ10nmの正孔阻止の役割もかねた電子輸送層を設けた。更に、Alq3の入った前記加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで膜厚50nmの電子輸送層を設けた。
【0144】
次に、真空槽をあけ、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを設置し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン製の蒸着用バスケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を2×10-4Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電して蒸着速度1.5〜2.0nm/secでマグネシウムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱し、蒸着速度0.1nm/secで銀を蒸着し、前記マグネシウムと銀との混合物から成る陰極(200nm)とすることにより、比較用有機EL素子OLED1−1を作製した。
【0145】
【化51】
【0146】
上記有機EL素子OLED1−1のホスト化合物であるCBPを表1に記載の化合物に替えた以外は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−2〜24を作製した。
【0147】
得られた本発明の有機発光素子を温度23度、乾燥窒素ガス雰囲気下で、光り始めの電圧の測定を行い発光開始電圧とした。次に、9V直流電圧を印加した時の発光輝度(L)[cd/m2]を測定した。発光輝度は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1を100とした時の相対値で表した。なお、発光開始電圧は、輝度が50[cd/m2]となった場合とした。発光輝度はミノルタ製CS−1000を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0148】
【表1】
【0149】
表1より、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、発光輝度、発光開始時の電圧が改善されているのが分かる。上記で使用した化合物の構造を以下に示す。なお、発光色は青色だった。
【0150】
【化52】
【0151】
燐光発光化合物をIr−9またはIr−1に代えた以外は、OLED1−1からOLED1−24と同様にして作製した有機EL素子においても同様の効果が得られた。なお、Ir−1を用いた素子からは緑色の発光が、Ir−9を用いた素子からは赤色の発光が得られた。
【0152】
実施例2
実施例1で作製した有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−6の陰極をAlに置き換え、電子輸送層と陰極の間に酸化リチウムを膜厚1.5nm蒸着して陰極バッファー層を設け、正孔阻止の役割も兼ねた電子輸送層であるBCをBAlqに代えた以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED2−1)を作製した。
【0153】
【化53】
【0154】
実施例1と同様に、有機発光素子を温度23度、乾燥窒素ガス雰囲気下で、9V直流電圧を印可した時の発光輝度(L)[cd/m2]を測定した。また、輝度の半減する時間(τ)を測定した。有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−6との相対比較で、発光輝度109、輝度の半減する時間188となり、特に、輝度の半減する時間に大きな改善効果が見られた。また、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−9〜13、15、17、20〜23についても、同様に、陰極バッファー層とBAlqを導入すると輝度の半減寿命に大きな効果が見られた。
【0155】
実施例3
実施例1で作製したそれぞれ赤色、緑色、青色発光有機エレクトロルミネッセンス素子を同一基板上に並置し、特願2001−181543に示すアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。
【0156】
該フルカラー表示装置を駆動することにより、輝度の高い鮮明なフルカラー動画表示が得られた。
【0157】
【発明の効果】
本発明により、発光輝度の向上および低駆動電圧化を実現できる燐光ホスト化合物を含有する高輝度で長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、および該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた低消費電力、高輝度な表示装置を得た。
Claims (14)
- 上記一般式(2−3)のA 22 、A 23 が、ヘテロ原子を2個以上有する複素環であることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記一般式(8−1)、(8−2)の、Z 1 、Z 2 、Z 3 はへテロ原子を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 分子内にトリアリールアミンを部分構造として有する化合物を含有するとことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
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