ところで、この種の液封入式防振装置では、弾性仕切り膜を規制部材に当接させる構造であるため、その当接の際に規制部材が振動して、その振動が車体フレームへ伝達することで異音が発生するという問題点がある。
そこで、上述した従来の液封入式防振装置では、規制部材(第1及び第2の支持部材)を弾性リンクにより連結してその可撓性による減衰を利用することで、異音の発生を防止する。しかしながら、この従来の液封入式防振装置では、動的特性を十分に得ることができず、防振性能が不十分であるというという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、異音の発生を防止しつつ、防振性能の向上を図ることができる液封入式防振装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の液封入式防振装置は、第1取付け具と、筒状の第2取付け具と、前記第2取付け具と前記第1取付け具とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記第2取付け具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室とに仕切る仕切り体と、前記仕切り体の外周側と前記第2取付け具の内周側との間に形成され前記第1液室及び第2液室を互いに連通させるオリフィスとを備え、前記仕切り体が、ゴム状弾性材から円板状に構成される弾性仕切り膜と、開口部を備えると共に前記弾性仕切り膜の両面側に対向配置され前記開口部の残部によって前記弾性仕切り膜の変位を規制する一対の規制板部材とを備えて構成されるものであり、前記開口部は、前記第2取付け具の内周に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される複数の外側開口部を備え、前記複数の外側開口部は、それぞれが他の外側開口部と異なる大きさの開口面積を有して構成されると共に、前記開口面積の大きさ順に配列され、前記複数の外側開口部が前記開口面積の小さなものから大きなものに順に配列される際の配列方向は、前記第2液室から前記オリフィスを介して前記第1液室へ流入した液体が前記第2取付け具の内周に沿って前記第1液室内を流動する流動方向と同方向とされている。
請求項2記載の液封入式防振装置は、請求項1記載の液封入式防振装置において、前記複数の外側開口部の内側に配列され、前記第2取付け具の内周に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される複数の内側開口部を備え、前記複数の内側開口部は、それぞれが他の内側開口部と異なる大きさの開口面積を有して構成されると共に、前記開口面積の大きさ順に配列され、前記複数の内側開口部が前記開口面積の小さなものから大きなものに順に配列される際の配列方向は、前記複数の外側開口部が前記開口面積の小さなものから大きなものに順に配列される際の配列方向と同方向とされている。
請求項3記載の液封入式防振装置は、請求項2記載の液封入式防振装置において、前記複数の外側開口部と複数の内側開口部は、それぞれが他の外側開口部及び内側開口部と異なる大きさの開口面積を有して構成されている。
請求項4記載の液封入式防振装置は、請求項1から3のいずれかに記載の液封入式防振装置において、前記オリフィスは、前記第1液室側の出入口が前記第2取付け具の内周に沿って湾曲する長穴形状に形成されると共に、前記長穴形状の長手方向端部であってオリフィス流路側の端部が、前記複数の外側開口部の内の開口面積が最大となるものと最小となるものとの間に形成される外側第1リブを延長した領域上に位置している。
請求項5記載の液封入式防振装置は、請求項4記載の液封入式防振装置において、前記長穴形状の長手方向端部であってオリフィス流路と反対側となる端部は、前記複数の外側開口部の内の開口面積が2番目に小さなものとなる外側開口部の外側に位置している。
請求項6記載の液封入式防振装置は、請求項1から3のいずれかに記載の液封入式防振装置において、前記複数の内側開口部の内の開口面積が最大となるものと最小となるものとの間に形成される内側第1リブは、前記外側第1リブと同じ周方向位置に配置されている。
請求項7記載の液封入式防振装置は、請求項6記載の液封入式防振装置において、前記内側開口部の配設数と前記外側開口部の配設数との比率が1対2とされ、かつ、前記複数の内側開口部の間にそれぞれ形成されるリブの内の全てのリブが、前記複数の外側開口部の間にそれぞれ形成されるリブの内のいずれかのリブと同じ周方向位置に配置されている。
請求項8記載の液封入式防振装置は、請求項2又は3に記載の液封入式防振装置において、前記オリフィスは、前記第1液室側の出入口が円弧状に湾曲する長穴形状に形成され、前記長穴形状の円弧と、前記複数の外側開口部の配列により形成される環形状と、前記複数の内側開口部の配列により形成される環形状とが同一軸心を有して構成されている。
請求項1記載の液封入式防振装置によれば、仕切り体が、ゴム状弾性材から円板状に構成される弾性仕切り膜と、開口部を備えると共に弾性仕切り膜の両面側に対向配置され開口部の残部によって弾性仕切り膜の変位を規制する一対の規制板部材とを備えると共に、開口部が、複数の外側開口部を備え、それら複数の外側開口部の内のそれぞれが他の外側開口部と異なる大きさの開口面積を有するように構成したので、各外側開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布を分散させることができる。その結果、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各外側開口部に対応する部位の共振周波数を分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、複数の外側開口部を、開口面積の大きさ順に配列すると共に、それら複数の外側開口部が開口面積の小さなものから大きなものに順に配列される際の配列方向を、第2液室からオリフィスを介して第1液室へ流入した液体が第2取付け具の内周に沿って第1液室内を流動する流動方向と同方向となるように構成したので、例えば、振動入力に伴って第1液室の液体が第2液室へ流入する場合には、第1液室内において、外側開口部の開口面積が減少する方向へ向けて液体を流動させることができる。これにより、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各外側開口部に対応する部位の共振周波数をより効果的に分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
一方、振動入力時にオリフィスが目詰まり状態となり両液室間を液体が流通しない場合には、上述したように、複数の外側開口部が開口面積の大きさ順に配列されていることで、各外側開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布を周方向へ沿ってより連続的に分散させることができる。その結果、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各外側開口部に対応する部位の共振周波数をより効率的に分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
なお、例えば、開口面積を異ならせて構成する場合であっても、それぞれ開口面積の異なる複数の開口部を一単位として、その一単位の開口部群が周方向に反復して配置(例えば、開口部群が周方向3箇所に配置)される場合には、各開口部群内だけをみれば、それら開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布が周方向に沿って変化はするが、弾性仕切り膜全体としては、一の開口部群と他の開口部群とにおいて、弾性仕切り膜に作用する液圧分布が同等となるので、各開口部群に対応する部位の共振周波数を分散させることができず、弾性仕切り膜の共振周波数が所定値に集中するという問題点がある。これに対し、本発明では、上述したように、複数の外側開口部の内のそれぞれが他の外側開口部と異なる大きさの開口面積を有し、かつ、それら複数の外側開口部を開口面積の大きさ順に配列する構成であるので、弾性仕切り膜に作用する液圧分布を周方向へ沿って確実に連続的に分散させ、共振周波数の集中を抑制することができる。
ここで、複数の外側開口部は、第2取付け具の内周に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される構成であるので、液体が第2取付け具の内周に沿って流動する場合には、かかる液体は、幅寸法(流動方向に略直交する方向の寸法)が一定で、かつ、長さ寸法(流動方向の寸法)が順次変化する外側開口部上を流動することとなる。これにより、例えば、開口部が円形・楕円形・多角形などから構成される場合と比較して、弾性仕切り膜に作用する液圧分布を周方向へ沿って連続的に分散させ、共振周波数の集中を抑制するという効果を確実に発揮させることができるという効果がある。その結果、動的特性のより一層の向上を図ることができる。
また、このように、外側開口部の形状を、第2取付け具の内周に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される構成とすることで、外側開口部の残部(例えば、環状のリブや放射状のリブなど)の形状をそれぞれ均一に構成することができる。よって、部位毎の剛性強度のばらつきを抑制して、仕切り体全体としての剛性強度の向上を図ことができ、その結果、仕切り体の耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
請求項2記載の液封入式防振装置によれば、請求項1記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、複数の内側開口部を備え、それら複数の内側開口部の内のそれぞれが他の内側開口部と異なる大きさの開口面積を有するように構成したので、各内側開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布を分散させることができる。その結果、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各内側開口部に対応する部位の共振周波数を分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、複数の内側開口部を、開口面積の大きさ順に配列すると共に、それら複数の内側開口部が開口面積の小さなものから大きなものに順に配列される際の配列方向を、第2液室からオリフィスを介して第1液室へ流入した液体が第2取付け具の内周に沿って第1液室内を流動する流動方向と同方向となるように構成したので、例えば、振動入力に伴って第1液室の液体が第2液室へ流入する場合には、第1液室内において、内側開口部の開口面積が減少する方向へ向けて液体を流動させることができる。これにより、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各内側開口部に対応する部位の共振周波数をより効果的に分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
一方、振動入力時にオリフィスが目詰まり状態となり両液室間を液体が流通しない場合には、上述したように、複数の内側開口部が開口面積の大きさ順に配列されていることで、各内側開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布を周方向へ沿ってより連続的に分散させることができる。その結果、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各内側開口部に対応する部位の共振周波数をより効率的に分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
なお、本発明によれば、内側開口部の配列方向と外側開口部の配列方向とが同じ方向となるように構成したので、上述した効果を、内側開口部と外側開口部とが打ち消すことなく、それら両開口部により相乗的に発揮して、動的特性の向上を効率的に図ることができるという効果がある。
ここで、複数の内側開口部は、第2取付け具の内周に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される構成であるので、液体が第2取付け具の内周に沿って流動する場合には、かかる液体は、幅寸法(流動方向に略直交する方向の寸法)が一定で、かつ、長さ寸法(流動方向の寸法)が順次変化する内側開口部上を流動することとなる。これにより、例えば、開口部が円形・楕円形・多角形などから構成される場合と比較して、弾性仕切り膜に作用する液圧分布を周方向へ沿って連続的に分散させ、共振周波数の集中を抑制するという効果を確実に発揮させることができるという効果がある。その結果、動的特性のより一層の向上を図ることができる。
また、このように、内側開口部の形状を、第2取付け具の内周に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される構成とすることで、内側開口部の残部(例えば、環状のリブや放射状のリブなど)の形状をそれぞれ均一に構成することができる。よって、部位毎の剛性強度のばらつきを抑制して、仕切り体全体としての剛性強度の向上を図ことができ、その結果、仕切り体の耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、内側開口部の形状を、外側開口部の形状と同様に、第2取付け具の内周に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される構成とすることで、両開口部の残部(例えば、環状のリブや放射状のリブ)の形状をそれぞれより均一に構成することができるという効果がある。その結果、仕切り体全体としての剛性強度をより確実に向上させることができるので、仕切り体の耐久性の向上をより一層図ることができるという効果がある。
請求項3記載の液封入式防振装置によれば、請求項2記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、外側開口部及び内側開口部のそれぞれを他の外側開口部及び内側開口部の全てとそれぞれ異なる大きさの開口面積を有するように構成したので、外側開口部及び内側開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布を確実に分散させることができるという効果がある。その結果、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、外側開口部及び内側開口部に対応する部位の共振周波数を分散させて、所定の共振周波数に集中することを確実に抑制することができるので、動的特性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項4記載の液封入式防振装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、オリフィスの第1液室側の出入口を、第2取付け具の内周に沿って湾曲する長穴形状に形成すると共に、その長穴形状の長手方向端部であってオリフィス流路側の端部を、複数の外側開口部の内の開口面積が最大となるものと最小となるものとの間に形成される外側第1リブを延長した領域上に位置させる構成であるので、振動入力に伴って第1及び第2の両液室間でオリフィスを介して液体が流動し、例えば、液体がオリフィスの出入口から第1液室内へ流入する(或いは、第1液室内の液体がオリフィスの出入口へ流出する)場合には、第1液室内において、外側開口部の開口面積が最小のものを最初に通過し最大のものが最後となるように(或いは、逆に、開口面積が最大のものを最初に通過し最小のものが最後となるように)順に液体を流動させることができる。これにより、外側開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布を周方向に連続的に分散させる際の連続性を保つことができるという効果がある。その結果、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各外側開口部に対応する部位の共振周波数をより効果的に分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
また、本発明によれば、上述したように、オリフィスの第1液室側の出入口を、第2取付け具の内周に沿って湾曲する長穴形状に形成する構成であるので、振動入力に伴って第1及び第2の両液室間でオリフィスを介して液体が流動し、例えば、液体がオリフィスの出入口から第1液室内へ流入する(或いは、第1液室内の液体がオリフィスの出入口へ流出する)場合には、第1液室内の液体を、第2液室の内周に沿って、即ち、外側開口部の配列に沿って流動させることができるという効果がある。その結果、外側開口部を開口面積の大きさ順に配列したことによる効果を効果的に発揮させることができる。
請求項5記載の液封入式防振装置によれば、請求項4記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、長穴形状(オリフィスの第1液室側の出入口)の長手方向端部であってオリフィス流路と反対側となる端部を、複数の外側開口部の内の開口面積が2番目に小さなものとなる外側開口部の外側に位置させる構成であるので、液封入式防振装置の小型化を図りつつ、動的特性の向上を図ることができるという効果がある。
即ち、上述した長穴形状のオリフィス流路と反対側となる端部を、開口面積が3番目に小さなもの以降の外側に位置させたのでは、液体がオリフィスの出入口から第1液室内へ流入する(或いは、第1液室内の液体がオリフィスの出入口へ流出する)際に、開口面積が最小となる及び2番目に小さなものとなる外側開口部上を液体が流動せず、外側開口部を開口面積の大きさ順に配列したことによる効果を十分に発揮させることができない。
一方、上述した長穴形状のオリフィス流路と反対側となる端部を、開口面積が最小となるものの外側に位置させたのでは、長穴形状(オリフィス出入口)の長手方向長さが短くなるため、オリフィス出入口の開口面積を確保するべく、かかる長穴形状の幅寸法を拡大する必要が生じる。この場合、長穴形状の幅寸法のみを拡大したのでは、外側開口部との間に形成されるリブの幅も狭くなり、十分な剛性強度を確保できなくなるため、仕切り体の外径を拡径する必要が生じ、その分、液封入式防振装置の大型化を招く。
これに対し、本発明によれば、上述したように、長穴形状(オリフィスの第1液室側の出入口)のオリフィス流路と反対側となる端部を、開口面積が2番目に小さなものとなる外側開口部の外側に位置させる構成であるので、開口面積が最小となる外側開口部上を液体が流動するようにして、外側開口部を開口面積の大きさ順に配列したことによる効果を十分に発揮させることができると共に、仕切り体の外径を拡径させることなく、オリフィス出入口の開口面積を確保することができるので、動的特性の向上と液封入式防振装置の小型化との両立を図ることができる。
請求項6記載の液封入式防振装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、複数の内側開口部の内の開口面積が最大となるものと最小となるものとの間に形成される内側第1リブを、上述した外側第1リブと同じ周方向位置に配置する構成である、即ち、長穴形状(オリフィスの第1液室側の出入口)の長手方向端部であってオリフィス流路側の端部を、複数の内側開口部の内の開口面積が最大となるものと最小となるものとの間(内側第1リブを延長した領域上)に位置させる構成であるので、振動入力に伴って第1及び第2の両液室間でオリフィスを介して液体が流動し、例えば、液体がオリフィスの出入口から第1液室内へ流入する(或いは、第1液室内の液体がオリフィスの出入口へ流出する)場合には、第1液室内において、内側開口部の開口面積が最小のものを最初に通過し最大のものが最後となるように(或いは、逆に、開口面積が最大のものを最初に通過し最小のものが最後となるように)順に液体を流動させることができる。これにより、内側開口部を介して弾性仕切り膜に作用する液圧分布を周方向に連続的に分散させる際の連続性を保つことができるという効果がある。その結果、弾性仕切り膜が均一膜厚に構成される場合であっても、各内側開口部に対応する部位の共振周波数をより効果的に分散させて、所定の共振周波数に集中することを抑制することができるので、動的特性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
また、本発明によれば、内側開口部の配列方向と外側開口部の配列方向とを同じ方向とし、かつ、周方向位置を一致させる構成であるので、上述した効果を、内側開口部と外側開口部とが打ち消すことなく、それら両開口部により相乗的に発揮して、動的特性の向上をより効率的に図ることができるという効果がある。
請求項7記載の液封入式防振装置によれば、請求項6記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、内側開口部の配設数と外側開口部の配設数との比率を1対2とし、かつ、複数の内側開口部の間にそれぞれ形成されるリブの内の全てのリブを、複数の外側開口部の間にそれぞれ形成されるリブの内のいずれかのリブと同じ周方向位置に配置する構成であるので、内側開口部間に形成されるリブと外側開口部間に形成されるリブとを放射直線状に配置して、仕切り体全体としての剛性強度を確保することができるという効果がある。また、各リブを放射直線状に配置することで、例えば、仕切り体を鋳造や射出成形などにより製造する場合には、成形性を確保して、歩留まりの向上を図ることができるという効果がある。
請求項8記載の液封入式防振装置によれば、請求項2又は3に記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、オリフィスの第1液室側の出入口を円弧状に湾曲する長穴形状に形成し、その長穴形状の円弧と、複数の外側開口部の配列により形成される環形状と、複数の内側開口部の配列により形成される環形状とが同一軸心を有する構成であるので、オリフィスの第1液室側の出入口と外側開口部との間に形成される環状のリブ、及び、外側開口部と内側開口部との間に形成される環状のリブを、周方向に一定のリブ幅で形成することができ、その結果、仕切り体全体としての剛性強度を確保することができるという効果がある。特に、本発明のように、外側及び内側開口部がそれぞれ異なる開口面積を有して構成される場合には、仕切り体の開口バランスが不均一となり、剛性強度の確保が困難となるため、上述の構成が特に有効となる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における液封入式防振装置100の断面図である。
この液封入式防振装置100は、自動車のエンジンを支持固定しつつ、そのエンジン振動を車体フレームへ伝達させないようにするための防振装置であり、図1に示すように、エンジン側に取り付けられる第1取付け金具1と、エンジン下方の車体フレーム側に取付けられる筒状の第2取付け金具2と、これらを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体3とを主に備えている。
第1取付け金具1は、アルミニウム合金などから略円柱状に形成され、図1に示すように、その略中央部には、取付けボルト4が上方へ向けて突設されている。また、取付けボルト4の側方には、位置決め凸部1aが凸設されている。また、第1取付け金具1の下方部分は、外径方向にフランジ状に張り出して形成されており、この張り出し部分は、防振基体3内に埋設されている。
第2取付け金具2は、防振基体3が加硫成形される筒状金具6と、その筒状金具6の下方に取着される底金具7とを備えて構成されている。図1に示すように、筒状金具6は上広がりの開口を有する筒状に、底金具7はカップ状に、それぞれ形成されている。
なお、筒状金具6は鉄鋼材料から、底金具7はアルミニウム合金から、それぞれ構成されている。また、底金具7の底部には、取付けボルト5が突設されると共に、位置決め凸部7aが凸設されている。
防振基体3は、図1に示すように、ゴム状弾性体から断面略円錐台形状に形成され、第1取付け金具1の下面側と筒状金具6の上端開口部との間に加硫接着されている。また、防振基体3の下端部には、筒状金具6の内周面を覆うゴム膜3aが連なっており、このゴム膜3aには、後述するオリフィス金具16、及び、仕切板部材17の外周部が密着されている。
防振基体3の上端部(図1上側)は、図1に示すように、第1取付け金具1の張り出し部分を覆う覆設部3bを備えており、この覆設部3bがスタビライザー金具8に当接することで、大変位時のストッパ作用が得られるように構成されている。なお、スタビライザー金具8は、筒状金具6の端部にかしめ固定されている。また、スタビライザー金具8の上面側には、ゴム状弾性体から構成されるカバー部材13が装着されている。
ダイヤフラム9は、ゴム状弾性体から部分球状を有するゴム膜状に形成されるものであり、図1に示すように、第2取付け金具2(筒状金具6と底金具7との間)に取着されている。その結果、このダイヤフラム9の上面側と防振基体3の下面側との間には、液体封入室11が形成されている。
この液体封入室11には、エチレングリコールなどの不凍性の液体(図示せず)が封入される。図1に示すように、液体封入室11は、後述する仕切り体12によって、防振基体3側(図1上側)の第1液室11Aと、ダイヤフラム9側(図1下側)の第2液室11Bとの2室に仕切られている。
なお、ダイヤフラム9は、上面視ドーナツ状の取付け板10に加硫接着されており、図1に示すように、その取付け板10が筒状金具6と底金具7との間でかしめ固定されることにより、第2取付け金具2に取着されている。
仕切り体12は、図1に示すように、ゴム状弾性体から略円板状のゴム膜状に構成される弾性仕切り膜15と、この弾性仕切り膜15を収容して内周面側の格子状の壁部で受け止めるオリフィス金具16と、このオリフィス金具16の軸方向一端側(図1上側)の開口部を覆う円板状の仕切板部材17とを備えて構成されている。
なお、仕切板部材17は、オリフィス金具16と同様に、格子状の壁部を備え、弾性仕切り膜15を受け止める。弾性仕切り膜15は、仕切板部材17の壁部とオリフィス金具16の壁部との対向面間に収容され、その変位が両側から規制されている。この変位規制により、比較的大振幅の振動入力時には、膜剛性を高めて、減衰特性の向上(高減衰特性化)を図ることができる。なお、比較的小振幅の振動入力時には、弾性仕切り膜15が往復動変形して液圧を吸収することで、動的特性の向上(低動ばね化)が図られる。
オリフィス金具16の外周面側には、第2取付け金具2(筒状金具6)の内周面を覆うゴム膜3aとの間に、図1に示すように、オリフィス25が形成されている。このオリフィス25は、第1液室11Aと第2液室11Bとを連通させるオリフィス流路である。
仕切り体12は、図1に示すように、防振基体3に設けた仕切り体受け部3cと挟持部材18とによって、第2取付け金具2の軸心O方向(図1上下方向)に挟持固定されている。挟持部材18は、第2筒部44(図7参照)がオリフィス金具16の軸心O方向他端側(図1下側)内周部に内嵌圧入され、また、その外周部側平板部41(図7参照)が第2取付け金具2(筒状金具6と底金具7との間)にかしめ固定されている。
ここで、仕切り体受け部3cは、防振基体3の下面側の全周にわたる段部として形成され、図1に示すように、その段部で仕切り体12の上端面を係止する。液封入式防振装置100の組み立て状態においては、仕切り体受け部3cが圧縮変形されており、この仕切り体受け部3cの弾性復元力が仕切り体12に保持力として作用している。これにより、仕切り体12を強固かつ安定的に挟持固定することができる。
なお、図1に示すように、挟持部材18の第2筒部44がオリフィス金具16の下端側内周部に内嵌圧入されると共に、挟持部材18の外周部側平板部41が第2取付け金具2(筒状金具6と底金具7との間)にかしめ固定されているので、挟持部材18及び仕切り体12を強固に保持することができる。その結果、大振幅や高周波数の振幅が入力された場合などでも、各部材のびびりを抑制することができるので、各部材の位置ずれや共振などに起因する動特性への影響を回避することができる。
次いで、図2から図4を参照して、仕切り体12を構成するオリフィス金具16について説明する。図2(a)は、オリフィス金具16の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線におけるオリフィス金具16の断面図である。また、図3は、オリフィス金具16の側面図であり、図4は、オリフィス金具16の上面図である。
オリフィス金具16は、図2から図4に示すように、アルミニウム合金から、軸心Oを有し内周側が空洞の略円筒状に対し、その軸心O方向一端側を壁部により閉じて構成されている。このオリフィス金具16の軸心O方向一端側(例えば、図2(b)または図3の上側)の外周には、図2から図4に示すように、嵌合壁21が半径方向(軸心Oに略直交する方向をいう。例えば、図2(b)左右方向)に張り出して(即ち、オリフィス金具16の外周面から外方へ突出して)形成されている。嵌合壁21には、仕切板部材17の外嵌筒部31が外嵌圧入される(図1参照)。
嵌合壁21の周方向の一部には、図2から図4に示すように、切り欠き部21aが形成されており、この切り欠き部21aと後述する仕切板部材17の開口部32(図5参照)とを介して、オリフィス25の一端が第1液室11A(図1参照)に連通される。なお、オリフィス流路は、後述するように、そのオリフィス形成壁の一部が挟持部材18(中間部側平板部43)により形成される(図1参照)。また、切欠き部21aは、図4に示すオリフィス金具16の上面視において、オリフィス金具16の軸心Oと同心の円弧状に湾曲して形成されている。
嵌合壁21の一端には、図2から図4に示すように、オリフィス金具16の軸心O方向(例えば、図3上下方向)へ延びる縦壁23が連設されている。縦壁23は、オリフィス流路(オリフィス25)を周方向に区画する部位であり、オリフィス金具16の半径方向へ張り出して形成されると共に、図3に示すように、オリフィス金具16の下端面部(図3下側)まで延設されている。
オリフィス金具16の壁部は、図2から図4に示すように、その板厚方向に穿設される複数の開口部(中心側の中央開口部24aと、壁部の周方向に2列に並ぶ内側開口部24b及び外側開口部24c)を備えており、これら各開口部24a〜24cの周縁に沿って、中央環状リブ16a1等と第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3等とが複数形成されている。
なお、本実施例では、図2又は図4に示すように、中央開口部24aの形状は、オリフィス金具16の軸心Oに同心の略円状に形成されている。また、内側開口部24bの形状は、オリフィス金具16の外周(第2取付け金具2の内周)に沿う環状の穴を放射状に分断して形成される。即ち、内側開口部24bは、環状の穴を、軸心Oに対して放射状に延びる3本の第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b2により分断することで、それぞれが異なる開口面積を有する3個の第1〜第3内側開口部24b1〜24b3を備えて構成されている。
同様に、図2又は図4に示すように、外側開口部24cの形状は、オリフィス金具16の外周(第2取付け金具2の内周)に沿う環状の穴であって、上述した内側開口部24bの外側に位置する環状の穴を放射状に分断して形成される。即ち、外側開口部24cは、環状の穴を、軸心Oに対して放射状に延びる6本の第1〜第6外側放射状リブ16c1〜16c6により分断することで、それぞれが異なる開口面積を有する6個の第1〜第6外側開口部24c1〜24c6を備えて構成されている。
ここで、第1〜第3内側開口部24b1〜24b3は、後述するように、開口面積の大きさ順に配列されており、開口面積の小さなものから大きなものに順に配列される際の配列方向は、第2液室11Bからオリフィス25を介して第1液室11Aへ流入した液体が第2取付け金具2(筒金具6)の内周に沿って第1液室11A内を流動する流動方向(図4時計回り)と同方向とされている。同様に、第1〜第6外側開口部24c1〜24c6が、開口面積の小さなものから大きなものに順に配列される際の配列方向は、上述した流動方向(図4時計回り)と同方向とされている。
中央環状リブ16a1、内側環状リブ16a2及び外側環状リブ16a3は、図2又は図4に示すように、オリフィス金具16の軸心Oに対して、同心の環状により形成され、中央環状リブ16a1と内側環状リブ16a2とは第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3により、内側環状リブ16a2と外側環状リブ16a3とは第1〜第6放射状リブ16c1〜16c6により、それぞれ連結されている。
なお、図2又は図4に示すように、中央環状リブ16a1及び内側環状リブ16a2は、それぞれ全周にわたって一定のリブ幅に構成されているので、第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3のリブ長さ(即ち、内側開口部24bの開口幅)もそれぞれ同じ長さに構成されている。同様に、外側環状リブ16a3も全周にわたって一定のリブ幅に構成されているので、第1〜第6外側放射状リブ16c1〜16c6のリブ長さ(即ち、外側開口部24cの開口幅)もそれぞれ同じ長さに構成されている。
但し、本実施の形態では、後述するように、合計10個の開口部24a,24b1〜24b3,24c1〜24c6の開口面積が全て異なる面積値となるように、内側開口部24bの開口幅が外側開口部24cの開口幅よりも狭くされている。
図4に示すように、第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3及び第1〜第6外側放射状リブ16c1〜16c6は、オリフィス金具16の軸心Oから放射直線状に延設されており、本実施の形態では、各放射状リブ16b1〜16b3,16c1〜16c6の開き角α(リブ幅)がα=10°に設定されている。
図4に示すように、3本の第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3は、6本の第1〜第6外側放射状リブ16c1〜16c6の内の1個おきの各外側放射状リブ16c1,16c3,16c5と周方向における位置が一致するように配設されている。
これにより、図4に示すように、第1内側放射状リブ16b1及び第1外側放射状リブ16c1と第2内側放射状リブ16b2及び第3外側放射状リブ16c3との間には、1個の第1内側開口部24b1と2個の第1及び第2外側開口部24c1,24c2が位置すると共に、それら2個の第1外側開口部24c1と第2外側開口部24c2との間には第2外側放射状リブ16c2が位置する。なお、本実施の形態では、第1外側開口部24c1の開口角θ1がθ1=20°に、第2外側開口部24c2の開口角θ2がθ2=30°に、それぞれ設定され、その結果、第1内側開口部24b1の開口角が60°(=θ1+α+θ2)とされている。
また、図4に示すように、第2内側放射状リブ16b2及び第3外側放射状リブ16c3と第3内側放射状リブ16b3及び第5外側放射状リブ16c5との間には、1個の第2内側開口部24b2と2個の第3及び第4外側開口部24c3,24c4が位置すると共に、それら2個の第3外側開口部24c3と第4外側開口部24c4との間には第4外側放射状リブ16c4が位置する。なお、本実施の形態では、第3外側開口部24c3の開口角θ3がθ3=40°に、第4外側開口部24c4の開口角θ4がθ4=50°に、それぞれ設定され、その結果、第2内側開口部24b2の開口角が100°(=θ3+α+θ4)とされている。
更に、図4に示すように、第3内側放射状リブ16b3及び第5外側放射状リブ16c5と第1内側放射状リブ16b1及び第1外側放射状リブ16c1との間には、1個の第3内側開口部24b3と2個の第5及び第6外側開口部24c5,24c6が位置すると共に、それら2個の第5外側開口部24c5と第6外側開口部24c6との間には第6外側放射状リブ16c6が位置する。なお、本実施の形態では、第5外側開口部24c5の開口角θ5がθ5=60°に、第6外側開口部24c6の開口角θ6がθ6=100°に、それぞれ設定され、その結果、第3内側開口部24b3の開口角が170°(=θ5+α+θ6)とされている。
ここで、切欠き部21a(後述する仕切板部材17の開口部32を介して、オリフィス25の第1液室11A側(図1参照)の出入口となる部位、図8参照)と外側開口部24cとの位置関係は、次のように設定されている。即ち、切欠き部21aの長手方向端部であって、オリフィス流路側となる端部21a1は、第1外側放射状リブ16c1を延長した領域上(即ち、開き角αを延長して形成される領域上)に位置する。なお、本実施の形態では、図4に示すように、切欠き部21aの端部21a1が、第1外側放射状リブ16c1と第6外側開口部24c6との境界線(仮想線L1)上に位置するように設定されている。
また、切欠き部21aの長手方向端部であって、オリフィス流路と反対側となる端部21a2は、第2外側開口部24c2の外側となる領域上(即ち、開口角θ2を延長して形成される領域上)に位置する。なお、本実施の形態では、図4に示すように、切欠き部21aの端部21a2が、第2外側開口部24c2の外側であって、第3外側開口部24c3に近接する側に位置するように設定されている。
次いで、図5を参照して、仕切り体12を構成する仕切板部材17について説明する。図5(a)は仕切板部材17の上面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における仕切板部材17の断面図である。
仕切板部材17は、図5に示すように、鉄鋼材料などから軸心Oを有する略円板状に形成されている。仕切板部材17の壁部(板面)は、図5に示すように、その板厚方向に穿設される複数の開口部(中心側の中央開口部34aと、壁部の周方向に2列に並ぶ内側開口部34b及び外側開口部34c)を備えており、これら各開口部34a〜34cの周縁に沿って、中央環状リブ17a1等と第1〜第3内側放射状リブ17b1〜17b3等とが複数形成されている。
なお、これら中心側の中央開口部34a及び壁部の周方向に2列に並ぶ内側開口部34b及び外側開口部34cは、上述したオリフィス金具16の中心側の中央開口部24a及び壁部の周方向に2列に並ぶ内側開口部24b及び外側開口部24cと同一に構成(即ち、位置、大きさ、範囲などが同じであり、軸心方向視において外形が一致する形状に構成)されるものであり、従って、各環状リブ17a1〜17a3及び各放射状リブ17b1〜17b3,17c1〜17c6もまたオリフィス金具16の各環状リブ16a1〜16a3及び各放射状リブ16b1〜16b3,16c1〜16c6と同様に構成されるものであるので、それらの説明は省略する。
仕切板部材17の外周部には、図5に示すように、外嵌筒部31が全周にわたって略同一の高さで立設されている。仕切板部材17は、この外嵌筒部31を上述したオリフィス金具16の軸方向一端側の外周に、即ち、オリフィス金具16の嵌合壁21に外嵌することで、オリフィス金具16に組み付けられる(図1参照)。
仕切板部材17には、外側環状リブ17b3の外側に、開口部32が板厚方向に穿設されている。この開口部32は、上述したように、オリフィス金具16の切り欠き部21a(図2から図4参照)を介して、オリフィス流路(オリフィス25)と第1液室11Aとを連通させる開口である。
開口部32は、図5(a)に示すように、周方向に沿って湾曲した略長穴形状に形成されている。開口部32は、その周方向長さがオリフィス金具16の切り欠き部21aよりも長くなるように設定されている。よって、仕切板部材17をオリフィス金具16に組み付ける場合には、その組み付け位置が周方向へ多少ずれても、オリフィス25の流路断面積が減少することを防止することができる。
次いで、図6を参照して、仕切り体12を構成する弾性仕切り膜15について説明する。図6(a)は、弾性仕切り膜15の上面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における弾性仕切膜15の断面図である。なお、図6(a)では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、リブ群(放射状リップ15a及び環状リップ15b〜15d)の配置が一点鎖線を用いて模式的に図示されている。
弾性仕切り膜15は、上述したように、仕切り体12内(オリフィス金具16の壁部と仕切板部材17の壁部との対向面間)に収容され、第1及び第2液室11A,11B間の液圧差を緩和する作用を奏するものであり、ゴム状弾性体から均一膜厚であって軸心Oを有する略円板状に構成されている。
弾性仕切り膜15の上下両面(一面側15x1及び他面側15x2)には、凸条状のリブ群が凸設されている。なお、本実施の形態では、上面側のリブ群のパターンは、下面側のリブ群のパターンと同一に形成されている。即ち、上下両面のリブ群は、弾性仕切り膜15の厚み方向(図6(b)上下方向)中間に位置する仮想平面(図示せず)に対して、面対称となるように構成されている。
リブ群は、図6に示すように、弾性仕切り膜15の軸心Oに対して放射状に配置される放射状リップ15aと、弾性仕切り膜15の軸心Oに対して同心の環状に配置される環状リップ15b〜15dとを備えている。放射状リップ15aは、32本が周方向に略11.25度の等間隔に分散配置されている。一方、環状リップ15b〜15dは、上述した各環状リブ16a1〜16a3(図2及び図5参照)に対応する位置にそれぞれ1本ずつ合計3本が配置されている。
ここで、本実施の形態では、仕切り体12の組み立て状態(図8参照)において、放射状リップ15a及び環状リップ15b〜15dの頂部がオリフィス金具16及び仕切板部材17(各放射状リブ16b1〜17c6及び各環状リブ16a1〜17a3)に当接可能な高さ寸法に設定されている。これにより、オリフィス部材16及び仕切り部材17との衝突を抑制して、異音発生の低減を図ることができる。
また、放射状リップ15aの断面形状は、そのリップ幅が、環状リップ15b〜15dのリップ幅よりも小さな幅寸法に設定されている。これにより、放射状リップ15aを変形し易くして、弾性仕切り膜15全体としての剛性が高くなりすぎることを抑制することができるので、比較的小振幅の振動入力時の低動ばね特性を得ることもできる。
次いで、図7を参照して、挟持部材18について説明する。図7(a)は、挟持部材18の上面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線における挟持部材18の断面図である。
挟持部材18は、防振基体3との間で仕切り体12を挟持して保持するための部材であり(図1参照)、図7に示すように、鉄鋼材料などから軸心Oを有する略円板状に形成されている。
この挟持部材18は、図7に示すように、外周部側平板部41と、ゴム膜3aの下端部に密着してシールする第1筒部42と、オリフィス金具16の下端部に押圧作用する中間部側平板部43と、オリフィス金具16の軸方向他端側の内周部に内嵌される第2筒部44とを備えて構成されている。また、挟持部材18の中心部には、ダイヤフラム9との干渉を回避するための開口部が形成されている。
中間部側平板部43は、オリフィス形成壁を兼用するように構成されている(図1参照)。即ち、上述したオリフィス金具16は、その下端部の外径寸法が中間部側平板部43の外径寸法よりも小径とされており(図1参照)、その結果、中間部平板部43は、オリフィス金具16の下端部から半径方向へ張り出す張出部として、オリフィス25(オリフィス流路)のオリフィス形成壁を兼用する。
中間部側平板部43、即ち、オリフィス形成壁には、図7(a)に示すように、周方向に沿って延びる略長円形状の開口部46が板厚方向(図7(a)紙面垂直方向)に穿設されている。オリフィス25(オリフィス流路)は、この開口部46を介して、第2液室11Bに連通される(図1参照)。
次いで、図8を参照して、仕切り体12及び挟持部材18の組み立てについて説明する。図8(a)は、仕切り体12及び挟持部材18の上面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線における仕切り体12及び挟持部材18の断面図である。
仕切り体12及び挟持部材18の組み立ては、まず、弾性仕切り膜15をオリフィス金具16の壁部上に載置し、オリフィス金具16の嵌合壁21に仕切板部材17の外嵌筒部31を外嵌する。これにより、図8に示すように、弾性仕切り膜15がオリフィス金具16及び仕切板部材17の壁部の対向面間に収納され、弾性仕切り膜15の変位が弾性仕切り膜15の一面側15x1及び他面側15x2(図5(b)参照)の両面(図7(b)上下)から規制される。
次いで、オリフィス金具16の内周部に挟持部材18の第2筒部44を内嵌圧入することで、仕切り体12及び挟持部材18の組み立てが完了する。なお、オリフィス金具16に挟持部材18を内嵌圧入した後に、オリフィス金具16に仕切板部材17を外嵌圧入しても良い。また、オリフィス金具16に仕切板部材17を外嵌する場合には、オリフィス金具16の各開口部24c1等と仕切板部材17の各開口部34c1等との周方向位置が一致するように、オリフィス金具16と仕切板部材17との相対位置を位置合わせする。
次いで、図9を参照して、液封入式防振装置100の動荷重試験についての試験結果を説明する。動荷重とは、液封入式防振装置100を所定条件で加振した際に液封入式防振装置100から発生する反力を加速度で表したものであり、この大きさが小さいほど振動(弾性仕切り膜15による打音など)を伝達し難くすることができ、異音の発生を抑制する。
この動荷重試験では、上述した液封入式防振装置100(以下、「発明品」と称す。)と、液封入式防振装置100における内側開口部24b,34b及び外側開口部24c,34cの形状のみを変更したもの(以下、「従来品」と称す。)との2種類を測定して比較した。
なお、従来品は、発明品に対し、第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3,17b1〜17b3及び第1〜第6外側放射状リブ16c1〜16c6,17c1〜17c6の配設位置のみを変更したものであり、3本の第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3,17b1〜17b3を周方向120°等間隔に、6本の第1〜第6外側放射状リブ16c1〜16c6,17c1〜17c6を周方向60°等間隔に、それぞれ配置して構成されている。よって、内側開口部24b,34b及び外側開口部24c,34cの総開口面積は、従来品と発明品とで同等である。
動荷重試験は、エンジン支持状態と同じ荷重を液封入式防振装置100に作用させ、その状態において、所定の振動(周波数:19Hz、振幅:±0.4mm)を液封入式防振装置100に入力して加振した際の反力波形を周波数分析することにより行った。
図9は、動荷重試験の試験結果を示したものであり、縦軸が動荷重(dB)を、横軸が周波数(Hz)を、それぞれ示している。なお、0dBが1Nに対応する。また、図9は、第1液室11Aから第2液室11Bへ液体が流動する方向への振動が入力された状態における動荷重を示す。
図9に示すように、発明品では、上述したように、内側開口部24b,34b及び外側開口部24c,34cの配列を開口面積の大きさ順とすることで、従来品と比較して、200Hzから250Hzの周波数領域における動荷重レベルを最大で5dB程度低減することができたことを理解できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
例えば、上記実施の形態では、3本の第1〜第3内側放射状リブ16b1〜16b3,17b1〜17b3と6本の第1〜第3外側放射状リブ16c1〜16c6,17c1〜17c6とを設ける場合を説明したが、必ずしもこの本数に限られるものではなく、他の本数を採用することは当然可能である。例えば、内側放射状リブを2本とし、かつ、外側放射状リブを4本としても良い。或いは、内側放射状リブを4本以上とし、かつ、外側放射状リブを8本以上としても良い。
また、上記実施の形態では、内側及び外側放射状リブ16a1〜17c6の開き角αをα=10°とする場合を説明したが、必ずしもこの角度に限られるものではなく、他の角度を採用しても良い。同様に、第1〜第6外側開口部24c1〜24c6,34c1〜34c6の開口角θ1〜θ6についても他の角度を採用しても良い。