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JP4207959B2 - 高純度塩化銀の分離精製方法とそれを用いた高純度銀の製造方法 - Google Patents

高純度塩化銀の分離精製方法とそれを用いた高純度銀の製造方法 Download PDF

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JP4207959B2 JP2005513638A JP2005513638A JP4207959B2 JP 4207959 B2 JP4207959 B2 JP 4207959B2 JP 2005513638 A JP2005513638 A JP 2005513638A JP 2005513638 A JP2005513638 A JP 2005513638A JP 4207959 B2 JP4207959 B2 JP 4207959B2
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Description

本発明は、高純度塩化銀の分離精製方法とそれを用いた高純度銀の製造方法に関し、さらに詳しくは、難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物から高純度塩化銀を分離精製する際に、前記精錬中間物の前処理が不要であるとともに、それを原料として金属銀を得る際に、金属銀の乾式精製又は電解による再精製処理を行うことなく高純度銀を得ることができる高純度塩化銀の分離精製方法、さらには、それを用いた高純度銀の製造方法に関する。
従来、銀は、銅、鉛等の精錬の電解精製工程で発生するアノードスライムから回収されている。アノードスライムから高純度銀を分離精製する方法として、前記アノードスライムを乾式処理して粗銀を得て、これを乾式又は電解精製する方法が広く用いられている。
前記乾式処理では、環境面では、粉塵及び排ガスが発生し、作業面では、暑熱作業及び火傷のリスクがある。このような状況の下、湿式法による銀の分離回収方法が注目されている。
例えば、水溶液又は固体中の銀を、湿式法で分離回収する方法の一つとして、銀化合物をハロゲン化銀、硫化銀等の難溶性銀化合物に一旦変換し、粗分離する方法が広く用いられている。この方法は、金、白金族元素等の貴な金属を始め、共存する大部分の金属から銀を分離することができる反面、前記難溶性化合物は水だけでなく、酸及びアルカリ性水溶液に対しても溶解度が低いので、分離された銀化合物から高純度銀を得るために直接湿式法で精製処理することは困難である。
この解決策として、アノードスライムからの難溶性銀化合物を原料とした銀回収方法が提案されており、代表的な方法としては、以下のようなものが挙げられるが、それぞれ課題がある。
(1)難溶性銀化合物を含む原料をアンモニア溶液で浸出し、該浸出液を還元剤で還元する方法(例えば、特許文献1参照)であり、上記前処理無しで、乾式方法にくらべて不純物の少ない粗銀が得られる。
課題は、塩化鉛によるアンモニア消費量が多く、また、純度は99%程度であるので、高純度銀を得るためには電解精製を必要とすることである。
(2)脱銅したアノードスライムに塩酸と過酸化水素とを添加して浸出する工程、得られた残渣に炭酸ナトリウムを添加して塩化鉛を炭酸塩に変換する工程、その後アンモニア浸出によって塩化銀を液中に抽出する工程、ついで硫酸で中和して塩化銀析出物を生成させる工程、析出物に塩酸と過酸化水素とを添加して塩化処理する工程、塩化処理残渣に水酸化ナトリウムを添加して塩化銀を酸化銀に変換する工程、及び還元性の糖類、ヒドラジン等の還元剤を添加して酸化銀を還元して高品位の還元銀を製造する方法(例えば、特許文献2参照)である。
課題としては、アンモニア浸出法では塩化鉛によりアンモニアが浪費されるので、これを避けるため脱鉛を行なうことを提案されているが、この提案では鉛を除去するための薬品が新たに必要となり、また、浸出−ろ過−浸出液分解−ろ過からなる工程が追加されることである。また、分離された鉛化合物の別途処理が必要である。さらに、99.99%を超える純度の銀を回収することが困難である。
(3)銀を含む貴金属と鉛を含む原料から銀を回収する方法であって、前記原料を塩化浸出して銀及び鉛の塩化物を含む沈殿物を形成し、固液分離し、銀及び鉛の塩化物を含む沈殿物を回収する段階と、前記銀及び鉛の塩化物を含む沈殿物を水でリパルプして、鉄粉を添加して還元し、メタリックの銀及び鉛を含む混合物を回収する段階と、前記銀及び鉛を含む混合物を乾式炉で高温酸化させて、粗銀と酸化鉛を含むスラグとを形成する段階と、及び前記粗銀を分離し銀電解して高純度銀を生成する段階とを含む方法(例えば、特許文献3参照)である。
課題は、基本的に、前記乾式法固有の問題点が一切改善されないことである。
(4)塩化銀を主成分とする塩素浸出残渣を濃度40〜80g/LのNaOH液により前処理した後、濃度80〜150g/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液により浸出することにより銀浸出液を得て、該浸出液から、銀を濃度0.1〜1M/Lのトリカプリルメチルアンモニウム塩により抽出分離し、次いで濃度1〜2.5M/Lの硝酸アルカリにより逆抽出し、該銀逆抽出液を還元して金属銀を製造する方法(例えば、特許文献4参照)である。
課題は、銀逆抽出液中の銀濃度が低いため、設備が大型化するため設備コストが大きいことに加え、逆抽出液の精製工程を有さないため高純度化が困難であることである。
以上のように、塩化銀等の難溶性銀化合物から銀を浸出する方法として、アンモニア溶液又はチオ硫酸ナトリウム溶液を用いる方法が提案されているが、これらに共通する課題としては、浸出においてこれらと錯形成する多くの不純物元素が同時に浸出されるので、還元後に回収された銀は、乾式精製又は電解などによる再精製が必要であることである。
また、アンモニアを用いる場合には、放置中に銀イオンがアンモニアと反応して雷銀などの不安定な爆発性の銀化合物が生成する恐れがあり、液を貯留する場合や、循環使用する場合の障害になっている。また、チオ硫酸塩を用いる場合には、液の保管中に硫化銀の沈澱が生成しやすく、特に、液のpHが低下したとき、また温度が上昇したときに、この反応は顕著に促進され、電解又は還元法で銀を回収する場合、金属銀中の硫黄品位が高くなる原因となっていた。
さらに、上記以外の不純物元素の分離法としては、アルキルフォスフィンスルフィド等の有機燐化合物の有機溶媒が銀を選択的に抽出することができることが知られているが、チオ硫酸塩を用いた浸出液の場合には、銀がチオ硫酸イオンと安定な錯体を形成するため溶媒抽出による分離に用いることはできなかった。
以上の状況から、難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物を原料として、前記精錬中間物の前処理及び得られた金属銀の乾式精製又は電解による再精製処理を行うことが不要な、効率的な高純度塩化銀及び高純度銀の分離精製方法が求められている。
特開2000−297332号公報(第1頁、第2頁) 特許第3086655号公報(第1頁、第2頁) 特開2001−316736号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−105456号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物から高純度塩化銀を分離精製する際に、前記精錬中間物の前処理が不要であるとともに、それを原料として金属銀を製造する際に、金属銀の乾式精製又は電解による再精製処理を行うことなく高純度銀を得ることができる高純度塩化銀を効率的に分離精製する方法、さらには、それを用いた高純度銀の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物から、高純度塩化銀を分離精製する方法について鋭意研究を重ねた結果、前記精錬中間物を亜硫酸塩水溶液中で浸出する工程、得られた浸出生成液を酸性にして塩化銀を生成する工程、及び前記塩化銀を精製する工程を順次行うことで、高純度塩化銀が得られること、さらにはこれを用いて高純度銀が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物から、高純度塩化銀を分離精製する方法であって、
(1)前記精錬中間物を亜硫酸塩水溶液中で浸出し、銀を該液中に抽出して、銀を含む浸出生成液と不溶解残渣を形成する浸出工程、
(2)前記浸出生成液を中和して酸性にし、塩化銀を析出して、該塩化銀と母液を形成する塩化銀生成工程、及び
(3)前記塩化銀を酸性水溶液中で酸化剤を添加して酸化処理し、不純物元素を溶出分離して、精製された塩化銀と不純物元素を含む溶液を形成する塩化銀精製工程、を含むことを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、浸出工程で用いられる亜硫酸塩水溶液は、70〜160g/Lの亜硫酸イオン濃度であることを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、浸出工程は、pH8〜12で行うことを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、浸出工程は、20〜80℃の温度で行うことを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、浸出工程で用いられる亜硫酸塩水溶液は、金属製錬の熔錬工程において発生する二酸化硫黄ガスを水酸化アルカリ金属及び/又は炭酸アルカリ金属塩の水溶液に吸収させて得られる吸収液であることを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、前記吸収液に、さらに二酸化硫黄ガスと水酸化アルカリ金属及び/又炭酸アルカリ金属塩を溶解させることにより、亜硫酸イオン濃度を所定値に調整することを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、塩化銀生成工程は、pH0〜4.5で行うことを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、塩化銀精製工程の酸化処理は、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)800〜1200mVで行うことを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、塩化銀精製工程は、酸化処理した後に、さらに、錯形成化合物を含む水溶液で洗浄処理して、前記塩化銀中に残留する不純物元素を錯イオンとして溶出させる工程を含むことを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、前記錯形成化合物は、アミノカルボン酸系化合物であることを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第9の発明において、前記洗浄処理のpHは、4〜12であることを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜11いずれかの発明の高純度塩化銀の分離精製方法に続いて、前記高純度塩化銀をアルカリ水溶液中で還元剤により処理して金属銀粉を得ることを特徴とする高純度銀の製造方法が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第12の発明において、前記アルカリ水溶液は、銀に対して1〜5当量の水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリを溶解させた水溶液であることを特徴とする高純度銀の製造方法が提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、第12の発明において、還元剤による処理は、70〜100℃の温度で行うことを特徴とする高純度銀の製造方法が提供される。
本発明の高純度塩化銀の分離精製方法は、難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物から高純度塩化銀を分離精製する際に、前記精錬中間物の前処理が不要である。
また、本発明の高純度銀の製造方法は、上記高純度塩化銀を原料として金属銀を得る際に、金属銀の乾式精製又は電解による再精製処理を行うことなく高純度銀を得ることができる。以上のように、本発明により、高純度塩化銀を効率的に分離精製することができるとともに、それを用いて高純度銀を得ることができるので、その工業的価値は極めて大きい。
[図1]図1は、実施例1における吸収液中の亜硫酸ナトリウム濃度と銀浸出率の関係を表す図である。
以下、本発明の高純度塩化銀の分離精製方法及びそれを用いた高純度銀の製造方法を詳細に説明する。
本発明の高純度塩化銀の分離精製方法は、難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物から、高純度塩化銀を分離精製する方法において、前記精錬中間物を亜硫酸塩水溶液中で浸出し、銀を該液中に抽出して、銀を含む浸出生成液と不溶解残渣を形成する浸出工程、前記浸出生成液を中和して酸性にし、塩化銀を析出して、該塩化銀と母液を形成する塩化銀生成工程、及び前記塩化銀を酸性水溶液中で酸化剤を添加して酸化処理し、不純物元素を溶出分離して、精製された塩化銀を得る塩化銀精製工程を含む。さらに、塩化銀精製工程として、前記酸化処理の工程後に、錯形成化合物を含む水溶液で洗浄処理して、前記塩化銀中に残留する不純物元素を錯イオンとして溶出させる工程を含むことができる。
本発明において、浸出工程で銀が亜硫酸イオンと安定なスルフィト錯体を形成することと、浸出生成液を酸性にして難溶性の塩化銀を析出させることが重要な意義を持つ。これによって、浸出工程で銀を精錬中間物に共存する他の元素から選択的に溶解分離し、かつ塩化銀生成工程で浸出生成液から銀を選択的に沈殿分離することができる。さらに、塩化銀精製工程で、塩化銀が難溶性である性質を利用して、銀以外の不純物元素を所定の薬液を用いて溶解分離して精製することができる。
(1)難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物
本発明の原料である難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物としては、特に限定されるものではなく、銅、ニッケル、鉛等の精錬プロセスの電解精製工程で発生するアノードスライムを始め、めっき液及び写真現像液等の銀含有液の処理工程、貴金属の精錬工程等で発生する難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物が含まれる。
ここで、不純物元素としては、銅、ニッケル、鉛、鉄、コバルト、マンガン、硫黄、亜鉛、カドミウム、スズのほか、ヒ素、アンチモン、ビスマス等の15族元素、セレン、テルル等の16族元素、及び金、白金族元素等が挙げられる。
(2)浸出工程
本発明の浸出工程は、上記精錬中間物を亜硫酸塩水溶液中で浸出し、銀を該液中に抽出して、銀を含む浸出生成液と不溶解残渣を形成する工程である。上記工程では、上記精錬中間物を亜硫酸塩水溶液に懸濁する。
上記工程の浸出反応は、亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムであり、難溶性銀化合物が塩化銀であるとき、下記の式1で表せる。
Figure 0004207959
ここで、式1は、塩化銀が亜硫酸ナトリウムと反応して、銀のスルフィト錯塩Na[Ag(SO]を生成する反応である。
上記工程の懸濁液の初期スラリー濃度は、特に限定されるものではないが、スラリーのハンドリング性から、10〜1000g/Lが好ましい。
上記工程で用いる亜硫酸塩水溶液の亜硫酸イオン濃度は、特に限定されるものではないが、70〜160g/Lが好ましく、95〜130g/Lがより好ましい。すなわち、70g/L未満では、亜硫酸塩水溶液中への銀化合物の溶解量が少なく、設備容量が大きくなる。亜硫酸イオン濃度は、高いほど銀化合物の溶解量が増加する。しかし、亜硫酸塩の水溶液への溶解量は、水溶液中の亜硫酸塩以外の塩の存在量にもよるが、工業的に実施可能な範囲としては亜硫酸イオン濃度が160g/L以下である。
上記工程で用いる亜硫酸塩としては、特に限定されるものではなく、水溶性の亜硫酸塩であればいずれも使用することができ、例えば、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸セシウム、亜硫酸ルビジウム、アミンの亜硫酸塩等が用いられるが、この中で、特に経済性と入手容易性から亜硫酸ナトリウムが好ましい。
上記工程で用いる亜硫酸塩水溶液の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記亜硫酸塩を水に溶解する方法のほか、アルカリ金属及び/又は土類金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の水溶液又はスラリーに二酸化硫黄ガスを反応させることで製造することができる。この中で、特に金属製錬の硫酸製造工程において、熔錬工程から発生した二酸化硫黄ガスを水酸化アルカリ金属及び/又炭酸アルカリ金属塩の水溶液に吸収させて得られる吸収液を用いることが、工業的に安価に利用できるので好ましい。特に、製錬ガスより硫酸を製造する際に、転化されずに残存した二酸化イオウを除害塔で吸収して得られる亜硫酸塩含有廃液を有効活用すれば、より経済的である。
工業的に得られる吸収液中の亜硫酸イオン濃度は、発生する二酸化硫黄ガスの量が変動することとともに、吸収液を循環する経路において亜硫酸イオンの一部が酸化され硫酸イオンに変化するため、30〜130g/Lの間で変動する。上記の吸収液の亜硫酸イオン濃度が、上記所定の範囲に不足する場合には、さらに二酸化硫黄ガスと水酸化アルカリ金属及び/又炭酸アルカリ金属塩を溶解させることにより、亜硫酸イオン濃度を70〜160g/Lに調整したものを用いることが好ましい。
上記工程のpHは、8〜12が好ましく、10〜11がより好ましい。すなわち、pHが8未満では、亜硫酸塩が重亜硫酸塩に急速に変化し始め、銀化合物の溶解が不十分となり、一方pHが12を越えると、下記の式2で表される反応が促進され、Na[Ag(SO]から金属銀が析出し、銀の見かけ上の浸出率が低下する。
Figure 0004207959
ここで、式2は、高アルカリ性でNa[Ag(SO]が分解され、金属銀が析出する反応 である。
上記工程の温度は、20〜80℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。すなわち、20℃未満では、亜硫酸イオンの溶解度が低下するので亜硫酸塩水溶液の亜硫酸塩濃度を70g/L以上にすることが難しい。一方、80℃を超えると、上記の式2の反応によって金属銀に還元される。
さらに、上記工程において、亜硫酸塩水溶液への空気の巻き込みと接触を可能な限り抑制することが好ましい。すなわち、亜硫酸塩水溶液中の亜硫酸イオンは、酸化により硫酸イオンに変化しやすく、銀と錯体を形成する能力を失い、また同時に該液中の硫酸イオン濃度が上昇して、亜硫酸塩の溶解度を低下させる。
(3)塩化銀生成工程
本発明の塩化銀生成工程は、上記工程で得られる浸出生成液を中和してpHを酸性にし、塩化銀を析出し、該塩化銀と母液を形成する工程である。上記工程では、前記浸出生成液にpH調整剤を添加し、所定のpHに調整する。ここで、原料として用いる精錬中間物に塩化物以外の難溶性銀化合物を含む場合には、塩化銀として析出させるため所定量の塩化物イオンを添加する。塩化物イオン源としては、塩酸、食塩等の水溶性塩化物を用いるのが好ましい。
上記工程のpHは、特に限定されるものではないが、0〜4.5が好ましく、1〜2がより好ましい。すなわち、pHを4.5以下に低下することによって、亜硫酸イオンが、順次亜硫酸水素イオン、亜硫酸、二酸化硫黄に変換され、銀との錯形成能力が失われるため、ほぼ全量の銀を塩化銀として回収することが可能である。
上記工程のpH調整剤としては、特に限定されるものではなく、硫酸、塩酸等の鉱酸が用いられるが、硫酸がより好ましい。
上記工程の反応温度は、特に限定されるものではないが、20〜100℃が好ましい。
以上の本発明の浸出工程と塩化銀生成工程とを経過して得られる塩化銀からは、上記原料中に含有する大部分の元素が分離されているが、一部亜硫酸塩水溶液に溶解する金、セレン、テルル、鉛、ビスマス、鉄等の不純物元素の一部も銀と同時に析出する。また、前記母液は、環境影響物質濃度が低く、かつ貴金属を含まないため、アンモニアを用いる場合とことなり特別な処理を行なうことなく、排水処理が容易である。
(4)塩化銀精製工程
本発明の塩化銀精製工程は、上記工程で得られる塩化銀を酸性水溶液中で酸化剤を添加して酸化処理し、不純物元素を溶出分離して、精製された高純度塩化銀と不純物元素を含む溶液を形成する工程である。上記工程では、塩化銀は酸性水溶液中に懸濁され、さらに酸化還元電位を調整しながら酸化剤が添加される。
上記工程の懸濁液のスラリー濃度は、特に限定されるものではないが、スラリーの分散性の向上と溶出された不純物元素の再吸着防止から、100〜500g/Lが好ましい。
上記工程で用いる酸性水溶液としては、特に限定されるものではなく、各種の鉱酸が用いられるが、この中で、特に、酸化剤により塩素を生成して金属形態で存在する不純物元素を溶解しやすく、また想定される不純物元素の塩化物の水に対する溶解度が大きいので、塩酸が好ましい。
上記工程の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)は、特に限定されるものではなく、800〜1200mVに調整することが好ましく、900〜1000mVがより好ましい。すなわち、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)を800mV以上とすることにより、金属又は金属間化合物として存在し、酸化により酸性水溶液に可溶となる元素、例えばSe、Te等を溶解することができる。
上記工程で用いる酸化剤としては、特に限定されるものではなく、塩化銀への汚染が少ない塩素ガス、過酸化水素水、塩素酸塩等が用いられる。
上記工程の反応温度は、特に限定されるものではなく、高温ほど反応速度を促進することができるが、40〜80℃が好ましい。すなわち、40℃未満では、不純物の溶解反応が遅い。一方、80℃を超えると、過酸化水素水又は塩素酸塩を用いるときにはこれらの自己分解も促進され、薬品使用量が増加する。
上記の酸化処理による塩化銀精製工程で得られる塩化銀中には、塩化鉛、硫酸鉛等の鉛化合物が微量存在する場合がある。
本発明の分離精製方法において、必要に応じて、酸化処理による塩化銀精製工程後に、以下に述べるような異なる態様をした塩化銀精製工程(以下、第2の塩化銀精製工程という。)を行うことができる。第2の塩化銀精製工程は、前記塩化銀を錯形成化合物を含む水溶液で洗浄処理して、前記塩化銀中に共存する不純物元素を錯イオンとして溶出させる塩化物精製工程を含むことができる。
前記第2の塩化物精製工程では、上記酸化処理の工程で精製された塩化銀を錯形成化合物を含む水溶液に懸濁し、洗浄処理する。
前記洗浄処理の懸濁液のスラリー濃度は、特に限定されるものではないが、スラリーの分散性から、100〜500g/Lが好ましい。
前記洗浄処理で用いる錯形成化合物としては、特に限定されるものではないが、塩化鉛及び硫酸鉛等の対象成分と安定な錯イオンを形成し、さらに塩化銀を溶解しない、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等のアミノカルボン酸系化合物が好ましい。また、洗浄処理に使用後の水溶液に塩酸等を添加してpHを4.0以下にすることにより、アミノカルボン酸系化合物を析出回収できる。このため、錯形成化合物を含む水溶液としては、少量を補加するのみで何度も繰り返し使用が可能である。
前記洗浄処理のpHは、特に限定されるものではないが、4〜12が好ましく、5〜7がより好ましい。すなわち、pHが4未満では、錯形成剤が析出し、一方pHが12を超えると、セレン等一部の金属が還元され塩化銀に混入する。
以上の酸化処理による塩化物精製工程において、金、セレン、テルル、鉛、ビスマス、鉄等を除去して高純度の塩化銀が得られる。また、洗浄処理による第2の塩化物精製工程で、Pbをさらに除去できる。
本発明の高純度銀の製造方法は、上記高純度塩化銀を、アルカリ水溶液中で還元剤により処理して金属銀粉を得ることを特徴とする。上記方法では、高純度塩化銀をアルカリ水溶液中で懸濁して行なうことができる。
上記方法の高純度塩化銀の初期スラリー濃度は、特に限定されるものではなく、スラリーの分散性から、100〜500g/Lが好ましい。
上記方法で用いるアルカリ水溶液は、特に限定されるものではないが、銀に対して1〜5当量の水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリを用いて調製されるものが好ましい。すなわち、1当量以上の添加によって、未還元の塩化銀が残留して、得られる金属銀を汚染することを防止する。一方、5当量を超えても、それ以上の効果が得られないので経済的でない。特に、アルカリ水溶液のpHを13以上となるようにアルカリ分を添加することが、より好ましい。
また、前記水酸化アルカリ又は炭酸アルカリとしては、特に限定されるものではなく、水溶性のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が用いられるが、排水処理の負担が少なく、かつ経済的コストである水酸化ナトリウムが好ましい。
上記方法で用いる還元剤としては、特に限定されるものではないが、銀への汚染が少ないヒドラジン、糖類、ホルマリン等が用いられる。上記工程で還元剤の添加量は、溶液の酸化還元電位を測定することにより調整することができる。すなわち、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が−700mV以下で安定したところが終点となる。
上記方法の還元温度は、特に限定されるものではなく、反応速度を促進することができる70〜100℃が好ましく、90〜100℃がより好ましい。すなわち、温度が70℃未満では塩化銀の残留が多くなる。一方、100℃を超えると、加圧容器を用いることが必要である。特に塩化銀の残留を抑制するためには、アルカリ水溶液のpHが13以上となるようにアルカリ分を添加し、かつ90℃以上に加熱して還元処理することがさらに好ましい。
また、塩化銀の残留をさらに低減するためには、再度還元処理を行なうことが有効である。この場合、還元する塩化銀量が微量であるため、薬品の添加量はごくわずかで充分である。
以上の高純度銀の製造方法において、99.99重量%以上の純度の金属銀粉が得られる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析方法はICP発光分析法又は発光分光分析法で行った。
また、実施例及び比較例で用いた原料は、銅電解工程で産出されたアノードスライムを塩素浸出して得た塩素浸出残渣であり、その組成を表1に示す。
Figure 0004207959
[実施例1]
原料として、上記塩素浸出残渣を用いて、本発明の高純度塩化銀の分離精製方法の浸出、塩化物生成、及び塩化物精製の一連の工程を行ない、各工程で得られた産物を本発明の高純度銀の製造方法で金属銀に還元して銀粉を分析した。
(1)浸出工程
亜硫酸塩水溶液として、亜硫酸ナトリウム試薬から調製した液と、金属製錬の熔錬工程において発生する二酸化硫黄ガスを水酸化ナトリウム水溶液に吸収させて得られた吸収液の2種類を用いて浸出を行った。
亜硫酸塩水溶液として、亜硫酸ナトリウム試薬から調製した液を用いた場合として、塩素浸出残渣45g(湿潤重量)を水400mLに懸濁して、このスラリーに無水亜硫酸ナトリウム100gを溶解した後、1時間撹拌を行なって銀の浸出を行い、固液分離後得られた浸出生成液と残渣の分析を行った。浸出生成液の銀濃度は14g/L、残渣の銀濃度は0.2重量%であった。なお、銀浸出率は、99%であった。
亜硫酸塩水溶液として、金属製錬の熔錬工程において発生する二酸化硫黄ガスを水酸化ナトリウム水溶液に吸収させて得られる吸収液を用いた場合として、金属製錬の熔錬工程において発生する二酸化硫黄を主成分とするガスを、濃度24重量%の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させて得られた吸収液を用いた。上記塩素浸出残渣45gを、前記調製された吸収液に濃度24重量%の水酸化ナトリウム溶液を添加してpH10に調整した後、ろ過して得た溶液に懸濁して、1時間撹拌して、銀の浸出を行なった。ここで、得られた浸出生成液と、浸出後の残渣中に含まれる銀量の割合から銀浸出率を算出し、吸収液中の亜硫酸ナトリウム濃度に対する銀浸出率の変化を求めた。結果を図1に示す。図1は、吸収液中の亜硫酸ナトリウム濃度と銀浸出率の関係を表す。
図1より、吸収液中の亜硫酸ナトリウム濃度が増加するにつれて、銀浸出率は向上し、亜硫酸ナトリウム濃度200g/L(亜硫酸イオン濃度127g/L)以上で平衡に達し、このときの銀浸出率は99%となり、良好な浸出率を示すことが分る
(2)塩化物生成工程
前記工程で得られた浸出生成液に薄硫酸を添加し、pHを1に調整し、1時間保持した。反応中は亜硫酸ナトリウムが分解して二酸化硫黄ガスが発生するため、ドラフト内で行なった。ここで得られた塩化銀を主成分とする析出物を回収した。次いで、析出物の精製度合を評価するため、回収した析出物に水と水酸化ナトリウムを加えてpH10に調整し、濃度60重量%のヒドラジンを酸化還元電位が安定するまで添加して、得られた銀粉を分析した。結果を表2に示す。また、定性分析の結果を表4に示す。
Figure 0004207959
表2より、熔錬工程から発生する二酸化硫黄ガスの吸収液を用いた場合、試薬を使用したときの不純物分析値と大きな差がないことが分る。
(3)塩化銀精製工程
前記工程で亜硫酸塩水溶液として亜硫酸ナトリウム試薬から調製した液を用いて得られた塩化銀を酸化処理した。ここで、酸化剤として過酸化水素水と塩素酸ナトリウムの2種類を使用した。
過酸化水素水の場合には、前記塩化銀250g(湿潤重量)を濃度6mol/Lの塩酸溶液500mLに懸濁し、このスラリーを60℃に昇温後、濃度35重量%の過酸化水素水50mLを約1時間かけて全量を添加するように滴下して、酸化処理を行なった。
また、塩素酸ナトリウムの場合には、前記スラリーに、濃度44重量%の塩素酸ナトリウム10mLを添加して、80℃に昇温後1時間保持して、酸化処理を行なった。
ここで、スラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)は、両者とも1000mV以上であった。冷却後、固液分離を行ない、塩化銀を回収し充分洗浄した。次いで、析出物の精製度合を評価するために、回収した塩化銀に水と苛性ソーダを加えてpH10に調整し、濃度60重量%のヒドラジンを酸化還元電位が安定するまで添加して、得られた銀粉を分析した。結果を表3に示す。
次に、前記酸化処理を行なって得られた塩化銀250g(湿潤重量)を水酸化ナトリウム水溶液でpH6に調整した濃度0.1mol/LのEDTA溶液500mLに懸濁し、1時間撹拌した。固液分離後、塩化銀を回収し充分洗浄した。
得られた塩化銀250g(湿潤重量)を濃度8.6重量%の水酸化ナトリウム水溶液1000mLに懸濁し、温度70℃に加温して、さらに濃度60重量%のヒドラジンを酸化還元電位が−700mV以下で安定するまで添加して、得られた銀粉を分析した。結果を表3に示す。
Figure 0004207959
表3より、塩素浸出残渣を本発明の工程で処理して得られた高純度塩化銀を用いて、純度99.99重量%以上の金属銀粉が得られることが分る。また、塩化物精製工程でEDTA溶液での洗浄処理を行って得られた金属銀粉は、Pb、Se含有量がさらに低下し、純度99.999重量%であることが分る。
(比較例1)
上記塩素浸出残渣を、浸出剤としてアンモニアを用いて浸出し、得られた銀粉を評価した。
上記塩素浸出残渣(表1に組成を示す。)45g(湿潤重量)を濃度6重量%のアンモニア水400mLに懸濁し、1時間撹拌を行ない、銀を浸出した。得られた浸出生成液に60mLの薄硫酸を加えて中和し、塩化銀を析出回収した。回収した塩化銀に水と水酸化ナトリウムを加えてpH10に調整し、濃度60重量%のヒドラジンを酸化還元電位が安定するまで添加して、得られた銀粉を定性分析した。結果を表4に示す。
(比較例2)
上記塩素浸出残渣を、浸出剤としてチオ硫酸ナトリウムを用いて浸出し、得られた銀粉を評価した。
上記塩素浸出残渣(表1に組成を示す。)45g(湿潤重量)を、チオ硫酸ナトリウム96gを溶解して得た水溶液400mLに懸濁し、1時間撹拌を行ない、銀を浸出した。得られた浸出生成液に60mLの薄硫酸を加えて中和し、塩化銀を析出回収した。回収した塩化銀に水と水酸化ナトリウムを加えてpH10に調整し、濃度60重量%のヒドラジンを酸化還元電位が安定するまで添加して、得られた銀粉を定性分析した。結果を表4に示す。
Figure 0004207959
表4より、実施例1では、浸出剤として亜硫酸塩を用いて、本発明の方法に従って行われたので、不純物が除去され低い不純物濃度が得られることが分かる。これに対して、比較例1又は2では、浸出剤がこれらの条件に合わないので、浸出剤の選択性が不十分であり、かつ、有効な精製工程を有さないので、本発明の方法に比べて不純物の除去が不十分で、満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の高純度塩化銀の分離精製方法とそれを用いた高純度銀の製造方法は、銅、ニッケル、鉛等の精錬方法の電解精製工程で発生するアノードスライムを始め、めっき液及び写真現像液等の銀含有液の処理工程、貴金属の精錬工程等で発生する難溶性銀化合物と不純物元素を含有する精錬中間物から高純度塩化銀を分離精製し、それを用いて高純度銀を製造する方法として利用され、特にアノードスライムの塩素浸出残渣に好適に用いられる。

Claims (14)

  1. 難溶性銀化合物と不純物元素とを含有する精錬中間物から、高純度塩化銀を分離精製する方法であって、
    (1)前記精錬中間物を亜硫酸塩水溶液中で浸出し、銀を該液中に抽出して、銀を含む浸出生成液と不溶解残渣を形成する浸出工程、
    (2)前記浸出生成液を中和して酸性にし、塩化銀を析出して、該塩化銀と母液を形成する塩化銀生成工程、及び
    (3)前記塩化銀を酸性水溶液中で酸化剤を添加して酸化処理し、不純物元素を溶出分離して、精製された塩化銀と不純物元素を含む溶液を形成する塩化銀精製工程、を含むことを特徴とする高純度塩化銀の分離精製方法。
  2. 浸出工程で用いられる亜硫酸塩水溶液は、70〜160g/Lの亜硫酸イオン濃度であることを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  3. 浸出工程は、pH8〜12で行うことを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  4. 浸出工程は、20〜80℃の温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  5. 浸出工程で用いられる亜硫酸塩水溶液は、金属製錬の熔錬工程において発生する二酸化硫黄ガスを水酸化アルカリ金属及び/又は炭酸アルカリ金属塩の水溶液に吸収させて得られる吸収液であることを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  6. 前記吸収液に、さらに二酸化硫黄ガスと水酸化アルカリ金属及び/又炭酸アルカリ金属塩を溶解させることにより、亜硫酸イオン濃度を所定値に調整することを特徴とする請求項5に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  7. 塩化銀生成工程は、pH0〜4.5で行うことを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  8. 塩化銀精製工程の酸化処理は、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)800〜1200mVで行うことを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  9. 塩化銀精製工程は、酸化処理した後に、さらに、錯形成化合物を含む水溶液で洗浄処理して、前記塩化銀中に残留する不純物元素を錯イオンとして溶出させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  10. 前記錯形成化合物は、アミノカルボン酸系化合物であることを特徴とする請求項9に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  11. 前記洗浄処理のpHは、4〜12であることを特徴とする請求項9に記載の高純度塩化銀の分離精製方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の高純度塩化銀の分離精製方法に続いて、前記高純度塩化銀をアルカリ水溶液中で還元剤により処理して金属銀粉を得ることを特徴とする高純度銀の製造方法。
  13. 前記アルカリ水溶液は、銀に対して1〜5当量の水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリを溶解させた水溶液であることを特徴とする請求項12に記載の高純度銀の製造方法。
  14. 還元剤による処理は、70〜100℃の温度で行うことを特徴とする請求項12に記載の高純度銀の製造方法。
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