JP4199606B2 - 免疫クロマトグラフィー検査用検体前処理液、免疫クロマトグラフィー検査方法及び免疫クロマトグラフィー検査キット - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は免疫クロマトグラフィー検査用検体の前処理液に関する。より詳しくは、鼻汁、痰及び咽頭ぬぐい液から選択される検体が混和されることにより免疫クロマトグラフィー検査ストリップ用の検査試料を調製するための検体前処理液に関する。
【0002】
【従来の技術】
インフルエンザウイルスは、直径80〜120nmのRNAウイルスであり、外皮を有し、HA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)の2種の酵素タンパク質の突起で覆われている。HAは血球凝集性の抗原で、ヒトの細胞に吸着・侵入する際に細胞表面にあるシアル酸と結合して、ウイルス粒子が細胞内に取り込まれるときの重要な役割を果たしている。一方、NAは、ウイルス粒子が感染後期で細胞表面から離れる際にシアル酸を切断する働きを示し、感染性を獲得するのに役立っている。抗原性は、HAとNAの組合せで決まり、A、B、Cの3型に大別される。A型はさらに香港型などの亜種が知られている。A型では10余年の周期で異なった亜型が登場し不連続変異大流行を起こしている。また、同じ亜型でも毎年少しずつ抗原性が変異する。このため、インフルエンザウイルスを検査する場合には、インフルエンザ抗原の変異の有無に関わらず、共通して検査可能な部位を検出することが必要である。
【0003】
また、インフルエンザは罹患してから数日で治癒することが多いため、インフルエンザの的確な診断及び治療方法を提供するためには、迅速に検査結果が得られることが望ましい。現在では抗原検出のために組織培養を行う方法や、抗体検査として赤血球凝集阻止(HI)、補体結合試験(CF)及び間接蛍光抗体法(IFA)などの検査方法が実用化されている。
【0004】
従来から、抗原抗体反応を簡便に利用する方法が数多く報告されている。例えば、特許文献1、2等に開示されている免疫クロマトグラフィーを利用した測定方法は、採取した検体を、目的とする抗体を含む検査器具に染み込ませるだけで、抗原の有無や量を知ることができる。この方法は、ニトロセルロースなどの多孔質膜の一端に、目的とする特定の抗原に対する特異抗体を含み、多孔質膜の中程には同様に特定の抗原のみに結合する別の特異抗体が帯状に多孔質膜に固定されているものを使用する。一端に含む特異抗体は、予め着色されており、その特異抗体が存在している多孔質膜の一端上にサンプル液を染み込ませるとサンプル液中に特異抗体と反応する抗原があれば、その抗原は特異抗体と結び付いて着色粒子を付けた状態で多孔質膜を毛細管現象によってサンプル液を染み込ませた側と反対の片端へ向かって移動する。移動の途中で帯状に固定されている別の特異抗体の個所を通過する際に、抗原は多孔質膜上の特異抗体に捕捉され、多孔質膜上に帯状の染みが現れる。このことにより目的の抗原がサンプル中に存在していること及びその量を知ることができる。
【0005】
このような技術を応用すれば、インフルエンザの検査を迅速に行うことができ、有用である。インフルエンザの検査は、通常鼻汁、痰又は咽頭ぬぐい液を検体として行われる。上記免疫クロマトグラフィーの手法を利用できる検体は、原理上、多孔質膜中を毛細管現象によって通過できなければならない。しかし、鼻汁や咽頭ぬぐい液は、これらに存在する高粘性物質であるムチンが多孔質膜の孔を塞ぎ、またムチンは生体から剥がれ落ちた上皮付着細胞を凝集させるため、これらの物質により多孔質膜の孔が塞がれて検査を行うことができない。
【0006】
例えば、ヒト唾液試料中のミュータンス連鎖球菌を免疫クロマトグラフィーによって同定・定量する際に、水酸化ナトリウムを含有する水溶液、酒石酸及び/又はクエン酸を含有するトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液と、非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とから構成され、界面活性剤が水溶液及び/又は緩衝液に予め混合されているか、又は水溶液及び緩衝液とは別になっている唾液の前処理用キットを用いることが既に開示されている(特許文献3)。しかしながら、インフルエンザの検査については全く開示されていない。
【0007】
一方、インフルエンザの検査用試料の前処理方法として、界面活性剤、還元性物質から選ばれた少なくとも1種と有機酸もしくはその塩を含む検体前処理液による処理については特許文献4に開示されている。
【0008】
【先行文献】
【特許文献1】
特開昭61-145459号公開公報
【特許文献2】
特開平6-160388号公開公報
【特許文献3】
特開2002-357599号公開公報
【特許文献4】
国際公開 WO 02/10744号パンフレット
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鼻汁、痰及び咽頭ぬぐい液から選択される検体を、免疫クロマトグラフィーにより正確かつ簡便に検査を行うための免疫クロマトグラフィー検査用検体前処理液、免疫クロマトグラフィー検査方法及び免疫クロマトグラフィー検査キットを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、界面活性剤がウイルス膜を破壊する点に着目し、鋭意検討を重ねた結果、免疫クロマトグラフィーによりインフルエンザの検査を行う場合において、生体からの検体を少なくとも非イオン性界面活性剤及び0.3M以上のアルカリ金属イオンを含む前処理液で処理すると、より簡便かつ正確にインフルエンザの検査が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち本発明は、以下よりなる。
1.鼻汁、痰及び咽頭ぬぐい液から選択される検体が混和されることにより免疫クロマトグラフィー検査ストリップ用の検査試料を調製するための検体前処理液であって、非イオン性界面活性剤及び少なくとも0.3Mのアルカリ金属イオンを含むことを特徴とする検体前処理液。
2.前記非イオン性界面活性体が、ポリオキシエチレン系界面活性剤である前項1に記載の前処理液。
3.前記ポリオキシエチレン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体から選択される前項2に記載の前処理液。
4.非イオン性界面活性剤の濃度が0.05〜2(v/v)%である前項1に記載の前処理液。
5.前記検体が、ウイルス検査に用いられる検体である、前項1〜4のいずれか1に記載の前処理液。
6.前記ウイルスが、インフルエンザウイルスである、前項5に記載の前処理液。
7.5〜9のpHを有する前項1〜6の何れか1に記載の前処理液。
8.前記検査試料が、検体と検体処理液との混和物をろ過することにより調製される前項1〜7の何れか1に記載の前処理液。
9.鼻汁、痰及び咽頭ぬぐい液から選択される検体と、非イオン性界面活性剤及び少なくとも0.3Mのアルカリ金属イオンを含有する検体前処理液とを混和する工程、及び
得られた混和物を免疫クロマトグラフィー検査ストリップによって検査する工程、からなることを特徴とする、免疫クロマトグラフィー検査方法。
10.検体と検体処理液との混和物をろ過する工程を備え、ろ過された混和物を免疫クロマトグラフィー検査ストリップによって検査する前項9に記載の免疫クロマトグラフィー検査方法。
11.非イオン性界面活性剤及び少なくとも0.3Mのアルカリ金属イオンを含む検体前処理液と、免疫クロマトグラフィー検査ストリップとを備える免疫クロマトグラフィー検査キット。
12.前記免疫クロマトグラフィー検査ストリップが、試料添加部材、標識部材、及びクロマト用膜担体を備える、前項11に記載のキット。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において測定の対象となるインフルエンザウイルスは、一般的に定義されているものであれば良く、特に限定されない。具体的には、A型、B型、C型のいずれであっても良い。また、インフルエンザウイルスに属するウイルスであれば、変異されたウイルス又は将来出現する変異ウイルスであっても良い。
【0013】
(検体)
本発明において、測定対象物となる検体は生体から取得でき、インフルエンザウイルスを混入しうるものであれば良く特に限定されないが、好ましくは鼻汁、痰及び/又は咽頭ぬぐい液などが挙げられる。こららの検体を採取する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、綿棒を用いて、鼻汁、痰及び/又は咽頭ぬぐい液を採取することができる。
【0014】
(検体前処理液)
本発明の検体前処理液に含まれる非イオン性界面活性剤は、特に限定されないが、好ましくはポリオキシエチレン系のものを使用することができより好ましくはエーテル型のものを使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる一種又は二種以上の混合物が好ましく用いられる。
【0015】
非イオン性界面活性剤は、0.05〜2(v/v)%、好ましくは0.1〜0.5(v/v)%、より好ましくは0.3(v/v)%付近の濃度で前処理液に含ませることができる。
【0016】
本発明の検体前処理液に含まれるアルカリ金属イオンは、リチウム+(Li+)、ナトリウム+(Na+)、カリウム+(K+)、ルビジウム+(Rb+)、セシウム+(Cs+)、フランシウム+(Fr+)等が例示されるが、好ましくはナトリウム、カリウムを使用することができる。又アルカリ金属イオンは一種又は二種以上使用することができる。このようなアルカリ金属イオンを生じうる化合物は特に限定されないが、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、EDTAナトリウム塩、アジ化ナトリウムからなる群より選ばれる一種又は二種以上の混合物を使用することができる。本発明の検体前処理液には、アルカリ金属イオンは、少なくとも0.3M含まれていることが必要であり、好ましくは0.4M、より好ましくは0.45M以上含まれてていれば良い。一方、2M以上のアルカリ金属イオンを加えると、免疫クロマトグラフィーの感度に悪影響を及ぼすおそれがある。好ましくは1.5M以下、より好ましくは1.0M以下の濃度が適用される。
【0017】
本発明の検体前処理液には、上記非イオン性界面活性剤及びアルカリ金属イオンの他、一般的に当業者が使用しうる成分を含ませることができる。具体的には、反応に至適なpHである5〜9に保持うる緩衝液を構成する成分や、その他の適切な有機酸などを含ませることができる。検体の処理は、通常の方法に従えば良く、例えば検体前処理液0.5〜1.0mLに対して検体を0.1〜0.2mLを加え、よく振り混ぜて混和することにより行うことができる。同様に鼻汁などの検体を採取した綿棒を検体前処理液に浸し、検体前処理液と検体をよく混和することにより行うことができる。本明細書では検体を前処理液で処理したものを、便宜上「試料」という。
【0018】
本発明に係る検体前処理液及び処理方法によって処理して得られた試料について、従来の免疫クロマトグラフィーを用いた抗原抗体反応によりインフルエンザの同定・定量等の検査が可能である。
【0019】
(免疫クロマトグラフィー)
免疫クロマトグラフィーの手法は既に公知であるが、その原理を模式的に図1に示す。
図1の標識部材(2)に抗インフルエンザ抗体標識着色粒子を保持させ、インフルエンザウイルス検出部位(4)に抗インフルエンザ抗体を固定する。
図1の試料添加部材(1)に上記の処理した検体を試料として滴下し、クロマト膜担体(3)を介して吸収部材(5)の方向に試料を展開させる。検体中に対象とするインフルエンザウイルスが混入している場合には、インフルエンザウイルスと抗インフルエンザ抗体標識着色ラテックス粒子が反応し、これらの複合体が、抗インフルエンザ抗体を固定したインフルエンザウイルス検出部位(4)に補足され、着色のバンドが現れる。(4)に現れたバンドの色調等により、検体中に含まれるインフルエンザウイルスの量を概略的に把握することができる。
【0020】
標識部材(2)及びインフルエンザウイルス検出部位(4)に使用する抗体は、インフルエンザの異なる部位を認識する抗体であれば良い。これらの抗体は、通常用いられる方法によって得ることができる。例えば、KohlerとMilstein(Kohler G, C. Milstein,Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity, Nature, 256:495-497. 1975)による細胞融合によるハイブリドーマの樹立法によっても良く、単に抗原を動物に免疫してその血清を精製したものであっても良い。標識部材(2)の標識着色粒子として、免疫クロマトグラフィーに使用される公知のものを使用することができる。例えば、金コロイドや着色ラテックス粒子が挙げられる。クロマト用膜担体(3)は、免疫クロマトグラフィーにおいて一般的に使用される膜であればよく、通常多孔質膜であり、具体的にはニトロセルロース膜を使用することができる。
【0021】
(キット)
また、本発明は、上記前前処理液を含むインフルエンザ検出のための免疫クロマトグラフィー用検出キットにも及ぶものである。具体的には、前処理液、免疫クロマトグラフィー用デバイス、各種抗体等が含まれるもの等が挙げられる。
【0022】
【実施例】
本発明の理解のために、以下に実施例を示して説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)非イオン界面活性剤(NP40)の効果
本実施例は、検体前処理液中の各濃度の非イオン界面活性剤(NP40)のクロマト膜担体上のバックグランドに及ぼす効果を確認することを目的として行った。
【0024】
1) 検体前処理液の組成
100mMクエン酸-0.4M NaCl、10mMジチオスレイトールを含有する溶液(pH6.0)に、ノニデットP-40(NP40)(ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニールエーテルの商品名)の濃度が0, 0.05, 0.1, 0.2, 0.4及び0.8(v/v)%の各濃度となるように加え、検体前処理液とした。
【0025】
2) 検体及びその処理
鼻汁を綿棒にて採取したもの検体とした。
綿棒に含ませた鼻汁を、上記前処理液約0.8mLを含む容器内に浸し、検体前処理液と混和したものを試料とした。その後、静置した試料液をメンブレンフィルター(孔径1μm)でろ過し、測定用試料とした。鼻汁検体は、MDCK細胞による培養法(J. Clin. Microb.28(6) 1308-1313 (1990)によりインフルエンザA及びBが陽性と判定されたものを用いた。
【0026】
3) 免疫クロマトグラフィー
免疫クロマトグラフィー用ストリップ(図1)の材料として、試料添加用部材(1)はガラス繊維ろ紙、標識保持部材(2)は、市販の抗インフルエンザ抗体を感作し、青色に着色したラテックスを保持したポリビニル処理ガラス繊維ろ紙、クロマト用膜担体(3)はニトロセルロース膜、吸収部材(5)はガラス繊維とセルロースの混合ろ紙を使用した。また検出部位(4)には、市販の抗インフルエンザ抗体を感作した。培養法によりインフルエンザ陽性と確認された検体について、通常の方法で前処理したものを免疫クロマトグラフィー用デバイスに滴下し、クロマトグラフィーを行った。
各濃度のNP40を含む検体前処理液で前処理した測定用試料液を0.20mLを免疫クロマトグラフィー用デバイスに滴下し、免疫クロマトグラフィーを20分行った。
【0027】
その結果を表1に示した。NP40を全く含まない場合は、クロマト用膜担体が、ラテックス粒子の青色に染まった状態でバックグラウンドが不適合であるため、免疫クロマトグラフィーによるインフルエンザA及びBについて判定することはできなかった。一方、NP40を0.05(v/v)%以上含む検体前処理液で処理した場合には、クロマト用膜担体が着色しておらず、バックグラウンドが良好であり、インフルエンザA及びBについて容易に判定することができた。
【0028】
【表1】
【0029】
(実施例2)各種の非イオン界面活性剤の効果(バックグラウンド)
本実施例は、検体前処理液中の各種非イオン界面活性剤のクロマト膜担体上のバックグランドに及ぼす効果を確認することを目的として行った。
【0030】
検体前処理液は、100mMクエン酸-0.4M NaCl、10mMジチオスレイトールを含有する溶液(pH6.0)に、表2に示す各種非イオン界面活性剤を0.1(v/v)%となるように加え、検体前処理液とした。
検体及びその処理、免疫クロマトグラフィーは実施例1と同様に行った。
【0031】
その結果、表2に示す各種の非イオン性界面活性剤を使用するとバックグランドの発色が低減化され、正確に判定することができた。
【0032】
【表2】
【0033】
(実施例3)各種の非イオン界面活性剤の効果(インフルエンザ測定)
本実施例は、実施例2と同様に、検体前処理液中の各種非イオン界面活性剤の免疫クロマトグラフィーに及ぼす効果を確認することを目的として行った。
検体前処理液は、検体及びその処理、免疫クロマトグラフィー用ストリップの使用並びに免疫クロマトグラフィーは実施例2と同様に行った。
【0034】
その結果、表3に示す各種の非イオン性界面活性剤を使用すると、すべての界面活性剤において陽性と判定された。
【0035】
【表3】
【0036】
(実施例4)各濃度のNaClを加えたときの効果(インフルエンザA及びB測定)本実施例は、検体前処理液中の各濃度の塩化ナトリウム(NaCl)のクロマトグラフィーに及ぼす効果を確認することを目的として行った。
【0037】
1) 検体前処理液の組成
0.1(v/v)%NP40、100mMクエン酸、10mMジチオトレイトール及び10mM EDTAを含む液(pH6.0)に、NaCl濃度が表4に示す各濃度となるように加え、検体前処理液とした。
2) 検体及びその処理
検体は、培養法においてインフルエンザA及びB陰性と判定された3検体の鼻腔吸引液を実施例1に記載の方法で前処理した。
3) 免疫クロマトグラフィー用ストリップについては、実施例1と同様行った。
【0038】
その結果を表4及び5に示した。NaClを全く含まない場合は陰性試料であっても陽性と判定されたが、NaClの添加により非特異反応が抑制されることが確認された。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の検体前処理液によれば、鼻汁、痰及び咽頭ぬぐい液から選択される検体を、免疫クロマトグラフィーにより正確かつ簡便に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】免疫クロマトグラフィー用ストリップの概略を示す図である。
【符号の説明】
1 試料添加部材
2 標識部材(抗インフルエンザ抗体標識着色粒子保持部)
3 クロマト用膜担体
4 検出部位(抗インフルエンザ抗体固定部)
5 吸収部材
Claims (12)
- 鼻汁、痰及び咽頭ぬぐい液から選択される検体が混和されることにより免疫クロマトグラフィー検査ストリップ用の検査試料を調製するための検体前処理液であって、非イオン性界面活性剤及び少なくとも0.3Mのアルカリ金属イオンを含むことを特徴とする検体前処理液。
- 前記非イオン性界面活性体が、ポリオキシエチレン系界面活性剤である請求項1に記載の前処理液。
- 前記ポリオキシエチレン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体から選択される請求項2に記載の前処理液。
- 非イオン性界面活性剤の濃度が0.05〜2(v/v)%である請求項1に記載の前処理液。
- 前記検体が、ウイルス検査に用いられる検体である、請求項1〜4のいずれか1に記載の前処理液。
- 前記ウイルスが、インフルエンザウイルスである、請求項5に記載の前処理液。
- 5〜9のpHを有する請求項1〜6の何れか1に記載の前処理液。
- 前記検査試料が、検体と検体処理液との混和物をろ過することにより調製される請求項1〜7の何れか1に記載の前処理液。
- 鼻汁、痰及び咽頭ぬぐい液から選択される検体と、非イオン性界面活性剤及び少なくとも0.3Mのアルカリ金属イオンを含有する検体前処理液とを混和する工程、及び
得られた混和物を免疫クロマトグラフィー検査ストリップによって検査する工程、からなることを特徴とする、免疫クロマトグラフィー検査方法。 - 検体と検体処理液との混和物をろ過する工程を備え、ろ過された混和物を免疫クロマトグラフィー検査ストリップによって検査する請求項9に記載の免疫クロマトグラフィー検査方法。
- 非イオン性界面活性剤及び少なくとも0.3Mのアルカリ金属イオンを含む検体前処理液と、免疫クロマトグラフィー検査ストリップとを備える免疫クロマトグラフィー検査キット。
- 前記免疫クロマトグラフィー検査ストリップが、試料添加部材、標識部材、及びクロマト用膜担体を備える、請求項11に記載のキット。
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