JP4190208B2 - 加速度センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧電セラミックスを用いた加速度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電セラミックスを利用した加速度センサとして、種々のものが提案されている。一般に、この種の加速度センサにおいて、感度とは電圧感度と電荷感度の2種類がある。電荷感度の増加は、後段に増幅器を接続した場合、加速度センサと増幅器との接続部に影響を及ぼす外部機器や回路からの電磁ノイズに対してS/N比を高めることができる。一方、電圧感度の増加は、増幅器自体が発生する電圧ノイズに対してS/N比を高めることができる。したがって、外部からの電磁ノイズと増幅器の内部ノイズの両方に対してS/N比を高めるには、電荷感度と電圧感度の両方を増加させることが必要になる。つまり、電荷感度と電圧感度の積の1/2として表される発生エネルギーが大きいことが、高S/Nすなわち高感度のセンサであると言える。
【0003】
特開平10−62445号公報には、各層の厚みがほぼ同一の3層以上の圧電セラミックスを積層し、各層で電気的に並列接続した加速度センサが示され、積層数を増やすことで電荷感度を高めることができるようになっている。しかし、このような構造の加速度センサでは、検出素子の全体の厚みを一定にしたまま、積層数を増やすと、各層の厚みが薄くなり、静電容量が増加する分、各層に発生する電圧感度は低下する。また、内側層の発生電位が外側層に比べて低いので、これらを並列接続すると、検出素子全体での電圧感度は各層の電圧の平均となり、全体としての電圧感度は、積層数を増やすほど逆に低下することになる。その結果、発生エネルギーは大きく改善されない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、片持ち構造で、検出素子の全体の厚みが0.42mm、支持部を除いた自由長が3.0mm、検出素子の幅が0.4mmである2層タイプと4層タイプの2種類の加速度センサについて、感度を比較すると、表1のようになる。すなわち、4層タイプは2層タイプに比べて電荷感度が大きく向上している反面、電圧感度が低下し、両者の発生エネルギーは変わらないという結果が出た。なお、ここでは図示していないが、各層が電気的に並列接続された状態での特性である。
【0005】
【表1】
【0006】
上記特性は、比較条件として、検出素子の全体厚み、自由長を同一としている。その理由は、厚みと自由長を含めた形状の特性として、
電荷感度Q=kd・WL3 /T
電圧感度V=kg・L2
の関係があり、これら形状を変更すると、特性が変わるためである。ここで、L:自由長、W:検出素子の幅、T:検出素子の全体厚み、g,d:圧電定数、k:その他の係数である。
上記式から、電荷・電圧感度を共に上げるには、自由長Lを増やせばよく、また厚みTを小さくすると、電荷感度が増加し、電圧感度は変わらないため、発生エネルギーは増加する。しかし、Lを大きくするには、サイズが大きくなり、一方Tを小さくすると、強度が低下し、さらに検出部の共振周波数が低下するため、高い周波数での加速度を正確に測定できなくなるなど、寸法には制約がある。
【0007】
また、特開平9−26433号公報には、片持ち構造で、長さ方向の全域に亘って中間電極と表面電極とが形成された2層構造の加速度センサが開示されている。加速度が加わった時、出力が出るのは、加速度により応力が発生し、これに応じて電荷が発生するためであるが、片持ち構造の場合、この応力は検出素子の根元部近傍で大きく、先端側ほど小さくなる。このような状態では、先端部は電荷の発生にあまり寄与せず、容量成分のみが電気的に並列接続された状態と等価になる。したがって、検出素子全体での電圧感度は長さ方向全体の平均となり、全体としての電圧感度は、根元部近傍のみに電極がある場合に比べて低下し、発生エネルギーを大きくできない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、自由長や厚みを変更せずに、発生エネルギーを大幅に増加させ、高感度化を実現できる加速度センサを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は請求項1,3および4に係る発明によって達成される。
請求項1に係る発明は、検出素子と、この検出素子の長さ方向一端部、両端部または中央部を支持する支持部材とを備え、上記検出素子は4層の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、上記圧電体層はそれぞれ厚み方向に分極されており、厚み方向中心を間にしてその両側の圧電体層は同一方向に分極され、それ以外の圧電体層は隣合う圧電体層と逆方向に分極されており、上記検出素子は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層と第2層とを有し、上記検出素子の厚み方向の中心、第1層と第2層との間、および第2層の外表面とにそれぞれ電極が設けられ、上記各層の圧電体層とその両側の電極とによって、加速度が印加された時に電荷を発生するセルを構成し、厚み方向中心を間にして同一側の第1層と第2層とで形成されるセルが電気的に並列に接続され、厚み方向で両側の第1層同士および第2層同士はそれぞれ同じ厚みに形成され、第1層と第2層の合計厚みに対し、第1層の厚みの比率が62〜76%とされていることを特徴とする加速度センサである。
【0010】
請求項3に係る発明は、検出素子と、この検出素子の長さ方向一端部、両端部または中央部を支持する支持部材とを備え、上記検出素子は6層の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、上記圧電体層はそれぞれ厚み方向に分極されており、厚み方向中心を間にしてその両側の圧電体層は同一方向に分極され、それ以外の圧電体層は隣合う圧電体層と逆方向に分極されており、上記検出素子は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層と第2層と第3層を有し、上記検出素子の厚み方向の中心、第1層と第2層との間、第2層と第3層との間、および第3層の外表面とにそれぞれ電極が設けられ、上記各層の圧電体層とその両側の電極とによって、加速度が印加された時に電荷を発生するセルを構成し、厚み方向中心を間にして同一側の第1層と第2層と第3層で形成されるセルが電気的に並列に接続され、厚み方向で両側の第1層同士、第2層同士、第3層同士はそれぞれ同じ厚みに形成され、第1層〜第3層の合計厚みに対し、第1層の厚みの比率が51〜62%とされ、かつ第1層と第2層の合計厚みの比率が72〜87%とされていることを特徴とする加速度センサである。
【0011】
請求項4に係る発明は、検出素子と、この検出素子の長さ方向一端部を支持する支持部材とを備え、上記検出素子は2層以上の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、上記圧電体層の層間および外表面にそれぞれ加速度の印加に伴って発生する電荷を取り出すための電極が設けられ、上記検出素子の自由端側に、少なくとも一方の極性の電荷を取り出すための電極が形成されない電極ギャップが設けられ、上記検出素子の自由長に対する電極ギャップの長さの比率が20〜70%とされていることを特徴とする加速度センサである。
【0012】
請求項1に係る加速度センサの場合、検出素子は4層の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、厚み方向内側の第1層の厚みが、外側の第2層に比べて厚い。具体的には、第1層と第2層の合計厚みに対し、第1層の厚みの比率が62〜76%とされている。従来のように、4層の厚みがすべて同一の場合、積層数を増やすことで電荷感度を高めても、内側層の発生電位が外側層に比べて低いので、これらを並列接続すると電圧感度は低下し、全体としての発生エネルギーは増えない。これに対し、本発明のように内側層を厚く、外側層を薄くし、両層で発生する電位をできるだけ等しくすれば、発生エネルギーを増大させることができる。
実験によると、第1層の厚みの比率が全体の略70%の場合、同一厚みの場合に比べて約20%の発生エネルギーの上昇が見られ、第1層の厚みの比率が62〜76%の範囲でも16%以上の上昇が見られた。
【0013】
請求項1において、第1層および第2層の圧電体層を個別の厚みのセラミックシートで形成することも可能であるが、請求項2のように、圧電体層を同一厚みのセラミックシートを1枚ないし複数枚積層したものとし、第1層を第2層の2倍の枚数のセラミックシートを積層したものとすれば、第1層の厚みの比率を全体の略70%とすることができ、最大の発生エネルギーを得ることができる。この場合、同じ厚みのセラミックシートを用いて検出素子を製造できるので、厚みの調整が容易で、製造コストを低減できる。
【0014】
請求項3は、検出素子の積層数を6層としたものであり、内側層から外側層にかけて漸次厚みを薄くし、3層で発生する電位をできるだけ等しくすることで、発生エネルギーを増大させることができる。
第1層〜第3層の合計厚みに対し、第1層の厚みの比率を51〜62%とし、第1層と第2層の合計厚みの比率を72〜87%とすることで、全ての層が同一厚みの場合に比べて発生エネルギーを大幅に向上させることができる。
【0015】
請求項4は、検出素子を片持ち構造とした場合において、検出素子の根元部付近に電極を設ける、換言すれば先端部の電極を除去することで、電圧感度を大幅に向上させたものである。すなわち、片持ち構造の検出素子に加速度が加わった時、大きな出力が出るのは、検出素子の根元部近傍であるから、電荷の発生にあまり寄与しない先端部の電極を除去している。そのため、電荷の大きい部分だけから電荷を引き出すことができ、発生エネルギーを大きくすることができる。
電極ギャップを大きくすると、電極面積が小さくなるため電荷感度は小さくなるが、逆に電位の低い先端部の影響が小さくなるため、電圧感度は大きくなる。その結果、発生エネルギーは電極ギャップの比率がある範囲となったとき最大となる。実験によると、検出素子の自由長に対する電極ギャップの長さの比率がほぼ50%で発生エネルギーが最大となり、全面電極の場合に比べて約45%大きくなる。また、20〜70%の範囲でも、約20%以上の発生エネルギーの増加が得られる。
この場合、請求項5のように、検出素子の電極ギャップが設けられた自由端側の側面に、検出素子の自由端まで延びる電極を相互に接続する接続電極を設けるのがよい。
【0016】
請求項6では、請求項4に係る発明に、請求項1の発明を組み合わせたものである。この場合には、電極ギャップによる発生エネルギーの増加に加え、第1層と第2層の厚みの違いによる発生エネルギーの増加が得られるので、その相乗効果により非常に感度の高い加速度センサを得ることができる。
【0017】
請求項7では、請求項6に係る加速度センサにおいて、第1層と第2層との間の電極と、厚み方向の中心の電極および第2層の外表面の電極とをそれぞれ外部へ引き出すための構造に関するものである。すなわち、第1層と第2層との間の電極の一端は上記支持部材によって支持された検出素子の端面まで延ばされ、他端は検出素子の自由端側から電極ギャップを残して終端となっている。一方、厚み方向の中心の電極と、第2層の外表面の電極とは、支持部材によって支持された検出素子の付け根付近から検出素子の自由端まで延ばされている。そして、検出素子の自由端側の側面に設けた接続電極で、厚み方向の中心の電極と第2層の外表面の電極とを相互に接続してある。
この場合には、検出素子の側面に接続電極を形成することで、厚み方向の中心の電極と第2層の外表面の電極とを相互に接続できるので、接続が確実であり、しかも接続電極が電極ギャップに設けられるので、接続電極と第1層と第2層との間の電極との電気的導通を防止できる。さらに、検出素子の側面に接続電極を形成すればよいので、検出素子の端面に接続電極を形成する場合のような複雑な処理が不要となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明にかかる加速度センサの第1実施例を示す。
この加速度センサ1Aは、検出素子2の長さ方向一端部を断面コ字形の一対の支持枠(支持部材)10,11で接着支持したものである。支持枠10,11はセラミックや樹脂等の絶縁材料で形成されている。支持枠10,11の一方の保持部10a,11aの間には異方性導電接着剤16を介して検出素子2の一端部が接着保持されており、他方の保持部10b,11bの間には異方性導電接着剤17を介して検出素子2と同じ厚みを持つ端部材15が接着保持されている。加速度センサ1Aは、端部材15を検出素子2と一体に形成した状態で、一方の支持枠10(または11)に両端部で接着した後、検出素子2と端部材15との間をダイサーなどによって切断し、その後、他方の支持枠11(または10)を接着することで、効率よく製造できる。支持枠10,11と検出素子2との間には、加速度Gが作用した時に検出素子2が撓み得る空間13,14が形成されている。
【0019】
この実施例の検出素子2は、短冊形状の薄肉な圧電セラミックよりなる4層の圧電体層2a〜2dを積層し、一体に焼成したものである。検出素子2は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層2a,2cと第2層2b,2dとを有し、検出素子2の厚み方向中心には中心電極3が、第1層2a,2cと第2層2b,2dとの間には層間電極4a,4bが、第2層2b,2dの外表面には表面電極5a,5bがそれぞれ設けられている。上記電極3,4a,4b,5a,5bによって挟まれた4層の圧電体層2a〜2dによって、4個のセル▲1▼〜▲4▼が構成される。
【0020】
厚み方向で両側の第1層2a,2cは互いに同じ厚みに形成され、第2層2b,2dも互いに同じ厚みに形成されている。そして、第1層2a(2c)と第2層2b(2d)の合計厚みT2 に対し、第1層2a(2c)の厚みT1 の比率が62〜76%とされている。すなわち、
0.62≦T1 /T2 ≦0.76
の範囲に設定されている。
【0021】
上記第1層2a,2cと第2層2b,2dとの間に設けられた層間電極4a,4bの一端は、支持枠10,11によって支持された検出素子2の端面まで延ばされ、支持枠10,11の一端面および検出素子2の一端面に連続的に形成された外部電極6と電気的に接続されている。層間電極4a,4bの他端は検出素子2の自由端から所定寸法だけ後退した位置で終端となっている。検出素子2の自由端から層間電極4a,4bの他端までの無電極部分を電極ギャップと呼ぶと、検出素子2の自由長Lfに対する電極ギャップLgの長さの比率(電極ギャップ率)が20〜70%とされている。すなわち、
0.2≦Lg/Lf≦0.7
の範囲に設定されている。
【0022】
上記中心電極3と表面電極5a,5bは、支持枠10,11によって支持された検出素子2の付け根付近から検出素子2の自由端まで延びている。特に、表面電極5a,5bは支持枠10,11の保持部10a,11aに接着される部分まで延びているが、外部電極6が形成された端面から所定距離手前で終端となっている。また、支持枠10,11の内面にはそれぞれ内面電極10c,11cが形成されており、内面電極10c,11cの両端は保持部10a,10b、11a,11bまで延びている。一方の保持部10a,11aまで延びる内面電極10c11cの一端は、外部電極6が形成された端面から所定距離手前で終端となっており、異方性導電接着剤16によって表面電極5a,5bの一端と電気的に接続されている。異方性導電性接着剤16は、面方向には導電性を持たず、厚み方向にのみ導電性を有するので、内面電極10c,11cおよび表面電極5a,5bは外部電極6と導通しない。なお、異方性導電接着剤16に代えて、内面電極10c,11cと表面電極5a,5bとの接着部のみ等方性導電接着剤を使用し、外部電極6との近傍部分は絶縁性接着剤を使用してもよい。保持部10b,11bまで延びる内面電極10c,11cの他端は、支持枠10,11の他端面および端部材15の端面に形成された外部電極7と電気的に接続されている。なお、端部材15と保持部10b,11bとを接着する接着剤17は、ここでは製造工程上、異方性導電接着剤を用いたが、等方性導電性接着剤または絶縁性接着剤であってもよい。
【0023】
上記検出素子2の自由端側の側面には、蒸着やスパッタリングなどによって接続電極18が形成されている。この接続電極18は、中心電極3と表面電極5a,5bとを相互に接続するためのものであり、検出素子2の電極ギャップLgの領域に形成されているため、層間電極4a,4bとは接続されない。この接続電極18は、図1,図2に示した面と反対側の側面にも同じように形成することで、冗長性をもって接続することができる。この実施例では、検出素子2の側面だけでなく、支持枠10,11の側面や端部材15の側面にも接続電極18が設けられているが、これら電極は工法上形成されたものであり、必須ではない。
なお、上記のように検出素子2の側面に接続電極18を設ける場合のほか、検出素子2の自由端側の端面に接続電極18を設けることで、中心電極3と表面電極5a,5bとを相互に接続してもよい。
【0024】
上記のように接続電極18を設けることで、中心電極3と表面電極5a,5bとが互いに検出素子2の先端部で接続されるとともに、支持枠10,11の内面電極10c,11cによってセンサ1Aの端部の外部電極7まで接続される。そのため、支持枠10または11の一方の側の接続経路が切れても、他方の経路で維持でき、冗長性をもって接続できる。なお、一方の支持枠にのみ内面電極を設けてもよいことは勿論である。
【0025】
上記のように各層の電極を接続することで、図3のように、厚み方向中心を間にして同一側の第1層2aと第2層2bとで形成されるセル▲1▼,▲2▼が電気的に並列に接続され、第1層2cと第2層2dとで形成されるセル▲3▼,▲4▼が電気的に並列に接続される。この実施例では、外部電極6が層間電極4a,4bを相互に接続し、外部電極7が内面電極10c,11cを介して中心電極3および表面電極5a,5bを相互に接続しているので、全てのセル▲1▼〜▲4▼が電気的に並列に接続されている。
【0026】
圧電体層2a〜2dは、図1,図2に矢印Pで示すように、厚み方向に分極されている。厚み方向中心から一方側の第1層2aおよび第2層2bでは、層間電極4aを間にして外向きに分極され、厚み方向中心から他方側の第1層2cおよび第2層2dでは、層間電極4bを間にして内向きに分極されている。そのため、中心電極3を挟んだ第1層2aおよび2cは同じ向きに分極されている。なお、電極ギャップ部は、共通に接続された中心電極3、および表面電極5a,5bによって囲まれており、これら部分では静電容量を持たず、また仮に電荷や電圧が発生してもキャンセルされるため、電極ギャップ部の分極の有無や方向は問わない。
【0027】
上記構成よりなる加速度センサ1Aにおいて、加速度Gが加わった時の電荷および電圧の発生状況を図4に示す。
図4で矢印方向に加速度Gが加わると、慣性により検出素子2は加速度方向と逆方向に撓み、検出素子2の上半分には圧縮応力、下半分には引張応力が発生する。そのため、中心電極3と表面電極5a,5bにはプラスの電荷が発生し、層間電極4a,4bにはマイナスの電荷が発生する。その結果、層間電極4a,4bと導通する一方の外部電極6にはマイナスの電荷が、中心電極3および表面電極5a,5bと導通する他方の外部電極7にはプラスの電荷が取り出される。
【0028】
ここで、第1層2a(2c)と第2層2b(2d)の合計厚みT2 に対し、第1層2a(2c)の厚みT1 の比率を62〜76%とすることで、感度が向上する理由を、図5を参照して説明する。
図5(a)のように、片持支持された4層構造の検出素子が加速度Gを受けて撓みを生じた場合、圧電体層の内部応力は、厚み方向中心(中性面)を原点とすると、表面に近づくほど大きくなる。なお、説明を簡単にするため、各層の電気的接続は図5(b)に示すようにそれぞれ隣接する電極同士のみが接続されるものとし、分極方向も中性面から片側方向ではすべて同一方向とし、応力は中性面に対して対称のため、片側のみについて考える。こうすることで、各層に発生した電荷は他の層に流れることがなく、加速度により発生した電荷が維持される。実際のセンサとして構成するには、例えば図1,2に示すように電荷および電圧がキャンセルしない方向に電極を接続すればよい。
【0029】
中性面から距離tだけ離れた箇所での応力により発生する電荷密度Dは、式(1)で表される。
D=agt ・・・(1)
ここで、aは圧電定数や構造パラメータを含む定数、gは印加加速度であり、Dの単位はクーロン/m2 である。また、この電荷によって厚み方向にtの箇所で発生する電位Vは、同じく中性面を原点とすると、(2)式で表される。
V=∫D/ε・dt=1/2・a/ε・gt2 ・・・(2)
ここで、εは誘電率である。
したがって、図5の表面電極n=2での電位V2 は、t=T2 より
V2 =1/2・a/ε・gT2 2 ・・・(3)
となる。
【0030】
次に、第1層の下側電極n=0と上側電極n=1間に発生する電位をΔV1 、第2層の下側電極n=1と上側電極n=2間に発生する電位をΔV2 とする。このような電位が生じた2つの層を、電気的に並列に接続する場合、両層の電位が異なると、加速度により発生した電荷は、電位が高い層から低い層へ、両層の電位が等しくなるまで流れる。そのため、センサ内部でのエネルギーのロスが生じ、電圧感度と電荷感度の積である発生エネルギーが相対的に減少する。
そこで、エネルギーロスを最小限にするには、両層で発生する電位が等しい、つまりΔV1 =ΔV2 =ΔVであるときが最大の発生エネルギーを生じる。この場合の両層の電位は、(3)式から
ΔV=V2 /N=1/2・a/ε・gT2 2 /N ・・・(4)
となる。ここで、Nは片側の層数であり、図5のように中性面を対称として2層の場合、N=2とする。また、n層目の電極に発生する電位Vnは、中性面を原点として(4)式を使うと、
Vn=n・ΔV=1/2・a/ε・gT2 2 ・n/N ・・・(5)
となる。つまり、(5)式はエネルギーロスを防ぐための各層の電位が等しくなる電位を表す。
一方、Vnは厚みtの部分での電位として(2)式から求まる。従って、片側N層のセンサ構造で、各層の電位ΔVが等しくなるn層目の電極までの距離tは、(2),(5)の連立方程式からtを解けば求まる。
t=T√(n/N) ・・・(6)
ここで、Tは片側の総厚みである。
(6)式の結果をまとめると、表2のようになる。なお、表2には、N=2とN=3の両方の結果が示されている。
【0031】
【表2】
【0032】
表2から明らかなように、図5にある片側2層(N=2)の構成では、エネルギーが最大になる電極n=1の位置は、片側総厚Tの71%であることが判る。同様に、図示しないが、片側3層(N=3)の構成では、内側から第1層の上側電極n=1の位置がTの58%、第2層の上側電極n=2の位置が82%となる。
【0033】
図6(a),(b)は、図1,図2の実施例において、第1層比率を変えて、電圧感度、電荷感度を有限要素法によって数値計算した結果である。センサの形状は、図2において、自由長Lf=3.0mm、素子厚み(2T)=0.42mm、電極ギャップ率(Lg/Lf)=50%とし、第1層比率(T1 /T2 )を50%〜86%まで変えた場合の電荷感度、電圧感度、発生エネルギーを求めた。
図6から明らかなように、電荷感度は第1層比率を大きくするほど単調増加し、一方、電圧感度は第1層比率が概略60%で最大となり、その後は第1層比率が大きくなるほど低下する。そのため、発生エネルギーは、第1層比率を概略70%としたときに最大となり、従来の第1層比率(50%)に比べて発生エネルギーが20%増加する。なお、第1層比率を概略70%としたときに発生エネルギーは最大となるが、概ね62〜76%の範囲で16%以上のエネルギー増加となり、この範囲でも十分な効果が発揮された。
【0034】
なお、第1層比率を70%とした場合に限らず、第1層比率を66.7%とした場合もエネルギーがほぼ最大となる。つまり、第1層厚みを第2層厚みの2倍(例えば第1層厚み140μm、第2層厚み70μm)とした場合でも、最大エネルギーが得られる。このことは、例えば70μmの厚みのセラミックシートを片側3層積層し、そのうち第1層をセラミックシート2層で構成し、第2層をセラミックシート1層で構成すれば、高感度の検出素子を実現できることを意味する。この方法であれば、同じ厚みのセラミックシートだけを用いるので、効率よく検出素子を製造できるという利点がある。
【0035】
次に、電極ギャップLgを自由長Lfの20〜70%とすることで、感度が向上する理由を、図7を参照して説明する。
図7は片持ち支持された4層構造の検出素子を示し、中心電極(n=0)と層間電極(n=1)と表面電極(n=2)とを、それぞれ検出素子の自由端から所定寸法(電極ギャップLg)だけ後退した位置で終端としてある。ここでは、説明を簡単にするため、各層の分極方向を同一方向としてある。
上記検出素子において、加速度が加わった時の応力分布は、支持部の近傍ほど大きく、自由端に近づくほど小さくなる。そのため、自由端部での電荷の発生は相対的に小さく、電位も小さい。このような状態では、電位の高い支持部近傍から電位の低い自由端側に電荷の移動が発生し、エネルギーロスを生じる。したがって、自由端部では一定の範囲で電極ギャップを設ける方がエネルギーが大きくなる。このことを、図2において、自由長Lf=3.0mm、素子厚み(2T)=0.42mm、第1層厚み=0.14mm、第2層厚み=0.07mmとし、電極ギャップ率(Lg/Lf)を変えながら、電圧感度、電荷感度、発生エネルギーを前述と同様に求めたのが図8である。
【0036】
図8から明らかなように、電極ギャップ率が0%、つまり全面電極の従来例の場合に比べて、電極ギャップ率を大きくすると、電荷感度は電極面積が小さくなるため小さくなるが、逆に電圧感度は電位の低い自由端側の影響が小さくなるため、高くなる。その結果、発生エネルギーは電極ギャップ率が概略50%の場合に最大となり、全面電極の場合に比べて概略45%大きくなる。なお、電極ギャップ率が20〜70%の範囲でも20%以上の発生エネルギーの増加が可能となり、十分な効果が得られる。
【0037】
図6および図8を総合すると次のようになる。すなわち、片持ち構造の4層タイプの加速度センサにおいて、電極が全面電極でかつ4層が同一厚みの場合(従来例)と、図1,図2に示されるような第1層比率(T1 /T2 )を62〜76%とし、かつ電極ギャップ率(Lg/Lf)を20〜70%とした場合(本発明)とを比較すると、本発明では従来例に比べて発生エネルギーが39%以上増加する。特に、第1層比率(T1 /T2 )を66.7〜71.4%とし、かつ電極ギャップ率(Lg/Lf)を45〜55%とした場合には、発生エネルギーの増分は70%以上になる。
つまり、検出素子の自由長や厚みを変更せずに、発生エネルギーを大幅に増加させることができ、高感度化の加速度センサを実現できる。
【0038】
図9は本発明に係る加速度センサの第2実施例を示す。なお、第1実施例と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施例の加速度センサ1Bは、一端部が支持枠10,11によって支持された片持ち構造の検出素子20を備えている。検出素子20は短冊形状の薄肉な圧電セラミックよりなる6層の圧電体層20a〜20fを積層し、一体に焼成したものである。検出素子20は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層20a,20d、第2層20b,20e、第3層20c,20fとを有し、検出素子20の厚み方向中心には中心電極21が、第1層20a,20dと第2層20b,20eとの間には層間電極22a,22bが、第2層20b,20eと第3層20c,20fとの間には層間電極23a,23bが、第3層20c,20fの外表面には表面電極24a,24bがそれぞれ設けられている。上記電極21、22a,22b、23a,23b、24a,24bによって挟まれた6層の圧電体層20a〜20fによって、6個のセルが構成される。そして、中心電極21を間にして片側の3層において、隣り合う圧電体層が互いに厚み方向に逆向きに分極され、中心電極21を挟んで両側の第1層20a,20dが同一方向に分極されている。
【0039】
厚み方向で両側の第1層20aと20d、第2層20bと20eおよび第3層20cと20fは、互いに同じ厚みに形成されている。そして、第1層〜第3層の合計厚みT3 に対し、第1層の厚みT1 の比率が51〜62%とされ、第1層と第2層の合計厚みT2 の比率が72〜87%とされている。特に、T1 /T3 ≒0.58、T2 /T3 ≒0.82とするのがよい。
このような厚みに設定した理由は、表2で説明した通りである。
【0040】
中心電極21と層間電極23a,23bは同一形状に形成されており、外部電極6が設けられた検出素子20の一端から検出素子20の中間部まで延びている。つまり、検出素子20の自由端側には電極ギャップLgが設けられ、この電極ギャップLgの自由長Lfに対する比率(電極ギャップ率)は20〜70%とされている。
層間電極22a,22bと表面電極24a,24bもほぼ同一形状に形成されており、検出素子20の付け根付近から自由端まで延びている。そして、表面電極24a,24bは支持枠10,11の内面電極10c,11cと導通している。検出素子20の自由端側の側面には接続電極18が形成され、この接続電極18によって層間電極22a,22bと表面電極24a,24bとが相互に接続されている。この場合も、接続電極18に代えて、検出素子20の自由端側の端面に接続電極を設けることで、層間電極22a,22bと表面電極24a,24bとを相互に接続してもよい。
上記のように各層の電極を接続することで、図10のように、各層で構成される6個のセル▲1▼〜▲6▼が電気的に並列に接続される。
【0041】
上記実施例の加速度センサ1Bの場合も、第1実施例と同様に、第1層の厚みT1 の比率を51〜62%、第1層と第2層の合計厚みT2 の比率を72〜87%とし、かつ電極ギャップ率(Lg/Lf)を20〜70%とすることで、従来の6層構造の加速度センサに比べて発生エネルギーが大幅に増加する。つまり、検出素子の自由長や厚みを変更せずに、発生エネルギーを大幅に増加させることができ、高感度化の加速度センサを実現できる。
【0042】
図11は本発明に係る加速度センサの第3実施例を示す。なお、第1実施例と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施例の加速度センサ1Cは、一端部が支持枠10,11によって片持ち支持された検出素子30を備えており、検出素子30は短冊形状の薄肉な圧電セラミックよりなる2層の圧電体層30a,30bを積層し、一体に焼成したものである。検出素子30の厚み方向中心には中心電極31が設けられ、表裏面には表面電極32a,32bが設けられている。2つの圧電体層30a,30bは厚み方向に同一方向に分極されている。
中心電極31は外部電極6が設けられた検出素子30の一端から検出素子20の中間部まで延びている。つまり、検出素子30の自由端側には電極ギャップLgが設けられ、この電極ギャップLgの自由長Lfに対する比率(電極ギャップ率)は20〜70%とされている。
表面電極32a,32bは検出素子30の付け根付近から自由端まで延び、表面電極32a,32bは支持枠10,11の内面電極10c,11cと導通している。検出素子30の自由端側の側面には接続電極18が形成され、この接続電極18によって表面電極32a,32bは相互に接続されている。但し、中心電極31とは導通していない。
この場合も、各層で構成される2個のセルが電気的に並列に接続される。
【0043】
この実施例の加速度センサ1Cの場合、電極ギャップ率(Lg/Lf)を20〜70%とすることで、従来の2層構造の加速度センサに比べて発生エネルギーを増加させることができる。
図12は、図11の構造の加速度センサ1Cにおいて、電極ギャップ率を変化させた時の電圧感度、電荷感度、発生エネルギーを求めたものである。
この場合も、電極ギャップ率が50%のときに発生エネルギーが最大になり、全面電極の場合に比べて概略43%大きくなる。また、同様に、電極ギャップ率が20〜70%の範囲でも20%以上の発生エネルギーの増加が可能となり、十分な効果が得られることがわかる。
なお、図11では2層の分極方向が同一方向で、電気的に並列接続されているが、上記効果は、前述の特開平9−26433号公報に示された構造の検出素子でも同様に得られる。すなわち、2層の分極方向を逆向きとし、電気的に直列接続したものでもよい。電極ギャップ率が20〜70%の範囲で発生エネルギーが増加する効果は、積層数や分極の向き、電気的な接続方法によらず、検出素子の一端側を保持した片持ち構造全てに当てはまるものである。
【0044】
図13は本発明に係る加速度センサの第4実施例を示す。なお、第1実施例と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施例の加速度センサ1Dは、前述の特開平10−62445号公報に示された6層構造のセンサにおいて、その圧電体層の厚みを変えたものである。すなわち、センサ1Dは両端部が支持枠10,11によって支持された両持ち構造の検出素子40を備えたものであり、検出素子40は短冊形状の薄肉な圧電セラミックよりなる6層の圧電体層40a〜40fを積層し、一体に焼成したものである。検出素子40は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層40a,40d、第2層40b,40e、第3層40c,40fとを有し、検出素子40の厚み方向中心には中心電極41が、第1層40a,40dと第2層40b,40eとの間には層間電極42a,42bが、第2層40b,40eと第3層40c,40fとの間には層間電極43a,43bが、第3層40c,40fの外表面には表面電極44a,44bがそれぞれ設けられている。上記電極41、42a,42b、43a,43b、44a,44bによって挟まれた6層の圧電体層40a〜40fによって、6個のセルが構成される。そして、中心電極41を間にして片側の3層において、隣り合う圧電体層が互いに厚み方向に逆向きに分極され、中心電極41を挟んで両側の第1層40a,40dが同一方向に分極されている。
【0045】
厚み方向で両側の第1層40aと40d、第2層40bと40eおよび第3層40cと40fは、互いに同じ厚みに形成されている。そして、第1層〜第3層の合計厚みT3 に対し、第1層の厚みT1 の比率が51〜62%とされ、第1層と第2層の合計厚みT2 の比率が72〜87%とされている。特に、T1 /T3 ≒0.58、T2 /T3 ≒0.82とするのがよい。
このような厚みに設定した理由は、表2で説明した通りである。
【0046】
中心電極41と層間電極43a,43bは同一形状に形成されており、外部電極7が設けられた検出素子40の一端から検出素子40の中間部まで延びている。層間電極42a,42bと表面電極44a,44bもほぼ同一形状に形成されており、外部電極6が設けられた検出素子40の他端から検出素子40の中間部まで延びている。
上記のように各層の電極を接続することで、図10と同様に、各層で構成される6個のセルが電気的に並列に接続される。
【0047】
上記実施例の加速度センサ1Dの場合、合計厚みT3 に対する第1層の厚みT1 の比率を51〜62%、第1層と第2層の合計厚みT2 の比率を72〜87%とすることで、従来の6層構造の加速度センサ(例えば特開平10−62445号公報参照)に比べて発生エネルギーが大幅に増加する。つまり、検出素子の自由長や厚みを変更せずに、発生エネルギーを大幅に増加させることができ、高感度化の加速度センサを実現できる。
【0048】
本発明は上記実施例に限定されるものではない。
請求項1に係る発明の場合、検出素子は片持ち構造に限らず、両持ち構造あるいは中央支持構造であってもよい。即ち、第1実施例の4層構造においても、検出素子を両持ち構造としてもよい。
また、電極ギャップLgは、第1実施例では層間電極4a,4bに設け、第2実施例では中心電極21および層間電極23a,23bに設け、第3実施例では中心電極31に設けたが、これに限るものではない。要するに、加速度が印加されたとき、検出素子の自由端側に応力による電荷が発生しない領域、あるいは仮に電荷が発生しても外部に取り出せない領域を、検出素子の自由端側に形成すればよい。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1に係る発明によれば、4層構造の検出素子のうち、厚み方向中心寄りの第1層の厚みが外側の第2層に比べて厚く、第1層と第2層の合計厚みに対する第1層の厚みの比率が62〜76%とされているので、4層の厚みがすべて同一の場合に比べて発生エネルギーを増大させることができる。そのため、自由長や厚みを変更せずに、高感度な加速度センサを得ることができる。
【0050】
また、請求項3では、6層構造の検出素子において、内側層から外側層にかけて所定割合ずつ厚みを漸次薄くし、3層で発生する電位をできるだけ等しくすることで、発生エネルギーを増大させることができる。そのため、全ての層が同一厚みの場合に比べて発生エネルギーを大幅に向上させることができる。
【0051】
請求項4に係る発明によれば、片持ち構造の検出素子において、電荷の発生にあまり寄与しない自由端側の電極を除去することで、電荷の強い部分だけから電荷を引き出すことができ、発生エネルギーを大きくすることができる。特に、検出素子の自由長に対する電極ギャップの長さの比率を20〜70%とすることで、従来の全面電極の場合に比べて約20%以上の発生エネルギーの増加を得ることができる。そのため、自由長や厚みを変更せずに、高感度な加速度センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる加速度センサの第1実施例の斜視図である。
【図2】図1に示した加速度センサの正面図である。
【図3】図1に示した加速度センサの回路図である。
【図4】図1に示した加速度センサの加速度印加時における作動説明図である。
【図5】厚み比率による発生エネルギーの影響を説明するための図であり、(a)は4層構造の加速度センサの構造図、(b)はその回路図である。
【図6】第1層比率と感度との関係を示す図であり、(a)はその特性図、(b)は数値データである。
【図7】電極ギャップ率による発生エネルギーの影響を説明するための4層構造の加速度センサの構造図である。
【図8】電極ギャップ率と感度との関係を示す図であり、(a)はその特性図、(b)は数値データである。
【図9】本発明にかかる加速度センサの第2実施例の正面図である。
【図10】図9に示す加速度センサの回路図である。
【図11】本発明にかかる加速度センサの第3実施例の正面図である。
【図12】図11に示す加速度センサの電極ギャップ率と感度との関係を示す図であり、(a)はその特性図、(b)は数値データである。
【図13】本発明にかかる加速度センサの第4実施例の正面図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C 加速度センサ
2,20,30,40 検出素子
3 中心電極
4a,4b 層間電極
5a,5b 表面電極
6,7 外部電極
10,11 支持枠(支持部材)
▲1▼〜▲6▼ セル
Claims (7)
- 検出素子と、この検出素子の長さ方向一端部、両端部または中央部を支持する支持部材とを備え、
上記検出素子は4層の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、
上記圧電体層はそれぞれ厚み方向に分極されており、厚み方向中心を間にしてその両側の圧電体層は同一方向に分極され、それ以外の圧電体層は隣合う圧電体層と逆方向に分極されており、
上記検出素子は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層と第2層とを有し、
上記検出素子の厚み方向の中心、第1層と第2層との間、および第2層の外表面とにそれぞれ電極が設けられ、
上記各層の圧電体層とその両側の電極とによって、加速度が印加された時に電荷を発生するセルを構成し、
厚み方向中心を間にして同一側の第1層と第2層とで形成されるセルが電気的に並列に接続され、
厚み方向で両側の第1層同士および第2層同士はそれぞれ同じ厚みに形成され、
第1層と第2層の合計厚みに対し、第1層の厚みの比率が62〜76%とされていることを特徴とする加速度センサ。 - 上記圧電体層は、同一厚みのセラミックシートを1枚ないし複数枚積層したものであり、第1層は第2層の2倍の枚数のセラミックシートを積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ。
- 検出素子と、この検出素子の長さ方向一端部、両端部または中央部を支持する支持部材とを備え、
上記検出素子は6層の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、
上記圧電体層はそれぞれ厚み方向に分極されており、厚み方向中心を間にしてその両側の圧電体層は同一方向に分極され、それ以外の圧電体層は隣合う圧電体層と逆方向に分極されており、
上記検出素子は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層と第2層と第3層を有し、
上記検出素子の厚み方向の中心、第1層と第2層との間、第2層と第3層との間、および第3層の外表面とにそれぞれ電極が設けられ、
上記各層の圧電体層とその両側の電極とによって、加速度が印加された時に電荷を発生するセルを構成し、
厚み方向中心を間にして同一側の第1層と第2層と第3層で形成されるセルが電気的に並列に接続され、
厚み方向で両側の第1層同士、第2層同士、第3層同士はそれぞれ同じ厚みに形成され、
第1層〜第3層の合計厚みに対し、第1層の厚みの比率が51〜62%とされ、かつ第1層と第2層の合計厚みの比率が72〜87%とされていることを特徴とする加速度センサ。 - 検出素子と、この検出素子の長さ方向一端部を支持する支持部材とを備え、
上記検出素子は2層以上の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、
上記圧電体層の層間および外表面にそれぞれ加速度の印加に伴って発生する電荷を取り出すための電極が設けられ、
上記検出素子の自由端側に、少なくとも一方の極性の電荷を取り出すための電極が形成されない電極ギャップが設けられ、
上記検出素子の自由長に対する電極ギャップの長さの比率が20〜70%とされていることを特徴とする加速度センサ。 - 上記検出素子の電極ギャップが設けられた自由端側の側面に、検出素子の自由端まで延びる電極を相互に接続する接続電極が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の加速度センサ。
- 上記検出素子は4層の圧電セラミックよりなる圧電体層を積層したものであり、
上記圧電体層はそれぞれ厚み方向に分極されており、厚み方向中心を間にしてその両側の圧電体層は同一方向に分極され、それ以外の圧電体層は隣合う圧電体層と逆方向に分極されており、
上記検出素子は厚み方向中心から外側に向かってそれぞれ第1層と第2層とを有し、
上記検出素子の厚み方向の中心、第1層と第2層との間、および第2層の外表面とにそれぞれ電極が設けられ、
上記各層の圧電体層とその両側の電極とによって、加速度が印加された時に電荷を発生するセルを構成し、
厚み方向中心を間にして同一側の第1層と第2層とで形成されるセルが電気的に並列に接続され、
厚み方向で両側の第1層同士および第2層同士はそれぞれ同じ厚みに形成され、
第1層と第2層の合計厚みに対し、第1層の厚みの比率が62〜76%とされていることを特徴とする請求項4に記載の加速度センサ。 - 上記第1層と第2層との間の電極の一端は上記支持部材によって支持された検出素子の端面まで延ばされ、他端は上記検出素子の自由端側から電極ギャップを残して終端となり、
上記厚み方向の中心の電極と、第2層の外表面の電極とは、上記支持部材によって支持された検出素子の付け根付近から検出素子の自由端まで延ばされ、
上記検出素子の自由端側の側面に、上記厚み方向の中心の電極と上記第2層の外表面の電極とを相互に接続し、かつ第1層と第2層との間の電極と接続されない接続電極が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の加速度センサ。
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