JP4189988B2 - 洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックレンズ成形ガラス型の洗浄方法に関する。より詳しくは、屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズの製造に用いられる成形ガラス型の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べて、軽くて割れ難く、染色し易い。加えて、ハードコート技術の向上とより高屈折率の樹脂材料の開発によって、より薄くて軽いレンズの加工が出来ることになったことにより、眼鏡レンズをはじめ、多くの光学素子の分野で、無機レンズに代わって普及してきた。
【0003】
プラスチックレンズ用の樹脂として最も広く用いられてきたのはジエチレングリコールビスアリルカーボネートをラジカル重合して得られる樹脂であるが、最近、より高屈折率の樹脂材料が開発されてきた。その代表的なものは、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂、含硫ポリ(メタ)アクリレート樹脂、エピスルフィド樹脂等の屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズ樹脂である。
【0004】
また、プラスチックレンズの製造には、一般的に、成形ガラス型が用いられる。この成形ガラス型はレンズ形成後、洗浄され、何度も繰り返し使用される。プラスチックレンズ成形の際に成形ガラス型に付着する汚れとしては、プラスチックレンズ樹脂、ガスケットからブリードアウトした可塑剤、固定用テープの粘着剤、作業者の指紋、雰囲気中のほこり等がある。これらの中でも、プラスチックレンズ樹脂は高度に架橋し、非常に強固に固着しているため、極めて洗浄し難い。
【0005】
成形ガラス型の洗浄剤として、従来より芳香族化合物、アルカリ剤、カルシウムイオン放出物質及び水を含有した洗浄剤組成物等(特開平11−131096号公報)が知られている。この公報では洗浄対象物として従来主流のジエチレングリコールビスアリルカーボネート系プラスチックレンズ樹脂やウレタン系樹脂などの屈折率が1.50以下の低屈折率樹脂について具体的に開示されている。一方、最近市場に出回ってきた屈折率1.55以上の高屈折率系含硫黄プラスチックレンズの製造に用いられる成形ガラス型においては、従来の低屈折率系の樹脂汚れと比較して、樹脂汚れが成形ガラス型により強固に付着して剥離し難いだけではなく、その付着量も増加しているため、より洗浄し難くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラスチックレンズ成形ガラス型の表面に付着し、洗浄が困難なプラスチックレンズ樹脂、ガスケットからブリードアウトした可塑剤、固定用テープの粘着剤、作業者の指紋、雰囲気中のほこり等の汚れ、中でも特に、屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズ樹脂汚れに対して、高い洗浄力を有し、成形ガラス型の腐食が抑制され、洗浄時における人体に対する安全性に優れ、かつこの成形ガラス型を用いて成形されたプラスチックレンズの染色性にも優れた洗浄方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズの製造に用いられる成形ガラス型を洗浄するに際し、次の成分(a)〜(d):
(a)一般式(1)
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基、nは1〜4の整数を示す。Xは2価又は3価の基であり、1個(1価)の結合手は芳香環に結合し、残りの結合手はYに結合する基を示し、酸素原子、−CH<基、−CH(CH3 )−基、−C(CH3 )2 −基、−CH2 CH<基、−CH(CH3 )CH<基、−CH(OH)−基、−C(CH3 )(OH)−基、オキシメチレン基、−OCH<基、−OCH2 CH<基、カルボニル基、−(C=O)CH<基、−OCH2 (C=O)−基、−CH(CH3 )(C=O)−基、−CH(CH3 )CH2 (C=O)−基、−(CH2 )p (C=O)−基〔pは1〜3の整数を示す〕又は−(CH2 )k −基〔kは1〜5の整数を示す〕を表わす。Yは1価の基であり、水素原子、水酸基、炭素数1〜7の炭化水素基、炭素数1〜7の炭化水素基の一部の水素原子を水酸基で置換したアルコール基、−(R2 O)j H基〔R2 は炭素数2又は3のアルキレン基、jは1〜8の整数を示す〕又は−(OR3 )i H基〔R3 は炭素数1〜6の2価の炭化水素基、iは1〜3の整数を示す〕、mは1〜3の整数を示す。尚、n及び/又はmが2以上の場合、各々の置換基が異なっている場合も含む。尚、X及びYの少なくともいずれかの基に酸素原子を含む。)で表される酸素原子含有単環芳香族化合物(但し、フェノール、芳香族カルボン酸及び芳香族カルボン酸エステルを除く)8〜75重量%、(b)無機系アルカリ剤0.3〜20重量%、(c)カルシウムイオン放出性物質0.005〜5重量%〔カルシウムイオン換算量〕、及び(d)水9〜91重量%を含有してなる洗浄剤を用いて洗浄する工程を有する洗浄方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の洗浄工程の後、該洗浄工程の温度よりも10℃以上低い温度でさらに洗浄工程又はリンス工程を行なう洗浄方法
に関する。
尚、酸素原子含有単環芳香族化合物を以下、単に芳香族化合物という。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の洗浄方法は、前記したように、屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズの製造に用いられる成形ガラス型を、(a)一般式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基、nは1〜4の整数を示す。Xは2価又は3価の基であり、1個(1価)の結合手は芳香環に結合し、残りの結合手はYに結合する基を示し、酸素原子、−CH<基、−CH(CH3 )−基、−C(CH3 )2 −基、−CH2 CH<基、−CH(CH3 )CH<基、−CH(OH)−基、−C(CH3 )(OH)−基、オキシメチレン基、−OCH<基、−OCH2 CH<基、カルボニル基、−(C=O)CH<基、−OCH2 (C=O)−基、−CH(CH3 )(C=O)−基、−CH(CH3 )CH2 (C=O)−基、−(CH2 )p (C=O)−基〔pは1〜3の整数を示す〕又は−(CH2 )k −基〔kは1〜5の整数を示す〕を表わす。Yは1価の基であり、水素原子、水酸基、炭素数1〜7の炭化水素基、炭素数1〜7の炭化水素基の一部の水素原子を水酸基で置換したアルコール基、−(R2 O)j H基〔R2 は炭素数2又は3のアルキレン基、jは1〜8の整数を示す〕又は−(OR3 )i H基〔R3 は炭素数1〜6の2価の炭化水素基、iは1〜3の整数を示す〕、mは1〜3の整数を示す。尚、n及び/又はmが2以上の場合、各々の置換基が異なっている場合も含む。尚、X及びYの少なくともいずれかの基に酸素原子を含む。)で表される芳香族化合物(但し、フェノール、芳香族カルボン酸及び芳香族カルボン酸エステルを除く)8〜75重量%、(b)無機系アルカリ剤0.3〜20重量%、(c)カルシウムイオン放出性物質0.005〜5重量%〔カルシウムイオン換算量〕、及び(d)水9〜91重量%を含有してなる洗浄剤を用いて洗浄する工程を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、前記(a)〜(d)成分を含有してなる洗浄剤を使用することにより、プラスチックレンズ成形ガラス型に付着した種々の汚れの溶解性、種々の高分子の樹脂汚れへの洗浄液成分の浸透性及び樹脂汚れの膨潤性と、それに伴う樹脂汚れの崩壊性が相乗的に高められるという利点、短時間での樹脂汚れの剥離性が促進され、優れた洗浄性が発現されるという利点、成形ガラス型の表面の腐食を抑制することができるという利点、並びに発がん性の物質である可能性がある塩化メチレンや生殖毒性の可能性が指摘されているN−メチルピロリドンを使用しないため、人体に対して安全性に優れた洗浄を行うことができるという利点がある。また、本発明の洗浄液は成形ガラス型の洗浄性に優れるため、本発明の洗浄液を用いて洗浄した成型ガラス型を用いてプラスチックレンズを製造した時に、プラスチックレンズ表面に樹脂汚れが転写されず、染色ムラのあるレンズの発生が少ないという利点がある。
【0014】
前記洗浄剤は、前記したように、前記(a)一般式(1)で表される芳香族化合物(但し、フェノール、芳香族カルボン酸及び芳香族カルボン酸エステルを除く)8〜75重量%、(b)無機系アルカリ剤0.3〜20重量%、(c)カルシウムイオン放出性物質0.005〜5重量%〔カルシウムイオン換算量〕、及び(d)水9〜91重量%を含有したものである。
【0015】
前記洗浄剤において、前記(a)芳香族化合物を使用することに一つの大きな特徴がある。前記(a)成分を用いることにより、プラスチックレンズ用成形ガラス型に付着した種々の汚れの溶解性、種々の高分子の樹脂汚れへの洗浄液成分の浸透性及び樹脂汚れの膨潤性が高められるので、優れた洗浄性が発現される。
【0016】
前記一般式(1)において、R1 は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基である。
【0017】
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基に代表される直鎖飽和炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基に代表される分岐鎖飽和炭化水素基等があげられる。
【0018】
前記R1 の中では、洗浄性能と入手の容易の観点から、水素原子、炭素数1〜4の直鎖飽和炭化水素基が好ましい。
【0019】
また、nは1〜4の整数であり、洗浄性能と入手の容易の観点から、1又は2の整数が好ましい。
【0020】
前記一般式(1)において、Xは2価又は3価の基であり、1個(1価)の結合手は芳香環に結合し、残りの結合手はYに結合する基を示し、酸素原子、−CH<基、−CH(CH3 )−基、−C(CH3 )2 −基、−CH2 CH<基、−CH(CH3 )CH<基、−CH(OH)−基、−C(CH3 )(OH)−基、オキシメチレン基、−OCH<基、−OCH2 CH<基、カルボニル基、−(C=O)CH<基、−OCH2 (C=O)−基、−CH(CH3 )(C=O)−基、−CH(CH3 )CH2 (C=O)−基、−(CH2 )p (C=O)−基〔pは前記と同じ〕又は−(CH2 )k −基〔kは前記と同じ〕である。
【0021】
前記−(CH2 )p (C=O)−基において、pは洗浄性の観点から、1〜3の整数であり、入手の容易性の観点から、1又は2の整数が好ましい。
【0022】
前記−(CH2 )k −基において、kは洗浄性の観点から、1〜5の整数であり、入手の容易性の観点から、1又は2の整数が好ましい。
【0023】
前記Xとしては、洗浄性能の観点から、酸素原子、オキシメチレン基及びカルボニル基が特に好ましい。
【0024】
前記一般式(1)において、Yは1価の基であり、水素原子、水酸基、炭素数1〜7の炭化水素基、炭素数1〜7の炭化水素基の一部の水素原子を水酸基で置換したアルコール基、−(R2 O)j H基〔R2 及びjは前記と同じ〕又は−(OR3 )i H基〔R3 は前記と同じ〕である。
【0025】
前記炭素数1〜7の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基に代表される直鎖飽和炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基に代表される分岐鎖飽和炭化水素基等があげられる。前記炭素数1〜7の炭化水素基の中では、洗浄性能と入手の容易性の観点から、水素原子及び炭素数1〜4の直鎖飽和炭化水素基が好ましい。
【0026】
前記−(R2 O)j H基において、R2 は、優れた洗浄性を発現され、入手が容易である観点から、炭素数2又は3のアルキレン基であり、例えば、エチレン及びプロピレンが挙げられる。また、jは1〜8の整数であり、洗浄性を向上させる観点から、4以下の整数が好ましい。
【0027】
前記−(OR3 )i H基において、R3 は、炭素数1〜6の2価の炭化水素基である。
【0028】
前記炭素数1〜6の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン及びテトラメチレンに代表される直鎖飽和炭化水素基;メチルエチレン、メチル−1,3−プロピレン及び1,1−ジメチルエチレンに代表される分岐鎖飽和炭化水素基等が挙げられる。前記R3 の中では、洗浄性能と入手の容易性の観点から、炭素数1〜4の直鎖飽和炭化水素基が好ましい。
【0029】
また、iは1〜3の整数であり、洗浄性能と入手の容易の観点から、1又は2の整数が好ましい。
【0030】
一般式(1)において、mは1〜3の整数であり、洗浄性能と入手の容易の観点から、1又は2の整数が好ましい。尚、n及び/又はmが2以上の場合、各々の置換基は異なっていてもよい。
【0031】
本発明においては、一般式(1)において、Xで示される基及びYで示される基の少なくともいずれかの基に酸素原子が含まれていることが、樹脂汚れに対する洗浄性を向上させる観点から必要である。
【0032】
なお、前記一般式(1)において、Xが酸素原子であり、Yが水素原子であるフェノール類;Xがカルボニル基であり、Yが水酸基である芳香族カルボン酸類;Xがカルボニル基であり、Yが例えば、−OR4 〔R4 は炭化水素基〕である芳香族エステル類は、洗浄剤中で(b)成分等のアルカリ剤と反応して塩を形成する。かかる塩は、樹脂汚れの洗浄性を低下させることがあるので、本発明においては、(a)成分として、フェノール類;芳香族カルボン酸類;及び芳香族エステル類は除外している。
【0033】
前記一般式(1)で表される芳香族化合物の代表例としては、例えば、単環芳香族エーテル、単環芳香族アルコール、単環芳香族ケトン、単環芳香族グリコールエーテル等があげられる。
【0034】
前記芳香族化合物の具体例としては、例えば、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メチルアニソール、メチルフェネトール、ジメチルアニソール、ベラトロール等の単環芳香族エーテル;ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、メチルベンジルアルコール、エチルベンジルアルコール、メチルフェネチルアルコール、メトキシフェネチルアルコール、ベンゼンジメチルアルコール、ジメチルベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、エトキシベンジルアルコール、ジメチルメトキシベンジルアルコール、ジメトキシベンジルアルコール、エトキシメトキシベンジルアルコール、ジメトキシメチルベンジルアルコール、ジメトキシフェネチルアルコール、エトキシメトキシフェネチルアルコール、トリメトキシベンジルアルコール、sec−フェネチルアルコール等の単環芳香族アルコール;メフェネシン、1−フェニル−2−プロピルアルコール、2−フェニル−1−プロピルアルコール、2−メチル−1−フェニル−2−プロピルアルコール、1−フェニル−2−ペンチルアルコール、2,2−ジメチル−3−フェニル−1−プロピルアルコール等の炭素数1〜7の炭化水素基の一部の水素原子を水酸基で置換したアルコール基を持つ化合物;アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、イソブチロフェノン、バレロフェノン、ジメチルプロピオフェノン、ヘキサノフェノン、ヘプタノフェノン、オクタノフェノン、メチルアセトフェノン、ジアセチルベンゼン等の単環芳香族ケトン;(POE)1-8 モノフェニルエーテル、(POE)1-8 モノベンジルエーテル、(POP)1-8 モノフェニルエーテル、(POP)1-8 モノベンジルエーテル等の単環芳香族グリコールエーテル等があげられる。本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。尚、前記芳香族化合物は、本発明に係わる洗浄剤において、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
尚、本明細書において、「(POE)」は、エチレンオキサイド基を示し、(POE)の右下の添え字は、エチレンオキサイド基の付加モル数を示す。また、「(POP)」の語は、プロピレンオキサイド基を示し、(POP)の右下の添え字は、プロピレンオキサイド基の付加モル数を示す。また、例えば、(POE)1 モノフェニルエーテル、(POE)2 モノフェニルエーテル、(POE)3 モノフェニルエーテルの化合物をまとめて(POE)1-3 モノフェニルエーテルのように略記する場合がある。
【0036】
前記芳香族化合物のなかでは、樹脂汚れの洗浄性及び入手の容易性の観点から、単環芳香族アルコール及び単環芳香族グリコールエーテルが好ましい。なかでも、洗浄剤成分の混合性及び洗浄後のリンス性を向上させる観点から、特に、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、メチルベンジルアルコール、エチルベンジルアルコール、メチルフェネチルアルコール、メトキシフェネチルアルコール、ベンゼンジメチルアルコール、ジメチルベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコール、エトキシベンジルアルコール、ジメチルメトキシベンジルアルコール、ジメトキシベンジルアルコール、エトキシメトキシベンジルアルコール、ジメトキシメチルベンジルアルコール、ジメトキシフェネチルアルコール、エトキシメトキシフェネチルアルコール、トリメトキシベンジルアルコール、sec−フェネチルアルコール、(POE)1-8 モノフェニルエーテル及び(POE)1-8 モノベンジルエーテルが好ましい。
【0037】
本発明に係わる洗浄剤における、(a)芳香族化合物の含有量は、洗浄性を向上させる観点から、8重量%以上であり、15重量%以上が好ましく、25重量%以上がより好ましく、35重量%以上がさらに好ましい。また、洗浄後のリンス性を向上させる観点から、75重量%以下であり、65重量%以下が好ましく、55重量%以下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。
【0038】
前記洗浄剤において、前記(a)芳香族化合物と(b)無機系アルカリ剤とが併用されている点に一つの大きな特徴がある。このように(a)成分と(b)成分とが併用されていることによって、プラスチックレンズ成形ガラス型に付着した種々の汚れの溶解性、種々の高分子の樹脂汚れの崩壊性が相乗的に高められる。さらに、短時間での樹脂汚れの剥離性が促進され、優れた洗浄性が発現される。
【0039】
(b)無機系アルカリ剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属弱酸塩等が挙げられる。
【0040】
前記アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられる。
【0041】
アルカリ金属弱酸塩の具体例としては、例えば、ケイ酸リチウム、炭酸リチウム、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸カリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、グリコール酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等があげられる。
【0042】
なお、前記のアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属弱酸塩は、いずれも本発明に係わる洗浄剤中で、アルカリ金属又はその金属酸化物と、水、弱酸又は弱酸水溶液とを反応させることによって得られたものでもよい。
【0043】
前記無機系アルカリ剤の中では、高アルカリ性を有することにより、樹脂汚れの低分子量化と剥離性を高め、優れた洗浄性能を付与する観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。さらに、入手の容易性及び経済性の観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムがより好ましい。
【0044】
尚、高い洗浄能力と洗浄能力の持続性を付与するために、アルカリ金属水酸化物とアルカリ金属弱酸塩とを組み合わせて使用することがさらに好ましい。例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムとグリコール酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの水溶性カルボン酸のナトリウム塩又はカリウム塩の組み合わせが好ましい。
【0045】
本発明に係わる洗浄剤における、(b)無機系アルカリ剤の含有量は、洗浄性を向上させる観点から、0.3重量%以上であり、1.0重量%以上が好ましく、1.5重量%以上がより好ましく、2.0重量%以上がさらに好ましい。また、取り扱いの上の安全性の観点から、20重量%以下であり、15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。
【0046】
本発明に係わる洗浄剤においては、(c)カルシウムイオン放出性物質が用いられている点にも、1つの大きな特徴がある。このように、本発明の洗浄方法においては、カルシウムイオン放出性物質が用いられていることにより、洗浄中に成形ガラス型が無機アルカリ剤によって腐食されることを抑制し、成形ガラス型の品質を保持することが出来るという優れた性質が発現される。
【0047】
前記(c)カルシウムイオン放出性物質としては、洗浄剤中にカルシウムイオンを安定的に存在させ、高アルカリ性下での洗浄の際に、成形ガラス型の腐食を抑制できるものであれば特に限定されないが、代表例としては、例えば、無機系カルシウム塩、有機系カルシウム塩等が挙げられる。
【0048】
前記無機系カルシウム塩の具体例としては、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、次亜リン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、トリポリリン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム等があげられる。
【0049】
尚、前記カルシウムイオン放出性物質として、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等の無機系カルシウム塩を用いる場合には、例えば、該無機系カルシウム塩の原料である金属カルシウム又は酸化カルシウムを本発明の洗浄剤組成物に配合し、その中で、水、無機酸等と反応させることにより生成させてもよい。
【0050】
前記有機系カルシウム塩としては、例えば、炭素数1〜3の直鎖アルキルカルボン酸カルシウム、アルキレンカルボン酸カルシウム、芳香族カルボン酸カルシウム、オキシカルボン酸カルシウム、多価カルボン酸カルシウム、アミノカルボン酸カルシウム、有機硫酸カルシウム、有機スルホン酸カルシウム、有機リン酸カルシウム等があげられる。尚、これらの有機系カルシウム塩は、単独で又は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0051】
前記カルシウムイオン放出性物質のなかでは、水に対する溶解性の観点から、無機系カルシウム塩、芳香族カルボン酸カルシウム、オキシカルボン酸カルシウム、多価カルボン酸カルシウム及びアミノカルボン酸カルシウムが好ましい化合物である。
【0052】
なかでも、洗浄剤組成物の安定性の観点から、水酸化カルシウム、塩化カルシウム等の無機系カルシウム塩;安息香酸カルシウム、ヒドロキシ安息香酸カルシウム、ジヒドロキシ安息香酸カルシウム等の芳香族カルボン酸カルシウム;グリコール酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等のオキシカルボン酸カルシウム;リンゴ酸カルシウム、酒石酸カルシウム、クエン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム等の多価カルボン酸カルシウム;L−アスパラギン酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム等のアミノカルボン酸カルシウムが好ましい。さらに、ガラスの腐食防止効果の持続性と入手の容易性の観点から、特に、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、安息香酸カルシウム、ヒドロキシ安息香酸カルシウム、ジヒドロキシ安息香酸カルシウム、グリコール酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、酒石酸カルシウム及びクエン酸カルシウムが好ましい。
【0053】
本発明に係わる洗浄剤における、前記(c)カルシウムイオン放出性物質の含有量(カルシウムイオン換算量)は、成形ガラス型の腐食を防止する観点から、0.005重量%以上であり、0.01重量%以上が好ましく、0.02重量%以上がより好ましく、0.05重量%以上がさらに好ましい。また、洗浄剤の均一性及びガラス表面の品質保持の観点から、5重量%以下であり、3重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましい。
【0054】
前記(d)水は、本発明に係わる洗浄剤において、前記(a)芳香族化合物、前記(b)無機系アルカリ剤及び前記(c)カルシウムイオン放出性物質を均一に分散、乳化又は溶解させる溶剤として、また無機系アルカリ剤のアルカリ作用を促進させる溶媒として用いられる。
【0055】
前記水の種類は、本発明に係わる洗浄剤の目的が妨げられないものであれば、特に限定されるものではない。かかる水の代表例としては、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水、通常の水道水等があげられる。
【0056】
本発明に係わる洗浄剤における(c)水の含有量は、本発明に係わる洗浄剤に前記(a)〜(c)成分を配合した際の相溶性及び(b)成分が有する樹脂汚れの剥離効果を充分に発現させる観点から、9重量%以上であり、15重量%以上が好ましく、35重量%以上がより好ましく、55重量%以上がさらに好ましい。また、優れた洗浄性を発現、維持させる観点から、91重量%以下であり、80重量%以下が好ましく、75重量%以下がより好ましく、65重量%以下がさらに好ましい。
【0057】
本発明に関わる洗浄液においては、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常洗浄剤に用いられる、防腐剤、防錆剤、消泡剤、酸化防止剤等を適宜併用することができる。
【0058】
本発明の洗浄方法は、前記のように、非常に洗浄し難い樹脂汚れに対して有効な洗浄液を用いて洗浄する工程(以下、前洗浄工程ともいう)を有するものである。
【0059】
前記前洗浄工程において、物理力は特に限定されるものではなく、通常用いられる公知の物理力が使用できる。例えば、浸漬法、浸漬揺動法、浸漬攪拌法、浸漬バブリング法、液中噴流法、浸漬超音波洗浄法等の各種の物理力を単独又は組み合わせて利用することができる。この中で、浸漬超音波洗浄法と浸漬攪拌法又は浸漬揺動法との組み合わせが好適である。また、洗浄液の温度、洗浄時間等の洗浄条件も特に限定されるものではなく、成形ガラス型の汚染の程度、汚れの成分等に応じて適宜調整可能である。尚、本発明に係わる洗浄液は水を含むため、これらの洗浄温度は、基本的に0〜100℃の間から選ばれる。その中で、例えば、洗浄液の温度は、20〜90℃が好適であり、洗浄性及び水分蒸発量の低減の観点より35〜80℃がより好ましく、50〜70℃がさらに好ましい。また、洗浄時間は一般的には30秒〜20分程度から選ばれる。
【0060】
また、本発明においては、前記前洗浄工程の後、該前洗浄工程の温度よりも10℃以上低い温度でさらに洗浄工程(後洗浄工程ともいう)又はリンス工程を行うことによって、成形ガラス型と樹脂汚れの熱膨張率の差を利用して、ガラスと樹脂汚れの接触面、界面に効率良く洗浄液を浸透させて、大きな樹脂汚れの剥離性を促進し、さらに洗浄性を向上させることができるという利点もある。かかる優れた洗浄性が得られるのは、プラスチックレンズ樹脂の熱膨張率がガラス材質のものよりも大きく、加えて、本発明に係わる洗浄液が樹脂汚れ内部に浸透して、さらに樹脂汚れを膨潤させるためである。具体的には、本発明に係わる洗浄液が浸透した状態で、10℃以上の差で冷却すること(ヒートショックともいう)によって、樹脂汚れが収縮し、ガラス表面から外れる。同時に、樹脂汚れやガラス表面に付着していた洗浄液が、新たにできた隙間に浸透し、樹脂汚れの剥離を促進する。
【0061】
従って、前記ヒートショックは、優れた洗浄効果が発現される点から、本発明に係わる洗浄液で洗浄した直後に加えることが好ましく、前記洗浄液で前洗浄後、本発明の洗浄剤組成物で後洗浄を行い、ヒートショックを与えることがより好ましい。尚、本発明に係わる洗浄液で洗浄した後の水によるリンス工程でヒートショックを与えても効果はあるが、洗浄が終了してから時間を空けない方がより効果が高い。
【0062】
プラスチックレンズ樹脂汚れが付着した成形ガラス型は、一般的には、多くの洗浄槽を直列に並べた多段洗浄槽システムで洗浄される。成形ガラス型は20〜30枚程度を一つの治具に入れられ、コンベアーにて自動的に槽を移動することによって、洗浄される。槽から槽への成形ガラス型の移動時間は一般的には10〜60秒程度である。本発明の目的からは、この移動時間は短い程効果が高い。好ましくは30秒以内、より好ましくは20秒以内、最も好ましいのは10秒以内である。
【0063】
尚、この移動の間に成形ガラス型や樹脂汚れの温度が下がる場合があるが、次の洗浄槽(ヒートショック槽)の液温度は、この槽に入る直前のガラス型や樹脂汚れの温度より、10℃以上低い温度であることが好ましい。
【0064】
例えば、後洗浄工程又はリンス工程には、前記前洗浄工程で用いた洗浄液槽(前洗浄槽)と連続した洗浄液槽(後洗浄槽)又はリンス液槽(リンス槽)で液温度を10℃以上温度を下げることが含まれる。前洗浄槽とそれに続く後洗浄槽又はリンス槽の液との温度差は、本発明に係わる屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズ樹脂汚れが付着した成形ガラス型に関しては、樹脂剥離性・洗浄性を向上させる観点から、10℃以上低い温度であることが好ましい。該温度差は、20℃以上低い温度がより好ましく、30℃以上低い温度がさらに好ましく、40℃以上低い温度が特に好ましい。
【0065】
樹脂汚れが付着した成形ガラス型と後洗浄液又はリンス液との接触は、本発明の効果が妨げられないものであれば、特に限定されるものではない。かかる成形ガラス型と後洗浄液又はリンス液の接触の代表例としては、例えば、後洗浄液又はリンス液への浸漬、後洗浄液又はリンス液の気中シャワー、流下等があげられる。この内、熱移動の効率から、後洗浄液又はリンス液への浸漬が好ましい。
【0066】
前記後洗浄工程において、使用される洗浄液としては、樹脂汚れの洗浄性を促進するものであれば特に限定されないが、例えば、前記洗浄剤や中性洗剤もしくはガラスの腐食防止効果のあるアルカリ性の洗浄剤が好ましい。これらの洗浄液の濃度は特に限定されるものではなく、成形ガラス型の汚染の程度、汚れの成分等に応じて適宜調整可能である。尚、成形ガラス型表面に残存する汚染物の量が少なければ、この後洗浄工程を経由せず、直接リンス槽を使用することができる。
【0067】
後洗浄工程の物理力は特に限定されるものではなく、通常用いられる公知の物理力が使用できる。例えば、浸漬法、浸漬揺動法、浸漬攪拌法、浸漬バブリング法、液中噴流法、浸漬超音波洗浄法等の各種の物理力を単独又は組み合わせて利用することができる。この中で、浸漬超音波洗浄法と浸漬攪拌法又は浸漬揺動法との組み合わせが好適である。また、洗浄液の温度、洗浄時間等の洗浄条件も特に限定されるものではなく、成形ガラス型の汚染の程度、汚れの成分等に応じて適宜調整可能である。尚、洗浄液の温度は、前洗浄槽の液温度によって設定することができる。
【0068】
リンス工程は、成形ガラス型に付着した洗浄液や、残留したり再付着した汚れ等をすすぎ洗いする工程である。リンス液としては、成形ガラス型表面に残留する汚染物を除去することができるものであれば特に限定されないが、例えば、水道水、イオン交換水、純水等がリンスの容易性の観点から好ましい。
【0069】
リンス工程の物理力は特に限定されるものではなく、通常用いられる公知の物理力が使用できる。例えば、浸漬法、浸漬揺動法、浸漬攪拌法、浸漬バブリング法、液中噴流法、浸漬超音波洗浄法等の各種の物理力を単独又は組み合わせて利用することができる。この中で、浸漬超音波洗浄法と浸漬攪拌法又は浸漬揺動法との組み合わせが好適である。また、リンス液の温度、リンス時間等のリンス条件も特に限定されるものではなく、成形ガラス型への付着洗浄液や残留及び再付着汚れ等の程度等に応じて適宜調整可能である。尚、後洗浄工程がない場合には、リンス液の温度は、前洗浄槽の液温度によって設定することができる。
【0070】
本発明においては、上記の工程により洗浄、リンスされたプラスチックレンズを、さらに5〜95℃の水、又は常温のイソプロピルアルコールのような有機溶剤からなるリンス液を用いて仕上げリンスを行ってもよい。
【0071】
本発明の洗浄方法は、特に、屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズの製造に用いられる成形ガラス型の洗浄において好適に用いられる。前記屈折率としては、本発明の洗浄方法の効果が充分に発揮される観点から、1.59以上が好ましく、1.65以上がより好ましい。
【0072】
屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズとしては、前述の含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂及びエピスルフィド樹脂からなる群より選ばれる1種以上よりなるものが好ましい。
【0073】
本発明の洗浄方法によって洗浄した成形ガラス型は、表面が清浄で、洗浄による腐食も抑えられたものである。特に、プラスチックレンズ成形の際に成形ガラス型に付着する、プラスチックレンズ樹脂、ガスケットからブリードアウトした可塑剤、固定用テープの粘着剤、作業者の指紋、雰囲気中のほこり等の汚れが極めて少ないものである。従って、この成形ガラス型を用いることで、表面性が良好で、かつ染色性も向上したプラスチックレンズを得ることができるという優れた効果が発現される。
【0074】
【実施例】
製造例〔テストピース〕
(1)含硫ウレタン樹脂汚れ付着成形ガラス型
硝酸カリウムにて化学強化処理した直径約8cmの成形ガラス型の使用面側に、直径約1cmのMR−8樹脂(三井化学(株)製、含硫ウレタン樹脂系、屈折率1.60)の固まりを5個成形した(0. 05g/直径1cm・1個当たり)。プラスチックレンズ樹脂の重合条件:
30℃で6時間、40℃で7時間、50℃で3時間、60℃で2時間、100℃で3時間、120℃で3時間の合計24時間加熱することによって重合、固形化させた。
【0075】
(2)ガラス腐食試験用スライドガラス
1.1mm×76.0mm×26.0mmのアルカリケイ酸ガラス製のスライドガラス(松波硝子工業(株)製、商品名:S−1112)を、硝酸カリウムにて化学強化処理した。
【0076】
調製例〔洗浄剤組成物〕
表1〜2に示す組成(組成比単位は重量%)の各種洗浄液を調製し、これらの洗浄液を用いて、成形ガラス型の洗浄性とスライドガラスの腐食性を評価した。各種洗浄剤の組成を表1〜2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
実施例1〜13及び比較例1〜11(但し、実施例1〜5及び実施例8は参考例である)
〔洗浄試験〕
前記含硫ウレタン樹脂汚れが付着した成形ガラス型を、60℃に保持した表1〜2記載の洗浄剤に浸漬し、39kHz,200Wの超音波洗浄装置(シャープ(株)製、商品名:SILENTSONIC UT−204)で1分間洗浄(前洗浄)した。
【0080】
ついで、洗浄した成形ガラス型を前洗浄後、所定の温度に保持した洗浄剤又はリンス液に浸漬し、洗浄と同様の超音波洗浄装置で1分間洗浄(後洗浄)又はリンス(第1リンス)した。尚、槽から槽への成形ガラス型の移動時間は10秒とした。
【0081】
さらに、30℃のイオン交換水に浸漬し、洗浄と同様の超音波洗浄装置で1分間リンス(第2リンス)した。その後、同様の条件にてリンス(第3リンス)を繰り返した後、1分間エアーブローし、送風定温乾燥機((株)東洋製作所、商品名:FV−630)にて80℃、10分間乾燥した。
その後、樹脂汚れの除去状態を目視で観察、下記基準に従って、洗浄性(%)を評価した。
この操作を3回繰り返して、それらの平均値を取って洗浄性(%)を求めた。この場合、洗浄性(%)の数値が大きいものほど、樹脂汚れが除去されたこと、即ち、洗浄性能が良好なことを表す。
【0082】
【0083】
尚、残留した樹脂汚れの剥離状態(硝子表面からの剥がれ)を加味して、目視判断にて、洗浄性(%)の微調整を実施した。例えば、5個全部が残留していても、各々の樹脂汚れの周囲が約10%剥がれている場合には、洗浄性(%)を10%と評価した。
【0084】
〔ガラス腐食試験〕
前記のスライドガラスを、各々80℃に保った表1及び表2記載の洗浄剤組成物に24時間浸漬後、清浄なイオン交換水にて充分すすいだ後、1分間エアーブローし、室内にて風乾させた。
【0085】
上記の条件で、5枚のスライドガラスを処理し、ガラスの腐食によって溶解し、重量が減少した割合(%)を、処理前後のスライドガラスの重量変化より求め、その平均値をとって、ガラス腐食性の指標とした。また、同時にスライドガラス表面の状態を目視にて判定した。その際の判断基準は以下の通りである。
【0086】
ガラス腐食性(目視判定)評価基準:
◎:変化なし
○:ごくわずかに、部分的に白色化
△:部分的に白色化
×:全体的に白色化
【0087】
〔レンズの染色性〕
実施例及び比較例に記載の方法で洗浄した成形ガラス型を用いて、MR−8樹脂製のプラスチックレンズを成形し、その染色性を評価した。尚、実施例及び比較例で洗浄性が不充分であった成形ガラス型については、残存樹脂汚れをカッターで剥離後、再度同条件にて洗浄して用いた。
【0088】
染色条件は、外周研削後、希釈洗浄剤で洗浄したMR−8樹脂製のプラスチックレンズを、90℃に加温した5%カヤロンポリエステルレッドAN・SE染色液に入れ、1時間染色処理をした。この後、イオン交換水で水洗後、室内にて風乾し、染色の程度を下記基準で目視判断した。
【0089】
染色性(目視判定)評価基準
▲1▼色の濃さ:
◎:濃い
○:普通
△:薄い
×:殆ど色が付いていない
【0090】
▲2▼色むら:
◎:色むらが無く、均一
○:色むらは僅かである
△:明らかに色むらが認められる
×:色むらが顕著である
【0091】
実施例1〜13の結果を表3に示し、比較例1〜11の結果を表4に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
表3〜4の結果より、実施例1〜13で得られたプラスチックレンズは、比較例1〜11で得られたものに比べ、いずれも洗浄性に優れ、ガラス腐食が有意に抑制され、かつレンズの染色性にも優れたものであることがわかる。
【0095】
【発明の効果】
本発明を用いることにより、プラスチックレンズ成形ガラス型の表面に付着し、洗浄が困難なプラスチックレンズ樹脂、ガスケットからブリードアウトした可塑剤、固定用テープの粘着剤、作業者の指紋、雰囲気中のほこり等の汚れ、中でも特に、屈折率1.55以上の高屈折率の含硫黄プラスチックレンズ樹脂汚れに対して、高い洗浄力を有し、成形ガラス型を腐食が抑制され、人体に対しても安全性に優れ、かつこの成形ガラス型を用いて成形されたプラスチックレンズの染色性にも優れた洗浄を行うことができるという効果が奏される。
Claims (3)
- 屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズの製造に用いられる成形ガラス型を、次の成分(a)〜(d):
(a)一般式(1)
- 請求項1において記載の洗浄剤を用いて後洗浄工程を行う、請求項1記載の洗浄方法。
- 屈折率1.55以上の含硫黄プラスチックレンズが、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂及びエピスルフィド樹脂からなる群より選ばれる1種以上よりなる請求項1又は2記載の洗浄方法。
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