JP4183810B2 - 車両用ベルト式無段変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は発進装置にトルクコンバータを用いる車両用ベルト式無段変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用ベルト式無段変速装置(CVT)としては、プライマリ軸に設けられたプーリ溝幅間隔可変のプライマリプーリと、セカンダリ軸に設けられたプーリ溝幅間隔可変のセカンダリプーリとの間に金属製の駆動ベルトを掛け渡し、油圧によってプライマリプーリとセカンダリプーリのプーリ径を変化させてセカンダリ軸の回転数を無段階に変化させるようにしたものがある。
【0003】
このようなベルト式無段変速装置にあっては、エンジンの動力を駆動ベルトを経由して無段階に駆動輪に伝達する経路に加えて、駆動ベルトを経由することなく伝達する経路の2系統の動力伝達経路を有するものがある。
【0004】
2系統の動力伝達経路を有するベルト式無段変速装置としては、たとえば、特開昭60-116959 号公報に開示されるものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このCVTは、前進高速段では、ベルトを経由した動力伝達経路とベルトを経由しない動力伝達経路との2系統で駆動輪に動力を伝達する一方、発進時や後退時などのような低速段にあっては、トルクコンバータによりトルク増幅が行われるので、CVTに大きなトルクが入力されないように、ベルトを経由しない動力伝達経路のみにより動力を伝達するようにしている。
【0006】
このように、低速段にあってはベルトを経由しないで動力が伝達されるので、CVTに加えられる負荷が軽減されるが、高速段において2系統の動力伝達経路を合成させて伝達するために、ベルトを経由しない動力伝達経路としては、2つのサンギヤとショートピニオンおよびロングピニオンと、リングギヤとからなる複合プラネタリギヤを用いる必要があり、構造が複雑化するとともに装置が長大化することになる。また、リングギヤつまり内歯歯車の製造には、歯切り加工をギヤシェーパで仕上げ加工する必要があり、外歯歯車に比して大幅な工数アップとコストアップが避けられない。
【0007】
2系統の動力伝達経路を有するベルト式無段変速装置としては、さらに、特開平8-35545 号公報に開示されるものがある。このCVTにあっては、低速段にあっては、ベルトを経由して動力伝達を行い、前進高速段では、2系統の動力伝達経路で分割して動力伝達を行うようにしている。この場合にも、プラネタリギヤが用いられることになり、前述したCVTと同様の問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、走行状況に応じてトルクコンバータ出力軸からベルトを経由する動力伝達経路とベルトを経由しない動力伝達経路とのいずれかにより動力伝達を行うようにする。
【0009】
本発明の他の目的は、ベルトを経由しない動力伝達経路をプラネタリギヤを用いないギヤトレイン構成として、装置を小型化しかつ簡単化し得るようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用ベルト式無段変速装置は、トルクコンバータを介してエンジンにより駆動されるプライマリ軸に設けられるプライマリプーリと、セカンダリ軸に設けられ前記プライマリプーリとの間に駆動ベルトが掛け渡されるセカンダリプーリとを有する車両用ベルト式無段変速装置であって、前記プライマリ軸に平行に設けられたバイパス軸にトルクコンバータ出力軸の回転を伝達する状態と、前記プライマリ軸に前記トルクコンバータ出力軸の回転を伝達する状態とに切り換える動力伝達経路切換手段と、前記バイパス軸に設けられ、前記セカンダリプーリに設けられた従動側バイパスギヤに噛み合う駆動側バイパスギヤと、前記バイパス軸の回転を前記駆動側バイパスギヤの前進方向の回転と後退方向の回転とに切り換える前後進切換手段と、前記従動側バイパスギヤと前記セカンダリ軸とを連結する状態と連結を解く状態とに切り換えるバイパス動力断続手段とを有することを特徴とする。
【0011】
この車両用ベルト式無段変速装置においては、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとの変速動作により生ずる前記駆動ベルトのV字軌道中央の凹部であって前記駆動ベルトに接触しない位置に前記バイパス軸を設け、前記バイパス軸に前記前後進切換手段を設けるようにしても良い。
【0012】
本発明にあっては、動力伝達経路切換手段によってトルクコンバータ出力軸の動力は、駆動ベルトを経由する動力伝達経路と、バイパス軸を経由する動力伝達経路とに分離される。トルクコンバータのトルク増幅を伴う車両が発進する際や後退する際には、駆動ベルトを経由することなく、バイパス軸を経由して動力の伝達を行うことができ、低速段では大きな力で駆動ベルトを締め付けることが不要となり、オイルポンプなどの要素を大きく設定することが不要となり、装置の小型化が達成される。前述した以外の通常の走行状態にあっては、駆動ベルトのみを経由した動力伝達経路によって駆動輪に動力が伝達される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態である車両用ベルト式無段変速装置を示すスケルトン図であり、図2は図1に示された部材の回転中心の位置関係を示すレイアウト図である。
【0015】
エンジンにより駆動されるクランク軸1の回転は、発進装置としてのトルクコンバータ2を介してタービン軸つまりトルクコンバータ出力軸3に伝達されるようになっている。
【0016】
トルクコンバータ2は、クランク軸1にドライブプレート2aを介して直結されたポンプ側ケース2bに設けられたポンプインペラ2cと、このポンプインペラ2cに対向してトルクコンバータ出力軸3に設けられたタービンランナ2dとを有している。ポンプインペラ2cとタービンランナ2dとの間にはステータ2eが配置され、このステータ2eはワンウエイクラッチ2fにより支持されている。トルクコンバータ出力軸3には、ドライブプレート2a側のトルクコンバータケースに係合および開放可能にロックアップクラッチ2gが直結されており、エンジンの回転動力はタービンランナ2dまたはロックアップクラッチ2gを介してトルクコンバータ出力軸3に伝達される。
【0017】
トルクコンバータ出力軸3の延長上には、図2に示すように、これの回転軸心OT と同軸心上に回転軸心OP を有するプライマリ軸4が配置され、回転軸心OS を有するセカンダリ軸5がプライマリ軸4に平行となって配置されている。
【0018】
プライマリ軸4には、これに固定された固定プーリ6aとこれに対向してプライマリ軸4に軸方向に摺動自在に装着された可動シーブつまり可動プーリ6bとを有するプライマリプーリ6が設けられており、可動プーリ6bの摺動によりプライマリプーリ6はプーリ溝幅間隔が可変となっている。セカンダリ軸5には、これに固定された固定プーリ7aとこれに対向してセカンダリ軸5に軸方向に摺動自在に装着された可動シーブつまり可動プーリ7bとを有するセカンダリプーリ7が設けられており、可動プーリ7bの摺動によりセカンダリプーリ7はプーリ溝幅間隔が可変となっている。これらのプライマリプーリ6とセカンダリプーリ7との間には、金属製の駆動ベルト8が掛け渡されており、両方のプーリ6,7の溝幅間隔を変化させることにより、それぞれのプーリ6,7に対する巻き付け径が変化してプライマリ軸4とセカンダリ軸5との間の変速比は無段階に調整される。このように、両方のプーリ6,7とベルト8とにより無段変速部9が構成されている。
【0019】
プライマリプーリ6の溝幅を変化させるために、可動プーリ6bとにより油室11aを形成するシリンダ11がプライマリ軸4に設けられ、セカンダリプーリ7の溝幅を変化させるために、可動プーリ7bとにより油室12aを形成するシリンダ12がセカンダリ軸5に設けられている。それぞれの油室11a,12aには、ポンプ側ケース2bを介してクランク軸1により回転駆動されるオイルポンプ13からの油圧が調圧されて供給されるようになっている。
【0020】
セカンダリ軸5に固定されたギヤ14は、セカンダリ軸5に平行となって配置された中間軸15に固定されたギヤ16aに噛み合い、中間軸15に固定された他のギヤ16bはディファレンシャル装置17のファイナルギヤ18に噛み合っており、ギヤ14からディファレンシャル装置17の部分により、終減速装置20が構成されている。ディファレンシャル装置17に連結された車軸19a,19bには図示しない駆動輪が連結されることになる。
【0021】
なお、図1および図2においてOE は中間軸15の回転軸心を示し、OF はファイナルギヤの回転軸心を示す。
【0022】
プライマリ軸4およびセカンダリ軸5に平行となってバイパス軸21が配置されており、トルクコンバータ出力軸3の動力をバイパス軸21に伝達する状態と、プライマリ軸4に動力を伝達する状態とに切り換えるために、トルクコンバータ出力軸3とプライマリ軸4との間には、動力伝達経路切換装置22が配置されている。
【0023】
この動力伝達経路切換装置22は、トルクコンバータ出力軸3に固定されたクラッチドラム23と、トルクコンバータ出力軸3の外側に回転自在に装着されたクラッチハブ24とからなる第1クラッチC1 を有し、このクラッチハブ24に直結されたギヤ25がバイパス軸21に固定されたギヤ26と噛み合っている。これにより、クラッチドラム23の摩擦板とクラッチハブ24の摩擦板とが密着すると第1クラッチC1 は接続状態となってトルクコンバータ出力軸3の動力はバイパス軸21に伝達され、密着が解かれて第1クラッチC1 が非接続の状態になるとトルクコンバータ出力軸3の動力はバイパス軸21には伝達されない。
【0024】
さらに、動力伝達経路切換装置22は、プライマリ軸4に固定されたクラッチハブ27とクラッチドラム23とからなる第2クラッチC2 を有しており、クラッチドラム23の摩擦板と、クラッチハブ27の摩擦板とが密着すると第2クラッチC2 は接続状態となってトルクコンバータ出力軸3の動力はプライマリ軸4に伝達され、密着が解かれて第2クラッチC2 が非接続の状態になるとプライマリ軸4にはトルクコンバータ出力軸3の動力は伝達されない。
【0025】
したがって、車両の発進時や低速走行時には、第1クラッチC1 を接続状態とし、第2クラッチC2 を非接続状態とすると、トルクコンバータ出力軸3の動力は、バイパス軸21とこれに設けられたギヤトレインを経由した動力伝達経路により駆動輪に伝達される。一方、車両が所定の速度以上で走行する時には、第1クラッチC1 を非接続状態とし、第2クラッチC2 を接続状態とすると、トルクコンバータ出力軸3の動力は、プライマリ軸4から無段変速部9を介して、ベルト8を経由した動力伝達経路により駆動輪に伝達される。
【0026】
バイパス軸21にはこれに対して回転自在に中空軸30が装着され、この中空軸30に固定された駆動側バイパスギヤ31は、セカンダリ軸5に対して回転自在に装着された従動側バイパスギヤ32と噛み合っている。バイパス軸21には前進用噛み合い部33が設けられ、中空軸30の外側にこれに対して回転自在に設けられた後退用ギヤ34には逆転用噛み合い部35が設けられ、中空軸30には両方の前記噛み合い部33,35の間に位置させて駆動用噛み合い部36が設けられている。駆動用噛み合い部36と前進用噛み合い部33とに噛み合ってこれらを連結状態とする位置と、駆動用噛み合い部36と逆転用噛み合い部35とに噛み合ってこれらを連結状態とする位置とに作動するスリーブ37が切換移動自在に設けられており、このスリーブ37と前記それぞれの噛み合い部とによりドッグクラッチDCが形成されている。
【0027】
バイパス軸21にそれぞれ平行となって2本のカウンタ軸38,39が配置されており、カウンタ軸39には、バイパス軸21に固定されたギヤ41に噛み合うギヤ42が固定されている。カウンタ軸38には、ギヤ42と噛み合うギヤ43と、後退用ギヤ34と噛み合うギヤ44とが固定されている。なお、OC は一方のカウンタ軸38の回転軸心を示し、OD は他方のカウンタ軸39の回転軸心を示す。
【0028】
バイパス軸21に設けられたギヤ34,41および噛み合い部33,35,36と、2本のカウンタ軸38,39に設けられたギヤ42〜44とによって、バイパス軸21の回転を駆動側バイパスギヤ31の前進方向の回転と後退方向の回転とに切り換える前後進切換装置45が構成されている。
【0029】
このように、動力伝達経路切換装置22をトルクコンバータ出力軸3とプライマリ軸4との間に配置し、プライマリ軸4と平行に配置されたバイパス軸21に前後進切換装置45を設けることによって、動力伝達経路を2系統に分離しつつ、無段変速装置の全幅を1系統のみの動力伝達経路を有する従来の無段変速装置とほぼ同等に抑えることができ、車両への搭載を容易にすることができる。
【0030】
セカンダリ軸5には、従動側バイパスギヤ32とセカンダリ軸5とを連結する状態と、連結を解く状態とに切り換えるバイパス動力断続装置46が設けられている。
【0031】
このバイパス動力断続装置46は、従動側バイパスギヤ32に固定されたクラッチドラム47とセカンダリ軸5に固定されたクラッチハブ48とを備えた第3クラッチを有している。クラッチドラム47の摩擦板と、クラッチハブ48の摩擦板とが密着すると第3クラッチC3 は接続状態となって従動側バイパスギヤ32の回転はセカンダリ軸5に伝達され、密着が解かれて第3クラッチC3 が非接続の状態となると従動側バイパスギヤ32の回転はセカンダリ軸5に伝達されない。
【0032】
さらに、バイパス動力断続装置46は、従動側バイパスギヤ32の動力をセカンダリ軸5に伝達する際にはこれらを連結し、それ以外にはこれらの連結を解く一方向クラッチOWCを有しており、この一方向クラッチOWCはセカンダリ軸5と従動側バイパスギヤ32との間に設けられている。つまり、一方向クラッチOWCは、従動側バイパスギヤ32の回転数がこれと同方向に回転する際におけるセカンダリ軸5の回転数よりも大きいときには、従動側バイパスギヤ32とセカンダリ軸5とを連結する。そして、従動側バイパスギヤ32の回転数がこれと同方向に回転する際におけるセカンダリ軸5の回転数よりも小さいとき、およびセカンダリ軸5の回転方向に対し従動側バイパスギヤ32の回転方向が逆方向のときには、連結を解くように作動する。
【0033】
図2においては、プライマリプーリ6におけるベルト8の巻き付け径が最小となり、セカンダリプーリ7における巻き付け径が最大となった状態におけるベルト軌道が二点鎖線8aで示され、プライマリプーリ6における巻き付け径が最大となり、セカンダリプーリ7における巻き付け径が最小となった状態のベルト軌道が二点鎖線8bで示されている。これらの巻き付け径をプライマリプーリ6とセカンダリプーリ7の溝幅間隔を調整することによって無段変速部9による変速動作が行われる。したがって、変速動作によりベルト8には、図2に示すように、軌道中央にV字形状の凹部50が形成されることになる。この凹部50はベルト式無段変速装置が本来的に具備しているデッドスペースである。
【0034】
バイパス軸21はその凹部50の位置であってベルト8に接触しない位置に配置されている。したがって、既存のデッドスペースである凹部50を利用して、そこにバイパス軸21を配置することにより、無段変速装置全体のサイズの小型化ないしコンパクト化が達成される。
【0035】
それぞれのクラッチC1 ,C2 ,C3 およびドッグクラッチDCは、それぞれ走行モード切換制御部からの信号により作動する油圧ピストンなどの駆動手段により、車両に設けられたセレクトレバーの操作や走行状態に応じて切換制御される。無段変速走行にあっては、ベルト8のプーリ巻き付け径が、エンジン回転数、プライマリプーリ回転数、セカンダリプーリ回転数、走行レンジおよびスロットル開度などを検出するセンサからの信号により検出される走行状態に基づいて自動的に制御される。
【0036】
次に、車両用ベルト式無段変速装置の各走行モードについて、表1を参照しつつ説明する。
【0037】
なお、表1においては、第1〜第3クラッチC1 〜C3 についての○印はクラッチがオンつまり接続された状態であることを示し、一方向クラッチOWCについての○印は噛み合っている状態であることを示し、ドッグクラッチDCについてのF印はスリーブ37が前進走行位置となったことを示し、R印は後退走行位置となったことを示す。
【0038】
まず、運転者が車両に設けられたセレクトレバーを操作することによりニュートラルモードが選択されているときには、クラッチC1 およびC2 はそれぞれ非接続の状態となり、エンジンの回転はセカンダリ軸5には伝達されない。
【0039】
セレクトレバーがドライブモードに操作されて、車両が発進する際および車両が所定の走行速度に達するまでの低速走行のモードにあっては、クラッチC1 およびC3 が接続状態となり、トルクコンバータ出力軸3の動力はバイパス軸21に伝達される。
【0040】
このときには、ドッグクラッチDCのスリーブ37は前進位置Fとなり、動力は前進用噛み合い部33から駆動側バイパスギヤ31、第3クラッチC3 および一方向クラッチOWCを介してセカンダリ軸5に伝達される。これにより、終減速装置20から車輪に伝達される動力により車両の発進および低速走行が可能となる。低速走行のもとで減速された場合には、一方向クラッチOWCは空転することになるが、第3クラッチC3 が接続状態となっているので、車輪側の回転力がバイパス軸21に加わることから、エンジンブレーキを得ることができる。
【0041】
このように、車両を発進させるときから所定の低速走行状態となるまでは、無段変速部9を経由させることなく、バイパス軸21に設けられたギヤを介して動力を伝達するようにしたので、ベルト8を大きな油圧で締め付ける必要がなく、ベルト8を有する無段変速部9におけるフリクション(転がり抵抗)が軽減し、滑らかな走行性が得られることになる。
【0042】
つまり、発進時などのように変速比が低速段となる場合にもベルト8を経由して動力の伝達を行うようにすると、大きな力でベルトを締め付ける必要があり、高い油圧が必要となる。特に、発進装置としてトルクコンバータ2が用いられる場合には、発進時などのように低速段でトルクの増幅効果が得られる反面、この増幅されたトルクをベルト8で伝達するために、より高い油圧を必要とする。このため、油圧制御系を始めとして、各要素の容量や強度を大きく設定する必要があり、油圧ポンプの負荷や各部のフリクションの増加により、燃費の悪化や発進、低速走行性の滑らかさが損なわれることになる。これに対して、本発明にあっては、発進時にはベルト8を経由することなく、バイパス軸21のギヤトレインにより動力伝達を行うようにしたことから、滑らかな走行性が得られることになる。
【0043】
しかも、発進時には無段変速部9を介して動力伝達を行わないので、トルクコンバータ2のトルク比を大きくすることができ、発進加速性を向上させることができる。
【0044】
前進走行時に車速が所定値以上となると、無段変速走行モードに移行される。このモードにあっては、クラッチC1 およびC3 が非接続の状態に切り換えられ、クラッチC2 が接続状態に切り換えられる。このモードに切り換えられた時には、両方のプーリ6,7とベルト8とからなる無段変速部9は最低変速段になっており、このときの最低変速比は、駆動側バイパスギヤ31と従動側バイパスギヤ32の減速比よりも若干高めに設定されているので、バイパス軸21側からの動力は一方向クラッチOWCの働きで遮断され、クラッチC1 とC2 の断続のタイミングをコントロールする必要はない。
【0045】
これにより、トルクコンバータ出力軸3からの動力はベルト8を経由して終減速装置20に伝達される。このように、駆動側バイパスギヤ31と従動側バイパスギヤ32との減速比を、無段変速部9の最低変速段の変速比よりも小さく設定することにより、装置全体の変速比を無段変速部9の持つ変速比幅よりも広い変速比とすることが可能となる。
【0046】
無段変速走行モードの状態ではプーリ径を変化させることによって、所定の速度以上の前進走行時には、車両は通常の無段変速走行が可能となる。
【0047】
セレクトレバーにより後退モードが選択されると、クラッチC1 およびクラッチC3 が接続状態となり、クラッチC2 は非接続状態となり、ドッグクラッチDCのスリーブ37はR位置に切り換えられる。これにより、トルクコンバータ出力軸3の動力はバイパス軸21に伝達されるとともに、両方のカウンタ軸38,39に設けられたギヤ42〜44から後退用ギヤ34を介して駆動側バイパスギヤ31に伝達される。このギヤ31から従動側バイパスギヤ32に伝達された動力はクラッチC3 を介して終減速装置20に伝達され、車両は後退移動する。
【0048】
【表1】
【0049】
図3は本発明の他の実施の形態である車両用ベルト式無段変速装置を示すスケルトン図であり、図3においては、図1に示した前記実施の形態における部材と共通する部材には同一の符号が付されている。また、図3においては、終減速装置20はファイナルギヤ18の一部のみが示され、他は省略されている。
【0050】
図1に示した場合には、バイパス動力断続装置46をクラッチC3 と一方向クラッチOWCとにより構成しているが、図3に示す場合には、バイパス動力断続装置46を正逆両方向に動力伝達とフリー回転とが可能な2ウエイタイプのフリーホイールF/Wによりバイパス動力断続装置46を構成している。この場合にも、図1に示した場合と同様に各走行モードに作動することになり、各走行モードにおけるクラッチC1 ,C2 とドッグクラッチDCと2ウエイタイプのフリーホイールF/Wの作動状態を示すと、表2の通りである。
【0051】
【表2】
【0052】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、トルクコンバータを発進装置として用いた無段変速装置において、最も大きなトルクが変速装置に入力される発進時には、無段変速部を経由することなく、ギヤにより動力を伝達するようにしたので、オイルポンプを含む無段変速装置を小型にすることができ、ポンプロスやフリクションロスを低減して動力伝達効率を高めることができ、燃費性能を向上させることができる。
【0054】
トルクコンバータのトルク比を大きく設定できるので、発進加速性能を向上させることができる。
【0055】
発進時から所定の低速走行状態となるまでは、ギヤを介してバイパス軸のみで動力の伝達を行うので、駆動ベルトを大きな油圧で締結する必要がなく、無段変速部の転がり抵抗が軽減し、滑らかな走行性が得られ、さらに、駆動ベルトに加わる負担を軽減することができ、装置の耐久性が向上する。
【0056】
駆動ベルトを経由する動力伝達経路とバイパス軸のギヤトレインを経由する動力伝達経路とを有することから、無段変速部の持つ変速比幅よりも広い変速比幅を有する変速装置が得られる。
【0057】
バイパス軸を変速動作により生ずる駆動ベルトの軌道中央の凹部に配置することにより、デッドスペースを有効に利用して装置全体をコンパクトにすることが可能となる。
【0058】
動力伝達経路切換装置をプライマリ軸とトルクコンバータ出力軸との間に配置し、プライマリ軸に平行に配置されたバイパス軸に前後進切換装置を設けることにより、無段変速部のみを有する変速装置と装置の全幅をほぼ同等に抑えて車両への搭載を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である車両用ベルト式無段変速装置を示すスケルトン図である。
【図2】図1に示された部材の回転軸心の位置関係を示すレイアウト図である。
【図3】本発明の他の実施の形態である車両用ベルト式無段変速装置を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
1 クランク軸
2 トルクコンバータ
3 トルクコンバータ出力軸
4 プライマリ軸
5 セカンダリ軸
6 プライマリプーリ
7 セカンダリプーリ
8 駆動ベルト
20 終減速装置
21 バイパス軸
22 動力伝達経路切換装置(動力伝達経路切換手段)
31 駆動側バイパスギヤ
32 従動側バイパスギヤ
45 前後進切換装置(前後進切換手段)
46 バイパス動力断続装置(バイパス動力断続手段)
C1 ,C2 ,C3 クラッチ
DC ドッグクラッチ
OWC 一方向クラッチ
F/W 2ウエイタイプのフリーホイール
Claims (2)
- トルクコンバータを介してエンジンにより駆動されるプライマリ軸に設けられるプライマリプーリと、セカンダリ軸に設けられ前記プライマリプーリとの間に駆動ベルトが掛け渡されるセカンダリプーリとを有する車両用ベルト式無段変速装置であって、
前記プライマリ軸に平行に設けられたバイパス軸にトルクコンバータ出力軸の回転を伝達する状態と、前記プライマリ軸に前記トルクコンバータ出力軸の回転を伝達する状態とに切り換える動力伝達経路切換手段と、
前記バイパス軸に設けられ、前記セカンダリプーリに設けられた従動側バイパスギヤに噛み合う駆動側バイパスギヤと、
前記バイパス軸の回転を前記駆動側バイパスギヤの前進方向の回転と後退方向の回転とに切り換える前後進切換手段と、
前記従動側バイパスギヤと前記セカンダリ軸とを連結する状態と連結を解く状態とに切り換えるバイパス動力断続手段とを有することを特徴とする車両用ベルト式無段変速装置。 - 請求項1記載の車両用ベルト式無段変速装置において、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとの変速動作により生ずる前記駆動ベルトのV字軌道中央の凹部であって前記駆動ベルトに接触しない位置に前記バイパス軸を設け、前記バイパス軸に前記前後進切換手段を設けたことを特徴とする車両用ベルト式無段変速装置。
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