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JP4182682B2 - 癌胎児性抗原吸着材および体外循環用カラム - Google Patents

癌胎児性抗原吸着材および体外循環用カラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液中に過剰に存在すれば免疫の大幅な低下を招き、癌の形成が促進されると考えられる癌胎児性抗原を除去するための吸着材および体外循環カラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
医学の発達した今日でも、癌は依然として日本人の主な死亡原因の一つである。その原因は患者には手術で取りきれない癌細胞が存在するためであり、その除去のため抗癌剤治療や放射線治療が行われてきた。しかし、これらは正常細胞をも傷害するため患者の生命を維持しつつ癌細胞を完全に除去することができない。一方、最近、患者の免疫力を高めて、患者自身の白血球で癌を排除しようとする細胞療法が盛んに試みられる様になった。最も有望なものとして、患者の樹状細胞を体外で癌抗原刺激した後、患者に戻し、癌特異的キラー細胞(CTL)を誘導して治療しようとする樹状細胞輸注療法がある。しかし、健康な動物の血液からはCTLを誘導できても癌末期の担癌動物からは誘導できないことが多い。また、動物実験では好成績を得ても臨床では目に見えた効果が出ないことが殆どである。この理由は患者の血中には癌細胞が産生する免疫抑制物質が存在するためと考えられる。その免疫抑制物質の代表的なものの一つが癌胎児性抗原であるが、消化器ガンや特定の肺ガンの進行に伴って異常に増え、癌細胞の増殖を助けていると考えられる。ヒトの癌胎児性抗原は分子量20万程度の蛋白質であるため、分離膜や従来の吸着材では吸着除去が困難な物質である。従って、癌患者の血液中に異常に増えた癌胎児性抗原を効率よく除去できる吸着材は知られていない。なお、これら免疫抑制物質の除去には、理論上、血漿交換も有効であるが、ドナーから予期しない病原物質に感染する危険が伴うという避けがたい本質的な欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、一般的に普及可能であり、体液中から、直接、癌胎児性抗原などの免疫抑制物質を高い効率で選択的に吸着し、かつ、安全に体外循環できる癌胎児性抗原吸着材を提供し、ひいては癌の治療に役立てることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の医癌胎児性抗原吸着材および体外循環用カラムは上記目的を達成しようとするために、以下の構成を有する。
【0005】
(1) 水不溶性担体に極性基もしくはイオン性基を結合してなる癌胎児性抗原吸着材。
【0006】
(2)該水不溶性担体の比表面積が1グラム当たり0.1平方メートル以上である(1)に記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0007】
(3)極性基がアミド基である(1)または(2)記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0008】
(4)イオン性基がアミン残基である(1)または(2)記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0009】
(5)イオン性基が、窒素原子1個当たりの炭素数が12以上である4級アンモニウム残基である(1)〜(4)のいずれかに記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0010】
(6)該水不溶性担体がポリスルホン系重合体である(1)〜(5)のいずれかに記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0011】
(7)該水不溶性担体がポリ(芳香族ビニル化合物)である(1)〜(6)のいずれかに記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0012】
(8)該水不溶性担体が膜、繊維、粒状物またはこれらの組み立て品に成型されていることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0013】
(9)該水不溶性担体を、膜、繊維、粒状物のいずれかの表面に被覆せしめた(1)〜(7)のいずれかに記載の癌胎児性抗原吸着材。
【0014】
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の癌胎児性抗原吸着材が充填された体外循環カラム。
【0015】
(11)(1)〜(9)いずれかに記載の癌胎児性抗原吸着材が充填された癌治療用体外循環カラム。
【0016】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明で用いる水不溶性担体としては、水に不溶で、極性基もしくはイオン性基を固定化できるものであれば良く、ポリスチレンで代表されるポリ(芳香族ビニル化合物)、ポリ(p−フェニレンエーテルスルホン)や−{(p−C6 4 )−C(CH32−(p−C6 4 )−O−(p−C6 4 )−SO2 −(p−C6 4 )−O−}n−(以下ユーデルポリスルホンと略記する)などで代表されるポリスルホン系重合体、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリフェニレンサルファイドなどおよびこれらの誘導体で極性基もしくはイオン性基を固定化できるもなどを用いることができるが、これらに限定されない。極性基もしくはイオン性基を固定化するための反応性官能基としては、ハロメチル基、ハロアセチル基、ハロアセトアミドメチル基、ハロゲン化アルキル基などの活性ハロゲン基、エポキサイド基、カルボキシル基、イソシアン酸基、チオイソシアン酸基、酸無水物基などをあげることができるが、とりわけ、活性ハロゲン基、中でも、ハロアセチル基は、製造が容易な上に、反応性が適度に高く、官能基の固定化反応が温和な条件で遂行できると共に、この際生じる共有結合が化学的に安定なので好ましい。さらに具体的な例としては、クロルアセトアミドメチルポリスチレン、クロルアセトアミドメチル化したユーデル・ポリスルホン、クロルアセトアミドメチル化したポリエーテルイミドなどがあげられる。さらに、これらのポリマーは有機溶媒に対し可溶であると、成型しやすい利点がある。
【0018】
本発明で言う極性基とは、アミド基、尿素基、エステル基、エーテル基などを意味する。アミド基の具体例としてはクロルアセトアミドメチル基、ブチロイルアミドメチル基、ラウロイルアミドメチル基、ポリペプチド、環状ポリペプチドなどを上げられる。とりわけ、ポリミキシンBで代表される環状ポリペプチドが好ましい。
【0019】
本発明で言うイオン性基とは、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基など水中でイオンに解離しうるものを意味する。アミノ基の具体例としてはラウリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリミキシンBなどの一級、二級アミンをクロルアセトアミドメチル基に反応させたもの、N、N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミンなどの炭素数10以上の三級アミンをクロルアセトアミドメチル基に反応させたものを上げることができる。
【0020】
本発明における極性基もしくはイオン性基の結合の密度は、水不溶性担体の化学構造および用途により異なるが、少なすぎるとその機能が発現しない傾向にあり、一方、多すぎると、固定化後の担体の物理的強度が悪くなり、吸着材としての機能も下がる傾向にあるので、該密度は水不溶性担体の繰り返し単位あたり0.0001〜1.0モル、より好ましくは0.001〜1.0モルが良い。
【0021】
本発明における比表面積とは吸着材1グラム当たりの表面積を意味する。癌胎児性抗原は15万ダルトン以上の分子量を持つ大きな分子であるので、吸着材は大きな表面積を持つことが必要である。本発明の吸着材の比表面積は吸着材1グラム当たり0.1平方メートル以上であることが好ましく、より好ましくは、1平方メートル以上である。ただし無限に大きくはできないので、実際上、限界があり、100平方メートル以下が好ましい。この比表面積は窒素ガス吸着法(BET法)で求めることができる。比表面積を大きくする方法としては繊維化するか成型品を多孔質化する方法がある。具体的には、比表面積が1グラムあたり0.1平方メートルの担体を作るには、ポリエチレンテレフタレートの繊維化の場合、直径約30マイクロメーターの繊維を作ればよい。
【0022】
本発明の吸着材は、親水性アミン残基を結合した水不溶性担体を比表面積が1グラムあたり0.1平方メートル以上になるように膜、繊維、粒状物またはこれらの組み立て品に成型するか、あるいは親水性アミン残基を結合した水不溶性担体を、比表面積が1グラムあたり0.1平方メートル以上の膜、繊維、粒状物のいずれかの基材に被覆せしめるか、あるいは比表面積が1グラムあたり0.1平方メートル以上の水不溶性担体の膜、繊維等の成型品に親水性アミンを結合させるか等により得ることができる。
【0023】
本発明吸着材の製造には、水不溶性担体の成型品に親水性アミンの溶液を接触させる不均一系反応の方法と水不溶性担体の溶液と親水性アミンの溶液を混合して反応させた後、成型する均一系反応の方法とがある。不均一系反応の方法の一例としては、クロルアセトアミドメチル化ポリスルホンの繊維または中空糸などの成型品をポリアルキレンイミン等のイソプロパノール溶液中に浸し、0〜100℃の温度で反応させることにより、容易に達成される。均一系反応による方法の一例を述べると、クロルアセトアミドメチル化ポリスルホンの溶液中に対応したポリアミンを加えて、0〜100℃の温度で反応させることにより、達成される。その量には特に制限はないが、可溶性のポリマーを得るためにはハロアセトアミドメチル基に対し1倍モル以上用いるのが望ましい。とりわけ、ポリアミンの場合は、可溶性の担体を得るためには親水性アミンを大過剰用いるのが好ましい。
【0024】
また、反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの極性の高い溶媒の方が反応が速く進む利点がある。不均一系反応では、親水性アミンが溶ける溶媒であれば良く、特に制限はない。均一系で反応させる場合には、水不溶性担体と親水性アミンの両方が溶解する溶媒、具体的にはテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが好ましく用いらる。また、成型品を表面処理する方法も可能で、そのためには水、メタノール、エタノールなどの、不溶性担体を溶かさずに親水性アミンを溶かす溶媒が好ましく用いられる。
【0025】
本発明の吸着材ポリマーをポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などの成型品の表面にコーティングすると、簡単且つ安価に表面積の大きな高次の成型品が得られる利点がある。コーティングは、本発明の吸着材を塩化メチレンやテトラヒドロフランなどの低沸点溶媒に溶かしたものにナイロンの編み地や織物を浸したのち、溶媒を蒸発することにより容易に達成できる。また、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒に溶かしたものを水などのポリマーの貧溶媒に入れる湿式コーティング法も利用できる。コーティングされる成型品のポリマーはポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなど、本発明吸着材ポリマーとの接着性の良いものであれば何でも良く、その種類には特に制限はないが、ナイロン、ポリエーテルイミドなどのアミド系のポリマーが接着性が特に良いので、好ましく用いられる。
【0026】
上記の成型や基材への被覆において、成型品や基材の形態に採用する繊維として、中空糸を用いることも好ましい。この場合、濾過の機能を具備した吸着材が作れるので、人工透析器として、あるいは、血漿分離器として使用しながら免疫抑制物質を除去できる利点がある。
【0027】
本発明の吸着材は血液中の癌胎児性抗原などの免疫抑制性蛋白質の除去の目的で、カラムに詰めた状態で、癌等の病気の体外循環治療に用いられる。本カラム作製は、綿状、筒編み状、フェルト状の本発明吸着材を、空隙容積が200mL程度以下になるようにして、適度の大きさの円筒形のカラムに詰めることで達成できる。また、本発明吸着材は血清、血漿からの癌胎児性抗原の除去の目的にも用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0029】
なお、本実施例中の評価方法は、以下に従った。
1.血液中の成分の分析
血清中の癌胎児性抗原濃度はホープ・ラボラトリー社のCEAテストキットTM−201を用いて求めた。また、総蛋白質濃度はビュレット法で求めた。
2.窒素ガス吸着法(BET法)
各測定試料について、日本ベル(株)製高精度全自動ガス吸着装置「BELSORP36」を用いて、100℃で脱気前処理後、窒素ガス77Kの吸着等温線を測定した。該等温線にBET多分子層吸着理論を適用して比表面積を求めた。
【0030】
(水不溶性担体(原糸1)の作製)
36島の海島複合繊維であって、島が更に芯鞘複合によりなるものを次の成分を用いて、紡糸速度800m/分、延伸倍率3倍の製糸条件で得た。
島の芯成分;ポリプロピレン
島の鞘成分;ポリスチレン90%、ポリプロピレン10%
海成分;5−ナトリウムスルホイソフタル酸を3%共重合したポリエチレンテレフタレート
複合比率;芯:鞘:海=40:40:20。
この海成分を熱苛性ソーダ水溶液で溶解し、芯鞘型のポリプロピレン補強ポリスチレン繊維として、直径4μmの原糸1を得た。
【0031】
(実施例1)
ニトロベンゼン1200mLと硫酸780mLの混合溶液にパラホルムアルデヒド6gを20℃で溶解した後、0℃に冷却し、152gのN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて、5℃以下で溶解した。これに20gの上記で調製した原糸1を浸し、室温で2時間静置した。その後、繊維を取りだし、大過剰の冷メタノール中に入れ、洗浄した。繊維をメタノールで良く洗った後、水洗し、乾燥して、30.0gのα−クロルアセトアミドメチル化ポリスチレン繊維(実施例1)を得た。
【0032】
(実施例2:疎水性4級アンモニウム基の不均一系反応による固定)
N,N−ジメチルラウリルアミン50gとヨウ化カリウム8gを360mLのDMFに溶かした溶液に5gの実施例1を浸し、85℃のバス中で3時間加熱した。繊維をイソプロパノールで洗浄後、1モル/L濃度の食塩水に浸漬した後、水洗し、真空乾燥して、9.3gのジメチルラウリルアンモニウム化繊維(実施例2)を得た。
(実施例3:ポリミキシンBの不均一系反応による固定)
0.2mg/mL濃度のポリミキシンB硫酸塩水溶液1Lの溶液に10gの実施例1を浸し、1M水酸化ナトリウム溶液を加え、pHを10として、室温で24時間振とうした。この反応混合物中に希塩酸を入れ、pHを4とした後、水で洗浄し、さらに真空乾燥して10gのポリミキシンB固定化繊維(実施例3)を得た。この繊維をアミノ酸分析した結果、ポリミキシンB結合量は繊維1gあたり10mgであった。
【0033】
(実施例4、5:親水性アミン結合ポリマーの合成とコーティング)
ニトロベンゼン16mLと硫酸32mLの混合溶液を0℃に冷却後、4.2gのN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて、溶解し、これを、10℃のユーデルポリスルホンP3500の3Lのニトロベンゼン溶液(300g/3L)に、良く撹拌しながら加えた。さらに、室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿をメタノールで良く洗った後、乾燥し、さらに、ジメチルホルムアミド/メタノールから再沈殿して、303gのα−クロルアセトアミドメチル化ポリスルホン(置換率:0.05;重合体A)を得た。
【0034】
ポリエチレンイミン(平均分子量10000:和光純薬)60gを300mLのDMFに溶かした溶液と30gの重合体Aを含む300mLのDMF溶液と混合し、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰の飽和食塩水に加え、沈殿したポリマーをろ取した。ポリマーを水洗後、乾燥し、さらに、ジメチルホルムアミド/メタノールから再沈殿して、27gのN−アルキル化ポリアルキレンイミン固定化ポリスルホン(重合体B)を調製した。
【0035】
5gの重合体Bを含む塩化メチレン250mLの溶液に、単糸の直径が3.5μmのポリエチレンテレフタレート繊維の綿20gを浸し、20時間後に綿を取り出し、液を切って風乾し、21gのコーティング綿(実施例4)を得た。また、5gの重合体Bを含む塩化メチレン250mLの溶液に、単糸の直径が100μmのポリエチレンテレフタレート繊維の綿10gを浸し、20時間後に綿を取り出し、液を切って風乾し、10.4gのコーティング綿(実施例5)を得た。
【0036】
(実施例6:不均一系反応による親水性4級アンモニウム基の固定) N,N−ジメチルヘキシルアミン50gとヨウ化カリウム8gを360mLのDMFに溶かした溶液に5gの実施例1を浸し、85℃のバス中で3時間加熱した。繊維を1モル/L濃度の食塩水に浸漬した後、水洗し、真空乾燥して、7.3gのジメチルヘキシルアンモニウム化繊維(実施例6比較例)を得た。
【0037】
(吸着能の評価)
ヒト血清(コスモ・バイオ社;812−10)にリコンビナント・ヒト癌胎児性抗原(ケミコン・インターナショナル社;CEA)を加え、37℃で1h振とうしてCEAモデル血清(89ng/mL濃度)を調製した。この血清1mLに吸着材50mgを入れ、37℃で4時間振とうした後、上清中のCEA濃度を測定して、表1の結果を得た。なお、比較例1として実施例4の調製に用いた単糸の直径が3.5μmのポリエチレンテレフタレート繊維に何も固定処理していない綿を用いた。
【0038】
【表1】
Figure 0004182682
【0039】
表1の比較例1では極性基やイオン性基のリガンドを持たないため吸着性がないことが分かる。実施例4は比表面積が大きいため、吸着性が実施例5よりも吸着能が高い。これらの結果から、吸着には極性基もしくは親水性基が必要であることが分かる。また、イオン性基の中の4級アンモニウム基では、窒素原子1個当たりの炭素数が8以下のものは吸着能が小さいことが分かる。
【0040】
【発明の効果】
本発明により、免疫抑制性物質を効率よく吸着除去することが可能となり、癌の患者の治療に有用である。

Claims (11)

  1. 水不溶性担体にアミド基又はイオン性基を結合してなり、前記アミド基又は前記イオン性基の結合の密度が水不溶性担体の繰り返し単位あたり0.0001〜1.0モルであり、前記水不溶性担体の比表面積が1グラム当たり0.1〜100平方メートルである、癌胎児性抗原吸着材。
  2. 前記イオン性基は、アミ基である請求項1記載の癌胎児性抗原吸着材。
  3. 前記アミノ基は、ポリミキシンB、N,N−ジメチルラウリルアミン又はN,N−ジメチルヘキシルアミンをクロルアセトアミドメチル基に反応させて得られるものである、請求項2記載の癌胎児性抗原吸着材。
  4. 前記イオン性基は、窒素原子1個当たりの炭素数が12以上である4級アンモニウム基である請求項1〜のいずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材。
  5. 前記水不溶性担体は、ポリスルホン系重合体である請求項1〜のいずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材。
  6. 前記水不溶性担体は、ポリ(芳香族ビニル化合物)である請求項1〜のいずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材。
  7. 前記水不溶性担体が膜、繊維、粒状物又はこれらの組み立て品に成型されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材。
  8. 前記水不溶性担体を、膜、繊維、粒状物のいずれかの表面に被覆せしめた請求項1〜のいずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材。
  9. 前記アミド基は、クロルアセトアミドメチル基、ブチロイルアミドメチル基、ラウロイルアミドメチル基、ポリペプチド及び環状ポリペプチドからなる群から選択されなる1以上のアミド基である、請求項1〜8のいずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材が充填された体外循環カラム。
  11. 請求項1〜9いずれか一項記載の癌胎児性抗原吸着材が充填された癌治療用体外循環カラム。
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