JP4179856B2 - 印刷用擬似接着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用擬似接着シートに関する。詳しくは、打ち抜きダイカットするために、基材シートを台紙用シートと疑似接着させた印刷用擬似接着シートに関し、さらに詳しくは、表面に印刷層が設けられた前記基材シート(以下、印刷用基材シートとも言う)を台紙用シートと擬似接着させた印刷用擬似接着シートの印刷面に印刷した後、台紙用シートから剥がして使用する簡易名刺、入場券、パーティー券、会員券、タグ、荷札、カード等に有用な印刷用擬似接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、名刺、入場券、パーティ券、会員券、タグ、荷札、カード等を多量に製造する場合、前記印刷用シートの所定枠内に印刷を施した後、規定の大きさに切断する方法と、予め規定の大きさに切断された印刷シートに専用の印刷機を用いて印刷する方法が採られていた。
【0003】
ところが、近年では、卸売りや小売商店でも独自の必要情報を表示し、管理・使用することもあり、例えばタグ、荷札、カード類は、共通する図、バーコード、その他のパターン、や文字等の表記、情報を予め印刷しておき、後から独自の必要情報を個々に印刷・記録するようにした既製品が市販されている。
【0004】
また、近年の情報化社会に絡み、家庭でのパソコン、プリンター普及率も急速に進み、消費者独自に簡易印刷を行って最終使用形態とする場合が増えてきた。例えば、名刺、入場券、パーティー券などは、独自にデザインしたものを印刷用紙に印刷し、カッターやハサミで切って一枚一枚作製する場合がある。
【0005】
前記製品は、それぞれのシートが独立分離されたバラバラの形態で取り扱われるため、後から独自の必要情報を個々に印刷・記録する場合、専用の印刷機や記録機器へのシート供給に於いて先ず個々のシートを手作業もしくは特別な整列装置で整列させる必要があるという問題がある。一方、家庭等で印刷したシートをカッターやハサミで切って作製するのは作業効率が悪く、大変な労力を要するといった問題がある。
【0006】
前記欠点を解決する為、特開平6−328609号公報では、専用印刷装置を用いずとも小紙片への印刷を行うことができる小紙片印刷用積層シートが提案されている。該シートは、印刷用基材層と支持用基材層との間に中間層として1層若しくは2層以上の熱可塑性樹脂を挟持して、一体的に積層してなる積層シートであって、前記印刷用基材層と前記中間層との層間の接着強度が前記支持用基材層と前記中間層との層間及び中間層を構成する熱可塑性樹脂相互間の接着強度よりも小さく且つ剥離強度0.5〜200g/cmであると共に、前記印刷用基材層に所定形状の小紙片を輪郭付ける切込みを設けたことを特徴とするものである。
【0007】
前記提案のような構成においては、表面基材と支持用基材との間に熱可塑性樹脂を設けることによって表面基材との剥離を容易にさせるため、該熱可塑性樹脂は通常のラミネーション処理温度よりも低い温度で溶融し、押し出し機のTダイより押し出し、表面基材と積層冷却固化することによって再剥離性を付与させているものであり、前記押し出し時の樹脂温度が表面基材と固化された熱可塑性樹脂との剥離力に大きな影響を与えている。
【0008】
このため、例えば、前記剥離力を低くするためには前記樹脂温度を通常よりも低く設定する必要があり、場合によっては膜割れ(表面基材と熱可塑性樹脂とが接着していない状態)が起こったり、樹脂温度を数℃上げただけで、剥離力が高くなりすぎてしまうなど安定した品質を得ることは非常に困難であった。また、表面基材と支持用基材との間に設けられる熱可塑性樹脂が1層である場合、表面基材との剥離性は得られるものの、支持用基材との接着性が乏しくなって、支持用基材と該熱可塑性樹脂とが固着されず剥がれてしまう等の問題があった。
【0009】
さらに、パルプ繊維からなる紙基材を用いると、初期剥離力については目標の品質が得られても、経時で徐々に剥離力が高くなって、場合によっては表面基材と熱可塑性樹脂との間で剥離することができず、支持基材もしくは表面基材が層間割れしてしまう場合があった。
【0010】
一方、実用新案第2583272号では、表面基材を台基材に固定し、表面基材側のみを打ち抜きダイカットした後も、表面基材側のタグなどが台基材に固定されたままバラバラに独立分離しないようにしておき、個々に独自の必要情報を印刷・記録する場合に印刷機や記録機器へのシート供給にあたり、人手でいちいち整列させたり、特別な整列装置を必要とせずに供給可能とし、印刷や記録後、台基材固定面から表面基材側を破損することなく剥離して、従来のタグ等と同じように使用することが可能な打ち抜き用積層シートが提案されている。
【0011】
前記打ち抜き用積層シートは、表面基材と台基材の間に、剥離性合成樹脂層A、接着性合成樹脂層B、を積層して一体に構成し、表面基材または台基材と剥離性合成樹脂層Aとの界面から剥離可能であることを特徴とするもであり、打ち抜きダイカット後に印刷機や記録機器を通す際に、表面基材が台基材と貼り合わせ接着されたままで一般情報を印刷し独自情報を記録でき、表面基材側を破断することなく台基材から剥離し、剥離した表面基材は一般の表面基材と同様に使用できる等、優れた品質を有するものである。
【0012】
前記打ち抜き用積層シートは、表面基材と台基材の間に、剥離性合成樹脂層を設けているため、表面基材と合成樹脂層との安定した剥離力を得ることができるものである。しかしながら、該合成樹脂層にはシリコーン樹脂を含有したポリオレフィン樹脂を使用する必要があり、エクストルージョンラミネート法によって加工する際の供給装置やTダイス中に前記シリコーン樹脂を含有した合成樹脂が残留し、同じ加工機で押し出しラミネート加工した他製品の基材と合成樹脂、もしくは合成樹脂と合成樹脂間の接着強度が弱まるなど品質へ悪影響を及ぼすことがあるという問題があった。
【0013】
さらに、特開平7−134554号公報では、切り込みまたはミシン目の枠を表示基材に設けた工程管理部の熱可塑性樹脂に対応する片面に離型処理部を設けることによって、該離型処理部が前記熱可塑性樹脂層に対して疑似接着され、該工程管理部が剥離可能であることを特徴とする物流管理用シートが提案されている。
【0014】
しかしながら、前記提案の物流管理用シートは表示基材の片面が離型処理部を備えており、離型剤の種類によっては、疑似接着力(以下、単に剥離力とも言う)が低くなりすぎてしまい、表示基材が使用前に該熱可塑性樹脂から剥がれてしまったり、表示基材と熱可塑性樹脂との剥離性を付与させるためには該熱可塑性樹脂層を比較的低温で押し出しラミネートする必要があり、このため、強度を付与させるために設けた台紙と該熱可塑性樹脂層との間で剥がれてしまう場合があった。また、特にシリコーンを含有する離型剤を使用した場合、鉛筆やボールペンなどで筆記することができないという問題があった。
【0015】
特開平11−202771号では、主原料がセルロースパルプからなるシートの表面基材を用いる擬似接着シートにおいて、前記シートの裏面に樹脂溶液または水系エマルジョン樹脂を塗布乾燥して樹脂処理面を形成し、この樹脂処理面にエクストルージョンラミネート法により熱可塑性樹脂層を形成してそれらの間を剥離可能にした擬似接着シートが記載されている。
【0016】
この擬似接着シートの表面基材には、溶融状態の熱可塑性樹脂と接する裏面に前記樹脂処理面が予め形成されているので、ラミネート加工時に溶融した熱可塑性樹脂が表面基材のパルプ繊維間の空隙への浸透を防ぎ安定した剥離が得られ、これら樹脂の塗布量を変えることにより接着力を管理できることが記載されている。この場合前記公報には樹脂処理面には樹脂の水溶液または水系エマルジョン樹脂が好ましいことが記載され、各実施例には水溶性のポリビニルアルコールあるいはポリエステル樹脂又はスチレンーアクリル系樹脂エマルジョンを用いることが示されている。しかし、剥離強度やその経時変化等の点で前記の効果は全ての樹脂水溶液や水系エマルジョンについて一様に生じるものではなく、広汎なこれら樹脂材料の中から樹脂処理面として好適な材料を適確に選択することは必ずしも容易ではない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のごとき欠点を解決し、パルプ繊維を主成分とする印刷用基材シートと台紙用シートの間に、疑似接着面を形成する熱可塑性樹脂層が積層された印刷用シートにおいて、前記疑似接着面の形成に関わる材料の物性を特定することにより、印刷用基材シートを打ちのきダイカットした後も印刷・記録後、台紙用シートから印刷用基材シートを無理なく容易に剥離でき、さらに経時での剥離力上昇を抑え、安定した品質を保持できるとともに、台紙用シートから剥離した印刷用基材シートの印刷面裏面に筆記性を有する印刷用擬似接着シートを提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、パルプ繊維を主成分とする紙基材と台紙用シートとが熱可塑性樹脂で接着する要因は、加熱・溶融によって酸化された熱可塑性樹脂が基材との化学的反応によって結合すること、基材の空隙へ加熱・溶融された該樹脂が物理的に浸透することによって発現されることを見出した。つまり、パルプ繊維を主成分とする紙基材との化学的もしくは物理的作用によって接着されているため、剥離力を調整するためには、紙基材の繊維の絡みや繊維の太さ等による空隙度合いによって、該熱可塑性樹脂の溶融温度を変えたり、紙基材と熱可塑性樹脂とを接合する時のニップ圧、加工速度を調整する必要があり、剥離力を管理することが非常に煩雑となる。
そこで、本発明では、表面に印刷層を有する印刷用パルプ基材シートをその裏面の塗工層および熱可塑性樹脂を介して台紙シートに対して剥離可能にラミネートさせてなる印刷用擬似接着シートにおいて、疑似接着面を形成するこれら塗工層および熱可塑性樹脂を界面化学的エネルギーの異なる親水性および疎水性の材料によって形成することにより、印刷用基材シートの親水性の裏面と疎水性を示す該熱可塑性樹脂との界面での剥離が容易であり、経時による剥離力変化が少なく、印刷面とは裏面に筆記性を有する印刷用擬似接着シートを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、表面に印刷層が設けられ裏面に親水性を示す塗工層が設けられたパルプ繊維を主成分とする印刷用基材シート、その表面が疎水性を示す熱可塑性樹脂層および台紙用シートを順次積層し、前記基材シートと前記台紙用シートとの間で剥離可能となるようになされた印刷用擬似接着シートにおいて、前記疎水性を示す熱可塑性樹脂を前記親水性を示す塗工層に対してそれらの界面で剥離可能となるような溶融温度で供給してなり、前記親水性を示す塗工層面の接触角(23℃での50μLの水滴の滴下後60秒後に測定した接触角)(θ1)、前記熱可塑性樹脂層の印刷用基材シートの裏面と接する面の接触角(θ2)およびそれらの間の関係が次式:
0≦(θ1)≦105°
(θ2)>105°
0≦(θ1)/(θ2)<1
で示され、前記台紙用シートがその表面と前記熱可塑性樹脂層との間に両層に固着するアンカー用熱可塑性樹脂を有することを特徴とする印刷用擬似接着シートを提供するものである(請求項1)。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷用基材シートは、パルプ繊維を主成分とし、片面に印刷層が設けられたものであれば特に限定されないが、例えば上質紙、クラフト紙、キャスト紙、アート紙、グラシン紙などの片面にインクジェット記録層、感熱記録層、熱転写記録層などを設けたものを用いることができる。
【0021】
本発明においては、前記親水性を示す塗工層面の接触角(23℃での50μLの水滴の滴下後60秒後に測定した接触角)(θ1)、前記熱可塑性樹脂層の印刷用基材シートの裏面と接する面の接触角(θ2)およびそれらの間の関係が次式で示されるように前記塗工層および熱可塑性樹脂が選択、設定される。
0≦(θ1)≦105°
(θ2)>105°
0≦(θ1)/(θ2)<1
【0022】
塗工層面の接触角(θ1)が105°を越え、または(θ1)と(θ2)の関係について、(θ1)/(θ2)が1以上となると印刷用基材の裏面に設けられた塗工層と熱可塑性樹脂層との接着性が高まって、剥離しづらくなったり、経時での剥離力を安定して保持できにくくなるため好ましくない。さらに、(θ1)が105°を越えるとボールペンや鉛筆、インキ等による筆記性が乏しくなるという点でも好ましくない。一方(θ2)は105°より大きいことが好ましく、(θ2)が105°以下では印刷層が設けられた面とは裏面に親水性を示す塗工層との接着性が高まって、剥離しづらくなったり、経時での剥離力を安定して保持できにくくなる。(θ2)>105°にするためには樹脂温度をある程度適温に保つ必要があり、例えば極端に樹脂温度を上げると、樹脂の酸化が高まってカルボニル基を主とする親水性の官能基を生じやすくなって親水性となり、前記接着性の不具合を生じる場合がある。
【0023】
また本発明の好ましい実施態様では前記親水性を示す塗工層の繊維被覆率を50〜100%、かつ中心線平均粗さ(Ra)を0.2〜3.5μmとする(請求項2)。
前記繊維被覆率が50%未満では、前記熱可塑性樹脂層が徐々に繊維の空隙へ浸透し、熱可塑性樹脂との間の剥離力が経時的に上昇し易くなるため好ましくない。50%よりも被覆率を高くすることによって、本発明の印刷用擬似接着シートを製造後、打ち抜きダイカットされ、さらに保管、販売されてから使用されるまでの長い期間(1年以上)を経ても問題なく剥離することが可能となる。ここで、繊維被覆率とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で倍率100倍で撮られた写真を画像処理することによって、パルプ繊維の絡み合いからなる空隙部と前記塗工層で覆われ空隙が失われた部分とに分け、全体の面積に対する前記塗工層で覆われ空隙が失われた部分の面積の割合を示すものである。
【0024】
また、本発明においては前記親水性を示す塗工層の中心線平均粗さ(Ra)が3.5μmを越えると、例え前記繊維被覆率が比較的高くとも経時での剥離力上昇を抑えにくくなるため好ましくなく、0.2μm未満にすることはパルプ繊維を主成分とする印刷用基材に塗工層を設ける場合には実質的に困難である。
【0025】
本発明の好ましい実施態様において、前記塗工層を形成させる材料は好ましくは、アクリル樹脂、スチレン樹脂、硝化綿、ポリアミド硝化綿、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、エチレンー酢酸ビニール共重合体、カルボキシ変性スチレンーブダジエンゴムから選ばれる少なくとも1種の樹脂、もしくはこれらの樹脂の共重合体を少なくとも1種含む樹脂を主成分とするものである(請求項3)。
前記樹脂としては、塗工層を親水性にするために、樹脂構造中にカルボキシル基、スルホン酸基、第1級アミン基、第2級アミン基、第3級アミン基、水酸基、エーテル基、アミド基等の親水性官能基を導入した樹脂を用いても良い。また、これらの樹脂の流動性とハンドリング性を考慮すると樹脂のTg(ガラス転移点)が250°K以上であることが好ましい。
【0026】
前記塗工層には印刷層との色相を合わせるため、親水性を高めるため、筆記性を高めるために、顔料を添加しても良い。該顔料としては、例えば、無機顔料として、酸化チタン、タルク、カオリン、サチンホワイト、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、有機顔料として、アゾ系(顔料名:ハンザエロー、ナフトールレッド、ジスアゾエロー、ピラゾロンオレンジ、クロモフタールエロー、ウオッチイングレッド、カーミン6Bなど)、フタロシアニン系(顔料名:フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなど)、ジオキサジン系(ジオキサジンバイオレットなど)、キナクリドン系(キナクリドンレッドなど)、染付レーキ系(メチルバイオレットレーキ、ローダミンレーキなど)、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン、アクリル−スチレン、尿素−ホルマリン、メラミンーホルマリン、ベンゾグアナミンなどを例示することができる。
前記顔料の粒径は、製造可能な範囲であることと、表面の凹凸によって外観を損ねず、基材から簡単に落ちないようにすることを考慮すると、0.05〜10μm程度である。
【0027】
前記樹脂を主成分とする塗工層には、例えば塗工性、耐摩擦性、乾燥性等を付与させるための液消泡剤、滑剤、皮膜形成助剤など、その他の添加剤を含有しても良い。但し、シリコーンやその誘導体からなる疎水性を示す離型剤などを添加すると、表面への筆記性が発揮できなくなったり、印刷用基材シートの裏面と熱可塑性樹脂層との剥離力が低下しすぎてしまい、印刷前に台紙から印刷用基材シートが剥がれ落ちてしまう等の不具合を生じるため好ましくない。
【0028】
本発明の好ましい態様においては、前記樹脂を主成分とする塗工層は、前記親水性を示す樹脂をバインダー成分として含有するフレキソインキ、オフセットインキ、グラビアインキから選ばれる少なくとも一種を含むインキを塗布・乾燥して得られたものであることが好ましい(請求項4)。
【0029】
これによって塗工層は乾燥性に優れ、繊維被覆性に優れたものとなる。前記インキは印刷用基材シートに設けられた印刷塗工層の色相を合わせるため、有色もしくは無色のものを適宜用いることが可能であり、1層もしくは2層以上塗布・乾燥して用いることができる。
【0030】
前記塗工層を設けるための塗工装置としては、バーコーター、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、多段ロールコーター等を例示することができる。また、塗工層を形成するためにインキを塗工する場合には、レタープレス、グラビア、オフセット、スクリーン・プロセスなどの印刷方式によって印刷塗工を行っても良い。前記印刷方法は、主にインキの種類によって適宜選択すれば良い。これらに限定されるものではない。
【0031】
尚前記塗工層は少なくとも1層からなる構成とし2層以上からなる場合は少なくとも前記熱可塑性樹脂層と対向する側に親水性層を有することが好ましい(請求項5)。パルプ繊維への熱可塑性樹脂層の物理的な浸透を抑え、熱可塑性樹脂層と台紙シートとのさらに安定した剥離性を得るために前記塗工層は2層以上とすることができる。
【0032】
前記熱可塑性樹脂層は、前記塗工層に対して擬似接着効果の発揮できるものであり、かつ該熱可塑性樹脂の表面が疎水性となるものであれば特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体または共重合体、ポリスチレン、酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を1種または2種以上混合したものを例示することができる。
【0033】
前記熱可塑性樹脂層は、印刷用基材シートと台紙用シートとの間に設けることによって、台紙用シートとは強固に接着させ、他方、印刷用基材シート(の裏面の塗工層)との剥離を容易にさせるためのものであり、その厚みは特に限定されないが、加工性、コストなどを考慮すると、5〜30μm程度である。
【0034】
一般的に、表面基材(本発明における印刷用基材シート)と支持基材(本発明における台紙用シート)との間に擬似接着用熱可塑性樹脂を設けることによって、表面基材との剥離を容易にさせるためには、前記エクストルージョンラミネート法を用いて比較的低い樹脂温度でラミネートする必要があり、このため支持基材との接着が低下してしまうことがある。支持基材としての台紙用シートの熱可塑性樹脂と接する面には、アンカー用熱可塑性樹脂をプレラミネート処理しこれを介して台紙用シートに強固に接着させる。アンカー用熱可塑性樹脂としては支持基材および前記擬似接着用熱可塑性樹脂層との強固な接着のためにこの熱可塑性樹脂層と同種の材料を用いることが好ましい。
【0035】
本発明の印刷用擬似接着シートにおいては、印刷用基材の裏面に前記特定の塗工層を設けているため、印刷用基材シートと台紙とを剥離できる範囲で樹脂温度は比較的高くまで設定することが可能であるが、前記塗工層を形成する樹脂と顔料の種類によっては繊維への浸透性が高いものがあり、比較的低い温度でラミネートしなければならないことがあるため、或いは剥離力の経時的な変化を抑えるためにアンカー用熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。
【0036】
前記熱可塑性樹脂層及びアンカー用熱可塑性樹脂を設ける方法としては、例えばエクストルージョンラミネート法、ホットメルトラミネート法、ドライラミネート法、ソルベントラミネート法、ウエットラミネート法等が挙げられるが、熱可塑性樹脂が目的の基材に対して容易に接着できるエクストルージョンラミネート法が好適である。
【0037】
前記表面に印刷塗工層が設けられた基材シートの印刷塗工層とは裏面に設けられた塗工層と熱可塑性樹脂層との23℃、50%RH環境下における初期剥離力(a)、および23℃、50%RH環境下で1ヶ月保存した後の剥離力(b)、さらに65℃、80%RH環境下で7日間保存した後の剥離力(c)がいずれも5〜45N/mであることが好ましい(請求項6)。5N/m未満では、表面に印刷して使用される前に、前記印刷用基材シートの裏面の塗工層と熱可塑性樹脂層との間で剥がれてしまって、印刷機で印刷することができなくなってしまうため好ましくなく、他方45N/mを越えると、剥がしにくくなるばかりか、剥がした後の該印刷用基材シートがカールしてしまい、外観を損ねたり、利用価値が下がったりしてしまうことがあるため好ましくない。
【0038】
(実施例)
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、もちろん本発明はこれによって制限されるものではない。尚、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断りのない限り「質量部」および「質量%」を示す。尚各実施例における効果の評価を示す表1における各項目の測定方法および評価基準は以下の通りである。
【0039】
<効果の評価項目>
[接触角]
印刷用基材シートの裏面に設けた塗工層面および熱可塑性樹脂層の膜面に夫々水を5μl滴下し、60秒後に測定し、接触角を測定した(測定装置:協和界面科学(株)、CA−X型接触角計)。
【0040】
[繊維被覆率]
繊維被覆率は、印刷用基材の裏面に設けた塗工層面を電子顕微鏡によって100倍での写真を撮り、パーソナル画像処理解析システム(王子計測機器社製、DA−5000)で求めた値である。
【0041】
[剥離力及び剥離性]
印刷用擬似接着シートの印刷用基材シートの裏面と熱可塑性樹脂層との剥離力を測定し、下記の基準で判定した。測定方法は、測定中に固定器具から剥がれないように台紙用シート裏面に両面テープを貼付・固定器具と接着させ、23℃、50%RH環境下、印刷用基材シート側を剥離速度0.3m/分にて、180°で剥離するように引張り試験機を用いて測定した。尚、剥離力は、前記印刷用擬似接着シートを製造した直後(a)と23℃、50%RH環境下で1ヶ月保存した後(b)、さらには65℃、80%RH環境下で7日間保存した後(c)にそれぞれ測定した。
○:(a)、(b)、(c)の剥離力が5〜45N/mであり、容易に剥離することができる。
×:次のいずれか一方のケースに相当する場合。
(ケース1)(a)の剥離力は5〜45N/mの範囲にあるが、(b)または(c)の剥離力のいずれかが45N/mを越え、剥離しづらくなる。
(ケース2)(a)、(b)、(c)のいずれかの剥離力が45N/mを越え、剥離しづらくなる。
××:(a)、(b)、(c)のいずれかの剥離の際に基材が層間割れしてしまう。
【0042】
[カール]
前記で剥離力を測定した同サンプルの捲りカールを下記の通り評価した。尚、捲りカールの測定方法は、印刷用基材シートの裏面と熱可塑性樹脂層とを剥離させた後の印刷用基材シートを23℃、50%RH環境下、平らな面に静置させた時の四隅の値を測定し、最大値を測定値とした。
○:最大捲りカールが5mm以下であり、良好。
△:最大カールが5〜10mmであり、やや外観が悪い(実用上使用限界)。
×:最大カールが10mmを越え、実用上問題がある。
【0043】
[筆記性]
印刷用擬似接着シートの台紙用シートを剥がし、印刷用基材シート裏面のボールペン及び鉛筆(HB)での筆記性を下記の通り評価した。
○:ボールペン、鉛筆での筆記性に優れる。
×:ボールペンもしくは鉛筆のどちらか一方の筆記性が劣る。
【0044】
実施例1
[印刷用基材シートの作製]
米坪250g/m2の上質紙(王子製紙株式会社製)の片面にインクジェット塗工層(以下、単にIJ塗工層とも言う)を設け、該IJ塗工層とは裏面にスチレン−アクリル樹脂と顔料からなるインキ(品名PAC−FE、T&K TOKA社製)をフレキソ印刷機で乾燥後の塗布量が8g/m2となるよう全面に塗布・乾燥し、印刷用基材シートを得た。
[台紙用シートの作製]
米坪35g/m2のラベル用紙(王子製紙株式会社製)の片面に、ポリエチレン樹脂(品名ミラソン16P、三井石油化学工業社製)をTダイにて、エクスルージョンラミネート法で、樹脂温度335℃、冷却ロールと圧着ロールのニップ圧を5Kg/cm2に設定し、ラミ厚が15μmとなるようプレラミネートし、アンカー用熱可塑性樹脂層を有する台紙用シートを得た。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度300℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を2.5Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が25μmになるよう施すと同時に前記台紙用シートのアンカー用熱可塑性樹脂層とが貼り合わされるように、冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、印刷用基材シートの裏面の塗工層と台紙用シート側に移行する熱可塑性樹脂層との間で剥離可能な擬似接着シートを得た。
【0045】
実施例2
IJ塗工層とは裏面に硝化綿と顔料からなるインキ(T&K TOKA社製、MP)をグラビア印刷機で乾燥後の塗工量が6g/m2となるよう全面に塗布・乾燥して塗工層を形成させた以外は実施例1と同様の材料、製造方法によって擬似接着シートを得た。
【0046】
実施例3
IJ塗工層とは裏面にラジカル重合型UVインキ(T&K TOKA社製、藍500)をフレキソ印刷機で塗工量が6g/m2となるよう全面に塗布・UV照射して塗工層を形成させた以外は実施例1と同様の材料、製造方法によって擬似接着シートを得た。
【0047】
実施例4
[印刷用基材シートの作製]
米坪250g/m2の上質紙(王子製紙株式会社製)の片面にインクジェット塗工層(以下、単にIJ塗工層とも言う)を設け、該IJ塗工層とは裏面にアクリル樹脂と顔料からなるインキ(品名:PAC−MP、T&K TOKA社製)をフレキソ印刷機で乾燥後の塗工量が6g/m2となるよう全面に塗布・乾燥して塗工層を形成させ、さらにその塗工層の上にラジカル重合型UVインキ(品名:UV VECTA)を同フレキソ印刷機で塗工量が3g/m2となるように全面に塗布・UV照射して塗工層を形成し、印刷用基材シートを得た。
[台紙用シートの作製]
実施例1と同様の台紙用シートを用いた。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度310℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を3.0Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が25μmになるよう施すと同時に前記台紙用シートのアンカー用熱可塑性樹脂層とが貼り合わされるように、冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、印刷用基材シートの裏面の塗工層と台紙用シート側に移行する擬似接着用熱可塑性樹脂層との間で剥離可能な擬似接着シートを得た。
【0048】
実施例5
IJ塗工層とは裏面にエチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業社製SUMIKAFLEX S752、Tg:288K)をバー塗工で乾燥後の塗工量が4g/m2となるよう全面に塗布・乾燥して塗工層を形成させた以外は実施例1と同様の材料、製造方法によって擬似接着シートを得た。
【0049】
実施例6
IJ塗工層とは裏面にカルボキシ変性スチレンーブタジエンゴム(XSBR)(JSR社製 JSR0623A、Tg:256K)をバー塗工で乾燥後の塗工量が4g/m2となるよう全面に塗布・乾燥して塗工層を形成させた以外は実施例1と同様の材料、製造方法によって擬似接着シートを得た。
表1に示すように実施例1〜6のシートはいずれも本願発明の構成要件を満たしており全ての評価項目において良好な特性を示した。
【0050】
比較例1
[印刷用基材シートの作製]
米坪250g/m2の上質紙(王子製紙株式会社製)の片面にインクジェット塗工層(以下、単にIJ塗工層とも言う)を設け、該IJ塗工層とは裏面にアクリル樹脂と顔料からなるインキ(品名:PAC−MP、T&K TOKA社製)をフレキソ印刷機で乾燥後の塗工量が7g/m2となるよう全面に塗布・乾燥して塗工層を形成させ、印刷用基材シートを得た。
[台紙用シートの作製]
実施例1と同様の台紙用シートを用いた。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度290℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を2.5Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が25μmになるよう施すと同時に前記台紙用シートのアンカー用熱可塑性樹脂層とが貼り合わされるように、冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、印刷用基材シートの裏面の塗工層と台紙用シート側に移行する擬似接着用熱可塑性樹脂層との間で剥離可能な擬似接着シートを得た。
【0051】
比較例2
[印刷用基材シートの作製]
印刷用基材シートは実施例1と同様のものを用いた。
[台紙用シートの作製]
実施例1と同様の台紙用シートを用いた。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度320℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を2.5Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が25μmになるよう施すと同時に前記台紙用シートのアンカー用熱可塑性樹脂層とが貼り合わされるように、冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、印刷用基材シートの裏面の塗工層と台紙用シート側に移行する擬似接着用熱可塑性樹脂層との間で剥離可能な擬似接着シートを得た。
【0052】
比較例3
[印刷用基材シートの作製]
米坪250g/m2の上質紙(王子製紙株式会社製)の片面にインクジェット塗工層(以下、単にIJ塗工層とも言う)を設けたものを裏面塗工を行わずそのまま使用した。
[台紙用シートの作製]
実施例1と同様の台紙用シートを用いた。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度300℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を2.5Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が25μmになるよう施すと同時に前記台紙用シートのアンカー用熱可塑性樹脂層とが貼り合わされるように、冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、印刷用基材シートの裏面の塗工層と台紙用シート側に移行する擬似接着用熱可塑性樹脂層との間で剥離可能な擬似接着シートを得た。
【0053】
比較例4
[印刷用基材シートの作製]
比較例1と同様の印刷用基材シートを用いた。
[台紙用シートの作製]
米坪35g/m2のラベル用紙(王子製紙株式会社製)をそのまま用いた。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度320℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を3.0Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が20μmになるよう施すと同時に台紙用シート(王子製紙株式会社製、ラベル用紙35g)を圧着ロールに接するように冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、擬似接着シートを得た。
【0054】
比較例5
[印刷用基材シートの作製]
比較例1と同様の印刷用基材シートを用いた。
[台紙用シートの作製]
米坪35g/m2のラベル用紙(王子製紙株式会社製)をそのまま用いた。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度264℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を2.0Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が25μmになるよう施すと同時に前記台紙用シートを圧着ロールに接するように冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、擬似接着シートを得た。
【0055】
比較例6
[印刷用基材シートの作製]
米坪250g/m2の上質紙(王子製紙株式会社製)の片面にインクジェット塗工層(以下、単にIJ塗工層とも言う)を設け、該IJ塗工層とは裏面に塩素化ポリプロピレンと顔料を主体とするインキ(T&K TOKA社製 MTX−CP)95部、シリコーン(東レダウコーニングシリコーン社製 SD7220)5部、白金系触媒(東レダウコーニング社製 SRX212)0.7部からなる混合液をバーコーターで乾燥後の塗布量が6g/m2となるよう全面に塗布・乾燥し、印刷用基材シートを得た。
[台紙用シートの作製]
実施例1と同様の台紙用シートを用いた。
[擬似接着シートの作製]
前記印刷用基材シートの裏面に、ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、PT−203)を樹脂温度310℃、冷却ロールと圧着ロールとのニップ圧を2.5Kg/cm2に設定し、Tダイよりエクストルージョンラミネート法でラミ厚が25μmになるよう施すと同時に前記台紙用シートのアンカー用熱可塑性樹脂層とが貼り合わされるように、冷却ロールと圧着ロール部で貼合し、印刷用基材シートの裏面の塗工層と台紙用シート側に移行する擬似接着用熱可塑性樹脂層との間で剥離可能な擬似接着シートを得た。
【0056】
【表1】
【0057】
表1から明らかなように、実施例1〜4の本発明の構成では、擬似接着シートの印刷用基材シートに打ち抜きダイカットした後も印刷・記録後、台紙用シートから印刷用基材シートを無理なく容易に剥離でき、さらに経時での剥離力上昇を抑え、安定した品質を保持できるとともに、台紙用シートから剥離した印刷用基材シートの印刷面とは裏面の筆記性に優れていた。
【0058】
比較例1は、経時での剥離力上昇が顕著であり、剥がし難いばかりでなく印刷用基材シートがカールしてしまい、外観の悪いものであった。比較例2、3も同様に経時での剥離力上昇が顕著であり、比較例2では65℃、80%RH環境下で7日間保存した後、比較例3では23℃、50%RH環境下で1ヶ月保存した後、及び65℃、80%RH環境下で7日間保存した後に層間割れし、印刷用基材シートの裏面と台紙用シートとの間で剥離することができなかった。さらに、比較例4では製造直後から印刷用基材シートの裏面と台紙用シートとの間で剥離することができなかった。比較例5では、熱可塑性樹脂が台紙用シートと固着せず剥がれてしまい、印刷用基材シートを台紙用シートに固定できないばかりか、印刷用基材シート裏面と熱可塑性樹脂層との間で剥離するには手間がかかってしまった。比較例6では、剥離性、カールは良好であるが、印刷用基材シート裏面の筆記性がなかった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の印刷用擬似接着シートは、印刷用基材シートを打ち抜きダイカットした後の印刷・記録時の印刷用基材シートの剥がれを生じず、かつ印刷後には台紙用シートから印刷用基材シートを無理なく容易に剥離でき、さらに前記印刷用基材シートの経時での剥離力上昇を抑え、安定した品質を保持できるとともに、台紙用シートから剥離した印刷用基材シートの印刷面とは裏面に筆記性を有するため、簡易名刺、入場券、パーティー券、会員券、タグ、荷札、カード用として優れた印刷用擬似接着シートを提供することが可能となった。
Claims (6)
- 表面に印刷層が設けられ裏面に親水性を示す塗工層が設けられたパルプ繊維を主成分とする印刷用基材シート、その表面が疎水性を示す熱可塑性樹脂層および台紙用シートを順次積層し、前記基材シートと前記台紙用シートとの間で剥離可能となるようになされた印刷用擬似接着シートにおいて、前記疎水性を示す熱可塑性樹脂を前記親水性を示す塗工層に対してそれらの界面で剥離可能となるような溶融温度で供給してなり、前記親水性を示す塗工層面の接触角(23℃での50μLの水滴の滴下後60秒後に測定した接触角)(θ1)、前記熱可塑性樹脂層の印刷用基材シートの裏面と接する面の接触角(θ2)およびそれらの間の関係が次式:
0≦(θ1)≦105°
(θ2)>105°
0≦(θ1)/(θ2)<1
で示され、前記台紙用シートがその表面と前記熱可塑性樹脂層との間に両層に固着するアンカー用熱可塑性樹脂を有することを特徴とする印刷用擬似接着シート。 - 前記親水性を示す塗工層の繊維被覆率が50〜100%であり、かつ中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜3.5μmであることを特徴とする請求項1記載の印刷用擬似接着シート。
- 前記親水性を示す塗工層がアクリル樹脂、スチレン樹脂、硝化綿、ポリアミド硝化綿、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、エチレンー酢酸ビニール共重合体およびカルボキシ変性スチレンーブダジエンゴムから選ばれる少なくとも1種の樹脂、もしくはこれらの樹脂の共重合体を少なくとも1種含む樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の印刷用擬似接着シート。
- 前記塗工層がフレキソインキ、オフセットインキ、グラビアインキから選ばれる少なくとも一種を含むインキを塗布・乾燥して得られたことを特徴とする請求項1記載の印刷用擬似接着シート。
- 前記塗工層が前記熱可塑性樹脂層との対向面に親水性層を有する少なくとも一層の構成からなる請求項1記載の印刷用擬似接着シート。
- 表面に印刷層が設けられ裏面に親水性を示す塗工層が設けられたパルプ繊維を主成分とする印刷用基材シートの親水性を示す塗工層と熱可塑性樹脂層との23℃、50%RH環境下における初期剥離力(a)、および23℃、50%RH環境下で1ヶ月保存した後の剥離力(b)、さらに65℃、80%RH環境下で7日間保存した後の剥離力(c)がいずれも5〜45N/mであることを特徴とする請求項1記載の印刷用擬似接着シート。
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