JP4173628B2 - 表面プラズモン共鳴測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料中の物質を定量分析する表面プラズモン共鳴測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料中の物質を定量分析する表面プラズモン共鳴測定装置が種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモン共鳴測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件となり、かつ、表面プラズモン共鳴条件を含む種々の入射角が得られるように入射させる入射光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを偏向させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面で集束するように入射させてもよい。前者の場合は、光ビームの偏向にともなって反射角が変化する光ビームを、光ビームの偏向に同期移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモン共鳴測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く減衰する。この光強度の減衰は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。
【0007】
図5には、この全反射減衰現象が生じた際の入射角θと反射光強度Iとの関係を概略的に示してある。ここに示す入射角θSPが、上述の全反射減衰(ATR)が生じる入射角である。
【0008】
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0009】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角θSPより表面プラズモンの波数が分かると、試料の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εm とεs をそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0010】
【数1】
試料の誘電率εs が分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料中の特定物質の濃度が分かるので、結局、上記反射光強度が低下する入射角θSPを知ることにより、試料中の特定物質を定量分析することができる。
【0011】
また、上述の表面プラズモン共鳴測定装置においては、光ビームが誘電体ブロックと金属膜との界面の中の2次元領域を照射するように前記入射光学系を構成するとともに、前記光検出手段として、上記界面で全反射した光ビームの強度を上記2次元領域内の各位置毎に検出する2次元光検出器からなるものを用いることにより、上記2次元領域に対応して配置された試料の該領域内における誘電率分布が求められるので、それに基づいて試料中の特定物質の濃度分布を求めることができる。
【0012】
なお、このように光ビームを、誘電体ブロックと金属膜との界面の中の2次元領域に照射させる表面プラズモン共鳴測定装置については、NATURE Vol.332,14,APRIL 1988 pp.615-617に一例が示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この表面プラズモン共鳴測定装置において、特に上記の2次元光検出器を用いて試料中の特定物質の濃度分布を求める場合は、誘電体ブロックと金属膜との界面に対する光ビームの入射角が固定されることになるが、その場合は、光検出信号のS/Nが良くないという不具合が認められている。
【0014】
本発明は上記の事情に鑑みて、光ビームの入射角を固定としても、高S/Nの光検出信号を得ることができる表面プラズモン共鳴測定装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による表面プラズモン共鳴測定装置は、前述したような誘電体ブロックと、金属膜と、光ビームを発する光源と、該光ビームを前記誘電体ブロックと金属膜との界面に対して、全反射条件が得られる固定の入射角で誘電体ブロック側から入射させる入射光学系と、光検出手段とを備えてなる表面プラズモン共鳴測定装置において、上記光源として、互いに異なる2つ以上の波長の光ビームの各々を発する、併設された複数の光源が用いられ、光検出手段として、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光ビームの強度を各波長毎に測定可能なものが用いられた上で、この光検出手段が出力する、互いに異なる2つの波長の光ビームについての光検出信号の差分を求める演算手段が設けられ、さらに前記光源が、前記2つ以上の波長の光ビームを互いに時間間隔をおいて射出するように構成され、前記入射光学系が、前記2つ以上の波長の光ビームを前記界面に対して、共通の入射角で入射させるように構成され、前記光検出手段が、前記光源の光ビーム射出タイミングと同期したタイミングで検出動作することにより、前記光ビームの強度を各波長毎に測定する1つの光検出器から構成されたことを特徴とするものである。
【0016】
なお、上記構成を有する本発明の表面プラズモン共鳴測定装置においては、
前記複数の光源として、互いに異なる3つ以上の波長の光ビームを各々発するものが適用された上で、
前記演算手段が、それらの波長のうち表面プラズモン共鳴条件を満たす2つの波長の光ビームについての光検出信号の差分を求めるように構成されることが望ましい。
【0019】
また、上述した各波長の光ビームを発する複数の光源を、互いに別々の位置に固定して、それらから各々発せられた光ビームが例えばダイクロイックミラー等の手段によって途中から互いに同じ光路を辿るように(時間的には分離されているから合波されることはない)構成してもよい。あるいはこれら複数の光源を、点灯時には、入射光学系に対して所定の相対位置関係となる共通の位置に移動させて、その位置で点灯動作させるようにしてもよい。
【0020】
また本発明の表面プラズモン共鳴測定装置においては、入射光学系が、光ビームにより前記界面の中の2次元領域を照射するように構成されるとともに、
光検出手段が、前記界面で全反射した光ビームの強度を、前記2次元領域内の各位置毎に検出する2次元光検出器から構成されることが望ましい。
【0021】
さらに本発明の表面プラズモン共鳴測定装置においては、前記金属膜の表面上に、試料中の特定成分と相互作用を生じるセンシング媒体が配されていることが望ましい。
【0022】
【発明の効果】
本発明の表面プラズモン共鳴測定装置における光ビームの波長と、光検出手段が出力する光検出信号の強度(検出した全反射光の強度に対応する)との関係を図6に示す。前述したエバネッセント光と表面プラズモンとが共鳴するのは、このエバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立する場合であるから、誘電体ブロックと金属膜との界面に入射させる光ビームの波長を変化させると、この界面に対する光ビームの入射角θを変化させた場合と同様に全反射光強度が変化する。つまり、例えば曲線aの特性の場合は、光ビームの波長がλSPのときに全反射減衰が生じる。
【0023】
そしてこの波長対全反射光強度の関係は、上記入射角θを固定しておけば、試料の誘電率εs に応じて、つまり試料中の特定物質の濃度に応じて、図6に曲線aやbで示すように変化する。そこで、光ビームの波長がλ1とλ2の場合について考えると、波長λ1の光に関する光検出信号と波長λ2の光に関する光検出信号との差分は、上記特定物質の濃度に応じて変わることになる。すなわち、例えば曲線aの場合の差分は(S1a−S2a)であるのに対し、曲線bの場合の差分は(S1b−S2b)となって、両者の値は明確に異なる。
【0024】
したがって、予め求めてある各試料毎の検量線等を参照すれば、この差分に基づいて波長対全反射光強度の関係を推定可能となり、試料中の特定物質を定量分析できるようになる。
【0025】
そして、上述のように2つの光検出信号の差分を求めると、各信号に乗っていた雑音成分が相殺されるので、この差分信号はS/Nが十分に高いものとなり、該差分信号に基づいて特定物質の定量分析を高精度で行なえるようになる。
【0026】
なお本発明の表面プラズモン共鳴測定装置のうち、特に前記光源として、互いに異なる3つ以上の波長の光ビームを発するものが用いられた上で、前記演算手段が、それらの波長のうち表面プラズモン共鳴条件を満たす2つの波長の光ビームについての光検出信号の差分を求めるように構成されたものにおいては、波長を3つ以上用意しておくことにより、ある波長が表面プラズモン共鳴条件から外れているようなことがあっても、表面プラズモン共鳴条件を満たす別の波長2つを確保しやすくなるので、多種の試料に対応可能となる。
【0027】
また本発明の表面プラズモン共鳴測定装置のうち、特に入射光学系が、光ビームにより前記界面の中の2次元領域を照射するように構成される一方、光検出手段が、上記界面で全反射した光ビームの強度を上記2次元領域内の各位置毎に検出する2次元光検出器から構成されたものにおいては、差分信号が上記2次元領域内の各位置毎に求められるので、この差分信号に基づいて該領域内の特定物質の濃度分布等を求めることが可能になる。
【0028】
また本発明の表面プラズモン共鳴測定装置のうち、特に金属膜の表面上に試料中の特定成分と相互作用を生じるセンシング媒体を配したものにおいては、このセンシング媒体の上に試料を保持させた際に、上記相互作用によって表面プラズモン共鳴の状態が変化するので、この変化を捕えることによって、試料中の特定成分とセンシング媒体との特異反応を検出することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に対する参考例としての表面プラズモン共鳴測定装置の概略側面形状を示すものである。
【0030】
図示の通りこの表面プラズモン共鳴測定装置は、例えば三角柱状に形成された透明誘電体プリズム11と、この誘電体プリズム11の上面に屈折率マッチング液12を介して固定された透明誘電体プレート13と、この誘電体プレート13の上面に形成された例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属薄膜14とを有している。そしてこの金属薄膜14の上に、分析対象の試料15が配置される。なお本例では、透明誘電体プリズム11、屈折率マッチング液12および透明誘電体プレート13によって誘電体ブロックが形成されている。
【0031】
また、波長λ1の光ビームL1を発する第1のレーザ光源16と、波長λ2の光ビームL2を発する第2のレーザ光源17とが設けられ、これらの光ビームL1およびL2は、前者を透過させて後者を反射させる入射光学系としてのダイクロイックミラー18によって1本の光ビームLに合波される。この合波された光ビームLは、細い平行光状態で誘電体プリズム11に入射し、誘電体プレート13と金属薄膜14との界面13aに入射する。このときの入射角θは、上記界面13aにおいて光ビームLの全反射条件が得られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る範囲内の値とされる。
【0032】
なお光ビームLは、界面13aに対してp偏光で入射する必要がある。そのようにするためには、予め第1のレーザ光源16および第2のレーザ光源17を、光ビームL1およびL2の偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板や偏光板で光ビームL1およびL2の偏光の向きを制御してもよい。
【0033】
界面13aに入射した光ビームLはそこで全反射し、全反射した光ビームLは、波長λ1の光を透過させる一方波長λ2の光は反射させるダイクロイックミラー20により、波長λ1の光ビームL1と波長λ2の光ビームL2とに分波される。光ビームL1と光ビームL2はそれぞれ、例えばフォトダイオード等からなる第1の光検出器21、第2の光検出器22によって検出される。
【0034】
第1の光検出器21が出力する光検出信号S1および、第2の光検出器22が出力する光検出信号S2は、ともに差分演算回路23に入力される。この差分演算回路23は、入力された光検出信号S1とS2との差分を求めて、差分信号Ssを出力する。
【0035】
以下、上記構成の表面プラズモン共鳴測定装置による試料分析について説明する。分析に供される試料15は、金属薄膜14の上に配される。そしてレーザ光源16および17が駆動され、それらから各々発せられた光ビームL1およびL2がダイクロイックミラー18で合波され、合波された光ビームLが誘電体プレート13と金属薄膜14との界面13aに一定の入射角θで入射する。この入射角θは前述の通りに設定されているから、光ビームLは界面13aで全反射する。
【0036】
このように光ビームLが全反射するとき、界面13aから金属薄膜14側にエバネッセント波がしみ出す。入射角θが固定されている場合、全反射光の強度(つまり光検出器21、22が出力する光検出信号S1、S2の強度)は、前述した通り光波長λに応じて図6に示すように変化する。すなわち、光波長λがλSPの場合、上記エバネッセント波が金属薄膜14の表面に励起する表面プラズモンと共鳴するので、この波長λSPの光については反射光強度が鋭く減衰する。
【0037】
そしてこの波長対全反射光強度の関係は、入射角θが固定されていれば、試料の誘電率εs に応じて、つまり試料中の特定物質の濃度に応じて、図6に曲線aやbで示すように変化する。そこで、光検出信号S1、S2の差分を取った差分信号Ssの値は、上記特定物質の濃度に応じて変わることになる。したがって、予め求めてある各試料毎の検量線等を参照すれば、この差分信号Ssの値に基づいて波長対全反射光強度の関係を推定可能となり、試料15中の特定物質を定量分析できる。
【0038】
そして、上述のように2つの光検出信号S1、S2の差分を求めると、各信号S1、S2に乗っていた雑音成分が相殺されるので、差分信号SsはS/Nが十分に高いものとなり、該差分信号Ssに基づいて特定物質の定量分析を高精度で行なえるようになる。
【0039】
次に図2を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図2は、この第1の実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置の概略側面形状を示している。なおこの図2において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する(以下、同様)。
【0040】
この第1実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置においては、第1のレーザ光源16および第2のレーザ光源17の駆動が駆動制御回路25によって制御され、第1のレーザ光源16が所定時間駆動して停止した後、時間間隔をおいて第2のレーザ光源17が駆動されるようになっている。それにより、波長λ1の光ビームL1が誘電体プレート13と金属薄膜14との界面13aに入射した後、時間間隔をおいて波長λ2の光ビームL2が該界面13aに入射する。
【0041】
一方、光検出手段としては第1の光検出器21のみが設けられ、この光検出器21の動作も上記駆動制御回路25によって制御される。すなわち該光検出器21は、第1のレーザ光源16が駆動されたとき、そして第2のレーザ光源17が駆動されたときに同期を取って検出動作し、まず波長λ1の光ビームL1に関する光検出信号S1を出力し、次いで波長λ2の光ビームL2に関する光検出信号S2を出力する。
【0042】
このように、時間間隔をおいて光検出器21から出力される光検出信号S1、および光検出信号S2は、ともに差分演算回路23に入力される。この差分演算回路23は、入力された光検出信号S1とS2を一旦内部メモリ(図示せず)に記憶し、次いでそれらの差分を求めて、差分信号Ssを出力する。
【0043】
この場合も上述の差分信号Ssを用いることにより、前述した参考例と同様の効果を得ることができる。
【0044】
次に図3は、本発明の第2の実施形態による表面プラズモン共鳴測定装置の概略側面形状を示すものである。この第2実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置においては、ダイクロイックミラー18で合波された後の光ビームLがビームエキスパンダ30によって拡径され、その状態で誘電体プレート13と金属薄膜14との界面13aに入射する。そこで光ビームLは、この界面13aの中の2次元領域を照射する。
【0045】
また界面13aで全反射した光ビームLはダイクロイックミラー20により、波長λ1の光ビームL1と波長λ2の光ビームL2とに分波される。光ビームL1と光ビームL2はそれぞれ、例えば2次元CCDセンサからなる第1の2次元光検出器41、第2の2次元光検出器42によって検出される。
【0046】
そしてこの場合も、第1の2次元光検出器41が出力する光検出信号S1および、第2の2次元光検出器42が出力する光検出信号S2は、ともに差分演算回路43に入力される。この差分演算回路43は、入力された光検出信号S1とS2から、同じ画素に関する(つまり界面13a内の同じ位置に関する)信号毎に両信号S1、S2間の差分を求めて、差分信号Ssを出力する。
【0047】
この第2の実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置において、2次元光検出器41および42がそれぞれ出力する光検出信号S1、S2は、光ビームLが照射された界面13aの中の2次元領域内における試料15の誘電率分布を示すもの、つまりは該試料15中の特定物質の濃度分布を示すものとなっている。
【0048】
そして、そのような光検出信号S1と光検出信号S2との間の差分を求めると、各信号S1、S2に乗っていた雑音成分が相殺されるので、差分信号SsはS/Nが十分に高いものとなり、該差分信号Ssに基づいて上記特定物質の濃度分布を精度良く求めることが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態の表面プラズモン共鳴測定装置は、上述の通りにして1つの試料15中の特定物質の濃度分布を求める他、多数のセンサチップを2次元的に配置してなるセンサアレイを用いて、それらのセンサチップに保持された試料の定量分析をまとめて行なうために使用することもできる。
【0050】
図4は、そのようなセンサアレイの一例を示している。このセンサアレイ50は、多数のセンサチップ51を2次元的に配置してなるものであり、図3の装置において試料15に換えて金属薄膜14の上に配して用いられる。センサチップ51は、例えば、分析対象の試料中の特定物質と結合するセンシング媒体を保持したものである。このような特定物質とセンシング媒体との組合せとしては、例えば抗原と抗体とが挙げられる。その場合は、光検出信号S1と光検出信号S2との間の差分を取った差分信号Ssに基づいて、抗原抗体反応を検出することができる。
【0051】
そして光検出信号S1、S2はそれぞれ、光ビームLが照射された界面13aの中の2次元情報を担持しているので、多数のセンサチップ51の各位置に対応する差分信号Ssを抽出すれば、抽出された差分信号Ssはそれぞれセンサチップ51毎の情報(上記の例では抗原抗体反応)を示すものとなる。
【0052】
そしてこの場合も、光検出信号S1と光検出信号S2との間の差分を求めると、各信号S1、S2に乗っていた雑音成分が相殺されるので、差分信号SsはS/Nが十分に高いものとなり、該差分信号Ssに基づいて上記抗原抗体反応等を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に対する参考例としての表面プラズモン共鳴測定装置の概略側面図
【図2】 本発明の第1の実施形態による表面プラズモン共鳴測定装置の概略側面図
【図3】 本発明の第2の実施形態による表面プラズモン共鳴測定装置の概略側面図
【図4】本発明の表面プラズモン共鳴測定装置において使用されるセンサアレイの平面図
【図5】表面プラズモン共鳴測定装置における光ビーム入射角と、光検出手段による検出光強度との概略関係を示すグラフ
【図6】表面プラズモン共鳴測定装置における光ビームの波長と、光検出手段による検出光強度との概略関係を示すグラフ
【符号の説明】
11 誘電体プリズム
12 屈折率マッチング液
13 誘電体プレート
13a 誘電体プレートと金属薄膜との界面
14 金属薄膜
15 試料
16 第1のレーザ光源
17 第2のレーザ光源
18、20 ダイクロイックミラー
21 第1の光検出器
22 第2の光検出器
23 差分演算回路
25 駆動制御回路
30 ビームエキスパンダ
41 第1の2次元光検出器
42 第2の2次元光検出器
43 差分演算回路
50 センサアレイ
51 センサチップ
L1、L2、L 光ビーム
S1、S2 光検出信号
Ss 差分信号
Claims (4)
- 誘電体ブロックと、
この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、
互いに異なる2つ以上の波長の光ビームの各々を発する、併設された複数の光源と、
前記2つ以上の波長の光ビームを、前記誘電体ブロックと金属膜との界面に対して、全反射条件が得られる固定の入射角で、誘電体ブロック側から前記界面の同一位置に入射させる入射光学系と、
前記界面で全反射した光ビームの強度を各波長毎に測定する光検出手段と、
該光検出手段が出力する、互いに異なる2つの波長の光ビームについての光検出信号の差分を求める演算手段とからなる表面プラズモン共鳴測定装置において、
前記光源が、前記2つ以上の波長の光ビームを互いに時間間隔をおいて射出するように構成され、
前記入射光学系が、前記2つ以上の波長の光ビームを前記界面に対して、共通の入射角で入射させるように構成され、
前記光検出手段が、前記光源の光ビーム射出タイミングと同期したタイミングで検出動作することにより、前記光ビームの強度を各波長毎に測定する1つの光検出器から構成されていることを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。 - 前記複数の光源が、互いに異なる3つ以上の波長の光ビームを各々発するものであり、
前記演算手段が、それらの波長のうち表面プラズモン共鳴条件を満たす2つの波長の光ビームについての光検出信号の差分を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の表面プラズモン共鳴測定装置。 - 前記入射光学系が、前記光ビームにより前記界面の中の2次元領域を照射するように構成され、
前記光検出手段が、前記界面で全反射した光ビームの強度を、前記2次元領域内の各位置毎に検出する2次元光検出器から構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の表面プラズモン共鳴測定装置。 - 前記金属膜の表面上に、試料中の特定成分と相互作用を生じるセンシング媒体が配されていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の表面プラズモン共鳴測定装置。
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