JP4173580B2 - ポリスチレン系発泡粒子成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は互いに連通した空隙を有するポリスチレン系発泡粒子成形体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、透水性を保有しながら土砂等のフィルター機能に優れ、かつ強度にも優れたポリスチレン系発泡粒子成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連通した空隙を保有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、その連通空隙の持つ透水性を利用して暗渠排水材、軽量盛土材等に使われている。
特にポリスチレン系発泡粒子の空隙保有成形体は透水性、耐久性、断熱性、施工性を備えた部材として近年注目されており、土木分野例えば軟弱土壌の暗渠排水材、屋上庭園の土中面状排水材あるいは透水性歩道の凍上防止材等に好適に用いることができ利用され始めている。
【0003】
かかる空隙を有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は従来から知られている。
例えば特開平7−137065号公報には3次元座標の寸法を規定した発泡体を結合してなる発泡成形体が示されており、空隙部の最大径をLとした場合に、Lが2mm以上の空隙部の全個数に対してLが2〜10mmの空隙部の個数の割合が0.9以上である成形体は土砂が詰まりにくいことが開示されている。
また、特開平7−137068号公報には上記と同様な3次元座標の寸法を規定した発泡体を結合してなる発泡成形体で、透水係数が1.0×10-2〜9.0×10-2cm/秒であるものが透水性、強度の観点で好ましいことが記載されている。
【0004】
また、特開平9−324410号公報にはS字型の合成樹脂発泡部材が互いに溶着された透水性ブロック成形体で土中排水を行うこと及び成形体に窪みや溝等形成させて排水路を形成させることが示されている。
また、特開平1−163331号公報には軟弱地盤に埋設するコンクリートブロック外壁を透水性発泡スチロールで覆い土中水を排水する構造が開示されている。
更に、空隙を有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の製法として、特開昭60−104318号公報及び特開平5−177723号公報には異形または非球形のポリスチレン系発泡粒子を金型内で成形する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−137065号公報に記載された発泡粒子成形体では土砂が詰まりにくい替わりに透水性が十分でなく土中排水に時間がかかるという問題があった。
特開平7−137068号公報に記載の発泡粒子成形体では透水係数が1.0×10-2〜9.0×10-2cm/秒のものが開示されているが、該透水係数は細かい砂の透水係数と同等であり、土壌の排水を迅速に行うための排水材としては透水性能が不足していた。また、オレフィン系樹脂を発泡粒子の基材樹脂として使用しているため、圧縮強度や圧縮クリープ耐性に問題があった。
【0006】
特開平9−324410号公報にはブロック成形体を構成する粒子の形状が規定されているが、透水性とフィルター機能を両立させにくいものであった。即ち、発泡粒子を互いに溶着させる成形体製造工程において、発泡粒子の加熱膨張を抑えて発泡粒子間空隙を大きくしたものでは透水性能は高まるものの、発泡粒子同士の融着が不十分になりやすく成形体の強度に問題があった。また、発泡粒子のサイズを大きくして粒子間の空隙サイズを大きくすると、フィルター機能が低下して空隙部から土砂が流出しやすいという問題がおこった。逆に、発泡粒子を小さくして粒子間空隙サイズを小さくすると土砂の流出は少なくなるが、空隙に土砂が詰まって透水性が低下しやすく長期の透水性能の維持が難しかった。また、特開平1−163331号公報の透水性発泡スチロールも透水性とフィルター機能を両立させにくいという問題があった。
【0007】
特開昭60−104318号公報、及び特開平5−177723号公報に開示される方法では成形体内部の粒子同士の融着が不十分になるという問題があった。即ち、発泡粒子をスチームで加熱成形する際、型の表面部分の発泡粒子から先に膨張融着して粒子間の隙間を塞ぐため金型内部へのスチームの導入が抑えられてしまい成形体表面に比べ成形体内部の発泡粒子同士の融着が不十分になるという問題があった。
本発明は、上記従来技術の欠点を克服し、空隙を有するポリスチレン系発泡粒子成形体であって、透水性とフィルター機能の両方に優れ、かつ強度にも優れた成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するため鋭意検討した結果、空隙を有する発泡粒子成形体において、透水性能とフィルター機能を兼備するためには成形体中の透水流速のコントロールが重要であることに着目した。
即ち、成形体空隙部のうち透水流速の小さい部分にフィルター機能、大きい部分に透水機能を持たせ両者を混合分散させた構造とすることにより長期使用に耐えるものが得られる。
また、成形体空隙が表面と内部で均一で優れた透水性の発泡粒子成形体を製造するには発泡粒子の形状、発泡膨張力が重要である。本発明はこれらの点に着目してなされたものである。
【0009】
即ち、本発明の発泡粒子成形体は、複数のポリスチレン系発泡粒子を加熱発泡させて結合してなり、該発泡粒子間に互いに連通する空隙が形成された発泡粒子成形体であって、該成形体断面100cm2 当たりに前記発泡粒子が40〜80個存在し、前記成形体断面100cm2 当たりに最大径が15〜30mmである空隙が1〜10個存在し、該成形体の空隙率が8〜20%で、透水係数(cm/秒)が0.15〜2.00であることを特徴とするポリスチレン系発泡粒子成形体に係わる。
更には、発泡粒子が揮発性発泡剤を樹脂100重量部当たり2〜4重量部含有し、1粒当たりの体積が2〜6cm3 で、充填空隙率が40〜60%であるポリスチレン系発泡粒子を金型キャビティー内に充填し、水蒸気で加熱して成形する成形体の製造方法に係わる。
【0010】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
まず、本発明の成形体断面の空孔サイズについて図面を用いて説明する。図1は成形体断面の模式図である。図中1は発泡粒子部の断面であり、2は発泡粒子間の空隙を示す。Aは、成形体断面において観察される各空隙の最大径の寸法を示す。Aは、各空隙の外形を平行な2直線で挟んだ時の直線間距離の最大径に相当する。
【0011】
本発明の成形体では、成形体の透水機能及びフィルター機能を両立させる観点から、成形体断面積100cm2 当たりに存在する最大径Aが15〜30mmである空隙の数(以下Naとする)が1〜10個であることが必要である。Aの値が15mm未満の空隙は土砂のフィルター機能を保有するが透水機能は小さく、一方Aの値が30mmを越える空隙はフィルター機能を有しない。従って本発明ではAの値が15〜30mmの空隙数に着目した。また、Naが1未満では透水機能が小さく、10を越えると成形体圧縮強度、圧縮クリープ耐性及びフィルター機能が低下する。Naの値の更に好ましい範囲は2〜6である。
【0012】
本発明の成形体では、成形体断面100cm2 当たりに存在する発泡粒子の数(以下Nrとする)は粒子間の空隙を適度にし、フィルター機能を確保できる点で、30〜90個が好ましい。このNrが30個未満では空隙の数が減り空隙1個当たりのサイズが大きくなってフィルター機能を低下させる要因となる。逆にNrが90個を越えると空隙の数が増え空隙1個当たりのサイズが小さくなって透水機能を低下させる。Nrの値は更に好ましくは50〜80個である。
【0013】
本発明の成形体の空隙率(以下Vとする)は成形体の透水性を確保するため8〜35%である必要がある。Vが8%未満では透水性が確保できず、またVが35%を越えると発泡粒子同士の融着が不十分となり、成形体の圧縮強度や圧縮クリープ耐性が低下するので好ましくない。Vの更に好ましい範囲は10〜30%であり、特に好ましい範囲は10〜20%である。
上記したように本発明の成形体ではNa、Nr、Vの3者を満たすことが成形体の透水機能及びフィルター機能を両立させる点で重要である。
本発明で得られる成形体の空隙は連続したものである。即ち、成形体の一面から裏側の面に空隙が通じており、成形体を水中に没した場合に水が入り込める部分を成形体の空隙という。
【0014】
次に本発明の発泡粒子成形体の製造方法について説明する。
成形時に金型キャビティーに充填される発泡粒子に含有される発泡剤量は発泡粒子の膨張力を適正にする観点から、1.5〜4重量部が好ましい。即ち、発泡剤量が1.5重量部未満では発泡粒子の膨張力が不足して十分な粒子間の融着を達成できず、成形体が成形後に収縮しやすい。また、発泡剤量が4重量部を越えると発泡粒子の膨張力が高すぎて粒子間の空隙が埋まってしまい、空隙率をコントロールすることが難しい。また、型表面の発泡粒子から膨張融着が起こり型内部へのスチームの導入部が塞がれて内部融着が不十分となる。
本発明において、発泡粒子に発泡剤が1重量部含有されるとは、樹脂100重量部に対して発泡剤が1重量部含有されているということである。
【0015】
本発明の成形体製造法では、金型キャビティーに充填される発泡粒子1粒当たりの体積は、成形体空隙のサイズを適正なものにできる観点から2〜6cm3 である。発泡粒子体積1粒当たりの体積が2cm3 に満たないものでは成形体の空隙サイズが小さくなり透水機能を低下させる。逆に1粒当たりの体積が6cm3 を越えるものでは成形体の空隙サイズが大きくなりフィルター効果が低下するので好ましくない。発泡粒子の体積の更に好ましい範囲は2〜5cm3 である。ここでいう発泡粒子の体積は、成形に使用する任意の20個の発泡粒子の体積の算術平均をいう。
【0016】
本発明で用いる発泡粒子の充填空隙率は成形体空隙率を大きくできる観点で40〜60%である。発泡粒子の充填空隙率とは発泡粒子を容器に充填し、加重0.2KPaをかけた状態での粒子間空隙率をいう。加重0.2KPaをかけるのは粒子の充填状態で空隙率値が変わらないようにするため充填粒子に一定の荷重をかけ空隙率が一定に測れるようにするためである。充填空隙率の値の更に好ましい範囲は45〜55%である。充填空隙率が40〜60%となるには粒子形状が球、円筒、楕円球等では達成できない。粒子表面に複数個の窪みを有することが必須である。本発明においては充填空隙率が40〜60%であれば粒子形状には拘らない。
【0017】
本発明の成形体の製造方法で金型キャビティーに充填する発泡粒子密度は、成形性の点から0.012〜0.100g/cm3 が好ましい。密度が0.012g/cm3 未満では粒子の膨張力が小さくなる。0.100g/cm3 超えると強度は大きいが重量が増え製造コストも大きくなる。密度の更に好ましい範囲は0.015〜0.050g/cm3 である。
本発明の成形体の製造方法は上記した発泡粒子を金型キャビティー内に充填し、水蒸気で型内を加熱し成形する工程からなる。成形方法については公知の方法を用いることができる。例えば多数のステーム孔又はスリットを有する金型のキャビティー内に発泡粒子を充填し次いでキャビティー内に95〜110℃のスチームを所定時間導入し更にキャビティー内を冷却して成形体を取り出す方法が一般的である。
【0018】
本発明で用いるポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン系モノマーを50%以上含有するスチレン系単独あるいは共重合体を用いることができる。スチレン系モノマーとしては、スチレンの外、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルメチルスチレン等の核アルキル置換スチレン、クロルスチレン等の核ハロゲン化スチレン等であり、単独あるいは2種以上の混合物として用いられる。
スチレン系共重合モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メチルメタクリレート、無水マレイン酸等がある。また、上記スチレン系樹脂中に共役ジエン系重合体を含有するもの、ABS等を用いることができる。共役ジエン系重合体とは、例えばハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体(ランダム及びブロック)、イソプレンゴム等である。
【0019】
これらの中で特に好ましいものは汎用性、発泡剤保持性の点から、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレンである。
樹脂には必要に応じて、滑剤、離型剤、帯電防止剤、発泡核剤、紫外線安定剤等の添加剤を加えることができる。
本発明で用いられる揮発性発泡剤としては、沸点が−80〜+100℃の範囲にあるもの、例えばブタン、nペンタン、イソペンタン、ヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン等の環状脂肪族炭化水素の外、ハロゲン化炭化水素等を用いることができる。
【0020】
本発明で用いるポリスチレン系発泡粒子は公知の方法を用いて製造することができる。例えば、(a)押出機内でポリスチレン系樹脂と発泡剤を混合し未発泡状態でダイノズルからストランド状に押し出したものを粒子状にカットし、スチーム等の加熱により発泡粒子とする方法、(b)表面窪みを有する樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、スチーム等の加熱により発泡粒子とする方法、(c)押出機内で樹脂と発泡剤を混合し、ダイノズルからストランド状に発泡させながら押し出したものを粒子状にカットする方法、(d)樹脂発泡体の粉砕品を用いる方法等がある。尚、上記(a)〜(d)の発泡粒子の製造法の内、作業性等が容易なことから(a)の方法が好ましい。(a)の場合、ダイノズルの断面形状はS字、W字、あるいはM字状等がある。
未発泡粒子あるいは発泡粒子の大きさはダイノズルの大きさを変えることや、ダイノズルから溶融押し出しされるストランドの引き取り速度を加減することにより所望の大きさに調整することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例、比較例中の発泡粒子及び成形体の性質は以下のようにして測定あるいは評価した。
(1)発泡粒子の密度Dr
発泡粒子をメスシリンダー中で水没させ、水位上昇値を測定して発泡粒子が押しのけた水量を求め、発泡粒子の体積とした。発泡粒子の重量を測定し、重量を体積で除して発泡粒子の密度Dr(g/cm3 )を求めた。
【0022】
(2)発泡粒子の充填空隙率
内容積30cm×30cm×30cmの木製容器の重量を測定する。次にこの容器に発泡粒子を押さえつけないように入れて、発泡粒子の面上に0.2KPaに相当する静荷重(1.8kgの上蓋)を載せこの時の厚さが30cmとなる迄、発泡粒子を容器内に満たし、その時の容器の総重量を測定する。
容器の総重量から容器のみの重量を差し引いて発泡粒子の重量を求め、この重量を容器の内容積27000cm3 で除して充填状態でのかさ密度Da(g/cm3 )とする。発泡粒子の充填空隙率は以下の式で与えられる。
充填空隙率(%)=100×〔(Dr−Da)/Dr〕
【0023】
(3)発泡粒子の発泡剤含有率
発泡後充分に熟成乾燥させた発泡粒子を180℃熱板でプレスし、発泡粒子中の発泡剤を揮散させた。熱プレス前と熱プレス後の重量変化分をプレス前重量で除して発泡剤含有率とした。
(4)成形体のかさ密度Dsa
10cm立法の成形体の重量を測定し、得られた重量を1000cm3 で除して成形体のかさ密度Dsa(g/cm3 )を求めた。
【0024】
(5)成形体の空隙率V(%)
10cm立法の成形体を石鹸水中に水没させ、成形体空隙部に十分水を浸透させた後の水位の上昇分体積を成形体の実体積U(cm3 )とした。成形体の見かけの外形体積は1000cm3 であるので実体積との差が空隙体積となる。
成形体の空隙率Vは以下の式で与えられる。
V(%)=100×〔(1000−U)/1000〕
【0025】
(6)成形体透水係数
JIS−A−1218の定水位透水性試験法により測定した。下記の記号により透水性を評価した。
記号 評価
◎ 透水係数が1cm/秒以上。
○ 0.1cm/秒以上〜1cm/秒未満。
△ 0.01cm/秒以上〜0.1cm/秒未満。
× 0.01cm/秒未満。
【0026】
(7)成形体のフィルター性能
内寸縦横15cm×50cm、深さ50cm、側面底部に排水口を設けた容器に縦横15×50cmで厚み10cmに切り出した成形体を容器底部に設置した。成形体の上に全面にわたって砂土を深さ30cmに充填した。更にその上から水道水を供給して容器下部の排水口から水を排水させた。水は砂土上に冠水するよう常に補充供給し連続的に給水排水を行った。排水の状況に応じて下記の記号よりフィルター性能を評価した。
記号 評価
○ 排水が透明で澄んでいる。
△ 排水が懸濁状に濁っているが固形物の沈殿は見られない。
× 排水に固形物砂土が混入している。
【0027】
(8)成形体の5%圧縮強度
JIS−Z−0234のA法に基づいて測定した。
評価は以下のように行った。
記号 評価
○ 5%圧縮強度が0.06MPa以上
△ 0.03MPa以上〜0.06MPa未満
× 0.03MPa未満
【0028】
(9)成形体の圧縮クリープ
JIS−K−6767に基づいて測定した。荷重は0.01MPaで30日間荷重をかけ寸法の減少率を以下のように評価した。
記号 評価
◎ 圧縮クリープ値が2%未満
○ 2%以上〜5%未満
△ 5%以上〜10%未満
× 10%以上
【0029】
【実施例1】
ポリスチレン樹脂(旭化成工業社製 商品名「スタイロン680」)を押出し機中で加熱溶融させ、更に発泡剤としてノルマルペンタンを押出し機に供給して樹脂に含浸させた。更に、発泡剤含有熱可塑性樹脂をS型のダイノズルより発泡を抑えたストランド状に押出し、直ちに水冷した後、回転刃を備えたカッターでストランド押し出し方向と垂直方向に粒子状にカットした。得られた粒子を100℃のスチームで180秒間加熱し、熟成させて密度(Dr)が0.030g/cm3 の発泡粒子とした。発泡粒子の体積は3.0cm3 であり、充填空隙率は49%であった。得られた発泡粒子の性状を表1に示す。
【0030】
この発泡粒子は発泡剤含有量が3.2重量部であったが、この粒子を900mm×1800mm×300mmの内寸を持ち、大気開放弁を備えた金型キャビティー内に充填した。スチーム(100℃)をスチーム導入弁より金型キャビティー内に300秒間導入し、大気開放弁よりスチームを排気しつつ金型キャビティー内を加熱した。次に、大気開放弁を開としたままブロアーにより空気(20℃)を金型キャビティー内に30秒間導入した。空気導入終了後直ちに金型を開いて成形体を取り出した。
【0031】
得られた成形体を50℃中で2時間乾燥させた。乾燥後の成形体のかさ密度は13.5kg/m3 であった。成形体断面100cm2 当たりの発泡粒子数(Nr)は58個、成形体断面100cm2 当たりの最大径15〜30mmである空隙の数(Na)は2個、成形体の空隙率(V)は11%であった。粒子の融着状態は成形体表面、内部とも良好であり、成形体の外観も収縮や反りは見られず良好であった。成形体の透水係数は0.18cm/秒であった。得られた成形体の性状を表1に示す。
【0032】
内寸縦横15cm×50cm、深さ50cmの容器で底部に直径7cmの排水口を設けた容器に、縦横15×50cmで厚み10cmに切り出した成形体を取り付けた。取り付け位置は成形体の縦横方向を容器の縦横方向に合わせ、容器底部から5cmを浮かせ空間となるようにして取り付け、成形体の上に全面にわたって砂土を深さ30cmに充填した。更にその上から水道水を供給して容器下部の排水口から水を排水させた。水は砂土上に冠水するよう常に補充供給し連続的に給水排水を30分間行った。排出水は透明で濁りは見られなかった。成形体の性能を表2に示す。
成形体の5%圧縮強度及び圧縮クリープは表2に示されるように良好なものであった。
【0033】
【実施例2】
ダイス形状をC型に変え、実施例1と同様な樹脂、発泡剤を用いて発泡性粒子を作製した。更に、得られた発泡性粒子を180秒間スチーム加熱し発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を実施例1と同じ成形金型に充填しスチームで300秒間加熱して成形体を作製した。得られた発泡粒子の性状及び成形体の形状を表1に示す。
成形体の透水係数、フィルター性能、5%圧縮強度、圧縮クリープ性は表2に示されるように良好なものであった。
【0034】
【実施例3】
実施例1と同様の樹脂、発泡剤を用いて押し出し操作を行い発泡剤を含有した発泡性粒子を得た。発泡性粒子をスチームで150秒加熱し、一旦熟成させた後、再度発泡粒子をスチームで120秒間加熱し、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を実施例1と同じ成形金型に充填し、スチームで360秒間加熱して成形体を得た。得られた発泡粒子、成形体の性状については表1、成形体の透水性能、強度性能については表2に示す。成形体の透水係数は良好であり、土砂のフィルター性は排水に若干の濁りは見られたが固形物の漏出は見られなかった。成形体の強度もほぼ良好であった。
【0035】
【実施例4】
実施例2より小型のC型のダイスでを用いて実施例1と同様な樹脂、発泡剤を用いて押し出し操作を行い発泡剤含有粒子を得た。更にこの粒子をスチームで150秒間加熱及び熟成させて表1に示される発泡粒子を得た。
更に実施例1と同じ成形金型に発泡粒子を充填しスチームを270秒間加熱して成形を行い表1、表2に示される性状の成形体を得た。
【0036】
【比較例1】
発泡剤の添加量を大きくする他は実施例1と同様な操作を行い、発泡剤含有量の多い発泡性粒子を得た。得られた発泡性粒子をスチームで150秒間加熱して表1に示す発泡粒子を得た。得られた発泡粒子は発泡剤含有量が4.5重量部であった。得られた発泡粒子を実施例1と同じ成形金型に充填してスチームで300秒間加熱し成形すると発泡膨張力が大きいため金型の表層付近で発泡粒子が膨張融着して成形体内部の加熱は不十分なものとなった。成形体断面の空隙数(Na)は12個であったが表面付近の空隙が少なく成っている影響で透水係数は0.07cm/秒と小さなものであった。表2に成形体の性能を示す。
【0037】
【比較例2】
実施例1と同じ発泡剤を3.0重量部含有する表1に示す球状のポリスチレン発泡粒子を準備した。発泡粒子体積が1.5cm3 と小さいため充填空隙率は35%と比較的小さいものであった。該発泡粒子を用いて実施例1と同様の金型でスチーム加熱300秒で成形すると得られた成形体の空隙数(Na)は0個であった。透水係数は0.03cm/秒で小さい物であった。
成形体の形状を表1にし、成形体の透水係数、フィルター性能、5%圧縮強度、圧縮クリープ性は表2に示す。
【0038】
【比較例3】
実施例1のダイスより大きいダイスを用いて実施例1と同様の樹脂、発泡剤を用いて押し出し操作を行い発泡剤を含有した発泡性粒子を得た。発泡性粒子をスチームで180秒加熱し、一旦熟成させた後、再度発泡粒子をスチームで120秒間加熱し、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を実施例1と同じ成形金型に充填し、スチームで360秒間加熱して成形体を得た。得られた発泡粒子、成形体の性状については表1、成形体の透水性能、強度性能については表2に示す。発泡粒子体積が8.0cm3 と大きいため成形体の空隙数(Na)は14個と多かった。Nrも25個と少なかった。透水係数は5.5と大きく良好であったが、成形体から土砂の流出が見られフィルター性能は劣る物であった。また、5%圧縮強度、圧縮クリープ性とも劣る物であった。
【0039】
【比較例4】
発泡剤の仕込み量を減らすほかは実施例1と同様な操作を行い発泡性粒子を得た。得られた発泡性粒子をスチームで150秒間加熱し表1の発泡粒子を得た。発泡剤含有量が1.2重量部と小さいため、発泡粒子の膨張力が不足し実施例1と同様の成形を行っても成形体の発泡粒子同士の融着が十分ではなく、成形体の空隙数(Na)も15個と大きかった。従って成形体のフィルター性能測定においては土砂の漏出が見られ、フィルター性能の劣るものであった。
発泡粒子の性状及び成形体の形状を表1にし、成形体の透水係数、フィルター性能、5%圧縮強度、圧縮クリープ性は表2に示す。
【0040】
【比較例5】
実施例1と同様の操作を行い発泡剤仕込み量を下げて表1の発泡粒子を得た。実施例1と同じ金型に発泡粒子を充填してスチーム加熱したがスチーム加熱時間が200秒と短かったため発泡粒子の膨張が不十分であり、成形体の空隙率が40%であった。成形体のフィルター性能及び強度性能は表2に示されるように不十分なものであった。
発泡粒子の性状及び成形体の形状を表1にし、成形体の透水係数、フィルター性能、5%圧縮強度、圧縮クリープ性は表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば透水性とフィルター機能の両方に優れ、かつ強度にも優れた、空隙を有するポリスチレン系発泡粒子成形体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡粒子成形体断面の模式図である。
【図2】発泡粒子成形体断面空隙部の最大寸法を示す図である。
【符号の説明】
1 成形体断面の発泡粒子部
2 成形体断面の粒子間の空隙部
A 空隙部の最大寸法
Claims (2)
- 複数のポリスチレン系発泡粒子を加熱発泡させて結合してなり、該発泡粒子間に互いに連通する空隙が形成された発泡粒子成形体であって、該成形体断面100cm2 当たりに前記発泡粒子が40〜80個存在し、前記成形体断面100cm2 当たりに最大径が15〜30mmである空隙が1〜10個存在し、該成形体の空隙率が8〜20%で、透水係数(cm/秒)が0.15〜2.00であることを特徴とするポリスチレン系発泡粒子成形体。
- 発泡粒子が揮発性発泡剤を樹脂100重量部当たり2〜4重量部含有し、1粒当たりの体積が2〜6cm3 で、充填空隙率が40〜60%であるポリスチレン系発泡粒子を金型キャビティー内に充填し、水蒸気で加熱して成形する請求項1記載の成形体の製造方法。
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