JP4172180B2 - 光学レンズおよび光情報記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体への情報の記録と、光記録媒体に記録された情報の再生と、の少なくとも一方を実行可能な光情報記録再生装置に設けられる光学レンズ、および、この光学レンズを備える光情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光記録媒体への情報の記録や、光記録媒体に記録された情報の再生を行う光ピックアップ装置(光情報記録再生装置)が知られている。光ピックアップ装置においては、半導体レーザ光源から出た光を対物レンズにより光記録媒体の情報記録面に集光し、情報の記録・再生を行うようになっている。
【0003】
光ピックアップ装置の対物レンズにおいては、光の利用効率を向上するため、表面に反射防止コートが設けられている。反射防止コートの製膜は、例えば、真空蒸着やスパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法などにより行われる。
一般的に、対物レンズの中央部から周辺部へ行くほど、反射防止コートは薄く形成される。例えば、レンズ面の一位置における法線と、光軸と、がなす角度をθとした場合に、反射防止コートの膜厚はcosθに比例する。角度θが45度である周辺部においては、角度θが0度である中央部に比べて、反射防止コートの膜厚が約0.7倍の厚さになる。
【0004】
また、通常、対物レンズの中央部において垂直入射する光の反射率が、光ピックアップ装置のレーザ光の波長に対して極小値を示すよう、反射防止コートの膜厚が設定されている。すなわち、対物レンズの中央部を透過する光量が最大となるよう、反射防止コートの膜厚が設定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、反射防止コートにおいては、光の入射角度が大きいほど、光の反射率の波長依存性が低波長側にシフトすることが知られている。また、対物レンズでは、中央部から周辺部へ行くほど、光の入射角度は大きい。
このため、従来の対物レンズにおいては、周辺部における光の反射率の波長依存性が、中央部における光の反射率の波長依存性よりも、より低波長側にシフトしていた。このため、周辺部において入射する光の反射率が極小値を示す波長は、中央部において入射する光の反射率が極小値を示す波長よりも、より短波長であった。
【0006】
したがって、上述の従来の対物レンズにおいては、中央部ではレーザ光に対する反射率が低いものの、周辺部ではレーザ光に対する反射率がより高く、よって、周辺部を透過する光量が、中央部を透過する光量に比べて、相対的に少なかった。このため、レンズ全体の透過光の分光強度の劣化、光の集束性能の低下によるビームスポット径の増大、ビーム光量の低下などの問題が生じていた。
【0007】
近年では、光記録媒体の大容量化のため、光による情報の記録や再生を高密度記録状態で実施できるよう、光ビームスポットの小径化、すなわち対物レンズによりビームスポットを十分に絞り込む試みがなされている。ビームスポット径は対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)に反比例するため、対物レンズの高NA化が進んでいる。最近では、レンズ有効径面の法線と光軸とが交わる角度が45度以上、さらに55度以上のレンズが用いられるようになっている。
【0008】
しかし、高NAの対物レンズはレンズ面の曲率が大きいため、レンズの周辺部における光の入射角度が非常に大きい。このため、周辺部を透過する光量が低下する程度が非常に大きく、高NAの対物レンズを用いているのにも関わらずスポット径の増大を抑えられず、光記録媒体の大容量化の妨げとなっていた。
【0009】
この問題を解決するため、周辺部を透過する光量が中央部より高くなるよう、周辺部における反射防止コートの膜厚を厚くすることが考えられるが、この場合には、周辺部における反射防止コートの膜厚の増大とともに、中央部においても反射防止コートの膜厚が増大する。このため、中央部において垂直入射する光の反射率の波長依存性がより高波長側にシフトし、反射率が極小値を示す波長がより高波長となる。よって、中央部を透過する光量が低下してしまう。
このため、ビーム形状が崩れ、ジッター特性の悪化、クロストークの増大等の問題が生じ、光記録・再生の性能低下が起こる可能性があった。このように、光の集光性と、光量と、の両方のバランスを最適化することは困難であった。
【0010】
特に、二種類の波長のレーザ光(例えば、波長660nmの光と波長785nmの光)を用いたDVD光ピックアップレンズにおいては、二種類の波長の光両方に対して、透過光量を向上するとともにビーム形状を最適化するのは、非常に困難であった。
【0011】
以上の問題をふまえ、本発明の課題は、スポット径の小径化と、透過光量の確保とを、バランス良く可能とする光学レンズ、および、この光学レンズを備える光情報記録再生装置を提供することである。
特に、より光集光性の良い高NAの光学レンズを提供し、また、光記録媒体の大容量化を実現できる光情報記録再生装置を提供することである。
また、波長630〜680nmのレーザ光や、波長400〜440nmのレーザ光を用いた光情報記録再生に用いる光学レンズや、二種類の波長のレーザ光を用いたDVDとCDの両方の光情報記録再生に用いる光学レンズを、より高性能化することである。
【0012】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、 少なくとも波長630〜670nmの範囲内の波長のレーザ光源から出た光を、光記録媒体上に集光することにより、この光記録媒体への情報の記録と、前記光記録媒体に記録された情報の再生と、の少なくとも一方を実行可能な光情報記録再生装置に設けられ、前記光を前記光記録媒体上に集光する光学レンズであって、レンズ面上の一位置における法線と、光軸と、がなす角度をθとした場合に、前記レーザ光源から出た光が入射する側の光入射側レンズ面は、角度θが45度以上である周辺部を有しており、前記光入射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長680〜820nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする。
【0013】
ここで、光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長710〜790nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのがより好ましい。
【0014】
請求項1記載の発明によれば、光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚が上述のように設定されているので、光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が極小を示す波長範囲は、680〜820nmとなり、レーザ光源の波長の範囲630〜670nmよりも高波長側となる。また、光入射側レンズ面において角度θがより大きい周辺領域では、光の入射角度が中央部に比べて大きいため、周辺領域において光の反射率が極小を示す波長範囲は、中央部において光の反射率が極小を示す波長の範囲よりも、より低波長側となる。
【0015】
このため、周辺領域の方が、中央部に比べて、波長630〜670nmのレーザ光源から出た光を相対的により多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化と、透過光量の向上を図ることができる。よって、波長630〜670nmのレーザ光を用いた光情報記録再生に用いる光学レンズをより高性能化することができ、光集光性の良い高NAの光学レンズを提供することができる。
【0016】
一方、仮に、光入射側レンズ面の中央部において光の反射率が極小を示す波長が820nmよりも大きいと、中央部における光の透過率が低くなりすぎて、周辺領域に比べて中央部を透過する光量が相対的に少なくなりすぎてしまう。このため、ビームスポット形状が崩れ、クロストーク等の問題が生じてしまう。
これに対し、請求項1記載の発明では、中央部において光の反射率が極小値を示す波長は820nm以下であるので、中央部を透過する光量が少なくなりすぎるのを抑えられる。よって、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット径を小径化できるとともに、透過光量を確保することができる。
【0017】
なお、請求項1記載の発明において、光入射側レンズ面が、角度θが53度以上である部分を有している場合には、より角度θが大きい周辺領域を透過する光量を確保できるので、さらなるスポット径の小径化に寄与することができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の光学レンズにおいて、光を出射する側の光出射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長650〜800nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする。
【0019】
ここで、光出射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長680〜790nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのがより好ましい。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、光出射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚が上述のように設定されているので、光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が極小を示す波長範囲は、650〜800nmとなり、レーザ光源の波長の範囲630〜670nmよりも高波長側にシフトした値となる。したがって、光出射側レンズ面においても、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与することができる。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の光学レンズにおいて、光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが45度である前記光入射側レンズ面の周辺部において角度0度で入射する光の反射率が波長480〜580nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚が上述のように設定されているので、光入射側レンズ面の周辺部において角度0度で入射する光の反射率が極小を示す波長範囲は、480〜580nmとなり、レーザ光源の波長の範囲630〜670nmよりも低波長側となる。このため、角度θが比較的大きい光入射側レンズ面の周辺部における透過光量が、中央部における透過光量に比べて相対的に多くなりすぎるのが抑えられる。したがって、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット径を小径化できるとともに、透過光量を確保することができる。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の光学レンズにおいて、波長650〜670nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源を備える光情報記録再生装置に設けられ、前記レーザ光源から出た光が入射する側の光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長700〜820nmの範囲内に極小値を示すとともに、角度θが45度である前記光入射側レンズ面の周辺部において角度0度で入射する光の反射率が波長490〜580nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されており、光出射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長670〜800nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、反射防止膜の膜厚が、それぞれ上述のように設定されているので、波長650〜670nmの範囲内のレーザ光源から出た光のスポット径の小径化と、光の透過光量の向上とを、よりバランス良く可能とすることができる。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の光学レンズにおいて、波長630〜670nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光と、波長770〜790nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光を、それぞれ光記録媒体上に集光することを特徴とする。
【0026】
ここで、請求項7記載の発明においては、光学レンズが、波長630〜670nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光と、波長780〜790nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光を、それぞれ光記録媒体上に集光するのが、より好ましい。
【0027】
請求項7記載の発明によれば、波長が630〜670nmの範囲内のレーザ光源から出た光を請求項1〜6のいずれかに記載の光学レンズにより集光するので、波長630〜670nmのレーザ光を用いたDVDの光情報記録再生に用いる光学レンズにおいて、スポット径の小径化と透過光量との両方の最適化を図ることができる。また、波長770〜790nmのレーザ光を用いたCDの光情報記録再生に用いる光学レンズにおいては、光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚が、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長680〜820nmの範囲内に極小値を示すよう厚さが設定されていることにより、好ましいビームスポット形状と透過光量とを得ることができる。以上のことから、請求項7記載の発明によれば、DVDとCDの両方の光情報記録再生に用いる光学レンズを、より高性能化することができる。
【0028】
請求項8記載の発明は、波長400〜440nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光を光記録媒体上に集光することにより、この光記録媒体への情報の記録と、前記光記録媒体に記録された情報の再生と、の少なくとも一方を実行可能な光情報記録再生装置に設けられ、前記光を前記光記録媒体上に集光する光学レンズであって、
レンズ面上の一位置における法線と、光軸と、がなす角度をθとした場合に、前記レーザ光源から出た光が入射する側の光入射側レンズ面は、角度θが53度以上である周辺部を有しており、
前記光入射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長460〜650nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする。
【0030】
請求項8記載の発明によれば、光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚が上述のように設定されているので、光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が極小を示す波長範囲は、460〜650nmとなり、レーザ光源の波長の範囲400〜440nmよりも高波長側にシフトした値となる。
したがって、光入射側レンズ面において、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化と、透過光量の向上を図ることができる。よって、波長400〜440nmのレーザ光を用いた光情報記録再生に用いる光学レンズをより高性能化することができ、光集光性の良い高NAの光学レンズを提供することができる。
【0031】
一方、仮に、光入射側レンズ面の中央部において光の反射率が極小を示す波長が650nmよりも大きいと、中央部における光の透過率が低くなり、周辺領域に比べて中央部を透過する光量が相対的に少なくなる。これに対し、請求項8記載の発明では、中央部において光の反射率が極小値を示す波長は650nm以下であるので、中央部を透過する光量が少なくなるのを抑えられる。よって、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット径を小径化できるとともに、透過光量を確保することができる。
【0032】
請求項9の発明は、請求項8記載の光学レンズにおいて、光を出射する側の光出射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長410〜500nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする。
【0033】
ここで、光出射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長440〜480nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのがより好ましい。
【0034】
請求項9記載の発明によれば、光出射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚が上述のように設定されているので、光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が極小を示す波長範囲は、410〜500nmとなり、レーザ光源の波長の範囲400〜440nmよりも高波長側にシフトした値となる。したがって、光出射側レンズ面においても、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0046】
〔第1の実施の形態〕
本発明の光学レンズの第1の実施の形態例としてのレンズ1(図1に図示)は、光記録媒体への情報の記録や、光記録媒体に記録された情報の再生を実行可能な光ピックアップ装置(光情報記録再生装置)の対物レンズとして用いられるものである。
【0047】
図3に示す光ピックアップ装置10は、DVD(デジタル バーサタイル ディスク)とCD(コンパクト ディスク)の二種類の光記録媒体に適用可能な構成とされており、波長630〜680nm範囲内の半導体レーザと、波長770〜790nm範囲内の半導体レーザとを備えてなる半導体レーザ光源11、コリメータレンズ12、偏光ビームスプリッタ13、1/4波長板14、対物レンズ15(上述のレンズ1と同様のレンズ)、凸レンズ16、光検出器17を備えて構成されている。レンズ1(対物レンズ15)は、二つのレンズ面S1・S2のうち、曲率の大きい方のレンズ面S1を半導体レーザ光源11側に向けて、光ピックアップ装置10内に組み込まれている。
【0048】
半導体レーザ光源11の波長630〜680nm範囲内の半導体レーザ、または波長770〜790nm範囲内の半導体レーザから出射したレーザ光は、コリメータレンズ12により平行光に変換され、偏光ビームスプリッタ13によりP成分の光のみが透過されて、直線偏光(P偏光)に変換される。
P偏光は、1/4波長板14により右回りの円偏光に変換され、レンズ面S1側から対物レンズ15(レンズ1)に入射して、レンズ面S2側から出射し、光記録媒体R(DVDまたはCD)の情報記録面Aに集光される。
光記録媒体Rの情報記録面Aで反射された円偏光は、回転方向が逆(左回り)の円偏光に変換され、再び対物レンズ15を通過して、1/4波長板14によりS成分のみの直線偏光(S偏光)に変換される。
S偏光は、偏光ビームスプリッタ13により全反射され、凸レンズ16により光検出器17に集光される。
【0049】
光ピックアップ装置10においては、光検出器17によって戻り光量を検出することにより、光記録媒体Rの情報記録面Aに記録された情報を読み出して、情報の再生を行えるようになっている。また、光記録媒体Rの情報記録面Aの上面に、例えば染料層などを設けた構成では、対物レンズ15により高エネルギーのレーザ光を集光して、情報記録面Aに情報を記録できるようになっている。
【0050】
図1に示すように、レンズ1は、基材2と、レンズ面S1・S2にそれぞれ設けられる反射防止コート(反射防止膜)3・4と、を備えて構成されている。
レンズ面S1の周辺部P1には、レンズ面上の一位置における法線と、光軸Lと、がなす角度θ(図示略)が、45度以上である面が含まれている。
【0051】
基材2は、例えば、プラスチック材料や、硝子材料や、これらの複合体などにより構成されている。前記プラスチック材料は、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(日本ゼオン社製のゼオネックス樹脂等)、環状オレフィンコポリマー樹脂などの透明な樹脂材料からなるものである。また、前記硝子材料としては、従来より周知の光学用硝子が用いられる。
基材2は、プラスチック材料の射出成形や、硝子モールド成形、研磨加工、切削加工等によりレンズ形状に加工して、作製される。
なお、図1では図示しないが、基材2と反射防止コート3・4との間に、保護層、下引き層などの表面処理層が設けられている構成としても良い。
【0052】
反射防止コート3・4は、例えば、真空蒸着法や、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法(特開2001−100008号公報、特開2000−147209号公報)などの従来より周知の製膜方法により、積層状に製膜される。図2に示すように、反射防止コート3・4は、基材2上に設けられる第1層5と、第1層5上に設けられる第2層6と、を備えて構成されている。第1層5は、第2層6の材料に比べて屈折率の高い材料で構成されている。
具体的には、第1層5を構成する高屈折率材料としては、例えば、酸化セリウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニューム、酸化アルミニューム、窒化シリコン、酸素含有窒化シリコンなどが挙げられる。また、第2層6を構成する低屈折率材料としては、例えば、酸化シリコン、フッ化マグネシュームなどが挙げられる。
ここで、第1層5、第2層6は、上述の高屈折率材料、低屈折率材料のうちの一種類から構成されていても良いし、複数の種類の材料を混合して構成されていても良い。
【0053】
図1に示すレンズ1においては、レンズ面S1において、中央部C1から周辺部P1に向かうにつれて、反射防止コート3の膜厚が薄くなるよう形成されている。また、レンズ面S2において、中央部C2から周辺部P2に向かうにつれて、反射防止コート4の膜厚が薄くなるよう形成されている。
【0054】
反射防止コート3の膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S1の中央部C1において角度0度で入射する光の反射率が、波長680〜820nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長710〜790nmの範囲内に極小値を示すよう、反射防止コート3の膜厚が設定されていれば、より好ましい。
【0055】
また、反射防止コート4の膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S2の中央部C2において角度0度で入射する光の反射率が、650〜800nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長680〜790nmの範囲内に極小値を示すよう、反射防止コート4の膜厚が設定されていれば、より好ましい。
【0056】
また、反射防止コート3の膜厚は、前記角度θが45度であるレンズ面S1の周辺部P1において角度0度で入射する光の反射率が、480〜580nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長500〜560nmの範囲内に極小値を示すよう、反射防止コート3の膜厚が設定されていれば、より好ましい。
【0057】
ここで、光ピックアップ装置10の半導体レーザ光源11が備える半導体レーザの波長が、650〜670nmの範囲内の少なくとも一種類である場合には、反射防止コート3の膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S1の中央部C1において角度0度で入射する光の反射率が、波長700〜820nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのが好ましい。
また、反射防止コート3の膜厚は、前記角度θが45度であるレンズ面S1の周辺部P1において角度0度で入射する光の反射率が、波長490〜580nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのが好ましい。
また、反射防止コート4の膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S2の中央部C2において角度0度で入射する光の反射率が、670〜800nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのが好ましい。
【0058】
以上のように、第1の実施の形態例のレンズ1では、レンズ面S1の中央部C1において光の反射率が極小を示す波長の範囲680〜820nmは、波長630〜680nmのレーザ光源の波長範囲に対し、より高波長側となる。
また、周辺部P1では、光の入射角度が中央部C1に比べて大きいため、周辺部P1において光の反射率が極小を示す波長の範囲は、中央部C1において光の反射率が極小を示す波長の範囲よりも、より低波長側となる。
このため、周辺部P1の方が、中央部C1に比べて、波長630〜680nmの範囲の半導体レーザから出た光を、相対的により多く透過することになるので、波長630〜680nmのレーザ光を用いるDVDの光情報記録再生において、ビームスポット形状の小径化と、透過光量の向上を図ることができる。
【0059】
一方、仮に、中央部C1において光の反射率が極小値を示す波長が820nmよりも大きいと、中央部C1における光の透過率が低くなりすぎて、周辺部P1に比べて中央部C1を透過する光量が相対的に少なくなりすぎてしまう。このため、ビームスポット形状が崩れ、クロストーク等の問題が生じてしまう。
これに対し、第1の実施の形態のレンズ1では、中央部C1において光の反射率が極小値を示す波長は820nm以下であるので、中央部C1を透過する光量が少なくなりすぎるのを抑えられる。よって、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット形状を小径化できるとともに、透過光量を確保することができる。
【0060】
また、レンズ面S2の中央部C2において光の反射率が極小を示す波長の範囲650〜800nmは、波長630〜680nmのレーザ光源の波長範囲よりも高波長側にシフトした値となる。したがって、レンズ面S2においても、周辺部P2の方が、中央部C2に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与することができる。
【0061】
また、角度θが0度である中央部C1・C2や、角度θが45度以上である周辺部P1における反射防止コート3・4に対して、角度0度で入射する光の反射率が、上述したそれぞれの各所定波長範囲内に極小値を示すよう、反射防止コート3・4の膜厚が設定されている場合には、ビームスポット形状の小径化と、光の透過光量の向上とを、よりバランス良く可能とすることができる。
【0062】
また、反射防止コート3の膜厚が、レンズ面S1の中央部C1において角度0度で入射する光の反射率が波長680〜820nmの範囲内に極小値を示すよう厚さが設定されていることにより、波長770〜790nmのレーザ光を用いるCDの光情報記録再生において、好ましいビームスポット形状と透過光量とを得ることができる。
したがって、DVDとCDの両方の光記録媒体Rの光情報記録再生を行う光ピックアップ装置10において、DVDとCDの記録・再生を良好に行うことができる。
【0063】
また、より曲率の大きいレンズ面S1の周辺部P1には、角度θが45度である面が含まれている。したがって、角度θが比較的大きいレンズ面を有する高NAの光学レンズにおいて、より光集光性を向上でき、光記録媒体の大容量化の実現に寄与できる。
【0064】
また、レンズ1を備える光ピックアップ装置10によれば、半導体レーザ光源11から出た光が、上述のレンズ1によって光記録媒体上に集光されるので、ビームスポット径の小径化と、透過光量の向上を図ることができる。したがって、従来に比べて、光記録媒体へ情報をより高密度に記録したり、より高密度に情報が記録された光記録媒体から情報を再生でき、よって、光記録媒体の大容量化を実現することができる。
【0065】
なお、第1の実施の形態においては、反射防止コート3・4が第1層5と第2層6を備えて構成されているものとしたが、光の反射率を低く抑えて反射防止膜としての性能を有していれば良く、特に上述の構成に限定されるものではない。
【0066】
また、レンズ面S1の周辺部P1は角度θが45度以上である部分を有するものとしたが、さらに、角度θが53度以上である部分を有する構成とすれば、周辺領域での光の透過光量を向上でき、よりバランス良く、ビームスポット形状の小径化と、光の透過光量の向上を図ることができる。
【0067】
また、光ピックアップ装置10は、DVDとCD両方に適用できるものとしたが、これに限らず、例えば、波長630〜380nm範囲内の半導体レーザのみを備えるDVD専用の光ピックアップ装置であっても良い。また、光ピックアップ装置10は、情報の記録や再生を実行可能であるものとしたが、これに限らず、情報の記録と再生のいずれか一方を実行可能な光ピックアップ装置に、本発明のレンズを適用できるのは勿論である。
【0068】
〔第2の実施の形態〕
本発明の光学レンズの第2の実施の形態例としてのレンズは、第1の実施の形態のレンズ1と同様に、光ピックアップ装置の対物レンズとして用いられるものである。ここで、第2の実施の形態例のレンズが適用される光ピックアップ装置は、上述の光ピックアップ装置10の半導体レーザ光源11が、波長400〜440nm範囲内の半導体レーザを備えてなる点を除いては、光ピックアップ装置10とほぼ同様の構成である。
【0069】
第2の実施の形態例のレンズは、後述する点を除いては、上述の第1の実施の形態例のレンズ1とほぼ同様の構成であるので、レンズ1と異なる点についてのみ、詳細に説明する。
第2の実施の形態例のレンズのレンズ面S1の周辺部P1には、前記角度θが53度以上である面が含まれている。
【0070】
また、レンズ面S1に設けられる反射防止コート3の膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S1の中央部C1において角度0度で入射する光の反射率が、波長420〜680nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長460〜650nmの範囲内に極小値を示すよう、反射防止コート3の膜厚が設定されていれば、より好ましい。
【0071】
また、レンズ面S2に設けられる反射防止コート4の膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S2の中央部C2において角度0度で入射する光の反射率が、410〜500nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長440〜480nmの範囲内に極小値を示すよう、反射防止コート4の膜厚が設定されていれば、より好ましい。
【0072】
ここで、反射防止コート3の膜厚は、前記角度θが45度であるレンズ面S1の周辺部P1において角度0度で入射する光の反射率が、300〜550nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのがより好ましい。
【0073】
以上のように、第2の実施の形態例のレンズでは、レンズ面S1の中央部C1において光の反射率が極小を示す波長の範囲420〜680nmは、レーザ光源の波長の範囲400〜440nmよりも高波長側にシフトした値となる。
したがって、レンズ面S1において、周辺部P1の方が、中央部C1に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット形状の小径化と、透過光量の向上を図ることができる。よって、波長400〜440nmのレーザ光を用いた光情報記録再生に用いる光学レンズをより高性能化することができる。
【0074】
一方、仮に、中央部C1において光の反射率が極小値を示す波長が680nmよりも大きいと、中央部C1における光の透過率が低くなりすぎて、周辺部P1に比べて中央部C1を透過する光量が相対的に少なくなりすぎてしまう。
これに対し、第2の実施の形態のレンズでは、中央部C1において光の反射率が極小値を示す波長は680nm以下であるので、中央部C1を透過する光量が少なくなりすぎるのを抑えられる。よって、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット形状を小径化できるとともに、透過光量を確保することができる。
【0075】
また、レンズ面S1の中央部C1において光の反射率が極小値を示す波長の範囲410〜500nmは、レーザ光源の波長の範囲400〜440nmよりも高波長側にシフトした値となる。したがって、レンズ面S2においても、周辺部P2の方が、中央部C2に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与することができる。
【0076】
〔第3の実施の形態〕
本発明の光学レンズの第3の実施の形態例としてのレンズ7(図4に図示)は、第2の実施の形態のレンズと同様に、光ピックアップ装置の対物レンズとして用いられるものである。ここで、第3の実施の形態例のレンズが適用される光ピックアップ装置は、第2の実施の形態例のレンズが適用される上述の光ピックアップ装置とほぼ同様の構成である。
【0077】
図4に示すように、レンズ7は、第1レンズ7aと第2レンズ7bとを備えて構成される二枚構成のレンズである。レンズ7は、第1レンズ7aを光ピックアップ装置の半導体レーザ光源11側に向けて、光ピックアップ装置内に組み込まれている。
【0078】
第1レンズ7aの二つのレンズ面S1a・S2aのうち、半導体レーザ光源11側となる方のレンズ面S1aには、前記角度θが0度(中央部C1a)から37度(周辺部P1a)の面が含まれている。また、第2レンズ7b側となる方のレンズ面S2aには、前記角度θが0度(中央部C2a)から10度(周辺部P2a)の面が含まれている。
【0079】
また、第2レンズ7bの二つのレンズ面S1b・S2bのうち、第1レンズ7a側となる方のレンズ面S1bには、前記角度θが0度(中央部C1b)から50度以上(周辺部P1b)の面が含まれている。また、光記録媒体R側となる方のレンズ面S2bには、前記角度θが0度(中央部C2b)から10度(周辺部P2b)の面が含まれている。
【0080】
第1レンズ7aと第2レンズ7bは、上述のレンズ1と同様に、基材と、それぞれのレンズ面S1a・S2a・S1b・S2bに設けられる反射防止コートと、を備えて構成されている。基材と、反射防止コートについては、後述する点を除いては、上述の第1の実施の形態例のレンズ1の基材2と反射防止コート3・4とほぼ同様の構成である。
【0081】
レンズ面S1aに設けられる反射防止コートの膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S1aの中央部C1aにおいて角度0度で入射する光の反射率が、波長400〜600nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長430〜560nmの範囲内に極小値を示すよう、前記反射防止コートの膜厚が設定されているのがより好ましい。
【0082】
また、レンズ面S2aに設けられる反射防止コートの膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S2aの中央部C2aにおいて角度0度で入射する光の反射率が、400〜500nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長420〜480nmの範囲内に極小値を示すよう、前記反射防止コートの膜厚が設定されているのがより好ましい。
【0083】
また、レンズ面S1bに設けられる反射防止コートの膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S1bの中央部C1bにおいて角度0度で入射する光の反射率が、波長420〜680nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長460〜650nmの範囲内に極小値を示すよう、前記反射防止コートの膜厚が設定されているのがより好ましい。
【0084】
また、レンズ面S2bに設けられる反射防止コートの膜厚は、前記角度θが0度であるレンズ面S2bの中央部C2bにおいて角度0度で入射する光の反射率が、410〜500nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されている。なお、前記光の反射率が、波長440〜480nmの範囲内に極小値を示すよう、前記反射防止コートの膜厚が設定されているのがより好ましい。
【0085】
ここで、レンズ面S1bに設けられる反射防止コートの膜厚は、前記角度θが45度であるレンズ面S1bの周辺部P1bにおいて角度0度で入射する光の反射率が、300〜550nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されているのがより好ましい。
【0086】
以上のように、第3の実施の形態例のレンズによれば、第1レンズ7aのレンズ面S1aの中央部C1aにおいて角度0度で入射する光の反射率が極小を示す波長の範囲400〜600nmは、レーザ光源の波長範囲400〜440nmと同程度、あるいはより高波長側にシフトした値となる。また、第2レンズ7bのレンズ面S1bの中央部C1bにおいて角度0度で入射する光の反射率が極小を示す波長の範囲420〜680nmは、レーザ光源の波長範囲400〜440nmよりも高波長側にシフトした値となる。
【0087】
したがって、レンズ7全体において、周辺部P1a・P1bの方が、中央部C1a・C1bに比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット形状の小径化と、透過光量の向上を図ることができる。
【0088】
一方、仮に、第1レンズ7aのレンズ面S1aの中央部C1aにおいて光の反射率が極小を示す波長が600nmよりも大きかったり、第2レンズ7bのレンズ面S1bの中央部C1bにおいて光の反射率が極小値を示す波長が680nmよりも大きいと、中央部C1a・C1bにおける光の透過率が低くなりすぎて、周辺部P1a・P1bに比べて中央部C1a・C1bを透過する光量が相対的に少なくなりすぎてしまう。
これに対し、中央部C1a・C1bにおいて光の反射率が極小値を示す波長の上限が上述のように設定されているので、中央部C1a・C1bを透過する光量が少なくなりすぎるのを抑えられる。よって、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット形状を小径化できるとともに、透過光量を確保することができる。
【0089】
また、レンズ面S2a・S2bの中央部C2a・C2bにおいて光の反射率が極小値を示す波長の範囲400〜500nm、410〜500nmは、光ピックアップ装置のレーザ光源の波長の範囲400〜440nmと同程度、あるいはより高波長側にシフトした値となる。
したがって、レンズ面S2a・S2bにおいても、周辺部P2a・P2bの方が、中央部C2a・C2bに比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与することができる。
【0090】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
1.第1の実施の形態例のレンズ
<レンズの透過率およびスポット形状の評価>
上述の第1の実施の形態例のレンズ1において、図5に示す層構成の反射防止コートを基材上に設けた場合のレンズ1の光透過率と、この透過率およびビームスポット形状の評価の結果を、図6に示す。ここで、レンズ1としては、開口数が0.6、レンズ面S1に角度θが0〜53度以上の領域を有する形状のものを用いた。
【0092】
なお、図5の「λ」の欄には、垂直(角度0度)で入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長を示している。
また、一例として、図5に示すNO.7の層構成の反射防止コートに角度0度で入射する光の反射率の波長依存性を、図11に示す。
【0093】
また、図6の「λ1」の欄には、レンズ1のレンズ面S1に設けられる反射防止コート3において、垂直で入射・出射するレンズ中央部C1の光の反射率が極小値を示す波長を示している。また、「λ2」の欄には、レンズ1のレンズ面S2に設けられる反射防止コート4において、垂直で入射・出射するレンズ中央部C2の光の反射率が極小値を示す波長を示している。
また、図6には、波長630〜670nm、780〜790nmそれぞれの範囲内の光の透過率(最小値〜最大値)を示している。また、図6には、透過率の評価と、ビームスポット形状の評価とを、○印、△印、×印により示している。
【0094】
透過率の評価においては、波長630〜670nmの光の透過率において、常に96%以上の透過率が得られる膜構成の欄には、実用上非常に良好なレベルであるとして○印を示し、常に95%以上の透過率が得られるとともに、常には96%以上の透過率が得られない膜構成の欄には、実用上良好なレベルであるとして△印を示し、それ以外の膜構成の欄には、実用上問題のあるレベルとして×印を示している。また、波長780〜790nmの光の透過率において、光の透過率が常に95%以上の値が得られる膜構成の欄には○印を示し、それ以外の膜構成の欄には×印を示している。
【0095】
また、ビームスポット形状の評価について、図7を参照して説明する。図7において、縦軸は光量であり、横軸は光軸からの距離を示している。
ビームスポット形状の評価においては、スポット径が比較的小さく、回折光の光量が比較的小さいもの(図7(a))については、膜構成の欄に○印を示している。また、スポット径は比較的小さいものの、回折光の光量が比較的大きいもの(図7(b))については、膜構成の欄に×印を示している。また、回折光の光量は比較的小さいものの、スポット径が比較的大きいもの(図7(c))については、膜構成の欄に×印を示している。
【0096】
透過率が△レベルで、かつ、スポット形状が○レベルであれば、光記録および再生の動作が問題なく行えると判断できる。また、透過率が○レベルで、かつ、スポット形状が○レベルであれば、光記録および再生の動作がより安定して良好に行えると判断できる。
【0097】
図6から、レンズ1の反射防止コート3・4に適用するのに好ましい層構成を知ることができる。
【0098】
すなわち、光ピックアップ装置の半導体レーザ光源のレーザ光の波長が、630〜670nmの範囲内である場合には、△レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S1において、角度θが0度である中央部C1における反射防止コート3の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1が680〜820nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。さらには、○レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、波長λ1が710〜790nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
このことから、中央部C1における反射防止コート3の層構成として、図5に示すNO.4〜NO.11を適用するのが好ましく、NO.6〜NO.9を適用するのがより好ましいことがわかる。
また、△レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S2において、角度θが0度である中央部C2における反射防止コート4の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ2が650〜800nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。さらには、○レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、波長λ2が680〜790nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
このことから、中央部C2における反射防止コート4の層構成として、NO.2〜NO.10を適用するのが好ましく、NO.4〜NO.9を適用するのがより好ましいことがわかる。
なお、波長λ1が680〜820nmの範囲内である層構成を中央部C1における反射防止コート3を適用した場合には、角度θが45度である周辺部P1において垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1aは、480〜580nmの範囲内であった。
【0099】
さらに、光ピックアップ装置の半導体レーザ光源のレーザ光の波長が、650〜670nmの範囲内である場合には、△レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S1において、角度θが0度である中央部C1における反射防止コート3の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1が700〜820nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。また、レンズ面S2において、角度θが0度である中央部C2における反射防止コート4の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ2が670〜800nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
このことから、中央部C1における反射防止コート3の層構成として、NO.5〜NO.11を適用するのが好ましく、中央部C2における反射防止コート4の層構成として、NO.3〜NO.10を適用するのが好ましいことがわかる。
なお、波長λ1が700〜820nmの範囲内である層構成を中央部C1における反射防止コート3を適用した場合には、角度θが45度である周辺部P1において垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1aは、490〜580nmの範囲内であった。
【0100】
また、レンズ1を短波長の630〜670nmの範囲内のレーザ光と、長波長の780〜790nmの範囲内のレーザ光を用いるDVD・CD両用の光ピックアップ装置に適用する場合に、短波長の光で△レベルの透過率、好ましくは○レベルの透過率を得、長波長の光で○レベルの透過率を得、かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S1において、角度θが0度である中央部C1における反射防止コート3の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1が680〜820nm、より好ましくは710〜790nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
また、レンズ面S2において、角度θが0度である中央部C2における反射防止コート4の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ2が650〜800nm、より好ましくは680〜790nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
このことから、中央部C1における反射防止コート3の層構成として、NO.4〜NO.11を適用するのが好ましく、中央部C2における反射防止コート4の層構成として、NO.2〜NO.10を適用するのが好ましいことがわかる。
なお、波長λ1が710〜790nmの範囲内である層構成を中央部C1における反射防止コート3を適用した場合には、角度θが45度である周辺部P1において垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1aは、500〜560nmの範囲内であった。
【0101】
<レンズの評価>
真空蒸着法により、レンズ状に加工された基材2のレンズ面S1・S2に、下記表1に示す層構成(各欄に示す層構成の番号は、上記図5に対応)の反射防止コート3・4をそれぞれ形成し、レンズ1を作成した(実施例1〜3、比較例1)。
【0102】
【表1】
ここで、表1のレーザ光波長の欄には、レンズ1を適用する光ピックアップ装置10の半導体レーザ光源11のレーザ光の波長を示している。
また、角度θの欄には、各レンズ面S1・S2が有する角度θの範囲を示している。
【0103】
実施例1の高NAレンズにおいては、レンズ面S1に660nmの平行光を照射した際、光の透過率は97%であり、ビームスポット形状は良好であった。
また、実施例2の高NAレンズにおいては、レンズ面S1に660nmの平行光を照射した際、光の透過率は97%であり、ビームスポット形状は良好であった。以上から、実施例1、2により、高い開口数を有する光集光性の良い対物レンズを提供できることがわかる。また、光ピックアップ装置において実施例1、2のレンズを対物レンズとして用いることにより、情報記録の大容量化を実現できることがわかる。
【0104】
実施例3の高NAレンズにおいては、レンズ面S1に660nmの平行光を照射した際、光の透過率は97%であり、ビームスポット形状は良好であった。また、レンズ面S1に785nmの平行光を照射した際、光の透過率は96%であり、ビームスポット形状は良好であった。
以上から、実施例3により、高い開口数を有する光集光性の良い対物レンズを提供できることがわかる。また、DVD・CD両用の光ピックアップ装置において実施例3のレンズを対物レンズとして用いることにより、DVDおよびCDの光記録の大容量化を実現できることがわかる。
【0105】
一方、比較例1のレンズにおいては、レンズ面S1に785nmの平行光を照射した際、光の透過率は97%であり、ビームスポット形状は良好であった。しかし、レンズ面S1に660nmの平行光を照射した際には、光の透過率は94.6%であり、ビームスポット形状にはノイズ光が多く含まれていた。
したがって、比較例1のレンズは、DVD用の光ピックアップ装置の対物レンズとして用いるのには不適であり、また、比較例1のレンズによっては、DVDの光記録の大容量化の実現は困難であることがわかる。
【0106】
2.第2の実施の形態例のレンズ
<レンズの透過率およびスポット形状の評価>
上述の第2の実施の形態例のレンズにおいて、図8に示す層構成の反射防止コートを基材上に設けた場合のレンズの光透過率と、この透過率およびビームスポット形状の評価の結果を、図9に示す。
ここで、一例として、図8に示すNO.9’の層構成の反射防止コートに角度0度で入射する光の反射率の波長依存性を、図11に示す。
【0107】
また、図9には、波長400〜440nmの範囲内の光の透過率(最小値〜最大値)を示している。また、図9には、透過率の評価と、ビームスポット形状の評価とを、○印、△印、×印により示している。
【0108】
透過率の評価においては、波長400〜440nmの光の透過率において、常に96%以上の透過率が得られる膜構成の欄には、実用上非常に良好なレベルであるとして○印を示し、常に95%以上の透過率が得られるとともに、常には96%以上の透過率が得られない膜構成の欄には、実用上良好なレベルであるとして△印を示し、それ以外の膜構成の欄には、実用上問題のあるレベルとして×印を示している。
【0109】
図9から、レンズの反射防止コート3・4に適用するのに好ましい層構成を知ることができる。
【0110】
すなわち、光ピックアップ装置の半導体レーザ光源のレーザ光の波長が、400〜440nmの範囲内である場合には、△レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S1において、角度θが0度である中央部C1における反射防止コート3の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1が420〜680nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。さらには、○レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、波長λ1が460〜650nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
このことから、中央部C1における反射防止コート3の層構成として、図8に示すNO.6'〜NO.17'を適用するのが好ましく、NO.10'〜NO.16'を適用するのがより好ましいことがわかる。
また、△レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S2において、角度θが0度である中央部C2における反射防止コート4の層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ2が410〜500nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。さらには、○レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、波長λ2が440〜480nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
このことから、中央部C2における反射防止コート4の層構成として、NO.5'〜NO.12'を適用するのが好ましく、NO.8'〜NO.11'を適用するのがより好ましいことがわかる。
なお、波長λ1が420〜680nmの範囲内である層構成を中央部C1における反射防止コート3を適用した場合には、角度θが45度である周辺部P1において垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ1aは、300〜550nmの範囲内であった。
【0111】
<レンズの評価>
真空蒸着法により、レンズ状に加工された基材2のレンズ面S1・S2に下記表2に示す層構成(各欄に示す層構成の番号は、上記図8に対応)の反射防止コート3・4をそれぞれ形成し、レンズを作成した(実施例4)。
【0112】
【表2】
【0113】
実施例4の高NAのレンズにおいては、レンズ面S1に660nmの平行光を照射した際、光の透過率は96.5%であり、ビームスポット形状は良好であった。したがって、実施例4により、高い開口数を有する光集光性の良い対物レンズを提供できることがわかる。また、光ピックアップ装置において実施例4のレンズを対物レンズとして用いることにより、情報記録の大容量化を実現できることがわかる。
【0114】
3.第3の実施の形態例のレンズ
<レンズの透過率およびスポット形状の評価>
上述の第3の実施の形態例のレンズ7の第1レンズ7aにおいて、図8に示す層構成の反射防止コートを基材上に設けた場合の第1レンズ7aの光透過率と、この透過率およびビームスポット形状の評価の結果を、図10に示す。
ここで、図10の「λ11」の欄には、第1レンズ7aのレンズ面S1aに設けられる反射防止コートにおいて、垂直で入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長を示している。また、「λ12」の欄には、第1レンズ7aのレンズ面S2aに設けられる反射防止コートにおいて、垂直で入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長を示している。
また、その他の点においては、図10の表の形式は、図9の表の形式と同様である。
【0115】
図10から、第1レンズ7aの反射防止コートに適用するのに好ましい層構成を知ることができる。
【0116】
すなわち、光ピックアップ装置の半導体レーザ光源のレーザ光の波長が、400〜440nmの範囲内である場合には、△レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S1aにおいて、角度θが0度である中央部C1における反射防止コートの層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ11が400〜600nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。さらには、○レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、波長λ11が430〜560nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。
また、△レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、レンズ面S2aにおいて、角度θが0度である中央部C2aにおける反射防止コートの層構成として、垂直入射・出射する光の反射率が極小値を示す波長λ12が400〜500nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。さらには、○レベルの透過率かつ○レベルのスポット形状を得るには、波長λ12が420〜480nmの範囲内である層構成を適用するのが好ましいことがわかる。以上から、中央部C1aにおける反射防止コートの層構成として、図8に示すNO.4'〜NO.15'を適用するのが好ましく、中央部C2aにおける反射防止コートの層構成として、NO.4'〜NO.12'を適用するのがより好ましいことがわかる。
【0117】
また、第3の実施の形態例のレンズ7の第2レンズ7bにおいて、図8に示す層構成の反射防止コートを基材上に設けた場合の第1レンズ7bの光透過率と、この透過率およびビームスポット形状の評価の結果は、上述の図9に示す結果と同様である。
したがって、第2の実施の形態例のレンズの実施例での検討内容と同様に、図9から、第2レンズ7bの中央部C1bにおける反射防止コートの層構成としては、図8に示すNO.6'〜NO.17'(より好ましくはNO.10'〜NO.16')を適用するのが好ましく、中央部C2bにおける反射防止コートの層構成として、NO.5'〜NO.12'(より好ましくはNO.8'〜NO.11')を適用するのが好ましいことがわかる。
【0118】
<レンズの評価>
真空蒸着法により、レンズ状に加工された基材のレンズ面S1a・S2a・S1b・S2bに、下記表3に示す層構成(各欄に示す層構成の番号は、上記図8に対応)の反射防止コートをそれぞれ形成し、レンズ7を作成した(実施例5、比較例2)。
【0119】
【表3】
【0120】
実施例5の高NAのレンズにおいては、レンズ面S1aに410nmの平行光を照射した際、光の透過率は95%であり、ビームスポット形状は良好であった。
したがって、実施例5により、高い開口数を有する光集光性の良い対物レンズを提供できることがわかる。また、光ピックアップ装置において実施例5のレンズを対物レンズとして用いることにより、情報記録の大容量化を実現できることがわかる。
【0121】
一方、比較例2のレンズにおいては、レンズ面S1に410nmの平行光を照射した際、光の透過率は90%と低く、ビームスポット形状はスポット幅が広くなり実用上不十分であった。
したがって、比較例2のレンズは、波長410nmのレーザ光を用いる光ピックアップ装置の対物レンズには不適であり、また、比較例2のレンズによっては、光情報記録の大容量化の実現は困難であることがわかる。
【0122】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、波長630〜680nmのレーザ光源を備える光情報記録再生装置に設けられる光学レンズにおいて、周辺領域の方が、中央部に比べて、レーザ光源から出た光を相対的により多く透過することになる。したがって、ビームスポット形状の小径化と、透過光量の向上を図ることができ、波長630〜680nmのレーザ光を用いた光情報記録再生に用いる光学レンズをより高性能化できる。また、光集光性の良い高NAの光学レンズを提供できる。また、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット形状を小径化できるとともに、透過光量を確保できる。
請求項2記載の発明によれば、光出射側レンズ面において、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与できる。
【0123】
請求項3記載の発明によれば、角度θが比較的大きい光入射側レンズ面の周辺部における透過光量が、中央部における透過光量に比べて相対的に多くなりすぎるのが抑えられる。したがって、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット径を小径化できるとともに、透過光量を確保できる。
【0124】
請求項4記載の発明によれば、波長650〜670nmの範囲内のレーザ光源から出た光のビームスポット形状の小径化と、光の透過光量の向上とを、よりバランス良く可能とすることができる。
請求項5記載の発明によれば、波長630〜680nmのレーザ光を用いたDVDの光情報記録再生と、波長770〜790nmのレーザ光を用いたCDの光情報記録再生と、に用いる光学レンズを、より高性能化することができる。
【0125】
請求項6記載の発明によれば、波長400〜440nmのレーザ光源を備える光情報記録再生装置に設けられる光学レンズにおいて、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになる。したがって、ビームスポット形状の小径化と、透過光量の向上を図ることができ、波長400〜440nmのレーザ光を用いた光情報記録再生に用いる光学レンズをより高性能化できる。また、光集光性の良い高NAの光学レンズを提供できる。
また、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット形状を小径化できるとともに、透過光量を確保できる。
請求項7記載の発明によれば、光出射側レンズ面において、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与できる。
【0126】
請求項8記載の発明によれば、波長400〜440nmのレーザ光源を備える光情報記録再生装置に設けられ、第1レンズと第2レンズとを備える光学レンズにおいて、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになる。したがって、ビームスポット形状の小径化と、透過光量の向上を図ることができ、波長400〜440nmのレーザ光を用いた光情報記録再生に用いる光学レンズをより高性能化できる。また、光集光性の良い高NAの光学レンズを提供できる。
また、ビームスポット形状の崩れを防止でき、バランス良く、スポット形状を小径化できるとともに、透過光量を確保できる。
請求項9記載の発明によれば、光出射側レンズ面において、周辺領域の方が、中央部に比べて、光を比較的多く透過することになるので、ビームスポット径の小径化、透過光量の向上に寄与できる。
【0127】
請求項10記載の発明によれば、ビームスポット径の小径化と、透過光量の向上を図ることができる。よって、光記録媒体へ情報をより高密度に記録したり、より高密度に情報が記録された光記録媒体から情報を再生することができ、よって、光記録媒体の大容量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態例のレンズを示す概略縦断面図である。
【図2】図1に示すレンズの部分拡大断面図である。
【図3】図1に示すレンズを備える光ピックアップ装置を示す概略構成図である。
【図4】第3の実施の形態例のレンズを示す概略縦断面図である。
【図5】第1の実施の形態例のレンズに適用される反射防止コートの層構成と、光の反射率が極小となる波長と、を示す表である。
【図6】図5に示す層構成の反射防止コートを有する第1の実施の形態例のレンズの光の透過率と、この透過率およびビームスポット形状の評価とを示す表である。
【図7】ビームスポット形状の評価について説明するための図面である。
【図8】第2・第3の実施の形態例のレンズに適用される反射防止コートの層構成と、光の反射率が極小となる波長と、を示す表である。
【図9】図8に示す層構成の反射防止コートを有する第2の実施の形態例のレンズの光の透過率と、この透過率およびビームスポット形状の評価とを示す表である。
【図10】図8に示す層構成の反射防止コートを有する第3の実施の形態例のレンズの第1レンズの光の透過率と、この透過率およびビームスポット形状の評価とを示す表である。
【図11】図5、図8に示した層構成の反射防止コートの光の反射率の波長依存性の例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レンズ(光学レンズ)
3 反射防止コート(反射防止膜)
4 反射防止コート(反射防止膜)
7 レンズ(光学レンズ)
7a 第1レンズ
7b 第2レンズ
10 光ピックアップ装置(光情報記録再生装置)
11 半導体レーザ光源(レーザ光源)
15 対物レンズ(光学レンズ)
C1、C1a、C1b、C2、C2a、C2b 中央部
P1 周辺部
R 光記録媒体
S1、S1a、S1b レンズ面(光入射側レンズ面)
S2、S2a、S2b レンズ面(光出射側レンズ面)
Claims (9)
- 少なくとも波長630〜670nmの範囲内の波長のレーザ光源から出た光を、光記録媒体上に集光することにより、この光記録媒体への情報の記録と、前記光記録媒体に記録された情報の再生と、の少なくとも一方を実行可能な光情報記録再生装置に設けられ、前記光を前記光記録媒体上に集光する光学レンズであって、 レンズ面上の一位置における法線と、光軸と、がなす角度をθとした場合に、前記レーザ光源から出た光が入射する側の光入射側レンズ面は、角度θが45度以上である周辺部を有しており、前記光入射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長680〜820nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする光学レンズ。
- 前記光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長710〜790nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学レンズ。
- 光を出射する側の光出射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長650〜800nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学レンズ。
- 前記光出射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長680〜790nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする請求項3に記載の光学レンズ。
- 前記光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが45度である前記光入射側レンズ面の周辺部において角度0度で入射する光の反射率が波長480〜580nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学レンズ。
- 波長650〜670nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源を備える光情報記録再生装置に設けられ、 前記レーザ光源から出た光が入射する側の光入射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長700〜820nmの範囲内に極小値を示すとともに、角度θが45度である前記光入射側レンズ面の周辺部において角度0度で入射する光の反射率が波長490〜580nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されており、 光出射側レンズ面に設けられる反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長670〜800nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学レンズ。
- 波長630〜670nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光と、波長780〜790nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光を、それぞれ光記録媒体上に集光することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学レンズ。
- 波長400〜440nmの範囲内の少なくとも一種類の波長のレーザ光源から出た光を光記録媒体上に集光することにより、この光記録媒体への情報の記録と、前記光記録媒体に記録された情報の再生と、の少なくとも一方を実行可能な光情報記録再生装置に設けられ、前記光を前記光記録媒体上に集光する光学レンズであって、 レンズ面上の一位置における法線と、光軸と、がなす角度をθとした場合に、前記レーザ光源から出た光が入射する側の光入射側レンズ面は、角度θが53度以上である周辺部を有しており、 前記光入射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光入射側レンズ面の中央部において角度0度で入射する光の反射率が波長460〜650nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする光学レンズ。
- 光を出射する側の光出射側レンズ面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜の膜厚は、角度θが0度である前記光出射側レンズ面の中央部において角度0度で入 射する光の反射率が波長410〜500nmの範囲内に極小値を示すよう、厚さが設定されていることを特徴とする請求項8記載の光学レンズ。
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