JP4166879B2 - 熱転写受像シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇華性染料を使用する熱転写記録方法に用いられる熱転写受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
基材シートの少なくとも一方の面に染料受容層を設けてなる熱転写受像シートについては、染料受容層の染料転写感度および形成された画像の各種耐久性や保存安定性の向上を図ることを目的として従来より種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等により染料受容層を形成する試みがなされている(特開昭57−1639370号公報、同60−25793号公報等参照)。
【0004】
このような熱転写受像シートにおいては、染料受容層の染料転写感度および形成された画像の各種耐久性や保存安定性は染料受容層を形成する樹脂に依存し、とりわけ形成された画像の耐光性は受容層を形成する樹脂の組成構造に大きく依存する。したがって、染料受容層の形成には最適な樹脂組成を選択する必要がある。
【0005】
ここで、耐光性に優れた樹脂としてスチレン系樹脂が挙げられ、本出願人は熱転写受像シートの染料受容層の形成に最適な種々のスチレン系樹脂を開示している(特開昭62−189195号公報参照)。
【0006】
また、染料の受容感度を良好にする手段としては、熱転写時の染料の拡散性を向上させればよいことから、ガラス転移点(Tg)の低い樹脂を受容層形成樹脂に用いる方法や受容層中に可塑剤を添加する方法も知られている。例えば、特開平5−193256には、支持体上に、50〜100℃のガラス転移温度を有するビニルコポリマーと150〜1000の分子量を有する可塑剤からなる色素受容層を設けた色素受容体要素が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のスチレン系樹脂以外の耐光性に優れた樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂あるいはポリビニルアセタール系樹脂等も知られているが、何れの樹脂もガラス点移転(Tg)が高いため、これらの樹脂を用いて受容層を形成しても充分な染料染着性を得ることができないという問題があった。
【0008】
一方、染料転写性を充分なものとし、転写感度を良好にするために前記のような可塑剤を受容層中に添加する場合には、受容層形成樹脂に対して可塑剤の構造や物性が最適でないと樹脂と可塑剤との相溶性が損なわれ、例えば次のような問題が発生した。
【0009】
すなわち、受容層を形成した後、経時的に可塑剤や低Tg樹脂がブリードアウトし、染料の転写性および拡散性も変化するため、記録感度もまた経時的に変化してしまう。相溶性が更に悪い場合には、染料の定着性が充分ではなく、画像の記録時に滲みが発生したり、さらには受容層にタックが発生して印字自体が不可能になる場合も生じる。また、画像の記録時には、異常が無くても、記録後のブリードアウト(特に高温保存時)に伴い、記録された画像が滲んだり、画像の耐光性が損なわれたりする。
【0010】
本発明は、上記の実状を解決することを目的とし、具体的には、発色濃度、画像鮮明性および諸堅牢性に優れた記録画像を形成し得る熱転写受像シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明により提供される熱転写受像シートは、基材シートの少なくとも一方の面に染料受容層が設けられている熱転写受像シートにおいて、前記染料受容層が、ガラス転移温度(TG)110〜115℃のスチレン−アクリロニトリル共重合体と、リン酸エステル系化合物、またはフタル酸エステル系化合物のうちの少なくとも一種の可塑剤とを含有することを特徴とする。
【0013】
前記染料受容層における前記共重合体と前記可塑剤との含有割合は、前記共重合体:前記可塑剤の重量比で5:5〜9:1であることが好ましい。
【0014】
前記染料受容層が、離型剤としてシリコーン樹脂またはその架橋物をさらに含有していてもよい。シリコーン樹脂またはその架橋物が、エポキシ変性シリコーンおよび無変性シリコーンのうちの少なくともひとつであることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の熱転写受像シートの一例につき、断面図を示す。この熱転写受像シート101は、基材シート1の少なくとも一方の面に染料受容層2を有し、さらに必要に応じて、基材シートと染料受容層との間に中間層3、基材シートにおける染料受容層を設けた面とは反対側の面に裏面層4、染料受容層および/または裏面層の上に帯電防止層5a、5b等の層を有していてもよい。
【0017】
以下に、この熱転写受像シートについて各層に分けて説明する。
【0018】
(基材シート)
この熱転写受像シートで用いられる基材シートの材料としては、たとえば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等のセルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレート等の各種のプラスチックフィルムまたはシート等、さらにはこれらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡フィルム等が挙げられる。また、これらの材料の任意の組合わせによる積層体も使用することができる。代表的な積層体の例としては、セルロース繊維紙と合成紙またはセルロース繊維紙とプラスチックフィルムもしくはシートとの積層体が挙げられる。
【0019】
基材シートの厚みは任意に設定することができるが、例えば、10〜300μm程度の厚みが一般的である。
【0020】
このような基材シートは、その表面に形成される染料受容層との密着性に乏しい場合には、表面にプライマー処理、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理等の易接着処理を施すのが好ましい。
【0021】
(染料受容層)
染料受容層は、前記基材シートの少なくとも一方の面に直接にまたは適当な中間層を介して設けられる層であり、熱転写シートから移行してくる昇華染料を受容し、形成された画像を維持する作用乃至機能を有する。
【0022】
この染料受容層は、前述の通り、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーとを必須成分とする共重合体と、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、トリメリット酸エステル系化合物および脂肪族二塩基酸エステル系化合物よりなる群から選択される少なくとも一種の可塑剤とを含有する。
【0023】
ここで、耐光性に優れた記録画像を形成し得る熱転写受像シートとする為には、染料受容層を形成する樹脂に比較的にガラス転移点(Tg)の高い樹脂であるスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂などを用いなければならない。しかしながら、これらの樹脂を用いた場合には、高い発色濃度を得ることができない。
【0024】
そこで、高い発色濃度を得る為に可塑剤の添加を行なう必要があるが、ここで着目しなければならない点として樹脂と可塑剤との相溶性が挙げられる。
【0025】
スチレン系樹脂及びポリカーボネート系樹脂への可塑剤の添加は一般的によく行われており、樹脂と可塑剤との相溶性も高いが、ポリビニルアセタール系樹脂では、通常用いられる可塑剤との相溶性は低く、可塑剤の添加に適していない。
【0026】
また、スチレン系樹脂は、スチレン骨格を含有する為、染料バインダーに用いられる樹脂、例えばエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂あるいはポリエステル系樹脂に対する相溶性が低い。言い換えれば、スチレン系樹脂を染料受容層の形成材料に用いた場合には、印画時の染料フィルムと熱転写受像シートとの離型性に優れる。したがって、少量の離型剤の添加で充分な離型性が得られ、離型剤による染着阻害もほとんど無い為、より高い発色濃度が得られる。
【0027】
一方、印画物の耐指紋性や耐可塑剤性の向上を目的として画像印画後に保護層を転写する方法があるが、染料受容層を形成する樹脂がスチレン骨格だけのものでは離型性に優れる反面、このような保護層を転写しようとする場合に保護層がうまく転写されないという不具合が生じる。さまざまな用途に利用できる熱転写受像シートを得る為には、このような点も考慮する必要があり、この点については、保護層との接着性、すなわち保護層に用いられる種々の樹脂との相溶性に優れるアクリル系骨格を樹脂に導入することにより前記の不具合の解消を図ることが可能となる。
【0028】
ただし、単にポリスチレン樹脂とアクリル系樹脂とを混合しただけでは熱転写シートを構成する染料フィルムに対する染料受容層の離型性と保護層に対する染料受容層の接着性とを両立することはできず、単一のポリマー中にスチレン骨格およびアクリル系骨格の両方をもつものを染料受容層に用いることにより、初めて熱転写シートを構成する染料フィルムに対する染料受容層の離型性と保護層に対する染料受容層の接着性とを両立することができる。
【0029】
そこで、この熱転写受像シートにおいては、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーとを必須成分として含有する共重合体を染料受容層に用いる。アクリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、アクリルアミド、メチルメタクリレート等を好ましく用いることができ、アクリロニトリルが特に好ましい。2種以上のアクリル系モノマーを組み合わせて用いてもよい。
【0030】
このような共重合体としては、たとえばスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−フェニルアクリレート共重合体、スチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン−エチルアクリレート共重合体、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリルアミド共重合体、スチレン−エチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0031】
前記共重合樹脂として100℃以上のガラス転移温度を有するものを選定すると、可塑剤による発色濃度の向上を犠牲にすることなく、特に優れた耐光性が得られる。一般的には、受容層のバインダー樹脂のガラス転移温度が高いほど耐光性はよいけれども、染料染着性に劣ってしまい、可塑剤を添加したとしても十分な染料染着性が得られない。これに対して、受容層のバインダー樹脂としてスチレン系モノマーおよびアクリル系モノマーを必須成分として含有する共重合体を使用する場合には、ガラス転移温度が100℃以上あるものを選定したとしても、可塑剤の添加により染料染着性を十分に向上させることができる。
【0032】
染料受容層は、前記の通り、前記共重合体と共に可塑剤を含有するが、この可塑剤としては、次式(1);
【化1】
で示されるリン酸エステル系化合物(但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれアルキル基またはアリール基の何れかを表す。)、
次式(2);
【化2】
で表されるフタル酸エステル系化合物(但し、R4 、R5 はそれぞれアルキル基またはアリール基の何れかを表す。)、
次式(3);
【化3】
で表されるトリメリット酸エステル系化合物(但し、R6 、R7 、R8 はそれぞれアルキル基を表す。)、
および脂肪族二塩基酸エステル系化合物よりなる群から選択される少なくとも一種が好適に用いられる。ここで、各種アルキル基(R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 )としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル(=オクチル)基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、各種アリール基(芳香族系)(R1 、R2 、R3 、R4 、R5 )としては、例えばフェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。
【0033】
このような可塑剤として、さらに具体的には、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(=2−エチルヘキシルフタレート)、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジフェニルトリルホスフェート、フェニルジトリルホスフェート、ジフェニルキシレニルホスフェート、ジフェニルジキシレニルホスフェート、トリベンジルホスフェート、トリ(2−フェニルエチル)ホスフェート、ジメチルセバケート、ジメチルオキサレート等が挙げられる。
【0034】
前記共重合体と前記可塑剤との配合比は、共重合体と可塑剤との組み合わせにより相違するので一様に決定することは困難であるが、通常は、前記共重合体:前記可塑剤の重量比で5:5〜9:1程度である。
【0035】
一方、非芳香族系可塑剤であり且つ長鎖アルキル基(C8 )以上を有する可塑剤(例えばジオクチルセバゲート、ジオクチルホスフェート等)はあまり好ましくない。
【0036】
この染料受容層は、さらに離型剤を含有していてもよい。
【0037】
離型剤としては、シリコーン樹脂あるいはその架橋物が挙げられる。これらのなかでも、エポキシ変性シリコーン、無変性シリコーンすなわち反応性官能基を有していないシリコーンが特に好適に用いられる。これらの離型剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。離型剤を用いる場合、その配合割合は、前記共重合体と前記可塑剤との合計100重量部に対し、通常、0.1〜25重量部程度である。
【0038】
また、記録に用いる熱転写シートの染料等に応じて、濃度、鮮明性、あるいは各種保存性を改善する為に、従来より受容層形成樹脂として使用されている樹脂を前記共重合体と混合して用いることができる。
【0039】
このような樹脂としては、たとえば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0040】
このような樹脂を前記共重合体と混合して用いる場合、その配合割合は、通常、前記共重合体100重量部に対し、混合する樹脂が5〜50重量部程度である。混合する樹脂が5重量部未満では、樹脂の添加による改質の効果が発現しにくいことがある。一方、混合する樹脂が50重量部を超えると、耐光性に優れるというスチレン系樹脂の特質が損なわれることがある。
【0041】
染料受容層を形成するには、例えば、前記の共重合体と可塑剤、及び、必要に応じて添加されるその他の材料を溶媒に溶解・分散し、得られた塗工液をグラビアコーティング等の公知の方法で基材シート上に塗布し、乾燥すればよい。
【0042】
(中間層)
前記基材シートと前記染料受容層との間には、基材シートと染料受容層との接着性、染料受容層の白色度、クッション性、隠蔽性、帯電防止性、カール防止性等の付与を目的とし、従来より公知のあらゆる中間層を設けることができる。
【0043】
この中間層に用いるバインダー樹脂としては、たとえばポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂のうち、活性水素を有するものについては、さらにそれらのイソシアネート硬化物をバインダーとすることもできる。
【0044】
また、白色性、隠蔽性を付与する為に酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のフィラーを添加することが好ましい。
【0045】
さらに、白色性を高める為に、スチルベン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物等を蛍光増白剤として添加したり、印画物の耐光性を高める為に、ベンゾフェノン系化合物等を紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤として添加したり、あるいは帯電防止性を付与する為に、カチオン系アクリル樹脂、ポリアニリン樹脂、各種導電性フィラー等を添加することができる。
【0046】
(裏面層)
前記基材シートの受容層を設けた面とは反対側の面には、搬送適性、筆記性、帯電防止性、耐汚染性、カール防止性等の付与の目的で従来より公知のあらゆる裏面層を設けることができる。
【0047】
(その他)
帯電防止性に関しては、染料受容層、裏面層の上にさらに従来より公知の帯電防止剤を含む帯電防止層を設けてもよい。
【0048】
【実施例】
次に、実施例および比較例を示し、本発明の熱転写受像シートについて、さらに具体的に説明する。
【0049】
[実施例1]
まず、以下に示す基材シートの一方の面に、以下に示す配合組成の白色中間層用塗工液を塗布して、基材シート上に厚さ2μmの中間層を形成した。
【0050】
(基材シート)
厚さ150μmの合成紙(王子油化社製「YUPO FPG#150」)を用いて基材シートとした。
【0051】
(白色中間層用塗工液)
ポリエステル樹脂(日本合成化学工業社製「WR−905」) 25重量部
水溶性蛍光増白剤(チバガイギー社製「Uvitex BAC) 1重量部
酸化チタン(トーケムプロダクツ社製「TCA−88」) 75重量部
水/イソプロピルアルコール(=1/1) 400重量部
次いで、上記の中間層上に、以下に示す染料受容層用塗工液を塗布して厚さ5μmの染料受容層を形成し、熱転写受像シートを作成した。
【0052】
(染料受容層用塗工液1)
スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工業社製「セビアンJD」、Tg:110〜115℃) 70重量部
ジシクロヘキシルフタレート 30重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製「X−22−3000T」)5重量部
メチルエチルケトン(MEK)/トルエン(=1/1) 400重量部
このようにして得られた熱転写受像シートの染料受容層と、熱転写フィルム(三菱電機社製ビデオプリンターCP−700用転写フィルムPK700L)の染料層とを対向させて重ね合わせ、イエロー、マゼンタ、シアンの各色について、熱転写フィルムの裏面から下記の条件でサーマルヘッドを用いて熱転写記録を行い、印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の各項目につき、それぞれ以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
【0053】
(印字条件)
サーマルヘッド;KGT−217−12MPL20(京セラ社製)
発熱体平均抵抗値;3195(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字速度;300dpi
印加電力;0.12(w/dot)
1ライン周期;5(msec.)
印字開始温度;40(℃)
階調制御方法;1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパ
ルス長を持つ分割パルスの数を0から255個まで可変でき
るマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パル
スのDuty比を60%固定とし、階調によってライン周期
あたりのパルス数を0ステップでは0個、1ステップでは1
7個、2ステップでは34個と0から255個まで17個毎
に順次増加させることにより、0ステップから15ステップ
までの16階調を制御した。
【0054】
(印字前耐熱性)
以下のようにして印字前耐熱性試験を行い、印字前耐熱性を評価した。
【0055】
印字前耐熱性試験;前記のようにして得られた熱転写シートを2枚用意し
、1枚を常温で、他の1枚を温度60℃のオーブン中で
、それぞれ100時間保存し、それぞれの熱転写受像シ
ートについて前記の熱転写フィルムを用い、前記の印字
条件でイエロー、マゼンタおよびシアンの各色のグラデ
ーションを印刷した。
【0056】
得られたそれぞれの印字物について、各ステップ毎の
光学反射濃度を光学濃度計(マクベス社製「マクベスR
D−918」を使用して測定した。得られた各色、各ス
テップ毎の光学反射濃度について、常温で保存した熱転
写受像シートの印字物の光学反射濃度の実測値を[OD
]0 とし、温度60℃で保存した熱転写受像シートの印
字物の光学反射濃度を[OD]1 として対応する各色、
各ステップについて、下記式によりγ特性の変化率を算
出した。
【0057】
変化率(%)=([OD]1 −[OD]0 )×100/[OD]0
各色、各ステップで最も大きな値を示した変化率を、そ
の熱転写受像シートの印字前耐熱保存時の安定性として、
下記の基準に基づき判定した。
【0058】
○;変化率が10%未満
△;変化率が10%以上20%未満
×;変化率が20%以上
(耐光性)
以下のようにして耐光性試験を行い、耐光性を評価した。
【0059】
耐光性試験;前記のようにして得られた熱転写受像シートについて前記
の熱転写フィルムを用い、前記の印字条件で熱転写記録を行
ってシアン色について下記の条件で耐光性試験を行った。
【0060】
照射試験器;アトラス社製Ci135
光源 ;キセノンランプ
フィルター;内側…IRフィルター、外側…ソーダライム
ガラス
ブラックパネル温度;45℃
照射強度 ;1.2(w/m2 )…420nmでの測定値
照射エネルギー;200(KJ/m2 )…420nmでの積
算値
照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、照射
の前後における光学濃度の変化を測定し、下記式により、残存率
を算出した。
【0061】
残存率(%)=([照射後の光学反射濃度]/[照射前の光学
反射濃度])×100
この残存率に基づき、以下の基準に従って各熱転写受像シート
の耐光性を評価した。
【0062】
○;残存率が80%以上
△;残存率が70%以上80%未満
×;残存率が70%未満
(耐熱性)
以下のようにして耐熱性試験を行い、耐熱性を評価した。
【0063】
耐熱性試験;前記のようして得られた熱転写受像シートについて前記の熱
転写フィルムを用い、前記の印字条件で熱転写記録を行い、印
字物を温度60℃のオーブン中に100時間放置し、画像の滲
みを倍率25倍のルーペで観察し、下記の基準に従って判定し
た。
【0064】
○;サーマルヘッドのドットサイズに大きな変化が認め
られなかった。
【0065】
△;ドツトの拡散は認められたが、目視では明確な滲み
は認められなかった。
【0066】
×;未印字の部分にも色素が拡散し、目視でもはっきり
した滲みが認められた。
【0067】
(印字濃度)
前記のようにして得られた熱転写受像シートについて、前記の熱転写フ
ィルムを用い、前記の印字条件で熱転写記録を行い、光学濃度を測定し、
下記の基準に従って判定した。
【0068】
○;比較例2の印字濃度を基準としたときに光学反射濃
度がOD値1付近で105%以上である。
【0069】
×;比較例2の印字濃度を基準としたときに光学反射濃
度がOD値1付近で105%未満である。
【0070】
[実施例2]
前記実施例1において、染料受容層塗工液を下記の組成のものに代えたほかは、前記実施例1と同様にして熱転写受像シートを作成し、得られた熱転写受像シートについて印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の各項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】
(染料受容層塗工液2)
スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工業社製「セビアンJD」、Tg:110〜115℃) 70重量部
ジフェニルフタレート 30重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製「XT−22−3000T」)5重量部
MEK/トルエン(=1/1) 400重量部
[実施例3]
前記実施例1において、染料受容層塗工液を下記の組成のものに代えたほかは、前記実施例1と同様にして熱転写受像シートを作成し、得られた熱転写受像シートについて印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の各項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0072】
(染料受容層塗工液3)
スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工業社製「セビアンJD」、Tg:110〜115℃) 85重量部
ジオクチルフタレート 15重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製「X−22−3000T」)5重量部
MEK/トルエン(=1/1) 400重量部
[実施例4]
前記実施例1において、染料受容層塗工液を下記の組成のものに代えたほかは、前記実施例1と同様にして熱転写受像シートを作成し、得られた熱転写受像シートについて印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の各項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0073】
(染料受容層塗工液4)
スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工業社製「セビアンJD」、Tg:110〜115) 70重量部
トリフェニルホスフェート 30重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製「X−22−3000T」)
5重量部
MEK/トルエン(=1/1) 400重量部
[参考例1]
前記実施例1において、染料受容層塗工液を下記の組成のものに代えたほかは、前記実施例1と同様にして熱転写受像シートを作成し、得られた熱転写受像シートについて印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の各項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0074】
(染料受容層塗工液5)
スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工業社製「セビアンJD」、Tg:110〜115℃) 70重量部
トリオクチルトリメテート 30重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製「X−22−3000T」)5重量部
MEK/トルエン(=1/1) 400重量部
[比較例1]
前記実施例1において、染料受容層塗工液を下記の組成のものに代えたほかは、前記実施例1と同様にして熱転写受像シートを作成し、得られた熱転写受像シートについて印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の各項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0075】
(染料受容層塗工液b1)
スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工業社製「セビアンJD」、Tg:110〜115℃) 100重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製「X−22−3000T」)5重量部
MEK/トルエン(=1/1) 400重量部
[比較例2]
前記実施例1において、染料受容層塗工液を下記の組成のものに代えたほかは、前記実施例1と同様にして熱転写受像シートを作成し、得られた熱転写受像シートについて印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の各項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0076】
(染料受容層塗工液b2)
ポリスチレン樹脂(市販品、Tg:90℃) 100重量部
ジシクロヘキシルフタレート 30重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業社製「X−22−3000T」)5重量部
MEK/トルエン(=1/1) 400重量部
【0077】
【表1】
【0078】
[結果の検討]
表1から明らかなように、比較例1の熱転写受像シートは印字濃度が劣り、比較例2の熱転写受像シートは耐熱性が劣っているのに対し、実施例1〜実施例4の熱転写受像シートは、印字前耐熱性、耐光性、耐熱性および印字濃度の全ての項目において優れていることがわかる。
【0079】
これより、本発明の熱転写受像シートは、発色濃度、画像鮮明性および諸堅牢性、特に耐光性に優れた記録画像を形成することができることが確認された。
【0080】
【発明の効果】
本発明の熱転写受像シートによれば、発色濃度が高く、画像鮮明性および諸堅牢性、特に耐光性に優れた記録画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写受像シートの一例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…基材シート
2…染料受容層
3…中間層
4…裏面層
5a,5b…帯電防止層
101…熱転写受像シート
Claims (4)
- 基材シートの少なくとも一方の面に染料受容層が設けられている熱転写受像シートにおいて、前記染料受容層が、ガラス転移温度(TG)110〜115℃のスチレン−アクリロニトリル共重合体と、リン酸エステル系化合物、またはフタル酸エステル系化合物のうちの少なくとも一種の可塑剤とを含有することを特徴とする熱転写受像シート。
- 前記染料受容層における前記共重合体と前記可塑剤との含有割合が、前記共重合体:前記可塑剤の重量比で5:5〜9:1であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記染料受容層が、離型剤としてシリコーン樹脂またはその架橋物を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱転写受像シート。
- 前記のシリコーン樹脂またはその架橋物が、エポキシ変性シリコーンであることを特徴とする請求項3に記載の熱転写受像シート。
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