(1a)前記補正手段(IPP)は、前記多値画像データに基づいて、主走査ライン上の各画素(No.0)が、主走査方向の狭領域(No.−5画素〜No.+5画素)内で、主走査方向で第1閾値(TH1)以上の平坦レベル画素の間の、第2閾値(TH2)以下の局所顕像画素であるかを検索し(s3〜s7)、該局所顕像画素と検出した主走査ライン上の画素位置(No.0)で前記副走査によってラインが切換わっても同じく前記局所顕像画素との検出が継続するライン数(R6)を計数し(s8)、計数値が参照値(L)を越えた画素ならびにそれに隣接する、前記狭領域(No.−5画素〜No.+5画素)内の第1閾値(TH1)未満の画素あての画像データを、第1閾値(TH1)以上を表すものに補正する;上記(1a)に記載の原稿読み取り装置。
これによれば、ノイズラインの検出処理が簡易である。なお、局所顕像画素の検出は、上記のパターンマッチングによる検出の他に、前記狭領域内の、領域中央に近い画素には大きい絶対値の負値の係数を、領域端に近い画素には小さい正値の係数を宛てて、該狭領域内画素宛ての多値画像データに該係数を乗じた積の領域内総和を算出して、総和が設定値(例えば0)以下であると領域中央画素(注目画素)が局所顕像画素と検出する、などのフィルタ処理を用いる検出およびその他のピーク点検出方法を用いることができる。
(2)前記所定数(L)は、前記所定の値を持つ画素かを検索する幅区間の両端の平坦レベルの画素の間の幅に18以上の値を乗じた積、に相当する幅分の副走査方向のライン数である、上記(1)又は(1a)に記載の原稿読み取り装置。
(2a)前記参照値(L)は、前記狭領域(No.−5画素〜No.+5画素)より2画素幅を差し引いた幅に18以上の値を乗じた積、に相当する幅分の副走査方向のライン数である、上記(1a)に記載の原稿読み取り装置。
例えばMS明朝の「朝」という文字の縦長Hと文字成分の線幅wとの比a=H/wは17.9(約18)程度と大きく、太字であるMS明朝ゴシックの「朝」はa=13.3程度であり、MS明朝ゴシックの「D」ではa=8.4程度と小さい。ここで例えば、300dpi(11.81dpmm)で、主走査方向で11画素(図14の(b)のNo.−5画素〜No.+5画素)の狭領域の端画素の内側9画素分の主走査方向の幅W(=9/11.81=0.76mm)までの線幅のノイズラインを検出すると仮定すると、文字の上記比aの略最大値である18をW=0.76mmに乗じた積H=13.68mmを参照値Lとすると、縦長H=13.68mm未満の文字をノイズラインと誤検出することなく、線幅(太さ)W=0.76mm以下のノイズラインを検出できる。原稿の副走査始端から13.68mmまで(通常は紙始端のマージン)のノイズラインは残るが、13.68mmを越えて副走査終端までのノイズラインが除去される。
(3)前記画像データ処理手段は、一枚の原稿読み取りの間に、前記所定の値を持つ画素との検出が副走査方向で継続しなくなったとき、前記ライン数の計測値を初期化する、上記(1)又は(2)に記載の画像読み取り装置。
これによれば、原稿の副走査始端から副走査終端まで完全にノイズラインが発生し途切れを生じない場合には、原稿の副走査始端から所定数L相当距離までのノイズラインは残るが、所定数L相当距離を越えて副走査終端までのノイズラインが除去される。仮に、ノイズラインのところどころに途切れを生ずる場合には、途切れの次のノイズライン開始端から所定数L相当距離までのノイズラインは残るが、そのあとの、次の途切れまでのノイズラインが除去される。したがって、副走査始端からある程度副走査が進むまでノイズラインが現れないが、そのあとでノイズラインが現れる場合に、その大部分の長さが除去される。しかしこの実施態様では、副走査方向に平行な比較的に短い直線や、想定外の大きな異形文字,線画をノイズラインと誤認して消去する可能性がある。したがって本実施態様は、標準的な文字のみが存在する文書原稿の読み取りに適する。
(4)主走査方向及び副走査方向に走査して原稿の画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた原稿の画像データの主走査ライン上の各画素から所定の値を持つ画素を検出するとともに、検出された該画素の主走査ライン上の位置が同じであるライン数を計数し、原稿の先端からの副走査量が所定値を超えると前記計数を停止して、該計数した結果が所定数以上の場合には、該画素及び該画素から主走査側の所定領域内の画素の値を補正する補正手段と、
を備えた原稿読み取り装置。
これによれば、原稿の副走査始端から所定数L相当距離までにノイズラインが現れる場合は、仮にそのあとで途切れを生じても、所定数L相当距離以降副走査終端まで完全にノイズラインが除去される。原稿の副走査始端から所定数L相当距離までにすくなくとも部分的に途切れがあるノイズラインを生ずる場合には、所定数L相当距離以降はノイズラインの検出が行われないので、ノイズラインは除去されない。したがって、副走査始端からある程度副走査が進むまでノイズラインが確実に現れる場合に、それ以降副走査終端まで完全に除去される。この実施態様は、副走査方向に平行な比較的に短い直線や、想定外の大きな異形文字,線画があっても、それらが原稿の副走査始端にまで及んでいない限り、ノイズラインと誤認して消去する可能性はない。
(4a)前記補正手段(IPP)は、原稿の副走査始端からの副走査量が所定数(L)以上になったときに、計数値が所定数(L)を越えている位置の画素ならびにそれに隣接する、狭領域(No.−5画素〜No.+5画素)の端部画素より内側の画素宛てに所定の値を持つ画素である情報(R8=“1”)を生成し、原稿の副走査始端からの副走査量が所定数(L)以上のラインの、前記所定の値を持つ画素である情報が生成された画素宛ての画像データを、ノイズラインを消去するレベルの画像データに補正する、上記(4)に記載の原稿読み取り装置。
(5)前記補正手段は、前記所定の値を持つ画素を検出するデータ処理の特性および前記所定数を規定する特性規定データを保持するデータメモリ(146);それぞれが、前記データメモリの特性規定データに従って各画素を処理する、複数のプロセッシングエレメント(PE);および、前記プロセッシングエレメントの前記データ処理を制御する処理用制御データを保持して該処理用制御データに基づく演算指示を各プロセッシングエレメントに共通に与え、各プロセッシングエレメント対する、一連の処理対象データのそれぞれの分配および前記データメモリ上の特性規定データの送出、ならびに、各プロセッシングエレメントからの処理後データの出力、を制御する処理制御手段(148);を含む、上記(1)乃至(4)の何れか1つに記載の原稿読み取り装置。
これによれば、複数のプロセッシングエレメント(PE)で主走査方向の複数の画素が所定の値を持つ画素であるかを、並行して同時に検出することが出来、高速で各ラインのノイズライン除去を行うことができる。後述の実施例では、300dpiの、A4横幅の原稿読み取りで、1ライン上の各画素が所定の値を持つ画素であるかを、並行して同時に検出する。
(5a)前記処理制御手段(148)は、前記プロセッシングエレメント(PE)の前記画像データ処理を制御する処理用制御データを保持して各プロセッシングエレメント(PE)に共通に与えるグローバルレジスタ(149);および、各プロセッシングエレメント(PE)に対する、一連の画像データのそれぞれの分配および前記データメモリ(146)上の特性規定データの送出,前記処理用制御データに基づく演算指示の各プロセッシングエレメント(PE)への共通付与、ならびに、各プロセッシングエレメント(PE)からの処理後データの出力、を制御するプロセッサ(148);を含む、上記(5)に記載の原稿読み取り装置。
(5b)前記プロセッサ(148)が上記制御をするために実行する処理プログラムを保持するプログラムメモリ(145);を更に備える上記(5a)に記載の原稿読み取り装置。
(5c)各プロセッシングエレメント(PE)は、画像データ,前記特性規定データおよび処理後データを入出力するレジスタ(R0〜R32)、および、前記プロセッサ(148)が与える前記処理用制御データに基づく演算指示と特性規定データに従って画像データを処理する演算器、を含む;上記(5a)に記載の原稿読み取り装置。
(6)記録出力用の画像データが表わす画像を用紙上に形成するプリンタ(100);および、上記(1)乃至(5c)の何れか1つに記載の原稿読み取り装置(10);を備え、該原稿読み取り装置の前記補正手段(IPP)は、前記補正を行った画像データを、前記プリンタの画像形成に適する記録出力用の画像データに変換するガンマ変換を行う;画像形成装置。
ここで、補正手段(IPP)は、プリンタ(100)の画像表現特性に合せて、原画像を忠実に表わすガンマ変換を実施する。あるいは、ユーザの調整又は補正操作に従ったガンマ変換を選択できるものとする。いずれにしても、上記(1)〜(4)のいずれかに記述した作用効果が得られる。
(7)画像データを転送するパラレルバス(Pb);画像メモリ(MEM);前記パラレルバス上の画像データを前記画像メモリに書込み、前記画像メモリの画像データを前記パラレルバスに読出す画像メモリ制御手段(IMAC);および、前記画像データ処理手段(IPP)と前記パラレルバス(Pb)の間の画像データのやりとりを制御する画像データ制御手段(CDIC);を更に備える、上記(6)の画像形成装置。
例えば、画像メモリ制御手段(IMAC)によって画像メモリ(MEM)の画像データをパラレルバス(Pb)に読み出し、画像データ制御手段(CDIC)によってパラレルバス(Pb)の画像データを画像データ処理手段(IPP)に与えてその出力画像データをプリンタ(100)に与えてプリントアウトできる。
(8)前記画像メモリ制御手段(IMAC)は、パソコン,LANなどの外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段(CDIC)との間の画像データを前記画像メモリ(MEM)に圧縮して書込み、または読み出して伸張する、上記(7)に記載の画像形成装置。
これによれば、画像データを一旦画像メモリ(MEM)に格納することにより、高度な画像処理,加工或は編集を施すことが出来るほかに、画像メモリ制御手段(IMAC)は、パソコン,LANなど外部機器や前記パラレルバスに接続されたファクシミリ及び前記画像データ制御手段(CDIC)との間で画像データをやり取りできる。そして、画像データをやり取りするときならびにプリントアウトするとき、画像データ処理手段(IPP)で高速に画像処理できる。
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
−第1実施例−
図1に、本発明の1実施例の複合機能フルカラーデジタル複写機A1の外観を示す。図1に示すフルカラー複写機A1は、大略で、自動原稿送り装置(ADF)30と、操作ボード20と、カラースキャナ10と、カラープリンタ100と、給紙バンク35の各ユニットで構成されている。ステープラ及び作像された用紙を積載可能なトレイ付きのフィニッシャ34と、両面ドライブユニット33と、大容量給紙トレイ36は、プリンタ100に装着されている。
機内の画像データ処理装置ACP(図4)には、パソコンPCが接続したLAN(Local Area Network)が接続されており、パソコンPCおよび画像データ処理装置ACPは、ルータを介してインターネット等の広域通信網Bに接続することができる。ファクシミリコントロールユニットFCU(図4)には、電話回線PN(ファクシミリ通信回線)に接続された交換器PB×が接続されている。カラープリンタ100のプリント済の用紙は、排紙トレイ108上またはフィニッシャ34に排出される。
図2に、スキャナ10およびそれに装着されたADF 30の、原稿画像読み取り機構を示す。このスキャナ10のコンタクトガラス231上に置かれた原稿は、照明ランプ232により照明され、原稿の反射光(画像光)が第1ミラー233で副走査方向yと平行に反射される。照明ランプ232および第1ミラー233は、図示しない、副走査方向yに定速駆動される第1キャリッジに搭載されている。第1キャリッジと同方向にその1/2の速度で駆動される、図示しない第2キャリッジには、第2および第3ミラー234,235が搭載されており、第1ミラー233が反射した画像光は第2ミラー234で下方向(z)に反射され、そして第3ミラー235で副走査方向yに反射されて、レンズ236により集束され、CCD207に照射され、電気信号に変換される(コンタクトガラス上の手置き原稿の読み取り)。第1および第2キャリッジは、走行体モーター238を駆動源として、y方向に往(原稿走査),復(リタ−ン)駆動される。CCD207は、多数の光電変換素子が主走査方向に並んだ光電変換素子アレイを持ち、該アレイの画像読み取り信号を主走査ライン区分で繰り返し出力する撮像素子である。
スキャナ10には、自動原稿供給装置ADF 30が装着されている。ADF 30の原稿トレイ241に積載された原稿は、ピックアップローラ242およびレジストローラ対243で搬送ドラム244と押さえローラ245の間に送り込まれて、搬送ドラム244に密着して読み取りガラス240の上を通過し、そして排紙ローラ246,247で、原稿トレイ241の下方の圧板兼用の排紙トレイ248上に排出される。原稿は、読み取りガラス240を通過する際に、その直下に位置決めされて静止している照明ランプ232により照射され、原稿の反射光は、第1ミラー233以下の光学系を介してCCD207に照射され光電変換される(シートフィード方式)。
読み取りガラス240と原稿始端の位置決め用のスケール251との間には、白基準板239、ならびに、第1キャリッジを検出する基点センサ249がある。白基準板239は、照明ランプ232の個々の発光強度のばらつき、また主走査方向のばらつきや、CCD207の画素毎の感度ムラ等が原因で、一様な濃度の原稿を読み取ったにもかかわらず、読み取りデータがばらつく現象を補正(シェーディング補正)するために用意されている。このシェーディング補正は、まず白基準板239を原稿スキャン前に主走査方向1ライン分読み取り、この読み取った白基準データをメモリに記憶し、原稿画像を読み取るときは、原稿をスキャンした画素毎に、画像データを前記メモリ上の対応する白基準データで割り算するものである。
図3に、カラープリンタ100の機構を示す。この実施例のカラープリンタ100は、レーザプリンタである。このレーザプリンタ100は、マゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y)および黒(ブラック:K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成ユニットが、転写紙の移動方向(図中の右下から左上方向y)に沿ってこの順に配置されている。即ち、4連ドラム方式のフルカラー画像形成装置である。
これらマゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y)および黒(K)のトナー像形成ユニットは、それぞれ、感光体ドラム111M,111C,111Yおよび111Kを有する感光体ユニット110M,110C,110Yおよび110Kと、現像ユニット120M,120C,120Yおよび120Kとを備えている。また、各トナー像形成部の配置は、各感光体ユニット内の感光体ドラム111M,111C,111Yおよび111Kの回転軸が水平×軸(主走査方向)に平行になるように、且つ、転写紙移動方向y(副走査方向)に所定ピッチの配列となるように、設定されている。
また、レーザプリンタ100は、上記トナー像形成ユニットのほか、レーザ走査によるレーザ露光ユニット102、給紙カセット103,104、レジストローラ対105、転写紙を担持して各トナー像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送ベルト160を有する転写ベルトユニット106、ベルト定着方式の定着ユニット107、排紙トレイ108,両面ドライブ(面反転)ユニット33等を備えている。また、レーザプリンタ100は、図示していない手差しトレイ、トナー補給容器、廃トナーボトル、なども備えている。
レーザ露光ユニット102は、レーザ発光器41M,41C,41Y,41K、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム111M,111C,111Yおよび111Kの表面にレーザ光を、紙面に垂直な主走査×方向に振り走査しながら照射する。
図3上の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセット103,104から給送された転写紙は、図示しない搬送ガイドで案内されながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対105に送られる。このレジストローラ対105により所定のタイミングで転写搬送ベルト160に送出された転写紙は転写搬送ベルト160で担持され、各トナー像形成部の転写位置を通過するように搬送される。
各トナー像形成部の感光体ドラム111M,111C,111Yおよび111Kに形成されたトナー像が、転写搬送ベルト160で担持され搬送される転写紙に転写され、各色トナー像の重ね合わせ即ちカラー画像が形成された転写紙は、定着ユニット107に送られる。すなわち転写は、転写紙上にじかにトナー像を転写する直接転写方式である。定着ユニット107を通過する時トナー像が転写紙に定着する。トナー像が定着した転写紙は、排紙トレイ108,フィニッシャ36又は両面ドライブユニット33に排出又は送給される。
イエローYのトナー像形成ユニットの概要を次に説明する。他のトナー像形成ユニットも、イエローYのものと同様な構成である。イエローYのトナー像形成ユニットは、前述のように感光体ユニット110Y及び現像ユニット120Yを備えている。感光体ユニット110Yは、感光体ドラム111Yのほか、感光体ドラム表面に潤滑剤を塗布するブラシローラ,感光体ドラム表面をクリーニングする揺動可能なブレード,感光体ドラム表面に光を照射する除電ランプ,感光体ドラム表面を一様帯電する非接触型の帯電ローラ、等を備えている。
感光体ユニット110Yにおいて、交流電圧が印加された帯電ローラにより一様帯電された感光体ドラム111Yの表面に、レーザ露光ユニット102で、プリントデータに基づいて変調されポリゴンミラーで偏向されたレーザ光Lが走査されながら照射されると、感光体ドラム111Yの表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム11IY上の静電潜像は、現像ユニット20Yで現像されてイエローYのトナー像となる。転写搬送ベルト160上の転写紙が通過する転写位置では、感光体ドラム11IY上のトナー像が転写紙に転写される。トナ−像が転写された後の感光体ドラム111Yの表面は、ブラシローラで所定量の潤滑剤が塗布された後、ブレードでクリーニングされ、除電ランプから照射された光によって除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
現像ユニット120Yは、磁性キャリア及びマイナス帯電のトナーを含む二成分現像剤を収納している。そして、現像ケース120Yの感光体ドラム側の開口から一部露出するように配設された現像ローラや、搬送スクリュウ、ドクタブレード、トナー濃度センサ,粉体ポンプ等を備えている。現像ケース内に収容された現像剤は、搬送スクリュウで攪拌搬送されることにより摩擦帯電する。そして、現像剤の一部が現像ローラの表面に担持される。ドクタブレードが現像ローラの表面の現像剤の層厚を均一に規制し、現像ローラの表面の現像剤中のトナーが感光体ドラムに移り、これにより静電潜像に対応するトナー像が感光体ドラム111Y上に現われる。現像ケース内の現像剤のトナー濃度はトナー濃度センサで検知される。濃度不足の時には、粉体ポンプが駆動されてトナーが補給される。
転写ベルトユニット106の転写搬送ベルト160は、各トナー像形成部の感光体ドラム111M,111C,111Yおよび111Kに接触対向する各転写位置を通過するように、4つの接地された張架ローラに掛け回されている。張架ローラの1つが109である。これらの張架ローラのうち、2点鎖線矢印で示す転写紙移動方向上流側の入口ローラには、電源から所定電圧が印加された静電吸着ローラが対向するように配置されている。これらの2つのローラの間を通過した転写紙は、転写搬送ベルト160上に静電吸着される。また、転写紙移動方向下流側の出口ローラは、転写搬送ベルトを摩擦駆動する駆動ローラであり、図示しない駆動源に接続されている。また、転写搬送ベルト160の外周面には、電源から所定のクリーニング用電圧が印加されたバイアスローラが接触するように配置されている。このバイアスローラにより転写搬送ベルト160上に付着したトナー等の異物が除去される。
また、感光体ドラム111M,111C,111Yおよび111Kに接触対向する接触対向部を形成している転写搬送ベルト160の裏面に接触するように、転写バイアス印加部材を設けている。これらの転写バイアス印加部材は、マイラ製の固定ブラシであり、各転写バイアス電源から転写バイアスが印加される。この転写バイアス印加部材で印加された転写バイアスにより、転写搬送ベルト160に転写電荷が付与され、各転写位置において転写搬送ベルト160と感光体ドラム表面との間に所定強度の転写電界が形成される。
転写搬送ベルト160で搬送され、感光体ドラム111M,111C,111Yおよび111Kに形成された各色トナー像が転写された用紙は、定着装置107に送り込まれてそこで、トナー像が加熱,加圧によって用紙に熱定着される。熱定着後、用紙は左側板の上部のフィニッシャ34への排紙口34otからフィニッシャ34に送り込まれる。又は、プリンタ本体の上面の排紙トレイ108に排出される。
4個の感光体ドラムの中の、マゼンダ像,シアン像およびイエロー像形成用の感光体ドラム111M,111Cおよび111Yは、図示しないカラードラム駆動用の1個の電気モータ(カラードラムモータ;カラードラムM:図示略)により、動力伝達系及び減速機(図示略)を介して1段減速にて駆動される。ブラック像形成用の感光体ドラム111Kはブラックドラム駆動用の1個の電気モータ(Kドラムモータ:図示略)により、動力伝達系及び減速機(図示略)を介して1段減速にて駆動される。また、転写搬送ベルト160は、上記Kドラムモータによる動力伝達系を介した転写駆動ローラの駆動により、回動移動する。従って、上記Kドラムモータは、K感光体ドラム11Kと転写搬送ベルト60を駆動し、上記カラードラムモータは、M,C,Y感光体ドラム11M,11C,11Yを駆動する。
また、K現像器120Kは、定着ユニット107を駆動している電気モータ(図示略)で、動力伝達系およびクラッチ(図示略)を介して駆動される。M,C,Y現像器120M,120C,120Yは、レジストローラ105を駆動する電気モータ(図示略)で、動力伝達系およびクラッチ(図示略)を介して駆動される。現像器120M,120C,120Y,120Kは絶えず駆動されている訳ではなく、所定タイミングを持って駆動出来る様、上記クラッチにより駆動伝達を受ける。
再度図1を参照する。フィニッシャ34は、スタッカトレイすなわち積載降下トレイ34hsおよびソートトレイ群34stを持ち、積載降下トレイ34hsに用紙(プリント済紙,転写済紙)を排出するスタッカ排紙モードと、ソートトレイ群34stに排紙するソータ排紙モードを持つ。
プリンタ100からフィニッシャ34に送り込まれた用紙は、左上方向に搬送されそして上下逆U字型の搬送路を経て、下向きに搬送方向を切換えてから、設定されているモードに応じて、スタッカ排紙モードのときには排出口から積載降下トレイ34hsに排出される。ソータ排紙モードのときには、ソータトレイ群34stの、そのとき排出中の用紙が割り当てられたソータトレイに排出される。
ソータ排紙モードが指定されるとフィニッシャ内排紙コントローラは、最下部の重ね待避位置に置いたソートトレイ群34stを、図1上で2点鎖線で示す使用位置に上駆動し、ソータトレイ間の間隔を広げる。ソータ排紙モードでは、1回(一人)の設定枚数の複写又はプリントは、部ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、同一原稿(画像)をプリントした各転写紙をソートトレイ群34stの各トレイに仕分け収納する。頁ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、各トレイを各頁(画像)に割り当てて、同一頁をプリントした各転写紙を1つのソートトレイに積載する。
図4に、図1に示す複写機の画像処理系統のシステム構成を示す。このシステムでは、読取ユニット11と画像データ出力I/F(Interface:インターフェイス)12でなるカラー原稿スキャナ12が、画像データ処理装置ACPの画像データインターフェース制御CDIC(以下単にCDICと表記)に接続されている。画像データ処理装置ACPにはまた、カラープリンタ100が接続されている。カラープリンタ100は、画像データ処理装置ACPの画像データ処理器IPP(Image Processing Processor;以下では単にIPPと記述)から、書込みI/F134に記録画像データを受けて、作像ユニット135でプリントアウトする。作像ユニット135は、図3に示すものである。
画像データ処理装置ACP(以下では単にACPと記述)は、パラレルバスPb,メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述),画像メモリであるメモリモジュール(以下では単にMEMと記述),不揮発メモリであるハードディスク装置HDD(以下では単にHDDと記述),システムコントローラ1,RAM4,不揮発メモリ5,フォントROM6,CDIC,IPP等、を備える。パラレルバスPbには、ファクシミリ制御ユニットFCU(以下単にFCUと記述)を接続している。操作ボード20はシステムコントローラ1に接続している。
カラー原稿スキャナ10の、原稿を光学的に読み取る読取ユニット11は、原稿に対するランプ照射の反射光を、センサボードユニットSBU(以下では単にSBUと表記)上の、CCD207(図2)で光電変換してR,G,B画像信号を生成し、A/DコンバータでRGB画像データに変換し、そしてシェーディング補正して、出力I/F12を介してCDICに送出する。RGB画像データは、3ビット以上の構成の多階調を表す多値画像データ(例えば8ビット構成)である。
CDICは、画像データに関し、原稿スキャナ10(出力I/F12),パラレルバスPb,IPP間のデータ転送、ならびに、プロセスコントローラ131とACPの全体制御を司るシステムコントローラ1との間の通信をおこなう。また、RAM132はプロセスコントローラ131のワークエリアとして使用され、ROM133はプロセスコントローラ131の動作プログラム等を記憶している。
メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述)は、MEMおよびHDDに対する画像データおよび制御データの書き込み/読み出しを制御する。システムコントローラ1は、パラレルバスPbに接続される各構成部の動作を制御する。また、RAM4はシステムコントローラ1のワークエリアとして使用され、不揮発メモリ5はシステムコントローラ1の動作プログラム等を記憶している。
操作ボード20は、ACPが行うべき処理を指示する。たとえば、処理の種類(複写、ファクシミリ送信、画像読込、プリント等)および処理の枚数等を入力する。これにより、画像データ制御情報の入力をおこなうことができる。
スキャナ10の読取ユニット11より読み取った画像データは、スキャナ10のSBUでシェーディング補正210を施してから、IPPで、ノイズライン除去,地肌除去,スキャナガンマ補正,フィルタ処理などの、読取り歪を補正する画像処理を施してから、MEM又はHDDに蓄積する。MEM又はHDDの画像データをプリントアウトするときには、IPPにおいてRGB信号をYMCK信号に色変換し、プリンタガンマ変換,階調変換,および、ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理などの画質処理をおこなう。画質処理後の画像データはIPPから書込みI/F134に転送される。書込みI/F134は、階調処理された信号に対し、パルス幅とパワー変調によりレーザー制御をおこなう。その後、画像データは作像ユニット135へ送られ、作像ユニット135が転写紙上に再生画像を形成する。
IMACは、システムコントローラ1の制御に基づいて、画像データとMEM又はHDDのアクセス制御,LAN上に接続したパソコンPC(以下では単にPCと表記)のプリント用データの展開,MEMおよびHDDの有効活用のための画像データの圧縮/伸張をおこなう。
IMACへ送られた画像データは、データ圧縮後、MEM又はHDDに蓄積され、蓄積された画像データは必要に応じて読み出される。読み出された画像データは、伸張され、本来の画像データに戻しIMACからパラレルバスPbを経由してCDICへ戻される。CDICからIPPへの転送後は画質処理をして書込みI/F134に出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
画像データの流れにおいて、パラレルバスPbおよびCDICでのバス制御により、デジタル複合機の機能を実現する。ファクシミリ送信は、読取られた画像データをIPPにて画像処理を実施し、CDICおよびパラレルバスPbを経由してFCUへ転送することによりおこなわれる。FCUは、通信網へのデータ変換をおこない、それを公衆回線PNへファクシミリデータとして送信する。ファクシミリ受信は、公衆回線PNからの回線データをFCUにて画像データへ変換し、パラレルバスPbおよびCDICを経由してIPPへ転送することによりおこなわれる。この場合、特別な画質処理はおこなわず、書込みI/F134から出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
複数ジョブ、たとえば、コピー機能,ファクシミリ送受信機能,プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読取ユニット11,作像ユニット135およびパラレルバスPbの使用権のジョブへの割り振りは、システムコントローラ1およびプロセスコントローラ131において制御する。プロセスコントローラ131は画像データの流れを制御し、システムコントローラ1はシステム全体を制御し、各リソースの起動を管理する。また、デジタル複合機の機能選択は、操作ボード20においておこなわれ、操作ボード20の選択入力によって、コピー機能,ファクシミリ機能等の処理内容を設定する。
システムコントローラ1とプロセスコントローラ131は、パラレルバスPb,CDICおよびシリアルバスSbを介して相互に通信をおこなう。具体的には、CDIC内においてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータ,インターフェースのためのデータフォーマット変換をおこなうことにより、システムコントローラ1とプロセスコントローラ131間の通信を行う。
各種バスインターフェース、たとえばパラレルバスI/F 7、シリアルバスI/F 9、ローカルバスI/F 3およびネットワークI/F 8は、IMACに接続されている。コントローラーユニット1は、ACP全体の中での独立性を保つために、複数種類のバス経由で関連ユニットと接続する。
システムコントローラ1は、パラレルバスPbを介して他の機能ユニットの制御をおこなう。また、パラレルバスPbは画像データの転送に供される。システムコントローラ1は、IMACに対して、画像データをMEM,HDDに蓄積させるための動作制御指令を発する。この動作制御指令は、IMAC,パラレルバスI/F 7、パラレルバスPbを経由して送られる。
この動作制御指令に応答して、画像データはCDICからパラレルバスPbおよびパラレルバスI/F 7を介してIMACに送られる。そして、画像データはIMACの制御によりMEM又はHDDに格納されることになる。
一方、ACPのシステムコントローラ1は、PCからのプリンタ機能としての呼び出しの場合、プリンタコントローラとネットワーク制御およびシリアルバス制御として機能する。ネットワークB経由の場合、IMACはネットワークI/F 8を介して、ネットワークB経由のプリント出力要求データあるいは蓄積(保存)要求データを受け取る。ネットワークB経由の要求データ(外来コマンド)はシステムコントローラ1に報知し、それに応答するシステムコントローラ1からのコマンドに従って、IMACは、ネットワークB経由の蓄積データの転送又は受信蓄積を行う。
汎用的なシリアルバス接続の場合、IMACはシリアルバスI/F 9経由でプリント出力要求データを受け取る。汎用のシリアルバスI/F 9は複数種類の規格に対応しており、たとえばUSB(Universal Serial Bus)、1284または1394等の規格のインターフェースに対応する。
PCからのプリント出力要求データはシステムコントローラ1により画像データに展開される。その展開先はMEM内のエリアである。展開に必要なフォントデータは、ローカルバスI/F 3およびローカルバスRb経由でフォントROM6を参照することにより得られる。ローカルバスRbは、このコントローラ1を不揮発メモリ5およびRAM4と接続する。
シリアルバスSbに関しては、PCとの接続のための外部シリアルポート2以外に、ACPの操作部である操作ボード20との転送のためのインターフェースもある。これはプリント展開データではなく、IMAC経由でシステムコントローラ1と通信し、処理手順の受け付け、システム状態の表示等をおこなう。
システムコントローラ1と、MEM,HDDおよび各種バスとのデータ送受信は、IMACを経由しておこなわれる。MEMおよびHDDを使用するジョブはACP全体の中で一元管理される。
図5に、CDICの機能構成の概要を示す。画像データ入出力制御161は、カラー原稿スキャナ10(SBU)が出力する画像データを受けて、IPPに出力する。IPPは、「スキャナ画像処理」190(図7)をして、CDICの画像データ入力制御162に送りだす。画像データ入力制御162が受けたデータは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるためにデータ圧縮部163に於いて、画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、データ変換部164でパラレルデータに変換してパラレルデータI/F165を介してパラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbからパラレルデータI/F165を介して入力される画像データは、データ変換部164でシリアル変換される。このデータは、バス転送のために1次圧縮されており、データ伸張部166で伸張される。伸張された画像データは、画像データ出力制御167によってIPPへ転送される。IPPでは、「画質処理」300(図7)によりRGB画像データをYMCK画像データに変換し、プリンタ100の画像出力用の画像データYpMpCpKpに変換してカラープリンタ100に出力する。
CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ1は、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ131は、シリアルバスSbにデータを転送する。2つのコントローラ1,131の通信のために、デ−タ変換部164およびシリアルデ−タI/F169で、パラレル/シリアルデータ変換を行う。シリアルデータI/F168は、IPP用であり、IPPともシリアルデ−タ転送する。
図6に、IMACの構成の概略を示す。IMACは、アクセス制御172、メモリ制御173、2次圧縮/伸張モジュール176、画像編集モジュール177、システムI/F 179、ローカルバス制御180、パラレルバス制御171、シリアルポート制御175、シリアルポート174およびネットワーク制御178を備えている。2次圧縮/伸張モジュール176、画像編集モジュール177、パラレルバス制御171、シリアルポート制御175およびネットワーク制御178は、それぞれDMAC(ダイレクトメモリアクセス制御)を介してアクセス制御172に接続されている。
システムI/F 179はシステムコントローラ1に対する命令またはデータの送受信をおこなう。基本的に、システムコントローラ1はACP全体を制御する。また、システムコントローラ1はMEM,HDDの資源配分を管理し、他のユニットの制御は、システムI/F 179、パラレルバス制御171およびパラレルバスPbを介しておこなう。
ACPの各ユニットは基本的にパラレルバスPbに接続されている。したがって、パラレルバス制御171は、バス占有の制御をおこなうことによってシステムコントローラ1およびMEM,HDDに対するデータの送受信を管理する。
ネットワーク制御178は、LANとの接続を制御する。ネットワーク制御178は、ネットワークに接続された外部拡張機器に対するデータの送受信を管理する。ここで、システムコントローラ1は、ネットワーク上の接続機器の動作管理には関与しないが、IMACにおけるインターフェースについては制御をおこなう。特に限定しないが、本実施例では、100BASE−Tに対する制御が付加されている。
シリアルバスに接続されるシリアルポート174は複数のポートを備えている。シリアルポート制御175は、用意されているバスの種類に対応する数のポート制御機構を備えている。特に限定しないが、本実施例では、USBおよび1284に対するポート制御を行う。また、外部シリアルポートとは別に、操作部とのコマンド受け付けまたは表示に関するデータの送受信の制御を行う。
ローカルバス制御180は、システムコントローラ1を起動させるために必要なRAM4,不揮発メモリ5およびプリンタコードデータを展開するフォントROM6が接続されたローカルシリアルバスRbとのインターフェースをおこなう。
動作制御は、システムI/F 179からシステムコントローラ1によるコマンド制御を実施する。データ制御はMEM,HDDを中心に、外部ユニットからのMEM,HDDアクセスを管理する。画像データはCDICからパラレルバスPbを介してIMACに転送される。そして、その画像データはパラレルバス制御171においてIMAC内に取り込まれる。
取り込まれた画像データのメモリアクセスは、システムコントローラ1の管理から離れる。すなわち、そのメモリアクセスは、システム制御から独立してダイレクトメモリアクセス制御(DMAC)によりおこなわれる。MEM,HDDへのアクセスについて、アクセス制御172は複数ユニットからのアクセス要求の調停をおこなう。そして、メモリ制御173は、MEM,HDDのアクセス動作またはデータの読み出し/書き込みを制御する。
ネットワークからMEM,HDDへアクセスする場合、ネットワークからネットワーク制御178を介してIMAC内に取り込まれたデータは、ダイレクトメモリアクセス制御DMACによりMEM,HDDへ転送される。アクセス制御172は、複数ジョブでのMEM,HDDへのアクセスの調停をおこなう。メモリ制御173は、MEM,HDDに対するデータの読み出し/書き込みをおこなう。
シリアルバスからMEM,HDDへアクセスする場合、シリアルポート制御175によりシリアルポート174を介してIMAC内に取り込まれたデータは、ダイレクトメモリアクセス制御DMACによりMEM,HDDへ転送される。アクセス制御172は、複数ジョブでのMEM,HDDへのアクセスの調停をおこなう。メモリ制御173は、MEM,HDDに対するデータの読み出し/書き込みをおこなう。
ネットワークまたはシリアルバスに接続されたPCからのプリント出力データは、システムコントローラ1により、ローカルバス上のフオントデータを用いて、MEM,HDD内のメモリエリアに展開される。
各外部ユニットとのインターフェースについては、システムコントローラ1が管理する。IMAC内に取り込まれた後のデータ転送については、図6に示すそれぞれのDMACがメモリアクセスを管理する。この場合、各DMACは、お互いに独立してデータ転送を実行するため、アクセス制御172は、MEM,HDDへのアクセスに関するジョブの衝突、または各アクセス要求に対する優先付けをおこなう。
ここで、MEM,HDDへのアクセスには、各DMACによるアクセスの他に、格納データのビットマップ展開のためにシステムI/F 179を介してシステムコントローラ1からのアクセスも含まれる。アクセス制御172において、MEM,HDDへのアクセスが許可されたDMACデータ、またはシステムI/F 179からのデータは、メモリ制御173によりMEM,HDDに直接転送される。
IMACは、その内部でのデータ加工に関して2次圧縮/伸張モジュール176および画像編集モジュール177を有する。2次圧縮/伸張モジュール176は、画像データまたはコードデータをMEM,HDDへ有効に蓄積できるようにデータの圧縮および伸張をおこなう。2次圧縮/伸張モジュール176はDMACによりMEM,HDDとのインターフェースを制御する。
MEM,HDDに一旦格納された画像データは、ダイレクトメモリアクセス制御DMACによりMEM,HDDからメモリ制御173、アクセス制御172を介して2次圧縮/伸張モジュール176に呼び出される。そこでデータ変換された画像データは、ダイレクトメモリアクセス制御DMACにより、MEM,HDDへ戻されるか、外部バスへ出力される。
画像編集モジュール177は、DMACによりMEM,HDDを制御し、MEM,HDD内でのデータ加工をおこなう。具体的には、画像編集モジュール177は、メモリ領域のクリアの他に、データ加工として画像データの回転処理,異なる画像同士の合成などをおこなう。画像編集モジュール177は、MEM,HDDから2次圧縮データを読出して2次圧縮/伸張モジュール176で1次圧縮データに伸張し、モジュール177内で、CDICのデータ伸張163と同じ復号化ロジックで1次圧縮データを画像データに伸張してモジュール177内のメモリに展開し、それを加工する。加工した画像データは、CDICの1次圧縮ロジックと同じ符号化ロジックで1次圧縮して、2次圧縮/伸張モジュール176で更に2次圧縮してMEM,HDDに書込む。
図7に、IPPの画像処理概略を示す。読み取り画像はSBU,CDICを介してIPPの入力I/F(インターフェース)から「スキャナ画像処理」190へ伝達される。この「スキャナ画像処理」190は、読み取り画像信号の読み取り劣化補正が目的で、シェーディング補正を行った後にスキャナガンマ変換等を行った後にCDICにデータは転送されて、MEMでの蓄積が行われる。MEMに蓄積し、そして読み出された画像データは、CDICを経由して再びIPPに転送される。そして「画質処理」300が行われる。
図8に、IPPの画像処理機能の概要を示す。IPPは、ノイズライン除去192,分離生成(画像が文字領域か写真領域かの判定:像域分離)193,地肌除去194,スキャナガンマ変換195,フィルタ196,色補正302,変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および階調処理606を行う。IPPは画像処理をおこなうプログラマブルな演算処理手段である。スキャナ10の出力I/F12からCDICに入力された画像データは、CDICを経由してIPPに転送され、IPPにて光学系およびデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化)を補正され、再度、CDICへ出力(送信)される。CDICからIPPへ戻される画像データに対して、IPPにおいては、「画質処理」300を行う。「画質処理」300では、色補正302でRGB信号をYMCK信号に色変換し、変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および、階調変換,ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理306などをおこなう。
ここで、本発明のノイズライン検出では、次の仮説に基づいて、原稿に元から描かれている画像(主に文字)をノイズラインと誤検出するのを回避する。すなわち、一般的な印刷装置で印字された文字は、ビットマップフォントであっても、ベクトルフォントであっても、フォントサイズが上がるにつれ、文字を構成する各線の幅も太くなる傾向がある。逆に、フォントサイズが下がるにつれ、文字を構成する各線の幅も細くなる傾向がある。これは文字を印字する時に、印字する文字の形状を、ビットマップフォントであればビットマップデータを拡縮し、ベクトルフォントであれば、ベクトル演算を行って求めるからである。これらの特徴をふまえ、ノイズライン候補である局所顕像画素と検出した場合には、該画素が、副走査方向に、どの程度連続しているのかをカウントする。そして、カウントした値が参照値L未満である間は無条件に、ノイズラインと判定しない。但し、連続量のカウントだけは行い、参照値以上になった時点からノイズラインとして判定するように改める。その結果、多値画像データのパターンマッチングでノイズラインと判定された画素は全て、先端から所定の長さまでが、ノイズラインから除外される。ノイズライン全体の長さは、原稿の副走査終端まで読み取らないと分からない。しかしながら、仮に画像全体を読みとってから、ノイズラインの先端から所定の長さだけ測ろうとすれば、画像全体を記録出来る容量をもったメモリが必要になるため、その様なことは行わない。パターンマッチングによって局所顕像画素すなわちノイズライン候補と判定されたならばカウント値をインクリメントし参照値との比較を行う。ノイズライン候補と判定されなかった場合はカウント値を初期値に戻して、カウントをやりなおす。この方法であれば、撮像素子(CCD)で読み取る画素数分のカウント値が保存できれば良いのでメモリ容量の節約になる。
参照値Lには、多値画像データのパターンマッチングによって誤認してしまう文字のサイズよりも、やや大き目の値を設定しておく。上述した仮定によれば、文字のサイズが大きくなるにつれ、文字を構成する線の幅も増していく。そのため、線幅が図14の(a)のwを超える様な文字は、多値画像データのパターンマッチングを行う段階でノイズライン候補と判定されない。従って、どの程度の線幅を持つノイズラインまで検出したいのかを決め、wの値を定めれば、Lの値が求められる。
最終的にノイズラインと判定した画素については、TH1以上の画素値をもった領域にある任意の画素値をノイズラインの画素値に置きかえることで、ノイズラインを目立たなくする。すなわちノイズラインを除去する。この処理では、たとえ本物のノイズラインであっても、ノイズラインの先端から原稿の搬送方向に一定長(L)は、目立たなくすることが出来ない。しかしながら、該一定長を超える部分は除去できる。
ただし、利用者が扱う原稿は多種多様であるため、画像読み取り装置に実装されたノイズライン除去のアルゴリズムが、必ずしも利用者が頻繁に扱う原稿にとって最適であるとは限らない。これは本発明の画像読み取り装置に限ったことでは無い。ノイズライン除去処理とは、既に起こってしまった不具合(読み取り画像にノイズラインが混入する)を、後から戻そう(ノイズラインを目立たなくする)と挑戦する処理であるため、原稿画像との相性は必ず発生する。従って、ノイズライン除去処理を実行するハードウェアとしては、プログラムを入れかえることで処理の内容が変更出来るプロセッサが好ましい。そこでプログラマブルなSIMDプロセッサを主体とするIPPを用いた。
図9に、IPPの概要を示す。IPPには、多値画像データを1ライン分以上保持することが出来、また画素密度(dpi)変換機能があるバッファメモリ装置BMD、および、プログラマブルなSIMDプロセッサIPP1〜IPP5がある。SIMDプロセッサIPP1〜IPP5は同一仕様である。すなわち同一ハードウェアで同一機能である。IPPは、スキャナ10が発生する8ビット構成の多値画像データを、300dpiで読み取ったA4版短辺長(A4横幅)の1ライン分の画像データの全てを、5ブロックに分割して、各ブロックをSIMDプロセッサIPP1〜IPP5に与えて、IPP1〜IPP5で1ライン上の全画素の多値画像データを、同時に並行して処理する。すなわち、A4横幅を300dpiで読み取った1ライン(2480画素)分の画像データの全てを同時並行処理するために5個のSIMDプロセッサIPP1〜IPP5を備えている。
図10に、1つのSIMDプロセッサIPP1の内部構成の概要を示す。IPP1は、スキャナ10の出力I/FからCDICを介して、更にバッファメモリ装置BMDを介しての画像データの受け入れならびに、該バッファメモリ装置BMDを介してのCDICに対する画像データの入出力は入出力ポート141で行う。入出力画像データは、バススイッチおよびバッファメモリを含むデータバッファ又は入出力データレジスタ142に一旦格納してから、SIMD型プロセッサ143のメモリ制御を介してプロセッサアレイ144に入力され、あるいはバッファメモリ装置BMDを介してCDICに出力される。IPP1を制御するデータならびにIPP1の画像処理プログラム(プログラムと処理パラメータ)は、HDDにあり、システムコントローラ1,CDICあるいはプロセスコントローラ131の転送制御によって、ホストバッファ147に与えられ、データRAM146およびプログラムRAM145に書込まれる。
図11に、プロセッサアレイ144の内部の一部分の構成を示す。この実施例では、プロセッサアレイ144は、プログラマブルなSIMD(Single Instruction stream Multiple Data stream)型プロセッシングエレメント(PE)群であり、複数のデータに対し、単一の命令を並列に実行させるもので、各プロセッシングエレメントPE(PE1,PE2,PE3,・・・)が各データを処理する。それぞれのプロセッシングエレメントPE(以下では単にPEと表記することもある)は、自己宛てのデータを格納する入出力レジスタ150、他のPEのレジスタをアクセスするためのマルチプレクサ(以下ではMUXと表記)151、論理演算器(以下ではALUと表記)153、論理結果を格納するアキュムレータレジスタ(以下では単にアキュムレータ)154、アキュムレータ154の内容を一時的に退避させるテンポラリレジスタ155から構成される。
各入出力レジスタ150はアドレスバスおよびデータバス(リード線およびワード線)に接続されており、処理を規定する命令コード,処理の対象となるデータ等を格納する。入出力レジスタ150の内容はALU153に入力され、演算処理結果はアキュムレータ154に格納される。結果をPE外部に取り出すために、テンポラリレジスタ155に一旦退避させ、入出力レジスタ150(の出力レジスタに割当てたものR8)に書込み、各PEの結果データを順次に(シリアルに)出力することにより、対象データに対する処理結果がラスタ(シリアル転送)形式で得られる。
命令コードは各PEに同一内容で与え、個々に異なる処理対象データをPEごとに与え、隣接PEの入出力レジスタ150の内容をMUX151において参照することで、各PEは、他のPEが保持する処理対象データを参入した演算も行うことができる。演算結果はアキュムレータ154に出力される。全PEは同時に同じ命令コードに従う同じ演算を行う。すなわち並列処理する。
たとえば、同一ライン上の各画素宛ての多値画像データを、各画素宛てにPEに配置し、同一の命令コードで演算処理させれば、1画素づつ逐次処理するよりも短時間で同一ライン上の複数画素分の処理結果が得られる。特に、空間フィルタ処理、シェーディング補正処理,属性検出処理はPEごとの命令コードは演算式そのもので、PE全てに共通に処理を実施することができる。この実施例では、PEの実効個数は、512以上であり、1ラインの画素数2480を5分割した各ブロックの画素数496と、パターン認識の主走査方向のパターン幅の画素数A(後述のノイズライン検出ではA=10)を更に加えた496+A以上である。なお、ノイズライン検出のパターンサイズは、図14の(b)に示す1次元の11画素であるが、上記Aは注目画素を除外した画素数である。
入出力レジスタ150には、その外部からの入力データを入力可能、さらに外部への出力可能な各8ビット構成のレジスタが複数個ある。ALU153は、入出力レジスタ150からデータをロードして演算可能かつ、演算結果を入出力レジスタ150に格納可能な16bitALUであり、アキュムレータ154とテンポラリレジスタ155も16bit構成である。また各ALUはTレジスタ1bitを持ちその値によって各々のALUがプログラム処理を実行するか否かを独立に選択する。上記構成のPEが並列に複数個並び、単一のプログラムにしたがって並列に動作する。
図12に、グローバルプロセッサ148が、プログラムRAM145にロードされたノイズライン除去プログラムにしたがって実行するノイズライン検出処理の概要を示す。ここで図9を再度参照して、ノイズライン除去処理に関するバッファメモリ装置BMDの機能を説明する。原稿画像の読み取りが開始されて副走査の進行にともなって各ラインの画像データが1ライン毎に、次々にバッファメモリ装置BMD(以下では、単にBMDと表記)に送り込まれる。
BMDは、A4短辺幅(横幅)を300dpiで読み取る原稿読み取りの場合には、1ライン分の多値画像データを受け入れてメモリに格納すると、1ライン2480画素をライン先頭からブロック1,2,3,4および5と区分したと仮定して表現すると、IPP1には、図14の(e)に示すように、第1ブロックの画素の多値画像データを、先頭に5画素分のダミー画像データ(顕像無しレベル)を付加し、ブロック尾端には、第2ブロックの多値画像データの先頭5画素分を付加して、合計506画素分の多値画像データを与える。
IPP2には、第2ブロックの画素の多値画像データを、先頭に第1ブロックの末尾の5画素分の多値画像データを付加し、ブロック尾端には、第3ブロックの多値画像データの先頭5画素分を付加して、合計506画素分の多値画像データを与える。
IPP3には、第3ブロックの画素の多値画像データを、先頭に第2ブロックの末尾の5画素分の多値画像データを付加し、ブロック尾端には、第4ブロックの多値画像データの先頭5画素分を付加して、合計506画素分の多値画像データを与える。
IPP4には、第4ブロックの画素の多値画像データを、先頭に第3ブロックの末尾の5画素分の多値画像データを付加し、ブロック尾端には、第5ブロックの多値画像データの先頭5画素分を付加して、合計506画素分の多値画像データを与える。
IPP5には、第5ブロックの画素の多値画像データを、先頭に第4ブロックの末尾の5画素分の多値画像データを付加し、ブロック尾端には、5画素分のダミー画像データ(顕像無しレベル)を付加して、合計506画素分の多値画像データを与える。
なお、操作ボード20のディスプレイである液晶タッチパネル20disには、画像読み取りの指示があったときに、図13に示す読み取り条件入力画面が表示され、読み取り解像度(dpi)を指定できる。読み取り解像度のデフォルトは300dpiである。600dpi又は1200dpiである場合には、BMDは、メモリに格納した画像データを読み出しながら、600dpi又は1200dpiから300dpiへの画素密度変換をして、300dpiの場合と同様に、画素密度変換した画像データをIPP1〜IPP5に分配供給する。ただし、メモリに格納した1ラインの画像データの画素密度変換は行わない(メモリデータの変更はしない)。
IPP1〜IPP5は、内容は後述するが、各画素(図14の(b)に示す注目画素)が局所顕像画素であるかを、該注目画素の多値画像データが与えられたPEで、主走査方向前後5画素合わせて11画素の多値画像データ、すなわち図14の(b)に示す主走査方向xで、No.−5〜No.+5の11画素の並びの狭領域内の多値画像データ、の分布がノイズライン横断パターンであるかを検索して、ノイズライン横断パターンと検出したパターンの注目画素No.0には局所顕像画素を意味する“1”を、非検出の場合には“0”の局所顕像画素検出データ(R5)を発生する。そして副走査の進行にともなって、局所顕像画素との検出の継続数(R6)を計測して、継続数が参照値L以上になると、そこの画素はノイズライン上の画素と判定して、これを表わすノイズライン検出データ(R8=“1”)をBMDに出力する。
600dpiの読み取りのときには、図14の(c)に示すように、ノイズライン横断パターンの1画素は、読み取り多値画像データの隣接2画素に対応し、1200dpiの読み取りのときには、図14の(d)に示すように、読み取り多値画像データの隣接4画素に対応する。
そこで、IPP1〜IPP5からノイズライン検出データを受けるとBMDは、300dpiの読み取り時には、1ラインの始端から、IPP1〜IPP5が出力したノイズライン検出データが“1”の画素宛ての、メモリ上1ラインの多値画像データ群の中の多値画像データを、同一ライン上先行画素の多値画像データに書き換える。ライン上先頭画素の場合は、先行画素がないので、ダミー画像データ(顕像無しレベル)に書き換える。ノイズライン検出データが“0”の画素宛ての多値画像データは、メモリにあるままとし、変更しない。600dpiの読み取りの時には、IPP1〜IPP5が出力した1ライン分のノイズライン検出データを画素密度変換により、300dpiから600dpiに変更してから、上述の(300dpi読み取りのとき、として説明した)メモリ上1ラインの多値画像データの書換えを実行する。1200dpiの読み取りの時には、IPP1〜IPP5が出力した1ライン分のノイズライン検出データを画素密度変換により、300dpiから1200dpiに変更してから、上述のメモリ上1ラインの多値画像データの書換えを実行する。
ここで、図12を参照して、グローバルプロセッサ148のノイズライン検出処理を説明する。原稿画像読み取りの第1ラインの第1ブロックの多値画像データがBMDからIPP1に与えられる前に、プロセッサ148はIPP1内の全PEの、局所顕像画素の副走査方向の連続数を計数するためのレジスタR6をクリアする(ステップs1)。なお、以下においては、カッコ内にはステップという語を省略してステップNo.記号のみを表記する。
次にプロセッサ148は、BMDが与える第1ブロックの多値画像データの各画素あてのものを、各PEの入力レジスタR0に書き込む(s2)。
本実施例では、多値画像データは、黒(各色成分では最高顕像レベル)を0とし、色が明るくなるにつれ値が増し、白(各色成分では最低顕像レベル)を最大値(8ビット構成の画像データで255)とするものである。すなわち本実施例では、多値画像データは、顕像レベルが高い(画像濃度が高い)画素宛てには小さい値を、顕像レベルが低い(画像濃度が低い)画素宛てには大きい値を示すものである。なお、図14の(a)には、主走査方向xで局所的に顕像レベルが高い局所顕像画素があるときの、多値画像データが表す値の主走査方向xの分布を示す。この図上の、TH2以下TH3以上の値の画素(谷ピーク)をIPP1〜5が、以下に説明するデータ処理によって、局所顕像画素と検出する。仮に、多値画像データが、黒(各色成分では最高顕像レベル)を最高値(255)とし、色が明るくなるにつれ値が下がり、白(各色成分では最低顕像レベル)を最低値0とするものであるときは、例えば、図14の(a)に示すグラフ上の画素値曲線を、上下反転した曲線の山ピーク位置の画素が、局所顕像画素である。
図12を再度参照すると、次にプロセッサ148は、各多値画像データを与えたPEの全てに、顕像なし(地肌)レベルかを検出する第1閾値TH1を与えて、入力レジスタR0の多値画像データの2値化を指示する(s3)。各PEはこれに応答して多値画像データがTH1以上であると“1”、そうでないと“0”の2値データを生成してレジスタR1に書きこむ。次にプロセッサ148は、PEの全てに、顕像ありレベルかを検出する第2閾値TH2を与えて、入力レジスタR0の多値画像データの2値化を指示する(s4)。各PEはこれに応答して多値画像データがTH2以上であると“1”、そうでないと“0”の2値データを生成してレジスタR2に書きこむ。次にプロセッサ148は、PEの全てに、強い顕像ありレベルかを検出する第3閾値TH3を与えて、入力レジスタR0の多値画像データの2値化を指示する(s5)。各PEはこれに応答して多値画像データがTH3以上であると“1”、そうでないと“0”の2値データを生成してレジスタR3に書きこむ。
次にプロセッサ148は、全PEに、レジスタR2とR3の2値データのEX.OR(排他論理和)演算を指示する(s6)。各PEはこれに応答してレジスタR2とR3の2値データのEX.ORを算出してレジスタR4に書き込む。レジスタR4に書きこんだ2値データが“1”のPEが宛てられた画素は、図14の(a)に示す、多値画像データが、TH2未満かつTH3以上の画素すなわち局所顕像画素候補である。
次にプロセッサ148は、全PEに、自PE(注目画素)より5画素前のNo.−5位置の画素に割り当てられたPE、および、5画素後のNo.+5位置の画素に割り当てられたPEの、各レジスタR1の2値データ(顕像なしレベル近くの多値画像データであると“1”)と、自PEのレジスタR4の2値データ(局所顕像画素候補であると“1”)の論理積演算すなわちパターンマッチングを指示する(s7)。各PEはこれに応答して該論理積演算を行い、結果を表わす2値データ(“1”:局所顕像画素)をレジスタR5に書き込む。
次にプロセッサ148は、レジスタR5の2値データが“1”(局所顕像画素)であればレジスタR6のデータ(初期値は、s1により0)を1インクレメントし“0”であればクリアする計数処理を指示する(s8)。次にプロセッサ148は、全PEに、参照値Lを与えてレジスタR6の計数データの2値化を指示する(s9)。全PEはこの2値化を実行して、得た2値データ(参照値L以上で“1”:ノイズライン上画素)をレジスタR7に書き込む。この2値データが、各PEに与えられた多値画像データが、ノイズラインのものか否を示すノイズライン画素検出データ(“1”:ノイズライン)である。
例えばMS明朝の「朝」という文字の縦長Hと文字成分の線幅wとの比a=H/wは17.9(約18)程度と大きく、太字であるMS明朝ゴシックの「朝」はa=13.3程度であり、MS明朝ゴシックの「D」ではa=8.4程度と小さい。そこで本実施例では、300dpi(11.81dpmm)の原稿読み取りで、図14の(b)に示す主走査方向で11画素(No.−5画素〜No.+5画素)の狭領域の内側9画素分の主走査方向の幅W(=9/11.81=0.76mm)までの線幅のノイズラインを検出すると想定して、文字の上記比aの略最大値である18をW=0.76mmに乗じた積H=13.68mmの副走査量を、ノイズラインと判定する局所顕像画素の連続数に定めている。上記参照値Lは、300dpiの原稿読み取りの場合は、300dpi読み取り時の副走査量13.68mmの間のライン数、600dpiの原稿読み取りの場合は、600dpi読み取り時の副走査量13.68mmの間のライン数、また、1200dpiの原稿読み取りの場合は、1200dpi読み取り時の副走査量13.68mmの間のライン数、である。
次にプロセッサ148は、No.−3〜No.+3画素の画像データが与えられたPEの、各レジスタR7の論理和演算を全PEに指示する(s10)。全PEはこの論理和演算を実行して、得た2値データ(“1”:ノイズライン幅内画素)をレジスタR8に書き込む。これにより、例えば図14の(b)に示すNo.1〜No.+1の3画素がノイズラインと判定されていた場合には、No.−4〜No.+3の画素の多値画像データが与えられたPEの各レジスタR8に、ノイズライン幅内画素を意味する“1”が書き込まれ、ノイズライン幅が主走査方向xに拡張される。
次にプロセッサ148は、全PEの各レジスタR8のノイズライン検出データをBMDに出力する(s11)。プロセッサ148は、上述の1ライン上多値画像データの処理を、BMDと協働して、1ページの原稿の副走査方向の後端までの各ラインの多値画像データに対して繰り返し実行する。
以上に説明した第1実施例のノイズライン検出GPP(図12)では、局所顕像画素との判定が副走査方向で途切れるとステップs8でレジスタR6を0に初期化するので、原稿の副走査始端から副走査終端まで完全にノイズラインが発生し途切れを生じない場合には、原稿の副走査始端から参照値L相当距離までのノイズラインは残るが、参照値L相当距離を越えて副走査終端までのノイズラインが除去される。仮に、ノイズラインのところどころに途切れを生ずる場合には、途切れの次のノイズライン開始端から参照値L相当距離までのノイズラインは残るが、そのあとの、次の途切れまでのノイズラインが除去される。したがって、副走査始端からある程度副走査が進むまでノイズラインが現れないが、そのあとでノイズラインが現れる場合に、その大部分の長さが除去される。しかしこの実施態様では、副走査方向に平行な比較的に短い直線や、想定外の大きな異形文字,線画をノイズラインと誤認して消去する可能性がある。したがって第1実施例は、標準的な文字のみが存在する文書原稿の読み取りに適する。
スキャナガンマ変換195およびプリンタガンマ変換305では、別個の変換特性規定データセットが用いられる。これらの変換特性規定データセットおよびそれを用いる、画像処理用制御データであるデータ変換制御プログラムはHDDに登録されている。
スキャナ10による原稿画像読取のときには、スキャナガンマ変換を含むスキャナ画像処理190のための制御プログラムおよび参照データが、HDDから読み出されてIPPのプログラムRAM146および外部データRAM145に書込まれる。グローバルプロセッサ148が、プログラムRAM146および外部データRAM145のデータに基いて、スキャナ画像処理190(図8)を行う。
プリンタ100による画像のプリントアウトのときには、プリンタガンマ変換305を含むプリンタ画質処理300(図8)のための制御プログラムおよび参照データが、HDDから読み出されてIPPのプログラムRAM146および外部データRAM145に書込まれる。グローバルプロセッサ148が、プログラムRAM146および外部データRAM145のデータに基いて、プリンタ画質処理300を行う。
−第2実施例−
第2実施例のハードウェアは、上述の第1実施例と同じであるが、第2実施例では、プログラムRAM145に書き込まれるノイズライン除去プログラムが第1実施例とは少し異なっている。
図15に、第2実施例のプロセッサ148が、プログラムRAM145のノイズライン除去プログラムに従って実行するノイズライン検出GPPの概要を示す。原稿画像読み取りの第1ラインの第1ブロックの多値画像データがBMDからIPP1に与えられる前に、プロセッサ148は、その内部の、副走査量カウント用のレジスタLNrおよび参照値L分の副走査が完了したか否を表わす情報を保持するためのフラグレジスタFLoをクリアし(s1a)、IPP1内の全PEの、局所顕像画素の副走査方向の連続数を計数するためのレジスタR6をクリアする(ステップs1)。
次にプロセッサ148は、BMDが与える第1ブロックの多値画像データの各画素あてのものを、各PEの入力レジスタR0に書き込む(s2)。そしてその後、第1実施例と同様に、ノイズライン検出(s3〜s10)を行うが、第2実施例では、該ノイズライン検出(s3〜s10)は、原稿始端からの副走査量が参照値Lに達するまで実行し、副走査量が参照値Lを超えてからは、ノイズライン検出(s3〜s10)は実行せず、参照値Lに達したときのノイズライン検出結果(R8のデータ)を繰り返し出力する。
すなわち、副走査量が参照値Lに達するまでは、1ライン(IPP1宛ての1ブロック)の画像データを各PEの各レジスタR0に書込む度に、レジスタLNrを1インクレメントして(s2a,s2b)、レジスタLNrのデータが、参照値L相当の副走査量(ライン数)以上になったかをチェックする(s2c)。そして参照値L相当の副走査量になったときに、これを表わす“1”をフラグレジスタFLoに書き込む(s2d)。この書込みステップs2dに続くノイズライン検出(s3〜s10)で、原稿読み取りの開始から参照値L相当の副走査量になったときまで、局所顕像画素との判定が継続した画素宛てのPEのレジスタR7には、ノイズラインを意味する“1”が書込まれ、ついでノイズライン画素の前後3画素(No.−3〜No.+3)宛てのPEのレジスタR8に、ノイズライン(の幅内)を意味する“1”が書込まれ、このノイズライン情報がBMDに出力される(s11)。その後は、原稿尾端までの副走査の終了まで、ノイズライン検出(s3〜s10)は行わずに、BMDへのノイズライン情報の出力が繰り返される(s2a−s11)。
従って第2実施例によれば、原稿の副走査始端から参照値L相当距離までにノイズラインが現れる場合は、仮にそのあとで途切れを生じても、参照値L相当距離以降副走査終端まで完全にノイズラインが除去される。原稿の副走査始端から参照値L相当距離までに少なくとも部分的に途切れがあるノイズラインを生ずる場合には、参照値L相当距離以降はノイズラインの検出が行われないので、ノイズラインは除去されない。したがって、副走査始端からある程度副走査が進むまでノイズラインが確実に現れる場合に、それ以降副走査終端まで完全に除去される。この実施態様は、副走査方向に平行な比較的に短い直線や、想定外の大きな異形文字,線画があっても、それらが原稿の副走査始端にまで及んでいない限り、ノイズラインと誤認して消去する可能性はない。