JP4154929B2 - プラスチックを原料とする有用物質の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックを原料とするコークス等の有用物質の製造方法に関し、特に廃プラスチックを有効利用可能な有用物質の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃プラスチックは、年間、約1000万トン程度発生しており、その処理方法は埋め立てが37%、単純焼却が24%と大半を占め、高炉還元剤、コークス原料、ガス化などで有効に再利用されている比率は39%と少なく、他の素材のリサイクル率、例えばスチール缶の70%、アルミ缶の60%に比べ非常に低いという問題がある。循環型社会の形成の要請が高まる中、廃プラスチックのリサイクル率を高めることは極めて大きな課題である。プラスチックの原料は海外に依存している貴重な化石燃料の石油であり、単に廃棄物処理に伴う環境上の問題だけでなく、資源の有効利用の立場からも、いわゆるケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルのように再利用することが最も望ましい。プラスチックの化学的性質を利用する、ケミカルリサイクルとして、例えば、特開平7−138576号公報には廃プラスチックの水素化分解による油化技術が開示されている。
【0003】
一方で、石油系重質油やコールタールを原料としてコークス(オイルコークス)を製造する方法が公知であり、米国特許第4624775号、米国特許第3759822号、特開昭52−28501公報、特開昭52−121003号公報等に記載されている。オイルコークスとは、石油精製過程において、ガソリン、軽油等の収率を高めるために、重質残さ油を熱分解する際に副生する固形残さ物であり、安価な燃料として利用されている。より高品質のオイルコークスはニードルコークスと呼ばれて原子炉の黒鉛炉材の骨材原料等に使用されている。これらに関連したプラスチック等の高分子材料の廃棄物処理方法として、既存のコーカー設備を用いて、原料油にプラスチックを混合処理してコークスを製造する技術が特開平6−80970号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平7−138576号公報に記載の廃プラスチックの水素化分解による油化技術等は、低温で水素化分解を行なうと未反応残渣が発生し、高温では反応器にコーキングが発生するなど、解決すべき課題が多い。
【0005】
また、石油系重質油やコールタールを原料としてコークスを製造する方法では、原料油性状が安定しないためにコークスの品質が安定せず、コークスの質が低下するという問題がある。石油系の原料油を用いる場合は原料油の硫黄や金属類の含有量が変動する。コールタール系原料を用いる場合も、例えばコールタールを併産するコークス炉の稼働率の変動により、コールタール中のアルキル側鎖を含む芳香族炭化水素やヘテロ環化合物の含有量等が変動する。
【0006】
さらに、特開平6−80970号公報で提案されている技術を用いれば、廃プラスチックを処理するために、廃プラスチックを原料の一部としてコークスを製造することは可能であるが、廃棄物である廃プラスチックの組成変動等が、製造されるコークスの性状、収率に影響するため、安定した品質のコークスを製造することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、安定した高品質のコークスを製造できる、プラスチックを原料とする有用物質の製造方法を提供することにある。
【0008】
また本発明は廃プラスチックの有効利用を可能とすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
【0010】
(1)重油とプラスチックとを混合し、この混合物を加熱溶融する工程と、加熱溶融された前記混合物を水素化分解する工程と、を有することを特徴とする、プラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
【0011】
(2)水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物をコーキングしてコークスを得る工程を有することを特徴とする、(1)に記載のプラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
【0012】
(3)水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物より沸点280℃以上である生成油を分離する工程と、該生成油をコーキングしてコークスを得る工程を有することを特徴とする、(1)に記載のプラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
【0013】
(4)水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物より沸点280℃未満である軽質分を分離する工程とを有し、該軽質分から軽油を製造することを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載のプラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
【0014】
(5)水素化分解により得られた生成物から、コークス、軽油、有機ガスの中から選ばれる2種以上を同時に製造することを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載のプラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
【0015】
(6)プラスチックとして、廃プラスチックを用いることを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれかに記載のプラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明では、重油とプラスチックとを混合し、この混合物を加熱溶融する工程と、加熱溶融された前記混合物を水素化分解する工程と、を有することを特徴とする、プラスチックを原料とする有用物質の製造方法を用いて、コークス、軽油、有機ガス等の有用物質を製造する。
【0017】
本発明で用いるプラスチックとは、炭化水素を主成分とする高分子材料であり、任意の形状のものを用いることができる。本発明ではプラスチックとして廃プラスチックを用いることが、廃プラスチックのリサイクルの点からも、コークスを安価に製造するためにも好ましい。廃プラスチックとしては、特に限定されるものではないが、例えば、家庭で食品や様々な商品の包装に用いられるプラスチック廃棄物であり、水素濃度が高く、熱分解しやすい熱可塑性樹脂を主成分とするものが好適である。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の塩素を含有しない熱可塑性樹脂が特に好適である。塩化ビニル樹脂など、塩素を含有する樹脂類は、廃プラスチック中から予め遠心分離や比重分離などの方法で除去することが可能である。塩素を含有する樹脂類を用いる場合は、重油と加熱混合する際に塩化水素が発生するので、発生する塩化水素を分離・回収する装置を設置すればよい。上記廃プラスチックには、水素化分解時に重油中に溶融しないガラス、金属などの不適物が含まれていても構わないが、廃プラスチックを粉砕して粉砕物とした後、重油と100〜300℃程度で加熱混合して、廃プラスチックに混入する不適物を重油中に沈降させ、重油から不適物を分離して回収した後に、重油とプラスチックとの混合物を加熱溶融することが好ましい。また、プラスチックを粉砕して重油と混合することは、水素化分解の時間を短縮する効果もあるので好ましい。プラスチックを粉砕する際の破砕径は、プラスチックの種類に応じてハンドリングし易い程度に適宜設置すれば良いが、破砕径が大きいほど水素化分解に時間がかかり、不適物の除去率も低下する。
【0018】
本発明で有用物質の原料として使用される重油は、プラスチックの水素化分解温度で液体として存在し、分解されたプラスチックの溶媒として、分解されたプラスチックが溶解、あるいは均一に分散するものが望ましい。具体的に例示すれば、常圧蒸留石油残油、エチレンタール、コールタールピッチ、石炭液化油残渣等あるいはこれらの、いずれか2種以上の混合物、軽質油分量を調整したもの、重合処理したもの、ゲル化剤等を添加したもの等が挙げられる。
【0019】
上記の重油と上記のプラスチックとを混合し、この混合物を加熱溶融する工程では、重油とプラスチックとを混合する際の混合比は、質量比で、重油:プラスチック=10:1〜1:10とすることが好ましい。プラスチックの割合が高いと、廃プラスチックを多量に処理することが可能であり、安価なコークスを製造できるが、溶融時の粘度が高くなるためその輸送が困難であり、水素化分解時にコーキングが発生する等の問題が発生する。重油とプラスチックとを混合後に加熱して、プラスチックを重油中に溶解または分散させて溶融する。
【0020】
加熱溶融された重油とプラスチックとの混合物を水素化分解する。水素化分解は重油およびプラスチックを熱分解して低分子化するために行うが、一般に300℃以上の温度下、加圧下で行うため、通常は圧力容器を用いて行なう。水素化分解する工程での、水素化分解温度と圧力は、プラスチックの水素化分解が十分に進行する程度とする。これはプラスチックの種類、使用量によって異なるが、300〜500℃程度、好ましくは350〜450℃の温度で、10〜200atm程度、好ましくは20〜70atm程度の圧力が適当である。この水素化分解には鉄触媒、石油脱硫触媒などを使用することができる。また、プラスチックの成分には水素が存在するので、水素化分解には必ずしも水素の添加を必要としないが、反応を促進するために水素を用いることも可能である。水素を用いる際には、水素を含有するガスを適宜水素化反応に用いる容器の下部から吹きこむ等して使用すれば良いが、安価なコークス炉ガスなどを用いることが望ましい。水素化分解する工程で水素を添加する場合には、水素の供給量はプラスチックと重油の総量に対して0.05〜5.0mass%程度、好ましくは0.1〜1.0mass%程度が適当である。プラスチックの種類によりその水素化分解挙動は異なるが、水素ガスを供給する場合は、熱分解により炭素結合が切断し、低分子化するとともに水素ガスと重油とが反応して生成する水素ドナーから水素を引き抜き、軽油が生成するものと考えられる。水素ガスを用いない場合は、重油中に水素ドナー生成することからプラスチックの熱分解により生成した水素ガスが重油と反応して重油の水素化反応も生起するものと考えられる。
【0021】
上記の水素化分解により得られた生成物から、コークス、軽油、有機ガス等の有用物質の製造が可能である。
【0022】
コークスを製造するためには、上記の水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物をコーキングしてコークスを得る工程を有する製造方法を用いる。または、上記の水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物より沸点280℃以上である生成油を分離する工程と、該生成油をコーキングしてコークスを得る工程を有する製造方法を用いる。以下に各工程を説明する。
【0023】
上記の水素化分解により得られた生成物からガス成分を分離するには、分離器等を用いて、前記生成物を常圧に戻してガスを分離することが好ましい。この工程で分離されたガスは、有機ガスとして利用可能である。有機ガスは水素を主成分としたものであり、他にメタンやエタン等を含有する。
【0024】
ガス分離後の前記生成物をコーキングして、コークスを製造する。前記生成物をそのままコーキングすることも可能であるが、ガス分離後の前記生成物を、蒸留操作により沸点280℃以上の留出油(以下、生成油と記載)と280℃未満の留出油(以下、軽質分と記載)とに分離して、生成油をコーキングすることが好ましい。軽質分はコーキングしにくく、コーキングの工程で液体やガスとして存在するだけであるため、コーキング炉での加熱用熱源の損失であり、前記生成物から軽質分を分離除去することでコーキングしてコークスを得る工程での反応効率が向上する。
【0025】
ガス分離後の前記生成物、あるいはガス分離後の前記生成物を生成油と軽質分とに分離して得られた生成油(以下生成油等と記載)を、コークス原料としてコーキング(加熱した原料油を静置する方法)してコークスを製造する。なお、生成油等に混合した異物が問題になる場合は、異物を沈降させて生成油等と分離したり、ろ過、遠心分離などの固液分離操作で取り出すことができる。コーキング方法は特に限定されるものではなく、従来から用いられているディレードコーキング法、フルードコ−キング法、コンタクトコーキング法等をそのまま適用できる。最も工業化が進んでいるディレードコーキング法はコーキング炉加熱された原料油を2基備えたコークドラムに導入し、一定時間保持、コーキングして分解油(コーキングで発生する油であり、軽油と重油の混合物)とともにコークスを製造する方法である。フルードコーキングは微粒コークスを流動、熱媒体として利用し、原料油をこのコークス表面でコーキングする方法である。コンタクト法もフルードコーカーと同じ流動床方式であるが、揮発分の回収が容易な方法である。
【0026】
生成油等に数%程度のキノリン不溶解物質(Quinoline Insoluble:QI)が含まれていても通常のコークスの製造には差し支えないが、ニードルコークスを製造する際にはQIを0.5mass%程度以下に除去してコークス化することが望ましい。QIの除去方法は、公知技術を採用することができ、生成油の濾過、遠心分離等で除去することも可能であるが、例えば特公昭57−30159号公報に開示されているように、脂肪族系溶剤と芳香族系溶剤の混合溶剤を添加し、QIを該混合溶剤に不溶な成分とともに沈降させ、分離除去する方法が効果的である。QIを除去した生成油を用いてニードルコークスを製造する場合も公知技術を用いれば良い。例えば、重油としてコールタールピッチを用い、ディレードコーカー内で加圧下にて450〜500℃で低温乾留して生コークスを造り、ついでこの生コークスをロータリーキルン、レトルト、シャフトキルン等により1200〜1500℃でか焼してニードルコークスとすることができる。得られるニードルコークスは、更にバインダーピッチと混合して成型した後、これを2500℃以上の温度で黒鉛化すると、所望の黒鉛電極を得ることもできる。
【0027】
上記のようにプラスチックと共に水素化分解された重油をコークス用原料として用いると、原料油の性状(酸素、硫黄量や分子量、水素量等)が一定化するために性状が安定し、コーキングし易い成分の量が増えるために収率(収量)が増加し、収率が高位安定化する。したがって、原料油の性状が変動しても、製造されるコークス性状、収量の変動を少なくすることが可能である。また、水素化分解していない重油を用いた場合に比べてコークス化時における流動性が向上し流れ組織を有する良質なコークスを製造することが可能である。また水素化分解により原料中の酸素、硫黄、窒素を、それぞれ水、硫化水素、アンモニアとして除去することが可能なため、酸素、硫黄、窒素の含有量を低下させて、結晶性の良好なコークスを製造できる。
【0028】
軽油は、上記の軽質分から製造する。水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物より沸点280℃未満である軽質分を分離する工程とを有する製造方法を用いて、前記軽質分から軽油を製造する。軽質分は沸点280℃未満であるので、そのまま、あるいは蒸留分離して、軽油として燃料や他の化学原料として利用することができる。
【0029】
以上のように、水素化分解により得られた生成物から、コークス、軽油、有機ガスを製造することができるが、これらの有用物質を2種以上同時に製造することも可能であり、効率的である。
【0030】
また、プラスチックとして廃プラスチックを用いると、安価にコークスや軽油、有機ガスを製造することができ、廃プラスチックの再利用を促進することができるため非常に好ましい。
【0031】
廃プラスチックを原料として用いて、コークス、軽油、有機ガスを同時に製造する製造方法の一実施形態を以下に図面を用いて説明する。図1は本発明方法を用いて有用物質であるコークス、軽油、有機ガスを製造するためのフローを示し、原料であるプラスチックAと重油Bと、必要に応じて触媒Cとを混合槽1に入れて加熱溶解し、これを反応塔2に送り込む。この反応塔2の底部より水素Dの吹き込みを行ない、所定の温度、圧力で水素化分解を行なう。反応塔2内で水素化分解が行われたプラスチックと重油の混合物は分離槽3に送り込まれ、分離槽3でガスEを分離後、蒸留塔4に送液される。蒸留塔4では軽質分Fを留去して、生成油と軽質分Fとを分離する。生成油はコークス製造用、軽質分Fは軽油とする。分離槽3で分離したガスと蒸留塔4とで発生したガス(蒸留塔4での発生ガスは下記のコーキングでの発生分)とは、有機ガスEとして回収される。得られた生成油は遠心分離機5でQI成分が除去され、例えばディレードコーキング法を用いる場合は、コーキング炉6に移送され、コーキング炉6で450〜500℃程度に加熱された後、コークスドラム7aでコーキング(静置)を8時間程度行い、コークスを製造する。コークスドラムを複数設置して、順次使用することで、コークス製造を連続操業とすることが可能である。例えばコークスドラム7aと7bを用いて、コークスドラム7aでコーキングを行ない、その間コークスドラム7bはデコ-キングを行い、コークスを切り出し次回のコーキングに備え、コークスドラム7aのデコーキング時にはコークスドラム7bでコーキングを行なうことで連続的にコークスの製造を行なう。コーキング時にコークスと同時に生成した分解油及び有機ガスは、蒸留塔4に送り、コークス等の原料として再利用可能である。コークスと同時に生成した有機ガスを蒸留塔4に送らない場合には、有機ガスEは分離槽3のみから回収される。
【0032】
【実施例】
図1に示される製造フローにしたがってコークス、軽油、有機ガスの製造を行なった。この処理方法では、廃プラスチックAと重油Bを混合槽1に入れて加熱溶解し、これを反応塔2に送り込み、反応塔2底部に水素を吹き込んだ。反応塔2内で水素化分解が行われた廃プラスチックと重油の混合物は分離槽3に送り込まれ、ここでガスEを分離後、蒸留塔4に送液された。蒸留塔4では軽質分Fを留去、オイルコークス用生成油を得た。得られた生成油は遠心分離機5でQI成分が除去され、コーキング炉6に移送された。450〜500℃程度に加熱した後、コークスドラム7a、7bでコーキングを8時間程度行い、オイルコークスを製造した。なお、コークスドラム7a、7bでは交互にデコーキングを行い、コークスを切り出した。
【0033】
廃プラスチックAとしてポリエチレン約40mass%、ポリプロピレン約40mass%、ポリスチレン約20mass%を含む容器包装プラスチックを用い、10kg/hの流量で混合槽1に供給した。重油Bとしては常圧換算350℃〜550℃のコールタール減圧重油を20kg/hの流量で混合槽1に供給した。混合槽1では200℃で廃プラスチックAを重油B中に溶解した。触媒としては、0.5μmに粉砕された天然パイライトを用い、0.2kg/hで供給した。水素Dは2.5Nm3/hの流量で反応塔2下部から供給した。反応塔2での反応温度は400℃、圧力は50atmであり、反応時間は1時間とした。反応塔で水素化分解が行われた廃プラスチックと重油の混合物は30.3kg/hの流量で分離槽3に送られた。分離槽3は前記混合物を加圧から常圧に戻し、ガスを分離する装置で、分離槽3から分離される排ガスEは水素を主成分とするものであり、約3Nm3/hの流量で排出された。分離槽3でガスが分離された廃プラスチックと重油の混合物は29.8kg/hの流量で蒸留塔4に送られた。蒸留塔4では沸点280℃未満の軽油が11.5kg/hで、沸点280℃以上のコークス用生成油が18.3kg/hで排出され、生成油は遠心分離機5に移送された。遠心分離機5では温度、250℃、回転数2000rpmの条件で、QI成分を除去した。QI成分量が0.5mass%以下に除去されたコークス用生成油はコーキング炉6に移送された。コーキング炉6では500℃にコークス用生成油を加熱した。加熱されたコークス用生成油はコーキングドラム7aに移送された。コーキングドラム7aでは送液後、4atm、温度450℃、8時間の保持時間でコーキングを行い、堆積したコークスを切り出した。コークスは7.9kg/h、分解油及び有機ガスが10.4kg/hの生成量で得られた。生成した分解油及び有機ガスは蒸留塔4に戻し、ガス、軽油を分離して、コークス用の生成油に再利用した。コーキングドラム7aとコーキングドラム7bで同様な操作を交互に繰り返して行うことにより連続してコークスを製造することが出来た。
【0034】
なお、連続操業の結果、本プロセスで得られる有機ガス、軽油、コークスの収率はそれぞれ、25、49、26mass%であった。有機ガスは水素40%、メタン30%、その他ガスを20%含んでいた。軽質分Fである軽油はベンゼン、トルエン、キシレンが30%、ヘキサン、デカンなどの脂肪族炭化水素が70%程度含まれていた。製造されたコークスは流れ組織を有し、重油のみを用いて製造されたコークスと比較して良質で、ニードルコークスとして利用可能であり、収率も5%増加した。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、原料油の性状が変動しても、製造されるコークス性状、収量の変動を少なくすることが可能であり、安定した高品質のコークスを製造できる。かつコークスを安価に提供することができ、同時に水素やメタンなどの有機ガスやベンゼン、トルエン、キシレンなどの軽油も安価に製造することができる。
【0036】
さらに、廃プラスチックをマテリアルリサイクルして有効利用できるので、廃プラスチックのリサイクルを促進できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を用いてコークス、軽油、有機ガスを製造するためのフローシートである。
【符号の説明】
1・・・混合槽、
2・・・反応塔、
3・・・分離槽、
4・・・蒸留塔、
5・・・遠心分離機、
6・・・コーキング炉、
7a・・・コーキングドラム、
7b・・・コーキングドラム、
A…プラスチック、
B…重油、
C…触媒、
D…水素、
E…有機ガス、
F…軽質分
Claims (2)
- 重油とプラスチックとを混合し、この混合物を加熱溶融する工程と、加熱溶融された前記混合物を水素化分解する工程と、該水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物をコーキングしてコークスを得る工程と、を有することを特徴とする、プラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
- 重油とプラスチックとを混合し、この混合物を加熱溶融する工程と、加熱溶融された前記混合物を水素化分解する工程と、該水素化分解により得られた生成物よりガス成分を分離する工程と、該ガス成分を分離した前記生成物より沸点280℃以上である生成油を分離する工程と、該生成油をコーキングしてコークスを得る工程と、を有することを特徴とする、プラスチックを原料とする有用物質の製造方法。
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