JP4151368B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系ボード類、無機質系ボード類、金属板等の表面に接着剤で貼り合わせて化粧板を作製するために使用される化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧板の用途に用いられる化粧シートとしては、塩化ビニル樹脂製のシートが最も一般的であった。しかし最近、塩化ビニル樹脂は、焼却時に酸性雨の原因となる塩化水素を発生したり、猛毒物質であるダイオキシンの発生原因物質として問題視されており、さらに塩化ビニル樹脂製シートはそこに添加されている可塑剤のブリードアウトに起因する種々の問題があり、塩化ビニル樹脂や塩化ビニル樹脂製シートの化粧シート等への適用は環境保護の観点から避けられるようになった。
【0003】
このような中、塩化ビニル樹脂に替わる、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール、アクリル等の樹脂および共重合体等を使用した化粧シートがいろいろと提案されるようになった。
【0004】
その中でも、化粧シートに要求される適度な柔軟性、耐摩耗性、耐傷性、耐熱性、耐薬品性、後加工性等を備え、なお且つ安価に供給されるポリプロピレン樹脂を用いた化粧シートが数多く提案されている。その中には単層の物もあるが、意匠性も配慮した2層以上の積層構造の化粧シートが大部分を占めている。
【0005】
ポリプロピレン樹脂を用いた積層構造の化粧シートは、例えば、ポリプロピレン樹脂層を他の樹脂層に溶融押し出しラミネートして製造するが、ポリプロピレン樹脂は同種又は異種の樹脂との接着性に乏しい樹脂であるため、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の接着性樹脂層を介在させて押し出しラミネートするのが一般的である(特許文献1)。
【0006】
一方、最近は単に塩化ビニル樹脂以外の樹脂を使用して環境問題をクリアーするだけでなく、化粧シートの要求物性をさらに向上させたいという声が大きくなっている。そのひとつに耐熱性をさらに向上させたいとい要望がある。上述した構成の化粧シートを含めた従来の化粧シートは、表面温度及び雰囲気温度が90℃以上になるとラミネート強度が著しく低下してしまうので、これをさらに向上させたいという要望である。
【0007】
これらの要望に対し、発明者等は耐熱性を付与するために接着性樹脂層をポリプロピレン系接着性樹脂で形成することを特徴とする化粧シートを既に提案している(特許文献2)。しかしながら、最近は化粧シートの耐熱性をさらに一段と向上させたいとする要望が日増しに高まりつつある。
【0008】
本発明は以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、適度な柔軟性、耐摩耗性、耐傷性、耐薬品性、後加工性を有すると共に90℃以上の高い耐熱性をも有する、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いてなる化粧シートを提供することにある。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−230113号公報
【特許文献2】
特開2001−353828号公報
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するためになされ、請求項1に記載の発明は、(イ)ランダムポリプロピレン樹脂に無機顔料を6重量%、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂を使用し、溶融押し出しにより基材シート1を作製する工程、該基材シート1の表面にコロナ処理を施した後、木目模様を施し模様層2を形成する工程、さらに該模様層2上に、主剤としてポリエステルポリオールが50重量%、ウレタン変成ポリエステルポリオールが50重量%の混合物を使用し、イソシアネートとして4,4,ジフェニルメタンジイソシアネートが5重量%、イソホロンジイソシアネートが50重量%、ヘキサメチレンジイソシアネートが45重量%の混合物を使用し、該主剤と該イソシアネートを5:1の割合で混合してなる2液硬化型ウレタン系アンカーコート剤をグラビア印刷法により塗工してアンカーコート層3を形成する工程、および
(ロ)透明なポリプロピレン樹脂層5を構成する樹脂として、ホモポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂と、接着性樹脂層4を構成する樹脂として、無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量)を使用し、導管エンボス模様の施された冷却ロールと加圧ロールとの間に、前記模様層およびアンカーコート層を設けた基材シート1を介在させてTダイより共押し出しを行いラミネートと同時にエンボス付与を行う工程、該ポリプロピレン樹脂層上にトップコート層を設ける工程を含むことを特徴とする化粧シートの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に従って説明する。 図1は本発明に係る化粧シートの概略の断面構成を示している。
【0014】
図示の化粧シート10は、基材シート1の表面に、少なくともポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールとの混合物からなるイソシアネート硬化型樹脂を主成分とするウレタン系アンカーコート剤により構成されるアンカーコート層3と、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性してなり、アイゾット衝撃強度が500J/m以上で、且つその内部に含まれるゴム、ポリエチレン等の第二成分が20%未満であるランダムポリプロピレン樹脂により構成される接着性樹脂層4並びにポリプロピレン樹脂層5とが、この相対的順序で積層されていると共に、基材シート1上の適宜個所には模様層2が、ポリプロピレン層5の上層部には凹陥模様5aとトップコート層6がそれぞれ設けられている。
【0015】
基材シート1は紙、オレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはポリビニルアルコール樹脂等の材料からなるものである。
この基材シート1は、例えば合成樹脂材料を染料や顔料等の隠蔽性のある着色剤により直接着色してから加熱溶融状態でTダイからシート状に押し出して製膜して得ることができる。
【0016】
このTダイ押し出し法により基材シート1を製造する際の着色方法としては、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を、基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料中に直接混入して使用するドライカラー法、あるいは基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料と高濃度の顔料とを溶融混練して予備分散せしめたマスターバッチペレットを予め作成し、しかる後に押し出しホッパ内でこのマスターバッチペレットと基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料とをドライブレンドするマスターバッチ法等があるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
【0017】
また、着色剤も通常用いられているものでよいが、特に耐熱性、耐候性を考慮して、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。また有機顔料でもフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等は使用できる。これらの顔料の対樹脂混合比率や色相、濃度等は、基材シートとして要求される隠蔽性の度合いや意匠性等を鑑みて適宜決められるものであり、特に制約はない。
【0018】
このような基材シート1に対して模様を施す方法としては、基材シート1の表面に施す方法と、基材シート1自体(基材シート1の層内)に施す方法とがある。
表面に施す方法としては、印刷方法や転写方法を採用することが出来る。また、基材シート自体に施す方法としては、例えば高濃度の顔料を基材シートを構成する樹脂とは流動特性の異なる樹脂に溶融混練して予備分散せしめたマスターバッチペレット、あるいは木粉、ガラス粉末等を、隠蔽性を既に付与してある基材シートを製膜するための合成樹脂材料に添加して加熱溶融し、しかる後に押し出して模様付けと製膜とを同時に行う方法を挙げることができる。勿論、基材シート自体に着色隠蔽性や模様を形成するこれらの方法と前述した印刷方法、転写方法等を併用することもできる。
【0019】
印刷方法や転写方法による模様付けに際しては、従来から一般的に使用されているインキ、すなわちビヒクルに染料または顔料等の着色剤や体質顔料などを添加し、さらに可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を任意に添加して溶剤、稀釈剤等で十分混練してなるインキが適宜使用され得る。
【0020】
また、化粧シート用の上記した基材シート1とは別の任意の転写用基材シートに、上記形成方法等によって隠蔽性層あるいは模様層、あるいはその両方を形成しておき、熱ラミネート法、ドライラミネート法、又はウエットラミネート法、押出ラミネート法等により、上記基材シート1と貼り合わせた後に、前記転写用基材シートを剥離して、隠蔽性層あるいは模様層あるいはその両方を基材シート1に転写する方法を用いる事もできる。
【0021】
さらに、隠蔽性のある基材シート1の製造方法としてカレンダー法を用いる場合にも、同様の手法、即ち基材シート自体に着色隠蔽性や模様を形成する方法、またはこれらの方法と前述した印刷方法、転写方法等とを併用した手法で、基材シート1に対して隠蔽性の付与と模様の形成を行うことができる。
【0022】
一方、本発明の化粧シートにおいては、透明なポリプロピレン樹脂層5がその一部に積層されているが、この透明なポリプロピレン樹脂層5を積層する理由は、化粧シートに意匠性、模様層の保護および耐傷性、耐摩耗性、耐薬品性等を発現させるためである。
【0023】
この透明なポリプロピレン樹脂層5はアンカーコート層3と接着性樹脂層4とを介在させて積層されている。
ポリプロピレン樹脂層をシート状物に積層させる一般的な方法としては、シート状物上にポリプロピレン樹脂をTダイから溶融押し出しする押し出しラミネート法、シート状物とポリプロピレン樹脂層とを構成する両方の樹脂をTダイから溶融押し出しする共押し出し方法等がある。この中で押し出しラミネート方法が最も生産性が良いため好適に用いられる。
【0024】
この際に問題となるのが、シート状物とポリプロピレン樹脂層のラミネート強度である。そこで、本発明の化粧シートにおいては、充分な強度を得るために、基材シート1(模様層2が付与されている)にアンカーコート層3を塗布し、このアンカーコート層3上に接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5とをこの相対的順序で積層させることで所期のラミネート強度を発現させる。
【0025】
上記の積層構造とするには、例えば基材シート1上にアンカーコート層3を塗布し、このアンカーコート層3上に接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5とを共押し出しして積層させればよい。なおこの時、接着性樹脂層4となる押し出された樹脂に対してオゾンガスの吹き付けを行い、より強いラミネート強度を得るようにすることが好ましい。
接着性樹脂層4となる押し出された樹脂に対してオゾンガスを吹き付けるオゾン処理装置も一般的なものであれば良く、特に制約されるものではない。オゾン処理量としては、装置の種類に低濃度高流量型、高濃度低流量型等があり一概には言えないが、あまり流量が多いと溶融樹脂の膜割れや温度低下等の悪影響が考えられるため、オゾン処理条件としては、オゾン濃度20〜50g/Nm3、オゾン流量1〜10Nm3/時間が良好である。
【0026】
従来は、この種の接着性樹脂層を構成する樹脂材料としては、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の接着性樹脂が使用され、これらの樹脂を共押し出ししてラミネートすることがよく行われているが、このような方法では十分な常温ラミネート強度を得ることが可能だが、高温下での十分なラミネート強度を得ることはできない。
【0027】
そこで、本発明においては、常温下および高温下での十分なラミネート強度を確保するために、接着性樹脂層4を構成する樹脂として、前記したように、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性してなり、アイゾット衝撃強度が500J/m以上で、且つその内部に含まれるゴム、ポリエチレン等の第二成分が20%未満であるランダムポリプロピレン樹脂を用いる。これにより、常温から100℃まで安定したラミネート強度が得られるようになる。
【0028】
すなわち、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したポリエチレンでは常温下でのラミネート強度は高いが、高温下、特に90℃以上ではラミネート強度が著しく低下してしまい、また、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したホモポリプロピレンでは100℃でもラミネート強度の低下は見られないが、常温下での強度そのものが低くなってしまうのである。
【0029】
前記したランダムポリプロピレン樹脂のアイゾット衝撃強度が500J/m以下だと層間剥離が容易に起きてしまい、十分な強度を得ることが出来ない。またゴム等の第二成分の量が20%を越えると接着性樹脂内部での凝集破壊が比較的容易に始まり、ある程度の強度低下が起きてしまう。
【0030】
また、不飽和カルボン酸あるいはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フタル酸、シトラコン酸、イタコン酸およびそれらの無水物が挙げられるが、これらの中で無水マレイン酸が特に好ましい。また、これらの不飽和カルボン酸あるいはその無水物の単位の量は、組成物1gあたりのカルボニル基として1×10-4以上、1×10-1ミリモル当量以下であることが好ましい。変性によって含有される不飽和カルボン酸あるいはその無水物の単位の量が1×10-4ミリモル当量以下では充分な効果は発現しないし、1×10-1ミリモル当量以上でも接着性を改善する効果は小さくなる。
【0031】
さらに、本発明では上記した接着性樹脂層4と基材シート1との界面に設けるアンカーコート層3を構成するアンカーコート剤として、ポリオール成分とイソシアネート成分との反応でウレタン結合を形成するイソシアネート硬化型樹脂であって、主剤成分がポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールとの混合物からなるイソシアネート硬化型樹脂を主成分とするウレタン系アンカーコート剤を用いる。これにより、柔軟性を維持しつつ硬化塗膜の速乾性向上が図れ、さらにはラミネート強度の向上も図ることができる。
【0032】
上記ポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールの混合比率はポリエステルポリオールが20〜80重量%、ウレタン変性ポリエステルポリオールが80〜20重量%であると、アンカーコート層3の柔軟性を維持しつつ硬化塗膜の速乾性が促進され、ラミネート強度をさらに向上させることができる。
【0033】
因みに、アンカーコート剤を構成する主剤成分がウレタン変性ポリエステルポリオール単独であると、これよりなるアンカーコート層はその柔軟性は維持されるものの、ラミネート強度の発現が遅くなり、製造過程の途中で浮きやずれを生じる可能性が出てくる。
また、アンカーコート剤を構成する主剤成分がポリエステルポリオール単独であると、これよりなるアンカーコート層はその硬化塗膜の速乾性は維持されラミネート強度の発現は十分早いが、柔軟性は低くなってしまい、環境の変化等の負荷により浮きが発生する可能性がある。
【0034】
これに対し、上記したウレタン系アンカーコート剤を使用すると、柔軟性の低下やラミネート強度の発現の遅延化に伴う浮きの発生等の問題を回避することができる。このような効果は、そのイソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートを適用することにより、アンカーコート層の凝集力、柔軟性が適度に向上し、常温ラミネート強度、耐熱ラミネート強度、環境試験後ラミネート強度の何れもが向上し、延いては柔軟性やラミネート強度に優れる化粧シートを得ることができる。
【0035】
また、各イソシアネート成分の配合量としてはイソシアネート成分の全体量のうちイソホロンジイソシアネートが30〜98重量%、それ以外のイソシアネート成分の合計量が2〜70重量%とすることが好ましい。なお組み合わせるイソシアネート成分としては、本発明において特に限定されるものではないが、例えばヘキサメチレジンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メシチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等から選ばれる1種若しくはそれら2種以上の混合物を好適に用いることが出来る。特に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートは非常に活性が高く、少量でもポリプロピレン樹脂に対する密着性を向上出来る為、好適に用いられる。
【0036】
なお、アンカーコート層3の形成方法としてはグラビア法(グラビア印刷法、グラビア塗布法)が好適に用いられるが、これ以外の汎用の塗布方法も適用可能である。
【0037】
以上、本発明の概略を説明したが、本発明においては、表面の手触り感や、より一層の意匠感を得るため、図1に示すように化粧シート10表面の透明なポリプロピレン樹脂層5の一部に凹陥模様5aを施し、その凹陥部内に充填インキを埋め込み(ワイピングし)、そのポリプロピレン樹脂層5の最外層面にトップコート層6を設けておいても良い。
【0038】
凹陥模様5aを施す方法としては、通常の熱圧エンボス加工法でよく、何ら限定されるものではないが、前記ポリプロピレン樹脂層5の製造方法(接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5との2層共押し出し製膜法)としてTダイ押し出し法を用いる場合には、溶融樹脂を冷却固化させるチルロールの表面に凹陥模様を施しておき、押し出された樹脂をチルロールとプレスロールとの間でエンボスして、ポリプロピレン樹脂層5の表面に凹陥模様5aを施す方法が一般的である。
また、施された凹陥模様5aの凹陥部内にインキを埋め込み、ポリプロピレン樹脂層5の最外層面にトップコート層6を設けることも好適に行われるが、これらの方法は、従来の塩化ビニル樹脂製化粧シートで行われているワイピング処理およびトップコート処理と同様の方法で実施可能である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例を述べる。
<実施例1>
まず、ランダムポリプロピレン樹脂に無機顔料を6重量%、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂を使用し、溶融押し出しにより基材シート1を作製した。次に、その基材シート1の表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造(株)製;ラミスター)を使用して木目模様を施し、模様層2を形成した。さらに木目模様の模様層2上に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤(主剤として、東洋インキ製造(株)製;EL510(ポリエステルポリオール)が50重量%、三井武田ケミカル(株)製;A520(ウレタン変成ポリエステルポリオール)が50重量%の混合物を使用。また、イソシアネートとして4,4、ジフェニルメタンジイソシアネートが5重量%、イソホロンジイソシアネートが50重量%、ヘキサメチレンジイソシアネートが45重量%の混合物を使用し、前記主剤とイソシアネートを5:1の割合で混合してなる2液硬化型ウレタン系アンカーコート剤。)をグラビア印刷法により塗工してアンカーコート層3を形成した。
【0040】
これとは別に、透明なポリプロピレン樹脂層5を構成する樹脂として、ホモポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂と、接着性樹脂層4を構成する樹脂として、無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量、アイゾット衝撃強度1000N/m、内添ゴム量10%)とを使用し、導管エンボス模様の施された冷却ロールと加圧ロールとの間に、前記基材シート1を介在させてTダイより共押し出しを行い、さらに基材シート1とラミネートする直前に、前記接着性樹脂層4となる共押し出したランダムポリプロピレン樹脂から構成されるランダムポリプロピレン樹脂層5面にオゾン処理装置によりオゾンガスを吹き付け、ラミネートとエンボス付与とを同時に行うことにより、模様層2の施された基材シート1上のアンカーコート層3面に、接着性樹脂層4を介して、表面に凹陥模様5aがエンボスされたポリプロピレン樹脂層5をラミネートした。
【0041】
次に、このラミネートされた積層体の透明ポリプロピレン樹脂層5の最外層面に、ウレタン系トップコート剤を用いてトップコート層6を施し、図1に示すような構成の実施例1に係る化粧シートを得た。
【0042】
<実施例2>
アンカーコート層に用いるウレタン系アンカーコート剤の主剤成分として東洋インキ製造(株)製;EL510が10重量%、三井武田ケミカル(株)製;A520が90重量%の混合物を使用した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、実施例2の化粧シートを得た。
【0043】
<実施例3>
アンカーコート層に用いるアンカーコート剤に配合するイソシアネートの成分の組成をヘキサメチレジンイソシアネート単体に変更した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、実施例3の化粧シートを得た。
【0044】
<比較例1>
接着性樹脂層に用いる樹脂として無水マレイン酸でグラフト重合した変性ポリエチレン樹脂を使用した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例1の化粧シートを得た。
【0045】
<比較例2>
接着性樹脂層に用いる樹脂として無水マレイン酸でグラフト重合した変性ホモポリプロピレン樹脂を用いた他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例2の化粧シートを得た。
【0046】
<比較例3>
接着性樹脂層を構成する樹脂として無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量、アイゾット衝撃強度1000N/m、内添ゴム量30%)を用いた他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例3の化粧シートを得た。
【0047】
<比較例4>
アンカーコート層に用いるアンカーコート剤の主剤成分として東洋インキ製造(株)製;EL510を使用した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例4の化粧シートを得た。
【0048】
このようにして上記実施例1〜3、比較例1〜4にて得られたそれぞれの化粧シートについて、23℃雰囲気下、80℃にて120時間加熱、90℃にて120時間加熱、100℃にて120時間加熱、および80℃2時間及び−20℃2時間のサイクルを4サイクル行う環境試験の各々条件におけるラミネート強度を測定、さらに23℃雰囲気下でのラミネート強度の立ち上がり速度を比較する為1000N/mに達するまでの時間を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、以上のような構成であり、塩化ビニルを一切使用しないため、環境問題の心配もなく、且つ適度な柔軟性、耐磨耗性、耐傷性、耐薬品性、後加工性に加え、90℃以上の耐熱性をも有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化粧シートの一例を示す構成説明図である。
【符号の説明】
1・・基材シート
2・・模様層
3・・アンカーコート層
4・・接着性樹脂層
5・・ポリプロピレン樹脂層 5a・・凹陥模様
6・・トップコート層
10・・化粧シート
Claims (1)
- (イ)ランダムポリプロピレン樹脂に無機顔料を6重量%、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂を使用し、溶融押し出しにより基材シート1を作製する工程、該基材シート1の表面にコロナ処理を施した後、木目模様を施し模様層2を形成する工程、さらに該模様層2上に、主剤としてポリエステルポリオールが50重量%、ウレタン変成ポリエステルポリオールが50重量%の混合物を使用し、イソシアネートとして4,4,ジフェニルメタンジイソシアネートが5重量%、イソホロンジイソシアネートが50重量%、ヘキサメチレンジイソシアネートが45重量%の混合物を使用し、該主剤と該イソシアネートを5:1の割合で混合してなる2液硬化型ウレタン系アンカーコート剤をグラビア印刷法により塗工してアンカーコート層3を形成する工程、および
(ロ)透明なポリプロピレン樹脂層5を構成する樹脂として、ホモポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂と、接着性樹脂層4を構成する樹脂として、無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量)を使用し、導管エンボス模様の施された冷却ロールと加圧ロールとの間に、前記模様層およびアンカーコート層を設けた基材シート1を介在させてTダイより共押し出しを行いラミネートと同時にエンボス付与を行う工程、該ポリプロピレン樹脂層上にトップコート層を設ける工程を含むことを特徴とする化粧シートの製造方法。
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