JP4146649B2 - 脱アルカリ水ガラスの製造方法およびその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤注入用材、高モル比の水ガラスの使用が好ましい建材用および接着剤、シリカ製造用原料などに有用な脱アルカリ水ガラスの製造方法及びその製造装置に関するものであって、より詳しくは、長時間にわたって安定して脱アルカリ水ガラスを製造する方法並びに製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木工事において、掘削等により崩壊のおそれのある地盤、湧水などにより掘削が困難な地盤などに対して、外部より地盤改良材を注入して地盤を改良する薬液注入工法が汎用されている。
現在使用される地盤改良材は種々のものが知られているが、最近では注入による固化物の強度が高くその耐久性に優れること、注入液が一液でありゲルタイムの調節も容易で取り扱いに便利なことから、水ガラスを主成分とするシリカゾル系地盤改良注入材が多く用いられている。
【0003】
しかし、このシリカゾル系地盤改良注入材にはアルカリ金属塩が多く含まれており、これが得られる固結体の強度の低下原因になったり、時間の経過に伴って固結体からアルカリあるいは塩が遊離ないし脱離して固結体が収縮してその耐久性が低下するといった問題がある。
このような欠点を改良するために水ガラスをイオン交換樹脂法によりアルカリ分を除去する方法が採用されている(特開平11−279552号公報)。
しかしながら、イオン交換樹脂法による脱アルカリ処理は樹脂の再生を必要とするため長期間の脱アルカリ処理は不可能であり、さらに再生廃液が排出されることやSiO2 濃度の高い水ガラスは樹脂近傍でゲル化するため、使用する条件に制約が生じてしまう。
【0004】
そこで、最近ではイオン交換膜法電気透析装置により水ガラスを脱アルカリする方法が採用されている(特開平11−61124号公報)。この方法では、電気透析槽と、この槽内部の対向する両端面にそれぞれ配置された一対の陽極および陰極と、これら陽陰電極間の最も陽極側には陰イオン交換膜が、最も陰極側には陽イオン交換膜がそれぞれ位置して、交互にかつ複数の区画を形成するように配置された陽および陰イオン交換膜とからなり、これら複数の区画のうち、陽極および陰極の位置する区画に水を填充するとともに、その他の区画にそれぞれ水ガラスおよび水を交互に填充し、かつ陽陰電極間に電流を通電することにより、水ガラス中のNa+ イオンが陽イオン交換膜を介して隣接する一方の側の区画に填充された水中に該膜を通して透過放出され、かつOH- イオンが陰イオン交換膜を介して隣接する他方の側の区画に填充された水中に該膜を通して放出され、これにより前記水ガラスが脱アルカリ処理されて脱アルカリ水ガラスを得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記方法を長期間連続して実施したところ、透析時間の経過と共に脱アルカリ処理能力が低下することが分かった。
そこで、本発明は、イオン交換膜法電気透析装置により水ガラスを脱アルカリする方法において、脱アルカリ処理能力が低下することを抑制し、長時間安定して電気透析を続けることが可能な方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、透析時間の経過と共に脱アルカリ処理能力が低下するのは、脱塩室および濃縮室に珪酸塩を主成分とする析出物が付着し、原料供給が困難となったりすることが原因であることを見出した。そして、脱塩室に原料の水ガラスを循環して供給する場合には、脱塩室で析出した析出物が循環供給する水ガラス中に存在すること、及び該水ガラス中に存在する析出物を除去することにより、脱アルカリ処理能力の低下を抑制し、長時間安定して電気透析を続けることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、水ガラスを電気透析装置を用いて脱塩し、水ガラス循環路にフィルターを設置し、脱塩と同時に脱アルカリ水ガラス中に存在する珪酸塩を主成分とするイオン交換膜の析出物を固液分離方法により除去して脱アルカリ水ガラスを製造する方法であって、前記フィルターが1μmないし100μmの孔径を有しており、陽極側及び陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた脱塩室、並びに陽極側及び陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた濃縮室を交互に形成した電気透析装置を用い、該濃縮室内の溶液を攪拌しながら、0A/dm 2 を超えて10A/dm 2 の電流密度で電気透析を行うことを特徴とする脱アルカリ水ガラスを製造する方法である。
【0008】
また、本発明は、陽極と陰極の間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に配置して、陽極側と陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた脱塩室、並びに陽極側と陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた濃縮室を形成した電気透析槽と、脱塩室に供給する水ガラスを貯留するための水ガラス貯槽、および脱塩室で脱塩した水ガラスを水ガラス貯槽に戻すための脱塩水ガラス戻し路により形成された水ガラス循環路、該水ガラス循環路に析出物除去手段として孔径が1μmないし100μmのフィルターが設置されていることを特徴とする脱アルカリ水ガラスの製造装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法ならびに製造装置について、実施の形態を説明する。
本発明の製造方法は、脱塩室に循環供給する水ガラス中に存在する析出物を除去すること以外は、従来の電気透析による水ガラスの脱塩方法と特に変わる点はない。
即ち、電気透析装置としては、例えば特開平11−61124号公報に開示されているような、陽極および陰極の間に陽イオン交換膜(以下、「CE膜」ともいう。)と陰イオン交換膜(以下、「AE膜」ともいう。)を交互に配置して、陽極側及び陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた脱塩室、並びに陽極側及び陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた濃縮室を交互に形成した電気透析装置が何ら制限なく使用できる。
また、上記のような装置を構成するのに必要な部材である電極及び各イオン交換膜についても従来の電気透析装置で使用されているものが特に制限なく使用される。
即ち、本発明で使用する陽極及び陰極としては、水電解や食塩電解などの電気化学工業で採用されている電極が制限なく用いられる。例えば、陽極材料としてはニッケル、鉄、鉛、チタン、白金、黒鉛などが、また、陰極材料としてはニッケル、鉄、ステンレススチール、白金、チタンなどが好適に用いられる。
【0010】
本発明で使用する陰イオン交換膜(AE膜)は、陰イオン交換基が結合した樹脂からなる陰イオン選択透過性を有する膜であれば特に制限されず公知の陰イオン交換膜が使用できる。陰イオン交換基としては、水溶液中で正の電荷となり得る官能基が特に制限なく採用できる。具体的には、1〜3級アミノ基、ピリジル基、4級アンモニウム塩基、4級ピリジニウム塩基、さらにこれらのイオン交換基が混在したものなどが挙げられる。AE膜としては、重合型、縮合型、均質型、不均質型等の区別無く使用することができ、さらに、補強のために使用する補強材の有無や、イオン交換基が結合する樹脂の材質(通常、炭化水素系樹脂またはフッ素系樹脂が使用されている)も特に制限されない。なお、本発明の製造方法においては、使用する液が水ガラス、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液であるため、耐アルカリ性のAE膜を使用することが望ましい。
【0011】
本発明で使用する陽イオン交換膜(CE膜)は、陽イオン交換基が結合した樹脂からなる陽イオン選択透過性を有する膜であれば特に制限されず公知の陽イオン交換膜が使用できる。陽イオン交換基としては、水溶液中で負の電荷となり得る官能基が特に制限なく採用できる。具体的には、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、さらにこれらのイオン交換基が混在したものなどが挙げられる。CE膜としては、重合型、縮合型、均質型、不均質型等の区別無く使用することができ、さらに、補強のために使用する補強材の有無や、イオン交換基が結合する樹脂の材質(通常、炭化水素系樹脂またはフッ素系樹脂が使用されている)も特に制限されない。なお、本発明の製造方法においては、使用する液が水ガラス、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液であるため、耐アルカリ性のCE膜を使用することが望ましい。
【0012】
本発明で使用する電気透析装置においては、互いに対向するように配置された陽極と陰極の間に、AE膜とCE膜とを交互に配置して、陽極側及び陰極側がそれぞれAE膜及びCE膜で仕切られた(すなわち陽極側の隔膜がAE膜であり陰極側の隔膜がCE膜である)脱塩室と、該脱塩室と隣り合うように、陽極側及び陰極側がそれぞれCE膜及びAE膜で仕切られた(すなわち陽極側の隔膜がCE膜であり陰極側の隔膜がAE膜である)濃縮室とが形成されている。
【0013】
本発明で使用する代表的な電気透析装置を図1に示した。
図1に示す電気透析装置1においては、互いに対向するように配置された陽極2と陰極3との間に、陽極側から順にCE膜5とAE膜4とが交互に且つ最も陰極側がCE膜5となるように配列されて、陽極室6、陰極室7、脱塩室8、及び濃縮室9が構成されている。各室内には、流路を確保するためのスペーサーや液を均等配流するための配流板が設けられている。これらスぺーサーや配流板の形状については特に限定されないが、析出物発生防止効果があり、仮に析出物が発生した場合においても容易にこれを除去出来る構造のもの、例えばトンネル型構造のものを使用するのが好適である。また、各室枠には液供給口および液排出口が設けられ、各液供給口、液排出口は必要に応じて枝管を経由して主管に接続されている。
【0014】
上記脱塩室8には、原料液である水ガラスを供給するための水ガラス供給路10が接続されており、水ガラスが連続的或いは断続的に水ガラス貯槽18(該貯槽には、図示しないラインによってフレッシュな原料水ガラスが供給できるようになっている。)から供給される。また、脱塩室8には脱アルカリ(脱塩)された水ガラス(すなわち生成液)の全部又は一部を連続的又は断続的に抜き出すための生成液抜出し路12が接続されており、さらに脱塩水ガラスの一部は水ガラス貯槽18に循環される。上記の水ガラス供給路10、水ガラス貯槽18、生成液抜出し路12により水ガラス循環路が形成されている。電気透析により脱塩室で発生した析出物は、循環される水ガラスに伴って上記の水ガラス循環路に流出する。水ガラス貯槽18と電気透析槽1との間の水ガラス供給路10には、水ガラス用フィルター20が接続されており、循環される水ガラス中に存在する析出物が除去される。
【0015】
水ガラスの電気透析による脱塩においては、析出物は主として脱塩室で発生するが、濃縮室にも析出物が発生することがある。濃縮液を循環使用する場合には、濃縮室に発生する析出物は濃縮室から濃縮液循環路に流出する。したがって、原料の水ガラスと同様にして循環する濃縮液中に存在する析出物を除去することが膜電圧の上昇なく電気透析を行なう上で好ましい。
【0016】
図1には、循環する濃縮液中の析出物を除去する態様が示されている。濃縮室9には濃縮液供給路11を通して水酸化ナトリウム等の電解質の水溶液からなる濃縮液が濃縮液貯槽19(該貯槽には、図示しないラインによってフレッシュな濃縮液、或いは濃度調整用の稀釈水が供給できるようになっている。)から連続的に或いは断続的に供給される。濃縮室には塩濃度が増大した濃縮液の全部又は一部を連続的又は断続的に抜き出すための濃縮液抜出し路13が接続されており、さらに塩濃度が増大した濃縮液の一部は濃縮液貯槽19に循環される。濃縮液貯槽19と電気透析槽1との間の濃縮液供給路11には、濃縮液用フィルター21が接続されており、濃縮液中に存在する析出物が除去される。
【0017】
図1には、原料の水ガラス中および濃縮液中に存在する析出物の除去手段が、それぞれ水ガラス供給路10および濃縮液供給路11に設けられた例を示したが、これらはそれぞれ水ガラス循環路および濃縮液循環路のどこに設けられていても良い。
陽極室6及び陰極室7にはそれぞれ陽極液供給路14および陰極液供給路15、並びに陽極液抜出し路16及び陰極液抜出し路17が接続されており、電解開始時に陽極液及び陰極液としての電解液(電解質の水溶液)が供給できるようになっていると共に、運転時においては電解質水溶液を連続的又は断続的に供給し、アルカリ濃度が増大した液を抜き出せるようになっている。
【0018】
なお、ここで、脱塩室とは、電気透析時において該室に塩の水溶液を供給した場合に塩に由来するアニオンが陽極側のAE膜を透過して拡散すると共に、塩に由来するカチオンが陰極側のCE膜を透過して拡散し、結果として該室内の塩濃度が低下する室を意味する。また、濃縮室とは、同様にして電気透析を行なったときにAE膜及びCE膜からそれぞれ隣接する脱塩室に供給された塩由来のアニオン及びカチオンが各膜を透過して流入し、結果として該室内の塩濃度が増大する室を意味する。
【0019】
したがって、本発明の製造方法においては、脱塩室に原料水ガラスを供給し、濃縮室に水酸化アルカリ水溶液等の電解質水溶液からなる濃縮液を供給して電気透析を行なうことにより、脱塩室に供給された水ガラス中に存在するNa+ イオン等のアルカリ金属イオンがCE膜を透過して該CE膜を介して隣接する濃縮室に拡散するとともに、同じく水ガラス中に存在するOH- イオンがAE膜を透過して該AE膜を介して隣接する濃縮室に拡散し、結果として水ガラス中のアルカリ濃度が低下した水ガラスを得ることができる。また、このとき、濃縮室では、両隣の脱塩室から拡散してきたNa+ イオン等のアルカリ金属イオン及びOH- イオンが閉じ込められ、濃度の上昇した水酸化アルカリ水溶液が得られる。
【0020】
図1には、脱塩室および濃縮室がそれぞれ複数形成されたものを示したが、各室の数はそれぞれ1であってもよい。但し、工業的な規模での実施をする場合には、製造効率の観点から、電気透析装置における膜の配列は、陽極−CE膜−(AE膜−CE膜)n −陰極(但し、nはAE膜とCE膜の配列の繰り返し数である。)で示したときにnが5〜200とするのが好適である。特に、各室を形成するための切欠部を中央に有する室枠を介して前記した好適なnの範囲となるように各膜を配列し、両端より締め付ける、いわゆるフィルタープレス型の構造とするのが好適である。
【0021】
このような装置を用いて水ガラスの脱塩を行なう方法も従来の方法と変わる点は特に無く、例えば次のような方法により行なうことができる。
即ち、電気透析を行なうに際しては、先ず陽極室、陰極室、及び濃縮室にそれぞれ水酸化ナトリウム等の電解質の水溶液からなる陽極液、陰極液、及び濃縮液を供給し、更に脱塩室に水ガラスとなる水ガラスを供給し、次いで陽極と陰極の間に電圧を印加し、電気透析を開始すればよい。
【0022】
このとき、原料として使用する水ガラスは、二酸化珪素とアルカリとを融解して得られたアルカリ金属珪酸塩水溶液であれば特に限定されないが、調製の容易さから高シリカ(SiO2 )濃度の水ガラスを水で希釈し、シリカ(SiO2 )濃度が3〜8wt%、特に5〜7wt%に調製したものを使用するのが好適である。高シリカ(SiO2 )濃度の水ガラスとしては、工業的に入手できることからJIS規格3号水ガラス(シリカ濃度28〜30wt% )を用いるのが好適である。
また、陽極液、陰極液、及び濃縮液となる電解質の水溶液としては、一般に0.1〜2(mol/L)の水酸化ナトリウム溶液が用いられる。
【0023】
電気透析中においては、水ガラスや濃縮液を連続的又は断続的に抜き出せばよい。本発明においては、このとき、各イオン交換膜の電気抵抗の上昇を防止するために、各室内の溶液を攪拌しながら電気透析をおこなう。攪拌の手段としては各液を循環させるのが好適であり、そのためには各室の外部の液の種類ごとに貯槽を設けて、各々の室と外部貯槽との間でポンプなどを用いて液を循環させるのが好適である。このような方式を採用することにより、生成物の脱アルカリ水ガラスの脱塩状態を制御することが容易になる。
【0024】
電気透析を行なう際の電流密度は特に制限を受けないが、一般には0A/dm2 を越えて10A/dm2 以下、特に0A/dm2 を越えて5A/dm2 以下が好適である。
通常、このような方法で電気透析を行ない水ガラスの脱塩を長時間行なうと、脱塩室および濃縮室に徐々に珪酸塩を主成分とする析出物が発生し、原料水ガラスおよび濃縮液の供給が困難になり、脱塩を続けることが困難となる。
【0025】
本発明の製造方法においては、このような現象発生の原因となる上記析出物を固液分離手段で除去しながら、電気透析を行うものである。析出物を除去する方法としては、カートリッジフィルター、バッグフィルター等のフィルターを用いて、水ガラス中に存在する析出物を除去する。また析出物の除去に使用するフィルターの孔径は、液供給用ポンプの揚程や配管等の耐圧性に悪影響を与えない範囲で小さい方が好ましく、本発明においては1μmないし100μm、特に1μmないし20μmのものを用いる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
実施例1
図1に示した装置を用いて原料水ガラスの脱塩を行なった。表1に示す仕様のトクヤマ社製の電気透析装置(TS2-10型)を用い、JIS規格3号水ガラスを水で希釈してSiO2 含有量を4.6wt%(Na2 O濃度1.45wt%)に調整した水ガラスを脱塩室に供給し、水酸化ナトリウムを水で希釈して0.5(mol/L)に調整した水酸化ナトリウム水溶液を濃縮室に供給して脱塩処理を行なった。この時、水ガラス供給路および濃縮液供給路には、孔径10μmのカートリッジフィルターを設置した。新しいイオン交換膜を用いた上記装置による初回の電気透析において、原料液である2Lの水ガラスのNa2 O濃度が0.49wt%になるまで処理した場合の平均電流密度は1.4(A/dm2 )であり、脱アルカリに要した時間は52分であった。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表2に示す。
【0027】
上記初回の電気透析のあと、同様の運転を繰返していき、通算で300時間通電を行なった後、水ガラスとして2Lの水ガラスを用い52分間通電を行ない、電気透析性能を測定した。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表3に示す。なお、この時の平均電流密度は1.4(A/dm2 )であり、電気透析性能が低下していないことが確認された。透析終了後、電気透析槽を解体して内部を観察したところ、析出物の発生は見られなかった。
【表1】
【表2】
【表3】
【0028】
実施例2
図1に示す装置を用いて原料水ガラスの脱塩を行なった。表1に示す仕様のトクヤマ社製の電気透析装置(TS2-10型)を用い、JIS規格3号水ガラスを水で希釈してSiO2 含有量を4.6wt%(Na2 O濃度1.45wt%)に調整した水ガラスを脱塩室に供給し、水酸化ナトリウムを水で希釈して0.5(mol/L)に調整した水酸化ナトリウム水溶液を濃縮室に供給して脱塩処理を行なった。この時、水ガラス供給路および濃縮液供給路には、孔径100μmのカートリッジフィルターを設置した。新しいイオン交換膜を用いた上記装置による初回の電気透析において、2Lの水ガラスのNa2 O濃度が0.49wt%になるまで処理した場合の平均電流密度は1.4(A/dm2 )であり、脱アルカリに要した時間は52分であった。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表2に示す。
【0029】
上記初回の電気透析のあと、同様の運転を繰返していき、通算で250時間通電を行なった後、水ガラスとして2Lの水ガラス水溶液を用い70分間通電を行ない、電気透析性能を測定した。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表4に示す。なお、この時の平均電流密度は1.0(A/dm2 )であり、電気透析性能が低下していることが確認された。透析終了後、電気透析槽を解体して内部を観察したところ、一部の脱塩室に析出物が発生していた。
【表4】
【0030】
比較例1
水ガラス供給路および濃縮液供給路にフィルターを設置しなかったこと以外は、実施例1と同様に水ガラスの電気透析を行なった。初回の電気透析において、水ガラスである2Lの水ガラスのNa2 O濃度が0.49wt%になるまで処理した場合の平均電流密度は1.4(A/dm2 )であり、脱アルカリに要した時間は52分であった。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表2に示す。上記初回の電気透析のあと、同様の運転を繰返していき、通算で250時間通電を行なった後、水ガラスとして2Lの水ガラスを用い104分間通電を行ない、電気透析性能を測定した。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表5に示す。なお、この時の平均電流密度は0.7(A/dm2 )であり、電気透析性能が低下していることが確認された。透析終了後、電気透析槽を解体して内部を観察したところ、一部の脱塩室に析出物が発生していた。
【表5】
【0031】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、イオン交換膜電気透析法により水ガラスを脱アルカリして、地盤改良材として又、高モル比の水ガラスの使用が好ましい建材用および接着材、シリカ製造用原料などに好適に使用できる脱アルカリ水ガラスを製造するに際し、電気透析中に脱塩室(および濃縮室)に珪酸塩を主成分とする析出物が発生するのを有効に抑制することができる。このため、安定して長時間連続して電気透析を行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は、本発明の製造方法で使用できる代表的な電気透析装置の模式図である。
【符号の説明】
1・・・電気透析装置
2・・・陽極
3・・・陰極
4・・・陰イオン交換膜
5・・・陽イオン交換膜
6・・・陽極室
7・・・陰極室
8・・・脱塩室
9・・・濃縮室
10・・水ガラス供給路
11・・濃縮液供給路
12・・生成液抜出し路
13・・濃縮液抜出し路
14・・陽極液供給路
15・・陰極液供給路
16・・陽極液抜出し路
17・・陰極液抜出し路
18・・水ガラス貯槽
19・・濃縮液貯槽
20・・水ガラス用フィルター
21・・濃縮液用フィルター
Claims (2)
- 水ガラスを電気透析装置を用いて脱塩し、水ガラス循環路にフィルターを設置し、脱塩と同時に脱アルカリ水ガラス中に存在する珪酸塩を主成分とするイオン交換膜の析出物を固液分離方法により除去して脱アルカリ水ガラスを製造する方法であって、前記フィルターが1μmないし100μmの孔径を有しており、陽極側及び陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた脱塩室、並びに陽極側及び陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた濃縮室を交互に形成した電気透析装置を用い、該濃縮室内の溶液を攪拌しながら、0A/dm2 を超えて10A/dm2の電流密度で電気透析を行うことを特徴とする脱アルカリ水ガラスを製造する方法。
- 陽極と陰極の間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に配置して、陽極側と陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた脱塩室、並びに陽極側と陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた濃縮室を形成した電気透析槽と、脱塩室に供給する水ガラスを貯留するための水ガラス貯槽、および脱塩室で脱塩した水ガラスを水ガラス貯槽に戻すための脱塩水ガラス戻し路により形成された水ガラス循環路、該水ガラス循環路に析出物除去手段として孔径が1μmないし100μmのフィルターが設置されていることを特徴とする脱アルカリ水ガラスの製造装置。
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