JP4144168B2 - エンジンの燃料噴射量制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの燃料噴射量制御装置、特にスロットル弁下流の吸気管圧力(以下単に「吸気管圧力」という。)とエンジン回転速度に基づいて燃料噴射量を演算する、いわゆるD−ジェトロニック方式の燃料噴射装置を備えるエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
吸気管圧力の検出値とエンジン回転速度に基づいてシリンダに吸入される空気(この吸入空気を、以下単に「吸気」という。)相当の燃料噴射量を演算し、このシリンダ吸気相当噴射量に基づいて吸気ポートに設けた燃料噴射弁より燃料を噴射するようにしたエンジンの燃料噴射量制御装置がある(特開平63−131840号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジン回転がもともと不安定なアイドル状態で、エンジン出力軸に対して補機負荷(たとえばエアコン負荷やパワーステアリング負荷)が加わると、一時的な回転低下が生じるのであるが、従来装置ではこのとき空燃比が一時的にリーンに傾き、アイドル回転速度の低下を助長することになっている。
【0004】
これについて図12のモデル図を用いて説明すると、同図はアイドル運転中にエアコンスイッチがONとなったときのもので、このときエンジン回転速度がステップ的に低下し、これに対応して1シリンダ当たりの吸気量が応答良く増加する。たとえば、エンジン回転速度が1000rpmのとき全体で2000L/minの吸気量があったとすると、1シリンダかつ1吸気当たりの吸気量は2000[L/min]÷(1000[rpm]×2[吸気/1回転速度])=1Lである。全体で2000L/minの吸気量のままエンジン回転速度だけ半分の500rpmとなれば、1シリンダかつ1吸気当たりの吸気量は2000[L/min]÷(500[rpm]×2)=2Lとなる。すなわち、エンジン回転速度が半分となったとき、1シリンダ当たりの吸気量は2倍に応答良く増加するることがわかる。
【0005】
これに対して、スロットル弁下流に大きな吸気管容積があるため吸気管圧力のほうはゆっくりとしか変化せず(この遅れはほぼ一次遅れである)、このゆっくりと変化する吸気管圧力の波形と同様の波形でシリンダ吸気相当噴射量が算出される。すなわち、吸気管圧力の応答遅れに伴いシリンダ吸気に対して燃料の応答が遅れる分だけ空燃比がリーン側に傾いている(最下段参照)。
【0006】
そこで本発明は、アイドル運転途中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したときシリンダ吸気相当噴射量を増量補正することにより、吸気管圧力の応答遅れに伴う燃料の応答遅れを解消することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図13に示すように、吸気管圧力とエンジン回転速度に基づいてシリンダ吸気相当噴射量を演算する手段21と、アイドル運転中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したとき前記シリンダ吸気相当噴射量を増量補正する手段22と、この補正後のシリンダ吸気相当噴射量をエンジンに供給する手段23とを備える。
【0008】
そして、前記増量補正手段22が、図14に示すように、アクチュエータ32により駆動されるスロットル弁31と、アクセル開度に応じた要求開口面積を演算する手段33と、アイドル時の補機負荷の作動に応じた補助空気の要求開口面積を演算する手段34と、これらを合算した総要求開口面積に基づいて、アイドル運転中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したときにステップ的に変化する前記スロットル弁部の目標体積流量を演算する手段35と、この目標体積流量が得られるように前記アクチュエータ32を制御する手段36と、アイドル運転中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したときに前記吸気管圧力に生じる遅れを一次遅れとみなしたときの時定数と略同一の時定数で前記目標体積流量の遅れ処理値を演算する手段37と、同じくアイドル運転中にエンジン出力軸に負荷が作用したときこの遅れ処理値と前記体積流量とのずれ(差または比)を用いて前記シリンダ吸気相当噴射量の増量補正値を演算する手段38と、この補正値で前記シリンダ吸気相当噴射量を補正する手段39とからなる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において前記体積流量に代えて体積流量比を用いる。
【0011】
第3の発明では、第2の発明において前記増量補正値による前記シリンダ吸気相当噴射量の増量補正を乗算で行う場合に、前記増量補正値Kを、K=(TQH0/Qc−1)×GAIN#+1、ただし、TQH0 :目標体積流量比、Qc :目標体積流量比の遅れ処理値、GAIN#:ゲイン(1.0以上の値)、の式により算出する。
【0012】
第4の発明では、第2の発明において前記増量補正値による前記シリンダ吸気相当噴射量の増量補正を乗算で行う場合に、前記増量補正値Kを、K={(TQH0−Qc)/Qc}×GAIN2#、ただし、TQH0 :目標体積流量比、Qc :目標体積流量比の遅れ処理値、GAIN2#:ゲイン(1.0を超える値)、の式により算出する。
【0013】
【発明の効果】
第1、第4の発明によれば、アイドル運転中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したときシリンダ吸気相当噴射量を増量補正することで、吸気管圧力の応答遅れに伴う燃料の応答遅れを解消でき、これによってアイドル運転中での補機負荷の投入時にも空燃比が一時的にリーンになることを防止してアイドル回転速度を安定させることができる。
【0014】
このとき、アイドル運転途中にエンジン出力軸に負荷が作用したとき目標体積流量がステップ的に増加し、これに対して遅れ処理値が遅れて追従するが、これらのずれ(差または比)を用いてシリンダ吸気相当噴射量の増量補正値を演算するようにしたので、増量補正量を精度よく与えることができる。
【0015】
また、吸気管圧力の遅れはほぼ一次の遅れで近似できるので、吸気管圧力の遅れに見合った燃料増量を行うことができる。
【0016】
体積流量を用いるときにはエンジンの排気量が相違するたびに目標体積流量のマッチングを行う必要があるが、第2の発明によればエンジンの排気量が違ってもマッチングを行う必要がない。
【0017】
第3の発明によれば、増量補正値が、補正の当初にステップ的に大きくなり、その後に徐々に小さくなるので、増量補正を応答良く行わせることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1において 1はエンジン本体、2は吸気通路、3は排気通路、4は燃料噴射弁、5は点火栓、6はスロットル弁、7はこのスロットル弁6の開度を電子制御するスロットル弁制御装置(たとえばステップモータやDCモータなど)である。燃料噴射弁は、燃料を吸気ポートに向け噴射供給するものでもかまわないが、実施形態では図示のように燃料を燃焼室内に直接噴射供給する場合で述べる。
【0019】
なお、スロットル弁6をバイパスする通路は設けられていない。したがって、アイドル時にエンジン出力軸を駆動源とするエアコン用コンプレッサが作動されるときなど補助空気を増大する必要があるときは、コントロールユニット11がその補助空気の増大分だけスロットル弁6の開度を増すことになる。
【0020】
ここで、燃料噴射の制御内容の概略を説明すると、燃料噴射弁は、低負荷などにおいて、燃料を圧縮行程の後半に噴射して、これにより、圧縮上死点付近において、点火栓5の近傍のキャビティに可燃混合気を形成し、点火栓5による点火に伴い燃料を成層燃焼させ、全体としては空燃比が40を超える超希薄燃焼を行う。また、高負荷域では、燃料を吸気行程で噴射し、燃料と空気の混合を早め、燃焼室の全域を均質的な混合気で満たし、理論空燃比付近の混合気による均質燃焼を行う。さらに、成層燃焼域と均質燃焼域との中間負荷域において、成層燃焼よりも空燃比としては濃いが、理論空燃比よりは薄い希薄燃焼を行う。
【0021】
このように、制御域として空燃比が大きく異なる3つの領域が存在するわけであるが、この領域の切換時には、エンジン回転速度とエンジントルクとを同一に維持しつつ、スロットル弁開度および燃料噴射量をともに変更して空燃比を変化させなければならない。
【0022】
このため、アクセル開度センサ12からのアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量のこと、エンジン負荷相当)、クランク角センサ13からの単位クランク角毎のポジション信号および気筒行程の位相差毎の基準信号(ポジション信号の単位時間当たりの発生数を計測することにより、あるいは基準信号発生周期を計測することによりエンジン回転数がわかる)からの各信号が、アイドルスイッチ(図示しない)、エアコンスイッチ(図示しない)からの信号とともにコントロールユニット11に入力され、コントロールユニット11では、運転条件により変化する目標空燃比の切換時にその切換前後でトルク段差が生じないように次のようにして目標吸気量TTPGASを演算し、この目標吸気量TTPGASが得られるようにスロットル弁開度を制御する(詳しくは特開平11−182298号広報参照)。その際、スロットルセンサ14からの信号をフィードバック信号としても用いている。
【0023】
▲1▼運転条件に応じてスロットル弁部の総要求開口面積TTAAPOを演算する。
【0024】
▲2▼この総要求開口面積TTAAPOとエンジン回転速度Neから理論空燃比のもとでの目標体積流量比である目標基本体積流量比TQH0STを演算する。
【0025】
▲3▼この目標基本体積流量比TQH0STに基づいて理論空燃比時の目標吸気量である目標基本吸気量TTPSTを演算する。
【0026】
▲4▼この目標基本吸気量TTPSTを目標当量比DMLで除算することで、目標当量比での運転時における目標吸気量TTPGASを演算する。
【0027】
一方、燃料噴射装置はD−ジェトロニック方式であるため、吸気通路2のコレクタ部2Aに設けられる圧力センサ15からの吸気管圧力の信号が、水温センサ16からのエンジン冷却水温信号、酸素センサ17からの酸素濃度信号とともにコントロールユニット11に入力され、コントロールユニット11では、従来装置と同様に吸気管圧力とエンジン回転速度に基づいてシリンダ吸気相当噴射量を演算し、これに目標当量比DMLを乗算した値を目標当量比DMLでの運転時における燃料噴射量として演算し、これを燃料噴射弁4よりエンジンに供給する。たとえばシーケンシャル噴射であるとき、
【0028】
【数1】
Ti=Tp×DML×(α+αm−1)×2+Ts、
ただし、Tp:シリンダ吸気相当噴射パルス幅、
α :空燃比フィードバック補正係数、
αm:空燃比学習値、
Ts:無効噴射パルス幅、
の式により、燃料噴射弁4に与える燃料噴射パルス幅Ti[ms]を演算し、エンジン2回転に1回各気筒毎の点火順序に合わせてTiの期間、燃料噴射弁4を開く。
【0029】
この場合に、特にアイドル運転中にエンジン出力軸に対してエアコン負荷(補機負荷)が加わったとき、吸気管圧力とエンジン回転速度から所定のマップを検索することにより演算したシリンダ吸気相当噴射パルス幅のままでは空燃比が一時的にリーン化するので、コントロールユニット11ではシリンダ吸入空気相当噴射パルス幅のマップ値を基本値してこれを増量補正する。すなわち、アイドル運転中にエンジン出力軸にエアコン負荷が加わったとき、上記▲1▼の総要求開口面積TTAAPOが、したがって上記▲2▼の目標基本体積流量比TQH0STがステップ的に大きくなるので、この目標基本体積流量比TQH0STの遅れ処理値を演算し、この遅れ処理値と目標基本体積流量のずれ(差または比)を用いて増量補正値を演算し、この補正値を前記シリンダ吸気相当噴射パルス幅の基本値(マップ値)に乗算することにより補正する。
【0030】
コントロールユニット11で実行されるこの制御内容を図2にしたがって説明する。
【0031】
図2はシリンダ吸気相当噴射パルス幅Tpを算出するためのもので、一定時間毎(たとえば10ms毎)に実行する。
【0032】
なお、エアコンスイッチをONにしたとき、電磁クラッチがつながってエアコン用コンプレッサがエンジン出力軸に加わるものとする。
【0033】
ステップ1では吸気管圧力PM、エンジン回転速度Ne、アイドルスイッチ、エアコンスイッチ、目標体積流量比TQH0を読み込む。なお、図ではスイッチを「SW」で記載している。
【0034】
ここで、目標体積流量比TQH0は、目標スロットル弁開度を演算する過程で求まる値である。これを図3により説明する。
【0035】
なお、体積流量比を演算途中に介在させつつ目標スロットル弁開度を最終的に演算するものは、特開平11−182298号公報により公知である。このものでは、運転条件により目標空燃比が相違することまで考慮しているが、本発明はアイドル時に限定されるものであり、運転条件により目標空燃比が相違することは本発明の要部と関係しないので、簡単のため以下では目標空燃比は全運転域で一定(理論空燃比)であるとして説明する。
【0036】
図3においてステップ11ではアクセル開度とエンジン回転速度Neを読み込み、これらからステップ12において図4を内容とするテーブルを検索することによりスロットル弁のアクセル要求開口面積AAPOを演算する。このアクセル要求開口面積AAPOにステップ13において補助空気の要求開口面積AQSISCを加算した値をスロットル弁の総要求開口面積TTAAPOとする。
【0037】
上記の補助空気の要求開口面積AQSISCはアイドル運転時にエアコン用コンプレッサがエンジン出力軸に負荷として加わったときなどにアイドル回転速度を所定値アップするために必要となるものである。
【0038】
ここで、アイドル回転速度制御では、冷却水温、始動後の経過時間、バッテリ電圧、パワステスイッチ、エアコンスイッチ、自動変速機付き車両の場合のギア位置などにより要求補助空気量QSISCを予め定めており、この要求補助空気量QSISCを所定のテーブルを用いて補助空気の要求開口面積AQSISCへと変換している。
【0039】
ステップ14ではこの総要求開口面積TTAAPOをエンジンの排気量VOL#とエンジン回転速度Neで割って単位排気量当たりかつエンジン1回転当たりの総要求開口面積TGADNVを求め、この値TGADNVからステップ15において図6を内容とするテーブルを検索することにより目標体積流量比TQH0を演算する。これは、上記▲2▼の目標基本体積流量比TQH0STに等しい。
【0040】
なお、ステップ14で用いるエンジン回転速度Neには下限リミッタ(図5参照)を設けて、分母が0にならないようにしている。
【0041】
ステップ16ではエンジン回転速度Neから図7を内容とするテーブルを検索することによりそのときの回転速度での最大吸気量MAXTPを求め、この最大吸気量MAXTPをステップ17において上記の目標体積流量比TQH0に乗じることにより、目標吸気量(目標トルク相当)TTPを求める。これは、上記▲3▼の目標基本吸気量TTPSTに等しい。
【0042】
次に、ステップ18ではこの目標吸気量TTPとエンジン回転速度Neから所定のマップ(図示しない)を検索することによりこの目標吸気量TTPが得られるスロットル弁開口面積(目標スロットル弁開口面積)を演算し、ステップ19でこの目標スロットル弁開口面積から所定のマップ(図示しない)を検索することにより目標スロットル弁開度を演算する。この目標スロットル開度は制御量としてスロットル弁制御装置7に与えられ、スロットル弁6が目標スロットル弁開度となるように駆動される。
【0043】
このように目標スロットル弁開度を演算しているので、その演算途中で求まる目標体積流量比TQH0(図3のステップ15)を図2のステップ1で読み込む。
【0044】
図2のステップ2では、吸気管圧力PMとエンジン回転速度Neから図8を内容とするマップを検索することによりシリンダ吸気相当噴射パルス幅を演算し、このマップ値を基本値Tp′[ms]とする。吸気管圧力PMとエンジン回転速度Neよりシリンダ吸気量が定まるが、基本値Tp′はこのシリンダ吸気量に対応して理論空燃比の混合気が得られる燃料噴射量を与えるものである。
【0045】
ステップ3ではアイドルスイッチをみる。アイドルスイッチがONのとき(アイドル時)にはステップ4に進み、エアコンスイッチをみる。
【0046】
エアコンスイッチがOFFのときにはステップ5に進み、目標体積流量比TQH0を目標体積流量比の遅れ処理値Qcに入れる。これはTQH0(マップ値)を遅れ処理値Qcの初期値とするためである。
【0047】
ステップ6ではシリンダ吸気相当噴射パルス幅の基本値Tp′をそのままシリンダ吸気相当噴射パルス幅Tpとして今回の処理を終了する。
【0048】
エアコンスイッチがONであるときにはステップ7で
【0049】
【数2】
Qc=TQH0×Fload4+Qcn-1×(1−Fload4)、
ただし、Qc :目標体積流量比の遅れ処理値、
Fload4:加重平均係数、
Qcn-1 :Qcの前回値、
の式により目標体積流量比の遅れ処理値Qcを演算する。
【0050】
ここで、加重平均係数Fload4は吸気管圧力の遅れを一次遅れとみなした場合の時定数相当値である。吸気管圧力の遅れを一次遅れとみなした場合の時定数は吸気管容積が大きくなるほど大きくなるので、この時定数と逆数の関係を有する加重平均係数Fload4は、吸気管容積が大きくなるほど小さくなる値である。また、吸気管圧力の遅れは運転条件(負荷、エンジン回転速度)に応じて変化するので、たとえばエンジン負荷としての目標体積流量比TQH0(またはアクセル開度)とエンジン回転速度Neから図9を内容とするマップを検索することにより演算することが考えられる。
【0051】
ステップ8ではこの目標体積流量比遅れ処理値Qcと目標体積流量比TQH0のずれから次式により補正割合Kを算出し、この補正割合Kをステップ9で上記のシリンダ吸気相当噴射パルス幅の基本値Tp′に乗算した値をシリンダ吸気相当噴射パルス幅Tpとして算出する。
【0052】
【数3】
K=(TQH0/Qc−1)×GAIN#+1、
ただし、GAIN#:ゲイン(1.0以上の値)、
ここで、KはエアコンスイッチのOFF状態では1.0の値であったものが、エアコンスイッチのOFFからONへの切換時に1.0より大きくなり、その後に小さくなって1.0に収束する値である(図10の第5段目参照)。すなわちKはアイドル状態におけるエアコン負荷の投入時に燃料増量を行うための値である。
【0053】
一方、アイドルスイッチがOFFのときにはステップ3よりステップ6に進み、ステップ6の操作を実行する。
【0054】
このようにして演算されるシリンダ吸気相当噴射パルス幅Tpは、図示しない燃料噴射制御ルーチンにおいて、たとえばシーケンシャル噴射であるとき、上記の数1式により燃料噴射弁4に与える燃料噴射パルス幅Ti[ms]が演算され、エンジン2回転に1回各気筒毎の点火順序に合わせてTiの期間、燃料噴射弁4が開かれる。
【0055】
ここで、本実施形態の作用を図10を参照して説明する。
【0056】
同図は図12と同じにアイドル運転状態でエンジン出力軸に対してエアコン負荷が加わったときのものである。このとき本実施形態では目標体積流量比TQH0がステップ的に大きくなる(第4段目の実線参照)。このように目標体積流量比TQH0がステップ的に大きくなるのは、図3のステップ13でエアコンスイッチのONに対応して補助空気の要求開口面積AQSISCが一定値大きくなるからである。
【0057】
このステップ変化する目標体積流量比TQH0に対して一次遅れで追従する遅れ処理値Qcが演算され(第4段目の破線参照)、これら2つの値TQH0、Qcを用いて上記の数3式により補正割合Kが演算されると、補正係数Kはエアコン負荷がエンジン出力に加わった直後に1.0よりステップ的に大きくなり、その後に遅れ処理値Qcと同じ遅れで変化して1.0へと戻る(第5段目参照)。したがって、この補正割合Kによりシリンダ吸気相当噴射パルス幅の基本値Tp′を増量補正した値であるシリンダ吸気相当噴射パルス幅Tpによれば、基本値Tp′との差の面積の分だけ燃料増量を行うことができ、これによってアイドル状態における補機負荷投入時の空燃比の一時的なリーン化を防止でき(最下段の実線参照)、アイドル運転状態で補機負荷がエンジン出力軸に加わることによるアイドル回転速度の低下を防止できる。
【0058】
また、上記の数3式で示したゲインGAIN#の導入により、アイドル状態における補機負荷投入時に空燃比をリッチ側に振らせてアイドル回転の安定を図ることも可能である(最下段の二点鎖線参照)。
【0059】
実施形態では補正割合Kを上記の数3式で与える場合で説明したが、これに限られるものでなく、たとえば
【0060】
【数4】
K={(TQH0−Qc)/Qc}×GAIN2#、
ただし、GAIN2#:ゲイン(1.0を超える値)、
の式により与えてもかまわない。このときの基本値Tp′と補正割合Kによる補正後の値であるTpの波形を図11に示すと、ゲインGAIN2#を大きくするほどTpが上側に膨らむ波形となる。なお、ゲインGAIN2#に1.0を含ませないのは、ゲインGAIN2#を1.0としたときTp=Tp′×K=Tp′となり、増量補正を行わせることができないからである。
【0061】
補正割合Kの算出に数4式を用いる場合を第2実施形態とすれば、補正割合の算出に上記の数3式を用いる第1実施形態のほうが応答がよいことはいうまでもない。
【0062】
実施形態では体積流量比として目標体積流量比を採用する場合で説明したが、スロットル弁開度の検出値とエンジン回転速度Neから所定のマップを検索することにより実際の体積流量比を演算し、この体積流量比を用いるようにしてもかまわない。また、体積流量比に限らず、これに排気量VOL#を乗算したエンジン毎の値である体積流量を用いることもできる。
【0063】
実施形態では補機負荷としてエアコン負荷で説明したが、これに限られるものでない。また、電子制御のスロットル弁の場合で説明したが、これに限られるものでなく、たとえばアイドル空気量をスロットル弁をバイパスする通路に設けた補助空気弁により制御するものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図。
【図2】シリンダ吸気相当噴射パルス幅の演算を説明するためのフローチャート。
【図3】目標スロットル弁開度の演算を説明するためのフローチャート。
【図4】アクセル開度とスロットル弁のアクセル要求開口面積との関係を表す特性図。
【図5】エンジン回転速度の下限リミッタの特性図。
【図6】単位排気量当たりかつ1回転速度当たり総要求開口面積と目標体積流量比との関係を表す特性図。
【図7】回転速度と最大吸気量の関係を表す特性図。
【図8】シリンダ吸気相当噴射パルス幅の基本値の特性図。
【図9】加重平均係数の特性図。
【図10】第1実施形態の作用を説明するための波形図。
【図11】第2実施形態の作用を説明するための波形図。
【図12】従来装置の作用を説明するための波形図。
【図13】第1の発明のクレーム対応図。
【図14】第2の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
4 燃料噴射弁
6 スロットル弁
7 スロットル弁制御装置
11 コントロールユニット
15 圧力センサ
Claims (4)
- 吸気管圧力とエンジン回転速度に基づいてシリンダ吸気相当噴射量を演算する手段と、
アイドル運転中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したとき前記シリンダ吸気相当噴射量を増量補正する手段と、
この補正後のシリンダ吸気相当噴射量をエンジンに供給する手段と、
を備え、
前記増量補正手段は、
アクチュエータにより駆動されるスロットル弁と、
アクセル開度に応じた要求開口面積を演算する手段と、
アイドル時の補機負荷の作動に応じた補助空気の要求開口面積を演算する手段と、
これらを合算した総要求開口面積に基づいて、アイドル運転中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したときにステップ的に変化する前記スロットル弁部の目標体積流量を演算する手段と、
この目標体積流量が得られるように前記アクチュエータを制御する手段と、
アイドル運転中にエンジン出力軸に対して負荷が作用したときに前記吸気管圧力に生じる遅れを一次遅れとみなしたときの時定数と略同一の時定数で前記目標体積流量の遅れ処理値を演算する手段と、
同じくアイドル運転中にエンジン出力軸に負荷が作用したときこの遅れ処理値と前記体積流量とのずれを用いて前記シリンダ吸気相当噴射量の増量補正値を演算する手段と、
この補正値で前記シリンダ吸気相当噴射量を補正する手段と、
を備えることを特徴とするエンジンの燃料噴射量制御装置。 - 前記体積流量に代えて体積流量比を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射量制御装置。 - 前記増量補正値による前記シリンダ吸気相当噴射量の増量補正を乗算で行う場合に、前記増量補正値Kを、
K=(TQH0/Qc−1)×GAIN#+1、
ただし、
TQH0 :目標体積流量比、
Qc :目標体積流量比の遅れ処理値、
GAIN# :ゲイン(1.0以上の値)、
の式により算出する
ことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの燃料噴射量制御装置。 - 前記増量補正値による前記シリンダ吸気相当噴射量の増量補正を乗算で行う場合に、前記増量補正値Kを、
K={(TQH0−Qc)/Qc}×GAIN2#、
ただし、
TQH0 :目標体積流量比、
Qc :目標体積流量比の遅れ処理値、
GAIN2# :ゲイン(1.0を超える値)、
の式により算出する
ことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの燃料噴射量制御装置。
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JP2002038996A (ja) | 2002-02-06 |
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