JP4141242B2 - ダンパーディスク組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するためのダンパーディスク組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌に用いられるクラッチディスク組立体は、フライホイールに連結・切断されるクラッチ機能と、フライホイールからの捩じり振動を吸収・減衰するためのダンパー機能とを有している。一般に車両の振動には、アイドル時異音(ガラ音)、走行時異音(加速・減速ラトル,こもり音)及びティップイン・ティップアウト(低周波振動)がある。これらの異音や振動を取り除くことがクラッチディスク組立体のダンパーとしての機能である。
【0003】
アイドル時異音とは、信号待ち等でシフトをニュートラルに入れ、クラッチペダルを放したときにトランスミッションから発生する「ガラガラ」と聞こえる音である。この異音が生じる原因は、エンジンアイドリング回転付近ではエンジントルクが低く、エンジン爆発時のトルク変動が大きいことにある。このときにトランスミッションのインプットギアとカウンターギアとが歯打ち現象を起こしている。
【0004】
ティップイン・ティップアウト(低周波振動)とは、アクセルペダルを急に踏んだり放したりしたときに生じる車体の前後の大きな振れである。駆動伝達系の剛性が低いと、タイヤに伝達されたトルクが逆にタイヤに伝達されたトルクが逆にタイヤ側からトルクに伝わり、その揺り返しとしてタイヤに過大トルクが発生し、その結果車体を過渡的に前後に大きく振らす前後振動となる。
【0005】
アイドリング時異音に対しては、クラッチディスク組立体の捩じり特性においてゼロトルク付近が問題となり、そこでの捩じり剛性は低い方が良い。一方、ティップイン・ティップアウトの前後振動に対しては、クラッチディスク組立体の捩じり特性をできるだけソリッドにすることが必要である。
【0006】
以上の問題を解決するために、2種類のばね部材を用いることにより2段特性を実現したクラッチディスク組立体が提供されている。そこでは、捩じり特性における1段目(低捩じり角度領域)における捩じり剛性及びヒステリシストルクを低く抑えているために、アイドリング時の異音防止効果がある。また、捩じり特性における2段目(高捩じり角度領域)では捩じり剛性及びヒステリシストルクを高く設定しているため、ティップイン・ティップアウトの前後振動を十分に減衰できる。
【0007】
さらに、捩じり特性2段目においてたとえばエンジンの燃焼変動に起因する微小捩じり振動が入力されたときに、2段目の大摩擦機構を作動させないことで、微小捩じり振動を効果的に吸収するダンパー機構も知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
クラッチディスク組立体では、円板状の出力側フランジと、その軸方向両側に配置された円板状の入力側クラッチプレート及びリティーニングプレートと、両者の回転方向間に配置されたコイルスプリングとからダンパー機構が構成されている。
【0009】
クラッチプレートとリティーニングプレートは、軸方向に間隔を空けて配置され、複数のピン部材によって互いに固定されている。ピン部材は、出力側フランジに形成された切り欠き内を貫通している。ピン部材は切り欠き内を円周方向に移動可能であり、切り欠きの円周方向端に当接すると出力側フランジとクラッチプレート及びリティーニングプレートとの相対回転が停止する。言い換えると、切り欠きとピン部材はクラッチディスク組立体のダンパー機構の捩り角ストッパーを構成している。この捩り角ストッパーでは、ピン部材が切り欠き内を移動できる角度がダンパー機構の総捩り角度になり、さらに切り欠き内のピン部材の円周方向位置がダンパー機構の捩り特性の正側捩り角度と負側捩り角度を決定している。
【0010】
一方、クラッチディスク組立体は搭載する車両によって異なる捩り特性を要求されることがある。しかし、異なる捩り特性ごとに各部品の種類を異ならせていると、各部品の品種が増えて、コスト高になるという問題が生じる。
【0011】
本発明の課題は、ピン部材と切り欠きとによって捩り角ストッパーを構成しているダンパーディスク組立体において、各部品の種類を減らすことで生産コストを下げることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパーディスク組立体は、一対の第1円板状部材と、第2円板状部材と、複数の弾性部材と、複数のピン部材とを備えている。一対の第1円板状部材は軸方向に対向して配置され互いに固定されている。第2円板状部材は、一対の第1円板状部材の間に、一対の第1円板状部材に相対回転可能に配置されている。複数の弾性部材は、第1円板状部材と第2円板状部材を回転方向に弾性的に連結するための部材である。複数のピン部材は、一対の第1円板状部材同士を互いに固定するための部材である。ピン部材と第2円板状部材に設けられたストッパー部とによって、第1円板状部材と第2円板状部材の相対回転を規制するための捩り角ストッパーが形成されている。一対の第1円板状部材には、複数のピン部材のそれぞれ1つに対して複数のピン取付部が回転方向に設けられ、複数のピン取付部に対して1つのピン部材が選択的に装着されている。
【0013】
このダンパーディスク組立体では、各ピン部材は一対の第1円板状部材に円周方向に複数設けられたピン取付部のいずれかに取り付けられている。ピン部材がいずれのピン取付部に取り付けられるかによって、捩り特性の正側捩り角度と負側捩り角度が異なっている。すなわち、一対の第1円板状部材をピン部材によって互いに固定する際にそのダンパーディスク組立体の捩り特性を変更できる。このことは、一対の第1円板状部材には同じ種類のものを使いながら、捩り特性を変更できることを意味する。その結果、一対の第1円板状部材の種類が減って生産コストが低くなる。
【0014】
請求項2に記載のダンパーディスク組立体では、請求項1において、ピン取付部は軸方向に貫通する孔である。
【0015】
このダンパーディスク組立体では、ピン取付部が孔であるため、加工が簡単である。
【0016】
請求項3に記載のダンパーディスク組立体では、請求項1又は2において、第2円板状部材のストッパー部は、回転方向に設けられた複数のピン取付部を内部に含み、ピン部材が貫通する切り欠きである。
【0017】
このダンパーディスク組立体では、複数のピン取付部はすべて切り欠きの円周方向内側に配置されており、いずれのピン取付部にピン部材を取り付けても捩り角ストッパーが実現される。
【0018】
請求項4に記載のダンパーディスク組立体では、請求項1〜3のいずれかにおいて、弾性部材は、第1弾性部材と、半径方向位置がピンの半径方向位置より内周側にあり第1弾性部材より剛性が低い第2弾性部材とを含んでいる。
【0019】
このダンパーディスク組立体では、低剛性の第2弾性部材がピン部材の半径方向内側に配置されることで、捩り角ストッパーの作動角度を大きくできる。
【0020】
請求項5に記載のダンパーディスク組立体では、請求項4において、第1弾性部材と捩り角ストッパーは円周方向に並んでいる。すなわち、ピン部材及び切り欠きは第1弾性部材の外周側に配置されておらず、そのため第2円板状部材の強度が高く維持される。
【0021】
【発明の実施の形態】
(1)全体の構成
図1及び図2に本発明の一実施形態としてのクラッチディスク組立体1の断面図を示し、図3にその平面図を示す。クラッチディスク組立体1は、車両(特にFF車)のクラッチ装置に用いられる動力伝達装置であり、クラッチ機能とダンパー機能とを有している。クラッチ機能とは、フライホイール(図示せず)に連結及び離反することによってトルクの伝達及び遮断を行う機能である。ダンパー機能とは、フライホイール側から入力されるトルク変動等をばね等によって吸収・減衰する機能である。
【0022】
図1及び図2においてO−Oがクラッチディスク組立体1の回転軸である。図1の左側にエンジン及びフライホイール(図示せず)が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。さらに、図3の矢印R1側がクラッチディスク組立体1の駆動側(回転方向正側)であり、矢印R2側がその反対側(回転方向負側)である。なお、以下の説明で「回転(円周)方向」、「軸方向」及び「半径方向」とは、特に断らない限り、回転体としてのクラッチディスク組立体1の各方向をいうものとする。
【0023】
クラッチディスク組立体1は、主に、入力回転部材2と、出力回転部材3と、両回転部材2,3間に配置された弾性連結機構4とから構成されている。また、各部材によって、トルクを伝達するとともに捩じり振動を減衰するためのダンパー機構が構成されていることになる。
【0024】
(2)入力回転部材
入力回転部材2はフライホイール(図示せず)からトルクが入力される部材である。入力回転部材2は主にクラッチディスク11とクラッチプレート12とリティーニングプレート13とから構成されている。クラッチディスク11は、図示しないフライホイールに押し付けられて連結される部分である。クラッチディスク11は、クッショニングプレート15と、その軸方向両側にリベット18によって固定された1対の摩擦フェーシング16,17とからなる。
【0025】
クラッチプレート12とリティーニングプレート13は、ともに板金製の円板状かつ環状の部材であり、互いに対して軸方向に対して所定の間隔を開けて配置されている。クラッチプレート12はエンジン側に配置され、リティーニングプレート13はトランスミッション側に配置されている。リティーニングプレート13の外周縁には、円周方向に所定の間隔で複数の(4つの)箇所に、ストップピン22が配置されている。ストップピン22は軸方向に延びる円柱形状の部材である。ストップピン22は、プレート12,13の軸方向間に挟まれた胴部22aと、その両側から延びてプレート12,13の孔53内に配置された首部22bと、プレート12,13の軸方向外側面に当接する頭部22cとを有している。一方の頭部22cはかしめて形成されている。これにより、クラッチプレート12とリティーニングプレート13は一体回転するようになり、さらに軸方向の間隔が定められている。さらに、ストップピン22は、クッショニングプレート15の内周部をクラッチプレート12の外周部に固定している。なお、本発明に係るピン部材は、ストップピン22の構造や形状に限定されない。
【0026】
クラッチプレート12及びリティーニングプレート13にはそれぞれ中心孔が形成されている。この中心孔内には後述のボス7が配置される。
【0027】
クラッチプレート12及びリティーニングプレート13の各々には、円周方向に並んだ複数の窓部(41,42)が形成されている。各窓部(41,42)は同一形状であり、同一半径方向位置で円周方向に並んで複数(4つ)形成されている。各窓部(41,42)は概ね円周方向に長く延びている。
【0028】
ここで、図3及び図4において上下方向に対向して配置された1対の窓部を第1窓部41といい、図3及び図4において左右方向に対向して配置された1対の窓部を第2窓部42ということにする。各窓部41,42は、軸方向に貫通した孔と、その孔の縁に沿って形成された支持部とからなる。
【0029】
第1窓部41の支持部は、外周側支持部45と内周側支持部46と回転方向支持部47とから構成されている。平面視で、外周側支持部45は概ね円周方向に沿った形状に湾曲しており、内周側支持部46はほぼ直線状に延びている。また、回転方向支持部47は、概ね半径方向に直線状に延びており、窓部41,42の円周方向中心とクラッチディスク組立体1の中心Oとを通る直線に平行である。外周側支持部45及び内周側支持部46は他のプレート部分から軸方向に起こされた部分である。
【0030】
第2窓部42の支持部は、外周側支持部48と内周側支持部49と回転方向支持部50とから構成されている。平面視で、外周側支持部48は概ね円周方向に沿った形状に湾曲しており、内周側支持部49はほぼ直線状に延びている。図3に示すように、第1窓部41の回転方向中心同士を結ぶ直線をC1とし、それに垂直な直線をC2とすると、第2窓部42の回転方向中心同士を結ぶ直線C3は直線C2に対して回転方向R2側に所定角度だけずれている。すなわち、各第2窓部42は、回転方向R1側の第1窓部41により回転方向R2側の第1窓部41に近接している。第2窓部42は、第1窓部41に比べて、回転方向長さ及び半径方向幅も短くなっている。さらに、第2窓部42の内径は第1窓部41の内径と概ね同じであるが、第2窓部42の外径は第1窓部41の外径より小さい。
【0031】
ストップピン22のプレート12,13における位置について説明する。ストップピン22は、プレート12,13の外周部に設けられており、各窓部41,42の回転方向間に配置されている。さらに、詳細には、ストップピン22は、窓部41,42の間でより第2窓部42側にずれて配置されている。ストップピン22は、第1窓部41の外周縁より半径方向内側であるが、第2窓部42の外周縁より半径方向外側に位置している。より詳細には、ストップピン22は、その半径方向最内側部分ですら、第2窓部42の外周縁より半径方向外側に位置している。
【0032】
図4に示すように、クラッチプレート12及びリティーニングプレート13において、第1窓部41の回転方向R2側にあるストップピン22の回転方向両側にはピン取付孔54,55が設けられている。つまり、この箇所にはストップピン22が実際に取り付けられている孔53を含めて、合計3つの孔53〜55が回転方向に並んで形成されていることになる。ピン取付孔53とピン取付孔54との間の回転方向角度はθ11であり、ピン取付孔53とピン取付孔55との間の回転方向角度はθ12である。また、クラッチプレート12及びリティーニングプレート13において、第1窓部41の回転方向R1側にあるストップピン22の回転方向R1側には、ピン取付孔57が設けられている。つまり、この箇所にはストップピン22が実際に取り付けられている孔56を含めて、合計2つの孔56,57が回転方向に並んで形成されていることになる。ピン取付孔56とピン取付孔57との間の回転方向角度はθ13である。
【0033】
この実施形態では、θ11〜θ13の大きさは同一であり、9度である。
【0034】
(3)出力回転部材
出力回転部材3は、入力回転部材2から弾性連結機構4を介してトルクが入力れ、さらに図示しないトランスミッション入力シャフトにトルクを出力するための部材である。出力回転部材3は主にハブ6によって構成されている。ハブ6はボス7とフランジ8とからなる。
【0035】
ボス7はクラッチプレート12及びリティーニングプレート13の中心孔内に配置された筒状の部材である。ボス7はその中心孔に挿入されたトランスミッション入力シャフト(図示せず)に対してスプライン係合している。フランジ8は、ボス7の外周に一体に形成され、外周側に延びる円板形状部分である。フランジ8は、クラッチプレート12とリティーニングプレート13との軸方向間に配置されている。フランジ8は、最内周側の環状の内周部8aと、その外周側に設けられた外周部8bとからなる。
【0036】
フランジ8の外周部8bには、窓部41,42に対応して窓孔(43,44)が形成されている。すなわち、同一半径方向位置で円周方向に並んだ複数の(4つの)窓孔(43,44)が形成されている。ここで、図3及び図5において上下方向に対向して配置された1対の窓部を第1窓孔43といい、図3及び図5において左右方向に対向して配置された1対の窓部を第2窓孔44ということにする。各第1窓孔43は、軸方向に打ち抜かれた孔であり、円周方向に長く延びている。各第1窓孔43は外周側支持部63と内周側支持部64と回転方向支持部65とを有する。平面視で、外周側支持部63及び内周側支持部64は円周方向に沿った湾曲形状である。また、回転方向支持部65は概ね半径方向に直線状に延びており、より詳細には、回転方向支持部65は、窓孔43の回転方向中心とクラッチディスク組立体1の中心Oとを結ぶ直線に対して平行である。ただし、回転方向R1側の回転方向支持部65には、内周側に回転方向凹部65aが形成されている。回転方向凹部65aは、その外周側の部分に対して回転方向R1側にわずかに凹んでいる。内周側支持部64の回転方向中間には、半径方向凹部64aが形成されている。半径方向凹部64aはその回転方向の両側の部分に対して半径方向内側に凹んでいる。第1窓部41は、第1窓孔43に比べて回転方向に短く、かつ、第1窓孔43の回転方向R1側に寄っている。このため、第1窓部41の回転方向R1側の回転方向支持部47は第1窓孔43の回転方向R1側の回転方向支持部65に一致しているが、第1窓部41の回転方向R2側の回転方向支持部47は第1窓孔43の回転方向R2側の回転方向支持部65との間に第4回転方向隙間38(θ6)を確保している。
【0037】
第2窓孔44は、軸方向に打ち抜かれた孔であり、円周方向に長く延びている。各第2窓孔44は外周側支持部67と内周側支持部68と回転方向支持部69とを有する。平面視で、外周側支持部67及び内周側支持部68は円周方向に沿った湾曲形状である。また、回転方向支持部69は概ね半径方向に直線状に延びており、より詳細には、回転方向支持部69は、第2窓孔44の回転方向中心とクラッチディスク組立体1の中心Oとを結ぶ直線に対して平行である。第2窓部42は、第2窓孔44に比べて回転方向に短く、かつ、第2窓孔44の回転方向R2側に寄っている。このため、第2窓部42の回転方向R2側の回転方向支持部50は第2窓孔44の回転方向R2側の回転方向支持部69に一致しているが、第2窓部42の回転方向R1側の回転方向支持部50は第2窓孔44の回転方向R1側の回転方向支持部69との間に所定角度の第3回転方向隙間37(θ5)を確保している。
【0038】
フランジ8の外周縁には、ストップピン22が軸方向に通過している切り欠き8cが形成されている。切り欠き8cは、各窓孔(43,44)の回転方向間に位置しており、その中をストップピン22が回転方向に移動可能である。切り欠き8cは、第1窓孔43が形成された部分の半径方向突起83と、第2窓孔44の外周側の半径方向突起84とによって形成されている。つまり、各切り欠き8cは、フランジ8の外周縁8dと、各突起83,84の回転方向面83a,84aとによって形成されている。ストップピン22からみて、回転方向R1側の回転方向面84aとの間には第1回転方向隙間35(θ1)が確保され、回転方向R2側の回転方向面83aとの間には第2回転方向隙間36(θ2)が確保されている。以上より、ストップピン22と突起83,84及び切り欠き8cによってクラッチディスク組立体1の捩り角ストッパー86が形成されていることになる。
【0039】
なお、クラッチプレート12及びリティーニングプレート13のピン取付孔53〜57は、切り欠き8cの円周方向範囲内に配置されている。この結果、いずれのピン取付孔にストップピン22を取り付けても捩り角ストッパー86が実現される。
【0040】
突起84は、第2窓孔44に対応して形成されており、回転方向中心同士は一致している。なお、突起84は第2窓孔44に比べて回転方向長さを短くすることができ、その場合は回転方向面84aは回転方向支持部69より回転方向内側に位置する。つまり、切り欠き8cは第2窓孔44の外周側(の一部)まで延びており、ストップピン22は第2窓孔44の外周側にまで移動可能となる。これを言い換えると、捩り角ストッパー86(具体的にはストップピン22)が第2窓孔44と回転方向に干渉していない。その結果、捩り角ストッパー86の捩り可能角度が従来より大きくなる。
【0041】
(4)弾性連結機構
弾性連結機構4は、入力回転部材2から出力回転部材3にトルクを伝達するとともに、捩り振動を吸収・減衰するための機構である。弾性連結機構4は複数の弾性部材(30,31)から構成されている。この実施形態では4つの弾性部材(30,31)が用いられている。各弾性部材(30,31)は第1窓孔43,44及び窓部41,42内に配置されている。弾性部材(30,31)は、第1窓孔43及び第1窓部41内に配置された第1弾性部材30と、第2窓孔44及び第2窓部42内に配置された第2弾性部材31との2種類から構成されている。
【0042】
第1弾性部材30は、回転方向に延びるコイルスプリングであって、回転方向両端が第1窓部41の両回転方向支持部47に支持されている。したがって、第1弾性部材30は、第1窓孔43内において回転方向R1側に寄って配置されている。より具体的には、第1弾性部材30の回転方向R1側端は第1窓孔43の回転方向支持部65に当接又は近接しているが、第1弾性部材30の回転方向R2側端は第1窓孔43の回転方向支持部65との間に第4回転方向隙間38(θ6)を確保している。
【0043】
第2弾性部材31は、回転方向に延びるコイルスプリングであって、第1弾性部材30に比べて回転方向長さやコイル径が小さく、さらにばね定数が小さい(剛性が低い)。第2弾性部材31は回転方向両端が第2窓部42の両回転方向支持部50に支持されている。したがって、第2弾性部材31は、第2窓孔44内において回転方向R2側に寄って配置されている。より具体的には、第2弾性部材31の回転方向R2側端は第2窓孔44の回転方向支持部50に当接又は近接しているが、第2弾性部材31の回転方向R1側端は第2窓孔44の回転方向支持部69との間に第3回転方向隙間37(θ5)を確保している。
【0044】
(5)中間回転部材
中間回転部材10は、入力回転部材2と出力回転部材3との間で相対回転可能に配置された部材であり、出力回転部材3に対して回転方向に係合するとともに、入力回転部材2との間に第2摩擦発生部71(後述)を形成している。中間回転部材10は、ブッシュ51と、プレート52とから構成されている。
【0045】
ブッシュ51は、クラッチプレート12の内周部とフランジ8との間に配置された環状の部材であり、例えば樹脂からなる。ブッシュ51は、軸方向トランスミッション側に延び、第1窓孔43の半径方向凹部64a内を軸方向に延びる突出部51aを有している。プレート52は、フランジ8とリティーニングプレート13との間に配置された部材であり、例えば板金製である。プレート52にはブッシュ51の突出部51aが係合しており、この結果両部材51,52は一体回転するようになっている。プレート52の外周縁には、半径方向外側に延びる突出部52aが形成されている。突出部52aの回転方向R2側の縁には、軸方向エンジン側に延びる折り曲げ爪52bが形成されている。折り曲げ爪52bは、第1窓孔43の回転方向凹部65a内に収納され、回転方向支持部65とともに第1弾性部材30の回転方向R1側端面を支持している。この結果、爪52bは、第1窓孔43の回転方向R1側の回転方向支持部65と第2弾性部材31の回転方向R1側端との間に挟まれ、フランジ8に対して回転方向R2側に離れることはできるが、回転方向R1側には移動不能となっている。
【0046】
なお、図6に示すように、ブッシュ51の突出部51aの回転方向R2側端は半径方向凹部64aの回転方向R2側端との間に、第5回転方向隙間39を確保しており、その捩り角度の大きさはθ4である。つまり、プレート52はフランジ8に対して図5の状態から回転方向R2側に捩り角度θ4のみ移動可能となっている。
【0047】
突出部52aの回転方向R1側縁52cは、第2弾性部材31の回転方向R2側端に近接して配置されており、第6回転方向隙間40(θ4)を確保している。
【0048】
以上に述べたように、ブッシュ51とプレート52は軸方向に当接するとともに回転方向にも係合しており、一体回転する1つの部材(中間回転部材10)を構成している。なお、ブッシュ51とプレート52との軸方向距離はフランジ8の軸方向厚みより大きいため、フランジ8の軸方向両側面は両側の部材51,52から離れて配置されている。
【0049】
このように、中間回転部材10がブッシュ51とプレート52という2つの部材からなり、ブッシュ51がプレート52と係合する突出部51aを有している。したがって、従来のサブピンを省略することができ、部品点数が少なくなることでコストを低くできる。
【0050】
以上より中間回転部材10とフランジ8の関係をまとめると、中間回転部材10はフランジ8に対して、折り曲げ爪52bが第1窓孔43の回転方向R1側の回転方向支持部65に当接しているため、回転方向R1側には相対回転不能である。しかし、中間回転部材10はフランジ8に対して、回転方向R2側には突出部51aが半径方向凹部64aの回転方向R2側の端面に当接するまで相対回転可能である。つまり、爪52bは回転方向凹部65aから捩り角度θ4だけ回転方向R2側に離れて捩り角度θ4の回転方向隙間を形成することができる。このように、中間回転部材10は、フランジ8に対して、捩り角度θ4だけ相対回転可能となっている。このように、中間回転部材10は、出力回転部材3に対して捩じり特性の正側では一体回転するが、負側では所定角度範囲内で相対回転できるようになっている。
【0051】
(6)摩擦発生機構
クラッチディスク組立体1は、弾性連結機構4に対して並列に機能するように配置された摩擦発生機構79をさらに備えている。摩擦発生機構79は、低ヒステリシストルクを発生するための第1摩擦発生部70と、高ヒステリシストルクを発生するための第2摩擦発生部71とを有している。
【0052】
第1摩擦発生部70は、弾性連結機構4が作用している全領域すなわち捩じり特性の正側及び負側両方でヒステリシストルクを発生するための機構である。第1摩擦発生部70は、第1ブッシュ72と、第1コーンスプリング73とを有している。第1ブッシュ72と第1コーンスプリング73は、フランジ8の内周部8aとリティーニングプレート13の内周部との間に配置されている。第1ブッシュ72は、ワッシャ状の部材であり、フランジ8の内周部8aの軸方向トランスミッション側面に摺動可能に当接する摩擦面を有している。第1コーンスプリング73は、第1ブッシュ72とリティーニングプレート13の内周部との軸方向間に配置され、軸方向に圧縮されている。
【0053】
以上に述べた構造によって、第1摩擦発生部70では、第1コーンスプリング73の弾性力によって、クラッチプレート12及びリティーニングプレート13と一体回転する第1ブッシュ72が、フランジ8に対して軸方向から押し付けられ、回転方向に摺動可能となっている。
【0054】
第2摩擦発生部71は、第2ブッシュ76と、第2コーンスプリング77とから構成されている。
【0055】
第2ブッシュ76と第2コーンスプリング77は、プレート52の中心部とリティーニングプレート13の内周部との軸方向間、すなわち第1ブッシュ72及び第1コーンスプリング73の外周側に配置されている。第2ブッシュ76は、プレート52の中心部の軸方向トランスミッション側面に当接する摩擦面を有している。また、第2ブッシュ76は、環状本体部分から軸方向に延びリティーニングプレート13に形成された孔内に挿入された突起を有している。この係合によって第2ブッシュ76はリティーニングプレート13に対して軸方向には移動可能であるが相対回転は不能になっている。第2コーンスプリング77は第2ブッシュ76とリティーニングプレート13の内周部との軸方向間に配置され、両者の間で軸方向に圧縮されている。第2ブッシュ76の内周部には第1ブッシュ72から延びる突起が回転方向に係合する凹部が形成されており、この係合により第1ブッシュ72は第2ブッシュ76及びリティーニングプレート13と一体回転する。
【0056】
以上に述べた構造によって、第2摩擦発生部71では、第2コーンスプリング77の弾性力によって、リティーニングプレート13と一体回転する第2ブッシュ76及びクラッチプレート12が、中間回転部材10に対して軸方向から押し付けられ、回転方向に摺動可能となっている。第2摩擦発生部71で発生するヒステリシストルクは第1摩擦発生部70で発生するヒステリシストルクよりかなり大きく、10〜20倍の範囲にある。
【0057】
(7)回転方向隙間
各回転方向隙間35〜37等の捩り角度の大きさの意味を関係について説明する。なお、以下に示す具体的な数値は単なる例示である。
【0058】
第1回転方向隙間35は、クラッチディスク組立体1の捩り特性の正側の全捩り角度を意味しており、その大きさをθ1で表す。この実施形態では、θ1の具体的な数値は16度であるが、その数値に限定されない。第2回転方向隙間36は、クラッチディスク組立体1の捩り特性の負側の全捩り角度を意味しており、その大きさをθ2で示す。この実施形態では、θ2の具体的な数値は11度であり、θ1より小さい。以上より、θ1とθ2の合計がクラッチディスク組立体1の全捩り角度を示す。
【0059】
第3回転方向隙間37は、捩り特性の正側において、第2弾性部材31の圧縮が開始されるまで(第1弾性部材30のみが圧縮されている領域)の捩り角度である。第3回転方向隙間37の捩り角度をθ5で示しており、具体的な数値は5度である。この結果、捩り特性の正側は、第1弾性部材30のみが圧縮される第1領域と、第1領域より捩り角度の大きな領域であり第1弾性部材30と第2弾性部材31が並列に圧縮される第2領域とを含んでおり、捩り特性正側の多段化が実現されている。
【0060】
第4回転方向隙間38は、捩り特性の負側において、第1弾性部材30の圧縮が開始されるまで(第2弾性部材31のみが圧縮されている領域)の捩り角度である。第4回転方向隙間38の捩り角度をθ6で示しており、具体的な数値は9度である。この結果、捩り特性の負側は、第2弾性部材31のみが圧縮される第3領域と、第3領域より捩り角度の大きな領域であり第1弾性部材30と第2弾性部材31が並列に圧縮される第4領域とを含んでおり、捩り特性負側の多段化が実現されている。
【0061】
第5回転方向隙間39及び第6回転方向隙間40は、捩り特性の負側において微少捩り振動が入力されたときに第2弾性部材31の荷重が中間回転部材10に作用するのを所定角度だけ防止するための隙間である。第5回転方向隙間39及び第6回転方向隙間40の捩り角度はθ4で表しており、この実施形態ではθ4は1度である。
【0062】
(8)捩じり特性
次に、図9に示す捩じり特性線図を用いて、クラッチディスク組立体1の捩じり特性について説明する。なお、図9に表れた具体的な数値は本発明の一実施例として開示するものであり、本発明を限定するものではない。
【0063】
最初に、図8を用いて、中立状態から入力回転部材2を固定しておきそれ対してハブ6を回転方向R2側に捩じっていく捩じり特性正側領域の動作(このとき入力回転部材2が出力回転部材3に対して回転方向R1側に捩じれることになる)を説明する。
【0064】
捩じり角度の小さな領域では、2個の第1弾性部材30が圧縮される。捩じり角度がθ5より大きくなると、第2窓孔44の回転方向R1側の回転方向支持部69が第2弾性部材31の回転方向R1側端に当接する。これ以降は、2個の第1弾性部材30が2個の第2弾性部材31に並列に圧縮され、高剛性の特性が得られる。また、第1摩擦発生部70及び第2摩擦発生部71が作動し、高ヒステリシストルクの特性が得られる。第2摩擦発生部71では、中間回転部材10は、折り曲げ爪52bが第1窓孔43のR1側の回転方向支持部65に押されることで、フランジ8と回転方向R2側に一体回転し、クラッチプレート12及び第2ブッシュ76に対して摺動する。
【0065】
この捩じり特性正側において微小捩じり振動がクラッチディスク組立体1に入力された場合に、中間回転部材10の折り曲げ爪52bは常に第1弾性部材30によって第1窓孔43の回転方向R1側の回転方向支持部65に押し付けられている。したがって、中間回転部材10はフランジ8に対して相対回転することができず、微少振動入力時であっても弾性部材30,31の弾性力は常に中間回転部材10を介して第2摩擦発生部71に作用している。つまり、入力回転部材2と出力回転部材3とが相対回転するときは、捩じり特性正側では常に第2摩擦発生部71が作動し、高ヒステリシストルクを発生している。
【0066】
次に、図9を用いて、中立状態から入力回転部材2を固定しておきそれ対してハブ6を回転方向R1側に捩じっていく捩じり特性負側領域の動作(このとき入力回転部材2が出力回転部材3に対して回転方向R2側に捩じれることになる)を説明する。
【0067】
捩じり角度の小さな領域では、2個の第2弾性部材31のみが圧縮され、正側に比べて低剛性の特性が得られる。また、第1摩擦発生部70及び第2摩擦発生部71が作動し、高ヒステリシストルクの特性が得られる。このとき第2摩擦発生部71では、中間回転部材10は、ブッシュ51の突出部51aが半径方向凹部64aの回転方向R2側端に押されることで、フランジ8と回転方向R1側に一体回転し、第2ブッシュ76に対して摺動する。以上の動作において、折り曲げ爪52bは凹部65aから回転方向R2側に捩り角度θ4離れている。
【0068】
この状態で微少捩り振動が入力された場合に、第2弾性部材31の荷重はθ4の範囲内では中間回転部材10には伝達されない。なぜなら、第2弾性部材31の回転方向R2側端とプレート52の縁52cとの間にθ4の回転方向隙間が確保され、さらにフランジ8の半径方向凹部64aの回転方向R1側の壁とブッシュ51の突出部51aの回転方向R1側の面との間にはθ4の回転方向隙間が確保されているからである。
【0069】
捩じり角度がθ6になると、第1窓孔43の回転方向R2側の回転方向支持部65が第1弾性部材30の回転方向R2側端に当接する。これ以降は、2個の第1弾性部材30が2個の第2弾性部材31に並列に圧縮される。この結果、高剛性・高ヒステリシストルクの捩じり特性が得られる。
【0070】
以上に述べたように、第2弾性部材31は、捩り特性正側において、捩り角度θ2の範囲のみ(正側全角度θ1より小さい範囲)で圧縮されるようになっており、正側で圧縮される角度が負側で圧縮される角度(負側全角度)と同じである。他の実施例としては、第2弾性部材31が正側で圧縮される角度が負側で圧縮される角度(負側全角度)より小さくてもよい。このように、第2弾性部材31が正側で圧縮される角度が負側で圧縮される角度(負側全角度)より大きくないことによって、第2弾性部材を低剛性でかつ低トルク容量のものにすることができる。この結果、第2弾性部材31の形状を前述のように第1弾性部材30より小さくすることができ、結果として第2弾性部材31をストップピン22の作動範囲より内側に配置することができる。
【0071】
次に、図9の捩じり特性線図を参照して、具体的にクラッチディスク組立体1に各種捩り振動が入力された時の捩り特性について説明する。
【0072】
車両の前後振動のように振幅の大きな捩り振動が発生すると、捩り特性は正負両側にわたって変動を繰り返す。この時、正負両側で発生する高ヒステリシストルクによって車両の前後振動は速やかに減衰される。
【0073】
次に、例えばエンジンブレーキをかけた減速時においてエンジンの燃焼変動に起因する微小捩り振動がクラッチディスク組立体1に入力されたとする。このとき、中間回転部材10は、捩り角度θ4内においてはフランジ8に対して相対回転し、第2摩擦発生部71においてクラッチプレート12及び第2ブッシュ76に摺動しない。この結果、微小捩じり振動に対しては高ヒステリシストルクが発生しない。すなわち捩り特性線図において捩り角度θ4内では第2弾性部材31が作動するが、第2摩擦発生部71では滑りが生じない。つまり、捩じり角度θ4の範囲では、負側のヒステリシストルクよりはるかに小さなヒステリシストルク(第1摩擦発生部70によるヒステリシストルク)が得られる。この捩り角度θ4内のヒステリシストルクは全体にわたるヒステリシストルクの1/10程度であることが好ましい。このように、捩じり特性の負側において第2摩擦発生部71を所定角度範囲内では作動させない回転方向隙間を設けたため、エンジンブレーキをかけた減速時の振動・騒音レベルを大幅に低くすることができる。
【0074】
捩じり特性の正側において第2摩擦発生部71を所定角度範囲内で作動させない回転方向隙間を設けなかったため、実用回転域に共振ピークが残ることが多いFF車などの場合、共振回転数付近で音・振動性能が悪化しない。
【0075】
このように、捩じり特性の正負両側のうち一方にのみ摩擦機構を所定角度範囲内で作動させない回転方向隙間を確保しているため、加速・減速の両方で音・振動性能が向上する。
【0076】
以上に述べたように、本発明に係るダンパー機構では、捩じり特性の正側と負側とで捩じり剛性を異ならせるのみでなく、微小捩じり振動に対して高ヒステリシストルクを発生させない構造を捩じり特性の一方のみに設けることで、全体として好適な捩じり特性を実現している。
【0077】
特に、本発明に係るダンパー機構では、中間回転部材10を用いた簡単な構造によって、捩じり特性の一方側のみに微小捩じり振動に対して高ヒステリシストルクを発生させない摩擦抑制機構を実現している。具体的には、中間回転部材10は、ブッシュ51の突出部51aと折り曲げ爪52bという回転方向に離れた2箇所によって、フランジ8に対して微少捩り角度θ4の範囲内で相対回転可能となっている。これにより中間回転部材10は、入力回転部材2に対して摩擦摺動する摩擦部材として機能するとともに、所定の捩じり角度範囲では摩擦を発生させない摩擦抑制機構をも構成している。
【0078】
(9)他の実施形態
図10において、ストップピン22をピン取付孔53ではなくピン取付孔54に取り付けた場合の捩り角ストッパー86’を示す。ストップピン22は、前記実施形態に比べて切り欠き8c内をθ11分だけ回転方向R1側に配置されている。この結果、第1回転方向隙間35’の捩り角度θ1’は7度となり、第2回転方向隙間36’の捩り角度θ2’は20度となっている。
【0079】
このクラッチディスク組立体1では、各ストップピン22はクラッチプレート12及びリティーニングプレート13に円周方向に複数設けられたピン取付孔(例えば、53〜57)のいずれかに取り付けられている。ストップピン22がいずれのピン取付孔に取り付けられるかによって、捩り特性の正側捩り角度と負側捩り角度が異なる。すなわち、クラッチプレート12及びリティーニングプレート13をストップピン22によって互いに固定する際にそのクラッチディスク組立体1の捩り特性を変更できる。このことは、クラッチプレート12及びリティーニングプレート13には同じ種類のものを使いながら、捩り特性を変更できることを意味する。その結果、クラッチプレート12及びリティーニングプレート13の種類が減って生産コストが低くなる。
【0080】
また、このクラッチディスク組立体1では、ピン取付部が孔であるため、加工が簡単である。
【0081】
(9)他の実施形態
本発明が適用されるクラッチディスク組立体の構造は前記実施形態に限定されない。例えば、ハブのボスとフランジが分離してダンパー機構によって連結された構造にも本発明を適用できる。
【0082】
本発明に係るダンパー機構は、クラッチディスク組立体以外にも採用可能である。例えば、2つのフライホイールを回転方向に弾性的に連結するダンパー機構等である。
【0083】
【発明の効果】
本発明に係るダンパーディスク組立体では、各ピン部材は一対の第1円板状部材に円周方向に複数設けられたピン取付部のいずれかに取り付けられている。ピン部材がいずれのピン取付部に取り付けられるかによって、捩り特性の正側捩り角度と負側捩り角度が異なる。すなわち、一対の第1円板状部材をピン部材によって互いに固定する際にそのダンパーディスク組立体の捩り特性を変更できる。このことは、一対の第1円板状部材には同じ種類のものを使いながら、捩り特性を変更できることを意味する。その結果、一対の第1円板状部材の種類が減って生産コストが低くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るクラッチディスク組立体の縦断面図であり、図3のI-I断面図。
【図2】 本発明の一実施形態に係るクラッチディスク組立体の縦断面図であり、図3のII-O断面図。
【図3】 クラッチディスク組立体の平面図。
【図4】 図3の部分拡大図。
【図5】 図3の部分拡大図。
【図6】 フランジとブッシュとの係合部分を示す平面図。
【図7】 クラッチディスク組立体の機械回路図。
【図8】 クラッチディスク組立体の機械回路図。
【図9】 クラッチディスク組立体の捩り特性線図。
【図10】 他の実施形態におけるクラッチディスク組立体の平面図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体(ダンパーディスク組立体)
2 入力回転部材
3 出力回転部材
4 弾性連結機構
6 ハブ
7 ボス
8 フランジ(第2円板状部材)
10 中間回転部材
12 クラッチプレート(第1円板状部材)
13 リティーニングプレート(第1円板状部材)
22 ストップピン(ピン部材)
30 第1弾性部材
31 第2弾性部材
86 捩り角ストッパー
Claims (5)
- 軸方向に対向して配置され互いに固定された一対の第1円板状部材と、
前記一対の第1円板状部材の間に、前記一対の第1円板状部材に相対回転可能に配置された第2円板状部材と、
前記第1円板状部材と前記第2円板状部材を回転方向に弾性的に連結するための複数の弾性部材と、
前記一対の第1円板状部材同士を互いに固定するための複数のピン部材とを備え、
前記ピン部材と前記第2円板状部材に設けられたストッパー部とによって、前記第1円板状部材と前記第2円板状部材の相対回転を規制するための捩り角ストッパーが形成され、
前記一対の第1円板状部材には、前記複数のピン部材のそれぞれ1つに対して複数のピン取付部が回転方向に設けられ、前記複数のピン取付部に対して1つのピン部材が選択的に装着されている、
ダンパーディスク組立体。 - 前記ピン取付部は軸方向に貫通する孔である、請求項1に記載のダンパーディスク組立体。
- 前記第2円板状部材のストッパー部は、回転方向に設けられた前記複数のピン取付部を内部に含み、前記ピン部材が貫通する切り欠きである、請求項1又は2に記載のダンパーディスク組立体。
- 前記弾性部材は、第1弾性部材と、半径方向位置が前記ピン部材の半径方向位置より内周側にあり前記第1弾性部材より剛性が低い第2弾性部材とを含んでいる、請求項1〜3のいずれかに記載のダンパーディスク組立体。
- 第1弾性部材と前記捩り角ストッパーは円周方向に並んでいる、請求項4に記載のダンパーディスク組立体。
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