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JP4130985B2 - 防湿性紙塗被用共重合体ラテックス、防湿性紙塗被用組成物及びこれを塗被してなる防湿性塗被紙 - Google Patents

防湿性紙塗被用共重合体ラテックス、防湿性紙塗被用組成物及びこれを塗被してなる防湿性塗被紙 Download PDF

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JP4130985B2 JP14957699A JP14957699A JP4130985B2 JP 4130985 B2 JP4130985 B2 JP 4130985B2 JP 14957699 A JP14957699 A JP 14957699A JP 14957699 A JP14957699 A JP 14957699A JP 4130985 B2 JP4130985 B2 JP 4130985B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防湿性紙塗被用共重合体ラテックスを含有する防湿性塗被紙用組成物を塗工してなる防湿性塗被紙に関する。更に詳しくは、防湿性と離解性を高度にバランスさせた防湿性紙塗被用共重合体ラテックスを用い防湿性紙塗被用組成物を塗工してなる防湿性塗被紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
新聞原紙やコピー用紙等は、外部の湿気を吸収しやすく、吸湿した新聞原紙やコピー用紙を用いて新聞印刷やコピーを行うと、吸湿により生じた弛みが原因で印刷トラブルや製品外観の低下を起こす。
このため、これらの印刷用紙は、通常、専用の防湿性塗被紙で包装して輸送、保管される。この防湿性塗被紙は、通常、防湿性の高いワックスとバインダーとしての共重合体ラテックスとを配合してなる防湿性塗紙被用組成物を、原紙に塗布することによって得られる。
【0003】
防湿性塗被紙の防湿性は、防湿性紙塗被用組成物中のワックスの使用量を増やすと向上するが、ワックスを多量に使用した防湿性塗被紙は、これを故紙として回収して再利用しようとしても、防湿性塗被紙内への水の浸透がワックスによって妨げられて紙の繊維間の結合力が低下せず、単繊維の絡みが解消されない結果、容易に離解しない。このために、得られる再生紙は、未離解物が多く存在する低品質のものとなる。これから、防湿性塗被紙は再生紙の原料としては不適とされ、専ら産業廃棄物として焼却されてきた。
【0004】
ところが、近年、省資源、環境汚染防止及び産業廃棄物削減が叫ばれ、防湿性塗被紙にも再生利用が要求されるようになり、これに伴って、防湿性塗被紙の離解性改良が求められている。
【0005】
この離解性の改良要求に対して、ワックスの中で離解性を阻害しないものを用いる方法が考えられる。例えば、特開昭50−36711号公報には、特定の組成のパラフィンワックスを含むエマルジョンを原紙上に塗布する方法が提案されている。しかし、この方法では、離解性の改良が十分ではなく、他方、防湿性は、却って低下した。
【0006】
他の改良法として、例えば、特定構造のプロピレン系重合体(特開平6−330497号公報)やステアリン酸エステル(特開平8−144192号公報)等のワックス以外の防湿性物質の使用が提案されている。しかし、これらの方法でも離解性の改良は未だ不十分であり、更に、防湿性を目標の水準に保つためには、同時に防湿性物質の使用割合の増加や塗布量の増加等が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑み、防湿性に優れ、しかも、それを故紙から再利用するに際して優れた離解性を示す防湿性塗被紙を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、先に特定の組成の単量体から得られる、特定のテトラヒドロフラン不溶分とガラス転移温度とを有する重合体ラテックスを用いれば、これをバインダーとして用いて得られる防湿性紙の防湿性と離解性をバランスさせることができること、この重合体の表面に結合した酸基量等が特定の範囲にあるものはより好適であることを見出したが(特願平10−314748号公報)、本発明者らが更に研究を進めた結果、特定の共重合体組成を有するラテックスを使用することによって、より高度な防湿性と離解性とのバランスを達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして、本発明によれば、防湿性紙塗被用共重合体ラテックスを含有する防湿性紙塗被用組成物を塗工してなる防湿性塗被紙であって、該防湿性紙塗被用共重合体ラテックスは、
脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位40〜100重量%、酸基含有エチレン性不飽和単量体単位0〜1重量%およびこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜60重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下である共重合体部分(1)と、
脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位20〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位25〜70重量%、メタクリル酸単位1030重量%及びこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜55重量%からなり、そのガラス転移温度が10〜50℃であり、共重合体部分(1)の存在下に共重合して得られる共重合体部分(2)
とを有し、重合体1g当たりの水相中の酸基量が0.1〜0.3ミリ当量であり、重合体1g当たりの表面の酸基量が1.1〜1.8ミリ当量である共重合体のラテックスであることを特徴とする防湿性塗被紙が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記防湿性紙塗被用共重合体ラテックスと顔料とを含有してなる防湿性紙塗被用組成物を塗工してなる防湿性塗被紙が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる防湿性紙塗被用共重合体ラテックスを構成する共重合体は、脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位40〜100重量%、酸基含有エチレン性不飽和単量体単位0〜1重量%およびこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜60重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下である共重合体部分(1)と、
脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位20〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位25〜70重量%、メタクリル酸単位1030重量%及びこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜55重量%からなり、そのガラス転移温度が10〜50℃であり、共重合体部分(1)の存在下に共重合して得られる共重合体部分(2)
とを有し、重合体1g当たりの水相中の酸基量が0.1〜0.3ミリ当量であり、重合体1g当たりの表面の酸基量が1.1〜1.8ミリ当量であることが特徴である。
【0013】
共重合体部分(1)は、脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位40〜100重量%、酸基含有エチレン性不飽和単量体単位0〜1重量%及びこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜60重量%からなる。
【0014】
共重合体部分(1)は、そのガラス転移温度が0℃以下であることが必要である。このガラス転移温度は、好ましくは−10℃以下である。
このガラス転移温度が0℃よりも高いと、本発明の共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙塗被用組成物の塗膜は、ひびが入り易いものとなり、防湿性塗被紙の防湿性が低下する。
【0015】
共重合体部分(1)の合成に用いられる脂肪族共役ジオレフィン系単量体は、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及びクロロプレン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの脂肪族共役ジオレフィン系単量体のうち、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0016】
共重合体部分(1)の合成に用いられる、ホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルブチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体のうち、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。
【0017】
共重合体部分(1)の脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位の量は、共重合体部分(1)の全単量体単位の30〜100重量%、好ましくは40〜90重量%である。
この量が40重量%未満の場合には、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙塗被用組成物の塗膜が硬くなるため、防湿性塗被紙の折り曲げられた部分の防湿性が低下する。
【0018】
共重合体部分(1)の合成に用いる酸基含有エチレン性不飽和単量体は、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有するエチレン性不飽和単量体であれば特に限定されない。これらの酸基含有エチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和スルホン酸単量体、エチレン性不飽和リン酸単量体等が挙げられる。
【0019】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物が挙げられる。
【0020】
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等のα,β−エチレン性不飽和スルホン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−スルホプロパン(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)イタコン酸エステル等が挙げられる。
【0021】
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸等が挙げられる。
【0022】
これらの酸基含有エチレン性不飽和単量体はアルカリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることができる。
また、これらの酸基含有エチレン性不飽和単量体は、単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
これら酸基含有エチレン性不飽和単量体の中でも、カルボン酸基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、中でもα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸が更に好ましい。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸の中ではメタクリル酸が好ましい。
【0024】
共重合体部分(1)に用いる酸基含有エチレン性不飽和単量体単位の量は、共重合体部分(1)の全単量体単位の0〜1重量%である。
この量が1重量%を超えると防湿性塗被紙の離解性が悪くなる。
【0025】
共重合体部分(1)の合成に用いるその他のオレフィン系単量体としては、例えば、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸誘導体系単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、架橋性単量体などが挙げられる。これらのオレフィン系単量体のうち、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体が好ましい。
【0026】
芳香族ビニル単量体は、特に限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの芳香族ビニル単量体のうち、スチレンが好ましい。
【0027】
α,β−エチレン性不飽和酸誘導体系単量体としては、例えば、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。
【0028】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体は、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の、ハロゲン等の置換基を有していてもよい各種アルコールとのエステルである。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体は、そのホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以上のものが使用され、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸エステル;等が挙げられる。
【0029】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体が挙げられる。
【0030】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。これらのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体のうち、アクリロニトリルが好ましい。
【0031】
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等の共役ジビニル化合物;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0032】
これら共重合可能なその他のオレフィン系単量体は2種類以上を併用してもよい。
【0033】
共重合体部分(1)のその他のオレフィン系単量体単位の量は、共重合体部分(1)の全単量体単位の60重量%以下、好ましくは55重量%以下である。
この量が60重量%を超えると、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙塗被用組成物の塗膜が硬くなり、僅かな力でひび割れを起こし易くなるため、防湿性塗被紙の防湿性が低下する。
【0034】
共重合体部分(2)は、脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位20〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位25〜70重量%、酸基含有エチレン性不飽和単量体単位5〜35重量%及びこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜55重量%からなり、そのガラス転移温度が10〜50℃である。
このガラス転移温度が10℃未満の場合は、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性塗被紙の離解性が低下する。他方、50℃を超える場合には、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙塗被用組成物の塗膜にひびが入り易くなり、防湿性塗被紙の防湿性が低下する。
【0035】
共重合体部分(2)の合成に使用する脂肪族共役ジオレフィン系単量体としては、共重合体部分(1)の合成に用いるものと同様のものを使用することができる。これらの脂肪族共役ジオレフィン系単量体のうち、1,3−ブタジエンが好ましい。
脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位の量は、共重合体部分(2)の全単量体単位の20〜60重量%、好ましくは25〜55重量%である。
この量が20重量%未満の場合には、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙塗被用組成物が成膜しにくくなるため防湿性塗被紙の防湿性が低下する。60重量%を超える場合には、塗膜が柔軟になり、更に、接着強度が強くなりすぎて、防湿性塗被紙の離解性が低下する。
【0036】
共重合体部分(2)の合成に用いる芳香族ビニル単量体は、共重合体部分(1)の合成に用いるものと同様のものを使用することができる。これらは単独で、又は2種類以上を併用しても良い。これらの芳香族ビニル単量体のうち、スチレンが好ましい。
芳香族ビニル単量体単位の量は、共重合体部分(2)の全単量体単位の25〜70重量%、好ましくは30〜65重量%である。
この量が25重量%未満の場合には、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性塗被紙の離解性が低下する。70重量%を超える場合には、防湿性塗被紙の防湿性が低下する。
【0037】
共重合体部分(2)の合成には、酸基含有エチレン性不飽和単量体であるとしては、メタクリル酸が用いられるメタクリル酸単位の量は、共重合体部分(2)の全単量体単位の10〜30重量%である。この量が過少な場合は、防湿性塗被紙の防湿性及び離解性が低下し、過多であると、離解性はよいが、防湿性が低下する。更に、メタクリル酸単位の量が上記範囲を外れる場合には、重合安定性が低下し、また、過多であると、粘度が高くなるという問題も生じる。
【0038】
共重合体部分(2)の合成に使用するその他のオレフィン系単量体としては、例えば、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸誘導体系単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、架橋性単量体などが挙げられ、共重合体部分(1)の合成に用いるものと同様のものを使用することができる。
これらのその他のオレフィン系単量体単位の量は、共重合体部分(2)の全単量体単位の55重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
この量が55重量%を超えると、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙塗被用組成物の塗膜が硬くなり、僅かな力でひび割れを起こし易くなるため、防湿性塗被紙の防湿性が低下する。
【0039】
本発明の共重合体ラテックスを構成する共重合体において、共重合体部分(1)と共重合体部分(2)の比率は、重量比で、20/80〜70/30、好ましくは、25/75〜65/35である。
共重合体部分(2)の比率が上記範囲を外れて低い場合は、防湿性紙の離解性が低下するという問題が生じ、逆に上記範囲を外れて高い場合は、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙用組成物の塗膜が硬くなり、ひび割れが生じ易くなるという問題が生じる。
【0040】
本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスは、これを構成する共重合体のテトラヒドロフラン不溶分(以下、「THF不溶分」という)が70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70〜95重量%である。
これが70重量%未満では、共重合体ラテックスを用いて得られる防湿性紙塗被用組成物の塗膜が緻密になるので離解性が低下する。
【0041】
本発明で用いる防湿性紙塗被用共重合体ラテックスは、ラテックスを構成する共重合体の表面に結合又は吸着した酸基量(以下、「表面酸基量」という。)が、塩酸当量換算で、重合体1g当たり0.1〜0.3ミリ当量であり、該共重合体ラテックスの水相中の酸基量(以下、「水相酸基量」という。)が、塩酸当量換算で、重合体1g当たりの表面の酸基量が1.1〜1.8ミリ当量である。表面酸基量と総酸基量が、過少又は過大であると、防湿性塗被紙の防湿性が低下する。
【0042】
上記総酸基量を上記範囲内に制御するための方法は特に限定されないが、通常、主として、重合に使用する酸基含有エチレン性不飽和単量体の種類、量又は重合反応系への添加時期等を調整することにより行う。そのほか、乳化剤又は重合開始剤の種類又は量;重合系のpH等を調整する方法を併用することが可能である。
【0043】
防湿性に優れた防湿性塗被紙を得るには、表面酸基量を多くし、且つ水相中酸基量を少なくすることが好ましい。表面酸基量が同じであっても、水相酸基量が多い方が防湿性塗被紙の防湿性が劣る。
【0044】
表面酸基量を多くするには、共重合体部分(2)の合成におけるメタクリル酸の使用量を多くする。また、水相酸基量を少なくするには、メタクリル酸の量を少なくする等の方法が例示される。
【0045】
従って、表面酸基量を多くし、且つ水相酸基量を少なくするためには、共重合体部分(2)の合成におけるメタクリル酸の量を調整して最適化することが必要である。
【0046】
本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスは、それに含まれる水溶性成分の量が、重合体ラテックスの全固形分に対して3重量%以下であることが好ましく、2.5重量%以下であることが更に好ましい。この量が多すぎると防湿性塗被紙の防湿性が低下する。
【0047】
本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスの粒径は、通常、0.08〜0.3μmである。
【0048】
本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスの製造において、単量体を乳化重合する場合の条件について以下に示す。副資材については、ラテックスの製造に通常使用される分子量調整剤、分散剤、キレート剤等を適宜使用することができる。
【0049】
共重合体部分(1)と共重合体部分(2)とを有する防湿性紙塗被用共重合体ラテックスを得る方法としては、別の重合容器で重合した共重合体部分(1)のラテックスの所定量存在下で、共重合体部分(2)を重合する方法が採られる。これらの共重合体部分(1)と共重合体部分(2)は、それぞれ1段階で重合しても、多段階で重合しもよい。
【0050】
共重合体部分(1)及び共重合体部分(2)の合成におけるそれぞれの単量体の添加方法としては、例えば、単量体全量を一括して添加する方法、単量体を連続的にまたは断続的に添加する方法、単量体の一部を一括添加して特定の重合転化率まで反応させた後、残りの単量体を連続的または断続的に添加する方法等が挙げられ、いずれの方法を採用してもよいが、共重合体部分(1)の重合では、単量体全量を一括して添加して重合する方法が、防湿性と離解性との高度なバランスの上で好ましい。また、共重合体部分(2)の重合では、共重合体部分(1)のラテックスの所定量存在下で、共重合体部分(2)を合成する単量体を連続的、または、断続的に添加する方法が防湿性と離解性との高度なバランスの上で好ましい。
共重合体部分(1)を有する共重合体ラテックスと共重合体部分(2)を有する共重合体ラテックスを別途合成し、混合しても目的とする防湿性塗被紙の防湿性と離解性は得られない。なお、各単量体を連続的または断続的に添加する場合において、各単量体の組成は一貫して同じであっても逐次変化させてもよい。
【0051】
共重合体部分(1)の製造にあたっては、シード重合法を採用することができる。シードラテックスの共重合体組成は特に限定されず、共重合体部分(1)の組成と同じであっても異なっていてもよい。また、用いるシードラテックスの粒子径及び使用量は、目的に応じて適宜選定すればよい。
【0052】
本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスの製造に用いる乳化剤は、特に限定されない。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩等のアニオン系乳化剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル型、ポリエチレングリコールアルキルエステル型、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル型等のノニオン系乳化剤;アニオン部分として、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、りん酸塩又はりん酸エステル塩等を、カチオン部分として、アミン塩又は第4級アンモニウム塩等を持つ両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0053】
乳化剤の使用割合は、共重合体部分(1)及び共重合体部分(2)の合成に用いる全単量体の合計に対して、通常、0.05〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。共重合体部分(1)及び共重合体部分(2)の重合時も、それぞれの単量体重量に対して、上記範囲で使用するのが好適である。
【0054】
本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスの製造に用いる重合開始剤は、特に限定されない。例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、過酸化物開始剤は、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。
【0055】
重合開始剤の使用割合は、共重合体部分(1)及び共重合体部分(2)の合成に用いる全単量体の合計に対して、通常、0.1〜5重量%であり、好ましくは0.5〜3重量%である。使用する重合開始剤の全量を共重合体部分(1)の重合時に添加することも、一部を共重合体部分(1)の重合時に使用し残部を共重合体部分(2)の重合時に添加することも可能である。添加方法としては、共重合体部分(1)の重合、共重合体部分(2)の重合のそれぞれにおいて、一括添加、連続的添加、分割添加のいずれをも採用することができる。
【0056】
分子量調整剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー;t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種類以上組み合わせて併用することもできる。
【0057】
重合温度は特に限定されないが、共重合体部分(1)の重合は、通常、5〜80℃、好ましくは5〜50℃で行う。また、共重合体部分(2)の重合は、通常、5〜90℃で行う。
【0058】
本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスには、通常、ラテックスに添加されるpH調整剤、防臭剤、防腐剤、香料、分散剤等を添加することができる。これらの各添加剤は、共重合体ラテックスの重合後の任意の時期に添加すればよい。
【0059】
本発明の防湿性紙塗被用組成物は、本発明の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスと顔料とを含有してなる。
【0060】
本発明の防湿性紙塗被用組成物に用いる顔料は、特に限定されない。例えば、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、シリカ、タルク、雲母、硫酸バリウム等の無機顔料;プラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
顔料の使用量は、防湿性紙塗被用共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、10〜500重量部、好ましくは30〜300重量部である。
【0062】
本発明の防湿性紙塗被用組成物には、必要に応じてワックスを添加することができる。
【0063】
使用できるワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、セレシンワックス、ペトロラクタム、フィシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、硬化ひまし油、流動パラフィン、ステアリン酸アミドなどが挙げられる。これらの中でもパラフィンワックスが好ましい。これらのワックスは2種類以上を混合して用いることもできる。
【0064】
ワックスの使用量は、通常、防湿性紙塗被用共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して50重量部以下である。ワックスの使用量が50重量部を超える場合には、防湿性塗被紙の離解性が低下する。
【0065】
本発明の防湿性紙塗被用組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、通常、30〜70重量%、好ましくは40〜70重量%である。
【0066】
本発明の防湿性塗被紙は、前記の防湿性紙塗被用組成物を原紙上に塗工し、その後、所望ならば、通常、50℃以上で乾燥することによって得る。
【0067】
本発明の防湿性塗被紙に用いる原紙は、特に限定されず、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ等のパルプからなる原紙を用いることができる。また、原紙の坪量は特に限定されないが、通常、40〜220g/mのものが使用される。
【0068】
本発明の防湿性紙塗被用組成物を塗工する方法は、特に限定されず、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、ブラシコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、バーコーター、ショートドウェルコーターなどを用いて行う。
【0069】
本発明の防湿性塗被紙の塗工量は、特に限定されないが、通常、乾燥重量で、片面10〜40g/m、好ましくは15〜35g/mである。
塗工量が10g/m未満の場合には、防湿紙塗被用共重合体ラテックスを用いて得られる防湿紙塗被用組成物の塗膜が薄くなって水蒸気が通過し易くなり、十分な防湿効果を得ることができない。一方、40g/mを超える場合には、離解性が低下する。
【0070】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中における部及び%は、特に言及がない限り、重量基準であり、共重合体ラテックスの重量は固形分換算である。
【0071】
[共重合体ラテックスの評価方法]
共重合体のTHF不溶分、ガラス転移温度及び表面酸基量並びに共重合体ラテックスの水相酸基量及び水溶性成分の量の測定方法は下記のとおりである。
【0072】
(THF不溶分)
水平に保たれたガラス板に、乾燥後のフィルムの厚さが約0.3mmとなるように、pH7の共重合体ラテックスを流延し、温度23℃、相対湿度65%に保たれた恒温恒湿室内で48時間自然乾燥させる。得られたフィルムを約2mm×約2mmの大きさに裁断し、その約0.3gを80メッシュ金網で作製した籠(重量:A)に精秤(重量:B)して入れる。これを200ミリリットルガラスビーカーに入れ、テトラヒドロフラン100ミリリットルを添加して室温で静置する。48時間後、籠を引き上げて、重量既知のアルミ皿(重量:C)に載せて、ドラフトチャンバー内で4時間放置する。この後、アルミ皿ごと105℃の乾燥器内で3時間乾燥させ、アルミ皿ごと乾燥重量(重量:Dg)を測定する。THF不溶分は次式により計算する。
THF不溶分(%)=(D−C−A)×100/B
【0073】
(ガラス転移温度)
THF不溶分測定用と同様にして得られたフィルムを約2mm×約2mmの大きさに裁断し、その約10mgを用いて、示差走査熱量計(セイコー電子社製、モデルRDC220)により、初期温度−100℃、終了温度150℃、昇温速度10℃/分の条件で測定する。
【0074】
(重合体の表面酸基量、共重合体ラテックスの水相酸基量)
蒸留水で洗浄した容量150ミリリットルのガラス容器に、固形分濃度を2%に調整した共重合体ラテックス50gを入れ、溶液電導率計(京都電子工業社製:CM−117、使用セルタイプ:K−121)にセットして攪拌する。以後、攪拌は塩酸の添加が終了するまで継続する。共重合体ラテックスの電気伝導度が2.5〜3.0(mS)になるように、0.1規定の水酸化ナトリウム(和光純薬社製:試薬特級)を共重合体ラテックスに添加した後、6分経過後に電気伝導度を測定する(この値を測定開始時の電気伝導度とする)。0.1規定の塩酸(和光純薬社製:試薬特級)を0.5ミリリットル添加して30秒後に電気伝導度を測定する。更に0.1規定の塩酸を0.5ミリリットル添加して30秒後に電気伝導度を測定する。この操作を、30秒間隔で、共重合体ラテックスの電気伝導度が測定開始時の電気伝導度以上になるまで繰り返し行う。
【0075】
得られた電気伝導度データを、縦軸:電気伝導度(mS)、横軸:添加した塩酸の累計量(ミリモル)としたグラフ上にプロットすると、図1のように3つの変曲点を有する塩酸量−電気伝導度曲線が得られる。3つの変曲点のX座標及び塩酸添加終了時のX座標を、値が小さい方から順にそれぞれP、P、P及びPとし、X座標が零からPまで、PからPまで、PからPまで及びPからPまで、の4つの区分内のデータについて、それぞれ、最小二乗法により近似直線L、L、L及びLを求める。LとLとの交点のX座標をA(ミリモル)、LとLとの交点のX座標をA(ミリモル)、LとLとの交点のX座標をA(ミリモル)とする。
【0076】
重合体1g当りの表面酸基量及び重合体1g当りの水相酸基量は、それぞれ、式(a)及び式(b)から、塩酸換算したミリ当量として、与えられる。
(a)重合体1g当りの表面の酸基量=A−A
(b)重合体1g当りの水相中の酸基量=A−A
【0077】
(水溶性成分の量)
有効濾過面積が240cmの分画分子量30万のフィルターを取り付けた限外濾過装置(MILLIPORE社製;ミニタンシステム XX42MOT60)に、固形分濃度を10%に調整した共重合体ラテックス500gを循環レート250ミリリットル/分で循環させ、共重合体ラテックスの固形分濃度が25%になったら循環を終了する。得られた濾液を105℃の乾燥器内で8時間乾固して残存する水溶性成分の重量を測定し、濾過前の共重合体ラテックスの固形分に対する割合として求める。
【0078】
[防湿性塗被紙の評価方法]
実施例における防湿性塗被紙の作製方法並びに防湿性及び離解性の評価方法は下記の通りである。
【0079】
(試験用防湿性塗被紙の作製)
塗被用組成物を、坪量が80g/mのクラフト紙の片面に、乾燥重量が30g/mとなるようにワイヤーバーを用いて塗布した後、110℃の熱風式乾燥器内で1分間乾燥する。得られた防湿性塗被紙を温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内で一夜放置して試験用防湿性塗被紙を得る。
【0080】
(防湿性)
透湿度水蒸気透過度試験法(JIS Z 0208:カップ法 B法)に準拠して、試験用防湿性塗被紙の透湿度を測定する。透湿度が150(g/m/24時間)以下であれば、防湿性が優れており、130(g/m/24時間)以下であれば、更に防湿性が優れている。100(g/m/24時間)以下であれば、防湿性が特に優れている。
【0081】
(離解性)
試験用防湿性塗被紙を裁断して、5cm×5cmの大きさの試験片を作製する。この試験片を合計で10gとなる枚数だけ(約36枚。重量を10gとするため、枚数の端数が必要なこともある。)、20℃の水道水500gを入れた家庭用ミキサーに投入して2分間攪拌する。得られたスラリーを取り出し、手抄きして20cm×25cmの大きさのパルプシートを得る。このシートを120℃の熱風循環式乾燥器に20分間入れて乾燥させた後、シート中に存在する防湿性塗被用組成物片、紙片等(未離解物という。これらは、試験用防湿性塗被紙をミキサーで離解したときに十分には離解しなかったものである。)の最大直径が大きい方から10個の未離解物の最大直径について平均値を求める。この平均値をこのシートの離解性の値とする(単位:mm)。未離解物の個数が10個未満の場合には、測定した未離解物の全てを用いて、それらの最大直径について平均値を求める。なお、平均値が同じであれば、最大直径がの分布が異なっても離解性は同じとする。
この平均値が1.5mm以下であるものは、離解性が優れている。
【0082】
(実施例1)
攪拌機付きの耐圧容器にイオン交換水58部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、表1に示す共重合体部分(2)合成用単量体(ブタジエンを除く)及び連鎖移動剤を仕込んだ後、内部を窒素で置換して、表1の共重合体部分(2)合成用単量体の欄に示す量のブタジエンを仕込み、乳化して共重合体部分(2)合成用単量体のエマルジョンを得た。
更に、別の容器にイオン交換水9.5部で過硫酸カリウム0.5部を溶解し、過硫酸カリウム5%水溶液を調製した。
【0083】
温度検出センサーと攪拌機付きの重合容器に、イオン交換水170部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部、重亜硫酸ナトリウム0.5部及び表1に示す共重合体部分(1)合成用単量体(ブタジエンを除く)と連鎖移動剤を仕込んだ後、内部を窒素で置換して、表1の共重合体部分(1)合成用単量体の欄に示した量のブタジエンを仕込み、撹拌乳化した後、内部を40℃に昇温後、過硫酸カリウム5%水溶液を10部添加して反応を開始した。温度を40℃に保ったまま、共重合体部分(1)合成用単量体を6時間重合させた後、反応温度を70℃に高めて、上記共重合体部分(2)合成用単量体のエマルジョンと過硫酸カリウムの5%水溶液を別々のポンプを用いて、いずれも4時間かけて添加した。エマルジョン及び過硫酸カリウム5%水溶液の添加終了後、反応温度を85℃に高めて4時間反応を継続した後、反応停止剤を添加して重合を終了した。
得られたラテックスから未反応単量体を除去した後、共重合体ラテックスのpH及び濃度を調整して、固形分濃度が50%、pHが7の共重合体ラテックスを得た。
得られたラテックスの特性を表1に示す。
【0084】
(実施例2〜6)
単量体組成等を表1に示したように変えた他は実施例1と同様にして、固形分濃度が50%、pHが7の共重合体ラテックスを得た。得られたラテックスの特性を表1に示す。
【0085】
(実施例7〜12)
実施例1〜6で得た共重合体ラテックスの固形分100重量部に対し、カオリンクレー(エンゲルハルド社製、UW90)100部を混合して攪拌し、更にイオン交換水を添加して固形分濃度を50%に調整して防湿性紙塗被用組成物を得た。この組成物を、坪量80g/mのクラフト紙の片面に、乾燥重量が30g/mとなるようにワイヤーバーを用いて塗布した。次いで、110℃の熱風乾燥器内で1分間乾燥した後、温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内で一夜放置した。この防湿性塗被紙の透湿度と離解性の評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0004130985
【0087】
(比較例1〜6)
単量体組成等を表2に示したように変えた他は実施例1と同様にして、固形分濃度が50%、pHが7の共重合体ラテックスを得た。得られたラテックスの特性を表2に示す。
(比較例7〜12)
比較例1〜6で得た共重合体ラテックスを用いて実施例7〜12と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
Figure 0004130985
【0089】
表2の防湿性塗被紙の評価結果より、比較例の防湿性塗被紙について以下のことがわかる。
共重合体部分(1)のガラス転移温度が0℃を超える比較例1で得られるラテックスを使用した比較例7の防湿性塗被紙は、防湿性は一定レベルにあるが、離解性はよくない。
共重合体部分(2)のガラス転移温度が10℃未満の比較例2で得られるラテックスを使用した比較例8の防湿性塗被紙は、防湿性は優れているが離解性が悪い。
共重合体部分(2)のガラス転移温度が50℃を超える比較例3で得られるラテックスを使用した比較例9の防湿性塗被紙は、優れた離解性を示すものの、防湿性に劣る。
【0090】
共重合体部分(2)のメタクリル酸単位の量が本発明で規定した範囲より少ない比較例4のラテックスを使用して得られた比較例10の防湿性塗被紙は、防湿性も離解性共に劣る。共重合体部分(2)のメタクリル酸単位の量が本発明で規定した範囲より多い比較例5のラテックスを使用して得られた比較例11の防湿性塗被紙は、離解性に優れるものの、防湿性が劣る。重合を一段階で行った比較例6のラテックスを使用して得られた比較例12の防湿性塗被紙は、防湿性は一定レベルにあるが、離解性はよくない。
【0091】
これに対して、本発明の共重合体ラテックスを用いた実施例7〜実施例12の防湿性塗被紙は、優れた防湿性と離解性を有していることがわかる。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、防湿性と離解性が優れた防湿性塗被紙を得ることができる。
【0093】
本発明の好ましい実施態様は、以下の通りである。
(1)防湿性紙塗被用共重合体ラテックスを含有する防湿性紙塗被用組成物を塗工してなる防湿性塗被紙であって、該防湿性紙塗被用共重合体ラテックスは、
脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位40〜100重量%、酸基含有エチレン性不飽和単量体単位0〜1重量%およびこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜60重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下である共重合体部分(1)と、
脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位20〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位25〜70重量%、メタクリル酸単位1030重量%及びこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜55重量%からなり、そのガラス転移温度が10〜50℃であり、共重合体部分(1)の存在下に共重合して得られる共重合体部分(2)
とを有し、重合体1g当たりの水相中の酸基量が0.1〜0.3ミリ当量であり、重合体1g当たりの表面の酸基量が1.1〜1.8ミリ当量である共重合体のラテックスであることを特徴とする防湿性塗被紙
【0094】
(2)共重合体部分(1)のガラス転移温度が−10℃以下である(1)に記載の防湿性塗被紙
(3)共重合体部分(2)のガラス転移温度が10℃〜30℃にある(1)及び(2)に記載の防湿性塗被紙
【0096】
(4)共重合体部分(1)の脂肪族共役ジオレフィン系単量体またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が、1,3−ブタジエンである(1)〜(3)に記載の防湿性塗被紙
(5)共重合体部分(1)の脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位の量が、40〜90重量%である(1)〜(4)に記載の防湿性塗被紙
【0097】
(6)共重合体部分(1)の酸基含有エチレン性不飽和単量体が、メタクリル酸である(1)〜(5)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
【0098】
(7)共重合体部分(2)の脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位の量が、25〜55重量%である(1)〜(6)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
(8)共重合体部分(2)の脂肪族共役ジオレフィン系単量体が、1,3−ブタジエンである(1)〜(7)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
【0099】
(9)共重合体部分(2)の芳香族ビニル単量体単位の量が、30〜65重量%である(1)〜(8)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
(10)共重合体部分(2)の芳香族ビニル単量体が、スチレンである(1)〜(9)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
【0100】
(11)共重合体部分(1)と共重合体部分(2)の比率が、25/75〜65/35である(1)〜(10)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
【0101】
(12)共重合体ラテックスを構成する共重合体のテトラヒドロフラン不溶分が、70重量%以上、好ましくは70〜95重量%である(1)〜(11)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
【0102】
(13)共重合体ラテックス中の水溶性成分の量が、3重量%以下、更に好ましくは2.5重量%以下である(1)〜(12のいずれかに記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテックス。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載の防湿性紙塗被用共重合体ラテックスと顔料とを含有してなる防湿性塗被紙
【0103】
(15)顔料の使用量が、防湿性紙塗被用共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、10〜500重量部、好ましくは30〜300重量部である(14)に記載の防湿性塗被紙
(16)防湿性紙塗被用組成物が、共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、ワックスを50重量部以下含有してなる(14)又は(15)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
(17)防湿性紙塗被用組成物の固形分濃度が、30〜70重量%、好ましくは40〜70重量%である(13)(16)のいずれかに記載の防湿性塗被紙
【0104】
(18) (13)(17)のいずれかに記載の防湿性紙塗被用組成物を原紙に、乾燥重量で、片面10〜40g/m2、好ましくは15〜35g/m2塗被してなる防湿性塗被紙。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、共重合体の表面酸基量及び共重合体ラテックスの水相酸基量の測定方法に従って、共重合体ラテックスに塩酸を添加していくときの共重合体ラテックスの電気伝導度の変化を示す。

Claims (2)

  1. 防湿性紙塗被用共重合体ラテックスを含有する防湿性紙塗被用組成物を塗工してなる防湿性塗被紙であって、該防湿性紙塗被用共重合体ラテックスは、
    脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位またはホモポリマーのガラス転移温度が−30℃以下のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位40〜100重量%、酸基含有エチレン性不飽和単量体単位0〜1重量%およびこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜60重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下である共重合体部分(1)と、
    脂肪族共役ジオレフィン系単量体単位20〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位25〜70重量%、メタクリル酸単位1030重量%及びこれらと共重合可能なその他のオレフィン系単量体単位0〜55重量%からなり、そのガラス転移温度が10〜50℃であり、共重合体部分(1)の存在下に共重合して得られる共重合体部分(2)
    とを有し、重合体1g当たりの水相中の酸基量が0.1〜0.3ミリ当量であり、重合体1g当たりの表面の酸基量が1.1〜1.8ミリ当量である共重合体のラテックスであることを特徴とする防湿性塗被紙
  2. 防湿性紙塗被用組成物が、該防湿性紙塗被用共重合体ラテックスと顔料とを含有してなる請求項1に記載の防湿性紙塗被
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