JP4130577B2 - カード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラム層を有するカードに関し、さらに詳しくはカラーコピー機による偽造が困難で、偽造物の目視判定が容易であり、かつ優れた意匠性を有し、さらにカード表面に耐擦過性などの耐久性に優れた熱溶融型熱転写印字が可能な、定期券などの各種プリペイドカードに利用できるカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリペイドカードとしては、例えば、定期券や、地下鉄乗車用、鉄道乗車用、およびバス乗車用などのプリペイドカード、あるいはハイウェイカード、テレフォンカード、その他の各種プリペイドカードなどがあり、幅広く使用されている。これらのプリペイドカードには優れた偽造防止性とともに、優れた美観や意匠性が益々要求されるようになってきている。
【0003】
上記各種カードは、カラーコピー機による偽造が容易であり、これらの偽造を防止する方法としては、例えば、カラーコピー機の解像力の限界を越えた細かいパターンを表面に印刷しておき、カードの複写物に、例えば、「にせもの」或いは「コピー」などの文字などが浮かび上がってくるコピー牽制技術がある。しかし、カラーコピー機の一層の解像度の向上により、このような技術では有効な偽造防止の達成が困難になりつつある。さらにパールインキなどを用いて印刷する方法もある(例えば、特許文献1参照)。この方法は、見る角度によって印刷画像が異なるように見える技術であるが、この方法も偽造防止の決め手にはなっていない。
【0004】
偽造防止の有力な手段として、カードにホログラム画像を組み込むことが提案されている。このホログラム画像は見る角度によって異なる画像が観察され、該画像は、カラーコピー機による複写は困難であることから、ホログラム画像を有するカードの偽造は困難である。ホログラム画像を有するカードを形成する従来の方法としては、ホログラムが形成されたフィルムシートをカード基材に接着剤などによりラミネートする方法がある。しかし、カード基材にホログラムシートを単にラミネートすると、これらのラミネートは異種フィルムの貼り合わせであることから、ラミネート物(カード)にカールが発生し、実用化は困難であった。また、熱転写する方法もあるが、この場合には熱転写には加熱ロールが使用されるためエネルギーコストが大きく、転写速度も、ホログラム転写箔の低耐熱性のために2m/min.程度であり、生産効率が低いという問題があった。
【0005】
さらに定期券などの各種カードの発行に際しては、駅名、使用期限、使用度数などの個別情報の記入に、簡便な印字方式である熱溶融型の熱転写方式が広く使用されているが、これらの印字方式はインキの構成にワックスや軟化点が低い熱可塑性樹脂などを使用していること、およびカードの表面硬度が不足している結果、特に、近年において普及が目覚ましい自動改札機等のカード処理機内に通すごとに印字が擦れ、地汚れや尾引きを生じ、ひどい場合には形成した個別情報が判読できなくなるという問題(ゲート耐久性の問題)があり、美観上および実用上の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−88425公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、カラーコピー機による偽造が困難で、偽造物の目視判定が容易であり、かつ優れた意匠性を有し、さらにカード表面に耐擦過性などの耐久性に優れた熱溶融型熱転写印字が可能な定期券などのカードを効率よく提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、磁気層を有するカード基材シートの磁気層側と反対の面に、2液硬化型接着剤層を介してホログラム層が接着され、該ホログラム層の表面に熱溶融型熱転写シートのインキ受容層が積層され、該受容層表面に、ホログラム像との重なりの程度が制御された任意の印刷模様が形成され、該任意の印刷模様層の各印刷領域における網点面積率または万線面積率が40%以下であることを特徴とする、熱溶融型熱転写シートで印字可能なカードを提供する。
【0009】
また、本発明は、2液硬化型接着剤層が、ウレタン系2液硬化型接着剤である上記のカード;ホログラム層がホログラム形成層とホログラム効果層とを有し、該ホログラム効果層が、ホログラム形成層の屈折率と異なる屈折率を有する透明層である上記のカードを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明のカードは、図1(D)に示すように、磁気層8を有する基材シート7の磁気層側と反対の面に、2液硬化型接着剤層6を介してホログラム層2〜5が接着され、該ホログラム層の表面に熱溶融型熱転写シートのインキ受容層9が形成され、該受容層9の表面に、ホログラム像との重なりの程度が制御された任意の印刷絵柄10が形成されていることを特徴としている。
【0011】
上記本発明のカードは、図1(A)〜(C)に示すように、図1(B)に示す磁気層8を有する基材シート7に、図1(A)に示すホログラム転写箔100を用いてホログラム層を含む転写層を転写した後、基材フィルム1を剥離し、転写された転写層の最表面に受容層9および印刷絵柄10を順次重ねて形成することによって得られる。
【0012】
本発明の第一の特徴は、上記転写に際して接着剤として2液硬化型接着剤を使用する点である。2液硬化型接着剤としては、従来公知の種々の接着剤が使用できるが、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とからなるウレタン系2液硬化型接着剤が好適である。これらの接着剤に、その塗工性を良好にするために揮発性の有機溶剤を添加してホログラム効果層5の表面、または磁気層8を有する基材シート7の表面に塗布し、溶剤を蒸発させた後にホログラム転写箔100と磁気層8を有する基材シート7とをラミネートすることにより、ラミネート時に加熱ロールを必要とせず、従って、耐熱性の低いホログラム層を損なうことなく、ホログラム層の高速ラミネートが可能であり、エネルギーロスの問題や生産性の問題が解決される。
【0013】
上記の2液硬化型接着剤層6の厚みは、約3〜8g/m2(固形分)であることが好ましい。接着剤層6の厚みが3g/m2未満であるとラミネートムラが発生し、一方、接着剤層6の厚みが8g/m2を超えるとラミネート物にカールが発生する畏れがある。このように接着剤層6の厚みは従来の感熱接着剤(ヒートシール剤)に比較して薄くてもよいこと、感熱接着剤の場合には温度低下と同時に接着剤が固化することから、異なる材質である基材シート7とホログラム層との間にひずみが残るが、2液硬化型接着剤を用いる場合には、常温付近でラミネート後に十分な熟成時間を取ることから、ラミネートされた基材シート7とホログラム層との間のひずみが十分に解放され、ラミネート物のカールの問題も十分に解消される。さらに硬化後の2液硬化型の接着剤層6は、感熱接着剤層に比べて硬度が高く、その結果、ラミネート物全体の硬度も高くなるので、後述する熱溶融型インキによる印字の耐摩擦性も向上する。
【0014】
本発明のカードの第二の特徴は、上記ラミネートおよび基材フィルム1の剥離後に、最表面層に位置する剥離層2の表面に受容層9を設けることにある。すなわち、剥離層2は通常離型剤を含有しているので、その表面に熱溶融型熱転写シートを用いて直接印字しても該印字の耐久性(特に耐擦過性)は期待できない。そこで本発明では、図1(C)に示すホログラム層の転写および基材フィルム1の剥離後に、離型層2の表面に熱溶融型熱転写シートのインキを受容する層9を設けている。該受容層9は、通常ヒートシール剤などの如く接着性に優れた熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、あるいはこれらの混合物を用いて厚み約0.5〜3.0g/m2に設けることが好ましい。形成される受容層9は場合によっては、ポリイソシアネートなどの架橋剤を添加して形成することで、その硬度を向上させることができる。
【0015】
本発明の第三の特徴は、上記受容層9の表面に、ホログラム像との重なりの程度が制御された状態で印刷模様である絵柄10を形成することである。これらの絵柄10は、任意の絵柄でよく、例えば、カードの共通情報であるカードの説明文、発行会社、地紋など、特に限定されず、印刷方式もオフセット印刷、グラビア印刷など、特に限定されない。これらの印刷絵柄10もその印刷面が受容層9の面であることから、耐摩擦性に優れている。
【0016】
特に重要なことは、受容層9の面に任意の印刷絵柄10を形成する場合に、共通情報である絵柄模様10の堅牢性を確保することは勿論のこと、特に、その上に形成される固有情報を表示した熱溶融型熱転写印字11の堅牢性を向上させ、例えば、定期券に適用した場合において十分なゲート耐久性等の耐摩耗性が保持できるようにすると同時に、印刷絵柄10がホログラム像と重なって設けられている部分においても、ホログラム層を設けたことによる効果が損なわれないようにすることである。このためには、先ず、印刷絵柄10を受容層9の表面全面に隙間なく設けるのではなく、受容層9の表面おける印刷絵柄10の印刷領域の割合を適宜に制御して、堅牢な絵柄模様10を形成すると同時に、その上に形成される熱溶融型熱転写印字11の堅牢性をよりを向上させることが有効である。
【0017】
さらに、ホログラム層を設けたことによる効果が損なわれないようにするためには、特に、形成した絵柄模様10の各印刷領域における網点面積率または万線面積率を適宜に制御した状態とすることが好ましい。このようにすれば、絵柄模様10の印刷領域がホログラム像と重なったような場合においても、ホログラム層を設けたことによる効果が損なわれることがなく、また、特に印刷絵柄10の上に形成した熱溶融型熱転写印字11をより堅牢なものとでき、例えば、定期券に適用した場合におけるゲート耐久性等の耐摩耗性を格段に向上させることが可能となる。これに対して、印刷絵柄10の形成領域が、ホログラム像と重なっているような場合に、例えば、印刷絵柄10の各印刷領域の網点面積率または万線面積率が60%以上であるような、密な状態の絵柄とすると、特に印刷絵柄10の上に形成した熱溶融型熱転写印字11のゲート耐久性が劣ることが確認された。さらに、この場合には、ホログラム像を形成したことによって得られるカラーコピー機による偽造防止効果が十分に発揮されなかったり、意匠性が損なわれる場合もあり、この点からも好ましくない。
【0018】
本発明者らの検討によれば、印刷絵柄10の各印刷領域の網点面積率または万線面積率が40%以下となるように、さらには30%以下となるように、印刷絵柄10の印刷層を形成することが好ましいことがわかった。すなわち、このようにすれば、印刷絵柄10とホログラム像とが重なった部分においても、ホログラム層を形成したことによる効果を十分に得ることができる。これに対して、印刷絵柄10を形成する場合に、絵柄の各印刷領域の網点面積率または万線面積率を40%よりも大きくすると、印刷絵柄10とホログラム像とが重なった部分においてホログラム層を形成したことによる効果が損なわれたり、さらに、この場合には、印刷絵柄10によって受容層9が被覆されたような状態となるので、印刷絵柄10が形成されている受容層9上に熱溶融型インキによる印字をした場合に、熱溶融型熱転写印字11の定着性や、耐摩擦性が損なわれることがある。本発明者らの検討によれば、特に、印刷絵柄10を、各印刷領域の網点面積率または万線面積率が30%以下となるように形成した場合に、印刷絵柄10とホログラム像とが重なった部分においても、ホログラム層を設けたことによる効果がより良好に得られ、カラーコピー機による偽造防止が十分に達成され、意匠性にも優れたものとなると同時に、特に、例えば、定期券に適用した場合における、カード表面に設けた固有情報を表示した熱溶融型インキによる熱溶融型熱転写印字部のゲート耐久性等の耐摩耗性をより向上させることができ、実用価値、意匠性、耐久性の全てをより高度に満足する優れたカードが得られることがわかった。
【0019】
また、本発明では、基材シート7に転写されるホログラム層中のホログラム効果層5は、アルミニウム蒸着層の如き反射性金属薄膜である場合と、金属酸化物、金属硫化物、他の合成樹脂などの如き、ホログラム形成層4の屈折率と異なる屈折率を有する透明層である場合がある。ホログラム効果層5が反射性である場合には、高反射性のホログラム像が観察される。一方、ホログラム効果層5が透明である場合には、基材シート7の色相や印刷絵柄に基づく色をバックグラウンドとするホログラム像が観察され、透明ホログラム効果層である場合には、反射光が少ないのでその表面に印刷された情報が見やすく、そのうえカラーコピー機による複写が一層困難であり、カードの偽造防止性に優れることから好ましい。
【0020】
次に本発明で使用するホログラム転写箔、磁気層を有する基材シートおよび各層の厚み、などについて説明する。
(ホログラム転写箔)
ホログラム転写箔自体は公知であり、大日本印刷(株)から種々のものを入手して使用できる。図1(A)に示すようにホログラム転写箔100の基材フィルム1は、通常厚み約12〜100μm程度の透明または不透明のポリエチレンテレフタレートフィルム、またはポリエチレンナフタレートフィルムである。剥離層(離型層)2は、必要に応じて適当な離型剤を含むアクリル系樹脂などから厚み約0.5〜4μm程度に形成する。OP層3(プライマー層)はポリエステル樹脂やアクリル樹脂などの溶液から厚み約0.2〜1.0μm程度に形成する。ホログラム形成層4は、好ましくは紫外線硬化性または電子線硬化性樹脂から厚み約1〜10μm程度に形成し、ホログラムの凹凸形状(回折格子)を原版を用いてエンボスなどで表面に形成し、その後に完全硬化させる。ホログラム効果層5は、アルミニウムの蒸着、金属酸化物や金属硫化物などのスパッタリングや蒸着などにより厚み約100〜2,000Å(=10〜200nm)程度に形成する。
【0021】
上記ホログラム転写箔に用いる接着剤としては、ポリイソシアネート、ポリオールおよび触媒を使用直前に混合して使用する2液硬化型のウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤などの2液硬化型接着剤の使用が望ましい。ウレタン系などの2液硬化型の接着剤を用いる場合には、使用直前に決められた処方に従ってA液、B液および触媒を混合して厚み約3〜8μm(固形分)程度に接着層6を形成し、所定時間内にホログラム転写箔からラミネーターを用いて基材シート7にラミネートしてホログラム層を転写する。
【0022】
(磁気層を有する基材シート)
例えば、基材シート7は、市販されている白色基材シート7に磁気層8を設けたものである。白色基材シート7は、通常厚み約100〜200μm程度の白色ポリエチレンテレフタレートフィルム、またはポリエチレンナフタレートフィルムである。磁気層8は白色基材シート7の一部または全面に形成され、通常厚み約3〜30μm程度である。この白色基材シート7には、任意の印刷が可能であり、前記ホログラム効果層として透明層を用いることにより、さらに意匠性に優れたカードが得られる。
【0023】
以上の如くして得られた本発明のカードには、図2(D)および(E)に示すように、その表面に熱溶融型熱転写シートにより印字を行うと、該転写印字11の大部分は接着性の良好な受容層9の面に転写形成されるので、耐久性(特にゲート耐久性などの耐摩擦性)に優れている。上記印字に使用する熱溶融型の熱転写シートおよびプリンターは公知の何れの方式のものでもよいが、そのインキ層が前記受容層を形成すると同様な樹脂をバインダーとするインキ層である熱転写シートを使用することがより好ましい。
【0024】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
実施例1
<ホログラム転写箔の作製>
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、東レ製、ルミラーT60)の一方の面に、ポリメチルメタクリレート系樹脂8部、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂2部、およびポリエチレンワックス0.1部を含む剥離ニスをグラビアリバース法で1.5g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥して剥離層を形成した。次に、ポリメチルメタクリレート系プライマー樹脂層を上記と同様の方法で0.7g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥してプライマー層(OP層)を形成した。
【0025】
次に、メラミン系架橋性紫外線硬化性樹脂を上記と同様の方法で2.0g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥してホログラム形成層を形成し、その表面にホログラムの凹凸形状(回折格子)を、ホログラム原版を用いて形成し、その後に完全硬化させた。次にホログラム形成層の表面にコロナ処理を行った後、アルミニウムを35nmの厚みに蒸着して反射型ホログラム効果層を形成して、ホログラム転写箔を形成した。
【0026】
<ドライラミネートによるホログラム層の転写>
次に、コーターの第一給紙部から上記のホログラム転写箔を供給しながら、アルミニウム蒸着面に下記組成の2液硬化型接着剤をグラビアリバース法で6g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥して接着剤層を形成した。
【0027】
同時に第二給紙機から、厚さ188μmのPET基材シートに磁気層(抗磁力219kA/mのバリウムフェライト材料)を形成した磁気層原反を供給し、上記PET基材シートのPET面と上記のホログラム転写箔の接着剤層面とをロール間で圧着し、両者をラミネートして巻取った。
【0028】
上記のラミネート物を50℃で4日間放置して熟成を行い、接着剤層の熱硬化を行い、ホログラム転写箔と磁気層原反との密着を確保するとともに、接着剤層を硬化させ、最終製品での表面耐スクラッチ性を確保した。その後、巻き返し機により巻き返しを行い、巻き上げの手前でホログラム転写箔に用いた25μmのPETフィルムを分割巻き上げを行うことで、該PETフィルムを原反から剥離し、前記厚さ188μmのPETベースの磁気層原反の反対面にホログラム層が転写形成された定期券の原反が完成した。
【0029】
<定期券の製造>
上記原反のホログラム層側の面(剥離層上)に、下記組成の感熱転写受容層形成用インキをグラビアリバース法で1.5g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥して受容層を形成した。
【0030】
上記受容層を形成した原反をシートカット寸法に対応した一定寸法ごとにホログラム絵柄に同期したホログラム(回折格子)マークを光学検知しながら、シートカットし、次いで化粧断裁にて印刷寸法にカットする。このカットしたシートの受容層面に紫外線硬化型インキにて所望の図柄を印刷および硬化させた。この印刷に際しては、図柄の各印刷領域の網点面積率が25%以下となるようにした。印刷終了後、抜き型を用いて所定のサイズに打ち抜き、本発明の定期券を作製した。
【0031】
実施例2
<ホログラム転写箔の作製>
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、東レ製、ルミラーT60)の一方の面に、実施例1と同じ剥離ニスをグラビアリバース法で1.5g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥して剥離層を形成した。次に、ポリメチルメタクリレート系紫外線硬化性樹脂を上記と同様の方法で2.0g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥してホログラム形成層を形成し、その表面にホログラムの凹凸形状(回折格子)を、ホログラム原版を用いて形成し、その後に完全硬化させた。次にホログラム形成層の表面にコロナ処理を行った後、硫化亜鉛を反射スペクトル400nm相当の膜厚に蒸着して透明型ホログラム効果層を形成して、ホログラム転写箔を形成した。
【0032】
<ドライラミネートによるホログラム層の転写>
次に、コーターの第一給紙部から上記のホログラム転写箔を供給しながら硫化亜鉛蒸着面に、実施例1と同一の2液硬化型接着剤をグラビアリバース法で6g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥して接着剤層を形成した。同時に第二給紙機から、厚さ188μmのPET基材シートに磁気層(抗磁力219kA/mのバリウムフェライト材料)を形成した磁気層原反を供給し、上記PET基材シートのPET面と上記のホログラム転写箔の接着剤層面とをロール間で圧着し両者をラミネートして巻取った。
【0033】
上記のラミネート物を50℃で4日間放置して熟成を行い、接着剤層の熱硬化を行い、ホログラム転写箔と磁気層原反との密着を確保するとともに、接着剤層を硬化させ、最終製品での表面耐スクラッチ性を確保した。その後、巻き返し機により巻き返しを行い、巻き上げの手前でホログラム転写箔に用いた25μmのPETフィルムを分割巻き上げを行うことで、該PETフィルムを原反から剥離し、前記厚さ188μmのPETベースの磁気層原反の反対面にホログラム層が転写形成された定期券の原反が完成した。
【0034】
<定期券の製造>
上記原反のホログラム層側の面(剥離層上)に、実施例1と同じ感熱転写受容層形成用インキを、グラビアリバース法で1.5g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥して受容層を形成した。以下実施例1と同様にして本発明の定期券を得た。但し、紫外線硬化型インキによる図柄の形成に際して、各印刷領域の網点面積率が15%以下となるようにした。
【0035】
比較例1
紫外線硬化型インキによる絵柄の各印刷領域の網点面積率を60%以上とした以外は実施例1と同様にして比較例の定期券を得た。得られた定期券を目視にて観察したところ、絵柄の印刷領域のホログラム像との重なり部分において、絵柄によってホログラム像が損なわれている印象を与えた。
【0036】
比較例2(ホログラム層のない定期券)
実施例1におけるホログラム層を転写することを除き、その他は実施例1と同様にして比較例の定期券を作製した。
【0037】
評価例
以上の4種の定期券の絵柄層の面に熱溶融型の熱転写シート(樹脂系リボン:4PRT−410)を用いてサーマルプリンターにて印字エネルギー0.7mJ(8本/mmの薄膜ヘッド)で印字した。そして、各定期券について、文字の印字適正と、ゲート耐久性、カラーコピー機による偽造の可能性、意匠性などを下記の評価方法で評価した。下記表1に、得られた結果を示した。
【0038】
評価方法
[印字性]:各定期券に印字された文字を目視で観察して、下記の基準で評価した。
△:文字欠けあり
○:文字欠けなし
【0039】
[印字密着性]:セロハンテープ強剥離試験
○:文字の脱落および欠けともになし
△:文字の脱落はないが、文字の欠けあり
×:文字の脱落および欠けともにあり
【0040】
[印字定着性]:ガーゼ指擦り20往復
○:文字のカスレなし
△:文字のカスレややあり
×:文字のカスレ顕著にあり
【0041】
[ゲート耐久性]:ゲートパス1,000回
○:文字のカスレなし
△:文字のカスレややあり
×:文字のカスレ顕著にあり
【0042】
[カラーコピー非再現性]:カラーコピー機(Fuji Xrox製;A color 931)でコピーし、目視にて観察し、複写物が本物と区別できるかを下記の基準で評価した。
◎:明確に区別ができる
○:区別ができる
△:区別が困難
×:明らかに区別が困難
【0043】
[印字視認性]:文字を印字後、カードを0〜90°傾けて、券面に印字された文字の判読性を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:どの角度でも明確に判読できる
△:どの角度でも判読できる
【0044】
[意匠性]:文字を印字後の券面を見た時の意匠性を、新規性(斬新さ)の面から判断し、下記の基準で示した。
◎:優れている
○:やや優れている
△:普通
【0045】
【0046】
上記表1に記載の通り、実施例1および2は、印字適性、ゲート耐久性、カラーコピー非再現性、印字視認性および意匠性に優れており、印刷模様(絵柄)がホログラム像と重なっている部分においても、印刷模様(絵柄)の下方にホログラム像が浮かび上がって見え、意匠性にも優れている。但し、透明ホログラム層を用いた実施例2の定期券は、実施例1の定期券よりも反射が少ない分、より印字視認性が優れていた。以上の結果から、本発明にかかる定期券は優れた印字適性、偽造防止性および意匠性を有し、定期券として実用価値の高いものであった。これに対して比較例1の場合には、特に、印刷模様(絵柄)がホログラム像と重なっている部分において、実施例のものと比べて意匠性およびゲート耐久性に劣っており、また絵柄層を形成した面に印字した文字は、実施例のものと比べて、印字密着性、印字定着性、およびゲート耐久性に劣っていた。さらに、ホログラム層のない比較例2の定期券は、カラーコピー機で複写すると本物と多少異なる複写物が得られ、目視で容易に区別できにくく、カラーコピー非再現性に劣るとともに、ホログラム層を設けたものと比べて意匠性も不十分であった。
【0047】
【発明の効果】
以上の如き本発明によれば、カラーコピー機による偽造が困難で、偽造物の目視判定が容易であり、かつ優れた意匠性を有し、さらにカード表面に設けた絵柄および適宜に形成した熱溶融型熱転写印字が、ゲート耐久性などにおいて高度な耐擦過性を示す、美麗でしかも実用価値の高い定期券などのカードを効率よく提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカードの構成と製造方法を説明する図。
【図2】 本発明のカードに印字した状態を説明する図。
【符号の説明】
1:基材フィルム
2:剥離層(離型層)
3:OP層(プライマー層)
4:ホログラム形成層
5:ホログラム効果層
6:接着剤層
7:基材シート
8:磁気層
9:受容層
10:印刷絵柄
11:転写印字
Claims (3)
- 磁気層を有するカード基材シートの磁気層側と反対の面に、2液硬化型接着剤層を介してホログラム層が接着され、該ホログラム層の表面に熱溶融型熱転写シートのインキ受容層が積層され、該受容層表面に、ホログラム像との重なりの程度が制御された任意の印刷模様が形成され、該任意の印刷模様層の各印刷領域における網点面積率または万線面積率が40%以下であることを特徴とする、熱溶融型熱転写シートで印字可能なカード。
- 2液硬化型接着剤層が、ウレタン系2液硬化型接着剤である請求項1に記載のカード。
- ホログラム層がホログラム形成層とホログラム効果層とを有し、該ホログラム効果層が、ホログラム形成層の屈折率と異なる屈折率を有する透明層である請求項1または2に記載のカード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002359833A JP4130577B2 (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | カード |
Applications Claiming Priority (1)
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